特許第6825500号(P6825500)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社JVCケンウッドの特許一覧

特許6825500ドライブレコーダ運用システム、ドライブレコーダ、運用方法および運用プログラム
<>
  • 特許6825500-ドライブレコーダ運用システム、ドライブレコーダ、運用方法および運用プログラム 図000002
  • 特許6825500-ドライブレコーダ運用システム、ドライブレコーダ、運用方法および運用プログラム 図000003
  • 特許6825500-ドライブレコーダ運用システム、ドライブレコーダ、運用方法および運用プログラム 図000004
  • 特許6825500-ドライブレコーダ運用システム、ドライブレコーダ、運用方法および運用プログラム 図000005
  • 特許6825500-ドライブレコーダ運用システム、ドライブレコーダ、運用方法および運用プログラム 図000006
  • 特許6825500-ドライブレコーダ運用システム、ドライブレコーダ、運用方法および運用プログラム 図000007
  • 特許6825500-ドライブレコーダ運用システム、ドライブレコーダ、運用方法および運用プログラム 図000008
  • 特許6825500-ドライブレコーダ運用システム、ドライブレコーダ、運用方法および運用プログラム 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6825500
(24)【登録日】2021年1月18日
(45)【発行日】2021年2月3日
(54)【発明の名称】ドライブレコーダ運用システム、ドライブレコーダ、運用方法および運用プログラム
(51)【国際特許分類】
   G07C 5/00 20060101AFI20210121BHJP
【FI】
   G07C5/00 Z
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-129464(P2017-129464)
(22)【出願日】2017年6月30日
(65)【公開番号】特開2019-12466(P2019-12466A)
(43)【公開日】2019年1月24日
【審査請求日】2019年10月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】北島 真悟
【審査官】 永安 真
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−224677(JP,A)
【文献】 特開2016−118904(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07C 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両周辺を時間的に連続して撮影し、複数の映像ファイルを生成して記録するドライブレコーダと、前記ドライブレコーダに通信接続される運用サーバと、を備えるドライブレコーダ運用システムにおいて、
前記ドライブレコーダは、複数の前記映像ファイルのそれぞれに対応して場所、日付および時刻を含むインデックス情報を生成し、該インデックス情報を前記運用サーバへ送出し、前記運用サーバからの上書き禁止指令に基づいて前記映像ファイルの上書きを禁止し、
前記運用サーバは、場所、日付および時刻に基づいて前記インデックス情報を指定する指示を受け付け、指定された前記インデックス情報を含む前記上書き禁止指令を前記ドライブレコーダへ送出することを特徴とするドライブレコーダ運用システム。
【請求項2】
前記運用サーバは、前記インデックス情報を複数の前記ドライブレコーダから取得し、取得したインデックス情報に基づいて検索処理を実行することを特徴とする請求項1に記載のドライブレコーダ運用システム。
【請求項3】
車両周辺を時間的に連続して撮影する撮像部と、
生成された複数の映像ファイルのそれぞれに、対応する場所、日付および時刻を含むインデックス情報を付加して保存する記憶媒体と、
前記インデックス情報を外部装置へ送出するインデックス情報処理部と、
前記外部装置において場所、日付および時刻に基づいて指定された前記インデックス情報を含む上書き禁止指令を前記外部装置から取得し、前記上書き禁止指令に基づいて、前記映像ファイルの上書きを禁止する上書き禁止処理部と、
を備えることを特徴とするドライブレコーダ。
【請求項4】
