特許第6825232号(P6825232)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6825232
(24)【登録日】2021年1月18日
(45)【発行日】2021年2月3日
(54)【発明の名称】画像読取装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/028 20060101AFI20210121BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20210121BHJP
【FI】
   H04N1/028 Z
   H01L27/146 C
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-105642(P2016-105642)
(22)【出願日】2016年5月26日
(65)【公開番号】特開2017-212652(P2017-212652A)
(43)【公開日】2017年11月30日
【審査請求日】2019年4月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮川 誠
(72)【発明者】
【氏名】白嵜 友之
(72)【発明者】
【氏名】森川 徳子
【審査官】 橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−036060(JP,A)
【文献】 特開2005−217708(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/024− 1/207
G06T 1/00
H01L27/146−27/148
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄膜トランジスタを用いたデータ列m×走査行nの2次元イメージセンサアレイと、
端子数aのデータドライバと、
端子数nの走査ドライバと、
前記2次元イメージセンサアレイと前記データドライバとの間に設けたm個の切り替え用薄膜トランジスタからなる切り替え回路であって、m個の前記切り替え用薄膜トランジスタの一方のソースまたはドレインが前記2次元イメージセンサアレイのm本のデータ線と接続され、m個の前記切り替え用薄膜トランジスタの他方のソースまたはドレインが、m/a個毎に、前記データドライバの各端子と並列接続され、m個の前記切り替え用薄膜トランジスタのゲートが、a個毎に、m/a本の制御線と並列接続された、前記切り替え回路と、
を備え、前記制御線を1つずつ選択することにより、前記データドライバが前記2次元イメージセンサアレイに対し、a列毎にデータ取得、もしくはデータ取得および初期化を行い、
前記走査ドライバは、ボトムゲート制御線と接続するボトムゲートドライバと、トップゲート制御線と接続するトップゲートドライバを備え、
前記ボトムゲート制御線が前記トップゲート制御線に遅れて走査を開始するとき、前記切り替え用薄膜トランジスタに対応する各受光素子にはその遅れ分の選択周期分の検出状態が与えられ、ボトムゲート走査からトップゲート走査の遅れ行数分が蓄積時間となることを特徴する画像読取装置。
【請求項2】
薄膜トランジスタを用いたデータ列m×走査行nの2次元イメージセンサアレイと、
端子数mのデータドライバと、
端子数aの走査ドライバと、
前記2次元イメージセンサアレイと前記走査ドライバとの間に設けたn個の切り替え用薄膜トランジスタからなる切り替え回路であって、n個の前記切り替え用薄膜トランジスタの一方のソースまたはドレインが前記2次元イメージセンサアレイのn本の走査線と接続され、n個の前記切り替え用薄膜トランジスタの他方のソースまたはドレインが、n/a個毎に、前記走査ドライバの各端子と並列接続され、n個の前記切り替え用薄膜トランジスタのゲートが、a個毎に、n/a本の制御線と並列接続された、前記切り替え回路と、
を備え、前記制御線を1つずつ選択することにより、前記走査ドライバが前記2次元イメージセンサアレイに対し、a行毎に選択走査線の制御を行い、
前記走査ドライバは、ボトムゲート制御線と接続するボトムゲートドライバと、トップゲート制御線と接続するトップゲートドライバを備え、
