(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
カチオン性細胞浸透ペプチド(CPP)および少なくとも2つのアンチセンスオリゴヌクレオチド(AON)を含むペプチド−アンチセンスオリゴヌクレオチド(ペプチド−AON)結合体であって、該ペプチド−AON結合体が、
(i) Ac−(RXR)4XFKE−((PEG)2−AON)G−(AON))、
(ii) Ac−(RXRRBR)2XFKE(AON)G(AON)、
(iii) Ac−(RXRRBR)2XFD(d−Glu)(AON)E(AON)G
(AON)、
(iv) Ac−E(AON)(RXRRBR)2XFKE(AON)G(AON)、
(v) Ac−E(AON)(RXRRBR)2XFK(d−Glu)(AON)E(A
ON)G(AON)、
(vi) Ac−(d−Glu)(AON)E(AON)(RXRRBR)2XFKG−
アミド、
(vii) Ac−(d−Glu)(AON)E(AON)(RXRRBR)2XFKG
(AON)、
(viii) Ac−(d−Glu)(AON)E(AON)(RXRRBR)2XFK
E(AON)G(AON)、及び
(ix) Ac−(d−Glu)(AON)E(AON)(RXRRBR)2XFK(d
−Glu)(AON)E(AON)G(AON)、
からなる群より選択され、ここでAcはアセチルであり、RはD−アルギニンであり、Xは6−アミノヘキサン酸であり、Bはβ−アラニンであり、Eはグルタミン酸であり、d−GluはD−グルタミン酸であり、Gはグリシンであり、
ここで、各AONは、ホスホロジアミデートモルホリノオリゴマー(PMO)、ペプチド核酸(PNA)、モルホリノ、ホスホラミデート、メチレンメチルイミノ(MMI)、2−O−メチル(2−OMe)または2−メチルエチル(2−MOE)の15〜30個のサブユニットを含み、
各サブユニットが、C、G、A、又はTから選択される天然に存在するプリン又はピリミジンヌクレオチド塩基であり、
各AONが、
(i)遺伝子の標的プレ−mRNA、mRNA、マイクロRNA又は長い非コードRNA
の塩基の少なくとも75%に相補的であるヌクレオチド塩基配列、
(ii)Gの0〜3個の反復サブユニット、
(iii)該サブユニットの60%未満がCまたはGである、および
(iv)非自己相補性配列、
を含み、
該ペプチド−AON結合体が、加水分解酵素に対する切断モチーフを含むペプチド配列を含む少なくとも1つの切断リンカーを含む、前記ペプチド−AON結合体。
切断モチーフが、P1/P1’位置のFKまたはFXであり、Xはいずれかの天然に存在するアミノ酸である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のペプチド−AON結合体。
遺伝子が、グリコーゲン合成酵素(GYS1又はGYS2)、形質転換増殖因子(TGFβ)、マトリックスメタロペプチダーゼ(MMP2又はMMP9)、オステオポンチン、筋緊張性ジストロフィープロテインキナーゼ(DMPK)、Elav様ファミリーメンバー2(CUGBPとしても知られる)、二重ホメオボックス4(DUX4)、及びFrzlからなる群より選択される、請求項1〜7のいずれか1項に記載のペプチド−AON結合体。
【発明を実施するための形態】
【0016】
発明の実施態様の説明/詳細な説明
上述のように、標的細胞への結合体の取り込みを低下させることなく、単一PMO-CPP結合体の安全プロフィールを改善することが本開示の1つの目的である。有効用量と無有害作用レベル(NOAEL)との間に少なくとも10倍の安全マージンを有することが一般に好ましい。上記のmdx/エクソン23実験において、有効用量は30mg/kgであることが見出され、そしてまたNOAELは30mg/kgであった。結果として、安全マージンは殆ど無いか全く無かった。本開示の少なくとも1つの実施態様において、多重PMO-CPP結合体は、上記のmdx/エクソン23実験よりも良好な、例えば2倍より良好、5倍より良好、6倍より良好、10倍より良好な安全マージンを有する。10倍の安全マージンは、有効用量がNOAELより10倍低いということを意味する。従って、適切なモデルで試験された場合、本開示に従う多重PMO-CPP結合体は、対応する単一PMO-CPP結合体よりも2倍良好な安全マージンを有し得る。本発明は、単一CPPに結合された多重AON(PMO AONを含む)を含む。
【0017】
本開示の少なくとも1つの実施態様において、多重AON-CPP結合体は切断リンカーをさらに含む。いくつかの実施態様において、リンカーは、切断モチーフを含有する配列である。いくつかの実施態様において、切断可能なモチーフは、いずれかの加水分解酵素により切断され得る。いくつかの実施態様において、切断モチーフは、カテプシン又はトリプシンのようなペプチダーゼ又はプロテアーゼにより切断され得る。いくつかの実施態様において、リンカーは、特定のセリンプロテアーゼ、トレオニンプロテアーゼ、システインプロテアーゼ、アスパラギン酸プロテアーゼ、グルタミン酸プロテアーゼ、もしくはメタロプロテアーゼ、又は1より多くのペプチダーゼの群により認識される切断モチーフを含むように設計され得る。いくつかの実施態様において、リンカーは、重なるか又は重ならない2つ又はそれ以上の切断モチーフを含み得る。いくつかの実施態様において、リンカーは切断モチーフを含有しなくてもよい。いくつかの実施態様において、リンカーは、リンカーの100%未満、75%未満、50%未満、又は10%未満が切断されるように設計され得る。いくつかの実施態様において、リンカーは、リンカーの90%又は99%より多くが切断されるように設計される。
【0018】
本開示の少なくとも1つの実施態様において、多重AON-CPP結合体は、P1/P1’位置にFKのような、又は別の実施態様ではP1/P1’位置にFX[ここでXはいずれかの天然に存在するアミノ酸である]のような切断可能なリンカーをさらに含む。切断可能なリンカー[ここで、上記リンカーは、例えばカテプシンのような加水分解酵素により切断可能である]は、AONとCPPとの間に存在し得、又はAON-切断可能リンカー-AON-切断可能リンカー-CPPのような配列で存在し得る。別の実施態様において、多重PMO-CPP結合体は、カテプシン、又はP1/P1’位置にFK、もしくは別の実施態様ではP1/P1’位置にFX[ここでXは天然に存在するアミノ酸である]のような切断可能リンカーをさらに含む。切断可能リンカーはPMOとCPPとの間に存在し得るか、又は例えば、PMO-カテプシンリンカー-PMO-カテプシンリンカー-CPPのような、PMO-切断可能リンカー-PMO-切断可能リンカー-CPPのような配列で存在し得る。本開示は、AON(PMOを含む)、切断可能リンカー、及びCPPの順序を限定せず、そして当業者は、本明細書に開示される情報を使用して特許請求の範囲に従って、少なくとも1つのカテプシン切断部位を有する適切な多重AON-CPP結合体を設計することができるだろう。
【0019】
