特許第6825611号(P6825611)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6825611
(24)【登録日】2021年1月18日
(45)【発行日】2021年2月3日
(54)【発明の名称】機器ケース及び時計
(51)【国際特許分類】
   G04B 37/05 20060101AFI20210121BHJP
【FI】
   G04B37/05 A
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-187932(P2018-187932)
(22)【出願日】2018年10月3日
(65)【公開番号】特開2020-56707(P2020-56707A)
(43)【公開日】2020年4月9日
【審査請求日】2019年8月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平山 千
【審査官】 佐々木 祐
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭56−121189(JP,U)
【文献】 特開2005−315866(JP,A)
【文献】 特開2001−235561(JP,A)
【文献】 特開2015−059916(JP,A)
【文献】 特開2015−121412(JP,A)
【文献】 特開2015−232560(JP,A)
【文献】 特開平09−189776(JP,A)
【文献】 特開2016−161566(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0313700(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 1/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース本体と、
前記ケース本体の視認側に配置される外装部材と、
前記ケース本体の裏面側に取り付けられるカバー部材と、
を備え、
前記外装部材には、前記ケース本体の裏面側に向かって延出する連結脚部が設けられており、
前記外装部材は、前記連結脚部が前記ケース本体及び前記カバー部材の少なくともいずれか一方に係止され、
前記カバー部材は、前記連結脚部を規制し、
前記連結脚部は、前記外装部材に対して着脱可能な別部材として構成されている機器ケース。
【請求項2】
前記連結脚部は複数設けられ、同一形状に形成されている請求項に記載の機器ケース。
【請求項3】
前記連結脚部は、前記ケース本体に対して係止され、
前記カバー部材は、前記ケース本体に取り付けられた取付状態において、前記連結脚部の前記ケース本体に対する動きを規制する規制部を備えている請求項1又は請求項に記載の機器ケース。
【請求項4】
前記連結脚部は、前記ケース本体を介して前記カバー部材に対して係止され、
前記カバー部材前記ケース本体に取り付けた取付状態において、前記連結脚部を規制する請求項1又は請求項に記載の機器ケース。
【請求項5】
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の機器ケースを備える時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器ケース及び時計に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、時計等の機器ケースの視認側にベゼルや加飾リング等の外装部材を取り付けたものが知られている。
このような外装部材を固定する手法としては、例えば、ケース本体等に接着剤や両面接着テープ等によって接着固定する、ケース本体等にねじ止め固定する、防水リング(パッキン)等を介して圧入固定する等の手法が挙げられる。
【0003】
この点、例えば、特許文献1には、外装部材(ベゼル)とケース内部のムーブメントとをねじ止め固定する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−311163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、外装部材(ベゼル)をケース本体等にねじ止めすることで固定すると、視認される外観面にねじが露出して外観を損なったり、デザインが制約されてしまうおそれがある。
また、接着剤を用いて固定する場合には、一旦外装部材(ベゼル)をケース本体等に接着固定してしまうと、壊さなければ取り外すことができない。このため、ケースの一部が破損して交換や修理をしようとした場合等に不便である。
