特許第6826114号(P6826114)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6826114
(24)【登録日】2021年1月18日
(45)【発行日】2021年2月3日
(54)【発明の名称】腐食防止剤及び水質調整剤
(51)【国際特許分類】
   C23C 22/62 20060101AFI20210121BHJP
   C23F 11/00 20060101ALI20210121BHJP
【FI】
   C23C22/62
   C23F11/00 F
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-523014(P2018-523014)
(86)(22)【出願日】2016年8月26日
(65)【公表番号】特表2018-534424(P2018-534424A)
(43)【公表日】2018年11月22日
(86)【国際出願番号】US2016048861
(87)【国際公開番号】WO2017078832
(87)【国際公開日】20170511
【審査請求日】2019年6月14日
(31)【優先権主張番号】62/250,932
(32)【優先日】2015年11月4日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591203428
【氏名又は名称】イリノイ トゥール ワークス インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン マイケル バジャー
【審査官】 ▲辻▼ 弘輔
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭57−120678(JP,A)
【文献】 特開平09−249978(JP,A)
【文献】 特開昭55−031144(JP,A)
【文献】 特開昭60−039171(JP,A)
【文献】 特開昭61−222629(JP,A)
【文献】 特開昭61−222630(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 22/00 − 22/86
C23F 11/00 − 11/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リポリリン酸ナトリウムである第1のリン酸塩と、リン酸二ナトリウムである第2のリン酸塩とを含み、前記第1のリン酸塩が、前記第2のリン酸塩に対して1〜4:1の重量比で存在し、前記第1のリン酸塩及び前記第2のリン酸塩が90総重量パーセント〜100総重量パーセントの量で存在し、任意の添加剤が0総重量パーセント〜10総重量パーセントで存在し、脱イオン水に1重量パーセントで溶解させた場合に9.5〜9.8のpHを有する、腐食防止特性を有する組成物。
【請求項2】
前記リン酸二ナトリウムが無水リン酸二ナトリウムである、請求項に記載の組成物。
【請求項3】
前記添加剤が、ケイ酸ナトリウム、金属塩化物、ケイ酸セラミック、シリカ、ポリマー又はpHバッファの少なくとも1種である、請求項に記載の組成物。
【請求項4】
前記pHバッファが存在する、請求項に記載の組成物。
【請求項5】
脱イオン水と、
前記脱イオン水に溶解される、1重量パーセントで存在する請求項1に記載の組成物と、
任意に、共溶媒、又はケイ酸ナトリウム、金属塩化物、ケイ酸セラミック、シリカ、ポリマー若しくはpHバッファの少なくとも1種の溶液添加剤と、
からなる、溶液。
【請求項6】
前記共溶媒が、ピリジン、ピペリジン、コリジン、エチレンジアミン、キノロン、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジグリコールアミン、ジイソプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール又はジエチレントリアミンの少なくとも1種である、請求項に記載の溶液。
【請求項7】
鉄含有金属を腐食から保護する方法であって、
前記金属を請求項に記載の溶液に曝露させることと、
前記金属の腐食を経時的にモニタリングして、前記金属の保護を確実にすることと、
を含む、方法。
【請求項8】
前記モニタリングが、前記金属の腐食が予め選択した閾値を超えることを指し示す場合に、前記溶液を補充することを更に含む、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本願は、2015年11月4日に出願された米国仮特許出願第62/250,932号の優先権の利益を主張する。上記米国仮特許出願の内容は、引用することにより本明細書の一部をなす。
【0002】
本発明は、概して腐食防止、特に、各リン酸塩化合物単独と比較して優れた鉄腐食防止をもたらすリン酸塩化合物の組合せに関する。
【背景技術】
【0003】
鉱物形ではホウ砂として知られる四ホウ酸ナトリウムは、多種多様な製品、例えば、腐食防止剤、磁性粉末及び水質調整剤における一般的な主成分である。ホウ砂は近年これらの様々な用途では流行らなくなってきている。
【0004】
