(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6825719
(24)【登録日】2021年1月18日
(45)【発行日】2021年2月3日
(54)【発明の名称】半導体装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/28 20060101AFI20210121BHJP
H01L 21/768 20060101ALI20210121BHJP
H01L 23/522 20060101ALI20210121BHJP
H01L 23/532 20060101ALI20210121BHJP
H01L 21/3205 20060101ALI20210121BHJP
H01L 21/283 20060101ALI20210121BHJP
H01L 29/417 20060101ALI20210121BHJP
H01L 29/41 20060101ALI20210121BHJP
H01L 29/78 20060101ALI20210121BHJP
H01L 29/739 20060101ALI20210121BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20210121BHJP
【FI】
H01L21/28 L
H01L21/90 D
H01L21/90 M
H01L21/88 R
H01L21/28 301R
H01L21/283 C
H01L29/50 M
H01L29/44 S
H01L29/78 653C
H01L29/78 655A
H01L29/78 658F
H01L29/78 652D
H01L29/78 652M
H01L29/78 658G
【請求項の数】20
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2019-552655(P2019-552655)
(86)(22)【出願日】2018年9月28日
(86)【国際出願番号】JP2018036585
(87)【国際公開番号】WO2019093015
(87)【国際公開日】20190516
【審査請求日】2019年11月1日
(31)【優先権主張番号】特願2017-218661(P2017-218661)
(32)【優先日】2017年11月13日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104190
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 昭徳
(72)【発明者】
【氏名】須澤 孝昭
【審査官】
佐藤 靖史
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−266082(JP,A)
【文献】
特開平04−063462(JP,A)
【文献】
特開2014−011173(JP,A)
【文献】
特開平08−213453(JP,A)
【文献】
特公昭49−033431(JP,B1)
【文献】
特開昭60−192329(JP,A)
【文献】
特開平04−219932(JP,A)
【文献】
特開2014−158041(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/28
H01L 21/283
H01L 21/3205
H01L 21/336
H01L 21/768
H01L 23/522
H01L 23/532
H01L 29/41
H01L 29/417
H01L 29/739
H01L 29/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電型の半導体基板の第1主面の表面層に設けられた第2導電型の第1半導体領域と、
前記半導体基板の、前記第1半導体領域以外の部分である第1導電型の第2半導体領域と、
前記半導体基板の第1主面側に設けられた、前記第1半導体領域と前記第2半導体領域とのpn接合を有する素子構造と、
前記半導体基板の第1主面上に設けられ、前記素子構造を覆う層間絶縁膜と、
前記層間絶縁膜が選択的に開口されてなり、前記半導体基板の第1主面を選択的に露出するコンタクトホールと、
前記コンタクトホールの内壁に沿って設けられた、前記半導体基板と密着性が高く、かつ前記半導体基板とオーミック接触する第1金属膜と、
前記コンタクトホールの内部において前記第1金属膜の上に埋め込まれた第2金属膜と、
前記層間絶縁膜および前記第2金属膜の上に設けられ、前記第2金属膜および前記第1金属膜を介して前記第1半導体領域に電気的に接続された第1電極と、
を備え、
前記層間絶縁膜は、
前記半導体基板の第1主面上に設けられた第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜の上に設けられた、前記第1絶縁膜よりもフッ酸または希フッ酸に対するエッチング速度の速い絶縁材料からなる第2絶縁膜と、を有し、
前記コンタクトホールは、前記第2絶縁膜の部分の幅を、前記第1絶縁膜の部分の幅よりも階段状に広くする段差を側壁に有し、
前記コンタクトホールの前記第1絶縁膜の部分のアスペクト比は0.5以上1.5以下であり、
前記コンタクトホールの前記第2絶縁膜の部分のアスペクト比は0.5以上1.5以下であり、
前記コンタクトホールの前記第1絶縁膜の部分の断面形状は、前記第2絶縁膜側の幅を、前記半導体基板側の幅よりも広くした台形状であり、
前記第2金属膜は、タングステンを主成分とし、原料に六フッ化タングステン(WF6)を含むガスを用いるCVD法により形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記コンタクトホールの前記第2絶縁膜の部分の断面形状は、前記第1電極側の幅を、前記第1絶縁膜側の幅よりも広くした台形状であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記コンタクトホールの前記第1絶縁膜の部分の幅は、0.3μm以上1.0μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1絶縁膜は、シリコンガラス膜であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1絶縁膜は、リンを含む、または、リンおよびボロンを含むことを特徴とする請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第2絶縁膜は、高温酸化膜または熱酸化膜であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1金属膜は、チタンを主成分とすることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の半導体装置。
【請求項8】
前記半導体基板の第2主面の表面層に、前記第2半導体領域に接して設けられた第3半導体領域と、
前記第3半導体領域に電気的に接続された第2電極と、
をさらに備え、
前記素子構造は、
前記第1半導体領域と、
前記第1半導体領域の内部に選択的に設けられた第1導電型の第4半導体領域と、
前記第1半導体領域の、前記第2半導体領域と前記第4半導体領域との間の領域に接して設けられたゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜を挟んで前記第1半導体領域の反対側に設けられたゲート電極と、を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の半導体装置。
【請求項9】
