(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記報知情報提供部は、前記報知情報が示す位置に最も近く且つ他の係員の業務の補助が可能であると判定した係員の所持する前記携帯端末を前記報知情報を送信する前記携帯端末として特定する請求項3に記載の情報提供装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら情報提供装置について詳細に説明する。
図1は、実施形態に係る情報提供システム1の例について説明する為の説明図である。情報提供システム1は、屋内の施設において、端末(携帯端末)に種々の情報提供を行うシステムである。本実施形態では、情報提供システム1は、鉄道などの駅において、駅員の所持する端末に種々の情報提供を行うものとして説明するが、この構成に限定されない。情報提供システム1は、端末に情報を提供する構成であれば如何なるものであってもよい。
【0009】
情報提供システム1は、運行管理サーバ2、複数の携帯端末3、及び複数の情報提供装置4を備える。また、情報提供システム1は、基準位置送信機5、及びカメラ6をさらに備える。
【0010】
運行管理サーバ2は、鉄道における列車の運行の状態を示す情報を取得し、列車の運行の状態に応じた情報を情報提供装置4に送信する。列車は、複数のドアを有する車両が複数連結されたものである。運行管理サーバ2は、列車の到着前に、列車が到着すること示す通知(運行情報)を情報提供装置4に送信する。
【0011】
携帯端末3は、駅員が携帯する情報端末である。携帯端末3は、例えば駅員の身体に装着されるウェアラブル端末であっても良い。携帯端末3は、情報提供装置4及び基準位置送信機5と無線通信を行うことができるように構成されている。携帯端末3は、情報提供装置4から提供された情報を駅員に報知する。
【0012】
情報提供装置4は、情報提供システム1内の各携帯端末3と通信する。例えば、情報提供装置4は、携帯端末3に後述する報知情報を提供(送信)する。
【0013】
基準位置送信機5は、自身が設置された場所(基準位置)を示す情報(基準位置情報)を周期的に空間中に電波、または光などによって送信する。これにより、基準位置送信機5は、通信可能範囲内の携帯端末3に基準位置情報を送信する。基準位置送信機5は、例えば駅構内またはホーム上に設置される。
【0014】
カメラ6は、自身が設置された場所付近の画像を取得し、取得した画像を情報提供装置4に送信する。カメラ6は、例えば駅構内またはホーム上に設置される。
【0015】
図2は、実施形態に係る携帯端末3の構成例について説明するための説明図である。
【0016】
携帯端末3は、撮像部11、マイク12、表示部13、スピーカ14、振動部15、操作部16、歩行センサ17、時計部18、通信部19、CPU20、ROM21、RAM22、及び不揮発性メモリ23を備える。
【0017】
撮像部11は、光を電気信号に変換して画像データを取得する撮像素子と、撮像素子に光を結像させる光学系とを備える。撮像部11は、取得した画像データをRAM22または不揮発性メモリ23に保存する。
【0018】
マイク12は、音声を電気信号に変換して音声データを取得するマイクである。マイク12は、取得した音声データをRAM22または不揮発性メモリ23に保存する。
【0019】
表示部13は、表示用の画面データに基づいて画面を表示する。表示部13は、CPU20の制御に基づいて画面を表示することにより、種々の情報を駅員に報知する報知部として機能する。表示部13は、表示装置と、画面データに基づいて画面を表示装置に表示させる駆動回路と、を備える。表示装置は、例えば例えば液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、または他のディスプレイなどにより構成される。
【0020】
スピーカ14は、出力用の音声データに基づいて音声を出力する。スピーカ14は、CPU20の制御に基づいて音声を出力することにより、種々の情報を駅員に報知する報知部として機能する。
【0021】
振動部15は、CPU20の制御に基づいて振動する部材である。振動部15は、CPU20の制御に基づいて振動することにより、種々の情報を駅員に報知する報知部として機能する。
【0022】
