特許第6825745号(P6825745)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士電機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6825745-静止誘導電器 図000002
  • 特許6825745-静止誘導電器 図000003
  • 特許6825745-静止誘導電器 図000004
  • 特許6825745-静止誘導電器 図000005
  • 特許6825745-静止誘導電器 図000006
  • 特許6825745-静止誘導電器 図000007
  • 特許6825745-静止誘導電器 図000008
  • 特許6825745-静止誘導電器 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6825745
(24)【登録日】2021年1月18日
(45)【発行日】2021年2月3日
(54)【発明の名称】静止誘導電器
(51)【国際特許分類】
   H01F 27/28 20060101AFI20210121BHJP
   H01F 30/02 20060101ALI20210121BHJP
   H01F 30/12 20060101ALI20210121BHJP
【FI】
   H01F27/28 K
   H01F30/02
   H01F30/12 C
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2020-508176(P2020-508176)
(86)(22)【出願日】2019年3月6日
(86)【国際出願番号】JP2019008957
(87)【国際公開番号】WO2019181520
(87)【国際公開日】20190926
【審査請求日】2020年3月2日
(31)【優先権主張番号】特願2018-51673(P2018-51673)
(32)【優先日】2018年3月19日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 元崇
(72)【発明者】
【氏名】西條 学
(72)【発明者】
【氏名】篠永 春彦
(72)【発明者】
【氏名】武藤 和弘
【審査官】 秋山 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭55−19891(JP,A)
【文献】 特開昭62−281312(JP,A)
【文献】 実開昭58−184826(JP,U)
【文献】 特開平5−159948(JP,A)
【文献】 実開昭63−124725(JP,U)
【文献】 特開昭62−137815(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 27/28
H01F 30/02
H01F 30/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主脚鉄心に分路巻線、直列巻線及び三次巻線を配置した静止誘導電器であって、
前記三次巻線を分割し、分割した三次巻線の一つを前記分路巻線及び前記直列巻線間に配置した静止誘導電器。
【請求項2】
前記三次巻線は2分割され、2分割された一方の三次巻線が前記分路巻線及び前記直列巻線間に配置され、他方の三次巻線が前記主脚鉄心及び前記分路巻線間に配置されている請求項1に記載の静止誘導電器。
【請求項3】
前記分割された三次巻線は直列に接続されている請求項1又は2に記載の静止誘導電器。
【請求項4】
前記分割された三次巻線は並列に接続されている請求項1又は2に記載の静止誘導電器。
【請求項5】
前記三次巻線の短絡インピーダンスが零に設定されている請求項1から4の何れか一項に記載の静止誘導電器。
【請求項6】
前記分路巻線の外周側及び内周側の少なくとも一方にタップ巻線を配置した請求項1から5の何れか一項に記載の静止誘導電器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミニウム精錬等に使用される三次巻線を有する静止誘導電器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の単巻変圧器としては、例えば主脚と2つの側脚からなる単相3脚鉄心と、分割した分路巻線及び直列巻線を主脚及び一方側の側脚とに配置し、タップ巻線を直列巻線又は分路巻線に直列に接続し、三次巻線を主脚と分路巻線との間に配置するようにした単相単巻変圧器が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
