(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、交通量の多い道路に停車した場合、そのドアの側方を絶えず車両が通過することになる。つまり、このような状態で上記のような開動作制限が実行されることにより、そのドアを開けることができないままとなる可能性が生ずる。そして、従来技術の構成では、このような場合、結局のところ、その開動作制限を無視して強引にドアを開けざるを得なくなるという問題があることから、この点において、なお改善の余地を残すものとなっていた。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、高い安全性を確保しつつ、より利便性に優れた車両用ドア装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する車両用ドア装置は、車両のドアに接近する移動体を検知する移動体検知部と、前記車両内の乗員によるインサイドドアハンドルを用いたドア開操作を検知するドア開操作検知部と、前記移動体の接近が検知されている場合に前記インサイドドアハンドルを用いたドア開操作に基づく前記ドアの開動作を制限するドア開動作制限部と、前記ドアの開動作が制限される状態において、予め定められた複数回の前記インサイドドアハンドルを用いたドア開操作が検知された場合に、該ドア開操作に基づいた前記ドアの開動作を許可するドア開動作許可部と、を備える
車両用ドア装置であって、前記ドア開操作の検知回数を計測するカウンタを備えるとともに、前記カウンタの前記ドア開操作の検知回数のインクリメント処理は、前記ドア開操作検知部による検知結果に基づき前記ドア開操作が検知されているか否かを判定する判定処理、及び前回の前記ドア開操作を検知してから所定時間が経過しているか否かを判定する判定処理の後に行われ、前記インクリメント処理において、前記カウンタは、両判定処理の判定結果に基づき前回の前記ドア開操作を検知してから所定時間の経過後に新たな前記ドア開操作が検知されたと判定された場合に、前記検知回数をインクリメントする。
【0007】
上記構成によれば、開動作する車両のドアと当該ドアに接近する移動体との接触を回避して高い安全性を確保しつつ、車両内の乗員が必要とする場合には、容易に、その開動作制限を解除して、円滑に、そのドアを開けることができる。そして、これにより、乗員の利便性を向上させることができる。
【0008】
上記構成によれば、例えば、車両内の乗員が急いでドアを開けようとして、短時間に繰り返しドア開操作を行った場合にも、そのドアの開動作制限が継続される。即ち、ドア開操作を行う乗員を一度落ち着かせることで、より効果的に、その車両のドアに移動体が接近していることを知らしめ、この移動体に注意を払うように促すことができる。そして、これにより、より高い安全性を確保することができる。
上記課題を解決する車両用ドア装置は、前記乗員による安全確認行動を検知する安全確認行動検知部を備え、前記ドア開動作許可部は、前記安全確認行動が検知されていることを条件に前記ドアの開動作を許可することが好ましい。
【0009】
上記構成によれば、高い安全性を確保しつつ、乗員の利便性を向上させることができる。
上記課題を解決する車両用ドア装置は、前記ドア開動作許可部は、前記ドア開操作の検知回数が第1の所定回数に達した場合には、前記安全確認行動が検知されていることを条件に前記ドアの開動作を許可し、前記ドア開操作の検知回数が前記第1の所定回数よりも多い第2の所定回数に達した場合には、前記安全確認行動が検知されていなくても前記ドアの開動作を許可することが好ましい。
【0010】
上記構成によれば、より高い安全性を確保しつつ、乗員の利便性を更に向上させることができる。
上記課題を解決する車両用ドア装置は、前記ドア開動作制限部は、前記ドア開操作の検知回数が所定の切替回数に到達するまで、前記ドアの開動作を禁止するドア開動作禁止部と、前記ドア開操作の検知回数が前記切替回数に到達した後において、前記ドアの開度を制限するドア開度制限部と、を備えることが好ましい。
【0011】
上記構成によれば、そのドア開動作制限の内容変化によって、より効果的に、その車両のドアに移動体が接近していることを知らしめ、この移動体に注意を払うように促すことができる。そして、これにより、より高い安全性を確保することができる。
【0014】