さらに、接着剤は生分解性の悪いものがほとんどであり、接着剤による接着固定を行う場合に接着剤を塗布するための設備を用意する必要がある等取り扱いに注意が必要な場合もある。
【0006】
また、外装部材(ベゼル)が比較的重い材料で形成されている場合には、接着剤・両面接着テープを用いた接着固定や圧入固定では確実に固定することが難しく、十分な強度を確保することが難しい。使用しているうちに徐々に接着部分が剥がれたり、圧入部分が緩んだりすることで、外装部材が外れて脱落する等のおそれもある。
このため、結局ねじ止め等の他の固定手法を併用することが必要となってしまう。
【0007】
本発明は以上のような事情に鑑みてなされたものであり、ねじ等を用いることなく、簡易な構成で確実に外装部材をケース本体に固定することのできる機器ケース及び時計を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明に係る機器ケースは、
ケース本体と、
前記ケース本体の視認側に配置される外装部材と、
前記ケース本体の裏面側に取り付けられるカバー部材と、
を備え、
前記外装部材には、前記ケース本体の裏面側に向かって延出する連結脚部が設けられており、
前記外装部材は、前記連結脚部が前記ケース本体及び前記カバー部材の少なくともいずれか一方に係止され、
前記カバー部材は、前記連結脚部を規制し、
前記連結脚部は、前記外装部材に対して着脱可能な別部材として構成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ねじ等を用いることなく、簡易な構成で確実に外装部材をケース本体に固定することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態における時計ケースを備える時計の正面図である。
図2図1に示す時計を側面から見た斜視図である。
図3図1に示す時計ケースを斜め上方向から見た分解斜視図である。
図4】本実施形態における外装部材を斜め上方向から見た斜視図である。
図5】本実施形態における外装部材を斜め下方向から見た斜視図である。
図6図5におけるVI-VI線に沿う断面図である。
図7】本実施形態における連結脚部の斜視図である。
図8】本実施形態における連結脚部の連結状態を示す模式的な要部断面図である。
図9】本実施形態における連結脚部の連結状態の一変形例を示す模式的な要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1から図8を参照しつつ、本発明に係る機器ケース及び時計の一実施形態について説明する。
なお、以下に述べる実施形態では、機器ケースが時計のモジュール等を収納する時計ケースである場合を例として説明する。また、以下の実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0012】
図1は、本実施形態における時計ケースを備える時計の正面図であり、図2は、図1に示す時計を側面から見た斜視図である。また、図3は、図1に示す時計ケースを斜め上方向から見た分解斜視図である。
なお、時計100は、時計ケース10の他、この時計ケース10内に収納される図示しないモジュールや、モジュールにより動作する表示部等を備えている。
モジュール、表示部等、時計ケース10内に収納される各部材については、どのような構成のものを適用してもよく、本実施形態では、その図示及び説明を省略する。
【0013】
時計ケース10の外側面であって時計の12時方向側及び6時方向側(すなわち図1において上下両端部)には、時計バンド(図示せず)が取り付けられるバンド取付部11が設けられている。
また、時計ケース10の側部には、操作ボタン12が設けられている。操作ボタン12は時計ケース10内のモジュールに作用するものであり、操作ボタン12を押し込み又は回転させることによって各種操作が可能となるように構成されている。
【0014】
図3に示すように、本実施形態の時計ケース10は、ケース本体2を備えている。
ケース本体2は、上下(図3における上下、時計100における視認側と裏面側)に開口する筒状の枠体である。
このケース本体2の視認側(上側、表面側)には、外装部材3が配置されている。
また、ケース本体2の視認側(上側、表面側)の開口には、開口部分を覆うように風防部材としてのカバーガラス13が設けられている。カバーガラス13は、防水リング14等を介して外装部材3と密着しており、気密性が確保された状態でケース本体2の上側の開口を閉塞するようになっている。
また、ケース本体2の下側(裏面側)の開口には、開口部分を覆うように裏蓋17が防水リング16等を介して取り付けられている。裏蓋17の外周縁にはねじ孔171が形成されており、このねじ孔171にねじ18を挿通させ、裏蓋17をケース本体2にねじ止め固定することで、気密性が確保された状態でケース本体2の下側の開口を閉塞するようになっている。