操作部16は、駅員が携帯端末3の各種の操作を行うための複数の操作部材を備える。操作部材は、例えば、電源ボタン、タッチセンサ、及びテンキーなどの種々の操作部材を含む。操作部16は、操作部材の操作に応じた信号をCPU20に入力する。電源ボタンは、携帯端末3の電源をオンする為のボタンである。タッチセンサは、駅員にタッチ操作を行わせる為の操作部材である。タッチセンサは、ある領域内において指定された位置を示す情報を取得する。タッチセンサは、上記の表示部13の表示装置と一体にタッチパネルとして構成されることにより、表示装置に表示された画面上のタッチされた位置を示す信号をCPU20に入力する。
【0023】
歩行センサ17は、携帯端末3の位置及び向きの変化を逐次検出するセンサである。歩行センサ17は、携帯端末3の位置及び向きの変化の検出結果をRAM22または不揮発性メモリ23に保存する。歩行センサ17は、例えば、携帯端末3の筐体の回転運動を検出する角速度センサ、及び携帯端末3の筐体の重力方向に対する向き、及び筐体の変位を検出する加速度センサなどを備える。さらに、歩行センサ17は、例えば、地磁気センサを備えていてもよい。またさらに、歩行センサ17は、気圧計を備えていてもよい。
【0024】
時計部18は、時刻を計るものである。時計部18は、現在時刻、または経過時間などの時間に関する情報をCPU20に供給する。
【0025】
通信部19は、他の機器と通信する為のインタフェースである。通信部19は、他の機器と無線通信する為の通信回路を備える。通信回路は、例えばBluetooth(登録商標)、またはWi−Fi(登録商標)などの規格に応じて他の機器と無線通信を行う為のアンテナ及び信号処理回路を備えるものである。通信部19は、少なくとも情報提供装置4及び基準位置送信機5とアンテナを介して通信する。
【0026】
CPU20は、演算処理を実行する演算素子(たとえば、プロセッサ)である。CPU20は、ROM21または不揮発性メモリ23に記憶されているプログラムなどのデータに基づいて種々の処理を行う。CPU20は、ROM21または不揮発性メモリ23に格納されているプログラムを実行することにより、種々の動作を実行可能な制御部として機能する。
【0027】
ROM21は、読み出し専用の不揮発性メモリである。ROM21は、プログラム及びプログラムで用いられるデータなどを記憶する。
【0028】
RAM22は、ワーキングメモリとして機能する揮発性のメモリである。RAM22は、CPU20の処理中のデータなどを一時的に格納する。また、RAM22は、CPU20が実行するプログラムを一時的に格納する。
【0029】
不揮発性メモリ23は、不揮発性メモリ23は、種々の情報を記憶可能な記憶媒体である。不揮発性メモリ23は、プログラム及びプログラムで用いられるデータなどを記憶する。不揮発性メモリ23は、例えば、半導体メモリ、または他の記憶装置である。なお、不揮発性メモリ23の代わりに、メモリカードなどの記憶媒体を挿入可能なカードスロットなどのメモリI/Fが設けられていてもよい。
【0030】
CPU20は、駅構内またはホーム上に設置された基準位置送信機5の通信可能範囲に進入した場合、通信部19を介して基準位置送信機5から基準位置情報を取得する。
【0031】
また、携帯端末3のCPU20は、歩行センサ17の検出結果を所定単位の時間毎にRAM22または不揮発性メモリ23に保存する。これにより、CPU20は、携帯端末3の位置及び向きの変化の検出結果の履歴(検出履歴)を生成する。
【0032】
CPU20は、通信部19を介して、検出履歴と、基準位置情報とを情報提供装置4に送信する。CPU20は、例えば所定の周期で検出履歴及び基準位置情報を情報提供装置4に送信する。また、CPU20は、情報提供装置4からの要求に応じて検出履歴及び基準位置情報を情報提供装置4に送信する構成であってもよい。また、CPU20は、例えば不揮発性メモリ23またはROM21などに携帯端末3の識別情報が記憶されている場合、識別情報を検出履歴及び基準位置情報と共に情報提供装置4に送信してもよい。
【0033】
また、CPU20は、情報提供装置4から報知情報を受け取った場合、受け取った報知情報を駅員に報知する。例えば、CPU20は、情報提供装置4から報知情報を受け取った場合、表示部13に画面を表示させる、スピーカ14に音声を出力させる、または振動部15を振動させることにより、駅員に報知情報を報知する。
