特許第6826079号(P6826079)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6826079ロック構造、電気接続箱及びワイヤハーネス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6826079
(24)【登録日】2021年1月18日
(45)【発行日】2021年2月3日
(54)【発明の名称】ロック構造、電気接続箱及びワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
   F16B 5/07 20060101AFI20210121BHJP
   H02G 3/14 20060101ALI20210121BHJP
   H02G 3/16 20060101ALI20210121BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20210121BHJP
   H05K 5/03 20060101ALI20210121BHJP
   F16B 5/06 20060101ALI20210121BHJP
【FI】
   F16B5/07 L
   H02G3/14
   H02G3/16
   B60R16/02 610A
   H05K5/03 D
   F16B5/06 P
【請求項の数】6
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2018-154901(P2018-154901)
(22)【出願日】2018年8月21日
(65)【公開番号】特開2020-29889(P2020-29889A)
(43)【公開日】2020年2月27日
【審査請求日】2019年10月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】特許業務法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】田代 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】和田 正弘
(72)【発明者】
【氏名】横山 椋一
【審査官】 熊谷 健治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−244647(JP,A)
【文献】 特開2015−115999(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 5/00− 5/12
B60R 16/02
H02G 3/00− 3/04
H05K 5/00− 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1係合部と、前記第1係合部を間に介在させるべく互いに対向配置させ、かつ、互いに同じ向きに延在させた第1及び第2の対向壁部と、を有し、相対回転軸を支点にした相対回転動作で互いに組み付けられていく2つの組付け部材の内の一方にて、前記相対回転軸の軸線方向に対する直交方向に向けて当該相対回転軸から離れた位置に、前記第1及び第2の対向壁部の対向配置方向と延在方向とに対する直交方向が前記相対回転軸の軸線方向と同じ向きを向くように配置した第1係合体と、
2つの前記組付け部材の組付けが完了しているときに前記第1係合部に係合させる第2係合部と、前記第2係合部を間に介在させるべく互いに対向配置させ、かつ、互いに同じ向きに延在させた第3及び第4の対向壁部と、を有し、2つの前記組付け部材の内の他方にて、前記相対回転軸の軸線方向に対する直交方向に向けて当該相対回転軸から離れた位置に、前記第3及び第4の対向壁部の対向配置方向と延在方向とに対する直交方向が前記相対回転軸の軸線方向と同じ向きを向くように配置した第2係合体と、
を備え、
前記第1係合体は、前記第1係合部と前記相対回転軸側の前記第1対向壁部との間の隙間から成る空間であり、前記第1係合部と前記第2係合部の係合が完了するまでの間、前記相対回転軸を支点にした前記相対回転軸側の前記第3対向壁部の前記第1係合体に対する相対回転を可能にする第1空間と、前記第1係合部と前記第2対向壁部との間の隙間から成る空間であり、前記第1係合部と前記第2係合部の係合が完了するまでの間、前記相対回転軸を支点にした前記第4対向壁部の前記第1係合体に対する相対回転を可能にする第2空間と、を有し、
前記第3対向壁部と前記第4対向壁部は、各々、前記第1係合部と前記第2係合部を係合させる際の前記相対回転軸の軸周りの進行方向側の端部を当該進行方向側に向けて前記第1係合部よりも突出させ、
前記第2係合体は、前記第3対向壁部の前記端部と前記第4対向壁部の前記端部との間の隙間から成る空間であり、前記第1係合部と前記第2係合部の係合が完了するまでの間、前記相対回転軸を支点にした前記第1係合部の前記第2係合体に対する相対回転を可能にする第3空間を有することを特徴としたロック構造。
【請求項2】
前記第1係合体では、2つの前記組付け部材の内の前記一方に対する前記第1係合部の位置を基準にして、前記第1及び第2の対向壁部の対向配置方向における前記第1係合部前記第1対向壁部との間の前記隙間の間隔を広げた前記第1空間を形成し、かつ、前記第1及び第2の対向壁部の対向配置方向における前記第1係合部前記第2対向壁部との間の前記隙間の間隔を広げた前記第2空間を形成することを特徴とした請求項1に記載のロック構造。
【請求項3】
前記第1係合部と前記第2係合部は、各々、互いに係合可能な爪状に形成することを特徴とした請求項1又は2に記載のロック構造。
【請求項4】
前記第2係合体では、2つの前記組付け部材の内の前記他方に対する前記第2係合部の位置を基準にして、前記第3及び第4の対向壁部の対向配置方向における前記第2係合部前記第3対向壁部との間の隙間の間隔を広げ、これにより前記第3対向壁部の前記端部と前記第4対向壁部の前記端部との間の前記隙間の間隔を広げた前記第3空間を形成することを特徴とした請求項3に記載のロック構造。