前記ボトムゲート制御線が前記トップゲート制御線に遅れて走査を開始するとき、前記切り替え用薄膜トランジスタに対応する各受光素子にはその遅れ分の選択周期分の検出状態が与えられ、ボトムゲート走査からトップゲート走査の遅れ行数分が蓄積時間となることを特徴する画像読取装置。
【請求項3】
薄膜トランジスタを用いたデータ列m×走査行nの2次元イメージセンサアレイと、
端子数aのデータドライバと、
端子数bの走査ドライバと、
前記2次元イメージセンサアレイと前記データドライバとの間に設けたm個の第1の切り替え用薄膜トランジスタからなる第1の切り替え回路であって、m個の前記第1の切り替え用薄膜トランジスタの一方のソースまたはドレインが前記2次元イメージセンサアレイのm本のデータ線と接続され、m個の前記第1の切り替え用薄膜トランジスタの他方のソースまたはドレインが、m/a個毎に、前記データドライバの各端子と並列接続され、m個の前記第1の切り替え用薄膜トランジスタのゲートが、a個毎に、m/a本の制御線と並列接続された、前記第1の切り替え回路と、
前記2次元イメージセンサアレイと前記走査ドライバとの間に設けたn個の第2の切り替え用薄膜トランジスタからなる第2の切り替え回路であって、n個の前記第2の切り替え用薄膜トランジスタの一方のソースまたはドレインが前記2次元イメージセンサアレイのn本の走査線と接続され、n個の前記第2の切り替え用薄膜トランジスタの他方のソースまたはドレインが、n/b個毎に、前記走査ドライバの各端子と並列接続され、n個の前記第2の切り替え用薄膜トランジスタのゲートが、b個毎に、n/b本の制御線と並列接続された、前記第2の切り替え回路と、
を備え、前記第2の切り替え回路の制御線を1つずつ選択することにより、前記走査ドライバが前記2次元イメージセンサアレイに対し、b行毎に選択走査線の制御を行い、前記第1の切り替え回路の制御線を1つずつ選択することにより、前記データドライバが前記2次元イメージセンサアレイに対し、a列毎にデータ取得、もしくはデータ取得および初期化を行い、
前記走査ドライバは、ボトムゲート制御線と接続するボトムゲートドライバと、トップゲート制御線と接続するトップゲートドライバを備え、
前記ボトムゲート制御線が前記トップゲート制御線に遅れて走査を開始するとき、前記第2の切り替え用薄膜トランジスタに対応する各受光素子にはその遅れ分の選択周期分の検出状態が与えられ、ボトムゲート走査からトップゲート走査の遅れ行数分が蓄積時間となることを特徴する画像読取装置。
【請求項4】
前記2次元イメージセンサアレイと前記切り替え回路又は前記第1及び第2の切り替え回路とは、同一基板上に形成されたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の画像読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2次元の接触型の画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像読取装置は、文字や画像が記載された紙等の被読取媒体(以下、原稿とも呼ぶ)上の文字や画像を読み取る装置である。画像を読み取る装置には、光学文字読取装置(OCR)で読み取った文字や画像を認識し、所定の処理を施して表示する装置もある(特許文献1、2、3参照)。
【0003】
近年、画像データの文字認識技術が発達し、その文字認識処理と共に構文解析等の技術によって言語翻訳も可能となっている。一般に、翻訳処理は、原稿画像を据え置き型のイメージスキャナーで読み取り、必要に応じて、輪郭補正、コントラスト補正等の前処理を行った後、文字認識を行い、次いで構文解析、翻訳という手順を踏む。
【0004】
同様にスマートフォンカメラで画像を取得し、取得した画像データと該画像データからの翻訳結果とを同時にスマートフォンのディスプレイに比較表示する翻訳アプリ等が開発されている。この様に、原稿と翻訳結果等を同時に確認できる、画像読取装置と、読み取った画像データや翻訳結果等を表示するディスプレイとの両方を具備する、携帯型入出力一体型装置は非常に有用である。
【0005】