驚くべきことに、本開示に従う切断可能リンカー部位を有する多重PMO-CPPが、ある場合には、それらを含まない多重PMO-CPP結合体より良好な効率さえ示すということが見出された。単一PMO-CPP結合体はリソソーム中に取り込まれ、ペプチド部分が急速に分解され過ぎる場合には捕捉されたままになり得るということが示されたので、この結果は予想外であった。換言すると、単一PMO-CPP結合体のCPP部分が急速に分解される場合、PMOはリソソームに捕捉されるようになり、そしてその細胞標的に到達することができず、従って有効性を低減する。(Youngbloodら、2007) この現象の結果として、結合体に切断可能リンカー部位を加えることは、CPPの分解を促進し、有効性の減少をもたらすと予測された。これは事実と異なっていた;しかし、本発明に従う切断可能リンカーを有する特定の多重PMO-CPP結合体が以下の具体例において記載されるように。従って、本開示の少なくとも1つの実施態様において、多重PMO-CPP結合体は、少なくとも1つの切断可能リンカー部位を有する。本開示の少なくとも別の実施態様において、多重PMO-CPP結合体は、少なくとも1つのカテプシン切断可能リンカー部位を有する。
【0020】
本開示は、グリコーゲン合成酵素(GYS1又はGYS2)、形質転換増殖因子(TGFβ)、マトリックスメタロペプチダーゼ(MMP2又はMMP9)、オステオポンチン、筋緊張性ジストロフィープロテインキナーゼ(DMPK)、Elav様ファミリーメンバー2(CUG三塩基反復RNA-結合タンパク質又はCUGBPとしても知られる)、二重ホメオボックス4(DUX4)、及び/又は(Frzl)をコードするもののような遺伝子発現を調節する方法をさらに含み、ここでエクソンスキッピングを媒介してフレームシフト変異を生じるための本発明の多重AON-CPP結合体。任意のフレームシフト変異は標的とされるmRNAのノックダウンを生じ得る。本開示はまた、様々な疾患状態におけるマイクロRNAの抑制のための多重PMO-CPP結合体の使用をその範囲内に含む。少なくとも1つの実施態様において、本開示は、上述の遺伝子及びマイクロRNAと関連するもののような様々な疾患及び/又は状態を処置する方法を含む。本開示の多重CPP-PMO結合体は、いずれかの適切な手段により、それを必要とするヒト又は動物に投与され得る。ヒト又は動物被験体への投与は、非経口、筋内、脳内、血管内、皮下、又は経皮から選択され得る。少なくとも1つの実施態様において、投与経路は、静脈内又は筋内のような注射によるものである。処置する医師は、適切な投与経路を決定することができる。
【0021】
薬剤として使用される場合、本明細書に開示される多重CPP-PMO結合体アンチセンスオリゴヌクレオチドは、医薬組成物へと製剤化されるために薬学的に許容しうる賦形剤又は担体とともに製剤化され得る。
【0022】
薬剤として使用される場合、多重CPP-PMO結合体アンチセンスオリゴヌクレオチドは、医薬組成物の形態で投与され得る。これらの化合物は、経口、直腸、経皮、皮下、静脈内、筋内、及び鼻腔内を含む様々な経路により投与され得る。これらの化合物は、注射可能組成物及び経口組成物の両方として有効である。このような組成物は、薬剤技術分野において周知の方法で製造され、そして少なくとも1つの活性化合物を含む。
【0023】
本発明はまた、活性成分として、1つ又はそれ以上の多重CPP-PMO結合体アンチセンスオリゴヌクレオチドを、1つ又はそれ以上の薬学的に許容しうる賦形剤又は担体とともに含有する医薬組成物を含む。本発明の組成物の製造において、活性成分は、通常、賦形剤もしくは担体と混合されるか、賦形剤もしくは担体で希釈されるか、又はカプセル剤、サシェ、紙又は他の容器の形態であり得る賦形剤もしくは担体内に封入される。賦形剤又は担体が希釈剤として役立つ場合、それは固形、半固形、又は液体の材料であり得、これは活性成分のためのビヒクル、担体又は媒体として作用する。従って、組成物は、錠剤、丸剤、散剤、トローチ剤、サシェ剤、カシェ剤(cachets)、エリキシル剤、懸濁剤、乳剤、液剤、シロップ剤、エアロゾル(固体又は液体媒体中)、例えば、10質量%までの活性化合物を含有する軟膏、軟及び硬ゼラチンカプセル剤、坐剤、滅菌注射可能液剤、及び滅菌包装された散剤の形態であり得る。
【0024】
製剤の製造において、他の成分と混合する前に適切な粒径を得るために活性化合物を製粉する必要があるかもしれない。活性化合物が実質的に不溶性である場合、通常これは200メッシュ未満の粒径に粉砕される。活性化合物が実質的に水溶性である場合、粒径は通常は製剤中で実質的に均一な分布を生じるように粉砕することにより調整される(例えば、約40メッシュ)。
【0025】
適切な賦形剤又は担体のいくつかの例としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アカシアゴム、リン酸カルシウム、アルギネート、トラガカント、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、滅菌水、シロップ、及びメチルセルロースが挙げられる。製剤はさらに以下を含み得る: 滑沢剤、例えば、タルク、ステアリン酸マグネシウム、及び鉱油;湿潤剤;乳化剤及び懸濁化剤;安息香酸メチル及び安息香酸プロピルヒドロキシのような保存剤;甘味剤;及び矯味矯臭剤。本発明の組成物は、当該分野で公知の手順を使用することによる患者への投与後に、活性成分の急速、持続性又は遅延した放出を生じるように製剤化され得る。
【0026】
組成物は、好ましくは単位投薬形態で製剤化され、各投薬量は、活性成分を、これらの値の間の任意の範囲を含めて、例えば約5mg〜約10mg、約5mg〜約20mg、約5mg〜約30mg、約5mg〜約40mg、約5mg〜約50mg、約5mg〜約60mg、約5mg〜約70mg、約5mg〜約80mg、又は約5mg〜約90mgのいずれかのような、約5mg〜約100又はそれ以上含有する。用語「単位投薬形態」は、個体への単一の投薬量に適した物理的に別個の単位を指し、各単位は、所望の治療効果を生じるように計算された所定量の活性物質を、適切な製剤賦形剤又は担体と共に含有する。
【0027】
多重CPP-PMO結合体アンチセンスオリゴヌクレオチドは、広い投薬量範囲に渡って有効であり、そして一般的に、治療有効量で投与される。しかし当然のことながら、実際に投与される多重CPP-PMO結合体アンチセンスオリゴヌクレオチドの量は、処置しようとする状態、選択された投与経路、投与される実際の化合物、個々の患者の年齢、体重、及び応答、患者の症状の重篤度などを含む関連する状況を考慮して、医師により決定される。
【0028】
錠剤のような固形組成物の製造のために、主要な活性成分/多重CPP-PMO結合体アンチセンスオリゴヌクレオチドを、製剤賦形剤又は担体と混合して、本発明の化合物の均一混合物を含有する固形予備処方組成物を形成する。これらの予備処方組成物を均一と言及する場合、組成物が錠剤、丸剤及びカプセル剤のような等しく有効な単位投薬形態に容易に細分され得るように、活性成分が組成物全体にわたって一様に分散されることを意味する。
【0029】
本発明の錠剤又は丸剤は、コーティングされるか又は他の方法で構成されて、長期の作用の利点を提供する投薬形態が得られ得る。例えば、錠剤又は丸剤は、内部投薬成分及び外部投薬成分を含み得、後者は、前者を覆う外皮の形態である。2つの成分は腸溶層により分離され得、これは胃における崩壊に抵抗し、そして内部成分が損なわれずに十二指腸に入るか放出を遅らせるために役立つ。様々な材料がこのような腸溶層又は腸溶コーティングに使用され得、このような材料は、多数のポリマー酸並びにセラック、セチルアルコール、及び酢酸セルロースのような材料とのポリマー酸の混合物を含む。
【0030】
経口投与又は注射による投与のための、本発明の新規な組成物が組み込まれ得る液体形態としては、水溶液、適切に風味付けされたシロップ、水性又は油性懸濁液、及びコーンオイル、綿実油、ゴマ油、ココナッツオイル、又は落花生油のような食用油を用いた風味付けされたエマルション、さらにはエリキシル及び同様の製剤ビヒクルが挙げられる。