【0015】
さらに、本実施形態では、ケース本体2の裏面側に、裏蓋17を裏面側から覆うように、カバー部材5が取り付けられている。カバー部材5は、裏面側からねじ孔53及び裏蓋17のねじ孔171を介してケース本体2に向かってねじを挿通させることで、ケース本体2に対してねじ止め固定されている。
カバーガラス13と裏蓋17とによって開口部分が閉塞される時計ケース10の内部には、モジュール枠体15に組付けられた図示しないモジュールや、モジュールと接続されて動作する図示しない表示部等が収納されている。
【0016】
本実施形態では、外装部材3には、ケース本体2の裏面側に向かって延出する連結脚部4が設けられており、外装部材3は、連結脚部4がケース本体2及びカバー部材5の少なくともいずれか一方に係止されることで、ケース本体2の視認側に配置された配置状態が維持されるように構成されている。
図4は外装部材3を斜め上方向から見た斜視図であり、図5は外装部材3を裏面側から見た斜視図である。また、図6は、図5におけるVI-VI線に沿う断面斜視図である。図7は、本実施形態の外装部材3に設けられる連結脚部4の斜視図である。さらに、図8は、本実施形態における連結脚部の連結状態を示す模式的な要部断面図である。
以下、図3から図8を参照しつつ、ケース本体2、連結脚部4を備える外装部材3、カバー部材5の構成について詳細に説明する。
【0017】
本実施形態のケース本体2は、例えばトロガミド(登録商標)等のナイロン系樹脂、ABS樹脂、ポリアリレート(PAR)等のスーパーエンジニアリング・プラスチックやポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)等のエンジニアリング・プラスチック等の硬質の合成樹脂、又は、チタニウムやステンレス鋼(SUS)、アルミニウム等の金属等で形成されている。なお、ケース本体2を形成する材料はここに例示したものに限定されない。
【0018】
図3に示すように、ケース本体2は、中空の短柱形状に形成された筒状部21と、筒状部21の外周に設けられたフランジ部22とを有している。
本実施形態においてフランジ部22は、ケース本体2の外周に沿って周方向の全体に亘って形成されている。
フランジ部22には、操作ボタン12が設けられる位置に対応して操作ボタン12を保護するボタンカバー23が形成されている。ボタンカバー23の内部には操作ボタン12の図示しない軸部が挿入される孔部23aが、筒状部21を貫通してケース本体2の内部に連通するように形成されている。
また、フランジ部22の裏面側(図3において下側、非視認側)には、裏蓋17を固定するためのねじ18やカバー部材5を固定するためのねじ19が固定される図示しないねじ孔が設けられており、ねじ孔にねじ18,19が固定されることで、裏蓋17及びカバー部材5がケース本体2の裏面側に固定されるようになっている。
【0019】
さらに本実施形態のフランジ部22には、後述する連結脚部4が挿入される脚部係止孔24が、外装部材3に設けられる連結脚部4の数や配置に対応して設けられている。
脚部係止孔24は、連結脚部4を挿入することが可能な幅、大きさに形成され、フランジ部22の表裏に貫通する貫通孔である。
脚部係止孔24の内側には、連結脚部4の係止凸部25が設けられている。
係止凸部25は、後述する連結脚部4の枠状部分である脚部本体41の係止孔411内に嵌るようになっており、これにより、連結脚部4を係止させる。
係止凸部25の上側、すなわち、ケース本体2に外装部材3を組付けた際に、連結脚部4が脚部係止孔24に挿入される挿入方向の上流側の面は、傾斜又はRが設けられた傾斜面25aとなっている。
後述するように、連結脚部4はばね性を有しており、挿入時には傾斜面25aと傾斜面412とが突き当たりつつ円滑に案内されて脚部係止孔24の外周側に押し広げられながら脚部係止孔24内に挿入される。そして、脚部本体41が係止凸部25を乗り越え、係止凸部25が脚部本体41に形成された係止孔411に係止される。これにより、脚部本体41が脚部係止孔24内に配置されて、係止されるようになっている(図8参照)。また、連結脚部4が係止されるので、外装部材3はケース本体2の上側(視認側)方向(図8において縦方向)への動きが規制される。
【0020】
本実施形態の外装部材3は、例えば、ケース本体2の上側に配置されるベゼルや各種の加飾部材等である
図3から図6に示すように、外装部材3は、ケース本体2の筒状部21の形状に沿うほぼ環状の本体部31を有している。本体部31の視認側(表面側)には目盛りや各種のロゴ、文字や数字等があしらわれている。
