特許第6825775号(P6825775)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6825775受信装置、日時算出方法、及び、日時算出プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6825775
(24)【登録日】2021年1月18日
(45)【発行日】2021年2月3日
(54)【発明の名称】受信装置、日時算出方法、及び、日時算出プログラム
(51)【国際特許分類】
   G04R 20/02 20130101AFI20210121BHJP
   G04G 5/00 20130101ALI20210121BHJP
【FI】
   G04R20/02
   G04G5/00 J
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-236161(P2018-236161)
(22)【出願日】2018年12月18日
(65)【公開番号】特開2020-98133(P2020-98133A)
(43)【公開日】2020年6月25日
【審査請求日】2020年4月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】青柳 航生
【審査官】 清水 靖記
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−049088(JP,A)
【文献】 特開2012−093281(JP,A)
【文献】 米国特許第5923718(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04R 20/00 − 60/14
G04G 3/00 − 99/00
G04C 1/00 − 99/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
GPS衛星から、少なくともGPS週番号を含むGPS日時情報を受信するGPS受信部と、不揮発メモリと、制御部と、を備える受信装置であって、
前記不揮発メモリは、
前記受信装置における週番号の基準値である受信装置側基準週番号に対応する、前記GPS衛星から通知される前記GPS週番号である、GPS基準週番号と、
前記GPS基準週番号の時点以降に発生したロールオーバーの回数を記録する更新カウンタと、
ロールオーバーが発生した際に、前記更新カウンタをインクリメントするか否かを判断するためのフラグであって、初期値が「ON」である更新フラグと、を保持し、
前記制御部は、
前記更新フラグが「ON」であり、前記GPS週番号が前記GPS基準週番号より小さい場合に、前記更新カウンタをインクリメントするとともに、前記更新フラグを「OFF」に切り替え、
前記更新フラグが「OFF」であり、前記GPS週番号が前記GPS基準週番号以上である場合に、前記更新フラグを「ON」に切り替える、受信装置。
【請求項2】
前記受信装置側基準週番号は、GPSの基準日から前記受信装置の初期設定時までに経過した週の数であり、前記更新カウンタの初期値は「0」であり、
前記制御部は、以下の式(1)を用いて現在日時を算出する、請求項1に記載の受信装置。
(現在日時)=(受信装置側基準週番号)+(1024×(更新カウンタ))
+((GPS週番号)−(GPS基準週番号)) ・・・(1)
【請求項3】
前記更新カウンタの初期値は、GPSの基準日から前記受信装置の初期設定時までに発生したロールオーバーの回数であり、
前記制御部は、以下の式(2)を用いて現在日時を算出する、請求項1に記載の受信装置。
(現在日時)=(1024×(更新カウンタ))+(GPS週番号) ・・・(2)
【請求項4】
GPS衛星から、少なくともGPS週番号を含むGPS日時情報を受信するGPS受信部と、不揮発メモリと、制御部と、を備える受信装置における日時算出方法であって、
前記不揮発メモリは、
前記受信装置における週番号の基準値である受信装置側基準週番号に対応する、前記GPS衛星から通知される前記GPS週番号である、GPS基準週番号と、
前記GPS基準週番号の時点以降に発生したロールオーバーの回数を記録する更新カウンタと、
ロールオーバーが発生した際に、前記更新カウンタをインクリメントするか否かを判断するためのフラグであって、初期値が「ON」である更新フラグと、を保持し、
前記制御部は、
前記更新フラグが「ON」であり、前記GPS週番号が前記GPS基準週番号より小さい場合に、前記更新カウンタをインクリメントするとともに、前記更新フラグを「OFF」に切り替え、