近年、高速通信ネットワークの整備により、画像データの前処理や、文字認識、構文解析・翻訳といった高度な演算処理は、クラウドコンピューティングで実現することも可能であり、更にはワールドワイドなビッグデータ解析による高度な学習機能の活用も可能である。ネットワークインターフェイスを有し且つ通信環境にあるスマートフォンやタブレット端末等の携帯型入出力一体型画像読取装置は、自身が高度な処理や大きなメモリを有せずとも、良質な翻訳サービスを提供する事ができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−8843号公報
【特許文献2】特許第3234736号公報
【特許文献3】特許第2735697号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、スマートフォンやタブレット端末等は、読取装置としてカメラを用いており、撮像に際し、ピントのずれや手ぶれ等の振動による画像ボケが生じ易く、また環境照度に対する最適露光条件設定(絞り、シャッター速度)が必要である。またカメラによる撮像では、室内環境で書類の画像を取り込む際、撮影装置自身の影や照明の映り込みが生じ易いといった問題もあり、これらの問題は文字や画像の認識精度の低下や、簡便性を損なう。そのため、撮影者はこれら諸条件をある一定の水準で満たすように撮影しなければならないといった課題がある。
【0008】
また、タブレット端末等は撮像している画像と、撮像した画像から読み取った文字や画像情報に所定の変換処理を施した画像(例えば翻訳結果等)とを同時にリアルタイムでディスプレイに表示して比較する場合、撮像中は端末をユーザーが手に持つなどによって端末を固定しておかなければならず、読み取る量が多い場合には不便であった。
【0009】
そこで接触型固定焦点2次元画像読取装置を薄型シート状に形成し、スマートフォンやタブレット端末に組み合わせることでこれらの課題を解決することが出来る。図1〜3にその概要を示す。
【0010】
図1(a)〜(e)に、スマートフォンケース内蔵型の画像読取装置およびスマートフォンケースを取り付けるスマートフォンの概略図を示す。図1(e)に示す様に、画像読取装置101は、原稿を読み取る画像読取部202、画像読み取りの際に使用する光源部203および制御部201を備える。また、画像読取部202と光源部203とは積層されており、光源部203は画像読取部202とスマートフォンケース212との間に配置されている。本実施形態のように、画像読取装置101がスマートフォンケース212に内蔵される場合、画像読取部202は、その読取面がスマートフォンを取り付ける面と対向する面に、スマートフォンケース212の外部に露出するように配置される。
【0011】
図3(a)、(b)に示すように、この装置は被読み取り媒体の上に載せて撮像することが可能であり、前述したカメラ読み取りの問題点が解消される。薄型シート状の画像読取装置を実現するためには、機械走査メカニズムや、光学集光系を用いることは困難である。この問題は図2(a)〜(c)に示す電子走査型の透明画像読取装置と薄型バックライトを用いることが有用である。
【0012】
電子走査型透明画像読取装置としては、多結晶Si薄膜トランジスタ(polySiTFT)技術を用いフォトダイオードアレイを電子走査する装置や、アモルファスSi薄膜トランジスタ(a−SiTFT)を用いたダブルゲート方式薄膜トランジスタ(DGTr)を電子走査する装置がある。a−SiTFTは大型TV用として量産されており、より大面積の接触型2次元画像読取装置の実現に有利である。
【0013】
しかしながら、a−SiTFTは、単結晶SiトランジスタやpolySiTFTに比較し、駆動能力が小さく、且つチャンネルがn型に限定される為、TFT自身でアナログ・デジタル変換回路等の高度なドライバ回路を構成する事ができず、画像読取装置を構成する際はデータドライバLSIが必要になる。
【0014】
然るに、a−SiTFTを用いて大面積の接触型2次元画像読取装置を実現する際は、データ端子数の多い走査ドライバが必要になるが、大面積化に伴い走査ドライバの端子数が増加するためコスト高に繋がるという課題がある。