【0034】
なお、携帯端末3は、ウェアラブル端末に限られない。携帯端末3の位置及び向きの変化の検出、基準位置情報の取得、及び駅員に対する情報の報知を行うことができる構成であれば、如何なる構成であってもよい。
【0035】
図3は、実施形態に係る情報
提供装置4の構成例について説明するための説明図である。情報提供装置4は、携帯端末3に種々の報知情報を提供する。情報提供装置4は、駅毎に設けられる。情報提供装置4は、ネットワークNを介して運行管理サーバ2と通信を行うことができる。また、情報提供装置4は、携帯端末3と無線通信を行うことができる。また、情報提供装置4は、ネットワークNを介して他の情報提供装置4と通信を行うことができる。
【0036】
情報
提供装置4は、表示部31、操作部32、時計部33、通信部34、CPU35、ROM36、RAM37、及び不揮発性メモリ38を備える。
【0037】
表示部31は、表示用の画面データに基づいて画面を表示する。表示部31は、CPU35の制御に基づいて画面を表示することにより、情報を駅員に報知する。表示部31は、表示装置と、画面データに基づいて画面を表示装置に表示させる駆動回路と、を備える。表示装置は、例えば例えば液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、または他のディスプレイなどにより構成される。
【0038】
操作部32は、駅員が携帯端末3の各種の操作を行うための複数の操作部材を備える。操作部材は、例えば、電源ボタン、タッチセンサ、キーボード、及びテンキーなどの種々の操作部材を含む。操作部32は、操作部材の操作に応じた信号をCPU35に入力する。
【0039】
時計部33は、時刻を計るものである。時計部33は、現在時刻、または経過時間などの時間に関する情報をCPU35に供給する。
【0040】
通信部34は、他の機器と通信する為のインタフェースである。通信部34は、他の機器と電気的に接続する為の端子、または、他の機器と無線通信する為の通信回路を備える。端子は、例えば、USB端子、LANコネクタ、または他の何らかの有線接続用の端子である。通信回路は、例えばBluetooth(登録商標)、またはWi−Fi(登録商標)などの規格に応じて他の機器と無線通信を行う為のアンテナ及び信号処理回路を備えるものである。通信部34は、少なくとも携帯端末3とアンテナ及びルータなどを介して通信する。
【0041】
CPU35は、演算処理を実行する演算素子(たとえば、プロセッサ)である。CPU35は、ROM36または不揮発性メモリ38に記憶されているプログラムなどのデータに基づいて種々の処理を行う。CPU35は、ROM36または不揮発性メモリ38に格納されているプログラムを実行することにより、種々の動作を実行可能な制御部として機能する。
【0042】
ROM36は、読み出し専用の不揮発性メモリである。ROM36は、プログラム及びプログラムで用いられるデータなどを記憶する。
【0043】
RAM37は、ワーキングメモリとして機能する揮発性のメモリである。RAM37は、CPU35の処理中のデータなどを一時的に格納する。また、RAM37は、CPU35が実行するプログラムを一時的に格納する。
【0044】
不揮発性メモリ38は、不揮発性メモリ38は、種々の情報を記憶可能な記憶媒体である。不揮発性メモリ38は、プログラム及びプログラムで用いられるデータなどを記憶する。不揮発性メモリ38は、例えば、半導体メモリ、または他の記憶装置である。なお、不揮発性メモリ38の代わりに、メモリカードなどの記憶媒体を挿入可能なカードスロットなどのメモリI/Fが設けられていてもよい。
【0045】
情報提供装置4のCPU35は、ROM36または不揮発性メモリ38などに記憶されているプログラムを実行することによって、位置推定処理、状態推定処理、報知情報生成処理、及び情報提供処理を実行する。
【0046】