前記更新フラグが「OFF」であり、前記GPS週番号が前記GPS基準週番号以上である場合に、前記更新フラグを「ON」に切り替える、日時算出方法。
【請求項5】
前記受信装置側基準週番号は、GPSの基準日から前記受信装置の初期設定時までに経過した週の数であり、前記更新カウンタの初期値は「0」であり、
前記制御部は、以下の式(1)を用いて現在日時を算出する、請求項4に記載の日時算出方法。
(現在日時)=(受信装置側基準週番号)+(1024×(更新カウンタ))
+((GPS週番号)−(GPS基準週番号)) ・・・(1)
【請求項6】
前記更新カウンタの初期値は、GPSの基準日から前記受信装置の初期設定時までに発生したロールオーバーの回数であり、
前記制御部は、以下の式(2)を用いて現在日時を算出する、請求項4に記載の日時算出方法。
(現在日時)=(1024×(更新カウンタ))+(GPS週番号) ・・・(2)
【請求項7】
GPS衛星から、少なくともGPS週番号を含むGPS日時情報を受信するGPS受信部と、不揮発メモリと、制御部と、を備える受信装置において実行される日時算出プログラムであって、
前記不揮発メモリは、
前記受信装置における週番号の基準値である受信装置側基準週番号に対応する、前記GPS衛星から通知される前記GPS週番号である、GPS基準週番号と、
前記GPS基準週番号の時点以降に発生したロールオーバーの回数を記録する更新カウンタと、
ロールオーバーが発生した際に、前記更新カウンタをインクリメントするか否かを判断するためのフラグであって、初期値が「ON」である更新フラグと、を保持し、
前記制御部に、
前記更新フラグが「ON」であり、前記GPS週番号が前記GPS基準週番号より小さい場合に、前記更新カウンタをインクリメントするとともに、前記更新フラグを「OFF」に切り替える処理と、
前記更新フラグが「OFF」であり、前記GPS週番号が前記GPS基準週番号以上である場合に、前記更新フラグを「ON」に切り替える処理と、を実行させる、日時算出プログラム。
【請求項8】
前記受信装置側基準週番号は、GPSの基準日から前記受信装置の初期設定時までに経過した週の数であり、前記更新カウンタの初期値は「0」であり、
前記制御部に、以下の式(1)を用いて現在日時を算出する処理を実行させる、請求項7に記載の日時算出プログラム。
(現在日時)=(受信装置側基準週番号)+(1024×(更新カウンタ))
+((GPS週番号)−(GPS基準週番号)) ・・・(1)
【請求項9】
前記更新カウンタの初期値は、GPSの基準日から前記受信装置の初期設定時までに発生したロールオーバーの回数であり、
前記制御部に、以下の式(2)を用いて現在日時を算出する処理を実行させる、請求項7に記載の日時算出プログラム。
(現在日時)=(1024×(更新カウンタ))+(GPS週番号) ・・・(2)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受信装置、日時算出方法、及び、日時算出プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
受信装置においては、GPS(Global Positioning System)衛星からGPS日時情報を受信し、当該GPS日時情報に基づいて、現在日時を算出している。しかし、GPS日時情報には0週〜1023週までのGPS週番号(Week Number)しか含まれず、GPSの基準日である1980年1月6日からの1週間を第0週としている。そのため、基準日である1980年1月6日から1024週(約19.6年)経過した1999年8月22日に、GPS日時情報のGPS週番号が0週に戻る、1回目のロールオーバーが発生した。ロールオーバーが発生すると、その後、受信装置においては、過去の日時が現在日時として算出されてしまう。
【0003】
そのため、受信装置において、算出した現在日時を不揮発メモリに保持し、当該不揮発メモリにおいて保持した現在日時を更新することによって、当該ロールオーバーの発生に対応するという方法がある。
【0004】