【0015】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、薄膜トランジスタを用いた接触型2次元イメージセンサシステムにおいて、センシングエリアの分割読込および初期化が可能な画像読取装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の課題を解決するために、第1の態様は、画像読取装置であって、薄膜トランジスタを用いたデータ列m×走査行nの2次元イメージセンサアレイと、端子数aのデータドライバと、端子数nの走査ドライバと、前記2次元イメージセンサアレイと前記データドライバとの間に設けたm個の切り替え用薄膜トランジスタからなる切り替え回路であって、m個の前記切り替え用薄膜トランジスタの一方のソースまたはドレインが前記2次元イメージセンサアレイのm本のデータ線と接続され、m個の前記切り替え用薄膜トランジスタの他方のソースまたはドレインが、m/a個毎に、前記データドライバの各端子と並列接続され、m個の前記切り替え用薄膜トランジスタのゲートが、a個毎に、m/a本の制御線と並列接続された、前記切り替え回路と、を備え、前記制御線を1つずつ選択することにより、前記データドライバが前記2次元イメージセンサアレイに対し、a列毎にデータ取得、もしくはデータ取得および初期化を行い、前記走査ドライバは、ボトムゲート制御線と接続するボトムゲートドライバと、トップゲート制御線と接続するトップゲートドライバを備え、前記ボトムゲート制御線が前記トップゲート制御線に遅れて走査を開始するとき、前記切り替え用薄膜トランジスタに対応する各受光素子にはその遅れ分の選択周期分の検出状態が与えられ、ボトムゲート走査からトップゲート走査の遅れ行数分が蓄積時間となることを特徴する。
【0017】
第2の態様は、画像読取装置であって、薄膜トランジスタを用いたデータ列m×走査行nの2次元イメージセンサアレイと、端子数mのデータドライバと、端子数aの走査ドライバと、前記2次元イメージセンサアレイと前記走査ドライバとの間に設けたn個の切り替え用薄膜トランジスタからなる切り替え回路であって、n個の前記切り替え用薄膜トランジスタの一方のソースまたはドレインが前記2次元イメージセンサアレイのn本の走査線と接続され、n個の前記切り替え用薄膜トランジスタの他方のソースまたはドレインが、n/a個毎に、前記走査ドライバの各端子と並列接続され、n個の前記切り替え用薄膜トランジスタのゲートが、a個毎に、n/a本の制御線と並列接続された、前記切り替え回路と、を備え、前記制御線を1つずつ選択することにより、前記走査ドライバが前記2次元イメージセンサアレイに対し、a行毎に選択走査線の制御を行い、前記走査ドライバは、ボトムゲート制御線と接続するボトムゲートドライバと、トップゲート制御線と接続するトップゲートドライバを備え、前記ボトムゲート制御線が前記トップゲート制御線に遅れて走査を開始するとき、前記切り替え用薄膜トランジスタに対応する各受光素子にはその遅れ分の選択周期分の検出状態が与えられ、ボトムゲート走査からトップゲート走査の遅れ行数分が蓄積時間となることを特徴する。
【0018】
第3の態様は、画像読取装置であって、薄膜トランジスタを用いたデータ列m×走査行nの2次元イメージセンサアレイと、端子数aのデータドライバと、端子数bの走査ドライバと、前記2次元イメージセンサアレイと前記データドライバとの間に設けたm個の第1の切り替え用薄膜トランジスタからなる第1の切り替え回路であって、m個の前記第1の切り替え用薄膜トランジスタの一方のソースまたはドレインが前記2次元イメージセンサアレイのm本のデータ線と接続され、m個の前記第1の切り替え用薄膜トランジスタの他方のソースまたはドレインが、m/a個毎に、前記データドライバの各端子と並列接続され、m個の前記第1の切り替え用薄膜トランジスタのゲートが、a個毎に、m/a本の制御線と並列接続された、前記第1の切り替え回路と、前記2次元イメージセンサアレイと前記走査ドライバとの間に設けたn個の第2の切り替え用薄膜トランジスタからなる第2の切り替え回路であって、n個の前記第2の切り替え用薄膜トランジスタの一方のソースまたはドレインが前記2次元イメージセンサアレイのn本の走査線と接続され、n個の前記第2の切り