(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る蓄電素子は、電極が巻回されてなる電極体と、電極体を収容する容器と、容器と電極体との間に介在するスペーサとを備え、スペーサは、電極体の巻回軸方向における電極体の一端部から他端部まで、電極体の湾曲部の表面の一部を露出する開口部を有する。
【0010】
この構成によれば、スペーサの開口部が、電極体の巻回軸方向の一端部から他端部まで、電極体の湾曲部の表面の一部を露出しているので、この開口部分に電極体を配置することができる。したがって、電極体の設置空間を広くすることができ、蓄電素子全体を大きくしなくとも、電極体の外形寸法を大きくして、容量を高めることができる。
【0011】
また、本発明の一態様に係る蓄電素子は、電極体の湾曲部の表面の一部が、開口部内に配置されていてもよい。
【0012】
この構成によれば、電極体の表面の一部が開口部内に配置されているので、電極体の設置空間を開口部内まで広げることができる。したがって、電極体の外形寸法をより大きくすることができる。
【0013】
また、本発明の一態様に係る蓄電素子は、電極体の表面の一部と、スペーサの外表面とが面一となっていてもよい。
【0014】
この構成によれば、開口部から露出する電極体の表面の一部と、スペーサの外表面とが面一であるので、開口部全体を電極体の設置空間とすることができる。したがって、電極体の外形寸法を一層大きくすることができ、蓄電素子の容量をより高めることができる。
【0015】
また、本発明の一態様に係る蓄電素子は、電極体は、湾曲部を2つ有する長円状であり、スペーサは、2つの湾曲部に対して個別に設けられていてもよい。
【0016】
この構成によれば、長円状である電極体の2つの湾曲部毎にスペーサが個別に設けられているので、スペーサを簡素な構成で形成することができる。
【0017】
また、本発明の一態様に係る蓄電素子は、電極体は、当該電極体の巻回軸方向の一端部が、容器の蓋板に対向する位置に配置されていてもよい。
【0018】
この構成によれば、電極体の巻回軸方向の一端部が容器の蓋板に対向するように電極体が配置されているので、いわゆる横巻きの電極体とすることによって容量を高めることができる。また、スペーサは、容器と電極体との間において、蓋板の主面に対して交差する方向に沿って配置されることになるので、容器に電極体を収容する際にスペーサをガイドとして用いることができ、電極体をスムーズに容器内に案内することができる。
【0019】
また、本発明の一態様に係る蓄電素子は、容器は、巻回軸方向から見て矩形状の収容凹部を有し、スペーサは、収容凹部の短辺をなす側面に沿って配置されていてもよい。
【0020】
この構成によれば、スペーサが収容凹部の短辺をなす側面に沿って配置されているので、収容凹部の長辺をなす側面に沿ってスペーサを配置する場合と比してもスペーサを小さくすることができる。したがって、電極体の設置空間をより確保することができ、電極体の外形寸法を大きくすることができる。
【0021】
また、本発明の一態様に係る蓄電素子は、湾曲部の表面の一部が、湾曲部の頂点部分を含む領域であってもよい。
【0022】
この構成によれば、開口部によって露出される湾曲部の表面の一部に、当該湾曲部の頂点部分が含まれているので、開口部内に湾曲部の表面の一部を配置しやすくすることができる。
【0023】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態における蓄電素子について説明する。なお、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示したものではない。
【0024】
また、以下で説明する実施の形態は、本発明の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、製造工程の順序などは一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0025】
まず、
図1〜
図3を用いて、実施の形態における蓄電素子10の全般的な説明を行う。
【0026】
図1は、実施の形態に係る蓄電素子10の外観を示す斜視図である。
図2は、実施の形態に係る蓄電素子10の分解斜視図である。
図3は、実施の形態に係る蓋板構造体180の分解斜視図である。なお、
図3では、蓋板構造体180が有する正極集電体140及び負極集電体150に接合される正極リード板145及び負極リード板155は、破線で図示されている。
【0027】
また、
図1及び以降の図について、説明の便宜のため、Z軸方向を上下方向として説明しているが、実際の使用態様において、Z軸方向と上下方向とが一致しない場合もある。
【0028】
蓄電素子10は、電気を充電し、また、電気を放電することのできる二次電池である。具体的には、蓄電素子10は、リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池である。蓄電素子10は、例えば、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)またはプラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)等に適用される。なお、蓄電素子10は、非水電解質二次電池には限定されず、非水電解質二次電池以外の二次電池であってもよいし、キャパシタであってもよい。また、蓄電素子10は、一次電池であってもよい。
【0029】
図1及び
図2に示すように、蓄電素子10は、電極体400と、電極体400を収容する容器100とを備える。本実施の形態では、容器100の蓋板110に各種の要素が配置されることで構成された蓋板構造体180が、電極体400の上方に配置されている。容器100内においては、電極体400は、その一端部が蓋板構造体180に対向している。
【0030】