ドライブレコーダが、車両周辺を時間的に連続して撮影する撮像ステップと、
ドライブレコーダが、生成された複数の映像ファイルのそれぞれに、対応する場所、日付および時刻を含むインデックス情報を付加して保存する記憶ステップと、
ドライブレコーダが、前記インデックス情報を外部装置へ送出するインデックス情報処理ステップと、
ドライブレコーダが、前記外部装置において場所、日付および時刻に基づいて指定された前記インデックス情報を含む上書き禁止指令を前記外部装置から取得し、前記上書き禁止指令に基づいて、前記映像ファイルの上書きを禁止する上書き禁止処理ステップと、
を備えることを特徴とするドライブレコーダの運用方法。
【請求項5】
車両周辺を時間的に連続して撮影する撮像ステップと、
生成された複数の映像ファイルのそれぞれに、対応する場所、日付および時刻を含むインデックス情報を付加して保存する記憶ステップと、
前記インデックス情報を外部装置へ送出するインデックス情報処理ステップと、
前記外部装置において場所、日付および時刻に基づいて指定された前記インデックス情報を含む上書き禁止指令を前記外部装置から取得し、前記上書き禁止指令に基づいて、前記映像ファイルの上書きを禁止する上書き禁止処理ステップと、
をコンピュータに実行させることを特徴とするドライブレコーダの運用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されたドライブレコーダを運用するためのドライブレコーダ運用システム、ドライブレコーダ、運用方法および運用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載されたドライブレコーダは、車両の前方等の車両周辺を時間的に連続して撮影し、映像を記録する。ドライブレコーダは、撮影した映像を記憶媒体に保存するが、該記憶媒体の容量には限りがあるため、一定期間に亘って複数の映像ファイルを保存した後、古い映像ファイルから順次上書きして新たな映像を保存する。
【0003】
特許文献1には、ドライブレコーダと、運用サーバとを備えたドライブレコーダ運用システムが開示されている。ドライブレコーダは、大きな加速度が発生した際の映像ファイルと加速度等とを含む状況ファイルをサーバ装置へ送信する。運用サーバは、送信された映像の上書きを絶対禁止にすべきと判断した場合、ドライブレコーダへ上書き禁止指令を送信する。ドライブレコーダは、上書き禁止指令で指定された映像ファイルの上書きを絶対禁止とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−224677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のドライブレコーダ運用システムでは、大きな加速度が生じた場合にドライブレコーダに保存されている映像ファイルに対する上書きが禁止されるが、任意の映像ファイルの上書き禁止をサーバ装置側から指令することができない。
【0006】
例えば、ドライブレコーダで撮影された映像を鑑賞目的で利用し、あるいは、特定の場所および時刻において発生していた状況を映像で検証する目的で利用するような場合がある。このような場合に対応して、運用サーバ側からドライブレコーダで保存されている任意の映像ファイルを上書き禁止とすることで利便性を高めることができる。
【0007】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ドライブレコーダにおいて保存している映像ファイルに対して運用サーバ側から上書き禁止を指令し、利便性を向上することができるドライブレコーダ運用システム、ドライブレコーダ、運用方法および運用プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある態様のドライブレコーダ運用システムは、車両周辺を時間的に連続して撮影し、複数の映像ファイルを生成して記録するドライブレコーダと、前記ドライブレコーダに通信接続される運用サーバと、を備えるドライブレコーダ運用システムにおいて、前記ドライブレコーダは、複数の前記映像ファイルのそれぞれに対応するインデックス情報を生成し、該インデックス情報を前記運用サーバへ送出し、前記運用サーバからの上書き禁止指令に基づいて前記映像ファイルの上書きを禁止し、前記運用サーバは、前記インデックス情報を指定する指示を受け付け、指定された前記インデックス情報を含む前記上書き禁止指令を前記ドライブレコーダへ送出する。
【0009】