外装部材3は、例えばトロガミド(登録商標)等のナイロン系樹脂、ABS樹脂、ポリアリレート(PAR)等のスーパーエンジニアリング・プラスチックやポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)等のエンジニアリング・プラスチック等の合成樹脂、セラミック、ガラス、又は、チタニウムやステンレス鋼(SUS)、アルミニウム等の金属等で形成されている。なお、外装部材3を形成する材料はここに例示したものに限定されない。外装部材3は、硬質な材料で形成されたものに限らず、ウレタン樹脂等の軟性材料で形成されていてもよい。
【0021】
外装部材3の裏面側には、連結脚部4を装着するための脚部装着部32が設けられている。
図4及び図5では、脚部装着部32が外装部材3の周方向に沿って、ほぼ等間隔で6箇所形成されている。なお、脚部装着部32の数や配置は図示例に限定されない。6箇所よりも多くても少なくてもよい。脚部装着部32は、外装部材3をケース本体に係止させる連結脚部4を装着するものであるため、少なくとも2箇所設けられる。また、バランスよく係止させることができるように、脚部装着部32は、外装部材3の周方向に沿ってほぼ等間隔に配置されるか、互いに対向する位置に配置されることが好ましい。
なお、すべての脚部装着部32に連結脚部4が装着されていなくてもよい。例えば、6箇所の脚部装着部32のうち、1箇所おきに3つの連結脚部4が装着されてもよい。
このように、実際に装着される連結脚部4よりも多く脚部装着部32を形成しておくことで、機種や用途に応じて外装部材3に装着する連結脚部4の数を適宜調整することができ、汎用性が向上する。また、例えば一部の脚部装着部32が使用により摩耗して連結脚部4が外れやすくなった場合等には、代わりに他の脚部装着部32を利用する等により対応することも可能となる。
【0022】
脚部装着部32の形状は、装着される連結脚部4の形状に応じたものとなっている。
本実施形態において連結脚部4は、外装部材3に対して着脱可能な別部材として構成されるものであり、外装部材3に複数装着されている。連結脚部4は、すべてがほぼ同一形状に形成されている。このため、生産性に優れ、また、一部の連結脚部4が破損等した場合にも速やかに交換可能である。
図7及び図8に示すように、連結脚部4は、ケース本体2側に延出し、ケース本体2側に係止される脚部本体41と、外装部材3側に係止される基台部42とを備えている。
脚部本体41は、係止孔411を備える枠状部であり、脚部本体41におけるケース本体2への挿入側の端面は、傾斜又はRが付された傾斜面412となっている。
基台部42は、正面から見た場合にほぼH字状となっている。基台部42は、脚部本体41の高さ方向(図7において縦方向)とほぼ平行し、脚部本体41の両側に配置される一対の脚部421と、脚部421を横方向(図7において横方向)につなぐように設けられた係止部43とを有している。
図7及び図8に示すように、係止部43の一端側(脚部装着部32に装着された際の外周側)は、傾斜又はRが付された傾斜面431となっている。
【0023】
なお、本実施形態の連結脚部4は、例えばトロガミド(登録商標)等のナイロン系樹脂、ABS樹脂、ポリアリレート(PAR)等のスーパーエンジニアリング・プラスチックやポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)等のエンジニアリング・プラスチック等の硬質の合成樹脂、又は、チタニウムやステンレス鋼(SUS)、アルミニウム等の金属等の硬質な材料で形成されている。なお、連結脚部4を形成する材料はここに例示したものに限定されない。
連結脚部4は、外装部材3を形成する材料と同じ材料で形成されていてもよいし、異なる材料で形成されていてもよい。
連結脚部4は、多少のばね性を有するように形成されており、外装部材3に装着する際や、ケース本体2やカバー部材5に係止する際には、撓み変形することが可能となっている。これにより、容易かつ円滑に外装部材3への装着、ケース本体2やカバー部材5への係止を行うことができる。
【0024】
図7等に示す連結脚部4の形状に対応して、脚部装着部32は、外装部材3の内周側に脚部本体41が配置される本体挿入孔321が形成され、外周側に脚部421の長さ(高さ)に応じた深さを有し一対の脚部421が挿入される脚部挿入孔322が形成されている。
また、一対の脚部挿入孔322の間に挟まれた部分には、脚部装着部32の外周側の内側面からケース本体2の中央に向かって突出する係止凸部323が形成されている。連結脚部4が脚部装着部32に装着された状態において、係止凸部323は、連結脚部4の係止部43を係止させるようになっている。