上記課題を解決する車両用ドア装置は、前記ドアの開動作が制限される状態において、前記ドア開操作を検知した場合に警告出力を実行する警告出力部を備えるとともに、前記警告出力には、前記車両の外部に向けた車外警告出力が含まれることが好ましい。
【0015】
上記構成によれば、車両のドアに接近する移動体の運転者に対し、このドアが開動作する可能性がある旨を警告することができる。そして、これにより、より高い安全性を確保することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、高い安全性を確保しつつ利便性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、車両用ドア装置の一実施形態を図面に従って説明する。
図1及び
図2に示すように、本実施形態の車両1は、所謂4ドアセダンとしての構成を有している。即ち、この車両1は、車体2の側面に設けられたドア開口部3を開閉する4枚のドア10を備えている。そして、本実施形態の車両1は、これらの各ドア10が、それぞれ、その車両の室内に設けられた各座席11の側方で開閉動作する構成になっている。
【0019】
具体的には、本実施形態の車両1において、各ドア10は、それぞれ、スイングドアとしての構成を有している。即ち、これらの各ドア10は、それぞれ、その前端部12側がヒンジ13を介して車体2に支持されている。そして、それぞれ、このヒンジ13周りに回動することにより、そのドア10が設けられた位置においてドア開口部3を開閉する構成になっている。
【0020】
また、
図2に示すように、本実施形態のドア10には、それぞれ、そのドア10の開動作を禁止することが可能なドアロック装置21と、そのドア10の開度、即ちスイングドアとして構成された当該ドア10の開動作角度θを制御可能なドアチェック装置22が設けられている。更に、本実施形態のドア10においては、これらのドアロック装置21及びドアチェック装置22の作動がドアECU30により制御されている。そして、本実施形態では、これにより、その各ドア10の開閉動作を制御するドア制御装置31が形成されている。
【0021】
詳述すると、本実施形態のドアロック装置21は、ドア10に設けられたインサイドドアハンドル32及びアウトサイドドアハンドル(図示略)の何れかが操作されることにより、そのドア10を全閉位置に拘束するラッチ機構21aの係合状態を解除することが可能になっている。また、本実施形態の車両1において、ドアECU30には、車内ネットワーク33を介して、そのドア10に設けられた図示しない操作入力部、或いは携帯機(電子キー)に対する操作入力を示す操作入力信号Scが入力される。そして、本実施形態のドアECU30は、この操作入力信号Scに基づいて、そのドアロック装置21の作動を制御する。
【0022】
即ち、本実施形態のドアロック装置21は、ドアECU30に制御されることにより、ドアハンドルに対する操作入力によってもラッチ機構21aの係合状態を解除しないロック状態に移行する。そして、同じく、ドアECU30に制御されることにより、そのドアハンドルの操作によりラッチ機構21aの係合状態を解除することが可能なアンロック状態に移行する構成になっている。
【0023】
尚、本実施形態のドアロック装置21は、ドア10に設けられた図示しないシリンダキーが操作されることによってもロック状態に移行する。そして、そのドアロック操作とは逆向きにシリンダキーが操作されることにより、そのアンロック状態に移行する構成になっている。
【0024】
また、本実施形態のドアECU30には、車速Vやイグニッション信号Sig等の車両状態量が入力されるようになっている。そして、本実施形態のドアECU30は、例えば、車速Vが所定速度を超えた場合に、その各ドア10に設けられたドアロック装置21をロック状態に制御する等の自動制御を行う構成になっている。
【0025】
更に、本実施形態のドアECU30には、車両1の周囲を監視する車両周囲監視装置34の出力信号Sar、車内カメラ35の出力信号Src、及び各ドア10に設けられた近接センサ36の出力信号Sts等が入力されるようになっている。そして、本実施形態のドアECU30は、これら各種装置の出力信号及び上記車両状態量に基づいて、そのドアロック装置21及びドアチェック装置22の作動を制御する構成になっている。
【0026】
具体的には、
図3に示すように、本実施形態の車両1には、車両周囲監視装置34として、車両1の前方及び後方を監視するレーダー装置37が設けられている。また、車内カメラ35は、車室内の天井部分に設けられている。そして、