【0031】
吸入又はガス注入のための組成物は、薬学的に許容しうる、水性又は有機溶媒、又はそれらの混合物中の液剤及び懸濁剤、並びに散剤を含む。液体又は固形組成物は、上記のような適切な薬学的に許容しうる賦形剤を含有し得る。組成物は、局所又は全身効果のために、経口又は経鼻呼吸経路により投与され得る。薬学的に許容しうる溶媒中の組成物は、不活性ガスの使用により噴霧され得る。噴霧された溶液は、噴霧デバイスから直接吸入され得るか、又は噴霧デバイスは、フェイスマスクテントもしくは間欠的陽圧呼吸機に取り付けられ得る。液体、懸濁液、又は粉末の組成物はまた、適切な方法で製剤を送達するデバイスから、経口又は経鼻投与され得る。
【0032】
本開示に従う多重CPP-AON(CPP-PMOを含む)結合体は、1〜200__mg/kg、例えば10_〜50mg/kgの範囲に及ぶ日用量で投与され得る。CPP-AON結合体(CPP-PMOを含む)は、ボーラス形態で、又は長期注射期間にわたって投与され得る。例えば、日用量は1つのボーラス用量で投与され得る。あるいは、日用量は、静脈内又は皮下のように注射を介して投与され得る。別の実施態様において、日用量は、1日に2回、3回、又は4回のようないくつかの投与に分けられ得る。投薬は、処置する医師により決定された必要なだけ毎日繰り返され得る。処置は、6ヶ月未満のような短期間であってもよい。別の実施態様において、処置は、6ヶ月より長く、1年より長く、10年より長く、処置を必要とするヒト又は動物の寿命にわたるような、長期になり得る。
【0033】
本開示の多重AON結合体(PMO-CPPを含む)結合体は、標的遺伝子又は遺伝子座から転写されたプレ-mRNA、mRNA、及び/もしくはマイクロRNA又は長い非コードRNAの1つ又はそれ以上と特異的にハイブリダイズする。多重PMO-CPP結合体が生理的条件下で標的にハイブリダイスする場合、本明細書で使用される多重PMO-CPP結合体は、プレ-mRNA又はmRNAのような標的ポリヌクレオチドに特異的にハイブリダイズする。本開示の状況において、ハイブリダイゼーションは水素結合を介して起こり、これは相補的プリンとピリミジン塩基との間のワトソン-クリック、フーグスティーン又は逆フーグスティーン水素結合であり得る。例えば、アデニン(A)及びチミン(T)は、水素結合の形成により対合する相互的核酸塩基である。本開示によれば、多重PMO-CPP結合体のPMO部分は、標的ヌクレオチドに特異的にハイブリダイズする。CPP部分は、多重PMO-CPP結合体に繋ぎ止められたままであり得るか、又は例えばカテプシン切断部位においてハイブリダイゼーションの前に切断され得る。
【0034】
本開示のPMO化合物は、ハイブリダイゼーションが一般的に受け入れられる塩基対合規則、例えば、アデニン(A)-チミン(T)、シトシン(C)-グアニン(G)、アデニン(A)-ウラシル(U)に従って起こるような場合、プレ-mRNA、mRNA、もしくはマイクロRNA、又は長い非コードRNAのような標的ポリヌクレオチドに相補的である。詳細には、本明細書において使用される「相補的」は、2つの核酸塩基間の正確な対合の能力を指す。例えば、PMO化合物の特定の位置における塩基(B)は、プレ-mRNA又はmRNA分子の同じ位置におけるヌクレオチドと水素結合することができ、次いでPMO及び標的ポリヌクレオチド分子は、その位置において互いに相補的であると考えられる。PMO化合物及び標的ポリヌクレオチド分子は、各分子における対応する位置の十分な数が、互いに水素結合することができる塩基により占められる場合に互いに相補的である。従って、「特異的にハイブリダイズ可能」及び「相補的」は、PMOとポリヌクレオチド標的との間に安定で特異的な結合が生じるように十分な程度の相補性又は正確な対合を示すために使用される用語である。絶対的相補性、すなわち100%相補的な塩基対マッチは、標的ポリヌクレオチド分子間に形成されるヘテロ二本鎖及びPMOが所望の効果を引き起こすために十分安定である限り必要ない。本開示によれば、標的ポリヌクレオチド分子へのPMO化合物の結合が標的ポリヌクレオチド分子の通常の機能を変化させ、そして特異的結合が望ましい条件下、例えばインビボ適用のための生理的条件下、又はアッセイがインビトロ適用のために行われる条件下で、非標的配列へのPMOの望ましくない非特異的結合を避けるために十分な程度の相補性がある場合に、PMOは特異的にハイブリダイズ可能である。
【0035】
PMOと標的ポリヌクレオチド分子、例えばmRNA又はプレ-mRNAとの間のこのようなハイブリダイゼーションは、mRNAからのタンパク質の翻訳及び1つ又はそれ以上のmRNA種を生じるプレ-mRNAのスプライシングのようなそれらの通常の機能を妨げる。本開示の少なくとも1つの実施態様において、PMOとプレ-mRNAとの間のハイブリダイゼーションは、RNAを形成するためのプレ-mRNAのスプライシングに影響を及ぼす。別の実施態様において、ハイブリダイゼーションは、mRNAからのタンパク質の翻訳に影響を及ぼす。本開示の別の実施態様において、プレ-mRNA又はmRNA上のマイクロRNA結合部位への多重CPP-AON結合体のハイブリダイゼーションは、マイクロRNAによるその後の制御から標的プレ-mRNA又はmRNAを開放し得る。この場合、効果は、プレmRNA又はmRNAによりコードされる遺伝子産物の発現を増強することであり得る。対照的に、多重CPP-AON、例えば、多重CPP PMOを、マイクロRNAの生物学的活性が妨げられるようにマイクロRNA内の配列に標的化しようとした場合、効果は、おそらく、その特定のマイクロRNAによる抑制下で様々な遺伝子産物の発現を増強することだろう。
【0036】
標的ポリヌクレオチドのこのような妨害の全体の効果は、遺伝子の発現の選択的調節である。本開示の状況において、「調節(modulation)」は、遺伝子の発現の増加(刺激)又は減少(阻害)を意味する。
【0037】
本開示に従うAONとしては、PMO化合物の他に、PNA化合物、ホスホラミデート化合物、メチレンメチルイミノ(「MMI」)化合物、2-O-メチル化合物及び2-メトキシエチル化合物が挙げられる[ここで、各サブユニットのオリゴヌクレオ塩基(oligonucleobase)は
図1に示される]。オリゴヌクレオチド化合物は、天然核酸の合成アナログである。詳細には、デオキシリボース環及びホスフェート連結の代わりに、オリゴヌクレオチド化合物は、以下に示されるそれぞれのオリゴヌクレオチドサブユニットから構成されるサブユニットを含む:
【0040】
式1〜VIのそれぞれの場合において、Bはヌクレオチド塩基である。主要な核酸塩基は、それぞれC、G、A、T、及びUと略される、シトシン(DNA及びRNA)、グアニン(DNA及びRNA)、アデニン(DNA及びRNA)、チミン(DNA)及びウラシル(RNA)である。A、G、C、及びTはDNA中に現れ、これらの分子はDNA塩基と呼ばれ;A、G、C、及びUはRNA塩基と呼ばれる。ウラシルはRNAにおいてチミンと置き換わる。これら2つの塩基は、ウラシルには5'メチル基が無いことを除いて同じである。アデニン及びグアニンは、プリン(Rと略される)と呼ばれる二重環のクラスの分子に属する。シトシン、チミン、及びウラシルは全てピリミジン類である(Yと略される)。
【0041】
PMO化合物は、それぞれモルホリン環及びホスホロジアミデート連結基から構成されるサブユニットを有する。例えば、本開示は、式(II):
【化3】
[式中、Rはアルキル基であり、そしてBは、シトシン(C)、グアニン(G)、アデニン(A)、又はチミン(T)から選択される天然に存在するプリン又はピリミジンヌクレオチド塩基である]