なお、脚部装着部32内の各部にはRを付して、連結脚部4を着脱しやすいように構成してもよい。
【0025】
カバー部材5は、組付け状態において裏蓋17を覆う面を構成するカバー本体51とカバー本体51の外周縁から立設される規制部52とを有している。
規制部52は、カバー部材5をケース本体2に取り付けた取付状態において、連結脚部4のケース本体2に対する横(径)方向(図8において横方向)の動きを規制し、連結脚部4のケース本体2への係止状態を維持させるものである。本実施形態では、カバー部材5の装着時において、規制部52は、ケース本体2の係止凸部25に係止された連結脚部4に沿うように配置され、連結脚部4が脚部係止孔24から外れたり、脚部係止孔24内部でがたつくのを防ぐようになっている。なお、カバー部材5は、図3に示す規制部52の他にも、カバー部材5の装着時において、ケース本体2の係止凸部25に係止された連結脚部4に対応する箇所は規制部52として機能している。
カバー本体51の外周縁であって、裏蓋17においてねじ19を挿通させるねじ孔171に対応する位置には、ねじ孔53が形成されている。カバー本体51の裏面側からねじ孔53及びねじ孔171にねじ19を挿通させてケース本体2にねじ止めすることにより、カバー本体51がケース本体2に固定される。
また、カバー部材5のカバー本体51には、時計ケース10におけるバンド取付部11が一体的に連設されている。
【0026】
カバー部材5は、例えばトロガミド(登録商標)等のナイロン系樹脂、ABS樹脂、ポリアリレート(PAR)等のスーパーエンジニアリング・プラスチックやポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)等のエンジニアリング・プラスチック等の合成樹脂、セラミック、ガラス、又は、チタニウムやステンレス鋼(SUS)、アルミニウム等の金属等で形成されている。なお、カバー部材5を形成する材料はここに例示したものに限定されない。
【0027】
次に、本実施形態における時計ケース10及びこれを適用した時計100の作用について説明する。
【0028】
本実施形態において、時計ケース10を組み立てる際には、ケース本体2の裏面側の開口を塞ぐように防水リング16を介して裏蓋17をネジ18により取り付ける。
また、モジュール枠体15にセットしたモジュールや表示部等をケース本体2内に収納する。
そして、ケース本体2の表面側の開口を塞ぐように防水リング14を介してカバーガラス13を取り付ける。
また、外装部材3の脚部装着部32に連結脚部4を装着する。具体的には、脚部本体41が本体挿入孔321に対応し、基台部42の脚部421が脚部挿入孔322内に対応する位置に連結脚部4を配置して、連結脚部4を脚部装着部32内に押し込み、嵌装する。このとき、連結脚部4の基台部42はばね性によって撓み変形し、係止部43が係止凸部323を乗り越え、脚部421が脚部挿入孔322内に挿入されて、係止部43が係止凸部323に係止される、これにより、抜け落ちが防止された状態で連結脚部4が脚部装着部32内に取り付けられる。
【0029】
次に、連結脚部4が取り付けられた外装部材3を各連結脚部4が脚部係止孔24に対応する向きとなるように、ケース本体2の上部に配置する。
そして、連結脚部4を脚部係止孔24に挿入することで、外装部材3をケース本体2に取り付ける。
具体的には、連結脚部4の枠状部分である脚部本体41の枠内に脚部係止孔24の内側に形成された係止凸部25が嵌る位置まで外装部材3をケース本体2に対して押し込む。脚部本体41は、ばね性によって押し広げられながら脚部係止孔24内に押し込まれ、脚部本体41が係止凸部25を乗り越えると、脚部本体41の枠内に係止凸部25が嵌り込んで係止される。
これにより、連結脚部4がケース本体2に対して係止され、ケース本体2の上側(視認側)に外装部材3が配置された配置状態となる。
【0030】
そして、ケース本体2の上側(視認側)に外装部材3が配置された配置状態となると、ケース本体2の下側から裏蓋17を覆うようにカバー部材5を取り付ける。
このとき、連結脚部4が嵌装された脚部係止孔24に対応する位置に規制部52が位置するようにする。これにより、図8に示すように、規制部52が連結脚部4に沿うように配置され、連結脚部4の脚部本体41の枠内から係止凸部25が外れることが防止される。
カバー部材5は、ねじ19によって裏蓋17を介してケース本体2に固定される。
そして、このようにカバー部材5をケース本体2に取り付けた取付状態において、連結脚部4のケース本体2への係止状態が維持される。
これにより、本実施形態の時計100の組み立てが完了する。
【0031】
このため、本実施形態の時計ケース10では、連結脚部4をケース本体2に係止させることによって、ねじによる固定等によらずに、外装部材3をケース本体2に固定することができる。