替え用薄膜トランジスタの他方のソースまたはドレインが、n/b個毎に、前記走査ドライバの各端子と並列接続され、n個の前記第2の切り替え用薄膜トランジスタのゲートが、b個毎に、n/b本の制御線と並列接続された、前記第2の切り替え回路と、を備え、前記第2の切り替え回路の制御線を1つずつ選択することにより、前記走査ドライバが前記2次元イメージセンサアレイに対し、b行毎に選択走査線の制御を行い、前記第1の切り替え回路の制御線を1つずつ選択することにより、前記データドライバが前記2次元イメージセンサアレイに対し、a列毎にデータ取得、もしくはデータ取得および初期化を行い、前記走査ドライバは、ボトムゲート制御線と接続するボトムゲートドライバと、トップゲート制御線と接続するトップゲートドライバを備え、前記ボトムゲート制御線が前記トップゲート制御線に遅れて走査を開始するとき、前記第2の切り替え用薄膜トランジスタに対応する各受光素子にはその遅れ分の選択周期分の検出状態が与えられ、ボトムゲート走査からトップゲート走査の遅れ行数分が蓄積時間となることを特徴する。
【0019】
の態様は、1乃至3の態様のいずれかに記載の画像読取装置において、
前記2次元イメージセンサアレイと前記切り替え回路又は前記第1及び第2の切り替え回路とは、同一基板上に形成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
大容量のセンサエリアを、少ない端子数のドライバLSIで制御する事が可能となり、ドライバLSIのローコストが実現すると共に、1つのドライバで多様なサイズのセンサエリアに対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】(a)は本発明の第1の実施形態に係る画像読取装置を内蔵したスマートフォンもしくはタブレットPCケースの、嵌合部側から見た、スマートフォンもしくはタブレットPCケース未実装状態の概略図であり、(b)は本発明の第1の実施形態に係る画像読取装置の画像読取側からみた概略図であり、(c)はスマートフォンもしくはタブレットPCの概略図であり、(d)は本発明の第1の実施形態に係る画像読取装置を内蔵したスマートフォンもしくはタブレットPCケースがスマートフォンもしくはタブレットPCと嵌合した状態であり、スマートフォンもしくはタブレットPCの表示側から見た概略図であり、(e)は(d)のA−A’断面図である。
図2】(a)本発明の第1の実施形態に係る画像読取装置の光源部側から見た概略図であり、(b)はその側面図であり、(c)はその読取部側から見た概略図である。
図3】(a)は本発明の第1の実施形態に係る画像読取装置が被読取媒体上画像を読取っている状態を示す図であり、(b)は(a)のA−A’断面図である。
図4】トップ読込型読取部の詳細な断面図である。
図5】受光素子の一例であるダブルゲートトランジスタの等価回路図である。
図6】トップ読込型読取部のトップ読込受光素子の詳細な構造を示す図である。
図7】ダブルゲートトランジスタを用いた4行×4列のイメージセンサの概略回路図である。
図8】読出しゲート周期内で繰り返すデータドライバのシークエンス図である。
図9】TFTによる切り替え回路部のTFT回路図である。
図10】48列データ×48行走査のセンシングアレイエリアにおいて、TFTによる切り替え回路を設けデータ列を6分割して読み込む構成図である。
図11】48列データ×48行走査のセンシングエリアにおいて、TFTによる切り替え回路を設けデータ列を6分割してディスチャージもしくはプリチャージする構成図である。
図12】48列データ×48行走査のセンシングアレイエリアにおいて、TFTによる切り替え回路を設けデータ列を6分割して入出力制御する構成図である。
図13】48列データ×48行走査のセンシングアレイエリアにおいて、TFTによる切り替え回路を設け走査行を6分割して制御する構成図である。
図14】48列データ×48行走査のセンシングアレイエリアにおいて、TFTによる切り替え回路を設けデータ列を6分割して入出力制御すると共に、TFTによる切り替え回路を設け走査行を6分割して制御する構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<第1の実施形態>