蓋板構造体180は、容器100の蓋板110、正極端子200、負極端子300、上部絶縁部材125及び135、下部絶縁部材120及び130、正極集電体140並びに負極集電体150を有する。
【0031】
正極端子200は、正極集電体140を介して電極体400の正極と電気的に接続され、負極端子300は、負極集電体150を介して電極体400の負極と電気的に接続される。これら正極端子200等の、電極体400と電気的に接続される導電部材のそれぞれは、下部絶縁部材120等の絶縁部材によって容器100と絶縁されている。
【0032】
上部絶縁部材125及び135並びに下部絶縁部材120及び130のそれぞれは、少なくとも一部が、容器100の壁部と導電部材との間に配置された絶縁部材である。本実施の形態では、略直方体の外形を有する容器100を形成する6つの壁部のうちの、上壁部を形成する蓋板110に沿って各絶縁部材が配置されている。
【0033】
本実施の形態に係る蓄電素子10は、上記構成に加え、蓋板構造体180と電極体400との間に配置された、上部スペーサ500と緩衝シート600とを有する。
【0034】
上部スペーサ500は、電極体400と蓋板110との間に配置され、蓋板構造体180の一部に係止される係止部510を有している。
【0035】
具体的には、上部スペーサ500は全体として平板状であり、かつ、2つの係止部510と、タブ部410及び420が挿入される(タブ部410及び420を貫通させる)2つの挿入部520とを有している。本実施の形態では、挿入部520は、上部スペーサ500において切り欠き状に設けられている。上部スペーサ500は、例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、または、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)等の絶縁性を有する素材によって形成されている。
【0036】
上部スペーサ500は、例えば、電極体400の上方(蓋板110の方向)への移動を直接的もしくは間接的に規制する部材、または、蓋板構造体180と電極体400との間における短絡を防止する部材として機能する。上部スペーサ500は、2つの係止部510を有し、2つの係止部510のそれぞれは、蓋板構造体180が有する取付部122または132に係止される。
【0037】
緩衝シート600は、発泡ポリエチレンなどの、柔軟性の高い多孔質な素材で形成されており、電極体400と上部スペーサ500との間の緩衝材として機能する部材である。
【0038】
また、本実施の形態では、電極体400の、電極体400と蓋板110との並び方向(Z軸方向)に交差する方向の側面(本実施の形態ではX軸方向の両側面)と、容器100の内周面との間にサイドスペーサ(スペーサ)700が配置されている。サイドスペーサ700は、例えば、電極体400の位置を規制する役割を果たしている。サイドスペーサ700の具体的な構成については、後述する。
【0039】
なお、蓄電素子10は、
図1〜
図3に図示された要素に加え、電極体400と容器100(本体111)の底113との間に配置された緩衝シートなど、他の要素を備えてもよい。また、蓄電素子10の容器100の内部には電解液(非水電解質)が封入されているが、電解液の図示は省略する。
【0040】
容器100は、本体111と、蓋板110とを備える。本体111及び蓋板110の材質は、特に限定されないが、例えばステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金など溶接可能な金属であるのが好ましい。
【0041】
本体111は、上面視矩形状の筒体であり、上面視矩形状の収容凹部112を備えるとともに、底113を備える。本体111の内方には、電極体400を覆う絶縁シート350が設けられている。
【0042】
本体111は、電極体400、絶縁シート350等を収容凹部112に収容後、蓋板110が溶接等されることにより、内部が密封されている。
【0043】
蓋板110は、収容凹部112の開口を閉塞する板状部材である。蓋板110には、
図2及び
図3に示されるように、ガス排出弁170、注液口117、貫通孔110a及び110b、並びに、2つの膨出部160が形成されている。ガス排出弁170は、容器100の内圧が上昇した場合に開放されることで、容器100の内部のガスを放出する役割を有する。
【0044】
注液口117は、蓄電素子10の製造時に電解液を注液するための貫通孔である。また、
図1〜
図3に示すように、蓋板110には、注液口117を塞ぐように、注液栓118が配置されている。つまり、蓄電素子10の製造時に、注液口117から容器100内に電解液を注入し、注液栓118を蓋板110に溶接して注液口117を塞ぐことで、電解液が容器100内に収容される。
【0045】
なお、容器100に封入される電解液としては、蓄電素子10の性能を損なうものでなければその種類に特に制限はなく様々なものを選択することができる。
【0046】
2つの膨出部160のそれぞれは、本実施の形態では、蓋板110の一部が膨出状に形成されていることで蓋板110に設けられており、例えば、上部絶縁部材125または135の位置決めに利用される。また、膨出部160の裏側(電極体400に対向する側)には上方に凹状の部分である凹部(図示せず)が形成されており、凹部の一部に、下部絶縁部材120または130の係合突部120bまたは130bが係合する。これにより、下部絶縁部材120または130も位置決めされ、その状態で蓋板110に固定される。
【0047】
上部絶縁部材125は、正極端子200と蓋板110とを電気的に絶縁する部材である。下部絶縁部材120は、正極集電体140と蓋板110とを電気的に絶縁する部材である。上部絶縁部材135は、負極端子300と蓋板110とを電気的に絶縁する部材である。下部絶縁部材130は、負極集電体150と蓋板110とを電気的に絶縁する部材である。上部絶縁部材125及び135は、例えば上部ガスケットと呼ばれる場合もあり、下部絶縁部材120及び130は、例えば下部ガスケットと呼ばれる場合もある。つまり、本実施の形態では、上部絶縁部材125及び135並びに下部絶縁部材120及び130は、電極端子(200または300)と容器100との間を封止する機能も有している。