そして、外装部材3の外観にねじ等が現れないため、デザイン等の制約のない時計100とすることができる。
【0032】
以上のように、本実施形態によれば、時計ケース10が、ケース本体2と、ケース本体2の視認側に配置される外装部材3とケース本体2の裏面側に取り付けられるカバー部材5とを備え、外装部材3には、ケース本体2の裏面側に向かって延出する連結脚部4が設けられており、外装部材3は、連結脚部4がケース本体2及びカバー部材5の少なくともいずれか一方に係止されることで、ケース本体2の視認側に配置された配置状態が維持されるようになっている。
このため、ねじ固定等の手法を用いずに、簡易な構成で、接着固定や圧入固定の場合よりも強固かつ安定して外装部材3をケース本体2に固定することができる。
そして、接着固定によらないため、取り扱いが容易であり、また、外装部材3の一部が破損した傷が付いたりした場合にも、外装部材3を容易にして取り外して交換や修理を行うことができる。
また、外装部材3の固定にねじ止めを用いないため、視認される外観面にねじが露出して外観を損なったり、デザインが制約されるおそれもなく、意匠性に優れた時計ケース10(機器ケース)を実現することができる。
【0033】
また本実施形態では、連結脚部4が外装部材3に対して着脱可能な別部材として構成されている。
これによれば、一部の連結脚部4が破損した場合等にも、消耗部品として簡易に交換が可能であり、修理等の際の対応が容易となる。
また、連結脚部4が硬質な材料で形成されていれば、外装部材3をケース本体2側に固定することが可能であり、外装部材3自体は軟性の材料で形成されていても構わない。このため、連結脚部4を外装部材3とは別部材とすることにより、外装部材3を形成する材料等について自由度が向上する。
【0034】
また、本実施形態では、連結脚部4が複数設けられており、これらが同一形状に形成されている。
このため、複数の連結脚部4によって外装部材3を確実かつ強固にケース本体2に固定することができる。
さらに、複数の連結脚部4は同一形状であるため、汎用品として大量生産が容易であり、低コストに抑えることができる。また、一部の連結脚部4が破損した場合等にも、消耗部品として簡易に交換が可能である。
【0035】
また、本実施形態では、カバー部材5に規制部52を設けて、カバー部材5がケース本体2に取り付けられた取付状態において、連結脚部4のケース本体2への係止状態が維持されるようになっている。
これにより、連結脚部4がケース本体2に係止されている場合に、カバー部材5を取り付けることで、より確実に連結脚部4のケース本体2への係止状態を維持させることができる。
【0036】
また、本実施形態に示した時計ケース10を時計100に適用した場合には、外装部材3等、外観に影響を与える部分にねじ等が現れず、美観を損なわない。
また、外装部材3は、外装部材3の裏面側(すなわち、非視認側)に設けられた連結脚部4によってケース本体2に固定されるため、表面側は自由にデザインすることができ、意匠性に優れた時計100を実現できる。
さらに、時計100のデザイン上、重厚感のあるベゼル等の外装部材3を時計ケース10に設ける場合でも、ねじ止め固定によることなく、外装部材3を強固にケース本体に取り付けることができる。
【0037】
なお、以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形が可能であることは言うまでもない。
【0038】
例えば、本実施形態では、外装部材3の連結脚部4がケース本体2に係止されている場合を例示したが、外装部材3は、連結脚部4がケース本体2及びカバー部材5の少なくともいずれか一方に係止されることで、ケース本体2の視認側に配置された配置状態が維持されるものであればよく、連結脚部4が係止されるのはケース本体2に限定されない。
例えば、連結脚部4がケース本体2とカバー部材5の双方に対して係止されるようにしてもよい。
また、例えば、図9に示すように、連結脚部4がケース本体2を介してカバー部材5に対して係止されるようにしてもよい。
この場合には、ケース本体2に連結脚部4を挿通させるだけの脚部係止孔24を設け、脚部係止孔24の内側に係止凸部25を設けない構成とする。
そして、カバー部材5の内側面であって、連結脚部4の脚部本体41の枠状の係止孔411に対応する位置(例えば図9では規制部52の内側面)に係止凸部54を設ける。この場合にも、係止凸部54における脚部本体41と突き当たる部分は、傾斜又はRを付した傾斜面54aとすることが好ましい。