図1に示すように、本実施形態の車両1には、車両周囲監視装置34として、その車体2の各コーナー部に、それぞれ、そのコーナー部に接近した物体を検知可能なコーナーセンサ38が設けられている。
【0027】
更に、本実施形態のドアECU30は、例えば、その車両周囲監視装置34の出力信号Sarや近接センサ36の出力信号Stsに基づいて、開動作するドア10の障害物を検知する。そして、この障害物との接触を避けるべく、上記ドアチェック装置22の作動を制御して、そのドア10の開動作角度θを制限する構成になっている。
【0028】
(ドア開動作安全制御)
次に、本実施形態のドアECU30が実行するドア開動作安全制御について説明する。
図4に示すように、本実施形態のドアECU30は、車両周囲監視装置34の出力信号Sarに基づいて、その車両のドア10に接近する移動体、詳しくは、各ドア10の側方を通過する車両やバイク等を検知する移動体検知部41を備えている。また、ドアECU30は、インサイドドアハンドル32の近傍に設けられた近接センサ36(
図2参照)の出力信号Stsに基づいて、その側方の座席11に着座する車両内の乗員H(
図3参照)が行うドア10を開動作させるためのドア開操作を検知するドア開操作検知部42を備えている。更に、このドアECU30は、車内カメラ35の出力信号Src、詳しくは、そのドア開操作を行う乗員Hの撮影画像に基づいて、この乗員Hがドア開操作を行う際に行う安全確認行動、例えば、乗員Hが後方を目視するために振り返る等、車両周辺の状況を確かめる動作を検知する安全確認行動検知部43を備えている。そして、本実施形態のドアECU30は、これら各検知制御部(41〜43)による検知結果Vam,Vdo,Vsaに基づいて、車内の乗員Hが安全にドア開操作を行うことができるよう、ドアロック装置21の作動を制御して、そのドア開操作によるドア10の開動作を制限し、及びその開動作を許可するドア開操作安全制御部44を備えている。
【0029】
詳述すると、本実施形態のドア開操作安全制御部44は、上記移動体検知部41により移動体の接近が検知されている場合には、その車両内の乗員Hによるドア開操作に基づいたドア10の開動作を制限する。具体的には、ドア開動作制限部としてのドア開操作安全制御部44は、ドア10に設けられたドアロック装置21をロック状態に移行させるべく、そのドアECU30がドアロック装置21に出力する制御信号S1を生成する。そして、本実施形態のドア制御装置31は、これにより、そのドア10の開動作を禁止する。つまり、車両内の乗員Hがインサイドドアハンドル32を操作しても、ドア10が開動作しないようにすることで、そのドア10に接近する移動体との接触を回避する構成になっている。
【0030】
また、本実施形態のドア開操作安全制御部44は、このようなドア10に接近する移動体が検知されている状態、即ちドア10の開動作が制限される状態においても、予め定められた複数回のドア開操作が検知された場合には、その車両内の乗員Hによるドア開操作に基づいたドア10の開動作を許可する。つまり、ドア開動作許可部としてのドア開操作安全制御部44は、ドア10に設けられたドアロック装置21をアンロック状態に移行させるべく、そのドアECU30がドアロック装置21に出力する制御信号S1を生成する。そして、本実施形態のドア制御装置31は、これにより、高い安全性を確保しつつ、ドア開操作を行う車両内の乗員Hが必要と考える場合には、その開動作制限を解除して、円滑にドア10を開けることが可能となっている。
【0031】
具体的には、
図5のフローチャートに示すように、本実施形態のドアECU30において、ドア開操作安全制御部44は、上記移動体検知部41による検知結果Vamに基づいて、車両のドア10に対して移動体が接近しているか否かを判定する(ステップ101)。また、ドア開操作安全制御部44は、ドア開操作検知部42による検知結果Vdoに基づいて、車両内の乗員Hによるドア開操作が検知されているか否かを判定する(ステップ102)。更に、このドア開操作安全制御部44は、検知回数計測用のカウンタ44aを備えている(
図4参照)。そして、本実施形態のドア開操作安全制御部44は、ドア10に対して移動体が接近していると判定し(ステップ101:YES)、且つ車両内の乗員Hによるドア開操作が検知されていると判定した場合(ステップ102:YES)に、そのカウンタ44aをインクリメントする構成になっている(N=N+1、ステップ103)。
