(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施の形態(以下、「実施の形態」と略記する。)について、詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0014】
図1は、本実施の形態における画像表示装置の概念図である。
図2は、
図1に示す画像表示装置の部分分解斜視図である。
図3は、本実施の形態における画像表示装置の部分拡大断面図である。
図4は、本実施の形態の画像表示装置のブロック図である。
【0015】
図1に示すように、本実施の形態における画像表示装置1は、スクリーン(表示体)2の表面に、プロジェクタ(投影装置)3により画像を投影する構成である。
【0016】
図1に示すように、スクリーン2の裏側には、物理量検出装置4が配置されている。また、
図1に示すように、プロジェクタ3と、物理量検出装置4との間は、コンピュータ装置5により電気的に接続されている。
【0017】
図2に示すように、物理量検出装置4には、複数の物理量検出部6が配列されている。この実施の形態では、物理量検出部6を流量センサ(以下、流量センサ6と称する)として説明する。
図2に示すように、複数の流量センサ6は、直交する2方向にマトリクス状に配置されているが、
図2に示す配置は一例であり、これに限定されるものではない。例えば、各流量センサ6は、一列に配列された構成であってもよいし、リング状等、直線以外の形状に配列されてもよい。
【0018】
図2に示す実施の形態では、各流量センサ6と電気的に接続されたLED等の発光部7が設けられているが、発光部7を設けるか否かは任意である。なお、各発光部7は、電気的に接続された各流量センサ6に近接して配置されている。
【0019】
図2に示すように、スクリーン2には、各流量センサ6と対向する位置に微小な貫通孔8が設けられている。貫通孔8は、流量センサ6に風を送るための穴であり、貫通孔8を通じて、各流量センサ6では風検知を行うことが可能である。
【0020】
図3に示すように、物理量検出装置4は、筐体9と、筐体9の前面に設けられた前面パネル10とを備え、前面パネル10には各流量センサ6を配置するための収納部10aが設けられている。図示しないが、筐体9内部には、各流量センサ6と電気的に接続された制御系統が設けられている。
【0021】
図3に示すように、流量センサ6及び、前面パネル10の表面には、スクリーン2が接着層(図示せず)を介して配置されている。このとき、スクリーン2に設けられた貫通孔8は、流量センサ6の検知面に通じている。
【0022】
図4のブロック図に示すように、各流量センサ6の前面に配置されたスクリーン2に、プロジェクタ3から画像を投影する。すなわち、真裏に複数の流量センサ6が配置されたスクリーン2の表面に画像を投影している。
【0023】
図4に示す制御装置11は、各流量センサ6の測定値に基づいて、画像表示処理を実行する部分である。本実施の形態では、
図1に示すコンピュータ装置5や、物理量検出装置4内部にて、各流量センサ6に接続された制御系統としてのマイコン等を含む総称であるが、画像表示処理を実行可能な制御装置11であれば構成を限定するものではない。
【0024】
図5は、本実施の形態の流量センサ6の回路図である。
図5に示すように、流量検知用抵抗素子13と、温度補償用抵抗素子14と、抵抗器16、17とでブリッジ回路18を構成している。
図5に示すように、流量検知用抵抗素子13と抵抗器16とで第1の直列回路19を構成し、温度補償用抵抗素子14と抵抗器17とで第2の直列回路20を構成している。そして、第1の直列回路19と第2の直列回路20とが、並列に接続されてブリッジ回路18を構成している。
【0025】
図5に示すように、第1の直列回路19の出力部21と、第2の直列回路20の出力部22とが、夫々、差動増幅器(アンプ)23に接続されている。ブリッジ回路18には、差動増幅器23を含めたフィードバック回路24が接続されている。フィードバック回路24には、トランジスタ(図示せず)等が含まれる。
【0026】
