(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記トレッド部には、さらに、前記ショルダー横溝の前記ショルダークランク部から、タイヤ周方向に隣接する前記ショルダー横溝の前記内側ショルダー横溝部まで、タイヤ周方向にのびる細溝が設けられている請求項8に記載の空気入りタイヤ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の空気入りタイヤは、ドライ性能、マッド性能及びノイズ性能のほかに、ウェット性能、雪上性能及び乗り心地性能を評価した場合、更なる改善の余地があった。
【0006】
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、オンロード性能、オフロード性能、乗り心地性能及びノイズ性能をバランスよく向上した空気入りタイヤを提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、トレッド部に、タイヤ周方向に連続してジグザグ状にのびる複数の主溝と、タイヤ軸方向にのびる複数の横溝とが設けられた空気入りタイヤであって、前記主溝は、タイヤ赤道の両側に配される一対のショルダー主溝を含み、前記横溝は、前記各ショルダー主溝からタイヤ軸方向外側のトレッド端までのびる複数のショルダー横溝を含み、前記ショルダー横溝の最大溝幅は、前記ショルダー主溝の最大溝幅の0.2〜0.6倍であることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る空気入りタイヤにおいて、前記主溝は、前記ショルダー主溝間に配される1本のクラウン主溝を含み、前記クラウン主溝のタイヤ軸方向のジグザグ振幅は、前記各ショルダー主溝のタイヤ軸方向のジグザグ振幅より大きいのが望ましい。
【0009】
本発明に係る空気入りタイヤにおいて、前記クラウン主溝のタイヤ周方向のジグザグピッチは、前記ショルダー主溝のタイヤ周方向のジグザグピッチに等しいのが望ましい。
【0010】
本発明に係る空気入りタイヤにおいて、前記クラウン主溝のタイヤ軸方向の最外部は、前記各ショルダー主溝のタイヤ軸方向の最内部に連通しているのが望ましい。
【0011】
本発明に係る空気入りタイヤにおいて、前記クラウン主溝は、タイヤ周方向に対して、一方に傾斜する第1クラウン傾斜部と、他方に傾斜する第2クラウン傾斜部とを有し、前記第1クラウン傾斜部及び前記第2クラウン傾斜部の溝幅は、それぞれ、前記ショルダー主溝の最小溝幅より小さいのが望ましい。
【0012】
本発明に係る空気入りタイヤにおいて、前記クラウン主溝は、タイヤ周方向に対して、一方に傾斜する第1クラウン傾斜部と、他方に傾斜する第2クラウン傾斜部とを有し、前記第1クラウン傾斜部には、タイヤ軸方向外側へのびかつ前記ショルダー主溝に連通することなく終端する一対の切欠き溝が形成されているのが望ましい。
【0013】
本発明に係る空気入りタイヤにおいて、前記切欠き溝は、前記第2クラウン傾斜部と同じ方向に傾斜しているのが望ましい。
【0014】
本発明に係る空気入りタイヤにおいて、前記切欠き溝の最大溝幅は、前記第1クラウン傾斜部の溝幅の0.6〜1.4倍であり、前記切欠き溝の前記第1クラウン傾斜部からの最大長さは、前記第1クラウン傾斜部の溝幅の0.8〜2.0倍であるのが望ましい。
【0015】
本発明に係る空気入りタイヤにおいて、前記各ショルダー横溝は、それぞれ、直線状の内側ショルダー横溝部と、鋭角部を有するショルダークランク部と、直線状の外側ショルダー横溝部とを有し、前記内側ショルダー横溝部と外側ショルダー横溝部とは、ショルダークランク部により連結されているのが望ましい。
【0016】