の15〜30のサブユニットを含むPMO化合物を含む。
【0042】
PNA化合物は、式Iのサブユニットから構成されるサブユニットを有する。本開示については、式I:
【化4】
[式中、Bは、シトシン(C)、グアニン(G)、アデニン(A)、又はチミン(T)から選択されるプリン又はピリミジンヌクレオチド塩基である]
の15〜30のサブユニットを含むPMO化合物を含む。
【0043】
ホスホラミデート化合物は、式IIIのサブユニットから構成されるサブユニットを有する。本開示については、式III:
【化5】
[式中、Bは、シトシン(C)、グアニン(G)、アデニン(A)、又はチミン(T)から選択されるプリン又はピリミジンヌクレオチド塩基である]
の15〜30のサブユニットを含むホスホラミデート化合物を含む。
【0044】
MMI化合物は、式IVのサブユニットから構成されるサブユニットを有する。例えば、本開示は、式(IV):
【化6】
[式中、Bは、シトシン(C)、グアニン(G)、アデニン(A)、又はチミン(T)から選択されるプリン又はピリミジンヌクレオチド塩基である]
の15〜30のサブユニットを含むMMI化合物を含む。
【0045】
2-OMe化合物は、式Vから構成されるサブユニットを有する。例えば、本開示は、式(V):
【化7】
[式中、Bは、シトシン(C)、グアニン(G)、アデニン(A)、又はチミン(T)から選択されるプリン又はピリミジンヌクレオチド塩基である]
の15〜30のサブユニットを含む2-OMe化合物を含む。
【0046】
2-MOE化合物は、式VIから構成されるサブユニットを有する。例えば、本開示は、式(VI):
【化8】
[式中、Bは、シトシン(C)、グアニン(G)、アデニン(A)、又はチミン(T)から選択されるプリン又はピリミジンヌクレオチド塩基である]
の15〜30のサブユニットを含む2MOE化合物を含む。
【0047】
AONの各クラスの上の記載は、AON-CPPが記載中に示される場合、例えば2MOE-CPP、MMI-CPP、2-OMe-CPP、PNA-CPP、及びホスホラミデート-CPPにそれぞれ置き換えられ得る。
【0048】
少なくとも1つの実施態様において、AON化合物は、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、又は(VI)の15〜25のサブユニットを有する。別の実施態様において、AON化合物は、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、又は(VI)の20〜25のサブユニットを有する。さらに別の実施態様において、AON化合物は、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、又は(VI)の約25のサブユニット、例えば24〜26のサブユニットを有する。
【0049】
本開示によれば、多重PMO-CPP結合体は、核酸塩基(B)がC又はGであるPMOサブユニットを60%未満有する。少なくとも1つの実施態様において、多重PMO-CPP結合体は、核酸塩基がC又はGであるPMOサブユニットを50%未満有する。
【0050】
本開示によれば、多重AON-CPP結合体は、核酸塩基(B)がC又はGである(式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、又は(VI)の)AONサブユニットを60%未満有する。少なくとも1つの実施態様において、多重AON-CPP結合体は、核酸塩基がC又はGであるAONサブユニットを50%未満有する。
【0051】
本開示の多重PMO-CPP結合体は、核酸塩基がGである0〜3つの反復サブユニットを有する少なくとも2つのPMO化合物を有する。少なくとも1つの実施態様において、多重PMO-CPP結合体は、BがGである0個の反復サブユニットを有する。別の実施態様において、多重PMO-CPP結合体は、BがGである1、2、又は3つの反復サブユニットを有する。CPP上の多重結合部位は、D-又はL-鏡像異性位置にグルタミン酸を付加してCPPの末端に接近した多重PMOの立体障害を減少させることにより導入される。P1にアミノ酸フェニルアラニン−リジンを有するペプチダーゼ切断部位の使用 - P1位置はCPPとPMOとの間に導入される。ペプチダーゼ切断部位の切断は、CPPからPMOを放出する。例えば、CPPは、システイン位置に導入され得る酵素切断部位フェニルアラニン-リジン又はバリン-シトルリンを有するマレイミドエステル化リンカーを介してPMOに結合され得る。CPPはアミド連結により結合され得る。
【0052】
本開示の多重AON-CPP結合体は、核酸塩基がGである0〜3つの反復サブユニットを有する少なくとも2つのAON化合物を有する。少なくとも1つの実施態様において、多重AON-CPP結合体は、BがGである0個の反復サブユニットを有する。別の実施態様において、多重AON-CPP結合体は、BがGである1、2、又は3つの反復サブユニットを有する。CPP上の多重結合部位は、D-又はL-鏡像異性位置にグルタミン酸を付加してCPPの末端における接近した多重AONの立体障害を減少させることにより導入される。P1位置におけるアミノ酸フェニルアラニン−リジンを有するペプチダーゼ切断部位の使用 - P1位置はCPPとAONとの間に導入される。ペプチダーゼ切断部位の切断は、CPPからAONを放出する。例えば、CPPは、システイン位置に導入され得る酵素切断部位フェニルアラニン-リジン又はバリン-シトルリンを有するマレイミドエステル化リンカーを介してAONに結合され得る。CPPはアミド連結により結合され得る。
【0053】
ペプチドを使用した細胞への内部移行は、細胞内プロテアーゼ(例えば、リソソーム酵素を含む)の切断部位の切断を生じ得、そして遊離PMO、又はAONは、ペプチドが結合した結合体からのより小さい立体障害を有するだろう。このより小さい立体制約は、核及び細胞質ゾルへのより少ない毒性でエクソンスキッピング効率を増加させ得る。
【0054】
本開示によれば、多重PMO-CPP結合体のCPP成分は、公知のCPP、例えば表1、2、
図1における配列を有するA-Nという名称のもの又は本明細書に記載されるK系(K Series)もしくはB系のCPPから選択され得る。
【0055】
本開示によれば、多重AON-CPP結合体のCPP成分は、公知のCPP、例えば表1、2、
図1における配列を有するA-Nという名称のもの又は本明細書に記載されるK系もしくはB系のCPPから選択され得る。
【0056】
少なくとも1つの実施態様において、CPP成分はペプチドK:RXRRXRRXRRXRXB (配列番号43)[ここでRはD-アルギニンであり、Xは6-アミノヘキサン酸であり、そしてBはβ-アラニンである]である。別の実施態様において、CPP成分はペプチドB: RXRRBRRXRRBRXB (配列番号44)[ここで、R、X、及びBは本明細書において上で定義される]である。
【0057】