この単巻変圧器では、三次巻線の遮断部の遮断容量を低減し、かつ短絡電流による電磁機械力も抑えるためには三次巻線と他の巻線とのインピーダンスを大きくする必要があり、この三次巻線と他の巻線とのインピーダンスを大きくするために、三次巻線のインピーダンスを大きくするようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−159948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された先行技術では、一次〜二次インピーダンスを小さくすることにより、相対的に三次巻線のインピーダンスを大きくするようにしているが、逆に三次巻線のインピーダンスを小さくしたいという要求には応えることはできない。
そこで、本発明は、上記先行技術の課題に着目してなされたものであり、三次巻線のインダクタンスを零近傍まで低下させることが可能な静止誘導電器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明に係る静止誘導機器の一態様は、主脚鉄心に分路巻線、直列巻線及び三次巻線を配置した静止誘導電器であって、三次巻線を分割し、分割した三次巻線の一つを分路巻線及び直列巻線間に配置している。
また、本発明に係る三相三脚変圧器は、上記構成を有する静止誘導機器を備えている。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る静止誘導機器の一態様によれば、三次巻線を分割し、分割した三次巻線の一つを分路巻線及び直列巻線間に配置することにより、三次巻線の分離インピーダンスを零近傍まで低減させことができる。
また、本発明に係る三相三脚変圧器の一態様は、三相の三次巻線の分離インピーダンスを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係る静止誘導電器の構成図である。
図2図1のU相巻線の結線図である。
図3】分離巻線変圧器の一相分を示す結線図である。
図4図2及び図3の磁束分布を示す図である。
図5図3のインピーダンス特性を示すグラフであって、(a)は一次−二次間インピーダンス、二次−三次間インピーダンス及び三次−一次間インピーダンスの特性を示し、(b)は一次分離インピーダンス、二次分離インピーダンス及び三次分離インピーダンス特性示すグラフである。
図6図2のインピーダンス特性を示すグラフであって、(a)は一次−二次間インピーダンス、二次−三次間インピーダンス及び三次−一次間インピーダンスの特性を示し、(b)は一次分離インピーダンス、二次分離インピーダンス及び三次分離インピーダンス特性示すグラフである。
図7】本発明に係る静止誘導電器の第1変形例を示す結線図である。
図8】本発明に係る静止誘導電器の第2変形例を示す結線図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、図面を参照して、本発明の一実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
また、以下に示す実施の形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0009】
以下、本発明の第1の実施形態に係る静止誘導電器について図面を参照して説明する。
本実施形態では静止誘導電器を三相三脚単巻変圧器で構成している。
三相三脚単巻変圧器10は、図1に示すように、三脚鉄心11と、この三脚鉄心11のU相主脚鉄心11U、V相主脚鉄心11V及びW相主脚鉄心11Wに夫々U相巻線12U、V相巻線12V及びW相巻線12Wが巻回されている。
U相巻線12U、V相巻線12V及びW相巻線12Wは、同一の構成を有するので、その構成をU相巻線12Uを代表として以下に説明する。
【0010】
すなわち、U相巻線12Uは、図2に示すように、主脚鉄心11Uに、外側に向けて2分割した三次巻線LTの一方の分割三次巻線LTb、分路巻線LC、タップ巻線Ltap、三次巻線LTの他方の分割三次巻線LTa、直列巻線LSがその順に同軸的に配置されている。