【請求項5】
電子部品を内方に収容する筐体を備え、
前記筐体は、相対回転軸を支点にした相対回転動作で互いに組み付けられていく2つの組付け部材と、2つの前記組付け部材を組付け状態のまま保持するロック構造と、を備え、
前記ロック構造は、
第1係合部と、前記第1係合部を間に介在させるべく互いに対向配置させ、かつ、互いに同じ向きに延在させた第1及び第2の対向壁部と、を有し、2つの前記組付け部材の内の一方にて、前記相対回転軸の軸線方向に対する直交方向に向けて当該相対回転軸から離れた位置に、前記第1及び第2の対向壁部の対向配置方向と延在方向とに対する直交方向が前記相対回転軸の軸線方向と同じ向きを向くように配置した第1係合体と、
2つの前記組付け部材の組付けが完了しているときに前記第1係合部に係合させる第2係合部と、前記第2係合部を間に介在させるべく互いに対向配置させ、かつ、互いに同じ向きに延在させた第3及び第4の対向壁部と、を有し、2つの前記組付け部材の内の他方にて、前記相対回転軸の軸線方向に対する直交方向に向けて当該相対回転軸から離れた位置に、前記第3及び第4の対向壁部の対向配置方向と延在方向とに対する直交方向が前記相対回転軸の軸線方向と同じ向きを向くように配置した第2係合体と、
を備え、
前記第1係合体は、前記第1係合部と前記相対回転軸側の前記第1対向壁部との間の隙間から成る空間であり、前記第1係合部と前記第2係合部の係合が完了するまでの間、前記相対回転軸を支点にした前記相対回転軸側の前記第3対向壁部の前記第1係合体に対する相対回転を可能にする第1空間と、前記第1係合部と前記第2対向壁部との間の隙間から成る空間であり、前記第1係合部と前記第2係合部の係合が完了するまでの間、前記相対回転軸を支点にした前記第4対向壁部の前記第1係合体に対する相対回転を可能にする第2空間と、を有し、
前記第3対向壁部と前記第4対向壁部は、各々、前記第1係合部と前記第2係合部を係合させる際の前記相対回転軸の軸周りの進行方向側の端部を当該進行方向側に向けて前記第1係合部よりも突出させ、
前記第2係合体は、前記第3対向壁部の前記端部と前記第4対向壁部の前記端部との間の隙間から成る空間であり、前記第1係合部と前記第2係合部の係合が完了するまでの間、前記相対回転軸を支点にした前記第1係合部の前記第2係合体に対する相対回転を可能にする第3空間を有することを特徴とした電気接続箱。
【請求項6】
電子部品と、
前記電子部品に対して電気的に接続された電線と、
前記電子部品及び前記電線を内方に収容し、前記電線を内方から外方へと引き出す筐体と、
を備え、
前記筐体は、相対回転軸を支点にした相対回転動作で互いに組み付けられていく2つの組付け部材と、2つの前記組付け部材を組付け状態のまま保持するロック構造と、を備え、
前記ロック構造は、
第1係合部と、前記第1係合部を間に介在させるべく互いに対向配置させ、かつ、互いに同じ向きに延在させた第1及び第2の対向壁部と、を有し、2つの前記組付け部材の内の一方にて、前記相対回転軸の軸線方向に対する直交方向に向けて当該相対回転軸から離れた位置に、前記第1及び第2の対向壁部の対向配置方向と延在方向とに対する直交方向が前記相対回転軸の軸線方向と同じ向きを向くように配置した第1係合体と、
2つの前記組付け部材の組付けが完了しているときに前記第1係合部に係合させる第2係合部と、前記第2係合部を間に介在させるべく互いに対向配置させ、かつ、互いに同じ向きに延在させた第3及び第4の対向壁部と、を有し、2つの前記組付け部材の内の他方にて、前記相対回転軸の軸線方向に対する直交方向に向けて当該相対回転軸から離れた位置に、前記第3及び第4の対向壁部の対向配置方向と延在方向とに対する直交方向が前記相対回転軸の軸線方向と同じ向きを向くように配置した第2係合体と、
を備え、
前記第1係合体は、前記第1係合部と前記相対回転軸側の前記第1対向壁部との間の隙間から成る空間であり、前記第1係合部と前記第2係合部の係合が完了するまでの間、前記相対回転軸を支点にした前記相対回転軸側の前記第3対向壁部の前記第1係合体に対する相対回転を可能にする第1空間と、前記第1係合部と前記第2対向壁部との間の隙間から成る空間であり、前記第1係合部と前記第2係合部の係合が完了するまでの間、前記相対回転軸を支点にした前記第4対向壁部の前記第1係合体に対する相対回転を可能にする第2空間と、を有し、
前記第3対向壁部と前記第4対向壁部は、各々、前記第1係合部と前記第2係合部を係合させる際の前記相対回転軸の軸周りの進行方向側の端部を当該進行方向側に向けて前記第1係合部よりも突出させ、
前記第2係合体は、前記第3対向壁部の前記端部と前記第4対向壁部の前記端部との間の隙間から成る空間であり、前記第1係合部と前記第2係合部の係合が完了するまでの間、前記相対回転軸を支点にした前記第1係合部の前記第2係合体に対する相対回転を可能にする第3空間を有することを特徴としたワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロック構造、電気接続箱及びワイヤハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、組付け対象となる2つの組付け部材を組付け状態のまま保つためのロック構造が知られている。そのロック構造は、2つの組付け部材の内の一方に設けた第1係合体と、その内の他方に設けた第2係合体と、を備える。このロック構造は、2つの組付け部材の組付けを完了させた際に、第1係合体の係合部と第2係合体の係合部とを互いに係合させることによって、その2つの組付け部材を組付け状態のまま保持させる。例えば、ロック構造は、電子部品を収容する電気接続箱、電子部品及び電線を収容し、外方に引き出されたその電線と共にワイヤハーネスを構成する電気接続箱等に適用される(下記の特許文献1)。