本開示の多重PMO-CPP、又はAON-CPPのCPP成分は、式 可変配列−スペーサー−リンカーを含む化合物であってもよく、式中、可変配列はAc-R(O)nRであり、ここでn≧7であり;OはR、X、及びZから選択される残基の配列であり;RはL-アルギニンであり、Xは3-cis-アミノシクロヘキサンであり、そしてZはcis-2-アミノシクロペンタン-1-カルボニルである。いくつかの実施態様において、リンカーは、切断モチーフを含有する配列である。いくつかの実施態様において、切断モチーフは、いずれかの加水分解酵素により切断され得る。いくつかの実施態様において、切断モチーフは、カテプシン又はトリプシンのようなペプチダーゼ又はプロテアーゼにより切断され得る。いくつかの実施態様において、リンカーは、特定のセリンプロテアーゼ、スレオニンプロテアーゼ、システインプロテアーゼ、アスパラギン酸プロテアーゼ、グルタミン酸プロテアーゼ、もしくはメタロプロテアーゼ、又は1つより多くのペプチダーゼの群により認識される切断モチーフを含むように設計され得る。いくつかの実施態様において、リンカーは、重複するか又は重複しない2つ又はそれ以上の切断モチーフを含み得る。いくつかの実施態様において、リンカーは切断モチーフを含有しなくてもよい。いくつかの実施態様において、リンカーは、リンカーの100%未満、75%未満、50%未満、又は10%未満が切断されるように設計され得る。いくつかの実施態様において、リンカーは、リンカーの90%又は99%より多くが切断されるように設計される。
【0058】
いくつかの実施態様において、CPPは、式 可変配列−スペーサー−リンカーを含む化合物であり得、式中、可変配列はAc-R(O)nRであり、ここでn≧7であり;Oは、R、X、及びZから選択される残基の配列であり;ここでRはL-アルギニンであり、Xは3-cis-アミノシクロヘキサンであり、そしてZはcis-2-アミノシクロペンタン-1-カルボニルであり;そしてここで可変配列は、α-、β-、γ-、もしくはδ-アミノ酸、又はシクロアルカン構造を含む。
【0059】
いくつかの実施態様において、CPPは、式 可変配列−スペーサー−リンカーを含む化
合物であり得、式中、可変配列はAc-R(O)nRであり、ここでn≧7であり;Oは、R、X、及びZから選択される残基の配列であり;ここでRはL-アルギニンであり、Xは3-cis-アミノシクロヘキサンであり、そしてZはcis-2-アミノシクロペンタン-1-カルボニルであり;そしてここで可変配列は、化合物を核に標的化させる。
【0060】
いくつかの実施態様において、CPPは、式 可変配列−スペーサー−リンカーを含む化合物であり得、式中、可変配列はAc-R(O)nRであり、ここでn≧7であり;Oは、R、X、及びZから選択される残基の配列であり;ここでRはL-アルギニンであり、Xは3-cis-アミノシクロヘキサンであり、そしてZはcis-2-アミノシクロペンタン-1-カルボニルであり;そしてここで可変配列は化合物を細胞質ゾルに標的化させる。
【0061】
いくつかの実施態様において、CPPは、式 可変配列−スペーサー−リンカーを含む化合物であり得、式中、可変配列はAc-R(O)nRであり、ここでn≧7であり;Oは、R、X、及びZから選択される残基の配列であり;ここでRはL-アルギニンであり、Xは3-cis-アミノシクロヘキサンであり、そしてZはcis-2-アミノシクロペンタン-1-カルボニルであり;そしてここで可変配列は化合物をミトコンドリアに標的化させる。
【0062】
いくつかの実施態様において、CPPは、式 可変配列−スペーサー−リンカーを含む化合物であり得、式中、可変配列はAc-R(O)nRであり、ここでn≧7であり;Oは、R、X、及びZから選択される残基の配列であり;ここでRはL-アルギニンであり、Xは3-cis-アミノシクロヘキサンであり、そしてZはcis-2-アミノシクロペンタン-1-カルボニルであり;そしてここでスペーサーは、アミノヘキサン酸(Ahx)を含む。
【0063】
いくつかの実施態様において、CPPは、式 可変配列−スペーサー−リンカーを含む化合物であり得、式中、可変配列はAc-R(O)nRであり、ここでn≧7であり;Oは、R、X、及びZから選択される残基の配列であり;ここでRはL-アルギニンであり、Xは3-cis-アミノシクロヘキサンであり、そしてZはcis-2-アミノシクロペンタン-1-カルボニルであり;そしてここでスペーサーは(Ahx)Bを含み、ここでBはβ-アラニン又はβ-グリシンから選択される。
【0064】
いくつかの実施態様において、CPPは、式 可変配列−スペーサー−リンカーを含む化合物であり得、式中、可変配列はAc-R(O)nRであり、ここでn≧7であり;Oは、R、X、及びZから選択される残基の配列であり;ここでRはL-アルギニンであり、Xは3-cis-アミノシクロヘキサンであり、そしてZはcis-2-アミノシクロペンタン-1-カルボニルであり;そしてここでリンカーは切断モチーフを含む。
【0065】
いくつかの実施態様において、CPPは、式 可変配列−スペーサー−リンカーを含む化合物であり得、式中、可変配列はAc-R(O)nRであり、ここでn≧7であり;Oは、R、X、及びZから選択される残基の配列であり;ここでRはL-アルギニンであり、Xは3-cis-アミノシクロヘキサンであり、そしてZはcis-2-アミノシクロペンタン-1-カルボニルであり;ここでリンカーは切断モチーフを含み;そしてここで切断モチーフは加水分解酵素により切断可能である。
【0066】
いくつかの実施態様において、CPPは、式 可変配列−スペーサー−リンカーを含む化合物であり得、式中、可変配列はAc-R(O)nRであり、ここでn≧7であり;Oは、R、X、及びZから選択される残基の配列であり;ここでRはL-アルギニンであり、Xは3-cis-アミノシクロヘキサンであり、そしてZはcis-2-アミノシクロペンタン-1-カルボニルであり;そしてここでリンカーはFSを含む。
【0067】
いくつかの実施態様において、CPPは、式 可変配列−スペーサー−リンカーを含む化
合物であり得、式中、可変配列はAc-R(O)nRであり、ここでn≧7であり;Oは、R、X、及びZから選択される残基の配列であり;ここでRはL-アルギニンであり、Xは3-cis-アミノシクロヘキサンであり、そしてZはcis-2-アミノシクロペンタン-1-カルボニルであり;そしてここで、リンカーはFSQを含む。
【0068】
いくつかの実施態様において、CPPは、式 可変配列−スペーサー−リンカーを含む化合物であり得、式中、可変配列はAc-R(O)nRであり、ここでn≧7であり;Oは、R、X、及びZから選択される残基の配列であり;ここでRはL-アルギニンであり、Xは3-cis-アミノシクロヘキサンであり、そしてZはcis-2-アミノシクロペンタン-1-カルボニルであり;そしてここでリンカーはFSQKを含む。
【0069】
いくつかの実施態様において、CPPは、式 可変配列−スペーサー−リンカーを含む化合物であり得、式中、可変配列はAc-R(O)nRであり、ここでn≧7であり;Oは、R、X、及びZから選択される残基の配列であり;ここでRはL-アルギニンであり、Xは3-cis-アミノシクロヘキサンであり、そしてZはcis-2-アミノシクロペンタン-1-カルボニルであり;そしてここで、リンカーはFxyBを含み、xはいずれかのアミノ酸であり、yはグルタミン酸(E)、アスパラギン酸(D)、リジン(K)、セリン(S)、及びスレオニン(T)から選択され、そしてBはβ-アラニンである。
【0070】
いくつかの実施態様において、CPPは、式 可変配列−スペーサー−リンカーを含む化合物であり得、式中、可変配列はAc-R(O)nRであり、ここでn≧7であり;Oは、R、X、及びZから選択される残基の配列であり;ここでRはL-アルギニンであり、Xは3-cis-アミノシクロヘキサンであり、そしてZはcis-2-アミノシクロペンタン-1-カルボニルであり;そしてここで、リンカーはFxyBを含み、xはいずれかのアミノ酸であり、yはグルタミン酸(E)、アスパラギン酸(D)、リジン(K)、セリン(S)、及びスレオニン(T)から選択され、そしてBはβ-アラニンであり;そしてここでyはグルタミン酸の非天然アナログである。