【0032】
次に、ドア開操作安全制御部44は、その乗員Hにより行われたドア開操作が「一回目」、つまり、その検知回数Nが「1回」であるか否かを判定する(ステップ104)。そして、ドア開操作の検知回数Nが「1回」である場合(N=1、ステップ104:YES)には、ドア10に対して移動体が接近している旨の警告出力を実行するとともに(ステップ105)、ドアロック装置21をロック状態に移行させることにより、そのドア10の開動作を禁止する(ドアロック、ステップ106)。
【0033】
尚、
図2及び
図3に示すように、本実施形態の車両1には、その車両内の前部及び後部に、それぞれ、警報装置50を構成するスピーカー51やインジケータ52等が設けられている。そして、本実施形態のドア開操作安全制御部44は、これらの各警報装置50にドアECU30が出力する制御信号S2を生成することにより、そのドア10の開動作を制限する場合に警告出力を行う警告出力部として機能する構成になっている。
【0034】
また、
図5に示すように、本実施形態のドア開操作安全制御部44は、上記ステップ104において、ドア開操作の検知回数Nが「1回」ではないと判定した場合(ステップ104:NO)、続いて、その乗員Hにより行われたドア開操作が「二回目」、つまり、その検知回数Nが「2回」であるか否かを判定する(ステップ107)。更に、ドア開操作安全制御部44は、このステップ107において、ドア開操作の検知回数Nが「2回」である場合(N=2、ステップ107:YES)には、上記安全確認行動検知部43による検知結果Vsaに基づいて、そのドア開操作を行う乗員Hによる安全確認行動が検知されているか否かを判定する(ステップ108)。そして、乗員Hによる安全確認行動が検知されていると判定した場合(ステップ108:YES)には、カウンタ44aをクリアして(N=0、ステップ109)、ドアロック装置21をアンロック状態に移行させることにより、その乗員Hによるドア開操作に基づいたドア10の開動作を許可する(ドアロック解除、ステップ110)。
【0035】
一方、上記ステップ108において、乗員Hによる安全確認行動が検知されていないと判定した場合(ステップ108:NO)、本実施形態のドア開操作安全制御部44は、上記ステップ104において、そのドア開操作が「一回目」であると判定した場合(ステップ104:YES)と同じく、上記ステップ105及びステップ106の処理を実行する。そして、これにより、引き続き、警告出力を実行し、及び、そのドア10の開動作を制限(禁止)する構成になっている。
【0036】
即ち、本実施形態のドア開操作安全制御部44は、ドア10に接近する移動体を検知、即ちドア10の開動作が制限される状態においても、ドア開操作の検知回数Nが「第1の所定回数」として予め設定された「2回」に達した場合には、そのドア開操作を行う乗員Hによる安全確認行動が検知されていることを条件に、ドア10の開動作を許可する。そして、本実施形態のドア制御装置31においては、これにより、高い安全性を確保するとともに、その利便性の向上が図られている。
【0037】
また、本実施形態のドア開操作安全制御部44は、上記ステップ107において、ドア開操作の検知回数Nが「2回」ではないと判定した場合(ステップ107:NO)、即ち、その検知回数Nが「第2の所定回数」として予め設定された「3回」に達した場合には、上記ステップ108を実行しない。そして、上記ステップ109及びステップ110を実行することにより、その乗員Hによるドア開操作に基づいたドア10の開動作を許可する構成になっている。
【0038】
尚、ドア開操作安全制御部44は、上記ステップ102において、車両内の乗員Hによるドア開操作が検知されていないと判定した場合(ステップ102:NO)には、上記ステップ103以降の処理を実行しない。そして、上記ステップ101において、移動体が接近していないと判定した場合(ステップ101:NO)には、上記ステップ102〜ステップ108の各処理を実行することなく、上記ステップ109及びステップ110を実行する構成になっている。
【0039】