また、特許文献1には、閏秒サーバと、ネットワークと、複数の基地局装置を備える無線通信システムが記載されている。また、特許文献1には、基地局装置が、GPS衛星からGPS週番号(WN)、週内GPS時刻、閏秒からなる日時情報を取得し、ロールオーバーが生じた後においても、インクリメント処理によって時刻生成を行うことが記載されている。また、特許文献1には、ロールオーバーが生じた後に、当該基地局装置の電源が投入された場合、及び、リセットされて再起動された場合に、基地局装置が、再度、GPS衛星からGPS週番号(WN)、週内GPS時刻、閏秒からなる日時情報を取得することが記載されている。さらに、特許文献1には、閏秒サーバに当該閏秒を送信し、閏秒サーバから当該閏秒に基づいて現在のロールオーバー回数を取得し、当該ロールオーバー回数とGPS週番号等に基づいて現在日時を算出することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−249594号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、不揮発メモリにおいて保持した現在日時を更新することによってロールオーバーの発生に対応する場合、不揮発メモリには書き換え回数制限があるため、必要最小限の更新回数が求められる。
【0007】
また、特許文献1に記載の方法では、現在のロールオーバー回数が必要となった場合に、ネットワーク経由で、閏秒サーバから現在のロールオーバー回数を取得する必要がある。
【0008】
本開示の目的は、不揮発メモリを更新する回数を低減して、ロールオーバーに対応することができる受信装置、日時算出方法、及び、日時算出プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様に係る受信装置は、GPS衛星から、少なくともGPS週番号を含むGPS日時情報を受信するGPS受信部と、不揮発メモリと、制御部と、を備える受信装置であって、前記不揮発メモリは、前記受信装置における週番号の基準値である受信装置側基準週番号に対応する、前記GPS衛星から通知される前記GPS週番号である、GPS基準週番号と、前記GPS基準週番号の時点以降に発生したロールオーバーの回数を記録する更新カウンタと、ロールオーバーが発生した際に、前記更新カウンタをインクリメントするか否かを判断するためのフラグであって、初期値が「ON」である更新フラグと、を保持し、前記制御部は、前記更新フラグが「ON」であり、前記GPS週番号が前記GPS基準週番号より小さい場合に、前記更新カウンタをインクリメントするとともに、前記更新フラグを「OFF」に切り替え、前記更新フラグが「OFF」であり、前記GPS週番号が前記GPS基準週番号以上である場合に、前記更新フラグを「ON」に切り替える。
【0010】
本発明の第2の態様に係る日時算出方法は、GPS衛星から、少なくともGPS週番号を含むGPS日時情報を受信するGPS受信部と、不揮発メモリと、制御部と、を備える受信装置における日時算出方法であって、前記不揮発メモリは、前記受信装置における週番号の基準値である受信装置側基準週番号に対応する、前記GPS衛星から通知される前記GPS週番号である、GPS基準週番号と、前記GPS基準週番号の時点以降に発生したロールオーバーの回数を記録する更新カウンタと、ロールオーバーが発生した際に、前記更新カウンタをインクリメントするか否かを判断するためのフラグであって、初期値が「ON」である更新フラグと、を保持し、前記制御部は、前記更新フラグが「ON」であり、前記GPS週番号が前記GPS基準週番号より小さい場合に、前記更新カウンタをインクリメントするとともに、前記更新フラグを「OFF」に切り替え、前記更新フラグが「OFF」であり、前記GPS週番号が前記GPS基準週番号以上である場合に、前記更新フラグを「ON」に切り替える。
【0011】
本発明の第3の態様に係る日時算出プログラムは、GPS衛星から、少なくともGPS週番号を含むGPS日時情報を受信するGPS受信部と、不揮発メモリと、制御部と、を備える受信装置において実行される日時算出プログラムであって、前記不揮発メモリは、前記受信装置における週番号の基準値である受信装置側基準週番号に対応する、前記GPS衛星から通知される前記GPS週番号である、GPS基準週番号と、前記GPS基準週番号の時点以降に発生したロールオーバーの回数を記録する更新カウンタと、ロールオーバーが発生した際に、前記更新カウンタをインクリメントするか否かを判断するためのフラグであって、初期値が「ON」である更新フラグと、を保持し、前記制御部に、前記更新フラグが「ON」であり、前記GPS週番号が前記GPS基準週番号より小さい場合に、前記更新カウンタをインクリメントするとともに、前記更新フラグを「OFF」に切り替える処理と、前記更新フラグが「OFF」であり、前記GPS週番号が前記GPS基準週番号以上である場合に、前記更新フラグを「ON」に切り替える処理と、を実行させる。