この場合には、カバー部材5をケース本体2に取り付けた取付状態において、連結脚部4のケース本体2に対する横(径)方向(図9において横方向)の動きを規制し、連結脚部4のカバー部材5に対する係止状態が維持され、外装部材3がケース本体2に上側に配置された配置状態が維持される。
このような構成とした場合には、外装部材3をケース本体2に対して簡易に配置することができる。
そしてこの場合にも、ねじ等を用いずに容易に、外装部材3をケース本体2の上側に配置することができる。
【0039】
また、本実施形態では、図5等に示すように外装部材3の裏面側に6つの脚部装着部32が設けられている場合を例示したが、脚部装着部32が設けられる数はこれに限定されない。
連結脚部4を用いて外装部材3をケース本体に係止する場合、少なくとも2箇所で係止することが必要である。このため、脚部装着部32は2箇所以上設けられる。そして、外装部材3をケース本体に対してバランスよく係止するために、連結脚部4は、外装部材3の周方向における等間隔か、互いに対向する位置に配置されることが好ましく、脚部装着部32もこれに対応する位置に配置される。
【0040】
また、本実施形態では、連結脚部4を外装部材3とは別部材として形成し、外装部材3に対して着脱可能な構成としたが、連結脚部4は外装部材3と一体に形成されるものであってもよい。
この場合には、個別の部材である場合と比較して連結脚部4が紛失したり、意図せず外装部材から外れる等のおそれがなく、部材の管理が容易となる。
なお、この場合には、外装部材3と連結脚部4とを同じ材料で形成する必要があるため、連結脚部4を形成する材料に合わせて、外装部材3自体も硬質な材料で形成されることが好ましい。
【0041】
また、本実施形態では、連結脚部4がすべて同一形状に形成されている場合を例示したが、連結脚部4の形状等はこれに限定されない。
例えば、配置される位置等に応じて連結脚部4の大きさや形状を変えてもよい。
【0042】
また、本実施形態では、裏蓋17の他にカバー部材5を設けることとしたが、例えば、カバー部材が裏蓋を兼ねる構成として、この裏蓋と兼用されるカバー部材に、規制部52を設けたり、連結脚部4を係止させる構成を持たせてもよい。
この場合には、時計ケース10(機器ケース)の裏面側の構成をより単純化でき、部品点数も少なくすることができる。
【0043】
また、本実施形態では、機器ケースが時計ケース10であり、機器ケースが時計100に適用された場合を例示したが、機器ケースは時計に適用される場合に限定されない。
例えば、歩数計や心拍数計、高度計、気圧計等の機器ケースについて、本発明の機器ケースを適用してもよい。
【0044】
以上本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
〔付記〕
<請求項1>
ケース本体と、
前記ケース本体の視認側に配置される外装部材と、
前記ケース本体の裏面側に取り付けられるカバー部材と、
を備え、
前記外装部材には、前記ケース本体の裏面側に向かって延出する連結脚部が設けられており、
前記外装部材は、前記連結脚部が前記ケース本体及び前記カバー部材の少なくともいずれか一方に係止され、
前記カバー部材は、前記連結脚部を規制する機器ケース。
<請求項2>
前記連結脚部は、前記外装部材に対して着脱可能な別部材として構成されている請求項1に記載の機器ケース。
<請求項3>
前記連結脚部は複数設けられ、同一形状に形成されている請求項1又は請求項2に記載の機器ケース。
<請求項4>
前記連結脚部は、前記ケース本体に対して係止され、
前記カバー部材は、前記ケース本体に取り付けられた取付状態において、前記連結脚部の前記ケース本体に対する動きを規制する規制部を備えている請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の機器ケース。
<請求項5>
前記連結脚部は、前記ケース本体を介して前記カバー部材に対して係止され、
前記カバー部材を前記ケース本体に取り付けた取付状態において、前記連結脚部を規制する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の機器ケース。
<請求項6>
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の機器ケースを備える時計。
【符号の説明】
【0045】
2 ケース本体
3 外装部材
4 連結脚部
5 カバー部材
10 時計ケース
21 筒状部
22 フランジ部
24 脚部係止孔
25 係止凸部
25a 傾斜面
32 脚部装着部
41 脚部本体
42 基台部
43 係止部
52 規制部
54 係止凸部
54a 傾斜面
100 時計
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9