【0048】
なお、上部絶縁部材125及び135、並びに、下部絶縁部材120及び130は、例えば上部スペーサ500と同様に、PC、PP、PE、またはPPS等の絶縁性を有する素材によって形成されている。また、下部絶縁部材120の、注液口117の直下に位置する部分には、注液口117から流入する電解液を電極体400の方向に導く貫通孔126が設けられている。
【0049】
また、下部絶縁部材120及び130には、サイドスペーサ700に係合する係合部121及び131が設けられている。具体的には、係合部121及び131は、下部絶縁部材120及び130の外側の一端部から突出している。係合部121及び131がサイドスペーサ700に係合することによって、サイドスペーサ700に対する下部絶縁部材120及び130の位置が決められる。ひいてはサイドスペーサ700に対する蓋板構造体180の位置が決められる。この係合部121及び131とサイドスペーサ700との係合状態については後述する。
【0050】
図1〜
図3に示すように、正極端子200は、正極集電体140を介して、電極体400の正極に電気的に接続された電極端子である。負極端子300は、負極集電体150を介して、電極体400の負極に電気的に接続された電極端子である。つまり、正極端子200及び負極端子300は、電極体400に蓄えられている電気を蓄電素子10の外部空間に導出し、また、電極体400に電気を蓄えるために蓄電素子10の内部空間に電気を導入するための金属製の電極端子である。なお、正極端子200及び負極端子300は、アルミニウムまたはアルミニウム合金などで形成されている。
【0051】
また、正極端子200には、容器100と正極集電体140とを締結する締結部210が設けられている。負極端子300には、容器100と負極集電体150とを締結する締結部310が設けられている。
【0052】
締結部210は、正極端子200から下方に延設された部材(リベット)であり、正極集電体140の貫通孔140aに挿入されてかしめられる。具体的には、締結部210は、上部絶縁部材125の貫通孔125a、蓋板110の貫通孔110a、下部絶縁部材120の貫通孔120a、及び、正極集電体140の貫通孔140aに挿入されてかしめられる。これにより、正極端子200と正極集電体140とが電気的に接続され、正極集電体140は、正極端子200、上部絶縁部材125及び下部絶縁部材120とともに、蓋板110に固定される。
【0053】
締結部310は、負極端子300から下方に延設された部材(リベット)であり、負極集電体150の貫通孔150aに挿入されてかしめられる。具体的には、締結部310は、上部絶縁部材135の貫通孔135a、蓋板110の貫通孔110b、下部絶縁部材130の貫通孔130a、及び、負極集電体150の貫通孔150aに挿入されてかしめられる。これにより、負極端子300と負極集電体150とが電気的に接続され、負極集電体150は、負極端子300、上部絶縁部材135及び下部絶縁部材130とともに、蓋板110に固定される。
【0054】
なお、締結部210は、正極端子200との一体物として形成されていてもよく、正極端子200とは別部品として作製された締結部210が、かしめまたは溶接などの手法によって正極端子200に固定されていてもかまわない。締結部310と負極端子300との関係についても同様である。
【0055】
正極集電体140は、電極体400と容器100との間に配置され、電極体400と正極端子200とを電気的に接続する部材である。正極集電体140は、アルミニウムまたはアルミニウム合金などで形成されている。本実施の形態では、正極集電体140は、リード板としての正極リード板145を介して電極体400の正極側のタブ部410と電気的に接続される。正極リード板145は、正極集電体140と同様に、アルミニウムまたはアルミニウム合金などで形成されている。
【0056】
負極集電体150は、電極体400と容器100との間に配置され、電極体400と負極端子300とを電気的に接続する部材である。負極集電体150は、銅または銅合金などで形成されている。本実施の形態では、負極集電体150は、リード板としての負極リード板155を介して電極体400の負極側のタブ部420と電気的に接続される。負極リード板155は、負極集電体150と同様に、銅または銅合金などで形成されている。
【0057】
なお、リード板を介した集電体とタブ部との接続部分の詳細については後述する。
【0058】
次に、電極体400の構成について、
図4を用いて説明する。
【0059】
図4は、実施の形態に係る電極体400の構成を示す斜視図である。なお、
図4は、電極体400の巻回状態を一部展開して図示している。
【0060】
電極体400は、電気を蓄えることができる蓄電要素(発電要素)である。電極体400は、正極450及び負極460と、セパレータ470a及び470bとが交互に積層されかつ巻回されることで形成されている。つまり、電極体400は、正極450と、セパレータ470aと、負極460と、セパレータ470bとがこの順に積層され、かつ、断面が長円形状になるように巻回されることで形成されている。
【0061】
正極450は、アルミニウムまたはアルミニウム合金などからなる長尺帯状の金属箔である正極基材層の表面に、正極活物質層が形成された電極板である。なお、正極活物質層に用いられる正極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵放出可能な正極活物質であれば、適宜公知の材料を使用できる。例えば、正極活物質として、LiMPO
4、LiMSiO