本発明の別の態様はドライブレコーダである。このドライブレコーダは、車両周辺を時間的に連続して撮影する撮像部と、生成された複数の映像ファイルに、対応するインデックス情報を付加して保存する記憶媒体と、前記インデックス情報を外部装置へ送出するインデックス情報処理部と、前記外部装置から取得する前記インデックス情報を含む上書き禁止指令に基づいて、前記映像ファイルの上書きを禁止する上書き禁止処理部と、を備える。
【0010】
また本発明の別の態様は運用方法である。この運用方法は、車両周辺を時間的に連続して撮影する撮像ステップと、生成された複数の映像ファイルに、対応するインデックス情報を付加して保存する記憶ステップと、前記インデックス情報を外部装置へ送出するインデックス情報処理ステップと、前記外部装置から取得する前記インデックス情報を含む上書き禁止指令に基づいて、前記映像ファイルの上書きを禁止する上書き禁止処理ステップと、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ドライブレコーダにおいて保存している映像ファイルに対して運用サーバ側から上書き禁止を指令し、利便性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態に係るドライブレコーダ運用システムにおける通信接続を説明するための模式図である。
図2】実施形態に係るドライブレコーダの構成を示すブロック図である。
図3】実施形態に係る運用サーバおよび端末装置の構成を示すブロック図である。
図4】記憶媒体への常時録画について説明するための模式図である。
図5】インデックス情報記憶部に記憶するインデックス情報の例を示す図表である。
図6】ドライブレコーダにおける上書き禁止処理の手順を示すフローチャートである。
図7】映像ファイルの上書きが禁止されたときの記憶媒体への常時録画について説明するための模式図である。
図8】運用サーバおよび端末装置における上書き禁止指令処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図1から図8を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0014】
(実施形態)
図1は、実施形態に係るドライブレコーダ運用システム100における通信接続を説明するための模式図である。ドライブレコーダ運用システム100は、ドライブレコーダ1および運用サーバ2を備える。ドライブレコーダ運用システム100は、ドライブレコーダ1で保存している複数の映像ファイルのうち、ユーザによって上書きを禁止する映像ファイルを指定し、運用サーバ2からの上書き禁止指令によって上書きを禁止する。
【0015】
ドライブレコーダ1は、車両90に搭載され、車両90の前方等の車両90周辺を時間的に連続して撮影し、映像を記録する。ドライブレコーダ1は、撮影した映像を記憶媒体に保存するが、該記憶媒体の容量には限りがあるため、一定期間に亘って複数の映像ファイルを保存した後、古い映像ファイルから順次上書きして新たな映像を記録する。
【0016】
ドライブレコーダ1は、通信ネットワーク91を介して運用サーバ2と通信する。本発明に係るドライブレコーダ1は、保存している映像ファイルの場所、日付および時刻等のインデックス情報を運用サーバ2へ送出し、運用サーバ2から上書き禁止指令を取得して、該当する映像ファイルの上書きを禁止する。運用サーバ2は、インデックス情報を表示し、ユーザによる指示によって上書きを禁止する映像ファイルを選択する環境を提供する。インデックス情報の表示およびユーザによる操作入力は、運用サーバ2の本体で行うようにしてもよいし、通信ネットワーク91に接続された端末装置3において行うようにしてもよい。
【0017】
図2は実施形態に係るドライブレコーダ1の構成を示すブロック図であり、図3は実施形態に係る運用サーバ2および端末装置3の構成を示すブロック図である。ドライブレコーダ1は、映像処理部11、記憶媒体12、入出力インタフェース13、計時部14、通信部15、制御部16および記憶部17等を備える。映像処理部11、記憶媒体12、入出力インタフェース13、計時部14、通信部15、制御部16および記憶部17等は、データバス1aによって相互に電気信号の送受ができるように接続されている。
【0018】
