特許第6825927号(P6825927)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6825927
(24)【登録日】2021年1月18日
(45)【発行日】2021年2月3日
(54)【発明の名称】薄葉紙ホルダー
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/08 20060101AFI20210121BHJP
   A47K 10/42 20060101ALI20210121BHJP
   A47K 10/20 20060101ALI20210121BHJP
【FI】
   B65D83/08 A
   A47K10/42 C
   A47K10/20 A
【請求項の数】5
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-15722(P2017-15722)
(22)【出願日】2017年1月31日
(65)【公開番号】特開2018-122878(P2018-122878A)
(43)【公開日】2018年8月9日
【審査請求日】2019年8月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】高橋 祥子
【審査官】 新田 亮二
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2012/0273514(US,A1)
【文献】 特開2016−067475(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/08
A47K 10/20
A47K 10/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面に設けられている取付け部に取付け可能な薄葉紙ホルダーであって、
複数の衛生薄葉紙を収容するホルダー本体と、
前記ホルダー本体の底面部に設けられ、前記ホルダー本体に収容された前記衛生薄葉紙が取出し可能な開口部と、
前記取付け部に着脱可能に取付けられ、前記ホルダー本体を吊す、少なくとも3つの連結部とを有し、
前記3つの連結部のうち、一つまたは二つの前記連結部は、前記ホルダー本体の上面部の奥行き方向の中間より背面部側の位置に連結され、残りの前記連結部は、前記ホルダー本体の上面部の奥行き方向の中間より前面部側の位置に連結されることを特徴とする薄葉紙ホルダー。
【請求項2】
前記3つの連結部のうち、少なくとも一つの前記連結部は、前記取付け部に堅固に固定される請求項1に記載の薄葉紙ホルダー。
【請求項3】
前記二つの連結部と前記一つの連結部とは、前記一つの連結部が前記取付け部に前記二つの連結部の間で取付けられるように配置される請求項1または2に記載の薄葉紙ホルダー。
【請求項4】
壁面に設けられている取付け部に取付け可能な薄葉紙ホルダーであって、
積層された複数の衛生薄葉紙を収容するホルダー本体と、
前記ホルダー本体の底面部に設けられ、前記ホルダー本体に収容された前記衛生薄葉紙が取出し可能な開口部と、
前記取付け部に着脱可能に連結され、前記ホルダー本体を吊す、少なくとも2つの連結部と、
前記ホルダー本体の背面部側に前記壁面に向かって突設した支持部とを有し、
前記2つの連結部は、前記ホルダー本体の上面部の奥行き方向の中間より背面部側の位置から前記取付け部に連結され
前記支持部は、前記ホルダー本体の前記底面部にスライドして突設するように設けられることを特徴とする薄葉紙ホルダー。
【請求項5】
壁面に設けられている取付け部に取付け可能な薄葉紙ホルダーであって、
積層された複数の衛生薄葉紙を収容するホルダー本体と、
前記ホルダー本体の底面部に設けられ、前記ホルダー本体に収容された前記衛生薄葉紙が取出し可能な開口部と、
前記取付け部に着脱可能に連結され、前記ホルダー本体を吊す、少なくとも2つの連結部と、
前記ホルダー本体の背面部側に前記壁面に向かって突設した支持部とを有し、
前記2つの連結部は、前記ホルダー本体の上面部の奥行き方向の中間より背面部側の位置から前記取付け部に連結され、
前記支持部は、前記ホルダー本体の前記背面部から前記壁面側に回動して突設するように設けられることを特徴とする薄葉紙ホルダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄葉紙ホルダーに関する。
【背景技術】
【0002】
ペーパータオル、ティシュペーパー、トイレットペーパー、キッチンペーパー、または掃除用ワイプなどの衛生薄葉紙の束を、フィルム包装された状態、収納箱に収納された状態、または衛生薄葉紙の束のまま内部に収容し、取出口から内部の衛生薄葉紙を取り出す形態の薄葉紙ホルダーが、洗面所やキッチンなど水回りに設置されている。
【0003】
薄葉紙ホルダーの取出口が上向きの場合は、机や調理台の上に薄葉紙ホルダーを載置する。しかし、衛生薄葉紙を使用する際に薄葉紙ホルダーの取出口やその周辺が水などで濡れたり、調理などによる油の飛び跳ねにより汚れるなどして、薄葉紙ホルダーの外表面が不衛生になり、使用上好ましくない。
【0004】
薄葉紙ホルダーの取出口が横向きの場合は、積層された衛生薄葉紙の束が薄葉紙ホルダーの内部で横を向き、使用中に衛生薄葉紙の束が内部で崩れてしまう場合がある。その結果、衛生薄葉紙を使用する際に、薄葉紙ホルダーの取出口から衛生薄葉紙を取り出すのに抵抗が大きく、シートが破れたり、一度に数枚まとまって出るなどの取出し不良となる。
【0005】