第1導電型の半導体基板の第1主面の表面層に第2導電型の第1半導体領域を形成して、前記半導体基板の第1主面側に、前記第1半導体領域と、前記半導体基板の、前記第1半導体領域以外の部分である第1導電型の第2半導体領域と、のpn接合を有する素子構造を形成する第1工程と、
前記半導体基板の第1主面上に、前記素子構造を覆う層間絶縁膜を形成する第2工程と、
前記層間絶縁膜の上に、所定箇所が開口したレジスト膜を形成する第3工程と、
前記レジスト膜をマスクとしてエッチングを行い、前記層間絶縁膜を選択的に除去して前記半導体基板の第1主面を選択的に露出するコンタクトホールを形成する第4工程と、
前記レジスト膜を除去する第5工程と、
フッ酸または希フッ酸を含む水溶液を用いたウェットエッチングにより、前記半導体基板の第1主面の、前記コンタクトホールに露出する部分を覆う自然酸化膜を除去する第6工程と、
前記コンタクトホールの内壁に沿って、前記半導体基板と密着性が高く、かつ前記半導体基板とオーミック接触する第1金属膜を形成する第7工程と、
前記コンタクトホールの内部において前記第1金属膜の上に第2金属膜を埋め込む第8工程と、
前記層間絶縁膜および前記第2金属膜の上に第1電極を形成し、前記第2金属膜および前記第1金属膜を介して前記第1半導体領域と前記第1電極とを電気的に接続する第9工程と、
を含み、
前記第2工程は、
前記層間絶縁膜として、前記半導体基板の第1主面上に第1絶縁膜を形成する工程と、前記層間絶縁膜として、前記第1絶縁膜の上に、前記第1絶縁膜よりも前記水溶液に対するエッチング速度の速い絶縁材料からなる第2絶縁膜を形成する工程と、を含み、
前記第6工程では、前記ウェットエッチングにより、前記コンタクトホールの側壁に段差を形成し、前記コンタクトホールの前記第2絶縁膜の部分の幅を、前記第1絶縁膜の部分の幅よりも階段状に広くし、
前記第8工程では、原料に六フッ化タングステン(WF6)を含むガスを用いるCVD法によりタングステンを主成分とする前記第2金属膜を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記第6工程では、前記ウェットエッチングにより、前記コンタクトホールの前記第1絶縁膜の部分のアスペクト比を0.5以上1.5以下にすることを特徴とする請求項9に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記第4工程では、前記コンタクトホールの前記第2絶縁膜の部分のアスペクト比を0.5以上1.5以下にすることを特徴とする請求項9または10に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記第4工程では、異方性エッチングにより前記コンタクトホールを形成することを特徴とする請求項9〜11のいずれか一つに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記第4工程では、等方性エッチングにより前記コンタクトホールを形成することを特徴とする請求項9〜11のいずれか一つに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記第4工程では、前記コンタクトホールの前記第1絶縁膜の部分の幅を0.3μm以上1.0μm以下にすることを特徴とする請求項9〜13のいずれか一つに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項15】
前記第7工程では、スパッタ法により前記第1金属膜を形成することを特徴とする請求項9〜14のいずれか一つに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項16】
前記第7工程では、化学気相成長法により前記第1金属膜を形成することを特徴とする請求項9〜14のいずれか一つに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項17】
前記第1絶縁膜は、シリコンガラス膜であることを特徴とする請求項9〜16のいずれか一つに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項18】
前記第1絶縁膜は、リンを含む、または、リンおよびボロンを含むことを特徴とする請求項17に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項19】
前記第2絶縁膜は、高温酸化膜または熱酸化膜であることを特徴とする請求項9〜18のいずれか一つに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項20】
前記第1金属膜は、チタンを主成分とすることを特徴とする請求項9〜19のいずれか一つに記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体装置および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体装置の特性向上のため、単位セル(素子の構成単位)の微細化が進んでいる。微細な単位セルの形成方法として、微細パターンのコンタクトホール内にタングステン(W)等の埋め込み性の高い金属を埋め込んでなるコンタクトプラグを形成し、当該コンタクトプラグを介しておもて面電極と半導体基板とのコンタクト(電気的接触)を形成する方法が公知である(例えば、下記特許文献1(第0015〜0016段落、第1−1図)参照。)。
【0003】
下記特許文献1では、層間絶縁膜を挟んで積層された配線層同士を接続するにあたって、層間絶縁膜に形成したコンタクトホールの内壁に沿ってチタン(Ti)膜および窒化チタン(TiN)膜を順に形成する。その後、六フッ化タングステン(WF
6)とモノシラン(SiH
4)または水素(H
2)とを用いた還元反応により、コンタクトホールの内部における窒化チタン膜上にタングステン膜を埋め込んでいる。
【0004】
従来の半導体装置の製造方法について説明する。
図10は、従来の半導体装置の製造方法の概要を示すフローチャートである。まず、半導体基板(半導体ウェハ)のおもて面側に所定の素子構造を形成する(ステップS101)。次に、半導体基板のおもて面上に、層間絶縁膜の1層目として高温酸化(HTO:High Temperature Oxide)膜を形成する(ステップS102)。
【0005】
次に、半導体基板のおもて面上に、層間絶縁膜の2層目としてBPSG(Boron Phospho Silicate Glass)膜などによるシリコン酸化膜(SiO
2膜)を形成する(ステップS103)。次に、層間絶縁膜上に、後のエッチング工程で用いるエッチング用マスクとして、コンタクトホールの形成領域が開口したレジストマスクを形成する(ステップS104)。
【0006】
次に、レジストマスクをマスクとして、ドライエッチングにより層間絶縁膜を選択的に除去してコンタクトホールを形成する(ステップS105)。コンタクトホールは、半導体基板のおもて面に略垂直な側壁を有し、深さ方向に一様な幅を有する略矩形状の断面形状となる。ステップS105の処理では、コンタクトホールに露出するシリコン(Si)面(バリアメタルと半導体基板とのコンタクト形成箇所)に自然酸化膜が形成される。
【0007】
次に、レジストマスクを除去する(ステップS106)。次に、後のスパッタ工程の前処理として、バッファードフッ酸(BHF)水溶液によるウェットエッチングまたは逆スパッタ処理により、ステップS105の処理で形成された自然酸化膜を除去する(ステップS107)。ステップS107の処理において、コンタクトホールの断面形状はステップS105の処理後の状態で維持される。
【0008】