【0071】
いくつかの実施態様において、CPPは、式 可変配列−スペーサー−リンカーを含む化合物であり得、式中、可変配列はAc-R(O)nRであり、ここでn≧7であり;Oは、R、X、及びZから選択される残基の配列であり;ここでRはL-アルギニンであり、Xは3-cis-アミノシクロヘキサンであり、そしてZはcis-2-アミノシクロペンタン-1-カルボニルであり;そしてここで、リンカーはFxyBを含み、xはいずれかのアミノ酸であり、yはグルタミン酸(E)、アスパラギン酸(D)、リジン(K)、セリン(S)、及びスレオニン(T)から選択され、そしてBはβ-アラニンであり;そしてここでyはアスパラギン酸の非天然アナログである。
【0072】
いくつかの実施態様において、CPPは、式 可変配列−スペーサー−リンカーを含む化合物であり得、式中、可変配列はAc-R(O)nRであり、ここでn≧7であり;Oは、R、X、及びZから選択される残基の配列であり;ここでRはL-アルギニンであり、Xは3-cis-アミノシクロヘキサンであり、そしてZはcis-2-アミノシクロペンタン-1-カルボニルであり;そしてここで、リンカーはFxyBを含み、xはいずれかのアミノ酸であり、yはグルタミン酸(E)、アスパラギン酸(D)、リジン(K)、セリン(S)、及びスレオニン(T)から選択され、そしてBはβ-アラニンであり;そしてここでyはリジンの非天然アナログである。
【0073】
いくつかの実施態様において、CPPは、式 可変配列−スペーサー−リンカーを含む化合物であり得、式中、可変配列はAc-R(O)nRであり、ここでn≧7であり;Oは、R、X、及びZから選択される残基の配列であり;ここでRはL-アルギニンであり、Xは3-cis-アミノシクロヘキサンであり、そしてZはcis-2-アミノシクロペンタン-1-カルボニルであり;そしてここで、リンカーはFxyBを含み、xはいずれかのアミノ酸であり、yはグルタミン酸(E)、アスパラギン酸(D)、リジン(K)、セリン(S)、及びスレオニン(T)から選択され、そしてBはβ-アラニンであり;そしてここでyはセリンの非天然アナログである。
【0074】
いくつかの実施態様において、CPPは、式 可変配列−スペーサー−リンカーを含む化合物であり得、式中、可変配列はAc-R(O)nRであり、ここでn≧7であり;Oは、R、X、及びZから選択される残基の配列であり;ここでRはL-アルギニンであり、Xは3-cis-アミノシクロヘキサンであり、そしてZはcis-2-アミノシクロペンタン-1-カルボニルであり;そしてここで、リンカーはFxyBを含み、xはいずれかのアミノ酸であり、yはグルタミン酸(E)、アスパラギン酸(D)、リジン(K)、セリン(S)、及びスレオニン(T)から選択され、そしてBはβ-アラニンであり;そしてここでyはE、D、K、S又はTの非天然アナログである。
【0075】
いくつかの実施態様において、CPPは、式 可変配列−スペーサー−リンカーを含む化合物であり得、式中、可変配列はAc-R(O)nRであり、ここでn≧7であり;Oは、R、X、及びZから選択される残基の配列であり;ここでRはL-アルギニンであり、Xは3-cis-アミノシクロヘキサンであり、そしてZはcis-2-アミノシクロペンタン-1-カルボニルであり;そしてここでスペーサーは、アミノヘキサン酸(Ahx)を含み;そしてここでリンカーはFSQG-OHを含む。
【0076】
いくつかの実施態様において、CPPは、式 可変配列−スペーサー−リンカーを含む化合物であり得、式中、可変配列はAc-R(O)nRであり、ここでn≧7であり;Oは、R、X、及びZから選択される残基の配列であり;ここでRはL-アルギニンであり、Xは3-cis-アミノシクロヘキサンであり、そしてZはcis-2-アミノシクロペンタン-1-カルボニルであり;そしてここで、リンカーはFxyBを含み、xはいずれかのアミノ酸であり、yはグルタミン酸(E)、アスパラギン酸(D)、リジン(K)、セリン(S)、及びスレオニン(T)から選択され、そしてBはβ-アラニンであり;そしてここでyはスレオニンの非天然アナログであり;そしてここでnは7であり、そしてスペーサーは(Ahx)である。
【0077】
いくつかの実施態様において、CPPは、式 可変配列−スペーサー−リンカーを含む化合物であり得、式中、可変配列はAc-R(O)nRであり、ここでn≧7であり;Oは、R、X、及びZから選択される残基の配列であり;ここでRはL-アルギニンであり、Xは3-cis-アミノシクロヘキサンであり、そしてZはcis-2-アミノシクロペンタン-1-カルボニルであり、ここで可変配列、スペーサー、及びリンカーは:配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、及び11から選択される配列を含む。
【0078】
いくつかの実施態様において、CPP-PMO、又はCPP-AONは、式 可変配列−スペーサー−リンカーを含むことであり得、式中、可変配列はAc-R(O)nRであり、ここでn≧7であり;Oは、R、X、及びZから選択される残基の配列であり;ここでRはL-アルギニンであり、Xは3-cis-アミノシクロヘキサンであり、そしてZはcis-2-アミノシクロペンタン-1-カルボニルであり、リンカーに結合されたカーゴをさらに含み、ここでカーゴは、ホスホロジアミデートモルホリノオリゴマー(PMO)を含む。
【0079】
いくつかの実施態様において、CPP-PMO、又はCPP-AONは、式 可変配列−スペーサー−リンカーを含む化合物であり得、式中、可変配列はAc-R(O)nRであり、ここでn≧7であり;Oは、R、X、及びZから選択される残基の配列であり;ここでRはL-アルギニンであり、Xは3-cis-アミノシクロヘキサンであり、そしてZはcis-2-アミノシクロペンタン-1-カルボニルであり、リンカーに結合されたカーゴをさらに含み、ここでカーゴは、1つ又はそれ以上のさらなるPMOをさらに含む。
【0080】
いくつかの実施態様において、CPPは、表1の配列のいずれかに従う可変配列−スペーサー−リンカーを含み得る:
【0082】
いくつかの実施態様において、CPPは、表2に示される以下の配列を含み得る。
【0084】
当業者は、本開示の目標、例えば増強された細胞透過を達成するさらなるCPP配列を設計することができるだろう。結果として、現在開示される多重PMO-CPP及びAON-CPP結合体は、本明細書に開示されるCPP成分に限定されない。
【0085】
本明細書で使用されるNOAELは、有害な効果が観察されない投薬量レベルを意味する。換言すると、NOAELは最大安全用量である。
【0086】
いくつかの実施態様において、リンカーは、切断モチーフを含有する配列である。いくつかの実施態様において、切断モチーフは、いずれかの加水分解酵素により切断され得る。いくつかの実施態様において、切断モチーフは、カテプシン又はトリプシンのようなペプチダーゼ又はプロテアーゼにより切断され得る。本明細書において使用されるカテプシン切断可能リンカーは、カテプシン切断部位と同義である。本開示に従う切断可能リンカーは、細胞内酵素により切断される、すなわち化学的に分解される能力がある。いくつかの実施態様において、リンカーは、特定のセリンプロテアーゼ、スレオニンプロテアーゼ、システインプロテアーゼ、アスパラギン酸プロテアーゼ、グルタミン酸プロテアーゼ、もしくはメタロプロテアーゼ、又は1つより多くのペプチダーゼの群により認識される切断モチーフを含むように設計され得る。いくつかの実施態様において、リンカーは、重なるか又は重ならない2つ又はそれ以上の切断モチーフを含み得る。いくつかの実施態様において、リンカーは、切断モチーフを含有しなくてもよい。いくつかの実施態様において、リンカーは、リンカーの100%未満、75%未満、50%未満、又は10%未満が切断されるように設計され得る。いくつかの実施態様において、リンカーは、リンカーの90%又は99%より多くが切断されるように設計される。