各巻線の結線は、図2に示すように、三相交流のU相一次側端子Uが直列巻線LSの一端に接続され、この直列巻線LSの他端が分路巻線LCの一端に接続され、この分路巻線LCの他端がタップ巻線Ltapを介してスター結線の中点Oに接続されている。そして、タップ巻線Ltapには図示しないタップ選択器が設けられ、このタップ選択器で選択されたタップがU相二次側端子uに接続されている。
【0011】
また、三次巻線LTの分割三次巻線LTaは一端が端子aに接続され、分割三次巻線LTaの他端が三次巻線LTの分割三次巻線LTbの一端に接続され、分割三次巻線LTbの他端が端子bに接続されている。すなわち、分割三次巻線LTa及びLTbが端子a及びb間に直列に接続されている。
V相及びW相についても主脚鉄心に上記U相と同様に、分割三次巻線LTa、分路巻線LC、タップ巻線Ltap、分割三次巻線LTb及び直列巻線LSの順に配置されている。
ただし、V相では端子b及びc間に分割三次巻線LTa及びLTbが直列に接続され、W相では端子c及びa間に分割三次巻線LTa及びLTbが直列に接続されている。したがって、U相、V相及びW相の三次巻線LTがデルタ結線されている。
【0012】
本実施形態では、単巻変圧器において、三次巻線LTを2分割した2つの分割三次巻線LTa及び分割三次巻線LTbを直列に接続した構成を有し、一方の分割三次巻線LTaを分路巻線LC及び直列巻線LSの間に配置し、他方の分割三次巻線LTbを分路巻線LC及び主脚鉄心11の間に配置している。これによって、全体の三次巻線LTの分離インピーダンス(%Zt)が略零となるように設定することができる。
このとき、分割三次巻線LTa及びLTbの巻き数は、三次巻線LT全体の巻き数を100%したとき例えば50%ずつとなるように設定することにより、三次巻線LTの分離インピーダンス(%Zt)を略零に設定することができる。
【0013】
このように、単巻変圧器において三次巻線LTの分離インピーダンス(%Zt)を略零に設定することができる理由について、図3に示す分離巻線変圧器20を参考にして説明する。
この分離巻線変圧器20では、図3に示すように、主脚鉄心21に一次巻線L1、三次巻線L3、二次巻線L2及びタップ巻線Ltapの順に同軸的に配置されている。ここで、一次巻線L1と二次巻線L2とは分離されている。この分離巻線変圧器20では、三次巻線L3を一次巻線L1及び二次巻線L2の中間に配置することで三次巻線L3の分離インピーダンス(%Z)を略零とすることができる。
すなわち、各巻線の分離インピーダンス(%Z)は巻き数をnとし、巻線間距離をLとすると
%Z∝n2×L
で表され、分離インピーダンス(%Z)は巻き数nの二乗と巻線間距離Lの積に比例する。
【0014】
このため、一次巻線L1、二次巻線L2及び三次巻線L3の巻き数nを等しくし、且つ一次巻線L1及び三次巻線L3間の巻線間距離L13と三次結線L3と二次巻線L2間の巻線間距離L32とが等しく設定する。そして、一次巻線−三次巻線間インピーダンスを%Z13とし、三次巻線−二次巻線間インピーダンスを%Z32、二次巻線−一次巻線間インピーダンスを%Z21としたとき、%Z13=%Z32=10%とすると、%Z21=20%となる。
この場合の全体の合計インピーダンス%ZTは、
%ZT=(%Z13+%Z32+%Z21)/2=(10+10+20)/2=20%となる。
したがって、三次分離インピーダンス%Z3は合計インピーダンス%ZTから二次巻線−一次巻線間インピーダンス%X21を減算した値となるので、%Z3=%ZT−%Z21=20−20=0となる。
【0015】
この分離巻線変圧器20の漏れ磁束分布は、図4(a)に示すように、一次巻線L1及び二次巻線L2間では上底が長い台形状となり、一次巻線L1及び三次巻線L3間及び三次巻線L3及び二次巻線L2間では上底が短い台形状となる。
したがって、分離巻線変圧器20では、一次巻線L1と二次巻線L2との間に三次巻線L3を配置するだけで、三次巻線L3のインピーダンス%Z3を略零とすることができる。
【0016】
このときの線間インピーダンスとタップ位置との関係は、図5(a)に示すように、一次巻線−二次巻線間インピーダン及び二次巻線−三次巻線間インピーダンスはともに最大タップ番号からタップ番号が減少するに応じてインピーダンスが減少するが、三次巻線−二次巻線間インピーダンスはタップ番号に関わらず略一定値となる。