電気接続箱においては、開口の周縁部同士を嵌め合わせる2つの嵌合部材が筐体の構成部品として設けられており、組付け部材としての2つの嵌合部材を嵌合状態のまま保つためにロック構造が用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−125173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、2つの組付け部材の間では、互いの組付け状態を保つに適した位置にロック構造が配置される。そこで、本発明は、その位置で2つの組付け部材の間の相対的な組付け動作に適応した係合動作を第1係合体と第2係合体とが行って、それぞれの係合部同士の係合を完了させることが可能なロック構造を提供することを、その目的とする。更に、本発明は、そのロック構造を備えた電気接続箱及びワイヤハーネスを提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明に係るロック構造は、第1係合体と第2係合体とを備える。第1係合体は、第1係合部と、前記第1係合部を間に介在させるべく互いに対向配置させ、かつ、互いに同じ向きに延在させた第1及び第2の対向壁部と、を有し、相対回転軸を支点にした相対回転動作で互いに組み付けられていく2つの組付け部材の内の一方にて、前記相対回転軸の軸線方向に対する直交方向に向けて当該相対回転軸から離れた位置に、前記第1及び第2の対向壁部の対向配置方向と延在方向とに対する直交方向が前記相対回転軸の軸線方向と同じ向きを向くように配置したものである。第2係合体は、2つの前記組付け部材の組付けが完了しているときに前記第1係合部に係合させる第2係合部と、前記第2係合部を間に介在させるべく互いに対向配置させ、かつ、互いに同じ向きに延在させた第3及び第4の対向壁部と、を有し、2つの前記組付け部材の内の他方にて、前記相対回転軸の軸線方向に対する直交方向に向けて当該相対回転軸から離れた位置に、前記第3及び第4の対向壁部の対向配置方向と延在方向とに対する直交方向が前記相対回転軸の軸線方向と同じ向きを向くように配置したものである。このロック構造において、前記第1係合体は、前記第1係合部と前記相対回転軸側の前記第1対向壁部との間の隙間から成る空間であり、前記第1係合部と前記第2係合部の係合が完了するまでの間、前記相対回転軸を支点にした前記相対回転軸側の前記第3対向壁部の前記第1係合体に対する相対回転を可能にする第1空間と、前記第1係合部と前記第2対向壁部との間の隙間から成る空間であり、前記第1係合部と前記第2係合部の係合が完了するまでの間、前記相対回転軸を支点にした前記第4対向壁部の前記第1係合体に対する相対回転を可能にする第2空間と、を有し、前記第3対向壁部と前記第4対向壁部は、各々、前記第1係合部と前記第2係合部を係合させる際の前記相対回転軸の軸周りの進行方向側の端部を当該進行方向側に向けて前記第1係合部よりも突出させ、前記第2係合体は、前記第3対向壁部の前記端部と前記第4対向壁部の前記端部との間の隙間から成る空間であり、前記第1係合部と前記第2係合部の係合が完了するまでの間、前記相対回転軸を支点にした前記第1係合部の前記第2係合体に対する相対回転を可能にする第3空間を有することを特徴としている。
【0006】
ここで、前記第1係合体では、2つの前記組付け部材の内の前記一方に対する前記第1係合部の位置を基準にして、前記第1及び第2の対向壁部の対向配置方向における前記第1係合部前記第1対向壁部との間の前記隙間の間隔を広げた前記第1空間を形成し、かつ、前記第1及び第2の対向壁部の対向配置方向における前記第1係合部前記第2対向壁部との間の前記隙間の間隔を広げた前記第2空間を形成することが望ましい。
【0007】
また、前記第1係合部と前記第2係合部は、各々、互いに係合可能な爪状に形成することが望ましい。
【0008】
また、前記第2係合体では、2つの前記組付け部材の内の前記他方に対する前記第2係合部の位置を基準にして、前記第3及び第4の対向壁部の対向配置方向における前記第2係合部前記第3対向壁部との間の隙間の間隔を広げ、これにより前記第3対向壁部の前記端部と前記第4対向壁部の前記端部との間の前記隙間の間隔を広げた前記第3空間を形成することが望ましい。
【0009】
また、上記目的を達成するため、本発明に係る電気接続箱は、電子部品を内方に収容する筐体を備え、前記筐体は、相対回転軸を支点にした相対回転動作で互いに組み付けられていく2つの組付け部材と、2つの前記組付け部材を組付け状態のまま保持するロック構造と、を備えている。前記ロック構造は、第1係合体と第2係合体とを備える。第1係合体は、第1係合部と、前記第1係合部を間に介在させるべく互いに対向配置させ、かつ、互いに同じ向きに延在させた第1及び第2の対向壁部と、を有し、2つの前記組付け部材の内の一方にて、前記相対回転軸の軸線方向に対する直交方向に向けて当該相対回転軸から離れた位置に、前記第1及び第2の対向壁部の対向配置方向と延在方向とに対する直交方向が前記相対回転軸の軸線方向と同じ向きを向くように配置したものである。第2係合体は、2つの前記組付け部材の組付けが完了しているときに前記第1係合部に係合させる第2係合部と、前記第2係合部を間に介在させるべく互いに対向配置させ、かつ、互いに同じ向きに延在させた第3及び第4の対向壁部と、を有し、2つの前記組付け部材の内の他方にて、前記相対回転軸の軸線方向に対する直交方向に向けて当該相対回転軸から離れた位置に、前記第3及び第4の対向壁部の対向配置方向と延在方向とに対する直交方向が前記相対回転軸の軸線方向と同じ向きを向くように配置したものである。この電気接続箱において、前記第1係合体は、前記第1係合部と前記相対回転軸側の前記第1対向壁部との間の隙間から成る空間であり、前記第1係合部と前記第2係合部の係合が完了するまでの間、前記相対回転軸を支点にした前記相対回転軸側の前記第3対向壁部の前記第1係合体に対する相対回転を可能にする第1空間と、前記第1係合部と前記第2対向壁部との間の隙間から成る空間であり、前記第1係合部と前記第2係合部の係合が完了するまでの間、前記相対回転軸を支点にした前記第4対向壁部の前記第1係合体に対する相対回転を可能にする第2空間と、を有し、前記第3対向壁部と前記第4対向壁部は、各々、前記第1係合部と前記第2係合部を係合させる際の前記相対回転軸の軸周りの進行方向側の端部を当該進行方向側に向けて前記第1係合部よりも突出させ、前記第2係合体は、前記第3対向壁部の前記端部と前記第4対向壁部の前記端部との間の隙間から成る空間であり、前記第1係合部と前記第2係合部の係合が完了するまでの間、前記相対回転軸を支点にした前記第1係合部の前記第2係合体に対する相対回転を可能にする第3空間を有することを特徴としている。