以上、本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)ドアECU30は、車両のドア10に接近する移動体を検知する移動体検知部41と、車両内の乗員Hよるドア開操作を検知するドア開操作検知部42と、を備える。また、ドアECU30は、これら移動体検知部41及びドア開操作検知部42による検知結果Vam,Vdoに基づいて、車両内の乗員Hによるドア開操作に基づいたドア10の開動作を制限し、及びその開動作を許可するドア開操作安全制御部44を備える。具体的には、ドア開動作制限部としてのドア開操作安全制御部44は、ドア10に接近する移動体が検知されている場合には、その車両内の乗員Hによるドア開操作に基づいたドア10の開動作を制限する。そして、ドア開動作許可部としてのドア開操作安全制御部44は、ドア10に接近する移動体が検知されている状態、即ちドア10の開動作が制限される状態においても、予め定められた複数回のドア開操作が検知された場合には、その車両内の乗員Hによるドア開操作に基づいたドア10の開動作を許可する。
【0040】
上記構成によれば、開動作する車両のドア10と当該ドア10に接近する移動体との接触を回避して高い安全性を確保しつつ、車両内の乗員Hが必要とする場合には、容易に、その開動作制限を解除して、円滑に、そのドア10を開けることができる。そして、これにより、乗員の利便性を向上させることができる。
【0041】
(2)ドアECU30は、車両内の乗員Hによる安全確認行動を検知する安全確認行動検知部43を備える。また、ドア開操作安全制御部44は、移動体の接近を検知、即ちドア10の開動作が制限される状態において、その車両内の乗員Hによるドア開操作の検知回数Nが「第1の所定回数」として予め設定された「2回」に達した場合には、そのドア開操作を行う乗員Hによる安全確認行動が検知されていることを条件に、ドア10の開動作を許可する。そして、車両内の乗員Hによるドア開操作の検知回数Nが「第2の所定回数」として予め設定された上記第1の所定回数(2回)よりも多い「3回」に達した場合には、乗員Hによる安全確認行動が検知されていなくても、そのドア開操作に基づいたドア10の開動作を許可する。これにより、高い安全性を確保しつつ、乗員Hの利便性を更に向上させることができる。
【0042】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、ドア10として4枚のスイングドアを備える車両1(所謂4ドアセダン)のドア制御装置31に具体化した。しかし、これに限らず、例えば、スライドドアや跳ね上げ式のドア等、他の形式のドア10を有する車両に適用してもよい。また、ドア10の枚数や配置等を含め、その適用対象となる車種についてもまた、任意に変更してもよい。
【0043】
・上記実施形態では、車両のドア10に接近する移動体を検知するための車両周囲監視装置34として、レーダー装置37及びコーナーセンサ38を用いることとした。しかし、これに限らず、例えば、カメラを用いて画像解析を行う等、その車両周囲監視装置34及び移動体検知部41の構成については、任意に変更してもよい。
【0044】
・また、上記実施形態では、インサイドドアハンドル32の近傍に設けられた近接センサ36の出力信号Stsに基づいて、車両内の乗員Hによるドア開操作を検知することとした。しかし、これに限らず、例えば、これについてもまた、カメラを用いて画像解析を行う等、そのドア開操作検知部42の構成については、任意に変更してもよい。
【0045】
・上記実施形態では、ドア開動作制限部としてのドア開操作安全制御部44は、車両のドア10に設けられたドアロック装置21をロック状態に制御することにより、そのドア10の開動作を制限(禁止)することとした。しかし、これに限らず、ドアチェック装置22の作動を制御して、ドア10の開動作角度θ、つまりはドア10の開度を制限することにより、そのドア開動作を制限する構成としてもよい。具体的には、この場合、ドア開操作安全制御部44は、そのドアECU30がドアチェック装置22に出力する制御信号S3を生成する(
図1及び
図4参照)。また、この場合におけるドア10の開度制限は、そのドア10から乗員Hが降車することができない程度に設定することが望ましい。そして、これにより、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0046】
・更に、
図2に示すように、ドア10の後端部にインジケータ53を設ける。そして、上記のような開度(開動作角度θ)が制限された状態でドア10が開動作した場合には、このインジケータ53を点灯させることにより、その車両1の外部に向けた車外警告出力を実行する構成にするとよい。
【0047】