以下に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0023】
[画像読取方法]
図4に、トップ読込型読取部202のより詳細な断面構造を示す。303は透明薄型基板であり、基板との接合面を光入射面とする受光素子302が、透明薄型基板303を挟んで被読取媒体204に対向している。301は読取部の一部である透明な保護層であり、光源部203に接している。光源から出射した光304は、透明保護層301を透過し、受光素子302を含む基板上の遮光物の間隙を通過し、被読取媒体204表面に到達後、被読取媒体204表面の描画物に起因した反射光305を生じ検出光として受光素子302に入射する。
【0024】
[ダブルゲート方式薄膜トランジスタ(DGTr)の等価回路]
図4に示す受光素子302はDGTrであり、図5にその等価回路図を示す。DGTrは4端子素子であり、トップゲート端子410、ボトムゲート端子413、ソースまたはドレイン端子411、412から構成される。ソースとドレインの属性は相対的な電位で決まり、ゲート電流を構成する主たるキャリアが電子の場合、相対的に負電位の端子がソースとなり、ゲート電流を構成する主たるキャリアが正孔の場合、相対的に正電位の端子がソースとなる。図4に示すDGTrはアモルファスSiTFTを用いており、主たるキャリアは電子であり、nch型トランジスタとなる。
【0025】
[トップ読込DGTrの構造]
図6に、トップ読込型読取部のトップ読込DGTrの構造を説明する。チャンネルを構成するa−Si半導体層403を挟んで基板側にボトムゲート電極401と対向してトップゲート電極408を有する。a−Si半導体層403とブロッキングレイヤー絶縁膜404の界面領域は、受光素子が光検出状態においてトップゲート電極が加える負電界が形成する感光部となる。a−Si半導体層403のボトムゲート絶縁膜402の界面領域は、受光素子がデータ読出し状態において時ボトムゲート電極から加える正電界が形成するチャンネル部となる。
【0026】
406はソースまたはドレイン電極であり、オーミックコンタクト層405を介しa−Si半導体層403に接続している。読出し状態において形成されるチャンネル部は、ソースとドレイン電極を電気的に接続する。
【0027】
トップゲート電極409及び、透明薄型基板303、ボトムゲート絶縁膜402、オーバーコート絶縁膜407、保護膜409、ブロッキングレイヤー絶縁膜404は透明であり、ボトムゲート電極401は不透明であり、光源部203から入射した光は被読取媒体204の反射光として感光部に入射する。
【0028】
[アルゴリズム:ゲートドライバ動作]
図7に、DGTrを用いた、4行×4列のイメージセンサの概略回路図を示す。
【0029】
図7において、414はデータドライバ、415はボトムゲートドライバ、416はトップゲートドライバ、417はデータ線、418はボトムゲート制御線、419はトップゲート制御線、420はソース線、421は蓄積容量を示す。
【0030】
イメージセンサは以下に説明するように動作する。イメージセンサは、ボトムゲート制御線418とトップゲート制御線419を有し、同一方向に異なるタイミングで走査を行なう。ボトムゲート制御線418、トップゲート制御線419とも1行当たりの占有時間は等しく、この値をゲート周期と呼ぶ。
【0031】
ボトムゲート制御線418は受光素子の行列に対し第1行から第4行に向って読出し状態を走査し、読出後は逐次非読出し状態に移行する。トップゲート制御線419は受光素子の行列に対し第1行から第4行に向って初期化状態を走査し、初期化後は逐次検出状態に移行する。初期化状態と読出し状態の設定周期は同一であり、行選択周期と呼ぶ。故に4行のイメージセンサの走査は、7行選択周期の時間で終了する。
【0032】
図7では、ボトムゲート制御線418はトップゲート制御線419に3行遅れて走査を開始している。この時、各受光素子には3行選択周期分の検出状態が与えられており、周期の合計期間を蓄積時間と呼ぶ。そのため、ボトムゲート走査からトップゲート走査の遅れ行数分が蓄積時間となり、蓄積時間を長く取ることで受光素子の感度を高める事ができる。