次に、バリアメタルとして、コンタクトホールの内壁に沿ってチタン膜および窒化チタン膜を順にスパッタにより形成する(ステップS108)。次に、アニール(熱処理)により、バリアメタル中のチタン原子と半導体基板中のシリコン原子とを反応させてチタンシリサイドを形成することで、バリアメタルと半導体基板とのオーミック性のコンタクトを形成する(ステップS109)。
【0009】
次に、化学気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)法により、コンタクトホールの内部に埋め込むように、窒化チタン膜上にタングステン膜を成長させる(ステップS110)。次に、タングステン膜をエッチバックし、コンタクトホールの内部における窒化チタン膜上のみにタングステン膜を残す(ステップS111)。その後、おもて面電極やp
+コレクタ領域、裏面電極等の残りの各部を形成することで、半導体装置が完成する。
【0010】
また、コンタクトホールの形成方法として、シリコン酸化膜およびPSG膜を順に積層してなる層間絶縁膜にレジストマスクをマスクとして開口部(貫通孔)を形成する。そして、フッ化水素(BHF)水溶液によるウェットエッチングにより、上層のPSG膜の開口幅を、下層のシリコン酸化膜の開口幅よりも広くしてコンタクトホールを形成した後、レジストマスクを除去する方法が提案されている(例えば、下記特許文献2(第0014〜0016段落、第4,5図)および下記特許文献3(第0014〜0018段落、第1図)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2005−302752号公報
【特許文献2】特開平5−74732号公報
【特許文献3】特開昭63−175442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、従来技術(
図10参照)では、次の問題が生じる。
図11〜14は、従来の半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
図11〜14では、半導体基板110の内部の素子構造を図示省略する。
図14には、
図10のステップS110の処理後、ステップS111の処理前に、走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)で撮影したタングステン膜106の状態を模式的に示す。
図11〜14は、それぞれ、
図10のステップS105,S107,S108,S110の処理時の状態である。
【0013】
上述したように、ステップS105の処理では、コンタクトホール104の幅w101は深さ方向に一様となる(
図11)。ステップS108の処理では、コンタクトホール104の上端部(コンタクトホール104の側壁と半導体基板110のおもて面との境界)104aで部分的に厚くバリアメタル105が成長する。このため、コンタクトホール104の上端部104a上の対向するバリアメタル105間の幅w111は、コンタクトホール104の上端部104a以外の部分104cの対向するバリアメタル105間の幅w112よりも狭くなる(
図13)。ステップS110の処理では、コンタクトホール104の内壁のバリアメタル105上にタングステン膜106が成長し、コンタクトホール104の対向する各側壁上のタングステン膜106同士が面接触して当該側壁上のタングステン膜106間の隙間が埋められることで、コンタクトホール104の内部にタングステン膜106が充填される。
【0014】
しかしながら、上述したようにコンタクトホール104の上端部104a上の対向するバリアメタル105間の幅w111が狭くなっている場合、コンタクトホール104の対向する側壁上のタングステン膜106同士よりも先に、コンタクトホール104の対向する上端部104a上のタングステン膜106同士が接触し、コンタクトホール104が閉じてしまう。このようにコンタクトホール104が閉じてしまった場合、タングステン膜106の内部に空洞(ボイド)120が生じる(
図14)。この空洞120には、タングステン膜106の形成時に反応炉(チャンバー)に導入されたフッ素系ガスが封入される。また、この空洞120は、その後のステップS111のタングステン膜106のエッチバック後にタングステン膜106の表面にあらわれないほど、タングステン膜106の表面から深い位置に生じる。したがって、この空洞120は、ステップS111のエッチバック後も、フッ素系ガスが封入されたままの状態でタングステン膜106の内部に残ってしまう。
【0015】
タングステン膜106の内部に生じた空洞120に封入されたフッ素系ガスは、半導体装置(製品)の信頼性に悪影響を及ぼす。具体的には、空洞120に封入されたフッ素系ガスによりタングステン膜106上のおもて面電極(アルミニウム(Al)を主成分とする電極等:不図示)が腐食したり、空洞120が封入されたフッ素系ガスの膨張によって大きくなり、おもて面電極にも空洞が生じる等の問題が生じる。
図14において、空洞120は、タングステン膜106の内部の、タングステン膜106よりも色の濃い部分である。
【0016】
また、ステップS107のスパッタ前処理では、半導体装置に残ってしまった場合に抵抗成分となる自然酸化膜を除去している。しかしながら、ステップS107のスパッタ前処理により、層間絶縁膜103を構成するHTO膜101およびBPSG膜102のうち、BPSG膜102の部分104bでコンタクトホール104の側壁が凹むように除去される(
図12)。これによって、コンタクトホール104のBPSG膜102の部分104bの幅w102がコンタクトホール104形成時の幅w101よりも広がってしまう。したがって、ステップS107のスパッタ前処理を行うことも、タングステン膜106の内部に空洞120を生じさせる原因となっている。
【0017】
上記問題は、コンタクトホール104のアスペクト比(=コンタクトホール104の深さd101/コンタクトホール104の幅w101)が大きいほど顕著にあらわれる。例えば、
図14に模式的に示す試料のコンタクトホール104は、上端部104a間の幅w101’(≒0.6μm)を底面の幅w103(≒0.5μm)よりも若干広くした略台形状の断面形状を有する。この場合、コンタクトホール104の幅w101とは、コンタクトホール104の上端部104a間の幅w101’である。コンタクトホール104の内部へのタングステン膜106の埋め込み性は、コンタクトホール104の上端部104a間の幅w101’で決まる。すなわち、
図14に模式的に示す試料は、コンタクトホール104のアスペクト比(=コンタクトホール104の深さd101/コンタクトホール104の上端部104a間の幅w101’)を1.6程度(≒1μm/0.6μm)としたときに、タングステン膜106に空洞120が生じたことを示している。