【発明の効果】
【0012】
不揮発メモリを更新する回数を低減して、ロールオーバーに対応することができる受信装置、日時算出方法、及び、日時算出プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る受信装置の一例を示すブロック図である。
図2】本発明の実施の形態1におけるロールオーバーの発生と現在日時との関係の一例を説明する図である。
図3】本発明の実施の形態1に係る日時算出方法の一例を示すフローチャートである。
図4】本発明の実施の形態1におけるロールオーバーの発生と現在日時との関係の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施の形態1
以下、図面を参照して本発明の実施の形態1について説明する。
図1は、本発明に係る受信装置100の一例を示すブロック図である。図1に示すように、受信装置100は、GPS受信部101、主制御部102、RAM(Random Access Memory)103、不揮発メモリ104等を備える。
【0015】
GPS受信部101は、アンテナ等を備え、GPS衛星から送信される各種の情報を受信する。GPS受信部101は、例えば、GPS衛星から送信されるGPS日時情報を受信する。GPS日時情報には、例えば、GPS週番号等が含まれる。GPS受信部101は、受信したGPS日時情報等の情報を主制御部102に入力する。
【0016】
主制御部102は、例えば、図示しないCPU(Central Processing Unit)及び図示しない記憶部等を備える。そして、CPUが記憶部に格納されたプログラムを実行することにより、主制御部102における全ての処理が実現する。
また、主制御部102のそれぞれの記憶部に格納されるプログラムは、CPUに実行されることにより、主制御部102のそれぞれにおける処理を実現するためのコードを含む。なお、記憶部は、例えば、このプログラムや、主制御部102における処理に利用される各種情報を格納することができる任意の記憶装置を含んで構成される。記憶装置は、例えば、メモリ等である。また、主制御部102に備えられる記憶部は、後述のRAM103、不揮発メモリ104によって構成されてもよい。
【0017】
また、上述したプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non−transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0018】
具体的には、主制御部102は、受信装置100の各部を制御する。
例えば、主制御部102は、GPS受信部101を制御する。
また、主制御部102は、上述の記憶部又はRAM103に格納された日時算出プログラムを実行することにより、日時算出方法を実施する。具体的には、例えば、主制御部102は、不揮発メモリ104に保持される「更新カウンタ」をインクリメントして当該不揮発メモリ104を書き換える。また、主制御部102は、不揮発メモリ104に保持される「更新フラグ」を切り替えて当該不揮発メモリ104を書き換える。
【0019】
RAM103は、主制御部102の処理及び演算に用いられ、主制御部102に備えられる記憶部として機能する。なお、RAM103は、主制御部102内に備えられていてもよい。
【0020】
不揮発メモリ104は、後述の「更新カウンタ」、「更新フラグ」、「GPS基準週番号」、受信装置側基準週番号としての「モジュール側基準週番号」の値を保持する。なお、受信装置100の初期設定時に、不揮発メモリ104に「更新カウンタ」、「更新フラグ」、「モジュール側基準週番号」及び「GPS基準週番号」が格納される。また、受信装置100の初期設定時とは、例えば、受信装置100の出荷時や、装置初期化処理を実行した時等である。
【0021】
次に、図2を参照しながら、本実施の形態1に係る日時算出方法の一例について説明する。図2は、本実施の形態1におけるロールオーバーの発生と現在日時との関係の一例を説明する図である。
【0022】
図2において、太線の矢印は時間軸であり、左から右に向かって時間が流れている。起点は、GPSの基準日である「1980年1月6日」である。そして、起点から1024週毎にロールオーバーが発生している。
モジュール側基準週番号(受信装置側基準週番号)は、受信装置100の不揮発メモリ104に保持される基準値であり、任意かつ固定の週番号である。具体的には、モジュール側基準週番号は、例えば、GPSの基準日(1980年1月6日)から受信装置100の初期設定時までに経過した週数に相当する。