位置推定処理は、携帯端末3を所持する駅員の現在位置を推定する処理である。CPU35は、通信部34を介して携帯端末3から検出履歴、基準位置情報、及び識別情報などを取得する。さらに、CPU35は、基準位置情報が示す基準位置から携帯端末3を所持する駅員がどのように移動したのかを検出履歴に基づいて推定する。即ち、CPU35は、検出履歴に基づいて、所定時間毎の携帯端末3の位置の変化量、及び向きの変化量を算出する。CPU35は、算出結果に応じて、携帯端末3の位置及び向きを推定する。これにより、CPU35は、携帯端末3を所持する駅員の現在位置を推定する。CPU35は、位置推定処理を携帯端末3の識別情報毎に行う。これにより、CPU35は、複数の携帯端末3のそれぞれの現在位置を推定することができる。さらに、不揮発性メモリ38に駅の地図などのデータが保存されている場合、CPU35は、地図のデータを用いて携帯端末の現在位置の推定結果を補正してもよい。
【0047】
状態推定処理は、携帯端末3を所持する駅員の状態を推定する処理である。CPU35は、駅員の状態として、所定の業務が適切に実行されているか否かを推定する。例えば、CPU35は、携帯端末3から取得した検出履歴及び位置推定処理により推定された携帯端末3を所持する駅員の現在位置に基づいて、駅員の状態を推定する。
【0048】
具体的には、CPU35は、駅毎の駅員の勤務のスケジュールを示す情報である駅員勤務情報を運行管理サーバ2、または他の機器などから取得する。CPU35は、駅員勤務情報を参照することにより、駅員毎に定められた当日の業務を認識する。業務は、例えば、「列車の進入確認」、「ホーム上の安全確認」、「改札業務」、「インフォメーション」などの種々のものがある。なお、各業務は、予め駅構内またはホーム上における位置がそれぞれ定められている。また、各業務は、それぞれ所定の行動のパターンが定められている。具体的には、「列車の進入確認」の業務では、ホーム上の所定の位置において、指さし確認などの行動を行うことが定められている。
【0049】
CPU35は、位置推定処理により推定された携帯端末3を所持する駅員の現在位置が、定められた業務に対応する位置であるか否か判断する。また、CPU35は、携帯端末3から取得した検出履歴が、定められた業務に対応するパターンであるか否か判断する。具体的には、CPU35は、位置推定処理により推定された携帯端末3を所持する駅員の現在位置が、「列車の進入確認」の業務に対応するホーム上の所定の位置であるか否か判断し、且つ携帯端末3から取得した検出履歴が、「列車の進入確認」の業務の指さし確認に対応するパターンのものであるか否か判断する。
【0050】
CPU35は、位置推定処理により推定された携帯端末3を所持する駅員の現在位置が、定められた業務に対応する位置ではないと判断した場合、または、携帯端末3から取得した検出履歴が、定められた業務に対応するパターンではないと判断した場合、所定の業務が適切に実行されていないと判断する。言い換えると、CPU35は、位置推定処理により推定された携帯端末3を所持する駅員の現在位置が、定められた業務に対応する位置であると判断し、且つ携帯端末3から取得した検出履歴が、定められた業務に対応するパターンであると判断した場合、所定の業務が適切に実行されていると判断する。
【0051】
報知情報生成処理は、携帯端末3を所持する駅員に報知する報知情報を生成する処理である。報知情報は、駅員に報知する情報であって、例えば何らかの対応の指示、または連絡事項などを含む。報知情報は、例えば、業務を実行していない係員のフォローを行う指示と、フォローを行う位置とを示す情報である。
【0052】
CPU35は、上記の状態推定処理において、所定の業務が適切に実行されていないと判断した場合、他の駅員の携帯端末3に対して実行されていない業務のフォローに入ることを指示する情報、及びフォロー先の位置を示す報知情報を生成する。
【0053】
情報提供処理は、報知情報を携帯端末3に送信する処理である。CPU35は、報知情報生成処理により生成した報知情報が示す位置(即ちフォロー業務を行う位置)と、位置推定処理の結果と、状態推定処理の結果とに基づいて、報知情報を送信する携帯端末3を決定する。CPU35は、決定した携帯端末3に報知情報を送信する。
【0054】