一方、水回りの壁面に取付けたフックなどにペーパータオルディスペンサーの背面に設けた開口を掛けて、底面に設けた開口部からペーパータオルを取り出して使用する技術がある(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、水回りの壁面や、水回りの周辺に配置された構造物(例えば、冷蔵庫、食器棚など)の壁面に設けられているタオル掛けなどに薄葉紙ホルダーや衛生用紙収納箱を吊下げて使用する方法がある。例えば、特許文献2では、衛生用紙収納箱をS字状フックなどの吊下げ具に吊下げて使用する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2016−67475号公報
【特許文献2】特開2012−171642号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、専用のフックを必要とする。また、特許文献2に記載の技術のように、タオル掛けなどを利用して薄葉紙ホルダーや衛生用紙収納箱を吊下げて使用する方法では、薄葉紙ホルダーは傾き易い。そのため、薄葉紙ホルダー内の衛生薄葉紙が少なくなると、衛生薄葉紙が薄葉紙ホルダーの傾斜している面側に移動してしまい、衛生薄葉紙が取り出し難くなる傾向がある。
【0009】
本発明の一態様は、最後まで安定して衛生薄葉紙を取り出し易くすることができる薄葉紙ホルダーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様による薄葉紙ホルダーは、壁面に設けられている取付け部に取付け可能な薄葉紙ホルダーであって、複数の衛生薄葉紙を収容するホルダー本体と、前記ホルダー本体の底面部に設けられ、前記ホルダー本体に収容された前記衛生薄葉紙が取出し可能な開口部と、前記取付け部に着脱可能に取付けられ、前記ホルダー本体を吊す、少なくとも3つの連結部とを有し、前記3つの連結部のうち、一つまたは二つの前記連結部は、前記ホルダー本体の上面部の奥行き方向の中間より背面部側の位置に連結され、残りの前記連結部は、前記ホルダー本体の上面部の奥行き方向の中間より前面部側の位置に連結される。
【0011】
第1の態様によれば、少なくとも3つの連結部をホルダー本体に所定の配置で連結しつつ取付け部に取付けることで、ホルダー本体の底面部が床面方向を向く(底面部が床面と並行である)ように、ホルダー本体を安定した状態で吊すことができる。また、積層された衛生薄葉紙の最下面は、常にホルダー本体の底面部に位置する。よって、第1の態様による薄葉紙ホルダーによれば、ホルダー本体内の衛生薄葉紙をホルダー本体の底面部に設けた開口部から最後まで安定して取り出し易い状態を維持することができる。
【0012】
第2の態様では、前記3つの連結部のうち、少なくとも一つの前記連結部は、前記取付け部に堅固に固定されている。このような構成とすることにより、使用時に使用者がホルダー本体内の衛生薄葉紙を開口部の斜め方向から取り出したりしても、取付け部で連結部が横ずれなどすることを抑制することができる。なお、本明細書において、堅固に固定とは、連結部が取付け部に対して横ずれなどしないことを意味する。
【0013】
第3の態様では、前記二つの連結部と前記一つの連結部とは、前記一つの連結部が前記取付け部に前記二つの連結部の間で取付けられるように配置される。このような構成とすることにより、ホルダー本体を底面部が床面方向を向くようにしたまま、ホルダー本体をより安定した状態で吊すことができる。
【0014】
本発明の第4の態様による薄葉紙ホルダーは、壁面に設けられている取付け部に取付け可能な薄葉紙ホルダーであって、積層された複数の衛生薄葉紙を収容するホルダー本体と、前記ホルダー本体の底面部に設けられ、前記ホルダー本体に収容された前記衛生薄葉紙が取出し可能な開口部と、前記取付け部に着脱可能に連結され、前記ホルダー本体を吊す、少なくとも2つの連結部と、前記ホルダー本体の背面部側に前記壁面に向かって突設した支持部とを有し、前記2つの連結部は、前記ホルダー本体の上面部の奥行き方向の中間より背面部側の位置から前記取付け部に連結される。
【0015】
第4の態様によれば、支持部を壁面に向かって突設することにより、支持部の端部を壁面に接触させることができる。これにより、ホルダー本体の底面部が床面方向を向くように、ホルダー本体を安定した状態で吊すことができる。また、積層された衛生薄葉紙の最下面は常にホルダー本体の底面部に位置する。よって、第4の態様による薄葉紙ホルダーによれば、ホルダー本体内の衛生薄葉紙をホルダー本体の底面部に設けた開口部から最後まで安定して取り出し易い状態を維持することができる。
【0016】
第5の態様では、前記支持部は、前記ホルダー本体の前記底面部にスライドして突設するように設けられる。このような構成とすることにより、支持部を使用しないときは、支持部が突設しないようにホルダー本体にスライドさせる。これにより、薄葉紙ホルダーの流通時など薄葉紙ホルダーが使用されない時に、薄葉紙ホルダーが嵩張ることを防ぐことができる。
【0017】
第6の態様では、前記支持部は、前記ホルダー本体の前記背面部から前記壁面側に回動して突設するように設けられる。このような構成とすることにより、支持部を使用しないときは、支持部が突設しないようにホルダー本体側に回動させる。これにより、薄葉紙ホルダーの流通時など薄葉紙ホルダーが使用されない時に、薄葉紙ホルダーが嵩張ることを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の一態様による薄葉紙ホルダーは、最後まで安定して衛生薄葉紙を取り出し易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1の実施形態に係る薄葉紙ホルダーの一例を示す斜視図である。