4、LiMBO
3(MはFe、Ni、Mn、Co等から選択される1種または2種以上の遷移金属元素)等のポリアニオン化合物、チタン酸リチウム、マンガン酸リチウム等のスピネル化合物、LiMO
2(MはFe、Ni、Mn、Co等から選択される1種または2種以上の遷移金属元素)等のリチウム遷移金属酸化物等を用いることができる。
【0062】
負極460は、銅または銅合金などからなる長尺帯状の金属箔である負極基材層の表面に、負極活物質層が形成された電極板である。なお、負極活物質層に用いられる負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵放出可能な負極活物質であれば、適宜公知の材料を使用できる。例えば、負極活物質として、リチウム金属、リチウム合金(リチウム−アルミニウム、リチウム−鉛、リチウム−錫、リチウム−アルミニウム−錫、リチウム−ガリウム、及びウッド合金等のリチウム金属含有合金)の他、リチウムを吸蔵・放出可能な合金、炭素材料(例えば黒鉛、難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素、低温焼成炭素、非晶質カーボン等)、金属酸化物、リチウム金属酸化物(Li
4Ti
5O
12等)、ポリリン酸化合物などが挙げられる。
【0063】
セパレータ470a及び470bは、樹脂からなる微多孔性のシートである。なお、蓄電素子10に用いられるセパレータ470a及び470bの素材としては、蓄電素子10の性能を損なうものでなければ適宜公知の材料を使用できる。
【0064】
正極450は、巻回軸方向の一端において外方に突出する複数の突出部411を有する。負極460も同様に、巻回軸方向の一端において外方に突出する複数の突出部421を有する。これら、複数の突出部411及び複数の突出部421は、活物質が塗工されず基材層が露出した部分(活物質未塗工部)である。
【0065】
なお、巻回軸とは、正極450及び負極460等を巻回する際の中心軸となる仮想的な軸であり、本実施の形態では、電極体400の中心を通るZ軸方向に平行な直線である。
【0066】
複数の突出部411と複数の突出部421とは、巻回軸方向の同一側の端(
図4におけるZ軸方向プラス側の端)に配置され、正極450及び負極460が積層されることにより、電極体400の所定の位置で積層される。具体的には、複数の突出部411は、正極450が巻回によって積層されることにより、巻回軸方向の一端において周方向の所定の位置で積層される。また、複数の突出部421は、負極460が巻回によって積層されることにより、巻回軸方向の一端において、複数の突出部411が積層される位置とは異なる周方向の所定の位置で積層される。
【0067】
その結果、電極体400には、複数の突出部411が積層されることで形成されたタブ部410と、複数の突出部421が積層されることで形成されたタブ部420とが形成される。タブ部410は、例えば積層方向の中央に向かって寄せ集められて、正極リード板145と、例えば超音波溶接によって接合される。また、タブ部420は、例えば積層方向の中央に向かって寄せ集められて、負極リード板155と、例えば超音波溶接によって接合される。タブ部410と接合された正極リード板145は、正極集電体140と接合され、タブ部420と接合された正極リード板145は負極集電体150と接合される。
【0068】
なお、タブ部(410,420)は、電極体400において、電気の導入及び導出を行う部分であり、「リード(部)」、「集電部」等の他の名称が付される場合もある。
【0069】
ここで、タブ部410は、基材層が露出した部分である突出部411が積層されることで形成されているため、発電に寄与しない部分となる。同様に、タブ部420は、基材層が露出した部分である突出部421が積層されることで形成されているため、発電に寄与しない部分となる。一方、電極体400のタブ部410及び420と異なる部分は、基材層に活物質が塗工された部分が積層されることで形成されているため、発電に寄与する部分となる。以降、当該部分を本体部430と称する。本体部430のX軸方向における両端部は、その外周面が湾曲した湾曲部431及び432となる。このように、電極体400は、湾曲部431及び432を2つ有する長円状に形成されている。
【0070】
また、本体部430における巻回軸方向(Z軸方向)の一端部及び他端部には、それぞれ3箇所に接着テープ370が取り付けられており、巻きズレが防止されている(
図9参照)。
【0071】
図5は、実施の形態に係る電極体400の本体部430に対する接着テープ370の接着状態を模式的に示す断面図である。
【0072】
図5では、本体部430の下端部に貼り付けられた一つの接着テープ370と、当該接着テープ370の両端部により挟まれた正極450、負極460、セパレータ470a及び470bの状態を示している。その他の接着テープ370における接着状態についても同様であるのでその説明を省略する。なお、
図5においては、正極450、負極460、セパレータ470a及び470bは、実際の巻回数には対応しておらず、簡略化して示す。
【0073】
図5に示すように、セパレータ470a及び470bの端部は、正極450と負極460とからはみ出している。この接着テープ370は、セパレータ470a及び470bのはみ出し部分470c及び470dを中央に寄せるように、当該接着テープ370の両端部が本体部430の外周面に接着されている。これにより、接着テープ370のない部分においても、セパレータ470a及び470bのはみ出し部分470c及び470dが、本体部430の端部を閉塞することになり、本体部430の巻きズレを抑えつつ、本体部430内への異物混入を防止する。
【0074】
次に、サイドスペーサ700の具体的な構成について説明する。
【0075】
図6は実施の形態に係るサイドスペーサ700を内方から見た正面図である。
図7は