【0018】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、微細化を図ることができ、かつ信頼性を向上させることができる半導体装置および半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上述した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、この発明にかかる半導体装置は、次の特徴を有する。第1導電型の半導体基板の第1主面の表面層に、第2導電型の第1半導体領域が設けられている。第1導電型の第2半導体領域は、前記半導体基板の、前記第1半導体領域以外の部分である。前記半導体基板の第1主面側に、前記第1半導体領域と前記第2半導体領域とのpn接合を有する素子構造が設けられている。前記半導体基板の第1主面上に、層間絶縁膜が設けられている。前記層間絶縁膜は、前記素子構造を覆う。コンタクトホールは、前記層間絶縁膜が選択的に開口されてなり、前記半導体基板の第1主面を選択的に露出する。前記コンタクトホールの内壁に沿って、第1金属膜が設けられている。前記第1金属膜は、前記半導体基板と密着性が高く、かつ前記半導体基板とオーミック接触する。前記コンタクトホールの内部において前記第1金属膜の上に、第2金属膜が埋め込まれている。前記層間絶縁膜および前記第2金属膜の上に、第1電極が設けられている。前記第1電極は、前記第2金属膜および前記第1金属膜を介して前記第1半導体領域に電気的に接続されている。前記層間絶縁膜は、第1,2絶縁膜を有する。前記第1絶縁膜は、前記半導体基板の第1主面上に設けられている。前記第2絶縁膜は、前記第1絶縁膜の上に設けられている。前記第2絶縁膜は、前記第1絶縁膜よりもフッ酸または希フッ酸に対するエッチング速度の速い絶縁材料からなる。前記コンタクトホールは、前記第2絶縁膜の部分の幅を、前記第1絶縁膜の部分の幅よりも階段状に広くする段差を側壁に有する。前記コンタクトホールの前記第1絶縁膜の部分のアスペクト比は0.5以上1.5以下である。前記コンタクトホールの前記第2絶縁膜の部分のアスペクト比は0.5以上1.5以下である。前記コンタクトホールの前記第1絶縁膜の部分の断面形状は、前記第2絶縁膜側の幅を、前記半導体基板側の幅よりも広くした台形状である。
前記第2金属膜は、タングステンを主成分とし、原料に六フッ化タングステン(WF6)を含むガスを用いるCVD法により形成されている。
【0020】
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記コンタクトホールの前記第2絶縁膜の部分の断面形状は、前記第1電極側の幅を、前記第1絶縁膜側の幅よりも広くした台形状であることを特徴とする。
【0022】
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記コンタクトホールの前記第1絶縁膜の部分の幅は、0.3μm以上1.0μm以下であることを特徴とする。
【0023】
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記第1絶縁膜は、シリコンガラス膜であることを特徴とする。
【0024】
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記第1絶縁膜は、リンを含む、または、リンおよびボロンを含むことを特徴とする。
【0025】
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記第2絶縁膜は、高温酸化膜または熱酸化膜であることを特徴とする。
【0026】
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記第1金属膜は、チタンを主成分とすることを特徴とする。
【0028】
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、第3半導体領域および第2電極をさらに備える。前記第3半導体領域は、前記半導体基板の第2主面の表面層に、前記第2半導体領域に接して設けられている。第2電極は、前記第3半導体領域に電気的に接続されている。前記素子構造は、前記第1半導体領域、第1導電型の第4半導体領域、ゲート絶縁膜およびゲート電極を有する。前記第4半導体領域は、前記第1半導体領域の内部に選択的に設けられている。前記ゲート絶縁膜は、前記第1半導体領域の、前記第2半導体領域と前記第4半導体領域との間の領域に接して設けられている。前記ゲート電極は、前記ゲート絶縁膜を挟んで前記第1半導体領域の反対側に設けられていることを特徴とする。
【0029】
また、上述した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、この発明にかかる半導体装置の製造方法は、次の特徴を有する。まず、第1導電型の半導体基板の第1主面の表面層に第2導電型の第1半導体領域を形成して、前記半導体基板の第1主面側に、前記第1半導体領域と、前記半導体基板の、前記第1半導体領域以外の部分である第1導電型の第2半導体領域と、のpn接合を有する素子構造を形成する第1工程を行う。次に、前記半導体基板の第1主面上に、前記素子構造を覆う層間絶縁膜を形成する第2工程を行う。次に、前記層間絶縁膜の上に、所定箇所が開口したレジスト膜を形成する第3工程を行う。
【0030】
次に、前記レジスト膜をマスクとしてエッチングを行い、前記層間絶縁膜を選択的に除去して前記半導体基板の第1主面を選択的に露出するコンタクトホールを形成する第4工程を行う。次に、前記レジスト膜を除去する第5工程を行う。次に、フッ酸または希フッ酸を含む水溶液を用いたウェットエッチングにより、前記半導体基板の第1主面の、前記コンタクトホールに露出する部分を覆う自然酸化膜を除去する第6工程を行う。次に、前記コンタクトホールの内壁に沿って、前記半導体基板と密着性が高く、かつ前記半導体基板とオーミック接触する第1金属膜を形成する第7工程を行う。次に、前記コンタクトホールの内部において前記第1金属膜の上に第2金属膜を埋め込む第8工程を行う。
【0031】
次に、前記層間絶縁膜および前記第2金属膜の上に第1電極を形成し、前記第2金属膜および前記第1金属膜を介して前記第1半導体領域と前記第1電極とを電気的に接続する第9工程を行う。前記第2工程は、前記層間絶縁膜として、前記半導体基板の第1主面上に第1絶縁膜を形成する工程と、前記層間絶縁膜として、前記第1絶縁膜の上に、前記第1絶縁膜よりも前記水溶液に対するエッチング速度の速い絶縁材料からなる第2絶縁膜を形成する工程と、を含む。前記第6工程では、前記ウェットエッチングにより、前記コンタクトホールの側壁に段差を形成し、前記コンタクトホールの前記第2絶縁膜の部分の幅を、前記第1絶縁膜の部分の幅よりも階段状に広くする。
前記第8工程では、原料に六フッ化タングステン(WF6)を含むガスを用いるCVD法によりタングステンを主成分とする前記第2金属膜を形成する。
【0032】
また、この発明にかかる半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記第6工程では、前記ウェットエッチングにより、前記コンタクトホールの前記第1絶縁膜の部分のアスペクト比を0.5以上1.5以下にすることを特徴とする。
【0033】
また、この発明にかかる半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記第4工程では、前記コンタクトホールの前記第2絶縁膜の部分のアスペクト比を0.5以上1.5以下にすることを特徴とする。
【0034】
また、この発明にかかる半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記第4工程では、異方性エッチングにより前記コンタクトホールを形成することを特徴とする。
【0035】
また、この発明にかかる半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記第4工程では、等方性エッチングにより前記コンタクトホールを形成することを特徴とする。
【0036】
また、この発明にかかる半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記第4工程では、前記コンタクトホールの前記第1絶縁膜の部分の幅を0.3μm以上1.0μm以下にすることを特徴とする。
【0037】
また、この発明にかかる半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記第7工程では、スパッタ法により前記第1金属膜を形成することを特徴とする。
【0038】