【0087】
いくつかの実施態様において、リンカーは配列FS(配列番号45)を含む。いくつかの実施態様において、リンカーは、配列FSQ(配列番号46)又はFSQK(配列番号47)を含む。いくつかの実施態様において、リンカーは配列FxyB(配列番号48)を含み、ここでxは、標準又は非標準のいずれかのアミノ酸であり、yは、グルタミン酸(E)、アスパラギン酸(D)、及びリジン(K)、セリン(S)、又はスレオニン(T)であり、そしてBは、β-アラニン又はβ-グリシンである。いくつかの実施態様において、適切なカテプシン切断部位としてはFKE(配列番号49)、FAE(配列番号50)、FVE(配列番号51)、FLE(配列番号52)、FSE(配列番号53)、及びV[Cit]E(配列番号54)が挙げられ、ここでFはフェニルアラニンであり、Kはリジンであり、Eはグルタミン酸であり、Aはアラニンであり、Vはバリンであり、Lはロイシンであり、Sはセリンであり、そしてCitはシトルリンである。本開示は、本明細書に開示される特定のカテプシンリンカーに限定されないが、細胞内プロテアーゼにより切断される能力を有するさらなるアミノ酸配列も含む。
【実施例】
【0088】
ペプチド合成
Ranin Symphony自動化ペプチド合成機を使用して、予め組み込まれたCLEAR(架橋エトキシル化アクリレート樹脂)(Peptides International, Louisville, KY)で標準的Fmoc化学を使用してペプチドを合成した。アミノ酸(EMD Biosciences, San Diego, CA又はAnaspec, San Jose, CA)を、tertブトキシカルボニル(BOC)、tert-ブチル(tBu) 2,2,4,6,7-ペンタメチルジヒドロ-ベンゾフラン-5-スルホニル(Pbf)、又はトリチル(Trt)基で直交性に(orthogonally)保護した。5/5/10/1のアミノ酸/HCTU/N-メチルモルホリン/樹脂モル割当(molar ration)を使用してカップリングを行った。DMF中の20%ピペリジン、2% 1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-ウンデカ-7-エン(DBU)を使用して、各サイクルの間にアミン末端からFmocを除去した。N-末端アセチル化を、30/8/1のモル比でDMF中の無水酢酸/NMM/樹脂を使用する樹脂で行った。樹脂からの脱保護/切断を、2.5%水/2.5% TIS/5%アニソール/90% TFA 体積/体積比の15ml/0.1mM樹脂の混合物を3時間使用して行った。上清をジエチルエーテル(-80℃)中で沈殿させ、そして3000rpmで10分間ペレット化した。エーテルをデカンテーションし、そしてペレットを再び洗浄した。粗製ペプチドを凍結乾燥し、そして半分取逆相HPLC(XBridge C18、10x250mm、5μm粒径)を使用して精製した。99%緩衝液-A(水、0.1% TFA)及び1%緩衝液-B(アセトニトリル、0.1% TFA)(グラジエント勾配、0.3% B/分)のロードグラジエントを用いて5ml/分で精製を行った。ペプチド純度>95%を、逆相分析HPLC及びMALDI-TOF(Waters Synapt)により評価した。フラクションをプールし、凍結乾燥し、そして適切な結合緩衝液に再溶解した。(全ての溶媒は、EMD Biosciences, San Diego, Ca or Sigma Aldrich, St. Louis, MOから購入されたHPLC等級のものであった)
【0089】
ペプチド(CPP)-PMO結合体
5’-末端第一級アミンを有するPMOを注文し、そしてペプチドを上記のように合成した。単一PMO-CPP結合体において、ペプチドをPMOと比較して2倍モル過剰で使用し、そして多重PMO-CPP結合体において、PMOのモル数を、以下の式を使用して計算した: (1.2倍) x (結合体数) x (ペプチドのモル数)。PMOをDMSO(5mM)に溶解して取っておいた。ペプチドをDMF(50mM)に溶解し、そしてモル当量のアミニウムベースのカップリング試薬2-(6-クロロ-1-H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルアミニウム ヘキサフルオロホスフェートと混合した。2モル当量の4-メチルモルホリン(NMM)をペプチド混合物に加え、そしてすぐにPMO溶液に加えた。反応を1.5時間37℃にて進め、そして4体積当量の水を使用して止めた。この混合物をCMセファロース(Sigma Aldrich, St. Louis, MO)カラムに加え、そして10カラム体積で洗浄して未結合PMO及び反応物を除去した。ペプチドCPP-PMO結合体を1Mグアニジウム-HCL、1M NaClでカラムから溶出し、そして100mM NH
4HCO
3に対して3回の緩衝液交換で透析して塩及び未結合ペプチドを除去した。透析された物質を凍結乾燥し、そして分析HPLCで分析した。
【0090】
以下のCPPを、上記の一般的ペプチド合成プロトコルに従って合成した::
・ No. 1215: Ac-(RXRRBR)
2XFKEG-OH (配列番号55)
・ No. 1216: Ac-(RXRRBR)
2XFD(d-Glu)EG-OH (配列番号56)
・ No. 1217: Ac-E(RXRRBR)
2XFKG-アミド (配列番号57)
・ No. 1218: Ac-E(RXRRBR)
2XFKG-OH (配列番号58)
・ No. 1219: Ac-E(RXRRBR)
2XFKEG-OH (配列番号59)
・ No. 1220: Ac-E(RXRRBR)
2XFK(d-Glu)EG-OH (配列番号60)
・ No. 1221: Ac-(d-Glu)E(RXRRBR)
2xFKG-アミド (配列番号61)
・ No. 1222: Ac-(dGlu)E(RXRRBR)
2XFKG-OH (配列番号62)
・ No. 1223: Ac-(d-Glu)E(RXRRBR)
2XFKEG-OH (配列番号63)
・ No. 1224: Ac-(d-Glu)E(RXRRBR)
2XFK((d-Glu)EG-OH (配列番号64)
・ No. 1225-B: Biot-(RXRRBR)
2XFKG-OH (配列番号65)
・ No. 1225-F: FITC-(RXRRBR)
2XFKG-OH (配列番号66)
・ No. 1226-B: Ac-(RXRRBR)
2XFK(Biot)G-OH (配列番号67)
・ No. 1226-F: Ac-(RXRRBR)
2XFK(FITC)G-OH (配列番号68)
ここで、Acはアセチルであり、RはD-アルギニンであり、Xは6-アミノヘキサン酸であり、Bはβ-アラニンであり、FKはカテプシン切断部位であり、Eはグルタミン酸であり、Gはグリシンであり、Biotはビオチンであり、そしてFITCはフルオレセインイソチオシアネートである。
【0091】
上に列挙されたCPPを、上記の合成手順を使用してPMO23と結合させてPMO-CPP結合体を形成した。この手順に従って形成された結合体は、以下の配列を有していた::