図2図1のA方向から見た底面図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係る薄葉紙ホルダーの底面部側から見た斜視図である。
図4】連結部の他の構成の一例を示す図である。
図5】薄葉紙ホルダーが他のタオル掛けに取り付けられる態様の一例を示す図である。
図6】連結部の他の構成の一例を示す斜視図である。
図7】本発明の第2の実施形態に係る薄葉紙ホルダーの一例を示す斜視図である。
図8】本発明の第2の実施形態に係る薄葉紙ホルダーの底面部側から見た斜視図である。
図9】薄葉紙ホルダーを底面部から見た図である。
図10】支持部を壁面側に取り出した状態を示す図である。
図11】薄葉紙ホルダーの他の構成の一例を示す図である。
図12】支持部を閉じている状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、実施形態は以下の記述によって限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、理解の容易のため、図面における各部材の縮尺は実際とは異なる場合がある。また、以下の説明において、薄葉紙ホルダーの高さ方向の一方を上または上方といい、薄葉紙ホルダーの高さ方向の他方を下または下方という場合がある。本実施形態では、衛生薄葉紙として、ティシュペーパーを用いる場合について説明する。
【0021】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る薄葉紙ホルダーの一例を示す斜視図であり、図2は、図1のA方向から見た底面図であり、図3は、本実施形態に係る薄葉紙ホルダーの底面部側から見た斜視図である。図1図3に示すように、本実施形態に係る薄葉紙ホルダー10Aは、ディスペンサー(ホルダー本体)11、および連結部12A〜12Cを有し、洗面所やキッチンなどの水回りの壁面に設けられている取付け部であるタオル掛け13Aに着脱可能に取付けられる。
【0022】
ホルダー本体11は、収容部21および蓋部22を有し、収容部21内に複数のティシュペーパーTを直接収容可能に構成されている。
【0023】
収容部21は、ホルダー本体11の前面部11a、背面部11b、底面部11cおよび両方の側面部11dを構成する。蓋部22は、ホルダー本体11の前面部11aおよび上面部11eを構成する。ホルダー本体11の前面部11aは、収容部21の一部に蓋部22が重なって構成される。なお、本実施形態では、ホルダー本体11の前面部11aは、収容部21の一部に蓋部22が重なって構成されているが、必ずしも重なっている必要はない。
【0024】
収容部21は、背面部11bの上面部11e側の端部に、連結部12Aおよび連結部12Bの固定を補強するための補強部23を備える。補強部23は、ホルダー本体11の幅方向Xに沿って円筒状に形成されている。また、補強部23の内側の空間には、連結部12A、12Bでホルダー本体11を、安定して長期間、連結できるように、プラスチックや金属で形成された円柱状の芯材を入れておくことが好ましい。なお、補強部23は円筒状に形成されているが、これに限定されるものではなく、矩形状に形成されていてもよい。また、本実施形態では、ホルダー本体11に補強部23が設けられているが、補強部23は必ずしも設けられる必要はなく、連結部12Aおよび連結部12Bはホルダー本体11に直接設けてもよい。
【0025】
蓋部22は、背面部11bの上面部11e側の端部を軸として、上面部11eが開閉可能となるように、背面部11bの上面部11e側の端部に連結されている。使用時には、蓋部22が上方に開けられることで、ホルダー本体11の上方から、収容部21への複数のティシュペーパーTの装填または収容部21からの残ったティシュペーパーTの取り外しを自由に行うことができる。
【0026】
また、ホルダー本体11の前面部11aに位置する、収容部21の外側および蓋部22の内側には、それぞれ、マジックテープ(登録商標)など着脱自在な固定手段を設け、蓋部22の端部を収容部21に着脱自在に固定するようにしてもよい。これにより、ホルダー本体11内にゴミや水などが侵入することを防ぐことができる。
【0027】
ホルダー本体11は、折り曲げ可能な一枚または複数枚の布生地で形成されていてもよい。ホルダー本体11が布生地で形成される場合、布生地の厚さは、200μm〜700μm程度であることが好ましい。布生地の厚さが上記範囲内であれば、ホルダー本体11の強度を保ちつつ、折りたたむことができる。なお、本明細書において、布生地とは、糸状の天然繊維、再生繊維、または合成繊維などを織るか編むなどして、多数の繊維を薄く広い板状に加工したものを意味し、例えば、織物、編み物、レース、フェルト、不織布などが挙げられる。
【0028】
ホルダー本体11が布生地で形成される場合には、ホルダー本体11の形状を維持できるように、ホルダー本体11内には、ホルダー本体11の形状に沿った芯材(骨組)を含んでいてもよい。この場合、芯材の材料としては、例えば、プラスチックや針金などを用いることができる。但し、このような芯材を設ける場合も含め、ホルダー本体11の底面部11cには、所定の剛性を有するプラスチックなどの底板を設け、その上にティシュペーパーTを載せることが好ましい。なお、底板には、開口部24からティシュペーパーTが取り出せるように、開口部24に対応した孔を設ける。ホルダー本体11を布生地で形成する場合、ティシュペーパーTが少なくなると、積層されたティシュペーパーTの全体の形状がくずれ、ホルダー本体11の底面部11cの形状が変形して、ティシュペーパーTを開口部24から取出し難くなるためである。