映像処理部11は、撮像部11aにおいて撮影された所定時間分の映像信号について、データ圧縮等の処理を行い、インデックス情報を付加して映像ファイルを生成する。映像処理部11は、生成した映像ファイルを記憶媒体12に保存させる。インデックス情報は、場所、日付および時刻のほか、加速度等の車両90の状態を含む。撮像部11aは、例えばCCD等の検出器を有し、車両90の前方等の車両90周辺を撮影する。撮像部11aは、時間的に連続して映像を取得し、映像信号を映像処理部11へ送出する。
【0019】
記憶媒体12は、例えばSDカードやUSBメモリ等であり、映像処理部11で生成された映像ファイル保存し、消去することができるものとする。記憶媒体12は、ドライブレコーダ1に着脱可能とすることで、ドライブレコーダ1から取り外し、別のPC等で映像を再生等することができる。
【0020】
図4は記憶媒体12への常時録画について説明するための模式図である。映像処理部11で生成された映像ファイルは、映像ファイル#1,#2,・・・,#Nとして、記憶媒体12に順次保存される。記憶媒体12の容量には限りがあるため、一定期間に亘って複数の映像ファイルを保存した後、古い映像ファイル#1から順に消去して上書きし、新たな映像を記録していく。
【0021】
入出力インタフェース13は、加速度情報、および車両90の位置情報等を外部装置から取得する。尚、ドライブレコーダ1は、加速度を計測するためのセンサーを内蔵していてもよい。計時部14は、日付および時刻を計測する。入出力インタフェース13によって取得した加速度および位置情報等、並びに計時部14によって取得した日付および時刻は、映像ファイルにインデックス情報として付加される。入出力インタフェース13は、位置情報として、緯度経度情報、地図とのマッチングで取得された地名や住所などを取得する。インデックス情報に含まれる場所の情報は、入出力インタフェース13から取得される緯度経度情報のほか、地名や住所などであってもよい。尚、地名や住所などの位置情報は、ナビゲーション装置等で取得されており、入出力インタフェース13に入力されるようにするとよい。また、インデックス情報に含まれる場所の情報は、ドライブレコーダ1にGPS機能を内蔵して得られる緯度経度情報等であってもよい。
【0022】
通信部15は、通信ネットワーク91との間でWiFi(登録商標)等の通信規格に準拠して無線通信し、通信ネットワーク91を介して運用サーバ2との間で通信する。なお、通信部15は、接続されたアンテナで無線信号波を送受信し、通信ネットワーク91との間で無線通信する。また通信部15は、携帯通信回線網におけるSIMカード(Subscriber Identity Module Card)を搭載している場合には、携帯通信回線を用いて通信するようにしてもよい。
【0023】
制御部16は、インデックス情報処理部16aおよび上書き禁止処理部16bを有する。制御部16は、例えばCPUなどによって構成され、コンピュータプログラムに従って動作することによって、上述の各部による処理を実行する。記憶部17は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ、ハードディスク記憶装置等のデータ記憶装置によって構成されており、制御部16で実行するコンピュータプログラム等を記憶する。
【0024】
制御部16において、インデックス情報処理部16aは、各映像ファイルに対応するインデックス情報を生成する。インデックス情報処理部16aは、映像ファイルに付加されたインデックス情報を識別情報とともに通信部15から運用サーバ2へ送出する。インデックス情報処理部16aが運用サーバ2へインデックス情報を送出するタイミングは、ドライブレコーダ1の電源がオンされた後、映像処理部11が映像ファイルを記憶媒体12に保存し、ドライブレコーダ1が電源をオフとする電源オフシーケンス中であればよい。また、インデックス情報処理部16aは定期的にインデックス情報を運用サーバ2へ送出するようにしてもよい。識別情報は、ドライブレコーダ1が他の車両に搭載されたドライブレコーダと識別できるものであればよい。
【0025】
上書き禁止処理部16bは、運用サーバ2からの上書き禁止指令を通信部15で受信して取得する。上書き禁止処理部16bは、取得した上書き禁止指令に含まれる場所、日付および時刻に関するインデックス情報に基づいて、記憶媒体12に保存されている映像ファイルに対する上書きを禁止する。映像処理部11は、上書き禁止が指定された映像ファイルに対しては、消去または上書きをすることができなくなる。
【0026】