また、この発明にかかる半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記第7工程では、化学気相成長法により前記第1金属膜を形成することを特徴とする。
【0039】
また、この発明にかかる半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記第1絶縁膜は、シリコンガラス膜であることを特徴とする。
【0040】
また、この発明にかかる半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記第1絶縁膜は、リンを含む、または、リンおよびボロンを含むことを特徴とする。
【0041】
また、この発明にかかる半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記第2絶縁膜は、高温酸化膜または熱酸化膜であることを特徴とする。
【0042】
また、この発明にかかる半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記第1金属膜は、チタンを主成分とすることを特徴とする。
【0044】
上述した発明によれば、第1金属膜を形成するための前処理のウェットエッチングにより、コンタクトホールの第2絶縁膜の部分の幅を、第1絶縁膜の部分の幅よりも階段状に広くして、コンタクトホールのアスペクト比を小さくすることができる。これにより、微細パターンのコンタクトホールを形成して単位セルの微細化を図ったとしても、コンタクトホールの内壁に沿って均一の厚さで第1金属膜を形成することができる。かつ、コンタクトホールの内部において第1金属膜上に、コンタクトプラグとなる第2金属膜を、第2金属膜の内部に空洞を生じさせることなく埋め込むことができる。
【発明の効果】
【0045】
本発明にかかる半導体装置および半導体装置の製造方法によれば、微細化を図ることができ、かつ信頼性を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】
図1は、実施の形態にかかる半導体装置の構造を示す断面図である。
【
図2】
図2は、実施の形態にかかる半導体装置の製造方法の概要を示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、実施の形態にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
【
図4】
図4は、実施の形態にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
【
図5】
図5は、実施の形態にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
【
図6】
図6は、実施の形態にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
【
図7】
図7は、実施の形態にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
【
図8】
図8は、実施の形態にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
【
図9】
図9は、実施の形態にかかる半導体装置の製造途中の状態の別の一例を示す断面図である。
【
図10】
図10は、従来の半導体装置の製造方法の概要を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、従来の半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
【
図12】
図12は、従来の半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
【
図13】
図13は、従来の半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
【
図14】
図14は、従来の半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる半導体装置および半導体装置の製造方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。本明細書および添付図面においては、nまたはpを冠記した層や領域では、それぞれ電子または正孔が多数キャリアであることを意味する。また、nやpに付す+および−は、それぞれそれが付されていない層や領域よりも高不純物濃度および低不純物濃度であることを意味する。なお、以下の実施の形態の説明および添付図面において、同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0048】
(実施の形態)
実施の形態にかかる半導体装置の構造について、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)を例に説明する。
図1は、実施の形態にかかる半導体装置の構造を示す断面図である。
図1には、電流駆動を担う活性領域(素子がオン状態のときに電流が流れる領域)の2つの単位セルを示し、これらの単位セルに隣接する他の単位セルや、活性領域の周囲を囲むエッジ終端領域を図示省略する(
図3〜9においても同様)。
【0049】
エッジ終端領域は、活性領域と半導体基板10の側面との間の領域であり、n
-型ドリフト領域(第2半導体領域)1の、チップおもて面側の電界を緩和して耐圧(耐電圧)を保持するための領域である。耐圧とは、素子が誤動作や破壊を起こさない限界の電圧である。エッジ終端領域には、例えば、接合終端(JTE:Junction Termination Extension)構造、フィールドリミッティングリング(FLR:Field Limiting Ring)、フィールドプレートおよびリサーフ等の耐圧構造が配置される。
【0050】
図1に示す実施の形態にかかる半導体装置は、半導体基板(半導体チップ)10のおもて面側に、トレンチゲート構造のMOSゲート(金属−酸化膜−半導体からなる絶縁ゲート)を備えたトレンチゲート型IGBTである。MOSゲートは、p型ベース領域(第1半導体領域)2、n
+型エミッタ領域(第4半導体領域)3、p
+型コンタクト領域4、トレンチ5、ゲート絶縁膜6およびゲート電極7で構成される。1つのトレンチ5および当該トレンチ5の両側に隣り合うコンタクト(半導体基板10とエミッタ電極17との電気的接触部)とで1つの単位セルが構成される。p型ベース領域2は、半導体基板10のおもて面の表面層に選択的に設けられている。半導体基板10の、p型ベース領域2および後述するp
+型コレクタ領域(第3半導体領域)8以外の部分がn
-型ドリフト領域1である。
【0051】
n
+型エミッタ領域3およびp
+型コンタクト領域4は、p型ベース領域2の表面領域(半導体基板10のおもて面の表面層)にそれぞれ選択的に設けられている。n
+型エミッタ領域3およびp
+型コンタクト領域4は、互いに接する。トレンチ5は、n
+型エミッタ領域3およびp型ベース領域2を貫通してn
-型ドリフト領域1に達する。トレンチ5の内部には、ゲート絶縁膜6を介してゲート電極7が設けられている。半導体基板10の裏面の表面層には、p
+型コレクタ領域8が設けられている。半導体基板10の裏面全面にコレクタ電極(第2電極)9が設けられ、p
+型コレクタ領域8に電気的に接続されている。
【0052】
半導体基板10のおもて面上には、ゲート電極7を覆う層間絶縁膜13として、高温酸化(HTO)膜11およびBPSG膜12が順に積層されている。層間絶縁膜13は、半導体基板10のおもて面の全面に設けられている。HTO膜11の厚さは、例えば1000Å以上2000Å以下程度であってもよい。BPSG膜12の厚さは、例えばHTO膜11の厚さの3倍以上4倍以下程度であってもよい。HTO膜11に代えて、層間絶縁膜13の下層を熱酸化膜としてもよい。BPSG膜12に代えて、層間絶縁膜13の上層をPSG膜やNSG(Non doped Silicate Glass)膜としてもよい。