【0010】
また、上記目的を達成するため、本発明に係るワイヤハーネスは、電子部品と、前記電子部品に対して電気的に接続された電線と、前記電子部品及び前記電線を内方に収容し、前記電線を内方から外方へと引き出す筐体と、を備え、前記筐体は、相対回転軸を支点にした相対回転動作で互いに組み付けられていく2つの組付け部材と、2つの前記組付け部材を組付け状態のまま保持するロック構造と、を備えている。前記ロック構造は、第1係合体と第2係合体とを備える。第1係合体は、第1係合部と、前記第1係合部を間に介在させるべく互いに対向配置させ、かつ、互いに同じ向きに延在させた第1及び第2の対向壁部と、を有し、2つの前記組付け部材の内の一方にて、前記相対回転軸の軸線方向に対する直交方向に向けて当該相対回転軸から離れた位置に、前記第1及び第2の対向壁部の対向配置方向と延在方向とに対する直交方向が前記相対回転軸の軸線方向と同じ向きを向くように配置したものである。第2係合体は、2つの前記組付け部材の組付けが完了しているときに前記第1係合部に係合させる第2係合部と、前記第2係合部を間に介在させるべく互いに対向配置させ、かつ、互いに同じ向きに延在させた第3及び第4の対向壁部と、を有し、2つの前記組付け部材の内の他方にて、前記相対回転軸の軸線方向に対する直交方向に向けて当該相対回転軸から離れた位置に、前記第3及び第4の対向壁部の対向配置方向と延在方向とに対する直交方向が前記相対回転軸の軸線方向と同じ向きを向くように配置したものである。このワイヤハーネスにおいて、前記第1係合体は、前記第1係合部と前記相対回転軸側の前記第1対向壁部との間の隙間から成る空間であり、前記第1係合部と前記第2係合部の係合が完了するまでの間、前記相対回転軸を支点にした前記相対回転軸側の前記第3対向壁部の前記第1係合体に対する相対回転を可能にする第1空間と、前記第1係合部と前記第2対向壁部との間の隙間から成る空間であり、前記第1係合部と前記第2係合部の係合が完了するまでの間、前記相対回転軸を支点にした前記第4対向壁部の前記第1係合体に対する相対回転を可能にする第2空間と、を有し、前記第3対向壁部と前記第4対向壁部は、各々、前記第1係合部と前記第2係合部を係合させる際の前記相対回転軸の軸周りの進行方向側の端部を当該進行方向側に向けて前記第1係合部よりも突出させ、前記第2係合体は、前記第3対向壁部の前記端部と前記第4対向壁部の前記端部との間の隙間から成る空間であり、前記第1係合部と前記第2係合部の係合が完了するまでの間、前記相対回転軸を支点にした前記第1係合部の前記第2係合体に対する相対回転を可能にする第3空間を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るロック構造においては、第1係合部と第2係合部の係合が完了するまで、第1空間の中で第3対向壁部が相対回転を行い、かつ、第2空間の中で第4対向壁部が相対回転を行う。よって、このロック構造においては、相対回転軸を支点にした相対回転の途中で第1係合体と第2係合体とが係止状態にならず、その第1係合体と第2係合体の相対回転を第1係合部と第2係合部とが係合状態になるまで継続させることができる。従って、本発明に係るロック構造は、相対回転軸を支点にした2つの組付け部材の相対回転動作に連動するものであるが、第1係合部と第2係合部の係合を完了させることができる。更に、本発明に係る電気接続箱及びワイヤハーネスは、そのロック構造を備えているので、このロック構造が奏する効果を同様に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施形態のロック構造、電気接続箱及びワイヤハーネスを示す斜視図である。
図2図2は、実施形態のロック構造、電気接続箱及びワイヤハーネスを別角度から見た斜視図である。
図3図3は、実施形態のロック構造及び電気接続箱を示す分解斜視図である。
図4図4は、係合完了状態のロック構造を示す斜視図である。
図5図5は、係合完了状態のロック構造を示す正面図である。
図6図6は、係合動作中のロック構造を示す斜視図である。
図7図7は、係合動作中のロック構造を示す正面図である。
図8図8は、相対回転軸となるロック構造側から見た係合完了状態のロック構造を示す側面図である。
図9図9は、図8のY1−Y1線断面図である。
図10図10は、係合動作中のロック構造について説明する断面図である。
図11図11は、第1係合体の斜視図である。
図12図12は、第2係合体の斜視図である。
図13図13は、図8のY2−Y2線断面図である。
図14図14は、図5のX−X線断面図である。
図15図15は、組み付けの変形形態について説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明に係るロック構造、電気接続箱及びワイヤハーネスの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0014】
[実施形態]
本発明に係るロック構造、電気接続箱及びワイヤハーネスの実施形態の1つを図1から図15に基づいて説明する。
【0015】
図1から図10の符号1は、本実施形態のロック構造を示す。また、図1及び図2の符号100と符号WHは、各々、そのロック構造1を備えた本実施形態の電気接続箱と、この電気接続箱100を備えた本実施形態のワイヤハーネスと、を示す。
【0016】