図6におけるVII−VII線を通るXY平面で切断した場合のサイドスペーサ700の断面図である。
図8は実施の形態に係るサイドスペーサ700の上面視図である。なお、
図6では、電極体400の本体部430の外形を二点鎖線で示している。また、
図8では、下部絶縁部材130の係合部131がサイドスペーサ700に係合した状態を示している。正極側についても同様の構成であるので、ここでは説明を省略する。
【0076】
図6〜
図8に示すように、サイドスペーサ700は、巻回軸方向(Z軸方向)に延在する長尺状の部材であり、PC、PP、PE、またはPPS等の絶縁性を有する素材によって形成されている。サイドスペーサ700は、基部710と、壁体720と、底板730とを有する。
【0077】
基部710は、天板711と、壁部712とを有する。
【0078】
天板711は、角部の一部がR形状となった上面視略矩形状に形成されている。この天板711の上面に壁部712が形成されている。
【0079】
壁部712は、周壁713と、内壁714とを有する。
【0080】
周壁713は、天板711の一辺に対応する部分を開放し、その他の天板711の辺に沿って天板711から立設している。内壁714は、周壁713の内方に配置されており、周壁713に連続して内方に向けて延在するように、平行に3つ天板711から立設している。周壁713及び内壁714は、Z軸方向の端面が面一となっている。また、3つの内壁714のうち、中央に配置される内壁714aは、他の2つの内壁714bよりもX軸方向に長く形成されている。この中央の内壁714aの先端部は、下部絶縁部材120及び130の係合部121及び131が係合する位置決め部715である。
【0081】
壁体720は、Z軸方向に延在しており、その一端部には天板711が連結されていて、他端部には底板730が連結されている。壁体720におけるY軸方向における中央部には、壁体720を開放する開口部740が形成されている。開口部740は、天板711から底板730まで開放するようにZ軸方向に沿って形成されている。
【0082】
壁体720のうち、開口部740を挟んで対向する部分を第1壁体720a、第2壁体720bとする。第1壁体720a及び第2壁体720bは、Z軸方向における一端から他端まで一様な形状となっている。また、
図7に示すように、第1壁体720a及び第2壁体720bの断面形状は、内表面が全体として滑らかな凹曲面となっている。他方、第1壁体720a及び第2壁体720bの外表面は、容器100の本体111の内面形状に対応するように、全体として滑らかな凸曲面となっている。
【0083】
底板730は、天板711と同様に、角部の一部がR形状となった上面視略矩形状に形成されている。この底板730の上面に壁体720が連結されている。
【0084】
次に、サイドスペーサ700を電極体400に組み付けた状態について
図7及び
図9に基づいて説明する。
【0085】
図9は、実施の形態に係るサイドスペーサ700と電極体400との組付け状態を示す斜視図である。
【0086】
図9に示すように、サイドスペーサ700は、電極体400の湾曲部431及び432に対して個別に取り付けられている。具体的には、サイドスペーサ700は、開口部740内に、湾曲部431及び432における巻回軸方向の一端部から他端部までが収容されるように、電極体400に取り付けられている。
【0087】
図7では、湾曲部432の外形を二点鎖線で示している。なお、湾曲部431及び432は概ね同じ外形であるため、ここでは、サイドスペーサ700と湾曲部432との位置関係を例示して説明し、サイドスペーサ700と湾曲部431との位置関係についての説明は省略する。
図7に示すように、サイドスペーサ700は、湾曲部432の表面の一部に対して壁体720の外表面が面一となるように、電極体400に取り付けられている。ここで、湾曲部432の表面の一部は、湾曲部432の頂点部分を含む領域である。これにより、サイドスペーサ700の開口部740内に湾曲部432が収容される。また、壁体720の内表面は、凹曲面となっているので、湾曲部432の湾曲した表面形状を崩すことなく湾曲部432の表面に当接し、その形態を安定させる。
【0088】
そして、
図9に示すように、サイドスペーサ700は、接着テープ380によって、電極体400の本体部430に固定される。具体的には、サイドスペーサ700は、Z軸方向に所定の間隔をあけた2箇所が接着テープ380によって本体部430に固定されている。
【0089】
サイドスペーサ700が電極体400の本体部430に固定されると、
図9に示すように、サイドスペーサ700は、巻回軸方向における本体部430の一端部から他端部まで延在している。このとき、サイドスペーサ700の底板730は、本体部430の他端部を覆っている。また、サイドスペーサ700の一端部である基部710は、本体部430の一端から巻回軸方向で所定の隙間S1だけ離間している。
【0090】
次に、サイドスペーサ700と下部絶縁部材120及び130との接続状態について
図8に基づいて説明する。
【0091】
なお、下部絶縁部材120及び130のそれぞれとサイドスペーサ700との接続状態は同等である。このため、以下では、下部絶縁部材130とサイドスペーサ700との接続状態を例示して説明し、下部絶縁部材120とサイドスペーサ700との接続状態についての説明は省略する。
【0092】
図8に示すように、係合部131は、下部絶縁部材130の外方の一端部から突出している。係合部131の両側部には、係合部131の全長にわたって延在するリブ133が設けられている。このリブ133によって、係合部131全体の強度が高められている。また、係合部131の先端の中央には、X軸方向に沿って凹んだ切欠き部131aが設けられている。切欠き部131aはサイドスペーサ700の天板711上で位置決め部715に係合する。具体的には、切欠き部131aは、Z軸方向で貫通されており、かつX軸方向プラス側が開放されているので、Z軸方向及びX軸方向から位置決め部715に係合可能となっている。切欠き部131aは、位置決め部715に係合すると、Z軸方向に交差する方向の移動、より具体的にはY軸方向の移動が位置決め部715によって規制される。つまり、下部絶縁部材130の全体のY軸方向の移動が規制されるので、この下部絶縁部材130を有する蓋板構造体180のY軸方向に移動も規制されて、蓋板構造体180の位置が決められる。