【0053】
層間絶縁膜13には、層間絶縁膜13を深さ方向に貫通するコンタクトホール14が設けられている。深さ方向とは、半導体基板10のおもて面から裏面に向かう方向である。コンタクトホール14は、半導体基板10のおもて面よりもコレクタ側(p
+型コレクタ領域8側)に底面が突出していてもよい。すなわち、層間絶縁膜13の貫通孔と、当該貫通孔に連続して半導体基板10のおもて面に形成された溝と、を合わせてコンタクトホール14としてもよい。コンタクトホール14は、半導体基板10のおもて面に平行に延在するストライプ状のレイアウトに配置されていてもよいし、半導体基板10のおもて面側から見てマトリクス状のレイアウトに配置されていてもよい。
【0054】
また、コンタクトホール14は、BPSG膜12の部分14aの幅w1を、HTO膜11の部分14bの幅w2よりも広くした断面形状を有する。すなわち、コンタクトホール14の側壁には、HTO膜11とBPSG膜12との界面に1段の段差14cが設けられ、当該段差14cにより、コンタクトホール14の上端部側の幅がコンタクトホール14の底面側の幅よりも階段状に広くなっている。コンタクトホール14の上端部とは、コンタクトホール14の側壁と半導体基板10のおもて面との境界である。
【0055】
コンタクトホール14のBPSG膜12の部分14aのアスペクト比(=コンタクトホール14のBPSG膜12の部分14aの深さd1/コンタクトホール14のBPSG膜12の部分14aの幅w1)は、例えば0.5以上1.5以下程度であることがよい。その理由は、次の通りである。
【0056】
コンタクトホール14のBPSG膜12の部分14aのアスペクト比が0.5未満である場合、コンタクトホール14にタングステン膜16を充填した際にタングステン膜16の上部に凹みが生じる。このため、コンタクトホール14の内部にのみタングステン膜16を残すためのエッチバックで、コンタクトホール14の内部のタングステン膜16も消失(エッチング)されてしまう虞があるからである。
【0057】
また、コンタクトホール14のBPSG膜12の部分14aのアスペクト比が1.5を超える場合、コンタクトホール14にタングステン膜16が充填される際に、半導体基板10のおもて面に堆積したタングステン膜16同士が接触してつながり、コンタクトホール14のBPSG膜12の部分14aの上部が閉じてしまうことで、タングステン膜16の内部にボイドが生じる虞があるからである。
【0058】
コンタクトホール14のHTO膜11の部分14bのアスペクト比(=コンタクトホール14のHTO膜11の部分14bの深さd2/コンタクトホール14のHTO膜11の部分14bの幅w2)は、例えば0.5以上1.5以下程度であることがよい。その理由は、次の通りである。
【0059】
コンタクトホール14のHTO膜11の部分14bのアスペクト比が0.5未満である場合、コンタクトホール14のHTO膜11の部分14bにタングステン膜16が充填される際に、タングステン膜16の上部に凹みが生じる。このタングステン膜16の上部の凹みは、アスペクト比が大きく、タングステン膜16が充填されにくい。このため、コンタクトホール14のBPSG膜12の部分14aにタングステン膜16が充填される際に、コンタクトホール14のHTO膜11の部分14bにおけるタングステン膜16の上部の凹みにタングステン膜16が充填されず、タングステン膜16の内部にボイドとして残る虞があるからである。
【0060】
また、コンタクトホール14のHTO膜11の部分14bのアスペクト比が1.5を超える場合、コンタクトホール14のHTO膜11の部分14bにタングステン膜16が充填される際に、コンタクトホール14の側壁の段差14cのステップ(半導体基板10のおもて面に略平行な面)にタングステン膜16が堆積されやすい。このコンタクトホール14の側壁の段差14cのステップに堆積したタングステン膜16同士が接触してつながり、コンタクトホール14のHTO膜11の部分14bの上部が閉じてしまうことで、タングステン膜16の内部にボイドが生じる虞があるからである。
【0061】
コンタクトホール14の全体のアスペクト比(=コンタクトホール14の深さd10/コンタクトホール14のBPSG膜12の部分14aの幅w1)は、例えば0.5以上1.5以下程度であることがよい。その理由は、コンタクトホール14のBPSG膜12の部分14aのアスペクト比を上記範囲内とすることが好ましい理由と同じである。
【0062】
コンタクトホール14のBPSG膜12の部分14aの幅w1は、例えば0.5μm以上であり、隣り合うコンタクトホール14とつながらない程度に可能な限り広いことが好ましい。これによって、コンタクトホール14の内部への後述するタングステン膜16の埋め込み性を向上させることができる。
【0063】
コンタクトホール14のHTO膜11の部分14bの幅w2は、可能な限り狭いことが好ましい。その理由は、次の通りである。トレンチ5とコンタクトホール14とは所定距離Lだけ離すことで、リーク電流発生を抑制することができる。このトレンチ5とコンタクトホール14との間の所定距離Lを確保するとともに、トレンチ5間(メサ部)の距離w11を狭くして単位セルの微細化をより図ることができるからである。
【0064】
具体的には、コンタクトホール14のHTO膜11の部分14bの幅(コンタクトホール14の底面の幅)w2は、例えば0.3μm以上1.0μm以下程度である。その理由は、次の通りである。コンタクトホール14のHTO膜11の部分14bの幅w2が0.3μm未満である場合、コンタクトホール14のHTO膜11の部分14bに後述するバリアメタル(第1金属膜)15を介してタングステン膜(第2金属膜)16を埋め込むことが困難になるからである。コンタクトホール14のHTO膜11の部分14bの幅w2が1.0μmを超える場合、コンタクトホール14のHTO膜11の部分14bに後述するエミッタ電極(アルミニウムを主成分とする電極:第1電極)17を埋め込み可能であることで、タングステン膜16からなるコンタクトプラグを必要としないからである。
【0065】
コンタクトホール14のBPSG膜12の部分14aの断面形状は、コンタクトホール14の側壁が半導体基板10のおもて面に略垂直な矩形状であってもよい。すなわち、コンタクトホール14のBPSG膜12の部分14aの幅w1は、深さ方向に一様であってもよい。この場合、単位セルの微細化を図ることができる。
【0066】
また、コンタクトホール14のBPSG膜12の部分14aの断面形状は、エミッタ電極17側の幅を、HTO膜11側の幅w1’よりも広くした略台形状であることが好ましい。この場合、コンタクトホール14のBPSG膜12の部分14aの断面形状は、エミッタ電極17側の幅は、コンタクトホール14のBPSG膜12の部分14aの断面形状が矩形状である場合における、コンタクトホール14のBPSG膜12の部分14aの幅w1に相当する。
【0067】
コンタクトホール14のBPSG膜12の部分14aの断面形状を上述したように台形状とした場合、コンタクトホール14のBPSG膜12の部分14aのエミッタ電極17側の幅w1を相対的に広くして、コンタクトホール14へのタングステン膜16の埋め込み性を向上させることができる。かつ、コンタクトホール14のHTO膜11の部分14bの幅w2を狭くして、トレンチ5間の距離w11を狭くすることができる。
【0068】