本発明に係る空気入りタイヤにおいて、前記トレッド部には、さらに、前記ショルダー横溝の前記ショルダークランク部から、タイヤ周方向に隣接する前記ショルダー横溝の前記内側ショルダー横溝部まで、タイヤ周方向にのびる細溝が設けられているのが望ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の空気入りタイヤにおいて、主溝は、タイヤ赤道の両側に配される一対のショルダー主溝を含み、横溝は、各ショルダー主溝からタイヤ軸方向外側のトレッド端までのびる複数のショルダー横溝を含んでいる。このような空気入りタイヤは、ショルダー主溝とショルダー横溝とにより、ウェット性能、マッド性能及び雪上性能を向上することができる。
【0018】
本発明の空気入りタイヤにおいて、ショルダー横溝の最大溝幅は、ショルダー主溝の最大溝幅の0.2〜0.6倍である。このような空気入りタイヤは、ショルダー横溝の最大溝幅が小さく、ショルダー領域のランド比を高めることができるので、ドライ性能及びノイズ性能を向上することができる。また、本発明の空気入りタイヤは、ショルダー主溝とショルダー横溝とがバランスよく配されているので、乗り心地性能を向上することができる。
【0019】
上述のように、本発明の空気入りタイヤは、ドライ性能とウェット性能とを含むオンロード性能、マッド性能と雪上性能とを含むオフロード性能、乗り心地性能及びノイズ性能をバランスよく向上することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1は、本実施形態の空気入りタイヤ(以下、単に「タイヤ」ということがある。)1のトレッド部2の展開図である。
図1に示されるように、本実施形態のタイヤ1は、そのトレッド部2に、タイヤ周方向に連続してジグザグ状にのびる複数の主溝3と、タイヤ軸方向にのびる複数の横溝4とが設けられている。トレッド部2には、これらの主溝3と横溝4とにより区分された複数のブロック5が形成されているのが望ましい。
【0022】
本実施形態の主溝3は、タイヤ赤道Cの両側に配される一対のショルダー主溝6と、ショルダー主溝6間に配される1本のクラウン主溝7とを含んでいる。ショルダー主溝6は、タイヤ赤道Cと一対のトレッド端Teとの間に、1本ずつ配されているのが望ましい。また、クラウン主溝7は、タイヤ赤道Cの一方側と他方側とに交互に位置するように配されているのが望ましい。
【0023】
ここで、「トレッド端」Teは、正規状態のタイヤ1に、正規荷重を負荷してキャンバー角0度で平面に接地させたときの最もタイヤ軸方向外側の接地位置として定められる。また、このトレッド端Te間のタイヤ軸方向の距離を、トレッド接地幅Wtという。
【0024】
「正規状態」とは、正規リムにリム組みし、正規内圧となるように充填され、かつ、無負荷の状態である。タイヤ1の各部の寸法等は、特に断りがない場合、この正規状態での値とする。
【0025】
「正規リム」とは、タイヤ1が基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば "標準リム" 、TRAであれば "Design Rim" 、ETRTOであれば "Measuring Rim" である。
【0026】
「正規内圧」とは、タイヤ1が基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば "最高空気圧" 、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE" とするが、タイヤ1が乗用車用である場合には180kPaとする。
【0027】
「正規荷重」とは、タイヤ1が基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMAであれば "最大負荷能力" 、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "LOAD CAPACITY" であるが、タイヤ1が乗用車用の場合には前記荷重の88%に相当する荷重とする。