【0033】
走査中に受光素子302は、読出し/検出状態302a,非読出し/検出状態302b,非読出し/初期化状態302cの3状態を経る。
【0034】
次に、半導体層403にa−Siを用いたnch型TFT受光素子の動作原理を説明する。非読出し/検出状態302bにおいて、受光素子にはトップゲート−15V、ボトムゲート0Vがバイアスされている。トップゲートの−15Vは半導体部403にブロッキングレイヤー絶縁膜404からボトムゲート絶縁膜402に向かって空乏層を生じる。同時に露光量に応じてa−Si半導体層403内部には光励起した電子・正孔対が生じ、直ちに正電荷を有する正孔はトップゲート−15Vに引かれ、ブロッキングレイヤー絶縁膜404内に捕獲され、同絶縁膜中に正の固定電荷を生じる。同時に正の固定電荷はトップゲート−15Vを相殺し、空乏層を縮小する。空乏層のサイズは露光量の増大に伴い縮小する。
【0035】
読出し/検出状態302aにおいて、受光素子302にはトップゲート−15V,ボトムゲート+15Vがバイアスされている。ボトムゲート+15Vは半導体層のボトムゲート絶縁膜界面にチャンネル部形成し、ソースとドレインを電気的に接続する。よってボトムゲート制御線から+15Vが与えられた行の各画素は受光素子が検出値をデータドライバに送る事ができる。
【0036】
この時形成するチャンネル部のサイズは、トップゲート−15Vが生成する空乏層の影響を受ける。即ち、露光増大に従いトップゲート電界が形成する空乏層は縮小し、ボトムゲート電界が形成するチャンネルは広がり、ソースとドレイン間の抵抗は減少する。この抵抗値変化がイメージセンサの出力値となる。
【0037】
非読出し/初期化状態302cにおいて、受光素子302にはトップゲート+15V,ボトムゲート0Vがバイアスされている。この時トップゲート+15Vにより、ブロッキングレイヤー絶縁膜404内の正の固定電荷が掃き出される。
【0038】
[アルゴリズム:データドライバ動作]
図8に、読出しゲート周期内で繰り返すデータドライバのシークエンスを説明する図を示す。
【0039】
データドライバ入出力端子は、読出しゲート周期で、ディスチャージ0V設定、ハイインピーダンス(Hi−z)プリチャージ5V設定、プリチャージ、Hi−zおよびサンプルホールド(電圧取得)シークエンスを繰り返す。
【0040】
データドライバ入出力端子は、読出し状態の直前に蓄積容量421へ5Vのプリチャージを行ない、続いて読出し状態の開始に同期しプリチャージを終了し、Hi−zとなる。同時に受光素子302のチャンネルが開かれる為、蓄積容量421に蓄えられた5Vの電荷はソース線に向かいディスチャージを始める。ディスチャージの速度はチャンネルの抵抗値に依存する為、サンプルホールド期間では露光量の違い依存した電圧が取得される。
【0041】
[データ列分割]
図9に、本発明の第1の実施形態に係る画像読取装置の、TFTによる切り替え回路部のTFT回路図を示す。本実施形態では、6本の制御線502とTFTによる切り替え回路501を用いることで、データドライバ414に接続するセンサアレイエリアをAからFに逐次入力を切り替えることが可能になる。すなわち、制御線502−1〜502−6の各々は、エリアA〜Fに対応するそれぞれ異なる8つのTFTのゲートに並列接続されており、データドライバ414の8つの端子の各々は、エリアA〜Fに対応する6つのTFTのソースまたはドレインと接続されている。これにより、例えば制御線502−1を選択すると、データドライバ414の8つの端子をエリアAの8本のデータ線とのみ接続することができる。
【0042】
本発明の第1の実施形態に係る画像読取装置では、このようなTFTによる切り替え回路501を用いることで、8端子のデータドライバ414で、48列データ×48行走査のセンサアレイエリアにおいて、データ列を6エリア分割した読み込みを行い(図10)、センサアレイエリアの電圧をサンプルホールドしAD変換することができる(図8のB領域)。また、データドライバ414は、データドライバ側がセンサアレイエリアに対し電圧を送り(図11)、データラインのディスチャージ、プリチャージを行うことができる(図8のA領域)。
【0043】