・ No. 1215: Ac-(RXRRBR)
2XFKE(PMO)G(PMO) (配列番号69)
・ No. 1216: Ac-(RXRRBR)
2XFD(d-Glu)(PMO)E(PMO)G(PMO) (配列番号70)
・ No. 1217: Ac-E(PMO)(RXRRBR)
2XFKG (配列番号71)
・ No. 1218: Ac-E(PMO)(RXRRBR)
2XFKG(PMO) (配列番号72)
・ No. 1219: Ac-E(PMO)(RXRRBR)
2XFKE(PMO)G(PMO) (配列番号73)
・ No. 1220: Ac-E(PMO)(RXRRBR)
2XFK(d-Glu)(PMO)E(PMO)G(PMO) (配列番号74)
・ No. 1221: Ac-(d-Glu)(PMO)E(PMO)(RXRRBR)
2XFKG (配列番号75)
・ No. 1222: Ac-(dGlu)(PMO)E(PMO)(RXRRBR)
2XFKG(PMO) (配列番号76)
・ No. 1223: Ac-(d-Glu)(PMO)E(PMO)(RXRRBR)
2XFKE(PMO)G(PMO) (配列番号77)
・ No. 1224: Ac-(d-Glu)(PMO)E(PMO)(RXRRBR)
2XFK(d-Glu)(PMO)E(PMO)G(PMO) (配列番号78)
・ No. 1225-B: Biot-(RXRRBR)
2XFKG(PMO) (配列番号79)
・ No. 1226-B: Ac-(RXRRBR)
2XFK(Biot)G(PMO) (配列番号80)
上で言及されたCPP-PMO結合体に加えてNo.1120 (Ac-(RXR)
4XFKE-((PEG)
2-PMO)G-(PMO))
(配列番号81)及び(Ac-(RXRRBR)
2XBA-PMO) (配列番号82)を、2.84μM/kgの用量で野生型マウスに静脈内投与した。
【0092】
投薬の終了後に、組織を麻酔下で採取し、そして液体窒素中で凍結した。凍結した心臓及び四頭筋を処理してRNAを単離した。サンプルを、nanodrop ND1000分光光度計を使用して定量した。サンプルを15ng/μlの濃度にさらに希釈した。サンプルを、以下の配列を有するプライマーを使用して増幅した: CAGAATTCTGCCAATTGCTGAG (配列番号83)及びTTCTTCAGCTTGTGTCATCC (配列番号84)。PCRを、55℃/30分;94℃/2分;94℃/15秒 x 30回;55℃/30秒;68℃/1.5分のランシーケンス(run sequence)を用いて実行した。
【0093】
各結合体についてのエクソン23スキッピングのパーセンテージを表3に示す。
【0094】
【表3】
【0095】
CPPのN末端に結合されたPMO
は、C末端に結合された同数のPMO
ほど機能しなかった。結合体No.1212
は、K−ペプチド結合体No.1120
ほど機能しなかった。1つだけPMOを有するNo.1204は、2つのPMOを有する結合体No.1120よりも良好に機能した。No.1225−BはNo.1226−Bよりも良好に機能した。
【0096】
以下のさらなるCPP-PMO結合体を上記の手順に従った合成した。以下の結合体に使用されたPMOはGGCCAAACCTCGGCTTACCTGAAAT (配列番号85)である。
K系(PMOはPMO23である):
・ No. 1118: Ac-(RXR)
4XEG-(PMO) (配列番号86)
・ No. 1119: Ac-(RXR)
4XE-((PEG)
2-PMO)G-(PMO) (配列番号87)
・ No. 1120: Ac-(RXR)
4XFKE-((PEG)
2-PMO)G-(PMO) (配列番号81)
・ No. 970-S: ステアリル-(RXR)
4XA-PMO (配列番号88)
B系(PMOはPMO23である):
・ No. 1204: Ac-(RXRRBR)
2XBA-PMO (配列番号82)
・ E(PMO)(RXRRBR)
2XFKG、「n-末端PPMO-B」 (配列番号89)
・ No. 1239: Ac-(RXRRBR)
2XE(PMO)G(PMO) (配列番号90)
・ Ac-(RXRRBR)
2FKEG-(PMO)
2、「Di-PMO-B + FK」 (配列番号91)
ここでAcはアセチルであり、RはD-アルギニンであり、Xは6-アミノヘキサン酸であり、Bはβ-アラニンであり、FKはカテプシン切断部位であり、Eはグルタミン酸であり、そしてGはグリシンである。
【0097】
いくつかの実施態様において、Xは、プロリン、グリシン、もしくはアラニンのような他の種類の残基、又はさらなる修飾もしくは非標準アミノ酸も含み得る。いくつかの実施態様において、可変配列は、アルファ、ベータ、ガンマ、もしくはデルタアミノ酸、又はシクロアルカン構造を含む。いくつかの実施態様において、リンカーは配列FS(配列番号45)を含む。いくつかの実施態様において、リンカーは配列FSQ(配列番号46)又はFSQK(配列番号47)を含み、ここでFはフェニルアラニンであり、Sはセリンであり、Kはリジンであり、そしてQはグルタミンである。いくつかの実施態様において、リンカーは配列FxyB(配列番号48)を含み、ここでxは標準又は非標準のいずれかのアミノ酸であり、yはグルタミン酸(E)、アスパラギン酸(D)、及びリジン(K)、セリン(S)、又はスレオニン(T)であり、そしてBはβ-アラニン又はβ-グリシンである。野生型マウスに、2.84μM/kgの用量で結合体No.1204、1119、1120、1239、及び1215を静脈内投与した。組織を採取し、そしてRNAを上記のように単離した。スキッピングされたエクソン23のパーセンテージを表4に示す。
【0098】
【表4】
【0099】
図3はまた、野生型マウスにおけるエクソン23スキッピングに対する多重CPP-PMO結合体のいくつかの効果を示す。
【0100】
上に示されるように、有効性は、1つより多くのPMOを単一CPP-Kに結合させることにより改善されたが、CPP-Bでは改善されなかった。2つのPMOエクソン23部分(No.1239)に結合された、静脈内(IV)注射により送達されるCPP-Bの単会用量は、単一PMOエクソン23(No.1204)に結合されたCPP-Bよりもかなり低い有効性であった。驚くべきことに、我々は、正確に同じ化学様式で2つのPMO(No.1119)に結合されたCPP-Kの単回用量が、単一PMOエクソン23(No.1118)に結合されたCPP-Kの単回用量のおおよそ2倍ほど有効であるということを見出した。興味深いことに、CPP-PMO23Bは、単量体構築物としてのCPP-PMO23Kよりも有効であった。3つのPMOがCPPにつながれている多重CPP-PMOにおいて、単一のペプチドB(No.1216)に結合されている3つのPMO23部分は、ジ-PMO Bと比較して活性が2倍になった(そのエクソンスキッピング能に関してトリ-PMO23-Bはジ-PMO23-Kと同様であった)。これらの結果は、どの多重CPP-PMO結合体が所望の特性を有するかを先験的に推測できず、従って、当業者は、本開示に記載される方法を使用して予備調査を行い、製造された各結合体についての有効性を決定しなければならないだろうということを示唆する。
【0101】
本発明の他の実施態様は、明細書の考慮及び本明細書に開示される本発明の実施から当業者に明らかとなるだろう。明細書及び実施例は、例として考慮されるのみであり、本発明の真の範囲及び精神は以下の特許請求の範囲により示されるということが意図される。