ロック構造1は、相対回転軸Pを支点にした相対回転動作で互いに組み付けられていく2つの組付け部材110,120(図1図2及び図4から図7)を組付け状態のまま保持するために、この2つの組付け部材110,120の間に設ける(図1から図10)。このロック構造1は、2つの組付け部材110,120の内の一方に設けた第1係合体10と、その内の他方に設けた第2係合体20と、を備える(図1から図10)。その第1係合体10と第2係合体20は、2つの組付け部材110,120の相対回転動作に連動して相対回転軸Pを支点にした相対回転を行い、2つの組付け部材110,120の組付けが完了することで互いを係合させるように形成する。そして、第1係合体10と第2係合体20は、2つの組付け部材110,120の組付けが完了しているときに、互いの係合状態が保たれて、その2つの組付け部材110,120が組付け状態のまま保持されるように形成する。
【0017】
ここで、2つの組付け部材110,120は、その相互間の組付けが完了するまでの相対回転動作の最中に、相対回転軸Pの軸位置が不変となるものであってもよく、相互間の相対的な位置に応じて相対回転軸Pの軸位置が変位するものであってもよい。また、2つの組付け部材110,120は、相対回転軸Pを支点にした相対回転動作だけで組み付けられていくものであってもよく、その相対回転動作の他に、この相対回転動作とは別の組付け動作で組み付けることができるものであってもよい。
【0018】
第1係合体10は、第1係合部11と、この第1係合部11を間に介在させるべく互いに対向配置させ、かつ、互いに同じ向きに延在させた第1及び第2の対向壁部12,13と、を有する(図4図6図9図10及び図11)。一方、第2係合体20は、2つの組付け部材110,120の組付けが完了しているときに第1係合部11に係合させる第2係合部21と、この第2係合部21を間に介在させるべく互いに対向配置させ、かつ、互いに同じ向きに延在させた第3及び第4の対向壁部22,23と、を有する(図6図9図10及び図12)。
【0019】
例えば、第1係合部11と第2係合部21は、その内の一方を爪状の爪部として形成し、その内の他方を爪部が引っ掛かる壁部として形成してもよい。その壁部には、例えば、2つの組付け部材110,120の組付けが完了しているときに爪部が進入する貫通孔又は溝又は切欠き等の周壁部を利用する。また、第1係合部11と第2係合部21は、各々、2つの組付け部材110,120の組付けが完了しているときに互いに係合可能な爪状に形成してもよい。
【0020】
第1及び第2の対向壁部12,13は、各々が板状の壁体として形成されたものであってよく、片体等における対向配置された両端の2つの壁部であってもよい。また、第3及び第4の対向壁部22,23は、各々が板状の壁体として形成されたものであってよく、片体等における対向配置された両端の2つの壁部であってもよい。
【0021】
第1係合体10は、2つの組付け部材110,120の内の一方にて、相対回転軸Pの軸線方向に対する直交方向に向けて当該相対回転軸Pから離れた位置に、第1及び第2の対向壁部12,13の対向配置方向と延在方向とに対する直交方向が相対回転軸Pの軸線方向と同じ向きを向くように配置する(図3から図5)。この第1係合体10においては、第1対向壁部12を相対回転軸P側に配置し、第2対向壁部13を第1対向壁部12よりも相対回転軸Pから離した位置に配置する。一方、第2係合体20は、2つの組付け部材110,120の内の他方にて、相対回転軸Pの軸線方向に対する直交方向に向けて当該相対回転軸Pから離れた位置に、第3及び第4の対向壁部22,23の対向配置方向と延在方向とに対する直交方向が相対回転軸Pの軸線方向と同じ向きを向くように配置する(図3から図5)。この第2係合体20においては、第3対向壁部22を相対回転軸P側に配置し、第4対向壁部23を第3対向壁部22よりも相対回転軸Pから離した位置に配置する。
【0022】
第1係合体10と第2係合体20は、第1係合部11と第2係合部21とが係合状態になるまで、相対回転軸Pを支点にした相対回転が行えるように形成する。つまり、第1係合体10と第2係合体20は、相対回転軸Pを支点にした相対回転の途中で係止状態とならないように形成する。そのために、第1係合体10は、第1係合部11と第1対向壁部12との間に設けた第1空間S1と、第1係合部11と第2対向壁部13との間に設けた第2空間S2と、を有する(図4図9図10及び図11)。
【0023】
第1空間S1とは、第1係合部11と第2係合部21の係合が完了するまでの間(つまり、第1係合部11と第2係合部21とが係合状態になるまでの間)、相対回転軸Pを支点にした第3対向壁部22の第1係合体10に対する相対回転を可能にするための空間のことである。この第1空間S1は、第1係合部11と第2係合部21の係合が完了するまでの間、第3対向壁部22を第1係合体10に接触させないように形成する。また、この第1空間S1は、第3対向壁部22が第1係合体10に接触したとしても、第1係合部11と第2係合部21の係合が完了するまで、第3対向壁部22の第1係合体10に対する相対回転を継続させるように形成してもよい。例えば、この場合には、第3対向壁部22と第1係合体10とが接触した際に、その双方又は何れか一方を撓ませることで、第3対向壁部22の第1係合体10に対する相対回転を継続させるようにしてもよい。
【0024】
例えば、第1係合体10では、2つの組付け部材110,120の内の一方に対する第1係合部11の位置を基準にして、第1及び第2の対向壁部12,13の対向配置方向における第1係合部11に対する第1対向壁部12の間隔を広げることで第1空間S1を形成すればよい。
【0025】
第2空間S2とは、第1係合部11と第2係合部21の係合が完了するまでの間、相対回転軸Pを支点にした第4対向壁部23の第1係合体10に対する相対回転を可能にするための空間のことである。この第2空間S2は、第1係合部11と第2係合部21の係合が完了するまでの間、第4対向壁部23を第1係合体10に接触させないように形成する。また、この第2空間S2は、第4対向壁部23が第1係合体10に接触したとしても、第1係合部11と第2係合部21の係合が完了するまで、第4対向壁部23の第1係合体10に対する相対回転を継続させるように形成してもよい。例えば、この場合には、第4対向壁部23と第1係合体10とが接触した際に、その双方又は何れか一方を撓ませることで、第4対向壁部23の第1係合体10に対する相対回転を継続させるようにしてもよい。