即ち、このようなインジケータ53を点灯させることにより、車両1の後方からドア10に接近する移動体の運転者に対し、このドア10が開動作する可能性がある旨を警告することができる。そして、これにより、より高い安全性を確保することができる。また、車両1の外部に向けた車外警告出力の実行方法については、例えば、外部スピーカーから警告音を発する、ウィンカーやブレーキランプ、或いはフォグランプを点灯させる、更に、その点灯パターンを変化させる等、任意に変更してもよい。そして、これにより、スイングドア以外の型式のドア10を備える車両にも適用することができるとともに、車両1の前方から接近する移動体に対しても、その車外警告出力を行うことができる。
【0048】
・また、上記実施形態では、乗員Hによる安全確認行動が検知されていないと判定した場合、そのドア開操作が「一回目」であると判定した場合と同一の警告出力及びドア10の開動作制限(ドアロック)を行うこととした。しかし、これに限らず、一回目のドア開操作時と二回目のドア開操作時とで、その実行するドア10の開動作制限の内容を変化させる構成としてもよい。そして、その警告出力についてもまた、一回目のドア開操作時と二回目のドア開操作時とで、その内容を変化させる構成としてもよい。
【0049】
例えば、
図6に示すように、一回目のドア開操作時(ステップ204:YES)に実行する警告出力の内容を穏やかなものに設定するとともに(第1警告出力、ステップ205)、この場合には、上記実施形態と同様、ドアロック装置21をロック状態に制御することによりドア10の開動作を禁止する(第1ドア開動作制限、ステップ206)。これに対し、二回目のドア開操作時(ステップ208:NO)に実行する警告出力については、より強く警告する内容に設定する(第2警告出力、ステップ211)。そして、この場合には、上記別例のように、ドアチェック装置22の作動を制御して、ドア10の開度(開動作角度θ)を制限することにより、そのドア開動作を制限する構成とするとよい(第2ドア開動作制限、ステップ212)。
【0050】
尚、
図6のフローチャートにおけるステップ201〜ステップ204(ステップ203までは図示略)の各処理は、上記実施形態の処理手順を示す
図5のフローチャートにおけるステップ101〜ステップ104の各処理と同一である。そして、
図6のフローチャートにおけるステップ207〜ステップ210の各処理は、
図5のフローチャートにおけるステップ107〜ステップ110の各処理と同一である。
【0051】
つまり、この例において、ドア開動作制限部としてのドア開操作安全制御部44は、そのドア開操作の検知回数Nが所定の切替回数(2回)に到達するまで(一回目)、ドア10の開動作を禁止するドア開動作禁止部、及び、その検知回数Nが切替回数に到達した後(二回目)、そのドア10の開度を制限するドア開度制限部として機能する。このような構成を採用することで、より効果的に、そのドア10に移動体が接近していることを知らしめ、この移動体に注意を払うように促すことができる。そして、これにより、より高い安全性を確保することができる。
【0052】
・上記実施形態では、ドア10に接近する移動体が検知されている状態、即ちドア10の開動作が制限される状態で行われた車両内の乗員Hによるドア開操作の検知回数Nについて、「第1の所定回数」を「2回」に設定し、「第2の所定回数」を「3回」に設定する。そして、その検知回数Nが「第1の所定回数」に達した場合には、そのドア開操作を行う乗員Hによる安全確認行動が検知されていることを条件にドア10の開動作を許可し、「第2の所定回数」に達した場合には、乗員Hによる安全確認行動が検知されていなくても、そのドア開操作に基づいたドア10の開動作を許可することとした。
【0053】
しかし、これに限らず、これら「第1の所定回数」及び「第2の所定回数」は、任意に変更してもよい。尚、この場合においても、「第2の所定回数」には、「第1の所定回数」よりも多い回数が設定される。また、上記
図6のフローチャートに示す別例のように、ドア10の開動作制限の内容を切り替える構成の場合、その「切替回数」と「第1の所定回数」とが異なる構成であってもよい。そして、複数回のドア開操作が検知され、且つ乗員Hによる安全確認行動が検知されていることを、そのドア開操作の検知回数Nに関わらず、ドア10の開動作を許可するための条件とする構成としてもよい。
【0054】
・また、乗員Hによる安全確認行動の検知については、必ずしも、これを実行しなくともよい。このような構成としても、安全性を確保しつつ、乗員Hの利便性を向上させることができる。
【0055】