【0028】
図2は、ショルダー主溝6の拡大図である。
図2に示されるように、本実施形態の各ショルダー主溝6は、それぞれ、タイヤ軸方向の最外部に位置する複数のショルダー外部8と、タイヤ軸方向の最内部に位置する複数のショルダー内部9とを有している。ショルダー外部8とショルダー内部9とは、タイヤ周方向に交互に配されているのが望ましい。ショルダー外部8及びショルダー内部9は、それぞれ、例えば、タイヤ周方向に直線状にのびている。
【0029】
本実施形態のショルダー外部8とショルダー内部9とは、略等しい溝幅を有している。ショルダー主溝6の最大溝幅W1は、ショルダー外部8又はショルダー内部9の溝幅であるのが望ましい。ショルダー主溝6の中で溝幅の最も大きい最大溝幅W1は、好ましくは、トレッド接地幅Wt(
図1に示す)の7%〜10%である。なお、ショルダー外部8及びショルダー内部9の溝幅が異なる場合、太い側の溝幅を最大溝幅W1とする。このようなショルダー主溝6を有するタイヤ1は、太いショルダー外部8及びショルダー内部9により、ウェット性能、マッド性能及び雪上性能を向上することができる。
【0030】
本実施形態のショルダー主溝6は、タイヤ周方向に対して、第1角度θ1で一方に傾斜する複数のショルダー第1傾斜部10と、第2角度θ2で他方に傾斜する複数のショルダー第2傾斜部11とを有している。ショルダー主溝6は、ショルダー第1傾斜部10及びショルダー第2傾斜部11により、ショルダー外部8とショルダー内部9とを連結することで、ジグザグ状に形成されているのが望ましい。
【0031】
ショルダー第1傾斜部10及びショルダー第2傾斜部11は、それぞれ、直線状にのびているのが望ましい。ショルダー第1傾斜部10の第1角度θ1は、好ましくは、30〜70度である。ショルダー第2傾斜部11の第2角度θ2は、好ましくは、30〜70度である。本実施形態では、ショルダー第1傾斜部10の第1角度θ1とショルダー第2傾斜部11の第2角度θ2とが、略等しいものが例示されている。
【0032】
本実施形態のショルダー第1傾斜部10とショルダー第2傾斜部11とは、略等しい溝幅を有している。ショルダー主溝6の中で溝幅の最も小さい最小溝幅W2は、ショルダー第1傾斜部10又はショルダー第2傾斜部11の溝幅であるのが望ましい。ショルダー主溝6の最小溝幅W2は、好ましくは、トレッド接地幅Wt(
図1に示す)の5%〜8%である。なお、ショルダー第1傾斜部10及びショルダー第2傾斜部11の溝幅が異なる場合、細い側の溝幅を最小溝幅W2とする。このようなショルダー第1傾斜部10とショルダー第2傾斜部11は、ショルダー主溝6の水の動きをスムーズにするとともに、排土性及び排雪性に優れている。
【0033】
ショルダー主溝6のタイヤ軸方向のジグザグ振幅L1は、好ましくは、トレッド接地幅Wt(
図1に示す)の5%〜9%である。ここで、ショルダー主溝6のジグザグ振幅L1は、ショルダー外部8の溝中心線とショルダー内部9の溝中心線とのタイヤ軸方向の距離である。本実施形態のショルダー主溝6のジグザグ振幅L1は、ショルダー主溝6の最大溝幅W1より小さいものが例示されている。このようなショルダー主溝6は、オンロード性能とオフロード性能とをバランスよく向上することができる。
【0034】
ショルダー主溝6のタイヤ軸周方向のジグザグピッチP1は、好ましくは、ショルダー主溝6のジグザグ振幅L1の2.0〜3.5倍である。ここで、ショルダー主溝6のジグザグピッチP1は、タイヤ周方向に繰り返される同一形状部分のうち、隣接する同一形状部分のタイヤ周方向の距離である。このようなショルダー主溝6は、タイヤ1の全周にわたり一定のジグザグピッチP1を有していてもよいし、タイヤ周方向で異なる複数のジグザグピッチP1を有していてもよい。
【0035】
図3は、クラウン主溝7の拡大図である。
