特許第6825847号(P6825847)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 田中 認の特許一覧

<>
  • 特許6825847-生コンクリート運搬用台車 図000002
  • 特許6825847-生コンクリート運搬用台車 図000003
  • 特許6825847-生コンクリート運搬用台車 図000004
  • 特許6825847-生コンクリート運搬用台車 図000005
  • 特許6825847-生コンクリート運搬用台車 図000006
  • 特許6825847-生コンクリート運搬用台車 図000007
  • 特許6825847-生コンクリート運搬用台車 図000008
  • 特許6825847-生コンクリート運搬用台車 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6825847
(24)【登録日】2021年1月18日
(45)【発行日】2021年2月3日
(54)【発明の名称】生コンクリート運搬用台車
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/04 20060101AFI20210121BHJP
   B62B 3/10 20060101ALI20210121BHJP
   B62B 3/00 20060101ALI20210121BHJP
   B60P 3/16 20060101ALI20210121BHJP
【FI】
   E04G21/04
   B62B3/10 Z
   B62B3/00 A
   B60P3/16 Z
【請求項の数】7
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-158672(P2016-158672)
(22)【出願日】2016年8月12日
(65)【公開番号】特開2018-25068(P2018-25068A)
(43)【公開日】2018年2月15日
【審査請求日】2019年5月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】519146592
【氏名又は名称】田中 認
(74)【代理人】
【識別番号】100173901
【弁理士】
【氏名又は名称】小越 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100093296
【弁理士】
【氏名又は名称】小越 勇
(72)【発明者】
【氏名】田中 認
【審査官】 西村 隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−001556(JP,A)
【文献】 特開平08−142736(JP,A)
【文献】 特開2001−260887(JP,A)
【文献】 特開2002−067968(JP,A)
【文献】 特公昭47−050925(JP,B1)
【文献】 特開2011−178345(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/04
E04G 21/02
B62B 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生コンクリート運搬用小型台車であって、矩形のフレームの下に複数個の車輪、当該矩形のフレームの上に立設する左右の支持台、その間に生コンクリートを挿入する容器前記容器の両側に設けられた回転軸部材、生コンクリートを挿入する容器の前方には、生コンクリートを排出するための傾斜面を有し、前記回転軸部材が前記支持台を転がることで前記容器が前進移動しながら傾斜して生コンクリートを排出することを特徴と生コンクリート運搬用小型台車。
【請求項2】
生コンクリートを挿入する容器の中心形状がほぼ矩形であり、当該矩形の容器の前方に、先細りの生コンクリート排出口を備えていることを特徴とする請求項1記載の生コンクリート運搬用小型台車。
【請求項3】
矩形のフレームの下に配置した車輪は、合計6個であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の生コンクリート運搬用小型台車。
【請求項4】
生コンクリートを排出側とは反対側の容器の上に手押し用のハンドルを備えていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の生コンクリート運搬用小型台車。
【請求項5】
前記容器を回転する軸は、容器の重心点であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の生コンクリート運搬用小型台車。
【請求項6】
容器を前転させるための回転軸部材にギア・ラックのうちのギアを設け、矩形のフレームの上に立設する左右の支持台の上に、前記ギアと同ピッチ径のギア・ラックのうちのラックを設けることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の生コンクリート運搬用小型台車。
【請求項7】