【0026】
例えば、第1係合体10では、2つの組付け部材110,120の内の一方に対する第1係合部11の位置を基準にして、第1及び第2の対向壁部12,13の対向配置方向における第1係合部11に対する第2対向壁部13の間隔を広げることで第2空間S2を形成すればよい。
【0027】
ここで、このロック構造1では、例えば、爪部たる第2係合部21を引っ掛けるための壁部として第1係合部11が形成されている場合、相対回転の途中で相対回転軸P側の第3対向壁部22が第1係合部11に引っ掛かってしまう可能性が低い。このため、第1係合部11に対する第1対向壁部12の間隔は、第1係合部11の形態に応じて設定すればよい。しかしながら、このロック構造1では、例えば、第1係合部11が爪部などのような突起として形成されている場合、第1係合体10に第1空間S1を設けるだけでは相対回転の途中で第3対向壁部22が第1係合部11に引っ掛かってしまう可能性がある。
【0028】
そこで、第2係合体20は、第3対向壁部22と第4対向壁部23との間に設け、第1係合部11と第2係合部21の係合が完了するまでの間、相対回転軸Pを支点にした第1係合部11の第2係合体20に対する相対回転を可能にする第3空間S3を有するように形成する(図9図10図12及び図14)。この第3空間S3は、第1係合部11と第2係合部21の係合が完了するまでの間、第1係合部11を第2係合体20に接触させないように形成する。また、この第3空間S3は、第1係合部11が第2係合体20に接触したとしても、第1係合部11と第2係合部21の係合が完了するまで、第1係合部11の第2係合体20に対する相対回転を継続させるように形成してもよい。例えば、この場合には、第1係合部11と第2係合体20とが接触した際に、その双方又は何れか一方を撓ませることで、第1係合部11の第2係合体20に対する相対回転を継続させるようにしてもよい。
【0029】
例えば、第2係合体20では、2つの組付け部材110,120の内の他方に対する第2係合部21の位置を基準にして、第3及び第4の対向壁部22,23の対向配置方向における第2係合部21に対する第3対向壁部22の間隔を広げることで第3空間S3を形成すればよい。
【0030】
以下に、第1係合体10と第2係合体20の具体例の1つを用いて本実施形態のロック構造1を詳述する。
【0031】
この例示では、2つの組付け部材110,120を合成樹脂等の絶縁性材料で成形し、第1係合体10と第2係合体20についても、合成樹脂等の絶縁性材料で成形する。よって、ここでは、2つの組付け部材110,120の内の一方に対して第1係合体10を一体成形し、その内の他方に対して第2係合体20を一体成形すればよい。この例示の2つの組付け部材110,120は、2箇所にロック構造1を備えている(図1図2及び図8)。
【0032】
ここでは、その2つの組付け部材110,120を電気接続箱100の筐体101の構成部品として例示する(図1から図3)。ここで例示する筐体101は、複数の筐体部材を互いに組み付けて形成される収容箱であり、例えば、電子部品EPを内方に収容する(図3)。この筐体101においては、その電子部品EPに対して電気的に接続された電線Weについても内方に収容されており、その電線Weが内方から外方に引き出される(図1及び図2)。電気接続箱100は、その電子部品EPや電線Weと共にワイヤハーネスWHを構成する。ここで、電子部品EPとは、例えば、リレー、ヒューズ等の回路保護部品、コネクタ、端子金具などのことを指している。本実施形態では、回路基板、電子制御ユニット(所謂ECU)等の電子機器についても、電子部品EPの一形態として考える。
【0033】
この例示の筐体101においては、一方の組付け部材110を第1筐体部材とし、他方の組付け部材120を第2筐体部材とする。よって、ここでは、一方の組付け部材110を「第1筐体部材110」と読み替え、他方の組付け部材120を「第2筐体部材120」と読み替える。第1筐体部材110は、両端を開口させた筒状の部材であり、所謂フレームのことを指している(図3)。また、第2筐体部材120は、第1筐体部材110の一方の開口を塞ぐ蓋部材であり、所謂アッパカバーのことを指している(図3)。この第2筐体部材120は、一端を閉塞させ且つ他端を開口させた筒状の部材であり、筒状の周壁部121を有する。第1筐体部材110と第2筐体部材120は、互いの開口部同士を嵌合させることによって、組付けが完了する。尚、第1筐体部材110の他方の開口は、所謂ロアカバーとしての第3筐体部材130で覆われる(図3)。
【0034】
この筐体101においては、第1筐体部材110における一方の開口部側の外壁面111に第1係合体10を配置し、第2筐体部材120の周壁部121における開口部側の外壁面121aに第2係合体20を配置する(図1から図5図7図9及び図10)。
【0035】
この例示の筐体101は、第1筐体部材110と第2筐体部材120との間の2箇所のロック構造1の他に、このロック構造1とは別構造のロック構造150を備えている(図1から図10)。そのロック構造150は、第1筐体部材110と第2筐体部材120との間の相対回転軸P側に配置する。このロック構造150は、第1筐体部材110に設けた第1係合体151と、第2筐体部材120に設けた第2係合体152と、を備える。このロック構造150は、第1筐体部材110と第2筐体部材120の組付けが完了しているときに、第1係合体151の第1係合部151aと第2係合体152の第2係合部152aとを係合させることによって、第1筐体部材110と第2筐体部材120を組付け状態のまま保持する(図13)。この筐体101においては、第1筐体部材110における一方の開口部側で且つ相対回転軸P側の外壁面111に第1係合体151を配置し、第2筐体部材120の周壁部121における開口部側で且つ相対回転軸P側の外壁面121aに第2係合体152を配置する。