この図5(a)の線間インピーダンス特性から一次巻線L1、二次巻線L2及び三次巻線L3のインピーダンスを分離すると、一次巻線L1の分離インピーダンスは12%程度で一定となり、二次巻線L2の分離インピーダンスは最大タップ番号からタップ番号が低下する従って12%から不規則に低下する。これに対して、三次巻線L3の分離インピーダンスはタップ番号に関わらず零に近い2%程度で一定に維持される。
【0017】
しかしながら、単巻変圧器では、直列巻線LSの一部と分路巻線LCの一部とで一次巻線を形成するとともに、分路巻線LCが二次巻線を構成する。言い換えると、一次巻線は直列巻線LSの一部と分路巻線LCの一部とで構成され、二次巻線は分路巻線LCで構成される。
このため、分離巻線変圧器20のように、分路巻線LCと直列巻線LSとの間に三次巻線LTを配置しただけでは、三次巻線LTの分離インピーダンス%Z3を略零に設定することはできない。
したがって、本実施形態は、三次巻線LTを2分割して分割三次巻線LTa及びLTbを形成し、一方の分割三次巻線LTaを分路巻線LCと直列巻線LSとの間に配置し、他方の分割三次巻線LTbを分路巻線LCと主脚鉄心11との間に配置することにより、三次巻線LTのインピーダンス%Z3を略零に設定することができる。
【0018】
この単巻変圧器では、漏れ磁束分布が図4(b)に示すように、分離巻線変圧器の一次巻線−二次巻線間に対応する分路巻線LC及び直列巻線LS間で上底が広い台形状となるが、一次−三3次巻線間に対応する磁束分布は分割三次巻線LTbで負となり、分路巻線TC及び直列巻線LS間でタップ巻線Ltap及び直列巻線LS位置でピークとなる変動波形となり、二次−三次巻線間に対応する漏れ磁束分布は分割三次巻線LTbで負となり、分路巻線LC位置で正のピークとなり、その後減少して分割三次巻線LTaで再度負となる変動波形となる。何れにしても不規則な漏れ磁束分布を呈する。
【0019】
これに応じて、U相巻線12Uのインピーダンス分布は、図6(a)に示すように、一次巻線−二次巻線間インピーダンス及び二次巻線−三次巻線間インピーダンに夫々対応する巻線間インピーダンスはタップ番号が減少するにつれ鋸歯状波状に緩やかに増加し、三次巻線−維持巻線間インピーダンスは15%程度で一定となる。
この図6(a)のインピーダンス分布から一次巻線に対応する分離インピーダンス(%Z1)、二次巻線に対応する分離インピーダンス(%Z2)及び三次巻線に対応する三次分流インピーダンス(%Z3)を分離したインピーダンス分布は図6(b)に示すように、一次巻線L1に対応する分離インピーダンス(%Z1)はタップ番号が減少するにつれて緩やかに増加するが、二次巻線L2に対応する分離インピーダンス(%Z2)は鋸歯状波状に変動しながら増加する。これらに対して、三次巻線L3に対応する三次巻線LTの分離インピーダ(%Zt)は、最大タップ番号での2.5%からタップ番号が減少するにつれて緩やかに減少し、タップ番号が半分以下になると略零とすることができる。
【0020】
この三次巻線LTの分離インピーダンス%Z3は、三次巻線LT全体の巻き数や分割三次巻線LTa及びLTbの個々の巻き数によって調整することができる。
ここで、分割三次巻線LTa及びLTbの巻き数na及びnbは三次巻線LTの分離インピーダンス(%Zt)を略零とする場合には、na=nbとして50%ずつとすることにより分離インピーダンス(%Z)を略零とする最小値に設定することができる。この理由は、分割三次巻線LTa及びLTbの巻き数を等しく設定することにより、分割三次巻線LTa及びLTbの外径が等しくなり、分割三次巻線LTaとタップ巻線Ltqp及び直列巻線LSとの距離が等しくなるとともに、分割三次巻線LTbと分路巻線LCとの距離も等しくなる。
【0021】
しかしながら、分割三次巻線LTa及びLTbの巻き数を異ならせると、分割三次巻線LTa及びLTbに隣接する巻線との距離が変化することで三次巻線LTの分離インピーダンスが最小値より大きな値となる。
しかしながら、分割三次巻線LTa及びLTbの巻き数を異ならせることにより、三次巻線LTの三次分離インピーダンス(%Zt)を微調整することが可能となる。この場合分割三次巻線LTa及びLTbの巻き数が極端に異なる場合にはバランスが崩れることから三次分離インピーダンス(%Zt)の低下に影響が及ぶ。このため、分割三次巻線LTa及びLTbの巻き数の変化範囲は、最大で60%対40%程度が好ましい。
【0022】
このとき、各巻線の巻き数を変えずに各インピーダンスを微調整する場合には、分割三次巻線LTa及びLTbのうちの何れか一方の巻き数を多くする。