【0029】
ホルダー本体11は、ホルダー本体11を構成する一枚または複数の布生地を縫い合わせるか、接着剤などを用いて貼り合わせて、一体化することで形成することができる。
【0030】
また、ホルダー本体11を形成する材料としては、布生地の他に、プラスチックを用いてもよい。プラスチックに用いられる材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ABS樹脂、AS樹脂、アクリル樹脂などが挙げられる。
【0031】
ホルダー本体11がプラスチックで形成される場合、例えば、背面部11bと一体になった補強部23を形成し、補強部23に設けた孔に、連結部12A、12Bの端部を通して取付ける(図7図12参照)。
【0032】
ホルダー本体11がプラスチックで形成される場合、ホルダー本体11の成形方法は、特に限定されず、ホルダー本体11の一部または全部を、従来より公知の成形方法、接着、打ち抜き加工などを用いて形成することができる。なお、ホルダー本体11が所定の剛性を有するプラスチックで形成される場合、ホルダー本体11の底面部11cには、所定の剛性を有する底板を設けなくてもよい。
【0033】
さらに、ホルダー本体11は、薄い鉄板などの金属または木材で形成してもよい。
【0034】
ホルダー本体11の重量は、ホルダー本体11をタオル掛け13Aに安定して長期間吊るす点から、例えば、50g以上であることが好ましい。
【0035】
また、ホルダー本体11の表面は、撥水処理または抗菌処理が施されていることが好ましい。これにより、ホルダー本体11の表面が水などで濡れたり、調理などによる油の飛び跳ねにより汚れることを防ぐことができる。撥水剤としては、例えば、シリコーン系、フッ素系、ポリエチレンイミン系、アクリル系の撥水剤を用いることができる。また、抗菌剤としては、例えば、エタノールなどのアルコール類、次亜塩素酸や次亜塩素酸塩などの塩素化合物、過酸化水素や過酢酸などの過酸化物、酢酸やソルビン酸などの有機酸またはこれらの有機酸塩、ヨードホルムなどのヨウ素化合物、第4級アンモニウム塩など安全性の高いものなどを用いることができる。
【0036】
ホルダー本体11は、底面部11cに、ホルダー本体11に収容されたティシュペーパーTを取り出すための開口部24を備える。開口部24は、図2に示すように、ホルダー本体11に収めたティシュペーパーTを底面部11c側から一枚ずつ取り出す際の取り出し口であり、底面部11cの奥行き方向Yの中央から幅方向Xに沿って長方形状に形成されている。使用者は、開口部24を通じて、ホルダー本体11内に収容されたティシュペーパーTを取り出せる。
【0037】
ホルダー本体11に収容される複数のティシュペーパーTは、方形のティシュペーパーTが二つ折りされ、その折り返し片の縁が上下に隣接するティシュペーパーTの折り返し片の内面に位置するようにして、互い違いに重なり合いつつ積層されている。使用者が最底面側に位置するティシュペーパーTを開口部24から摘まんで下方に引っ張ると、隣接する他の一枚のティシュペーパーTの折り返し片が引きずられ、開口部24から次に取り出されるティシュペーパーTの一部が露出する。これにより、ティシュペーパーTは、開口部24から連続的に取り出される。開口部24は、ホルダー本体11の底面部11cに設けられているため、ホルダー本体11に収容されているティシュペーパーTは、開口部24から最後の一枚まで安定して取り出せる。
【0038】
開口部24の長さLや幅Wは、ティシュペーパーTの大きさなどに基づいて適宜定めることができ、例えば、長さLは160〜200mm、幅Wは10mm以内である。
【0039】
なお、開口部24は、ホルダー本体11の底面部11cの奥行きの中間に幅方向Xに沿って矩形状に形成されているが、これに限定されず、ティシュペーパーTをスムーズに取り出すことができれば、他の形状でもよい。
【0040】
連結部12A〜12Cは、洗面所やキッチンなどの水回りの壁面に設けられている棒状のタオル掛け13Aに着脱可能に取付けられ、ホルダー本体11をタオル掛け13Aに吊した状態で保持している。
【0041】
本実施形態では、連結部12A、12Bは、ホルダー本体11の上面部11eの奥行き方向Yの中間点P1より背面部11b側の位置として、補強部23に連結されている。連結部12Cは、ホルダー本体11の上面部11eの奥行き方向Yの中間点P1より前面部11a側の位置として、上面部11eと前面部11aとの折り目部分近傍で、ホルダー本体11の幅方向Xの中間点P2に連結されている。連結部12A、12Bは、補強部23の幅方向Xの中間点P3から所定の距離(例えば、50mm)の範囲内に、中間点P3に対して略対称となるように配置される。3つの連結部12A〜12Cの長さは、例えば、連結部12Aと連結部12Bとを同じ長さとし、連結部12Cの長さを、ホルダー本体11の底面部11cが床面方向を向く(底面部11cが床面と並行である)ような長さとなるように調整される。これにより、ホルダー本体11が幅方向Xに傾斜することが抑えられ、ホルダー本体11は、底面部11cが床面方向を向く(底面部11cが床面と並行である)ように、安定した状態で吊される。
【0042】
なお、本実施形態では、タオル掛け13Aは、水回りの壁面に設けられているが、これに限定されず、例えば、冷蔵庫、食器棚などの構造物の壁面に設けられていてもよい。
【0043】