【0036】
ここで、このロック構造150は、例えば、車両上下方向にて、ロック構造1よりも車両上方側に配置している。このため、作業者は、第1筐体部材110と第2筐体部材120とを組み付ける際に、ロック構造1の第1係合体10と第2係合体20とを係合させ始めるよりも先に、ロック構造150の第1係合体151と第2係合体152とを係合させ始める可能性がある。従って、作業者は、第1筐体部材110と第2筐体部材120とを組み付ける際に、そのロック構造150を支点にして第1筐体部材110と第2筐体部材120とを相対回転させる可能性がある。
【0037】
この例示の第1筐体部材110と第2筐体部材120は、その第1係合体151と第2係合体152の接触点を相対回転軸Pにして相対回転させる。第1係合体151と第2係合体152の接触点は、第1係合体151と第2係合体152とが最初に接触してから、第1筐体部材110と第2筐体部材120の相対回転の進行と共に第1係合部151aと第2係合部152aの係合が完了するまでの間、逐次変位する。よって、第1筐体部材110と第2筐体部材120との間においては、その相互間の相対的な位置に応じて相対回転軸Pの軸位置が変位する。
【0038】
ここで例示するロック構造1は、第1係合部11と第2係合部21を各々爪部として形成している。
【0039】
この例示の第1係合体10においては、第1及び第2の対向壁部12,13を各々板状に形成し、第1及び第2の対向壁部12,13に対して間隔を空けて第1係合部11を配置する。その第1及び第2の対向壁部12,13は、第1筐体部材110の外壁面111から各々同じ向きに突出させる。
【0040】
この例示の第1係合体10は、その第1及び第2の対向壁部12,13の間に配置した矩形の片部14を有する(図3から図7図11及び図14)。その片部14は、第1及び第2の対向壁部12,13の対向配置方向における一端を第1対向壁部12に連結させ、その対向配置方向における他端を第2対向壁部13に連結させる。この片部14は、その第1及び第2の対向壁部12,13の対向配置方向に沿って延在する第1及び第2の辺部14a,14bを有する(図11及び図14)。
【0041】
この第1係合体10においては、第1筐体部材110と第2筐体部材120を組み付ける際に、第1辺部14a側から第2係合体20に近づいていく。そこで、この第1係合体10においては、その第1辺部14aに第1係合部11を設ける。この第1係合体10においては、片部14の一方の平面14cと第1筐体部材110の外壁面111との間に隙間を設け、その隙間に第2係合体20を進入させる(図14)。よって、第1係合部11は、その片部14の第1辺部14aにおける一方の平面14cから突出させ、かつ、その第1辺部14aに沿って延在させた爪状に形成している(図11及び図14)。
【0042】
この第1係合体10においては、第1係合部11と第1対向壁部12との間が第1空間S1における第3対向壁部22の進入口となる。この例示の第1空間S1は、第1係合部11と第1対向壁部12との間の空間だけでなく、その第1係合部11と第1対向壁部12との間から第1対向壁部12に沿って第2辺部14bまで延在させている。この第1空間S1は、例えば、第1筐体部材110と第2筐体部材120との間での係合状態にある第1係合部11と第2係合部21の位置を設計の際に最初に設定し、その第1筐体部材110に対する第1係合部11の位置を基準にして、第1及び第2の対向壁部12,13の対向配置方向での第1係合部11に対する第1対向壁部12の間隔を設定する。つまり、第1空間S1は、第1対向壁部12を第1係合部11から離していき、先に示した第3対向壁部22の第1係合体10に対する相対回転が可能な空間となるように形成する。
【0043】
また、この第1係合体10においては、第1係合部11と第2対向壁部13との間が第2空間S2における第4対向壁部23の進入口となる。この例示の第2空間S2は、第1係合部11と第2対向壁部13との間の空間だけでなく、その第1係合部11と第2対向壁部13との間から第2対向壁部13に沿って第2辺部14bまで延在させている。この第2空間S2は、例えば、上記の如く設定した第1筐体部材110に対する第1係合部11の位置を基準にして、第1及び第2の対向壁部12,13の対向配置方向での第1係合部11に対する第2対向壁部13の間隔を設定する。つまり、第2空間S2は、第2対向壁部13を第1係合部11から離していき、先に示した第4対向壁部23の第1係合体10に対する相対回転が可能な空間となるように形成する。
【0044】
この例示の第2係合体20においては、第3及び第4の対向壁部22,23を各々板状に形成し、第3及び第4の対向壁部22,23に対して間隔を空けて第2係合部21を配置する。その第3及び第4の対向壁部22,23は、周壁部121の外壁面121aから各々同じ向きに突出させる。
【0045】
この例示の第2係合体20は、第3及び第4の対向壁部22,23の間に配置した可撓性を持つ矩形の片部24を有する(図3から図7図9図10図12及び図14)。その片部24は、第3及び第4の対向壁部22,23の対向配置方向に沿って延在する第1及び第2の辺部24a,24bと、第3及び第4の対向壁部22,23の延在方向に沿って延在する第3及び第4の辺部24c,24dと、を有する(図12)。
【0046】
この第2係合体20においては、第1筐体部材110と第2筐体部材120を組み付ける際に、第1辺部24a側から第1係合体10に近づいていく。そこで、この第2係合体20においては、第1辺部24a側を自由端とし且つ第2辺部24b側を固定端とする片持ち形状に片部24を形成し、その第1辺部24aに第2係合部21を設ける。この第2係合体20においては、片部24の第2辺部24b側を周壁部121の外壁面121aに固定し、片部24の一方の平面24eと周壁部121の外壁面121aとの間に隙間を設ける(図14)。この第2係合体20は、先に示したように、第1係合体10における片部14の一方の平面14cと第1筐体部材110の外壁面111との間に隙間に進入させる。よって、第2係合部21は、片部24の第1辺部24aにおける他方の平面24fから突出させ、かつ、その第1辺部24aに沿って延在させた爪状に形成している(図12及び図14)。