また、三次巻線LTの三次分離インピーダンス(%Zt)を略零に設定するためには、分割三次巻線LTa及びLTbの巻き数のみで決定する場合に限らず、三次巻線LTの三次分離インピーダンスが負となるように巻き数を設定し、三次巻線LTに限流リアクトルを接続することにより、三次分離インピーダンスを制御するようにしてもよい。
【0023】
このように、第1の実施形態では、単巻変圧器で三次巻線LTを2分割した分割三次巻線LTa及びLTbの一方を、分路巻線LC及び直列巻線LS間に配置し、他方を分路巻線LCと主脚鉄心11との間に配置することで、三次巻線LT全体の三次インピーダンスを略零に設定することができる。
このとき、分割三次巻線LTa及びLTbを直列に接続することにより、分割三次巻線LTa及びLTbの巻き数比を互い等しい50%に設定する場合に限らず、異なる巻き数に設定する場合でも三次分離インピーダンスを調整することができ、三次分離インピーダンスの設定の自由度を大きくとることができる。
【0024】
また、分路巻線LCを内側とし、直列巻線LSを外側に配置することにより、一次側の高電圧が印加される直列巻線LSでは絶縁距離を長くする必要があるが、内側の絶縁距離のみを考慮すればよいので、単巻変圧器の外径を小型化することができる。
ちなみに、直列巻線LSを内側に配置し、分路巻線LCを外側に配置することもできる。この場合には、直列巻線LSと分割三次巻線LTa及びLTbとの内側及び外側の絶縁距離を長くする必要が生じるので、単巻変圧器の外径が増加することになる。
【0025】
なお、上記実施形態では、分割三次巻線LTa及びLTbを直列に接続する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、分割三次巻線LTa及びLTbを並列に接続することもできる。この場合には、分割三次巻線LTa及びLTbの巻き数を等しくする必要があるとともに、三次電流が並列となるので、分割三次巻線LTa及びLTbに流れる電流を直列とした場合の半分の値に設定し、インピーダンスを確保するために、巻き数を直列きした場合の倍の値に設定すればよい。しかしながら、分割三次巻線LTa及びLTbを並列に接続する場合には、電流がアンバランスとならないように注意する必要がある。
【0026】
また、上記実施形態では、図2で分割三次巻線LTaの他端を直列巻線LSの周囲を通り、分割三次巻線LTa、タップ巻線Ltap、及び分路巻線LCの上部を通って分割三次巻線LTbまで配線する場合について説明した。しかしながら、本発明は上記構成に限定されるものではなく、分割三次巻線LTbの巻き方向を逆にすることにより、図2で点線図示のように分割三次巻線LTaからタップ巻線Ltap、分路巻線LCの下側を通って分割三次巻線LTbに配線することができる。
【0027】
また、上記実施形態では、タップ巻線Ltapを分路巻線LC及び分割三次巻線LTaの間に配置する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、図7に示すように、タップ巻線Ltapを分路巻線LC及び分割三次巻線LTbの間に配置するようにしてもよい。また、図8に示すようにタップ巻線Ltapを2分割して分路巻線LCの内側及び外側に配置するようにしてもよい。この場合に、分割したタップ巻線Ltapは直列接続又は並列接続の何れでもよいが、並列接続の場合には、電流がアンバランスとならないように注意する必要がある。
【0028】
さらには、単相三脚変圧器では主脚鉄心以外に側脚鉄心を設けてこの側脚鉄心に励磁巻線とともにタップ巻線を配置するようにしてもよい。この場合、タップ巻線は1つでも分割するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、三相三脚変圧器に本発明を適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、三相五脚変圧器や単相三脚変圧器にも本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0029】
10…三相三脚単巻変圧器、11…三相三脚鉄心、11U…U相主脚鉄心、11V…V相主脚鉄心、11W…W相主脚鉄心、12U…U相巻線、12V…V相巻線、12W…W相巻線、LC…分路巻線、LS…直列巻線、LT…三次巻線、LTa,LTb…分割三次巻線、Ltap…タップ巻線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8