このように、図9に示すTFTによる6グループ切り替え回路501は、図12に示すようにデータドライバ端子に対し、入出力両方の制御に利用することができ、8端子のデータドライバ414により、48列のデータ入出力を可能とする。
【0044】
<第2の実施形態>
[走査行分割]
図13に、本発明の第2の実施形態に係る画像読取装置において、48列データ×48行走査のセンシングアレイエリアにおいて、TFTによる切り替え回路を設け、走査行を6エリア分割して制御する構成図を示す。第1の実施形態と同様のTFTによる切り替え回路501を、ボトムゲートドライバ415、トップゲートドライバ416とセンサアレイとの間にそれぞれ設ける。
【0045】
このようにTFTによる6グループ切り替え回路501を用いることで、8端子の走査ドライバであるボトムゲートドライバ415とトップゲートドライバ416により、48行のダブルゲート走査が可能となる。
【0046】
尚、ボトムゲートドライバ415とトップゲートドライバ416は図7で説明した様に連携して動作を行うため、同時に同一のエリアの指定を行う。
【0047】
<第3の実施形態>
[データ列・走査行分割]
図14に、本発明の第3の実施形態に係る画像読取装置において、48列データ×48行走査のセンシングアレイエリアにおいて、TFTによる切り替え回路を設けデータ列と走査行をそれぞれ6エリア分割して制御する構成図を示す。第1および第2の実施形態と同様のTFTによる切り替え回路501を、データドライバ414、ボトムゲートドライバ415およびトップゲートドライバ416とセンサアレイとの間にそれぞれ設ける。
【0048】
このようにTFTによる6グループ切り替え回路501を同時に3つ用いることでセンサアレイを36エリアに分割し、8端子のデータドライバ414、ボトムゲートドライバ415およびトップゲートドライバ416により、48列のデータ入出力と48行のダブルゲート走査が可能となる。
【0049】
以上、本発明の代表的な第1〜3の実施形態を詳述してきたが、実際には、上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の変更があっても本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0050】
101 画像読取装置
201 制御部
202 画像読取部
203 光源部
204 被読取媒体
209 表示部
211 スマートフォン又はタブレットPCなどの携帯端末
212 スマートフォン又はタブレットPCのケース
301 透明保護層
302 受光素子
302a 受光素子 読出し/検出状態
302b 受光素子 非読出し/検出状態
302c 受光素子 非読出し/初期化状態
303 透明薄型基板
304 光源出射光
305 媒体反射光
401 ボトムゲート電極
402 ボトムゲート絶縁膜
403 半導体層
404 ブロッキングレイヤー絶縁膜
405 オーミックコンタクト層
406 ソース又はドレイン電極
407 オーバーコート絶縁膜
408 トップゲート電極
409 保護膜
410 トップゲート端子
411 ソース又はドレイン端子
412 ソース又はドレイン端子
413 ボトムゲート端子
414 データドライバ
415 ボトムゲートドライバ
416 トップゲートドライバ
417 データ線
418 ボトムゲート制御線
419 トップゲート制御線
420 ソース線
421 蓄積容量
501 TFTによるエリア切り替え回路
502 データ列エリア切り替え制御線
502−1 Aエリア選択線
502−2 Bエリア選択線
502−3 Cエリア選択線
502−4 Dエリア選択線
502−5 Eエリア選択線
502−6 Fエリア選択線
503 センサアレイエリア
図1
図2
図3
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図5
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図8
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図10
図11
図12
図13
図14