GPS基準週番号は、モジュール側基準週番号に対応する、GPS衛星から通知されるGPS日時情報に含まれるGPS週番号である。すなわち、GPS基準週番号は、受信装置100の初期設定時にGPS衛星から通知されるGPS週番号に相当する。
更新カウンタは、GPS基準週番号の時点以降に発生したロールオーバーの回数を記録するカウンタである。更新カウンタの初期値は「0」であり、ロールオーバーが発生する度にインクリメントされる。すなわち、更新カウンタは、受信装置100の初期設定時以降に発生したロールオーバーの回数を記録するカウンタである。
更新フラグは、ロールオーバーが発生した際に、更新カウンタをインクリメントするか否かを判断するためのフラグである。更新フラグの初期値は「ON」であり、ロールオーバーが発生した際に「OFF」に切り替えられる。また、更新フラグは、当該更新フラグが「OFF」である際に、GPS週番号がGPS基準週番号以上となった場合に、「ON」に再度切り替えられる。
【0023】
図2に示す例において、現在日時を算出する方法について説明する。
ここで、受信装置100の初期設定時の設定として、モジュール側基準週番号を「1982」(2017年12月31日)とする。この場合、当該モジュール側基準週番号に対応するGPS基準週番号は「958」である。また、初期設定時の更新カウンタは「0」であり、更新フラグは「ON」である。
【0024】
また、2019年4月7日に2回目のロールオーバーが発生する際、GPS週番号は「0」となるためGPS基準週番号より小さくなり、上述の通り、更新カウンタがインクリメントされ、更新フラグは「OFF」に切り替えられる。
【0025】
また、受信装置100の初期設定時(例えば、出荷時)から1024週経過した際、GPS週番号は「958」となり、GPS基準週番号以上となるため、上述の通り、更新フラグが「ON」に切り替えられる。
【0026】
そして、当該例において、GPS受信部101がGPS衛星からGPS日時情報として、「2038年6月6日」のGPS週番号「1000」を受信した場合に、主制御部102が現在日時を算出する方法について説明する。
【0027】
主制御部102は、以下の式(1)を用いて現在日時を算出する。
(現在日時)=(モジュール側基準週番号)+(1024×(更新カウンタ))
+((GPS週番号)−(GPS基準週番号)) ・・・(1)
図2に示す例において、更新カウンタの値は「1」であるため、(現在日時)=1982+(1024×1)+(1000−958)=3048となり、当該「3048週」を換算すると、「2038年6月6日」となる。
【0028】
次に、図3を参照しながら、本実施の形態1に係る日時算出方法について説明する。図3は、本実施の形態1に係る日時算出方法の一例を示すフローチャートである。
まず、GPS受信部101がGPS衛星からGPS日時情報を受信すると(ステップS1)、主制御部102は、GPS日時情報からGPS週番号を抽出する(ステップS2)。
【0029】
次に、主制御部102は、不揮発メモリ104に保持されている更新フラグが「ON」か否かを判断する(ステップS3)。
【0030】
ステップS3において、更新フラグが「OFF」である場合(ステップS3;No)、主制御部102は、GPS週番号が、不揮発メモリ104に保持されているGPS基準週番号以上か否かを判断する(ステップS4)。
【0031】
ステップS4において、GPS週番号がGPS基準週番号より小さい場合(ステップS4;No)、ステップ10の処理に進む。
ステップS4において、GPS週番号がGPS基準週番号以上である場合(ステップS4;Yes)、主制御部102は、不揮発メモリ104に保持されている更新フラグを「ON」に切り替え(ステップS5)、不揮発メモリ104を書き換える(ステップS6)。その後、ステップ10の処理に進む。例えば、図2に示す例において、受信装置100の初期設定時から1024週経過した際、更新フラグが「OFF」であり、GPS週番号は「958」となり、GPS基準週番号以上となるため、主制御部102は、更新フラグを「ON」に切り替えて、不揮発メモリ104を書き換える。
【0032】
ステップS3において、更新フラグが「ON」である場合(ステップS3;Yes)、主制御部102は、GPS週番号が、不揮発メモリ104に保持されているGPS基準週番号より小さいか否かを判断する(ステップS7)。