抵抗器16、17は、流量検知用抵抗素子13、及び温度補償用抵抗素子14よりも抵抗温度係数(TCR)が小さい。流量検知用抵抗素子13は、例えば、所定の周囲温度よりも所定値だけ高くなるように制御された加熱状態で、所定の抵抗値Rs1を有し、また、温度補償用抵抗素子14は、例えば、前記の周囲温度にて、所定の抵抗値Rs2を有するように制御されている。なお、抵抗値Rs1は、抵抗値Rs2よりも小さい。流量検知用抵抗素子13と第1の直列回路19を構成する抵抗器16は、例えば、流量検知用抵抗素子13の抵抗値Rs1と同様の抵抗値R1を有する固定抵抗器である。また、温度補償用抵抗素子14と第2の直列回路20を構成する抵抗器17は、例えば、温度補償用抵抗素子14の抵抗値Rs2と同様の抵抗値R2を有する固定抵抗器である。
【0027】
図5に示す流量検知用抵抗素子13は、
図3に示す流量センサ6の表面側(スクリーン2側)に配置され、温度補償用抵抗素子14は、
図3に示す流量センサ6の裏面側に配置される。
【0028】
無風状態から風が吹くと、風は、
図3に示す貫通孔8を通って検知面に配置された流量検知用抵抗素子13に到達する。このとき、発熱抵抗である流量検知用抵抗素子13の温度は低下するため、流量検知用抵抗素子13が接続された第1の直列回路19の出力部21の電位が変動する。これにより、差動増幅器23により差動出力が得られる。そして、フィードバック回路24では、差動出力に基づいて、流量検知用抵抗素子13に駆動電圧を印加する。
図4に示すように、制御装置11では、流量検知用抵抗素子13の加熱に要する電圧の変化に基づき、風速を換算し出力することができる。風速が変化すると、それに伴い、流量検知用抵抗素子13の温度が変化するため、風速を検知することができる。ただし、制御装置11では、電圧変化等の電気変化を捉えて、投影表示処理を行うことが可能である。
【0029】
なお、
図5に示す流量センサ6の回路構成は、一例であり、これに限定されるものではない。
【0030】
本実施の形態の制御装置11では、画像を、風を検知した流量センサ6の位置を含むようにスクリーン2上に投影させ、流量センサ6の測定値変化(電圧変化)に応じて、画像が変化するように制御している。以下、
図6から
図8を用いて、投影画像の一例を示す。
【0031】
図6は、スクリーン2上に吹き付けられる風の強弱を投影画像として表示した例である。
図6では、スクリーン2の真ん中に最も強い風(第1の風)が吹き付けられ、第1の風を検知した真ん中の流量センサ6aの位置を含むように、小円画像30が、スクリーン2上に投影されている。その小円画像30の外側では、真ん中よりも弱い風(第2の風)がスクリーン2に吹き付けられており、第2の風を検知した流量センサ6bの位置を含むように、中円画像31が、スクリーン2上に投影されている。また、その中円画像31の外側では、更に弱い風(第3の風)がスクリーン2に吹き付けられており、第3の風を検知した流量センサ6cの位置を含むように、大円画像32が、スクリーン2上に投影されている。そして、例えば、小円画像30が最も濃い色に表示され、中円画像31及び大円画像32の順に表示色が薄くなっている。
【0032】
本実施の形態では、スクリーン2の裏側に流量センサ6を設置し、風を検知した流量センサ6の位置に、投影画像を重ね合わせるため、流量センサ6の測定結果と、それに基づく画像表示とのずれを小さくできる。すなわち、本実施の形態によれば、投影画像を、物理量変化が生じた領域に、より忠実に表示することができる。これにより、使用者の感覚と、投影画像の表示とを一致させやすく、使用者に、快適な使用感を得ることができる。
【0033】
なお、
図6では、流量センサ6の測定変化に基づいて、各画像の色や模様等を変化させることができる。
【0034】
あるいは、
図7に示すように、スクリーン2上に投影された画像35を移動させることも可能である。すなわち、
図7の上図に示すように、流量センサ6dの位置を含むように、画像35を投影し、
図7の下図に示すように、風検知による流量センサ6dの測定値変化に基づいて、画像35をスクリーン2上にて移動させることができる。例えば、測定値変化により、画像35の移動方向や、移動スピード、及び移動距離を変えることができる。
【0035】
また、
図8に示すように、スクリーン2上に投影された画像36を回転させることもできる。すなわち、
図8の上図に示すように、流量センサ6eの位置を含むように、画像36を投影し、
図8の下図に示すように、風検知による流量センサ6eの測定値変化に基づいて、画像36をスクリーン2上にて回転させることができる。例えば、測定値変化により、画像36の回転方向や、回転スピード、及び回転距離を変えることができる。
【0036】