次に図3に基づいて運用サーバ2および端末装置3について説明する。運用サーバ2は、インデックス情報記憶部21、表示部22、操作部23、通信部24、制御部25および記憶部26等を備える。インデックス情報記憶部21、表示部22、操作部23、通信部24、制御部25および記憶部26等は、データバス2aによって相互に電気信号の送受ができるように接続されている。
【0027】
インデックス情報記憶部21は、ドライブレコーダ1から送出されてくるインデックス情報を、通信部24を介して取得し、ドライブレコーダの識別情報に対応付けて記憶する。図5は、インデックス情報記憶部21に記憶するインデックス情報の例を示す図表である。インデックス情報記憶部21は、ドライブレコーダ1において映像ファイルが上書きされることと同様に、ドライブレコーダ1から送出されてくるインデックス情報に基づいて、過去において記憶していたインデックス情報を上書きして記憶する。
【0028】
表示部22は、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、LED(Light Emitting Diode)ディスプレイ等で構成されている。表示部22は、制御部25からの指示に基づいて操作に関する情報等を表示する。操作部23は、操作キー、十字キー、タッチパネル等のスイッチから構成されており、ユーザによる操作入力を受け付ける。操作部23で受け付けられた操作入力は、制御部25によって取得される。インデックス情報に対するユーザの操作入力は、通信ネットワーク91に接続された端末装置3において、インデックス情報を表示し、受け付けられるが、運用サーバ2の操作部23から受け付けられるようにしてもよい。尚、操作部23は、操作入力の他、音声入力等の別手段による入力にも対応していてもよく、ユーザからの指示を受け付けるものであり、ユーザによる操作入力は、ユーザからの指示に相当する。
【0029】
通信部24は、無線または有線によって通信ネットワーク91に通信接続されており、通信ネットワーク91を介してドライブレコーダ1の通信部15との間で通信する。
【0030】
制御部25は、インデックス情報処理部25a、上書き禁止指令部25bおよび検索処理部25cを有する。制御部25は、例えばCPUなどによって構成され、コンピュータプログラムに従って動作することによって、上述の各部による処理を実行する。記憶部26は、RAM、フラッシュメモリ、ハードディスク記憶装置等のデータ記憶装置によって構成されており、制御部25で実行するコンピュータプログラム等を記憶する。
【0031】
制御部25において、インデックス情報処理部25aは、ドライブレコーダ1から送出されてくるインデックス情報を、通信部24を介して取得し、ドライブレコーダ1の識別情報に対応付けてインデックス情報記憶部21に記憶させる。
【0032】
上書き禁止指令部25bは、上書きを禁止するインデックス情報の指定を、端末装置3でのユーザの操作入力によって取得する。また上書き禁止指令部25bは、表示部22に表示されたインデックス情報に対して上書きを禁止するインデックス情報の指定を、操作部23でのユーザの操作入力によって取得することもできる。上書き禁止指令部25bは、指定されたインデックス情報を含む上書き禁止指令を生成し、通信部24からドライブレコーダ1へ送出する。
【0033】
検索処理部25cは、インデックス情報記憶部21に記憶されたインデックス情報に対して、場所、日付および時刻等の検索キーを用いて、該当するインデックス情報を抽出する。検索処理部25cは、検索対象とするドライブレコーダ1の範囲を1つとしてもよいし、複数またはインデックス情報記憶部21に記憶している全てのドライブレコーダ1としてもよい。検索処理部25cによって抽出されたインデックス情報は、端末装置3で表示され、端末装置3におけるユーザの操作入力によって上書きを禁止するインデックス情報が選択される。また、検索処理部25cによって抽出されたインデックス情報は、表示部22に表示され、操作部23でのユーザの操作入力によって上書きを禁止するインデックス情報が選択されるようにしてもよい。上書き禁止指令部25bは、ユーザの操作入力によって選択されたインデックス情報に対応して、上書き禁止指令を生成し、通信部24から各ドライブレコーダ1へ送出する。
【0034】
端末装置3は、表示部31、操作部32、通信部33、制御部34および記憶部35等を備える。端末装置3は、例えばPC(パーソナルコンピュータ)やスマートホン等の情報処理端末であり、通信ネットワーク91を介して運用サーバ2に通信接続されるほか、ローカルエリアネットワークにより運用サーバ2に通信接続されるものであってもよい。表示部31、操作部32、通信部33、制御部34および記憶部35等は、データバス3aによって相互に電気信号の送受ができるように接続されている。