例えば、CPU35は、携帯端末3を所持する駅員毎に、他の駅員の業務のフォローが可能か否か(フォロー可否)を判断する。CPU35は、例えば、業務毎に予め設定された重要度に応じて、携帯端末3を所持する駅員のフォロー可否を判断する。例えば、CPU35は、重要度が所定値未満である業務を行っている駅員をフォロー可と判断する。また、CPU35は、近くに同様の業務を行っている駅員がいるか否かに応じてフォロー可否を判断してもよい。また、CPU35は、ある駅員が行っている業務をさらに他の駅員にフォローさせることにより、駅員をさらに他の業務のフォローに向かわせてもよい。なお、CPU35は、例えば、同じ業務を行っている駅員が近くに複数いる場合に重要度を低く換算してもよいし、時間帯に応じて重要度を変更してもよい。
【0055】
CPU35は、フォロー先の位置に近く、且つフォロー可否が可である駅員の携帯端末3に対して報知情報を送信する。また、CPU35は、フォロー先の位置に最も近く且つフォロー可否が可である駅員の所持する携帯端末3に報知情報を送信するのではなく、フォロー先の位置に近い順に複数の携帯端末3に報知情報を送信する構成であってもよい。
【0056】
情報提供装置4は、自身が設置された駅において運用されている携帯端末3と予め対応付けられる。情報提供装置4は、対応付けられた携帯端末3からの情報に基づいて、上記の位置推定処理及び状態推定処理を逐次実行する。これにより、CPU35は、携帯端末3を所持する駅員の現在位置及び状態を逐次把握する。さらに、CPU35は、駅員に報知すべき情報がある場合、上記の報知情報生成処理及び情報提供処理を実行する。これにより、CPU35は、報知情報を生成し、生成した報知情報の送信先を決定し、決定した携帯端末3に報知情報を送信する。
【0057】
なお、情報提供装置4は、複数の駅毎に設けられ、この複数の駅において運用されている携帯端末3と予め対応付けられる構成であってもよい。
【0058】
図4は、列車が停車する駅のホーム41上の状態について説明する為の説明図である。また、
図5は、
図4に示す例における各駅員の位置、及び状態を示すテーブルの例を示す。情報提供装置4は、例えば不揮発性メモリ38またはRAM37などに
図5のテーブルを保存する。
【0059】
図4に示されるように、ホーム上には、基準位置送信機5、及びカメラ6が設けられている。また、ホーム上には、携帯端末3A(端末ID:XXXA)を有する駅員、携帯端末3B(端末ID:XXXB)を有する駅員、携帯端末3C(端末ID:XXXC)を有する駅員がいる。また、駅構内には、図示されない携帯端末(端末ID:XXXD〜XXXF)を有する駅員がいるとする。情報提供装置4のCPU35は、位置推定処理及び状態推定処理を行うことにより、携帯端末毎に処理予定の業務、処理予定の業務が適切に実行されているか否かを示す処理結果、現在位置、及びフォロー可否を判断し、
図5のテーブルを逐次更新する。
【0060】
例えば、CPU35は、処理予定の業務が適切に実行されていると判断した場合、処理結果を「OK」に設定する。また、CPU35は、処理予定の業務が適切に実行されていないと判断した場合、処理結果を「OK」から「NG」に設定する。
【0061】
また、CPU35は、位置推定処理の結果に応じて、現在位置を逐次更新する。現在位置は、例えば、「1F」及び「2F」などのフロアを示す情報と、水平面上のある第1軸上における位置を示す情報と、水平面上にあり且つ第1軸と直交する方向の第2軸上における位置を示す情報と、が組み合わされて構成される。
【0062】
また、CPU35は、状態推定処理の結果に応じて、フォロー可否を逐次更新する。
【0063】
CPU35は、
図5のテーブルを参照し、「NG」の処理結果が生じていないか否か判断する。CPU35は、「NG」の処理結果が生じた場合、他の駅員にフォローを求める報知情報を生成し、近くのフォロー可能な駅員の所持する携帯端末3に報知情報を送信する。
【0064】
次に、具体的に業務のフォローを他の駅員に求める際の情報提供装置4の動作について
図4及び
図5の例を用いて説明する。
【0065】
CPU35は、運行管理サーバ2から運行情報を取得する。運行情報は、鉄道における列車の運行の状態を示す情報である。例えば、運行情報は、列車が到着する所定時間前であること示す。CPU35は、列車が到着する旨の運行情報を取得した場合、
図5のテーブルを参照し、各駅務端末3を所持する駅員が所定の業務を実行しているか否か判断する。また、CPU35は、予め定められた列車の発着の時刻を示すダイヤ情報を取得し、ダイヤ情報に基づき列車が到着する時刻を認識し、列車が到着する所定時間前に