本実施形態では、連結部12A、12Bは、それぞれ、S字状フックで構成され、連結部12A、12Bの一端は補強部23に連結され、他端はタオル掛け13Aに取り付けられている。
【0044】
連結部12Cは、紐で構成され、連結部12Cの一端は蓋部22に連結される。連結部12Cの他端には、緊締部材であるクリップ34が設けられ、連結部12Cの他端は、クリップ34により、タオル掛け13Aに取り付けられている。クリップ34は、バネなどの弾性部材を用いて、タオル掛け13Aに対して滑らないように堅固に固定できる構成とすることが好ましい。本実施形態では、蓋部22には、ホルダー本体11の上面部11eに連結部12Cを通す穴が設けられ、前記穴に連結部12Cの一端を通して蓋部22の裏側で結んで止めることで、連結部12Cと蓋部22とが連結される。なお、連結部12Cの長さは、蓋部22の裏側で蓋部22の孔を通す長さを調整することで調整される。また、連結部12Cは、タオル掛け13Aにクリップ34でタオル掛け13Aを挟持して固定される。この場合、連結部12Cとクリップ34との連結方法としては、例えば、クリップ34に連結部12Cを通す穴を設け、前記穴に連結部12Cの他端を通して結び、連結部12Cとクリップ34とを連結する。
【0045】
このように、連結部12A〜12Cは、上記のように構成されることで、タオル掛け13Aへの着脱を容易に行うことができる。
【0046】
なお、本実施形態では、連結部12A、12Bは、それぞれ、1つの部材で構成されているが、複数の部材で構成されていてもよい。
【0047】
なお、本実施形態では、連結部12A、12BはS字状フックで構成され、連結部12Cは紐で構成されているが、連結部12A〜12Cの構成は、ホルダー本体11およびタオル掛け13Aに取り付け可能であれば、特に限定されない。例えば、連結部12A〜12Cの構成は、3つ共、紐、S字状フック、またはマジックテープなどで構成してもよい。
【0048】
連結部12Cは、ホルダー本体11の上面部11eの中間点P2に設けられ、連結部12Cはタオル掛け13Aに連結部12A、12Bの間で取付けられるように配置されている。これにより、ホルダー本体11の底面部11cが床面方向を向くようにしたまま、ホルダー本体11をより安定した状態でバランス良く吊すことができる。
【0049】
また、中間点P2と中間点P3との距離L1に対する、中間点P3から連結部12Cがタオル掛け13Aに取り付けられる位置αまでの距離L2の比(L2/L1)は、0.5〜1.0であることが好ましい。L2/L1が、0.5〜1.0であれば、ホルダー本体11の底面部11cが床面方向を向くように、ホルダー本体11をタオル掛け13Aに安定して吊した場合、ホルダー本体11の底面部11cからティシュペーパーTを無理なく下方に引き出すことができる。
【0050】
連結部12Cは、タオル掛け13Aに一箇所で連結されているが、これに限定されず、タオル掛け13Aの形態に応じて、より連結し易い構成とすることができる。例えば、図4に示すように、タオル掛け13Bの形状がリング状である場合、連結部12Cは、一端にY字型に一体成形されたプラスチックなどのフック35を連結し、フック35をリング状のタオル掛け13Bの二箇所に取り付けてもよい。この場合でも、連結部12Cは、タオル掛け13Bに容易に取付けられると共に、タオル掛け13Bに連結した連結部12Cの位置が移動することが抑えられる。
【0051】
本実施形態では、三つの連結部12A〜12Cがホルダー本体11の上面部11eに設けられているが、これに限定されず、ホルダー本体11をタオル掛け13Aに安定して取付けられれば、連結部はホルダー本体11に四つ以上設けられていてもよい。
【0052】
本実施形態では、連結部12A、12Bは補強部23に連結され、連結部12Cはホルダー本体11の前面部11aと上面部11eとの折り目部分近傍に連結されているが、これに限定されない。例えば、連結部12A、12Bがホルダー本体11の上面部11eの奥行き方向Yの中間点P1より背面部11b側の位置に連結され、連結部12Cがホルダー本体11の上面部11eの奥行き方向Yの中間点P1より前面部11a側の位置に連結されていればよい。
【0053】
本実施形態では、連結部12Cは、クリップ34を用いてタオル掛け13Aに堅固に固定されている。これにより、使用時にホルダー本体11内のティシュペーパーTが開口部24の斜め下方向から取り出される場合でも、タオル掛け13Aで連結部12Cがタオル掛け13Aの軸方向に横ずれなどすることを抑制することができる。
【0054】
なお、連結部12Cをタオル掛け13Aに堅固に固定しない場合には、連結部12CをS字状フックとしてもよい。
【0055】
連結部12A〜12Cのホルダー本体11からタオル掛け13Aまでの長さは、特に限定されるものではなく、適宜任意に調整することができる機構としてもよい。このように構成し、ホルダー本体11をタオル掛け13Aに取り付ける位置を調整することで、ティシュペーパーTを取出す位置を調整することができる。
【0056】
また、本実施形態では、例えば、図5に示すように、連結部12A〜12Cは長方形状のタオル掛け13Cに取り付けられてもよい。
【0057】
このように、本実施形態に係る薄葉紙ホルダー10Aは、上記のように、連結部12A〜12Cをホルダー本体11に所定の配置で連結しつつタオル掛け13Aに取付けることで、ホルダー本体11の底面部11cが床面方向を向くように、ホルダー本体11を安定した状態で吊すことができる。これにより、ティシュペーパーTは取り出し易くなり、ティシュペーパーTの取り出しをスムーズに行なうことができる。この結果、ティシュペーパーTをホルダー本体11の開口部24から安定して取り出すことができる。また、積層されたティシュペーパーTの最下面は、常にホルダー本体11の底面部11cに位置する。そのため、ホルダー本体11は、ホルダー本体11内のティシュペーパーTを開口部24から最後まで安定して取り出し易い状態を維持することができる。よって、本実施形態に係る薄葉紙ホルダー10Aによれば、ホルダー本体11内のティシュペーパーTを最後まで安定して開口部24から取り出し易くすることができる。