【0035】
表示部31は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDディスプレイ等で構成されている。表示部31は、制御部34からの指示に基づいて操作に関する情報等を表示する。操作部32は、操作キー、十字キー、タッチパネル等のスイッチから構成されており、ユーザによる操作入力を受け付ける。操作部32で受け付けられた操作入力は、制御部25によって取得される。尚、操作部32は、操作入力の他、音声入力等の別手段による入力にも対応していてもよく、ユーザからの指示を受け付けるものであり、ユーザによる操作入力は、ユーザからの指示に相当する。
【0036】
通信部33は、無線または有線によって通信ネットワーク91に通信接続されており、通信ネットワーク91を介して運用サーバ2の通信部24との間で通信する。通信部33は、WiFiによる通信回線、携帯通信回線等の無線通信を用いてもよい。
【0037】
制御部34は、例えばCPUなどによって構成され、コンピュータプログラムに従って動作する。記憶部35は、RAM、フラッシュメモリ、ハードディスク記憶装置等のデータ記憶装置によって構成されており、制御部34で実行するコンピュータプログラム等を記憶する。
【0038】
制御部34は、運用サーバ2に記憶されたドライブレコーダ1のインデックス情報を表示部31に表示させ、上書きを禁止するインデックス情報を指定するユーザの操作入力を操作部32から取得する。制御部34は、取得した上書きを禁止するインデックス情報を通信部33を介して運用サーバ2へ送出する。
【0039】
また、制御部34は、運用サーバ2に記憶されたドライブレコーダ1のインデックス情報に対する検索画面を表示部31に表示させ、検索キー等のユーザの操作入力を操作部32から取得する。制御部34は、取得した検索キーを通信部33を介して運用サーバ2へ送出し、運用サーバ2で抽出されたインデックス情報を運用サーバ2から取得し、表示部31に表示させ、上書きを禁止するインデックス情報を指定するユーザの操作入力を操作部32から取得する。制御部34は、取得した上書きを禁止するインデックス情報を通信部33を介して運用サーバ2へ送出する。
【0040】
次にドライブレコーダ運用システム100の動作について、ドライブレコーダ1における上書き禁止処理、および運用サーバ2における上書き禁止指令処理に基づいて説明する。図6は、ドライブレコーダ1における上書き禁止処理の手順を示すフローチャートである。ドライブレコーダ1は、撮像部11aによって撮影した映像をもとに映像処理部11で映像ファイルを生成し、インデックス情報を付加して記憶媒体12に保存する。制御部16のインデックス情報処理部16aは、記憶媒体12に保存された各映像ファイルのインデックス情報を取得し(S1)、取得したインデックス情報を通信部15から運用サーバ2へ送出する(S2)。
【0041】
制御部16の上書き禁止処理部16bは、運用サーバ2から送出される上書き禁止指令を通信部15で受信することによって取得する(S3)。上書き禁止処理部16bは、上書き禁止指令に含まれるインデックス情報に基づいて該当する映像ファイルの上書きを禁止する(S4)。
【0042】
図7は、映像ファイルの上書きが禁止されたときの記憶媒体12への常時録画について説明するための模式図である。映像処理部11は、一定期間に亘って複数の映像ファイルを保存した後、上書きが禁止された映像ファイル(映像ファイル#2)を飛ばすようにして古い映像ファイルから順次上書きして新たな映像を保存する。上書きが禁止された映像ファイル(映像ファイル#2)は、消去および上書きされることなく記憶媒体12に保存されており、ユーザが記憶媒体12を別のPC等に接続するなどして利用することができる。
【0043】
図8は、運用サーバ2および端末装置3における上書き禁止指令処理の手順を示すフローチャートである。運用サーバ2における制御部25のインデックス情報処理部25aは、ドライブレコーダ1から送出されたインデックス情報を取得し(S11)、インデックス情報記憶部21に記憶する(S12)。端末装置3の制御部34は、検索処理を実行するか否かをユーザが選択するための画面を表示部31に表示し、操作部32におけるユーザの操作入力を取得して検索処理を実行するか否かを判定する(S13)。