コンタクトホール14のHTO膜11の部分14bの断面形状は、コンタクトホール14の側壁が半導体基板10のおもて面に略垂直な矩形状であってもよい。すなわち、コンタクトホール14のHTO膜11の部分14bの幅w2は、深さ方向に一様であってもよい。この場合、単位セルの微細化を図ることができる。
【0069】
コンタクトホール14のHTO膜11の部分14bの断面形状は、BPSG膜12側の幅w2’を、半導体基板10側の幅(コンタクトホール14の底面の幅)よりも広くした略台形状であることがよい。コンタクトホール14のHTO膜11の部分14bの、BPSG膜12側の幅w2’は、段差14cのステップ(半導体基板10のおもて面に略平行な面)の幅分だけ、コンタクトホール14のBPSG膜12の部分14aの、HTO膜11側の幅w1’よりも狭い。コンタクトホール14のHTO膜11の部分14bの、半導体基板10側の幅は、コンタクトホール14のHTO膜11の部分14bの断面形状が矩形状である場合における、コンタクトホール14のHTO膜11の部分14bの幅w2に相当する。
【0070】
コンタクトホール14のHTO膜11の部分14bの断面形状を上述したように台形状とした場合、コンタクトホール14のHTO膜11の部分14bの上端部側の幅w2’を広くして、コンタクトホール14のHTO膜11の部分14bへのタングステン膜16の埋め込み性を向上させることができる。かつ、コンタクトホール14の底面の幅を狭くして、トレンチ5間の距離w11を狭くすることができる。
【0071】
コンタクトホール14の内部には、コンタクトホール14の内壁(層間絶縁膜13の側面および半導体基板10のおもて面)に沿って、バリアメタル15が設けられている。バリアメタル15は、層間絶縁膜13の表面(すなわちBPSG膜12の表面)にまで延在していてもよい。バリアメタル15は、半導体部(半導体基板10)との密着性が高く、かつ半導体部とのオーミック接触する金属からなる。具体的には、バリアメタル15は、例えばチタン(Ti)膜であってもよいし、チタン膜および窒化チタン(TiN)膜を順に積層した金属積層膜であってもよい。バリアメタル15の厚さは、例えば0.1μm以上0.2μm以下程度であってもよく、具体的には、例えば
0.15μmであってもよい。
【0072】
バリアメタル15上には、コンタクトホール14の内部を埋め込むように、コンタクトプラグとしてタングステン(W)膜16が設けられている。エミッタ電極17は、活性領域において半導体基板10のおもて面全面に設けられている。エミッタ電極17は、タングステン膜16およびバリアメタル15を介してn
+型エミッタ領域3およびp
+型コンタクト領域4に電気的に接続され、p
+型コンタクト領域4を介してp型ベース領域2に電気的に接続されている。
【0073】
このようにコンタクトホール14の内部に埋め込んだタングステン膜16およびバリアメタル15を介してエミッタ電極17と半導体部とを電気的に接続した電極構造とすることで、トレンチピッチ(トレンチ5間の距離w11)を狭くすることができる。また、エミッタ電極17は、層間絶縁膜13によりゲート電極7と電気的に絶縁されている。エミッタ電極17は、アルミニウムを主成分とする例えばアルミニウムシリコン(Al−Si)電極である。
【0074】
次に、実施の形態にかかる半導体装置の製造方法について説明する。
図2は、実施の形態にかかる半導体装置の製造方法の概要を示すフローチャートである。
図3〜8は、実施の形態にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
図9は、実施の形態にかかる半導体装置の製造途中の状態の別の一例を示す断面図である。
図3〜9では、半導体基板10の内部の素子構造を図示省略する。
図7には、
図2のステップS10の処理後、ステップS11の処理前に、走査電子顕微鏡(SEM)により撮影したタングステン膜16の状態を模式的に示す。
図3〜6は、それぞれ
図2のステップS5,S7,S8,S10に対応する。
【0075】
まず、半導体基板(半導体ウェハ)10のおもて面側に、トレンチゲート型IGBTの所定の素子構造(MOSゲート:すなわちp型ベース領域2、n
+型エミッタ領域3、p
+型コンタクト領域4、トレンチ5、ゲート絶縁膜6およびゲート電極7)を形成する(ステップS1)。次に、
図3に示すように、半導体基板10のおもて面上に、層間絶縁膜13の1層目としてHTO膜11を例えばCVD法により形成する(ステップS2)。次に、半導体基板10のおもて面上に、層間絶縁膜の2層目としてBPSG膜12を例えばCVD法により形成する(ステップS3)。次に、層間絶縁膜13上に、後のエッチング工程で用いるエッチング用マスクとして、コンタクトホール14の形成領域が開口したレジストマスク21を形成する(ステップS4)。
【0076】
次に、レジストマスク21をマスクとして、ドライエッチングにより層間絶縁膜13を選択的に除去してコンタクトホール14を形成する(ステップS5)。ステップS5のドライエッチングにより、半導体基板10のおもて面の、コンタクトホール14に露出した部分が若干除去されてもよい。また、ステップS5の処理では、コンタクトホール14に露出するシリコン(Si)面(バリアメタル15と半導体基板10とのコンタクト形成箇所)に自然酸化膜(不図示)が形成される。
【0077】
また、ステップS5の処理において、異方性エッチングによりコンタクトホール14を形成する場合、コンタクトホール14は半導体基板10のおもて面に略垂直な側壁を有する略矩形状の断面形状となる。すなわち、コンタクトホール14のBPSG膜12の部分14aおよびHTO膜11の部分14bともに、略矩形状の断面形状となる。
【0078】
また、ステップS5の処理において、等方性エッチングによりコンタクトホール14を形成する場合、コンタクトホール14は、上端部側の幅を底面の幅よりも若干広くした略台形状の断面形状となる。すなわち、コンタクトホール14のBPSG膜12の部分14aおよびHTO膜11の部分14bともに、略台形状の断面形状となる。
【0079】
次に、
図4に示すように、レジストマスクを除去する(ステップS6)。次に、後のバリアメタル形成工程の前処理として、フッ酸(HF)水溶液または希フッ酸水溶液によるウェットエッチングにより、ステップS5の処理時に形成された自然酸化膜を除去する(ステップS7)。ステップS7の処理において、フッ酸水溶液および希フッ酸水溶液による層間絶縁膜13のエッチング速度は、HTO膜11の部分14bよりもBPSG膜12の部分14aで早くなる。
【0080】
したがって、ステップS7においては、BPSG膜12とHTO膜11とのエッチング速度の違いにより、コンタクトホール14のBPSG膜12の部分14aの幅w1がコンタクトホール14のHTO膜11の部分14bの幅w2よりも階段状に広くなり、コンタクトホール14の側壁に1段の段差14cが形成される。一方、HTO膜11はほとんどエッチングされない。このため、コンタクトホール14のHTO膜11の部分14bの幅w2はステップS5の処理時の幅(すなわち設計値)で維持され、所望の特性が得られる。
【0081】
コンタクトホール14のBPSG膜12の部分14aの幅w1は、ウェットエッチングの時間制御により種々変更可能である。また、ステップS7の処理においては、コンタクトホール14に露出するシリコン面はエッチングされないため、コンタクトホール14の深さd10は前処理前と同じ深さで維持される。このように、ステップS7の処理においては、ステップS5の処理時に形成された自然酸化膜を除去するとともに、コンタクトホール14のBPSG膜12の部分14aの幅w1が広くなり、コンタクトホール14の全体のアスペクト比を小さくすることができる。
【0082】