また、本実施の形態では、上記以外に、流量センサ6の測定値変化に基づいて、画像を変形させたり(例えば、画像を拡大や縮小させたり)、画像を点滅させたり、消滅等させたりすることが可能である。
【0037】
図6から
図8の各実施の形態では、
図4の制御装置11において、風を検知した流量センサ6を特定し、流量センサ6の位置情報に基づいて、流量センサ6の位置を含むように、所定の画像をスクリーン2上に投影させる。そして、制御装置11では、流量センサ6の測定値変化を取得し、その測定値変化に基づいて、画像を、プログラム制御により変化させることができる。
【0038】
図4に示すように、流量センサ6が複数個、設けられた構成では、各流量センサ6の測定値変化に応じて画像が変化するように制御する。例えば、
図7を例に取ると、スクリーン2上に画像35を複数表示させ、各流量センサ6の測定値変化の違いに基づいて、各画像35の移動するスピードを変えたり、各画像35の移動距離を変えることができる。
【0039】
スクリーン2に表示する画像の切り替えは、コンピュータ装置5により行うことが可能であるが、それ以外に、例えば、スクリーン2の特定領域に風を吹き付けて、その位置で反応する流量センサ6の測定値変化に基づいて画像を切り替えることもできる。
【0040】
図1に示す実施の形態の画像表示装置1は、例えば、プロジェクションマッピングとして適用することが可能である。
【0041】
また、本実施の形態では、
図9のように、画像表示装置40を模型や置物等に一体的に組むことも可能である。
【0042】
図9に示すように、ケース41内に、例えば、塔模型42が設けられている。
図9に示すように、塔模型42には、1個の流量センサ6が組込まれており、表示体43が流量センサ6の前面側に配置されている。この表示体43は、例えば、箱状であり、表示体43の内側に、流量センサ6が保持されている。
【0043】
図9に示すように、ケース41の土台41aの部分には、例えば、レーザ光を発する光源(投影装置)44が設けられている。
【0044】
図9に示すように、表示体43には、流量センサ6の検出面に通じる貫通孔43aが設けられており、また、ケース41も、流量センサ6の検出面にまで風を送り込める構成とされている。なお、ケース41は設けられておらず、
図9に示す土台41a上に塔模型42が設けられているだけの構成とすることも可能である。
【0045】
図9に示す構成では、風が表示体43の貫通孔43aを通して、流量センサ6の検出面にまで送り込まれると、流量センサ6の測定値が変化する。これにより、光源44からは、表示体43に向かってレーザ光が発せられ、例えば、表示体43が、風の強さに応じて異なる色に変色できるように制御されている。
【0046】
図10は、
図9に示す画像表示装置40のブロック図であり、
図10に示すように、画像表示装置40は、1個の流量センサ6と、表示体43と、光源(投影装置)44と、流量センサ6と光源44とを電気的に接続する制御装置45と、を有して構成されている。
【0047】
図10に示す制御装置45では、流量センサ6からの測定値変化を受けて、光源44から表示体43に向け、所定色のレーザ光を発するように制御する。
図10に示す画像表示装置40を、模型や置物等に一体的に組み込むことで、イルミネーション等の演出効果を得ることができる。
【0048】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【0049】
例えば、上記の実施の形態では、物理量検出部として流量センサ6を例示したが、流量センサ6に限定するものでなく、温度変化、湿度変化、及び、圧力変化等の物理量変化を検出可能なセンサであってもよい。
【0050】
また、表示体に貫通孔が形成されているか否かは任意であるが、検出対象として風の場合のように、貫通孔が表示体に設けられていないと、変化を検出できない場合は、貫通孔を表示体に設けることが必須とされる。
【0051】
また、
図2に示すように、各流量センサ6が設けられた面に、LED等の発光部7が設けられた形態では、発光部7を、流量センサ6と電気的に接続し、測定値変化が生じた際に発光部7を発光させるか否かは任意である。
【0052】
なお、本実施の形態の画像表示装置の使用形態は、上記に示したものに限定されるものでなく、電子機器や、通信装置等にも適用でき、また、設置場所としては室内、及び屋外の別を問わず、固定型であっても非固定型であってもよい。