【0093】
図10は、実施の形態に係る蓋板構造体180とサイドスペーサ700との位置決め後における位置関係を示す側面図である。
【0094】
図10に示すように、サイドスペーサ700の一端部である基部710は、蓋板構造体180の一部である蓋板110に対して当接している。具体的には、基部710の壁部712の一端面が蓋板110に対して当接している。この状態においても、上述したように、基部710は、電極体400の本体部430の一端から巻回軸方向で所定の隙間S1だけ離間している(
図6参照)。これにより、蓋板構造体180が上方から押圧されたとしても、その力が本体部430の一端部に作用することが抑制されている。
【0095】
次に、リード板を介した集電体とタブ部との接続部分の構成例について
図11を用いて説明する。
【0096】
図11は、実施の形態に係る蓋板構造体180及びその周辺の構造を示す断面概要図である。なお、
図11には、
図3におけるXI−XI線を通るYZ平面で切断した場合の蓄電素子10の一部の断面が図示されており、X軸方向プラス側のサイドスペーサ700(
図2参照)の図示は省略されている。また、電極体400は簡略化されて図示されている。
【0097】
図11に示すように、電極体400のタブ部420と、負極集電体150とは、断面がU字状の負極リード板155を介して電気的に接続されている。このような接続構造は、例えば以下の手順で作製される。
【0098】
平板状の負極リード板155の端部(第一端部)と電極体400のタブ部420とを、例えば超音波溶接によって接合する。さらに、負極リード板155の第一端部とは反対側の端部(第二端部)を、蓋板構造体180に組み込まれた負極集電体150と、例えばレーザー溶接によって接合する。その後、負極リード板155を、第一端部と第二端部との間の所定の位置で折り曲げることでU字状に変形させる。その結果、
図11に示すように、断面がU字状の負極リード板155を介した、電極体400のタブ部420と負極集電体150との接続構造が形成される。
【0099】
そして、本体部430の、タブ部420が設けられた側の端部と蓋板110との間には、上部スペーサ500が配置されている。より詳細には、上部スペーサ500によって、タブ部420と負極リード板155との接合部分と、電極体400の本体部430とが仕切られている。タブ部420は、上部スペーサ500に設けられた挿入部520に挿入されて配置されている。また、上部スペーサ500と電極体400の本体部430との間には、緩衝シート600が挟まれている。
【0100】
なお、
図11では負極リード板155周辺の構造について図示し、その説明を行ったが、正極リード板145周辺の構造も同様である。すなわち、電極体400のタブ部410と、正極集電体140とは、断面がU字状の正極リード板145(例えば
図2参照)を介して電気的に接続されている。また、上部スペーサ500によって、タブ部410と正極リード板145との接合部分と、電極体400の本体部430とが仕切られており、タブ部410は、上部スペーサ500に設けられた挿入部520に挿入されて配置される。
【0101】
このように、電極体400と、正極集電体140及び負極集電体150とを、正極リード板145及び負極リード板155とを介して接続することで、電極体400のタブ部410及び420の長さ(巻回軸方向(Z軸方向)の長さ)を比較的短くすることができる。
【0102】
つまり、電極体400の製造に必要な、正極450及び負極460の電極板の幅(巻回軸方向(Z軸方向)の長さ)を比較的短くすることができる。このことは、例えば電極体400の製造効率の観点から有利である。
【0103】
そして、
図11に示すように、電極体400の本体部430と、絶縁シート350との間には、結束シート360が配置されている。
【0104】
図12は、実施の形態に係る電極体400に対する結束シート360の結束状態を示す斜視図である。
【0105】
図12に示すように、電極体400の本体部430には、結束シート360が巻きつけられている。具体的には、結束シート360は、本体部430の形態を安定させる帯状部材であり、本体部430の外周部に巻きつけられている。結束シート360は、一端部が他端部に重ねられており、その結束シート360の端部同士が接着テープ390によって固定されている。なお、接着テープ390以外にも接着剤、熱溶着等によって結束シート360の端部同士を固定してもよい。また、環状の結束部材を用いてもよい。そして、結束シート360は、耐電解液性を有する絶縁材料から形成されている。絶縁材料としては、具体的には、PC、PP、PE、またはPPS等が挙げられる。なお、結束シート360を本体部430に巻き付ける工程は、本体部430の形態が安定している場合は省略してもよい。
【0106】
接着テープ370,380及び390は、基材が耐電解液性を有する絶縁材料から形成されている。絶縁材料としては、具体的には、PC、PP、PE、またはPPS等が挙げられる。また、接着テープ370及び380の基材の一面に設けられた接着層においても、耐電解液性及び絶縁性を有する接着剤により形成されている。
【0107】
次に、蓄電素子10の製造方法について説明する。
【0108】
まず、正極リード板145となる平板に電極体400のタブ部410を溶接するとともに、負極リード板155となる平板に電極体400のタブ部420を溶接する。その後、蓋板構造体180を組み立ててから、蓋板構造体180の正極集電体140に対して正極リード板145となる平板を溶接するとともに、負極集電体150に対して負極リード板155となる平板を溶接する。溶接後においては、正極リード板145となる平板と、負極リード板155となる平板とをそれぞれ折り曲げることで、正極リード板145及び負極リード板155を形成する。