【0044】
端末装置3の制御部34は、ステップS13において検索処理を実行しないと判定した場合(S13:NO)、操作部32におけるユーザの操作入力に基づいて処理対象とするドライブレコーダ1の識別情報を取得する(S14)。制御部34は、取得した識別情報に対応するインデックス情報を運用サーバ2に問い合わせ、運用サーバ2からインデックス情報記憶部21に記憶されているインデックス情報を取得し、表示部31に表示する(S15)。制御部34は、インデックス情報に含まれる場所の情報を地図データに重ね合わせて表示部31に表示するようにしてもよい。
【0045】
端末装置3の制御部34は、ユーザが操作部32を操作して上書きを禁止するインデックス情報を指定する操作入力を取得する(S16)。制御部34は、上書き禁止が指定されたインデックス情報を通信部33を介して運用サーバ2へ送出する。運用サーバ2における制御部25の上書き禁止指令部25bは、端末装置3から送出された、上書き禁止が指定されたインデックス情報を通信部24を介して取得する。上書き禁止指令部25bは、上書き禁止が指定されたインデックス情報を含む上書き禁止指令を生成し、識別情報に対応するドライブレコーダ1へ上書き禁止指令を送出し(S17)、処理を終了する。
【0046】
端末装置3の制御部34は、ステップS13において検索処理を実行すると判定した場合(S13:YES)、検索キー等を入力するための検索画面を表示部31に表示し、操作部32からユーザの操作入力を取得する。制御部34は、ユーザの操作入力により検索キーを取得し(S18)、検索キー等の検索情報を通信部33を介して運用サーバ2へ送出する。運用サーバ2における制御部25の検索処理部25cは、通信部24を介して端末装置3から取得した検索キー等の検索情報に基づいて、インデックス情報記憶部21に記憶したインデックス情報の検索を実行する(S19)。検索キーは、例えば特定の場所または特定の場所を含む範囲や、特定の日付および時刻、さらに特定の日付および時刻を含む範囲等とすればよい。
【0047】
検索処理部25cは、検索キーに基づいて検索を実行して得られたインデックス情報の抽出結果を端末装置3へ通信部24を介して送出する。端末装置3の制御部34は、通信部33を介して運用サーバ2から取得したインデックス情報を表示部31に表示し(S20)、ステップS16に移行する。制御部34は、ステップS16により上書きを禁止するインデックス情報を指定する操作入力を取得する。運用サーバ2における制御部25の上書き禁止指令部25bは、ステップS17により上書き禁止指令を生成してドライブレコーダ1へ上書き禁止指令を送出し、処理を終了する。
【0048】
ドライブレコーダ運用システム100は、運用サーバ2において記憶するインデックス情報に基づいて、ユーザが上書きを禁止する映像ファイルを指定することができる。ユーザは、ドライブレコーダ1で撮影された映像を鑑賞目的で利用する場合に、上書きを禁止する映像ファイルを場所や日付、時刻等のインデックス情報に基づいて指定することができるので、ドライブレコーダ1の利便性が向上する。
【0049】
ドライブレコーダ運用システム100は、交通事故、事件等が発生したときに警察が運用サーバ2に対し上書き禁止処理を行い、運用サーバ2から送出する上書き禁止指令に基づいてドライブレコーダ1で映像ファイルの上書きを禁止することができ、交通事故、事件等における証拠保持・保全に適用できる。また、タクシー会社やトラック運送会社が、管轄する車両に搭載したドライブレコーダ1の記録をシステム側で上書き禁止とする指示を行う車両管理等に適用することができる。
【0050】
また、ドライブレコーダ運用システム100は、複数のドライブレコーダ1から提供されるインデックス情報をもとに、特定の場所、日付および時刻において発生していた状況を映像で検証等する目的にも利用することができる。運用サーバ2は、複数のドライブレコーダ1からのインデックス情報をインデックス情報記憶部21に記憶している。運用サーバ2は、検索処理部25cによって、特定の場所、日付および時刻、それらの範囲を検索キーとする検索を実行し、複数のドライブレコーダ1のインデックス情報を抽出する。ドライブレコーダ運用システム100は、抽出されたインデックス情報に対応する映像ファイルの上書きを禁止することで、特定の場所、日付および時刻に対応する映像ファイルを複数のドライブレコーダ1で確保することができ、更に利便性が向上する。
【0051】