また、仮にドライエッチングにより前処理を行った場合、HTO膜11およびBPSG膜12のドライエッチング速度は同じであるため、コンタクトホール14のBPSG膜12の部分14aおよびHTO膜11の部分14bの各幅w1,w2は一様に広くなってしまう。このため、本発明においては、ウェットエッチングによりステップS7の処理を行う。また、層間絶縁膜13の1層目をHTO膜11に代えて熱酸化膜とした場合や、層間絶縁膜13の2層目をBPSG膜12に代えてPSG膜やNSG膜とした場合においても、フッ酸水溶液または希フッ酸水溶液による前処理により、コンタクトホール14のPSG膜やNSG膜の部分の幅を相対的に広くすることができる。
【0083】
次に、
図5に示すように、バリアメタル15として、コンタクトホール14の内壁に沿ってチタン膜および窒化チタン膜を順に形成する(ステップS8)。チタン膜および窒化チタン膜は、スパッタまたはCVD(Chemical Vapor Deposition)で形成してもよい。上述したようにステップS7の処理時にコンタクトホール14のBPSG膜12の部分14aの幅w1を広くしたことで、ステップS8の処理において、バリアメタル15が部分的に厚く成長することがなく、バリアメタル15を均一の厚さで形成することができる。
【0084】
ステップS8の処理は、ステップS7の処理後、例えば24時間以内に行うことが好ましい。その理由は、ステップS7の処理後の半導体基板10を24時間を超えて放置(保管)した場合、コンタクトホール14に露出するシリコン面に、半導体装置の特性に悪影響が及ぶ程度の厚さの自然酸化膜が再度形成されてしまうからである。ステップS8の処理前に、ステップS7の処理後の半導体基板10を一時保管する場合、半導体基板10の保管場所は、積極的に酸素を吹き付けられる環境以外であればよく、大気に触れる環境であってもよい。
【0085】
次に、アニール(熱処理)により、バリアメタル15と半導体基板10とのオーミック性のコンタクトを形成する(ステップS9)。次に、
図6に示すように、CVD法を用いて、六フッ化タングステン(WF
6)と水素(H
2)との還元反応により、バリアメタル15上にタングステン膜16を成長させて、コンタクトホール14の内部をタングステン膜16で埋め込む(ステップS10)。ステップS10の処理においては、コンタクトホール14の内壁(側壁および底面)上にタングステン膜16が成長し、コンタクトホール14の対向する各側壁上のタングステン膜16同士が面接触して当該側壁上のタングステン膜16間の隙間が埋まることで、コンタクトホール14の内部にタングステン膜16が充填される。
【0086】
上述したようにステップS7の処理時にコンタクトホール14のBPSG膜12の部分14aの幅w1を広くしたことで、コンタクトホール14のアスペクト比が小さくなっている。このため、ステップS10の処理においては、コンタクトホール14の内壁上に成長するタングステン膜16同士がコンタクトホール14の対向する上端部上で接触してコンタクトホール14が閉じる前に、コンタクトホール14の対向する各側壁上のタングステン膜16同士を面接触させることができる。したがって、タングステン膜16の内部に空洞を生じさせることなく、コンタクトホール14の内部をタングステン膜16でほぼ完全に埋め込むことができる(
図7参照)。
【0087】
次に、タングステン膜16をエッチバックして、コンタクトホール14の内部におけるバリアメタル15上のみにタングステン膜16を残す(ステップS11)。例えばステップS10の処理において仮にタングステン膜16の内部に空洞が生じたとしても、この空洞は、ステップS11のエッチバックにより上部が開口して当該エッチバック後のタングステン膜16の表面に溝20(
図9参照)となってあらわれる程度にタングステン膜16の表面から浅い位置に生じる。このため、ステップS10の処理時にタングステン膜16の内部に空洞が生じたとしても、ステップS11の処理により当該空洞に封入されたフッ素系ガスは外部へ放出される。
【0088】
図8には、タングステン膜16の内部に空洞が生じていない場合を示し、
図9には、ステップS10の処理時にタングステン膜16の内部に生じた空洞が、ステップS11のエッチバック後にタングステン膜16の表面に溝20となってあらわれた状態を示す。タングステン膜16の表面に生じた溝20には、その後、エミッタ電極17が埋め込まれる。次に、エミッタ電極17や、p
+型コレクタ領域8、コレクタ電極9等の残りの各部を形成する。次に、半導体ウエハをダイシング(切断)して個々のチップ状に個片化することで、
図1に示す半導体装置が完成する。
【0089】
以上、説明したように、実施の形態1によれば、第1絶縁膜(HTO膜)と、第1絶縁膜と比べて、バリアメタルを形成するための前処理のウェットエッチングに用いるフッ酸または希フッ酸を含む水溶液によるエッチング速度が早い第2絶縁膜(BPSG膜)と、を順に積層させた層間絶縁膜が設けられている。これによって、層間絶縁膜にコンタクトホールを形成した後に行う前処理により、コンタクトホールの第2絶縁膜の部分の幅を、第1絶縁膜の部分の幅よりも階段状に広くして、コンタクトホールのアスペクト比を小さくすることができる。これにより、微細パターンのコンタクトホールを形成して単位セルの微細化を図ったとしても、コンタクトホールの内壁に沿って均一の厚さでバリアメタルを形成することができる。かつ、コンタクトホールの内部においてバリアメタル上に、コンタクトプラグとなるタングステン膜を、タングステン膜の内部に空洞を生じさせることなく埋め込むことができる。したがって、微細パターンのコンタクトホールを形成して単位セルの微細化を図ることができる。かつ、おもて面電極と半導体基板とを電気的に接続するコンタクトプラグであるタングステン膜の内部に素子特性に悪影響を及ぼすフッ素系ガスが内包されることを防止することができるため、半導体装置(製品)の信頼性を向上させることができる。
【0090】
以上において本発明は、上述した実施の形態に限らず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、本発明は、コンタクトプラグを介しておもて面電極と半導体基板とのコンタクトを形成した様々な素子に適用可能である。具体的には、本発明は、例えばMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor:金属−酸化膜−半導体の3層構造からなる絶縁ゲートを備えたMOS型電界効果トランジスタ)や、RC−IGBT(Reverse Conducting IGBT:逆導通IGBT)にも適用可能である。また、本発明は、トレンチゲート構造に代えて、プレーナゲート構造にも適用可能である。また、本発明は、導電型(n型、p型)を反転させても同様に成り立つ。
【産業上の利用可能性】
【0091】
以上のように、本発明にかかる半導体装置および半導体装置の製造方法は、コンタクトプラグを介しておもて面電極と半導体基板とのコンタクトを形成した半導体装置に有用であり、特にトレンチゲート型IGBTに適している。
【符号の説明】
【0092】
1 n
-型ドリフト領域
2 p型ベース領域
3 n
+型エミッタ領域
4 p
+型コンタクト領域
5 トレンチ
6 ゲート絶縁膜
7 ゲート電極
8 p
+型コレクタ領域
9 コレクタ電極
10 半導体基板
11 HTO膜
12 BPSG膜
13 層間絶縁膜
14 コンタクトホール
14a コンタクトホールのBPSG膜の部分
14b コンタクトホールのHTO膜の部分
14c コンタクトホールの側壁の段差
15 バリアメタル
16 タングステン膜
17 エミッタ電極
20 溝(空洞)
21 レジストマスク
L トレンチとコンタクトホールとの間の距離
w1,w1’ コンタクトホールのBPSG膜の部分の幅
w2,w2’ コンタクトホールのHTO膜の部分の幅
w11 トレンチ間の距離