【0058】
また、本実施形態に係る薄葉紙ホルダー10Aは、上記の通り、連結部12A〜12Cに所定の部材を用いて構成することにより、タオル掛け13Aへの取り付けを容易に行うことができる。
【0059】
さらに、本実施形態に係る薄葉紙ホルダー10Aは、洗面所やキッチンなど水回りの壁面に設置し、ホルダー本体11の底面部11cから開口部24より下向きにティシュペーパーTを取り出している。そのため、開口部24に水などがかからないようにティシュペーパーTを取り出すことができる。
【0060】
このように、本実施形態に係る薄葉紙ホルダー10Aは、ティシュペーパーTを最後まで取り出し易い状態を維持することができる上、取り付けが容易であり、ホルダー本体11も汚れ難いため、一般家庭、病院、商業施設などにおいて好適に使用することができる。
【0061】
また、本実施形態では、2つの連結部12A、12Bがホルダー本体11の上面部11eの奥行き方向Yの中間点P1より背面部11b側の位置に連結され、1つの連結部12Cがホルダー本体11の上面部11eの奥行き方向Yの中間点P1より前面部11a側の位置に連結されている場合について説明したが、これに限定されない。例えば、図6に示すように、2つの連結部12A、12Bがホルダー本体11の上面部11eの奥行き方向Yの中間点P1より前面部11a側の位置に連結され、1つの連結部12Cがホルダー本体11の上面部11eの奥行き方向Yの中間点P1より背面部11b側の位置に連結されるように構成してもよい。
【0062】
<第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態に係る薄葉紙ホルダーについて、図面を参照して説明する。なお、上記実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。本発明の第2の実施形態に係る薄葉紙ホルダーは、上記の第1の実施形態に係る薄葉紙ホルダーの3つの連結部を2つに変更し、薄葉紙ホルダーの底面部に支持部を設けたものである。
【0063】
図7は、本発明の第2の実施形態に係る薄葉紙ホルダーの一例を示す斜視図であり、図8は、本実施形態に係る薄葉紙ホルダーの底面部側から見た斜視図である。図7および図8に示すように、本実施形態に係る薄葉紙ホルダー10Bは、ホルダー本体11と、連結部12A、12Bと、支持部41とを有する。なお、本実施形態においては、ホルダー本体11は布生地ではなく、プラスチックなどの剛性のある材料で形成し、補強部23の形状は矩形状とする。
【0064】
ホルダー本体11は、底面部11cに、支持部41を保持する保持部42を有し、保持部42は底面部11cに接着などにより連結されている。支持部41および保持部42は、それぞれ、例えば、プラスチックなどで形成されている。支持部41および保持部42の側面には、図9に示すように、それぞれ、凹凸状の嵌合部41aおよび42aが形成されており、支持部41が所定の力で引き出さないと、突出しない構成になっている。なお、保持部42の下面側には、使用者が保持部42を移動させ易いようにするため、溝部43が形成されている。また、保持部42の下面には、支持部41が保持部42から下方に脱落しないように留め具44が設けられている。また、支持部41が保持部42から下方に脱落しないよう構成として、留め具44以外の他の構成を用いてもよい。例えば、保持部42の下面から側面に蟻溝を形成し、支持部41が保持部42の前記蟻溝に挿入される形態としてもよい。
【0065】
支持部41は、保持部42内に、嵌合部41aと嵌合部42aとを嵌合させつつ移動可能に設けられており、ホルダー本体11の背面部11b側に壁面に向かってスライドして突設するように設けられている。支持部41を壁面に向かって突出させることにより、支持部41の端部を壁面に接触させることができる。なお、嵌合部41aおよび42aにより、ティシュペーパーTの取出しで、ホルダー本体11が多少前後方向に揺れても、支持部41がホルダー本体の11の底面部11cの内側に引っ込むことを防ぐことができる。
【0066】
また、支持部41の嵌合部41aを保持部42の嵌合部42aと嵌合させつつ支持部41を移動させることができるため、図10に示すように、支持部41をホルダー本体11の背面部11b側に突出させる際、支持部41の移動および固定を確実に行うことができる。このため、支持部41の突出位置を容易に調整することができる。また、支持部41を使用しないときは、支持部41が突設しないようにホルダー本体11にスライドさせ、保持部42に収容される。これにより、薄葉紙ホルダー10Bの流通時など薄葉紙ホルダー10Bが使用されない時に、薄葉紙ホルダー10Bが嵩張ることを防ぐことができる。
【0067】
よって、本実施形態に係る薄葉紙ホルダー10Bによれば、2つの連結部12A、12B、および支持部41を備えることにより、ホルダー本体11の底面部11cが床面方向を向くように、ホルダー本体11を安定した状態で吊すことができる。このため、本実施形態に係る薄葉紙ホルダー10Bにおいても、ティシュペーパーTをホルダー本体11の底面部11cに設けた開口部24からスムーズに安定して取り出すことができる。また、ホルダー本体11内に積層されているティシュペーパーTの最下面は常にホルダー本体11の底面部11cに位置する。よって、本実施形態に係る薄葉紙ホルダー10Bにおいても、ホルダー本体11内のティシュペーパーTを最後まで安定して開口部24から取り出し易くすることができる。