【0033】
ステップS7において、GPS週番号がGPS基準週番号以上である場合(ステップS7;No)、ステップ10の処理に進む。
ステップS7において、GPS週番号がGPS基準週番号より小さい場合(ステップS7;Yes)、主制御部102は、ロールオーバーが発生したと判断し、更新カウンタをインクリメントするとともに更新フラグを「OFF」に切り替え(ステップS8)、不揮発メモリ104を書き換える(ステップS9)。例えば、図2に示す例において、更新フラグが「ON」である際に、2019年4月7日に2回目のロールオーバーが発生すると、GPS週番号は「0」となる。そのため、GPS週番号はGPS基準週番号より小さくなり、主制御部102は、更新カウンタをインクリメントするとともに更新フラグを「OFF」に切り替えて、不揮発メモリ104を書き換える。
【0034】
次に、主制御部102は、上記の式(1)を用いて、現在日時を算出し(ステップS10)、本処理を終了する。
【0035】
次に、図4を参照しながら、本実施の形態1に係る日時算出方法の他の例について説明する。図4は、本実施の形態1におけるロールオーバーの発生と現在日時との関係の他の例を説明する図である。図4に示す例では、更新カウンタの初期値(初期設定時の更新カウンタの値)が「1」である点のみが、図2と異なる。図4のその他の点は、図2と同様であり、その説明を省略する。換言すれば、図4に示す例では、更新カウンタの初期値は、GPSの基準日から受信装置100の初期設定時までに発生したロールオーバーの回数である。
【0036】
図4に示す例では、主制御部102は、下記の式(2)を用いて現在日時を算出する。
(現在日時)=(1024×(更新カウンタ))+(GPS週番号) ・・・(2)
図4に示す上記の例において、GPS受信部101がGPS衛星からGPS日時情報として、「2038年6月6日」のGPS週番号「1000」を受信した場合、更新カウンタの値は「2」であるため、(現在日時)=(1024×2)+1000=3048となり、当該「3048週」を換算すると、「2038年6月6日」となる。
【0037】
以上に説明した実施の形態1に係る受信装置100及び日時算出方法によれば、主制御部102が、更新フラグが「ON」であり、GPS週番号がGPS基準週番号より小さい場合に、更新カウンタをインクリメントするとともに、更新フラグを「OFF」に切り替える。そのため、ロールオーバーが発生し、GPS週番号がGPS基準週番号より小さくなった場合に、更新カウンタが適切にインクリメントされる。また、同時に、更新フラグが「OFF」に切り替えられる。また、主制御部102が更新フラグが「OFF」であり、GPS週番号がGPS基準週番号以上である場合に、更新フラグを「ON」に切り替える。そのため、受信装置100が初期設定(例えば、出荷)されてから1024週経過し、GPS週番号がGPS基準週番号以上となった場合に、すなわち、ロールオーバーの発生が近づいた際に、更新フラグが適切に「ON」に切り替えられる。そして、受信装置100が初期設定されてから1024週までの間に、2回不揮発メモリ104を更新するだけで、現在日時を正確に算出するように、ロールオーバーに対応することができる。また、GPS受信部101がGPS衛星からGPS日時情報等の情報を通常に受け取る以外に、ネットワーク経由でその他の情報を取得しなくても、現在日時を正確に算出するようにロールオーバーに対応することができる。これにより、不揮発メモリ104を更新する回数を低減して、ロールオーバーに対応することができる。
【0038】
また、主制御部102は、上記の式(1)を用いて現在日時を算出する。そのため、受信装置100の不揮発メモリ104に既に保持されているモジュール側基準週番号、更新カウンタ、GPS基準週番号と、GPS衛星からGPS受信部101が受信したGPS週番号のみを用いて、現在日時を正確に算出することができる。そのため、ネットワーク経由でその他の情報を取得しなくても、現在日時を正確に算出することができる。
【0039】
また、主制御部102は、上記の式(2)を用いて現在日時を算出してもよい。式(2)を用いて現在日時を算出する場合、モジュール側基準週番号を用いなくても、現在日時を算出することができる。
【0040】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0041】
100 受信装置
101 GPS受信部
102 主制御部(制御部)
103 RAM
104 不揮発メモリ
図1
図2
図3
図4