図3に示されるように、本実施形態のクラウン主溝7は、タイヤ軸方向の一方の最外部に位置する複数のクラウン第1外部12と、タイヤ軸方向の他方の最外部に位置する複数のクラウン第2外部13とを有している。クラウン第1外部12とクラウン第2外部13とは、タイヤ周方向に交互に配されているのが望ましい。
【0036】
本実施形態のクラウン主溝7は、タイヤ周方向に対して、一方に傾斜する複数のクラウン第1傾斜部14と、他方に傾斜する複数のクラウン第2傾斜部15とを有している。クラウン主溝7、クラウン第1傾斜部14及びクラウン第2傾斜部15により、クラウン第1外部12とクラウン第2外部13とを連結することで、ジグザグ状に形成されているのが望ましい。
【0037】
クラウン第1傾斜部14は、直線状にのびかつその中心線が互いにオフセットしている一対のクラウン第1傾斜主部14Aと、各クラウン第1傾斜主部14Aを連結するクラウンクランク部14Bとを有しているのが望ましい。各クラウン第1傾斜主部14Aは、それぞれ、第3角度θ3での第3角度θ3で略平行にのびているのが望ましい。クラウン第1傾斜主部14Aの第3角度θ3は、好ましくは、30〜70度である。
【0038】
クラウン第2傾斜部15は、第4角度θ4で直線状にのびているのが望ましい。クラウン第2傾斜部15の第4角度θ4は、好ましくは、65〜85度である。本実施形態では、クラウン第2傾斜部15の第4角度θ4が、クラウン第1傾斜主部14Aの第3角度θ3より大きいものが例示されている。
【0039】
このようなクラウン第1傾斜部14及びクラウン第2傾斜部15を有するクラウン主溝7は、タイヤ軸方向成分が大きく、マッド路及び圧雪路において、高いトラクション性能を発揮することができるので、タイヤ1のオフロード性能を向上させ得る。
【0040】
本実施形態のクラウン第1傾斜主部14Aは、ショルダー主溝6の最小溝幅W2(
図2に示す)より小さい溝幅W3を有している。クラウン第1傾斜主部14Aの溝幅W3は、好ましくは、トレッド接地幅Wt(
図1に示す)の2%〜5%である。クラウン第1傾斜主部14Aは、クラウン第1外部12及びクラウン第2外部13との連結部において、その溝幅W3が拡幅しているのが望ましい。
【0041】
本実施形態のクラウン第2傾斜部15は、ショルダー主溝6の最小溝幅W2(
図2に示す)より小さい溝幅W4を有している。クラウン第2傾斜部15の溝幅W4は、クラウン第1傾斜部14の溝幅W3より小さいのが望ましい。クラウン第2傾斜部15の溝幅W4は、好ましくは、トレッド接地幅Wt(
図1に示す)の1%〜4%である。
【0042】
このようなクラウン第1傾斜部14及びクラウン第2傾斜部15を有するクラウン主溝7は、クラウン領域のランド比を高め、タイヤ1のドライ性能及びノイズ性能を向上させることができる。また、クラウン第1傾斜部14は、クラウン第1外部12及びクラウン第2外部13との連結部が拡幅しているので、排土性及び排雪性に優れている。
【0043】
クラウン主溝7のタイヤ軸方向のジグザグ振幅L2は、好ましくは、トレッド接地幅Wt(
図1に示す)の15%〜23%である。ここで、クラウン主溝7のジグザグ振幅L2は、クラウン第1外部12での溝中心線の最外点とクラウン第2外部13での溝中心線の最外点とのタイヤ軸方向の距離である。クラウン主溝7のジグザグ振幅L2は、各ショルダー主溝6のジグザグ振幅L1より大きいのが望ましい。このようなクラウン主溝7は、タイヤ軸方向成分が大きく、マッド路及び圧雪路において、高いトラクション性能を発揮することができるので、タイヤ1のオフロード性能を向上させ得る。
【0044】
クラウン主溝7のタイヤ軸周方向のジグザグピッチP2は、好ましくは、クラウン主溝7のジグザグ振幅L2の0.9〜1.3倍である。ここで、クラウン主溝7のジグザグピッチP2は、タイヤ周方向に繰り返される同一形状部分のうち、隣接する同一形状部分のタイヤ周方向の距離である。クラウン主溝7のジグザグピッチP2は、ショルダー主溝6のジグザグピッチP1(