図5のテーブルを参照し、各駅務端末3を所持する駅員が所定の業務を実行しているか否か判断する構成であってもよい。
【0066】
CPU35は、各駅務端末3を所持する駅員が所定の業務を実行しているか否か判断した結果、処理予定の業務として「ホーム上の安全確認」が割り当てられた、携帯端末3Bを有する駅員が、所定の業務を実行していないと判断したとする。この場合、CPU35は、携帯端末3Bを有する駅員が業務を行う予定だった位置と、「ホーム上の安全確認」の業務を補助(フォロー)することを指示する報知情報を生成する。
【0067】
さらに、CPU35は、携帯端末3Bを有する駅員が業務を行う予定だった位置に近く、且つフォロー可否が可である携帯端末3を特定する。
図4及び
図5の例によると、CPU35は、携帯端末3Cを特定する。CPU35は、特定した携帯端末3Cに対して報知情報を送信する。これにより、CPU35は、携帯端末3Cを所持する駅員に、携帯端末3Bを有する駅員のフォローを行わせる。
【0068】
上記したように、情報提供装置4は、複数の携帯端末3から送信される情報に基づいて、各携帯端末3を所持する係員の位置を推定する。また、情報提供装置4は、複数の携帯端末3から送信される情報に基づいて、各携帯端末3を所持する駅員が所定の業務を実行しているか否か判断する。所定の業務を実行されていないと判断した場合、情報提供装置4は、その場所に近い場所にいる駅員の携帯端末3に対して、業務のフォローを行うことの指示及びフォローする位置を示す報知情報を送信する。これにより、情報提供装置4は、所定の業務が実行されていない場合に近くの駅員に代わりに対応させる為の情報を提供することができる。
【0069】
また、情報提供装置4は、駅員の動きから駅構内またはホーム上における混雑状況を推定し、混雑状況に応じて駅員を混雑箇所に集めることを指示する報知情報を携帯端末3に対して送信する構成であってもよい。
【0070】
例えば、情報提供装置4のCPU35は、携帯端末3から取得した歩行センサ17の検出結果に基づいて、携帯端末3を所持する駅員付近の混雑状況を推定する。例えば、CPU35は、検出結果に基づいて、携帯端末3を所持する駅員の移動の頻度、移動の速さ、移動の距離、または走るなどの特定の動作を検出する。CPU35は、携帯端末3を所持する駅員の移動の頻度、移動の速さ、移動の距離、走るなどの特定の動作に基づいて混雑度を示すスコアを携帯端末3毎に算出する。CPU35は、スコアが所定の閾値を超えていない携帯端末3に対して、スコアが所定の閾値を超えた携帯端末3の近辺に集合することを指示する報知情報を送信する。これにより、CPU35は、混雑状況に応じて駅員を配分することができる。
【0071】
また、例えば、情報提供装置4のCPU35は、携帯端末3から取得した歩行センサ17の検出結果に基づいて、携帯端末3を所持する駅員に衝撃が加えられたか否かを推定してもよい。CPU35は、例えば、歩行センサ17の検出結果において、所定値以上の加速度が検出された場合、携帯端末3を所持する駅員が暴力を受けるまたは転倒するなどのなんらか異常が発生したと判断する。CPU35は、このような異常が発生したと判断した場合、異常の発生個所の近くの携帯端末3に異常が発生した箇所に向かう事を指示する報知情報を送信する。これにより、CPU35は、異常の確認を近くの駅員に行わせることができる。
【0072】
また、CPU35は、携帯端末3から取得した歩行センサ17の検出結果に基づいて、携帯端末3を所持する駅員の移動の軌跡を生成する構成であってもよい。このような軌跡を生成することによって、駅員が決まったルートで移動しているかを判断することができる。また、駅員の移動の軌跡は、移動のルートの最適化にも用いることができる。
【0073】