【0109】
次いで、電極体400の本体部430に対してサイドスペーサ700を取り付ける。具体的には、
図7に示すように、本体部430の湾曲部431及び432毎に個別にサイドスペーサ700を取り付ける。湾曲部431側においては、蓋板構造体180の一部である下部絶縁部材120の係合部121にサイドスペーサ700の位置決め部715を係合させて、両者の位置を決めてから、サイドスペーサ700を本体部430に接着テープ380で固定する。他方、湾曲部432側においても同様の工程で、サイドスペーサ700を本体部430に接着テープ380で固定する。固定後においては、
図10に示すように、蓋板構造体180の一部である蓋板110が、サイドスペーサ700の一端部である基部710に当接した状態となる。
【0110】
次いで、
図12に示すように、電極体400の本体部430に対して結束シート360を巻きつけて、接着テープ390で結束シート360の端部同士を固定する。
【0111】
図13は、実施の形態に係る蓄電素子10の製造方法の一工程を示す斜視図である。
【0112】
図13に示すように、結束シート360が巻きつけられた電極体400は、その状態で容器100の本体111に収容される。
【0113】
そして、
図10に示すように、サイドスペーサ700の基部710が、蓋板構造体180の蓋板110に対して当接しているので、蓋板構造体180が押されることにより、サイドスペーサ700及び電極体400が容器100の本体111の内方に向けて移動する。移動時においては、サイドスペーサ700が本体111の内周面に沿ってスライドするので、スムーズに本体111の内方まで電極体400が案内される。
【0114】
図14は、実施の形態に係るサイドスペーサ700と、電極体400と、容器100との位置関係を示す断面図である。なお、
図14においては、電極体400の本体部430の湾曲部432の外形を二点鎖線で示している。
【0115】
図14に示すように、サイドスペーサ700は、巻回軸方向から見て収容凹部112の短辺をなす側面に沿って配置されている。収容凹部112の内面形状は、角部がR形状となっている。このR形状に対応するように、サイドスペーサ700の壁体720の外表面が滑らかな凸曲面となっているので、サイドスペーサ700が本体111に密着して、電極体400を安定して保持することになる。また、湾曲部432の表面の一部と、壁体720の外表面とが面一となるように、電極体400の湾曲部432がサイドスペーサ700の開口部740内に配置されている。これにより、サイドスペーサ700を用いつつ、電極体400の本体部430を本体111内にみっしりと収容することができる。容器100の本体111に電極体400等が収容されると、電極体400は、本体部430の一端部が蓋板構造体180に対向する。
【0116】
その後、本体111に蓋板110を溶接して、容器100を組み立てる。
【0117】
次いで、注液口117から電解液を注液した後、注液栓118を蓋板110に溶接して注液口117を塞ぐことで、蓄電素子10が製造される。
【0118】
以上のように、本実施の形態によれば、サイドスペーサ700の開口部740が、電極体400の巻回軸方向の一端部から他端部まで、電極体400の湾曲部431及び432の表面の一部を露出しているので、この開口部740に電極体400の本体部430を配置することができる。したがって、電極体400の設置空間を広くすることができ、蓄電素子10全体を大きくしなくとも、電極体400の外形寸法を大きくして、容量を高めることができる。
【0119】
また、開口部740から露出する電極体400の表面の一部と、サイドスペーサ700の外表面とが面一であるので、開口部740全体を電極体400の設置空間とすることができる。したがって、蓄電素子10の容量をより高めることができる。
【0120】
また、電極体400の2つの湾曲部431及び432毎にサイドスペーサ700が個別に設けられているので、サイドスペーサ700を簡素な構成で形成することができる。
【0121】
また、電極体400の巻回軸方向の一端部が蓋板110に対向するように電極体400が配置されているので、いわゆる横巻きの電極体400とすることによって容量を高めることができる。また、サイドスペーサ700は、容器100と電極体400との間において、蓋板110の主面に対して交差する方向に沿って配置されることになるので、容器100に電極体400を収容する際にサイドスペーサ700をガイドとして用いることができ、電極体400をスムーズに容器100内に案内することができる。
【0122】
また、サイドスペーサ700が収容凹部112の短辺をなす側面に沿って配置されているので、収容凹部112の長辺をなす側面に沿ってサイドスペーサを配置する場合と比してもサイドスペーサ700を小さくすることができる。したがって、電極体400の設置空間をより確保することができ、電極体400の外形寸法を大きくすることができる。
【0123】
また、開口部740によって露出される湾曲部431及び432の表面の一部に、当該湾曲部431及び432の頂点部分が含まれているので、開口部740内に湾曲部の表面の一部を配置しやすくすることができる。
【0124】
(他の実施の形態)
以上、本発明に係る蓄電素子について、実施の形態に基づいて説明した。しかしながら、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を上記実施の形態に施したものも、あるいは、上記説明された複数の構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【0125】