次に、実施形態に係るドライブレコーダ運用システム100、ドライブレコーダ1、運用方法および運用プログラムの特徴を説明する。
実施形態に係るドライブレコーダ運用システム100は、車両90周辺を時間的に連続して撮影し、複数の映像ファイルを生成して記録するドライブレコーダ1と、ドライブレコーダ1に通信接続される運用サーバ2と、を備える。ドライブレコーダ1は、複数の映像ファイルのそれぞれに対応するインデックス情報を生成し、インデックス情報を運用サーバ2へ送出し、運用サーバ2からの上書き禁止指令に基づいて映像ファイルの上書きを禁止する。運用サーバ2は、インデックス情報を指定する指示(操作入力)を受け付け、指定されたインデックス情報を含む上書き禁止指令をドライブレコーダ1へ送出する。これにより、ドライブレコーダ運用システム100は、運用サーバ2においてインデックス情報に基づいて上書きを禁止する映像ファイルが指定され、ドライブレコーダ1が保存する映像ファイルの上書きを禁止するので、ユーザによる利便性が向上する。
【0052】
また、インデックス情報が場所、日付および時刻を含むようにすることで、ユーザは、場所、日付および時刻に基づいて、上書きを禁止する映像ファイルを指定できるので、ユーザによる利便性が向上する。
【0053】
また、運用サーバ2は、インデックス情報を複数のドライブレコーダ1から取得し、取得したインデックス情報に基づいて検索処理を実行する。これにより、ドライブレコーダ運用システム100は、検索条件に対応する映像ファイルを複数のドライブレコーダ1において確保できるので、更に利便性が向上する。
【0054】
実施形態に係るドライブレコーダ1は、車両90周辺を時間的に連続して撮影する撮像部11aと、生成された複数の映像ファイルに、対応するインデックス情報を付加して保存する記憶媒体12とを備える。ドライブレコーダ1は、インデックス情報を外部装置である運用サーバ2へ送出するインデックス情報処理部16aと、運用サーバ2から取得するインデックス情報を含む上書き禁止指令に基づいて、映像ファイルの上書きを禁止する上書き禁止処理部16bとを備える。これにより、ドライブレコーダ1は、運用サーバ2において指定される上書き禁止指令によって映像ファイルの上書きを禁止することができるので、ユーザによる利便性が向上する。
【0055】
また実施形態に係る運用方法は、車両90周辺を時間的に連続して撮影する撮像ステップと、生成された複数の映像ファイルに、対応するインデックス情報を付加して保存する記憶ステップとを備える。運用方法は、インデックス情報を外部装置である運用サーバ2へ送出するインデックス情報処理ステップと、運用サーバ2から取得するインデックス情報を含む上書き禁止指令に基づいて、映像ファイルの上書きを禁止する上書き禁止処理ステップとを備える。この運用方法によって、運用サーバ2において指定される上書き禁止指令に基づいてドライブレコーダ1に保存された映像ファイルの上書きを禁止することができるので、ユーザによる利便性が向上する。
【0056】
また実施形態に係る運用プログラムは、車両90周辺を時間的に連続して撮影する撮像ステップと、生成された複数の映像ファイルに、対応するインデックス情報を付加して保存する記憶ステップとをコンピュータに実行させる。運用プログラムは、インデックス情報を外部装置である運用サーバ2へ送出するインデックス情報処理ステップと、運用サーバ2から取得するインデックス情報を含む上書き禁止指令に基づいて、映像ファイルの上書きを禁止する上書き禁止処理ステップとをコンピュータに実行させる。この運用プログラムによって、運用サーバ2において指定される上書き禁止指令に基づいてドライブレコーダ1に保存された映像ファイルの上書きを禁止することができるので、ユーザによる利便性が向上する。
【0057】
以上、本発明の実施の形態をもとに説明した。これらの実施の形態は例示であり、いろいろな変形および変更が本発明の特許請求範囲内で可能なこと、またそうした変形例および変更も本発明の特許請求の範囲にあることは当業者に理解されるところである。従って、本明細書での記述および図面は限定的ではなく例証的に扱われるべきものである。
【符号の説明】
【0058】
1 ドライブレコーダ、 2 運用サーバ(外部装置)、 11a 撮像部、
12 記憶媒体、 16a インデックス情報処理部、
16b 上書き禁止処理部、 100 ドライブレコーダ運用システム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8