【0047】
この第2係合体20においては、第3対向壁部22と第4対向壁部23を自らの延在方向に沿って第1辺部24a及び第2係合部21よりも突出させる。よって、この第2係合体20においては、第3対向壁部22と第4対向壁部23のそれぞれの突出部分の間の空間を第3空間S3とする。その第3空間S3は、例えば、第1筐体部材110と第2筐体部材120との間での係合状態にある第1係合部11と第2係合部21の位置を設計の際に最初に設定し、その第2筐体部材120に対する第2係合部21の位置を基準にして、第3及び第4の対向壁部22,23の対向配置方向での第2係合部21及び片部24の第3辺部24cに対する第3対向壁部22の間隔を設定する。つまり、第3空間S3は、第3対向壁部22を第2係合部21及び片部24の第3辺部24cから離していき、先に示した第1係合部11の第2係合体20に対する相対回転が可能な空間となるように形成する。
【0048】
このロック構造1においては、相対回転軸Pを支点にした第1筐体部材110と第2筐体部材120との間の相対回転動作に連動して、第1係合体10と第2係合体20とが相対回転軸Pを支点にして相対回転を行う。その際、このロック構造1においては、第1係合体10と第2係合体20の相対回転と共に、第1空間S1に第3対向壁部22が相対回転軸Pを支点にして相対回転しながら進入し、かつ、第2空間S2に第4対向壁部23が相対回転軸Pを支点にして相対回転しながら進入し、かつ、第3空間S3に第1係合部11が相対回転軸Pを支点にして相対回転しながら進入する。そして、このロック構造1においては、第1係合部11と第2係合部21の係合が完了するまで、第1空間S1の中で第3対向壁部22が相対回転を行い、かつ、第2空間S2の中で第4対向壁部23が相対回転を行い、かつ、第3空間S3の中で第1係合部11が相対回転を行う。よって、このロック構造1においては、相対回転軸Pを支点にした相対回転の途中で第1係合体10と第2係合体20とが係止状態にならず、その第1係合体10と第2係合体20の相対回転を第1係合部11と第2係合部21とが係合状態になるまで継続させることができる。従って、このロック構造1は、相対回転軸Pを支点にした第1筐体部材110と第2筐体部材120との間の相対回転動作に連動するものであるが、第1係合部11と第2係合部21の係合を完了させることができる。
【0049】
ところで、この例示の第1筐体部材110と第2筐体部材120は、直線的な相対移動方向に沿って互いを相対移動させ、互いの開口部を近づけながら組み付けていくこともできる(図15)。そのような直線的な組付け動作で第1筐体部材110と第2筐体部材120とを組み付ける場合、ロック構造1においては、その組付け動作に沿って第1係合体10と第2係合体20とを直線的に相対移動させながら、第1係合部11と第2係合部21とを係合させる必要がある。
【0050】
そこで、この例示の第1係合体10においては、第1筐体部材110と第2筐体部材120の直線的な相対移動方向に対する直交方向に第1係合部11を延在させ、かつ、その相対移動方向に沿って第1及び第2の対向壁部12,13を延在させる。そして、この例示の第2係合体20においては、その相対移動方向に対する直交方向に第2係合部21を延在させ、かつ、その相対移動方向に沿って第3及び第4の対向壁部22,23を延在させる。このロック構造1においては、直線的な相対移動方向に沿って第1筐体部材110と第2筐体部材120とが組み付けられる際のガイド壁部として、一対の第1対向壁部12と第3対向壁部22を利用することができ、かつ、一対の第2対向壁部13と第4対向壁部23を利用することができる。
【0051】
このロック構造1は、第1筐体部材110と第2筐体部材120を直線的な相対移動方向に沿って組み付けることができるのであれば、その直線的な組付け動作に連動して、第1係合体10の第1係合部11と第2係合体20の第2係合部21の係合を完了させることができる。一方、このロック構造1は、例えば、第2筐体部材120の閉塞部分を覆う周辺部品が邪魔をして、第1筐体部材110と第2筐体部材120の直線的な組付け動作の実施が難しい場合でも、相対回転軸Pを支点にして第1筐体部材110と第2筐体部材120とを相対回転させることによって、第1係合体10の第1係合部11と第2係合体20の第2係合部21の係合を完了させることができる。
【0052】
以上示したように、本実施形態のロック構造1は、2つの組付け部材110,120の組付け動作に連動して、第1係合体10の第1係合部11と第2係合体20の第2係合部21の係合を完了させることができる。ここでは、2つの組付け部材110,120が相対回転軸Pを支点にした相対回転動作で組み付けられる場合であっても、また、2つの組付け部材110,120が直線的な組付け動作で組み付けられる場合であっても、第1係合部11と第2係合部21の係合を完了させることができる。従って、このロック構造1は、第1筐体部材110と第2筐体部材120の組付け作業性を向上させることができる。ここで、このロック構造1は、電気接続箱100やワイヤハーネスWHの構成要素の1つになっている。従って、本実施形態の電気接続箱100及びワイヤハーネスWHは、このロック構造1が奏する効果を同様に得ることができる。
【符号の説明】
【0053】
1 ロック構造
10 第1係合体
11 第1係合部
12 第1対向壁部
13 第2対向壁部
20 第2係合体
21 第2係合部
22 第3対向壁部
23 第4対向壁部
100 電気接続箱
101 筐体
110 組付け部材(第1筐体部材)
120 組付け部材(第2筐体部材)
EP 電子部品
P 相対回転軸
S1 第1空間
S2 第2空間
S3 第3空間
We 電線
WH ワイヤハーネス
図1
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