図2に示す)に略等しいのが望ましい。
【0045】
クラウン主溝7は、タイヤ1の全周にわたり略一定のジグザグピッチP2を有していてもよいし、タイヤ周方向で異なる複数のジグザグピッチP2を有していてもよい。クラウン主溝7がタイヤ周方向で異なる複数のジグザグピッチP2を有する場合、ショルダー主溝6も複数のジグザグピッチP1(
図2に示す)を有するのが望ましい。このとき、クラウン主溝7の各ジグザグピッチP2は、ショルダー主溝6の各ジグザグピッチP1に略等しいのが望ましい。
【0046】
本実施形態のクラウン第1傾斜部14には、タイヤ軸方向外側へのびかつショルダー主溝6に連通することなく終端する一対の切欠き溝16が形成されている。各切欠き溝16は、それぞれ、一対のクラウン第1傾斜主部14Aからタイヤ赤道Cを横切らない方向へのびているのが望ましい。本実施形態の一対の切欠き溝16は、その中心線が互いにオフセットしている。
【0047】
このような切欠き溝16は、路面に雪柱を作りながら走行できるので、雪上性能を向上させることができる。また、一対の切欠き溝16は、その中心線が互いにオフセットしているので、舗装路での乗り心地性能及びノイズ性能に優れている。
【0048】
各切欠き溝16は、タイヤ周方向に対して、第5角度θ5でクラウン第2傾斜部15と同じ方向に傾斜しているのが望ましい。切欠き溝16の第5角度θ5は、好ましくは、40〜80度である。
【0049】
切欠き溝16は、例えば、クラウン第1傾斜部14に連通する開口部16Aで、その溝幅が最も大きい最大溝幅W5を有し、クラウン第1傾斜部14から最も離れている最奥部16Bで、その溝幅が最も小さい最小溝幅W6を有している。切欠き溝16の最大溝幅W5は、好ましくは、クラウン第1傾斜主部14Aの溝幅W3の0.6〜1.4倍である。また、切欠き溝16の最小溝幅W6は、好ましくは、クラウン第1傾斜主部14Aの溝幅W3の0.2〜0.8倍である。
【0050】
切欠き溝16のクラウン第1傾斜部14からの最大長さL3は、好ましくは、クラウン第1傾斜主部14Aの溝幅W3の0.8〜2.0倍である。ここで、切欠き溝16の最大長さL3は、切欠き溝16の開口部16Aから最奥部16Bまでの長さである。このような大きさの切欠き溝16は、クラウン領域の剛性を最適化することができ、タイヤ1の乗り心地性能を向上させることができる。
【0051】
図1乃至
図3に示されるように、クラウン主溝7のクラウン第1外部12及びクラウン第2外部13は、各ショルダー主溝6のショルダー内部9に連通しているのが望ましい。このようなクラウン主溝7及びショルダー主溝6は、両者を連結する横溝を有さないので、クラウン主溝7のジグザグ振幅L2とショルダー主溝のジグザグ振幅L1とを大きくすることができ、タイヤ1のオフロード性能を向上させることができる。
【0052】
図1に示されるように、本実施形態の横溝4は、複数のショルダー横溝17と複数のショルダーラグ溝18とを含んでいる。ショルダー横溝17は、例えば、各ショルダー主溝6からタイヤ軸方向外側のトレッド端Teまでのびている。ショルダーラグ溝18は、例えば、各トレッド端Teからタイヤ軸方向内側に向けてのびかつそのタイヤ軸方向の内端18Aがショルダー主溝6に連通することなく途切れている。ショルダー横溝17とショルダーラグ溝18とは、タイヤ周方向に交互に配されるのが望ましい。
【0053】
図4は、ショルダー横溝17の拡大図である。
図4に示されるように、本実施形態の各ショルダー横溝17は、それぞれ、内側ショルダー横溝部19と、ショルダークランク部20と、外側ショルダー横溝部21とを有している。内側ショルダー横溝部19と外側ショルダー横溝部21とは、例えば、直線状に形成されている。ショルダークランク部20は、鋭角の鋭角部20Aを有し、内側ショルダー横溝部19と外側ショルダー横溝部21とを連結するのが望ましい。