例えば、蓄電素子10が備える電極体400の個数は1には限定されず、2以上であってよい。蓄電素子10が複数の電極体400を備える場合、同一体積(容積)の容器100に単数の電極体400を収容する場合に比べ、容器100のコーナー部のデッドスペースを減らすことができる。このため、容器100の容積に占める電極体400の割合を増加させることが可能となり、その結果、蓄電素子10の容量の増加が図られる。
【0126】
また、電極体400が有する正極側のタブ部410と負極側のタブ部420との位置関係は特に限定されない。例えば、巻回型の電極体400において、タブ部410とタブ部420とが巻回軸方向の互いに反対側に配置されていてもよい。また、蓄電素子10が、積層型の電極体を備える場合、積層方向から見た場合において、正極側のタブ部と負極側のタブ部とが異なる方向に突出して設けられていてもよい。
【0127】
また、サイドスペーサ700は、巻回軸方向における電極体400の一端から他端まで湾曲部431及び432を露出できるのであればその形状は如何様でもよい。例えば、上記実施の形態では、電極体400の湾曲部431及び432にそれぞれ個別に一体のサイドスペーサ700が設けられている場合を例示した。しかしながら、サイドスペーサは分割されていてもよい。
【0128】
図15は、実施の形態に係るサイドスペーサの変形例が電極体400に取り付けられた状態を示す斜視図である。
【0129】
なお、以下の説明において、上記実施の形態の同一の部分においては、同一の符号を付してその説明を省略する場合がある。
【0130】
図15に示すように、サイドスペーサ700Aは、上記実施の形態のサイドスペーサ700をZ軸方向の略中央で分割したものであり、第1部材760と、第2部材770とを備える。第1部材760は、基部710と、壁体721とを有する。第2部材770は、底板730と、壁体722とを有する。第1部材760の壁体721と、第2部材770の壁体722とは、Z軸方向に所定の間隔をあけている。また、壁体721における第1壁体721a及び第2壁体721bの間のスリットと、壁体722における第1壁体722a及び第2壁体722bの間のスリットとが、開口部740aを形成する。この開口部740aによって、巻回軸方向における電極体400の一端から他端まで湾曲部431及び432の表面の一部が露出されることになる。
【0131】
また、上記実施の形態では、電極体400の各湾曲部431及び432にそれぞれ個別にサイドスペーサ700が設けられている場合を例示して説明した。しかし、複数のサイドスペーサが一体化されていてもよい。
【0132】
図16は、実施の形態に係るサイドスペーサの他の変形例が電極体400に取り付けられた状態を示す斜視図である。
【0133】
図16に示すように、各湾曲部431及び432に取り付けられたサイドスペーサ700Bは、梁部780によって連結されて一体化されている。具体的には、一対のサイドスペーサ700Bの一端部には、X軸方向に延在する梁部780が掛け渡されている。梁部780の設置箇所は、電極体400の容量を大幅に低減しない範囲であればどの場所であってもよい。このように、一対のサイドスペーサ700Bが梁部780によって一体化されているので、剛性を高めることができ、組立を容易に行うことが可能である。
【0134】
また、上記実施の形態では、サイドスペーサ700の壁体720外表面が滑らかな凸曲面である場合を例示して説明した。しかし、壁体720の外表面は、容器100の本体111の内面形状に対応していれば如何様の形状であってもよい。
【0135】
図17は、実施の形態に係るサイドスペーサの他の変形例と、容器100との位置関係を示す断面図である。
【0136】
図17に示すように、容器100Cの本体111cは、その内面形状が略直角の角部を有する形状となっている。サイドスペーサ700Cの壁体720cの外表面は、本体111cの内面形状に対応して、略直角の角部を有する形状となっている。この場合においても、サイドスペーサ700Cが本体111cに密着するので、電極体400を安定して保持することができる。
【0137】
また、上記実施の形態では、サイドスペーサ700の一端部である基部710に蓋板110が当接する場合を例示して説明した。しかし、基部710に当接する対象は、蓋板構造体180の一部であれば蓋板110以外の部分であってもよく、蓋板110よりも容器100の内方に位置する部材(例えば、下部絶縁部材120及び130、正極集電体140、負極集電体150等)でもよい。
【0138】
また、上記実施の形態では、サイドスペーサ700の位置決め部715が内壁714aの先端部であり、蓋板構造体180の係合部131が、位置決め部715に係合する切欠き部131aを有する場合を例示して説明した。しかし、位置決め部715及び係合部131の形状は、両者が係合し位置合わせできる形状であれば如何様でもよい。例えば、位置決め部715をZ軸方向に沿って突出するボスとして、前記ボスが挿入される孔を係合部131に設ける形態でもよい。この場合、Y軸方向に加えてX軸方向の移動も規制することができる。
【0139】
また、上記実施の形態では、電極体400における湾曲部431及び432の表面の一部と、サイドスペーサ700の外表面とが面一である場合を例示して説明した。しかしながら、湾曲部431及び432の表面の一部は、少なくとも開口部740内に配置されていればよい。この場合においても、電極体400の設置空間を開口部740内まで広げることが可能であるので、開口部740がない場合と比べれば電極体400の外形寸法を大きくすることができる。
【0140】
また、上記実施の形態では、絶縁シート350及び結束シート360を備える蓄電素子10を例示して説明したが、絶縁シート350及び結束シート360は必須ではない。
【0141】
なお、上記実施の形態及び上記変形例を任意に組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。