【0068】
また、本実施形態に係る薄葉紙ホルダー10Bにおいても、上記の通り、連結部12A、12Bに所定の部材を用いて構成することにより、タオル掛け13Aへの取り付けを容易に行うことができる。
【0069】
さらに、本実施形態に係る薄葉紙ホルダー10Bにおいても、水回りの壁面に設置し、ホルダー本体11を底面部11cから下向きにティシュペーパーTを取り出している。そのため、開口部24に水などがかからないようにティシュペーパーTを取り出すことができる。
【0070】
また、本実施形態では、支持部41は、ホルダー本体11の背面部11b側に壁面に向かってスライドして突設するように設けられているが、ホルダー本体11の背面部11b側に壁面に向かって突設していれば、特に限定されるものではない。
【0071】
例えば、図11に示すように、ホルダー本体11の背面部11bから壁面側に回動して突設する支持部51を設けてもよい。支持部51は、支持本体51a、突出部51b、回動部51cとで構成されている。支持部51を構成する各部材も、例えば、プラスチックなどで形成されている。なお、支持本体51aはホルダー本体11の背面部11bに接着などにより連結されている。また、回動部51cは、突出部51bが回動可能な強度を有しつつ、支持本体51aおよび突出部51bの下端部で連結している。
【0072】
このように、ホルダー本体11の背面部11bに支持部51を設けた場合でも、ホルダー本体11の底面部11cが床面方向を向くように、ホルダー本体11を安定した状態で吊すことができる。そのため、ティシュペーパーTをホルダー本体11の底面部11cに設けた開口部24からスムーズに安定して取り出すことができる。また、本実施形態に係る薄葉紙ホルダー10Bを使用しない時には、図12に示すように、突出部51bは、支持本体51a側に回動して折りたたむ。これにより、支持部51を使用しないときは、支持部51が突設しないようにホルダー本体11側に回動させる。これにより、薄葉紙ホルダー10Bの流通時など薄葉紙ホルダー10Bが使用されない時に、薄葉紙ホルダー10Bが嵩張ることを防ぐことができる。
【0073】
上記各実施形態では、衛生薄葉紙としてティシュペーパーを用いて説明したが、これに限定されるものではなく、ペーパータオル、トイレットペーパー、キッチンペーパー、または掃除用ワイプなど他の衛生薄葉紙も用いることができる。
【0074】
なお、ホルダー内に収容するティシュペーパーの大きさは、例えば、上面及び底面の形状が、60〜130mm×150〜250mm、高さが20〜110mm程度である。ティシュペーパーのプライ数は、2プライであり、その1プライ当たりの坪量は10〜20g/m、より好ましくは14.0〜18.0g/mである。また、紙厚は、2プライで130〜200μmであり、より好ましくは145〜175μmである。なお、坪量とは、JIS P 8124(1998)に基づいて測定した値を意味する。紙厚は、試験片をJIS P 8111(1998)の条件下で十分に調湿した後、同条件下でダイヤルシックネスゲージ(厚み測定器)「PEACOCK G型」(尾崎製作所製)を用いて測定した値を意味する。乾燥引張紙力は、JIS P 8113(2006)に基づき、乾燥引張紙力(縦)が100〜800cN、乾燥引張紙力(横)が50〜300cNである。湿潤引張紙力はJIS P 8135に基づき、湿潤引張紙力(縦)が50〜300cN、湿潤引張紙力(横)20〜200cNである。なお、各引張紙力及び伸び率における試料は、25mm幅での測定値である。
【0075】
ホルダー内に収容するペーパータオルの大きさは、上面及び底面の形状が、60〜130mm×200〜300mm、高さが20〜110mm程度である。ペーパータオルのプライ数は、1プライまたは2プライ以上の複数プライのものとすることができる。1プライ当たりの坪量が8〜50g/m、好ましくは10〜40g/mである。また、紙厚は、80〜200μm、より好ましくは100〜150μmである。乾燥引張紙力は、JIS P 8113(2006)に基づき、乾燥引張紙力(縦)が800〜2000cN、乾燥引張紙力(横)が200〜1000cNである。湿潤引張紙力は、JIS P 8135に基づき、湿潤引張紙力(縦)が200〜1500cN、湿潤引張紙力(横)が100〜1000cNである。
【0076】
以上の通り、実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、上記実施形態により本発明が限定されるものではない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の組み合わせ、省略、置き換え、変更などを行うことが可能である。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【実施例】
【0077】
以下、実施例および比較例を示して実施形態を更に具体的に説明するが、実施形態はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0078】
<薄葉紙ホルダーの作製>
[実施例1]