例えば、
図7のフローチャートに示すように、そのドア開操作が「二回目」であると判定した場合(ステップ307:YES)、安全確認行動の検知判定を行うことなく、警告出力を実行し(ステップ308)、ドア10の開動作制限を実行する(ステップ309)構成としてもよい。
【0056】
尚、
図7のフローチャートにおけるステップ301〜ステップ307(ステップ303までは図示略)の各処理は、
図6のフローチャートにおけるステップ201〜ステップ207(同じく、ステップ203までは図示略)の各処理と同一である。そして、
図7のフローチャートにおけるステップ310及びステップ311の各処理は、
図6のフローチャートにおけるステップ209及びステップ210の各処理と同一である。
【0057】
また、この例において、ステップ308における警告出力は、上記
図6のフローチャートに示す別例と同様、そのドア開操作が「一回目」である場合(ステップ304:YES)の警告出力(第1警告出力、ステップ305)とは、その内容が異なるもの(第2警告出力)となっている。そして、ステップ309における開動作制限についてもまた、そのドア開操作が「一回目」である場合のドア10の開動作制限(第1ドア開動作制限:ドアロック、ステップ306)とは、内容が異なるもの(第2ドア開動作制限:ドア開度制限)となっている。
【0058】
・更に、安全確認行動の検知判定を行わない構成、且つ、その乗員Hによるドア開操作の検知回数Nが、上記実施形態における「第2の所定回数」に相当する予め定められた複数回(例えば、三回目)に到達するまで、そのドア開操作が「一回目」である場合と同一の警告出力及びドア10の開動作制限(ドアロック)を行う構成であってもよい。そして、ドア開操作の検知回数Nが、その「第2の所定回数」に相当する複数回に到達した時点において、そのドア開操作に基づいたドア10の開動作を無条件に許可する構成としてもよい。
【0059】
・また、
図8のフローチャートに示すように、その車両内の乗員Hによるドア開操作の検知回数Nが、「一回目」である場合(ステップ404:YES)にも、安全確認行動の検知判定を実行する(ステップ405)。そして、乗員Hによる安全確認行動が検知されていると判定した場合(ステップ405:YES)には、そのドア開操作の検知回数Nが「1回」であっても、カウンタ44aをクリアして(N=0、ステップ410)、その乗員Hによるドア開操作に基づいたドア10の開動作を許可する構成としてもよい(ステップ411)。
【0060】
尚、
図8のフローチャートにおけるステップ401〜ステップ404(ステップ403までは図示略)の各処理は、上記実施形態の処理手順を示す
図5のフローチャートにおけるステップ101〜ステップ104の各処理と同一である。そして、
図8のフローチャートにおけるステップ406以降の各処理は、
図5のフローチャートにおけるステップ105以降の各処理と同一である。
【0061】
・更に、
図9のフローチャートに示すように、移動体の接近が検知されている状態、即ちドア10の開動作が制限される状態で(ステップ501:YES)、その車両内の乗員Hによるドア開操作の検知された場合(ステップ502:YES)に、前回のドア開操作を検知してから所定時間が経過しているか否かを判定する(ステップ503)。そして、前回のドア開操作を検知してから所定時間の経過後に新たなドア開操作が検知されたと判定した場合に(ステップ503:YES)、検知回数計測用のカウンタ44aをインクリメントする構成としてもよい(ステップ504)。
【0062】
尚、ステップ505以降の各処理については、例えば、上記実施形態の処理手順を示す
図5のフローチャートにおけるステップ104以降の各処理と同一にするとよい。また、上記各別例の処理手順を示す
図6のフローチャートにおけるステップ204以降の各処理、或いは、
図7のフローチャートにおけるステップ304以降の各処理と同一にしてもよい。そして、
図8のフローチャートにおけるステップ404以降の各処理と同一にしてもよい。
【0063】
上記構成によれば、例えば、車両内の乗員Hが急いでドア10を開けようとして、短時間に繰り返しドア開操作を行った場合にも、そのドア10の開動作制限が継続される。即ち、ドア開操作を行う乗員Hを一度落ち着かせることで、より効果的に、そのドア10に移動体が接近していることを知らしめ、この移動体に注意を払うように促すことができる。そして、これにより、より高い安全性を確保することができる。