【0054】
ショルダー横溝17は、全体としてクランク状の屈曲溝として形成されるのが望ましい。このようなショルダー横溝17は、ショルダー横溝17内を通る空気が各屈曲部で攪乱され、ショルダー横溝17に起因する気柱共鳴音を抑制することができる。特に本実施形態では、ショルダークランク部20が鋭角部20Aを有しているので、攪乱の効果が最大限に発揮され、タイヤ1のノイズ性能をより向上することができる。
【0055】
内側ショルダー横溝部19は、例えば、その内端側がショルダー主溝6に連通している。内側ショルダー横溝部19は、タイヤ周方向に対して、第6角度θ6でクラウン第2傾斜部15(
図3に示す)と同じ方向に傾斜しているのが望ましい。内側ショルダー横溝部19の第6角度θ6は、好ましくは、45〜70度である。
【0056】
内側ショルダー横溝部19は、例えば、略一定の溝幅W7を有している。内側ショルダー横溝部19の溝幅W7は、好ましくは、ショルダー主溝6の最大溝幅W1の0.2〜0.4倍である。このような内側ショルダー横溝部19は、その溝幅W7が小さく、ショルダー領域のランド比を高めることができるので、タイヤ1のドライ性能及びノイズ性能を向上させることができる。
【0057】
外側ショルダー横溝部21は、例えば、その外端側がトレッド端Teに連通している。外側ショルダー横溝部21は、タイヤ周方向に対して、第7角度θ7で内側ショルダー横溝部19と同じ方向に傾斜しているのが望ましい。外側ショルダー横溝部21の第7角度θ7は、好ましくは、65〜90度である。
【0058】
外側ショルダー横溝部21の第7角度θ7は、内側ショルダー横溝部19の第6角度θ6より大きいのが望ましい。外側ショルダー横溝部21の第7角度θ7と内側ショルダー横溝部19の第6角度θ6との差(θ7−θ6)は、好ましくは、10〜30度である。
【0059】
外側ショルダー横溝部21は、例えば、内側ショルダー横溝部19の溝幅W7より大きくかつ略一定の溝幅を有している。ショルダー横溝17の中で最も溝幅の大きい最大溝幅W8は、外側ショルダー横溝部21の溝幅であるのが望ましい。ショルダー横溝17の最大溝幅W8は、好ましくは、ショルダー主溝6の最大溝幅W1の0.2〜0.6倍である。ショルダー横溝17の最大溝幅W8は、より好ましくは、ショルダー主溝6の最大溝幅W1の0.3〜0.5倍である。
【0060】
このようなショルダー横溝17は、その最大溝幅W8が小さく、ショルダー領域のランド比を高めることができるので、タイヤ1のドライ性能及びノイズ性能を向上させることができる。また、本実施形態のトレッド部2は、ショルダー主溝6とショルダー横溝17とがバランスよく配されているので、タイヤ1の乗り心地性能を向上することができる。
【0061】
ショルダークランク部20は、内側ショルダー横溝部19に連通する内側クランク部20Bと外側ショルダー横溝部21に連通する外側クランク部20Cとが、鋭角部20Aで連結されている。内側クランク部20Bは、外側ショルダー横溝部21にタイヤ軸方向で部分的に連通しているのが望ましい。このようなショルダークランク部20を含むショルダー横溝17は、タイヤ軸方向の排水性に優れており、ショルダークランク部20で空気の流れが閉ざされることもないので、タイヤ1のウェット性能及びノイズ性能を向上させる。
【0062】
内側クランク部20Bのタイヤ周方向に対する第8角度θ8は、内側ショルダー横溝部19の第6角度θ6より大きいのが望ましい。内側クランク部20Bの第8角度θ8は、好ましくは、75〜95度である。内側クランク部20Bの第8角度θ8と内側ショルダー横溝部19の第6角度θ6との差(θ8−θ6)は、好ましくは、20〜40度である。
【0063】