矩形のフレームの上面には回転軸部材が前後に移動する範囲を制限することができるストッパーを有することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の生コンクリート運搬用小型台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人力で動かすことができる生コンクリート運搬用台車、特に小型の生コンクリート運搬台車に関する。
【背景技術】
【0002】
高層のビルで、ビルの建設又はビルの修理をする時に、生コンクリートを使用する場合がある。特に、ビルの建設現場では、生コンクリートの使用頻度が高い。
【0003】
一旦、ビルを建設した場合には、生コンクリートをクレーン車で運搬することができないので、作業用のエレベータ又は既に建設したエレベータを使用しなければならない。
【0004】
従来は、既存の平たい台車に、生コンクリートを手作業で載せ、これを運搬するという手段が採られていた。生コンクリートは重く、未凝固の状態にあるので、作業能率が悪く、台車や運搬容器に、手足を挟んだり、背腹や頭を容器やコンクリートの壁にぶっつけたりする、危険を伴うという問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の解決しようとする課題は、前記のような、重く未凝固の状態にある生コンクリートを、容易にかつ安定して操作でき、作業能率を向上させると共に、台車や運搬容器に、手足を挟んだり、背腹や頭を容器やコンクリートの壁にぶっつけたりする危険を、低下させることができる装置を提供することを、課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、次の発明を提供するものである。
1)生コンクリート運搬用小型台車1であって、矩形のフレーム17の下に複数個の車輪2、当該矩形のフレーム17の上に立設する左右の支持台3、その間に生コンクリートを挿入する容器4、前記左右の支持台3には、容器を前転させるための歯車(ギア・ラック)5、生コンクリートを挿入する容器4の前方には、生コンクリートを排出するための傾斜面16、矩形のフレーム17の上面には容器の傾斜角を調節できるストッパー7を有することを特徴とする生コンクリート運搬用小型台車。
【0007】
2)生コンクリートを挿入する容器4の中心形状がほぼ矩形であり、当該矩形の容器の前方に、先細りの生コンクリート排出口6を備えていることを特徴とする前記1)に記載の生コンクリート運搬用小型台車。
3)矩形のフレーム17の下に配置した車輪は、合計6個であることを特徴とする前記1)又は前記2)に記載の生コンクリート運搬用小型台車。
【0008】
4)生コンクリートを排出側とは反対側の容器の上に手押し用のハンドル12を備えていることを特徴とする前記1)〜3)のいずれか一項に記載の生コンクリート運搬用小型台車。
5)容器を回転する軸は、容器の重心点であることを特徴とする前記1)〜4)のいずれか一項に記載の生コンクリート運搬用小型台車。
【0009】
6)回転軸の両側に設け、矩形のフレーム17の上に立設する左右の支持台3の上に、容器を前転させるための回転軸と同ピッチ径のギア・ラック5を設けることを特徴とする前記1)〜前記5)のいずれか一項に記載の生コンクリート運搬用小型台車。
7)前2個の車輪と後2個の車輪の間に、中央の車輪2個を配置すると共に、中央の車輪2個を、前2個の車輪と後2個の車輪よりも、やや高くなるように設計し、移動時にシーソーのように、動かすことができるようにした前記1)〜前記6)のいずれか一項に記載の生コンクリート運搬用小型台車。
【発明の効果】
【0010】
本発明の中心的な課題は、生コンクリート運搬用小型台車1であって、矩形のフレーム17の下に複数個の車輪2、当該矩形のフレーム17の上に立設する左右の支持台3、その間に生コンクリートを挿入する容器4からなり、前記左右の支持台3には、容器を前転させるための歯車(ギア・ラック)5、生コンクリートを挿入する容器4の前方には、生コンクリートを排出するための傾斜面16、矩形のフレーム17の上面には容器の傾斜角を調節できるストッパー7を設けた生コンクリート運搬用小型台車を提供する。
これにより、未凝固の状態にある、重い生コンクリートを比較的容易に操作できるようにして、作業能率を向上させ、かつ、台車や運搬容器に、手足を挟んだり、背腹や頭を容器やコンクリートの壁にぶっつけたりする危険を低下させることができるという、優れた効果を有するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に、図面に基づいて本発明の具体例を示すが、以下に示す図面に基づく説明は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本願発明はこれらの具体例に制限されるものではない。すなわち、本願発明の技術思想に基づく構造上の変形、実施態様、装置は、全て本願発明に包含されるものである。
【0012】
図1は、生コンクリート運搬用小型台車1の斜視図であるが、このように、本発明の生コンクリート運搬用小型台車1は、矩形のフレーム17の下に複数個の車輪2を配置している。車輪数は、図1では、合計6個としているが、この配置により車輪数が少なく、かつ安定し、操作性が良くなり、その場での旋回も可能となる。
【0013】
これよりも車輪数が少ないと、安定性が欠けていく。他方、車輪数が多いと、操作が煩雑となり、車輪が邪魔となる場合が出てくるので、車輪数は台車のサイズに応じて、適宜選択する。