また、上記の実施形態では、CPU35は、携帯端末3から取得した歩行センサ17の検出結果に応じて、所定の業務が行われているか否か判断する構成であると説明したが、この構成に限定されない。情報提供装置4のCPU35は、何らかの検知結果に応じて所定の業務が行われているか否か判断する構成であってもよい。例えば、情報提供装置4のCPU35は、カメラ6から画像を取得し、取得した画像を解析することにより、携帯端末3を所持する駅員の動作を推定する構成であってもよい。例えば、CPU35は、携帯端末3の位置の推定結果と、カメラ6の設置位置とに基づいて、カメラ6から取得した画像に写る駅員を特定する。さらに、CPU35は、画像上での駅員の像に応じて、駅員が所定の業務を行っているか否か判断する構成であってもよい。またさらに、CPU35は、画像上での駅員の像に応じて、駅員が他の駅員のフォローに向かうことができる状態であるか否か判断する構成であってもよい。
【0074】
また、情報提供装置4は、駅員に割当てられた業務が他の駅員に引き継がれる場合、携帯端末3の位置に応じて業務の引き継ぎが正常に行われたか否か判断してもよい。例えば、情報提供装置4のCPU35は、業務の引き継ぎに関する2つの携帯端末の位置が入れ替わり、且つ位置の入れ替わり後に正常に所定の業務が行われたか否かを検出結果に基づいて判断する構成であってもよい。
【0075】
なお、上述の各実施の形態で説明した機能は、ハードウエアを用いて構成するに留まらず、ソフトウエアを用いて各機能を記載したプログラムをコンピュータに読み込ませて実現することもできる。また、各機能は、適宜ソフトウエア、ハードウエアのいずれかを選択して構成するものであっても良い。
【0076】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[C1]
複数の携帯端末から取得する情報に基づいて、各携帯端末を所持する係員の位置を推定する位置推定部と、
前記各携帯端末から送信される情報に基づいて、前記各携帯端末を所持する係員毎に割当てられた業務が実行されているか否かを推定する状態推定部と、
前記業務が実行されていない場合、業務を実行していない係員の補助を行う指示と、補助を行う位置とを示す報知情報を生成する報知情報生成部と、
前記報知情報が示す位置と、前記携帯端末を所持する係員の位置の推定結果とに基づいて、前記報知情報を送信する前記携帯端末を特定し、特定した前記携帯端末に対して前記報知情報を送信する報知情報提供部と、
を具備する情報提供装置。
[C2]
前記報知情報生成部は、前記各携帯端末を所持する係員毎に他の係員の業務の補助が可能か否かを判定し、
前記報知情報提供部は、他の係員の業務の補助が可能であると判定した係員の所持する前記携帯端末を前記報知情報を送信する前記携帯端末として特定するC1に記載の情報提供装置。
[C3]
前記報知情報提供部は、前記報知情報が示す位置に最も近く且つ他の係員の業務の補助が可能であると判定した係員の所持する前記携帯端末を前記報知情報を送信する前記携帯端末として特定するC2に記載の情報提供装置。
[C4]
前記状態推定部は、列車がホームに進入する毎に前記ホーム上の係員に割当てられた業務が実行されているか否かを推定するC1乃至3のいずれか1項に記載の情報提供装置。
[C5]
前記状態推定部は、前記各携帯端末から取得する情報に基づいて、前記各携帯端末を所持する係員の位置における混雑度を算出し、
前記報知情報生成部は、前記混雑度が予め設定された閾値以上になった場合、予め設定された閾値以上の前記混雑度が算出された位置における業務の補助を指示する報知情報を生成するC1に記載の情報提供装置。
[C6]
前記状態推定部は、前記各携帯端末から取得する情報に基づいて、前記各携帯端末を所持する係員に衝撃が加えられたか否かを推定し、
前記報知情報生成部は、係員に衝撃が加えられたと推定した場合、衝撃が加えられたと推定した係員の位置に向かう事を指示する報知情報を生成するC1に記載の情報提供装置。
[C7]
演算素子を備えるコンピュータにおいて実行される情報提供プログラムであって、
前記演算素子に、
複数の携帯端末から取得する情報に基づいて、各携帯端末を所持する係員の位置を推定することと、
前記各携帯端末から送信される情報に基づいて、前記各携帯端末を所持する係員毎に割当てられた業務が実行されているか否かを推定することと、
前記業務が実行されていない場合、業務を実行していない係員の補助を行う指示と、補助を行う位置とを示す報知情報を生成することと、
前記報知情報が示す位置と、前記携帯端末を所持する係員の位置の推定結果とに基づいて、前記報知情報を送信する前記携帯端末を特定し、特定した前記携帯端末に対して前記報知情報を送信することと、
を実行させる情報提供プログラム。