外側クランク部20Cは、後述する細溝22に連続するのが望ましい。すなわち、外側クランク部20Cと細溝22とは、同一直線状で、かつ、実質的に等しい溝幅を有しているのが望ましい。
【0064】
内側クランク部20Bと外側クランク部20Cとのなす角度、すなわち、鋭角部20Aの角度である第9角度θ9は、好ましくは、65〜85度である。このような鋭角部20Aは、ショルダー横溝17内を通る空気の攪乱の効果が最大限に発揮され、タイヤ1のノイズ性能をより向上することができる。
【0065】
本実施形態のショルダーラグ溝18は、外側ショルダー横溝部21に略平行にのびている。ショルダーラグ溝18の溝幅W9は、好ましくは、ショルダー横溝17の最大溝幅W8の0.2〜0.5倍である。このようなショルダーラグ溝18は、排水性を向上させるとともに、ショルダー領域の剛性を適正なものとすることができ、タイヤ1のウェット性能と乗り心地性能とをより向上させることができる。
【0066】
図1及び
図4に示されるように、本実施形態のトレッド部2には、さらに、ショルダー横溝17のショルダークランク部20から、タイヤ周方向に隣接するショルダー横溝17の内側ショルダー横溝部19まで、タイヤ周方向にのびる細溝22が設けられている。このような細溝22は、ショルダー領域の剛性を適正なものとすることができ、タイヤ1の乗り心地性能を向上させることができる。
【0067】
本実施形態の細溝22は、外側クランク部20Cの延長線上に設けられている。細溝22は、タイヤ周方向に対して、第10角度θ10でクラウン第1傾斜部14(
図3に示す)と同じ方向に傾斜しているのが望ましい。細溝22の第10角度θ10は、好ましくは、5〜25度である。
【0068】
細溝22は、例えば、略一定の溝幅W10を有している。細溝22の溝幅W10は、好ましくは、ショルダー主溝6の最大溝幅W1の0.1〜0.3倍である。細溝22の溝幅W10は、内側ショルダー横溝部19の溝幅W7より小さいのが望ましい。このような大きさの細溝22は、ショルダー領域の剛性を最適化することができる。
【0069】
図1に示されるように、本実施形態の複数のブロック5は、一対のショルダー主溝6のタイヤ軸方向外側に区分された一対のショルダーブロック群23と、一対のショルダー主溝6の間に区分されたクラウンブロック群24とを含んでいる。
【0070】
本実施形態のショルダーブロック群23は、ショルダー主溝6に隣接する複数の第1ショルダーブロック25と、各第1ショルダーブロック25のタイヤ軸方向外側に配される第2ショルダーブロック26とを有している。
【0071】
第1ショルダーブロック25は、例えば、ショルダー主溝6、タイヤ周方向に隣接する一対のショルダー横溝17及び細溝22により区分されている。第1ショルダーブロック25は、ショルダー主溝6、ショルダー横溝17及び細溝22にそれぞれ一端が連通する複数の第1ショルダーサイプ29を有するのが望ましい。各第1ショルダーサイプ29の他端は、例えば、第1ショルダーブロック25内で終端している。
【0072】
このような第1ショルダーサイプ29は、第1ショルダーブロック25の剛性を適正なものとすることができ、タイヤ1の乗り心地性能を向上させることができる。また、第1ショルダーサイプ29は、そのエッジ効果により、タイヤ1の雪上性能を向上させることができる。
【0073】
第2ショルダーブロック26は、例えば、タイヤ周方向に隣接する一対のショルダー横溝17、細溝22及びトレッド端Teにより区分されている。第2ショルダーブロック26は、ショルダーラグ溝18と細溝22とを連通する第2ショルダーサイプ30を有するのが望ましい。本実施形態の第2ショルダーサイプ30は、細溝22を介して、第1ショルダーサイプ29の1つと同一直線状に位置している。
【0074】