図2は、本発明の、生コンクリート運搬用小型台車1の、上面図、図3は、本発明の、生コンクリート運搬用小型台車1の、側面図(横と縦)、図4は、本発明の、生コンクリート運搬用小型台車1を操作した例を示す説明図(横から見た図)、図5は空の生コンクリート運搬用小型台車1を、傾斜させた斜視図を示す。さらに、図6は回転軸15の詳細図である。
【0014】
図1図6に示すように、当該矩形のフレーム17の上に立設する左右の支持台3、その間に生コンクリートを挿入する容器4、前記左右の支持台3には、容器を前転させるための歯車(ギア・ラック)5、生コンクリートを挿入する容器4の前方には、生コンクリートを排出するための排出口6、矩形のフレーム17の上面には容器の傾斜角を調節できるストッパー7を配置することが、効率が良い生コンクリート運搬用小型台車と言える。
【0015】
また、生コンクリートを挿入する容器4の中心形状がほぼ矩形であり、当該矩形の容器4の前方に、先細りの生コンクリート排出用のトレイ(排出口)6を備えている。これにより、装置全体が軽量で、操作が簡便となる。
図7は、本願発明の生コンクリート運搬用小型台車を傾斜させ、容器4の排出口6から生コンクリートを排出する様子を示す図である。台車は傾斜と共に、前進しているのが分る。
一方、図8は、従来型の生コンクリートを排出する様子を示す図である。図8では、排出口は台車の淵にあるので、生コンクリートのスムーズな排出ができないという、問題がある。
【0016】
生コンクリート排出口6の反対側の容器4の上に、手押しハンドル12を設けるのが良い。これにより手動で、生コンクリート運搬用小型台車1を簡単に操作することを可能とする。また、複数人で運搬・操作するために、着脱可能な取手9を付ける。
【0017】
容器を回転する回転軸15は、容器4の重心点であることが望ましい。これにより生コンクリート運搬用小型台車1の安定性と操作性を確保できる。
回転軸15は容器の左右側面に取付け、容器重心点を通過する位置に取付ける。これによって、生コンクリートの入った重い容器を軽く前転させることができる。
【0018】
さらに、回転軸15を両側に設け、矩形のフレーム17の上に立設する左右の支持台3の上に、容器4を前転させるための回転軸15と同ピッチ径のギア・ラック5を設けることが望ましい。これにより、構造を簡単にし、操作が容易となるようにした生コンクリート運搬用小型台車1を提供できる。
【0019】
前2個の車輪2と後2個の車輪2の間に、中央の車輪2を、それぞれ2個配置し、かつ中央の車輪2個を、前2個の車輪と後2個の車輪よりも、やや高くなるようにすると、移動時にシーソーのように、動かすことができる。これも亦、本発明の生コンクリート運搬用小型台車1の操作を、より容易にすることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0020】
生コンクリート運搬用小型台車1について、矩形のフレーム17の下に複数個の車輪2を設け、また、当該矩形のフレーム17の上に立設する左右の支持台3、その間に生コンクリートを挿入する容器4、前記左右の支持台3には、容器を前転させるための歯車(ギア・ラック)5、生コンクリートを挿入する容器4の前方には、生コンクリートを排出するための傾斜面16、矩形のフレーム17の上面には容器の傾斜角を調節できるストッパー7を設けることにより、重く未凝固の状態にある生コンクリートを比較的容易に操作でき、作業能率を向上させると共に、台車や運搬容器に、手足を挟さんだり、あるいは、背腹や頭を容器やコンクリートの壁にぶっつけたりする危険を低下させることができる、優れた効果を有する。また、本発明は、容器が前転する時に、支持台3を回転軸15が転がり、移動し、排出口がフレームより前方に出るため、生コンクリートの排出がよりスムーズに行うことができる。以上、本願発明は、産業上の利用可能性が高く有用な発明である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の、生コンクリート運搬用小型台車の、斜視図である。
図2】本発明の、生コンクリート運搬用小型台車の、上面図である。
図3】本発明の、生コンクリート運搬用小型台車の、側面図(横と縦)である。
図4】本発明の、生コンクリート運搬用小型台車を操作した例を示す説明図(横から見た図)である。
図5】空の生コンクリート運搬用小型台車を、傾斜させた斜視図である。
図6】回転軸15の詳細図である。
図7】生コンクリートを排出させるために、本発明の生コンクリート運搬用小型台車を、前進移動させながら、徐々に傾斜させる様子を示す図である。
図8】従来型の生コンクリート運搬用小型台車であり、生コンクリート運搬用小型台車を傾斜させることはできるが、台車を前進移動させることはできない。
【符号の説明】
【0022】
1:コンクリート搬送台車
2:車輪
3:支持台
4:容器
5:ギア・ラック
6:排出口
7:ストッパー
8:フォークポケット
9:着脱取手(足場パイプ40A取付可能)
10:吊フック(4か所)
11:容量目盛(100L、150L、200L)
12:手押しハンドル
13:ロック装置
14:排出ストッパー
15:回転軸
16:傾斜面
17:フレーム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8