図1に示す第1の実施形態に係る薄葉紙ホルダーのホルダー本体11の素材として厚さが500μm程度の布生地(綿85%、麻15%)を用い、開口部24の位置は底面部11cとして、ホルダー本体11の内部のシート(「エリエール ペーパータオル スマートタイプ ダブル」、大王製紙株式会社製)の取り出し方向を下向きとした。ホルダー本体11は内部のシートが横置きとなるようにして用いた。ホルダー本体11に設けた3つの連結部12A〜12C(タオル掛けとの連結箇所)のうち、連結部12A、12Bとして、紐およびS字状フックを用い、紐は補強部23に取り付け、S字状フックはタオル掛けに取り付け、紐はS字状フックに結んで固定した。連結部12Cとして、マジックテープ(登録商標)を用い、タオル掛けに複数回巻き付けて固定した。タオル掛けは、棒状タイプのタオル掛けを用いた。固定箇所(連結部12A〜12Cがタオル掛けに連結する箇所)と壁との距離は50mmとした。図2に示す、開口部24の長さLは160mmとし、幅Wは1mmとした。
【0079】
[実施例2]
実施例1のタオル掛けを長方形状に変更し、固定箇所と壁との距離を10mmに変更したこと以外は、実施例1と同様とした。
【0080】
[実施例3]
図7に示す第2の実施形態に係る薄葉紙ホルダーを用いた。そして、ホルダー本体11の素材、素材の厚さ、開口部24の位置、シートの向き、連結箇所の数、タオル掛けの形状、固定箇所と壁との距離、開口部24の長さL、および幅Wは、実施例1と同様とした。
【0081】
[比較例1]
実施例2のタオル掛けと連結する連結部(タオル掛けとの連結箇所)の数を3つから1つに変更し、開口部24の幅Wを20mmに変更したこと以外は、実施例2と同様とした。なお、連結部は、補強部23の2カ所に紐を取り付け、S字状フックの下側に紐を引っかけた状態でS字状フックの上側をタオル掛けに取り付けた。
【0082】
[比較例2]
比較例1の開口部24の幅Wを1mmに変更したこと以外、比較例1と同様とした。
【0083】
[比較例3]
実施例1のホルダー本体11の素材を布生地に代えて厚さが210μm程度のプラスチック(ポリエチレン製)に変更した。そして、開口部24の位置を前面部としてホルダー本体11の内部のシートの取り出し方向を前面部側とし、タオル掛けとの連結箇所の数を1つとし、開口部24の長さLは180mmとし、幅Wは20mmとしたこと以外は、実施例1と同様とした。連結部は、ホルダー本体11の上面部11eの2カ所に紐を取り付け、S字状フックの下側に紐を引っかけた状態でS字状フックの上側をタオル掛けに取り付けた。
【0084】
[比較例4]
実施例1のホルダー本体11の素材の厚さを430μm程度とし、開口部24の位置を前面部とし、ホルダー本体11は内部のシートが縦置きとなるようにし、タオル掛けとの連結箇所の数を1つとしたこと以外は、実施例1と同様とした。連結部は、ホルダー本体11の上側の2カ所に紐を取り付け、S字状フックの下側に紐を引っかけた状態でS字状フックの上側をタオル掛けに取り付けた。
【0085】
各実施例および比較例のホルダー本体11の素材、素材の厚さ、開口部24の位置、シートの向き、タオル掛けとの連結箇所の数、タオル掛けの形状、固定箇所と壁との距離、開口部24の長さL、および幅Wを表1に示す。
【0086】
<評価>
各実施例および比較例の薄葉紙ホルダーを用いて、以下の評価を行った。
[シートを引っ張る力]
シートの下端にクリップをつけて、クリップにデジタルフォースゲージ(22−20N、IMADA社製)を引っかけた後、60cm/秒の速度でシートを下方向に引っ張り、シートを引っ張る力を測定した。測定は3回行い、その平均値を求めた。
[左右に揺れる角度]
シートをホルダー本体11の開口部24から引っ張った時に、ホルダー本体11の幅方向Xにおいて、ホルダー本体11が水平方向に対して傾いた角度を測定した。
[前後に揺れる角度]
シートをホルダー本体11の開口部24から引っ張った時に、ホルダー本体11の奥行き方向Yにおいて、ホルダー本体11が水平方向に対して傾いた角度を測定した。
[最後の1枚までの取出し]
シートがホルダー本体11の中に落ち込まず、最後までポップアップ式に1枚ずつ取出すことができるか確認した。シートを最後の1枚までポップアップ式に1枚ずつ取出すことができた場合を○印とし、それ以外は×印とした。
[取出しやすさ]
シートをホルダー本体11の開口部24から取り出した際の取り出しやすさを以下の指標に基づいて確認した。
○:ホルダー本体11が揺れにくく、取り出す時に力が要らない
△:ホルダー本体11が揺れる、またはシートを取り出す時に力がいる
×:ホルダー本体11が揺れ、かつシートを取り出す時に力がいる
【0087】
各実施例および比較例の薄葉紙ホルダーのそれぞれの上記の評価結果を表1に示す。
【0088】
【表1】
【0089】
実施例1〜3の薄葉紙ホルダーは、いずれも、ホルダー本体11は揺れにくく、シートを取り出す時も力が要らないことが確認された。一方、比較例1〜4の薄葉紙ホルダーは、いずれも、少なくともホルダー本体11が揺れるかシートを取り出す時に力が必要であり、シートが取出し難いことが確認された。よって、本実施形態に係る薄葉紙ホルダーを用いれば、ホルダー本体11内のシートを最後まで取り出し易い状態で使用することができるといえる。
【符号の説明】
【0090】
10A、10B 薄葉紙ホルダー
11 ディスペンサー(ホルダー本体)
11b 背面部
11c 底面部
12A〜12C 連結部
13A〜13C タオル掛け
21 収容部
22 蓋部
24 開口部
41、51 支持部
L1〜L3 距離
T ティシュペーパー
X 幅方向
Y 奥行き方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12