このような第2ショルダーサイプ30は、第2ショルダーブロック26の剛性を適正なものとすることができ、タイヤ1の乗り心地性能を向上させることができる。また、第2ショルダーサイプ30は、そのエッジ効果により、タイヤ1の雪上性能を向上させることができる。
【0075】
本実施形態のクラウンブロック群24は、クラウン主溝7により複数の第1クラウンブロック27と複数の第2クラウンブロック28とに区分されている。第1クラウンブロック27及び第2クラウンブロック28は、それぞれ、両端が各主溝3に連通することなく各クラウンブロック群24内で終端する複数のクラウンサイプ31を有するのが望ましい。
【0076】
このようなクラウンサイプ31は、第1クラウンブロック27及び第2クラウンブロック28の剛性を適正なものとすることができ、タイヤ1の乗り心地性能を向上させることができる。また、クラウンサイプ31は、そのエッジ効果により、タイヤ1の雪上性能を向上させることができる。
【0077】
上述の実施形態では、ショルダー横溝17の溝幅が略一定のものが例示されているが、ショルダー横溝17の溝幅は増減していてもよい。この場合、最も大きい部分の溝幅が、ショルダー横溝17の最大溝幅W8である。
【0078】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施し得る。
【実施例】
【0079】
図1のパターンを有しかつ表1の仕様に基づいた空気入りタイヤ(サイズ:275/65R18)が製造され、それらのドライ性能、ウェット性能、マッド性能、雪上性能、乗り心地性能及びノイズ性能がテストがされた。供試タイヤの共通仕様及びテスト方法は、以下の通りである。
【0080】
<共通仕様>
装着リム:18×8.0J
タイヤ内圧:230kPa
テスト車両:ピックアップトラック
乗車条件:テストドライバー1名と同乗者1名の2名乗車
【0081】
<ドライ性能>
供試タイヤを全輪に装着したテスト車両にて、ドライの舗装路のテストコースを走行し、その時のグリップ性能が、テストドライバーの官能評価により評価された。評価は、比較例1を100とする指数で示され、数値が大きいほど良好である。
【0082】
<ウェット性能>
供試タイヤを全輪に装着したテスト車両にて、ウェットの舗装路のテストコースを走行し、その時のグリップ性能が、テストドライバーの官能評価により評価された。評価は、比較例1を100とする指数で示され、数値が大きいほど良好である。
【0083】
<マッド性能>
供試タイヤを全輪に装着したテスト車両にて、軟弱なマッド路のテストコースを走行し、その時のトラクション性能が、テストドライバーの官能評価により評価された。評価は、比較例1を100とする指数で示され、数値が大きいほど良好である。
【0084】
<雪上性能>
供試タイヤを全輪に装着したテスト車両にて、圧雪路のテストコースを走行し、その時のグリップ性能が、テストドライバーの官能評価により評価された。評価は、比較例1を100とする指数で示され、数値が大きいほど良好である。
【0085】
<乗り心地性能>
供試タイヤを全輪に装着したテスト車両にて、ドライの舗装路のテストコースを走行し、その時の乗り心地性能が、テストドライバー及び同乗者の官能評価により評価された。評価は、両者の評価の合計が比較例1を100とする指数で示され、数値が大きいほど良好である。
【0086】
<ノイズ性能>
供試タイヤを全輪に装着したテスト車両にて、直線状のテストコースを、通過速度を53km/Hとしてエンジンオフ状態で惰行走行した。このとき、走行中心線から横に7.5mを隔てて、かつテスト路面から高さ1.2mの位置に設置した定置マイクロホンにより通過最大音圧レベルが測定された。評価は、通過最大音圧レベルの逆数が比較例1を100とする指数で示され、数値が大きいほど良好である。
【0087】
【表1】
【0088】
テストの結果、実施例のタイヤは、比較例に比べて各性能がバランスよく向上していることが確認できた。