他の従来技術の製品は、70総重量パーセント未満で存在するトリポリリン酸ナトリウム(STPP)と、5総重量パーセント未満で存在するピロリン酸四ナトリウムとの組合せをベースとする。ホウ砂を排除する場合、脱イオン水で1総重量パーセントまで希釈すると、かかる製品のpHは8〜10.5となる。鋳鉄はこれらの条件下で錆びやすい。より低い濃度では、酸化による錆の割合が更に顕著になることが予想される。炭酸ナトリウムを添加しても、得られる溶液は錆の発生のコントロール(rust control)においてホウ砂ほど効果的でない。
【0005】
アルカリ性が高すぎる溶液は皮膚炎を引き起こすおそれがある。概して、水溶液のアルカリ性が増大すれば、局所曝露皮膚炎(topical exposure dermatitis)に罹る見込みも高まる。高アルカリ性溶液は、皮膚本来の酸性を迅速に中和して、皮膚炎を生じさせるおそれがある。完全に希釈された腐食防止剤(fully dilution corrosion inhibitor)における8.5〜9.0のpHは、局所曝露皮膚炎の可能性を小さくするのに望ましい。しかしながら、アルカリ性の量が減少すれば、社会通念上、腐食に対する保護の程度も下がる。腐食に対する保護と皮膚炎の可能性とのバランスをとる必要がある。
【0006】
このため、規制事項又は局所接触皮膚炎(topical contact dermatitis)を誘発しやすい水溶液で希釈した場合のpH値を伴わずに、ホウ砂の腐食防止をもたらす組成物に対する需要が存在する。冷却装置における水質調整剤としての用法についてもかかる組成物が存在する。
【発明の概要】
【0007】
トリメタリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩又はトリポリリン酸塩の少なくとも1種の第1のリン酸塩を含む、腐食防止特性を有する組成物が提供される。リン酸二ナトリウム及びピロリン酸四ナトリウムの少なくとも一方の第2のリン酸塩も、第1のリン酸塩が第2のリン酸塩に対して1〜4:1の重量比で存在するように存在する。溶媒中に0.1総重量パーセント〜5総重量パーセントで溶解すると、冷却装置における水質調整剤としての用法によく適する腐食防止溶液がもたらされる。金属を該溶液に曝露させることを含む、鉄含有金属を腐食から保護する方法も提供される。経時的な金属の腐食をモニタリングして、金属の保護を確実にする。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、水溶液で希釈した際に腐食防止剤及び水質調整剤として有用である。本発明は、従来のホウ砂無含有組成物よりも低いpHでより良好な腐食に対する保護を提供する。これは、少なくとも40総重量パーセントの成分を含む濃縮物形態で存在する2つのリン酸塩成分間の相乗効果により、水で1総重量パーセントに希釈した場合にpH10.0未満、幾つかの実施形態ではpH9.2〜9.8を有する水溶液を形成するようなリン酸塩がもたらされることによって成し遂げられる。従来のリン酸塩ベースの防食剤と異なり、本発明は皮膚炎を抑制する。腐食防止剤として単独で使用されることに加えて、本発明は、多種多様な製品における従来の腐食防止剤の代替品、例示的には、蛍光性磁性粉末、水質調整剤、水系浸透液、水性展開液及びリムーバー、水性クリーニング製品、水で希釈可能な金属加工油剤及び腐食防止剤のドライミックス配合物として適している。
【0009】
本発明の幾つかの実施形態では、組成物がSAE規格(SAE Aerospace Standard)4792 Rev.Aの要件を満たす。この規格は「水性磁粉探傷検査用の水質調整剤(Water Conditioning Agents for Aqueous Magnetic Particle Inspection)」と題される。その中の塩基性に関するセクション3.5.1.3は、「溶液はpH7.0〜10を示すものとする」と述べている。
【0010】
本明細書で使用される場合、「塩」という用語は、酸と塩基との中和反応の反応生成物と定義される。本明細書で使用される場合、この用語は、特に指定がない限り、かかるイオン性反応生成物の水和物形態及び無水物形態を包含することが意図される。本発明において塩の重量パーセントを求める目的で、水和物(hydration)の水の重量は、所与の塩の重量には加算しない。
【0011】
値の範囲が与えられる場合、範囲は、その範囲の終点の値のみならず、その範囲内に明示的に含まれる、その範囲の中間値も包含することが意図され、その範囲の最後の有効数字が変わると理解される。例として、1〜4の列挙された範囲は、1〜2、1〜3、2〜4、3〜4及び1〜4を含むことが意図される。
【0012】
第1のリン酸塩は、リン酸二ナトリウム若しくはトリポリリン酸塩、又はそれらの組合せである。第1のリン酸塩のカチオンは、アルカリ金属カチオン又はアルカリ土類カチオンである。本明細書で有効なカチオンとしては例示的に、ナトリウム、カリウム、カルシウム又はそれらの組合せが挙げられる。本発明の或る特定の実施形態では、第1のリン酸塩がトリポリリン酸ナトリウムのみである。
【0013】
第2のリン酸塩は、二価リン酸塩又は四価ピロリン酸塩である。第2のリン酸塩のカチオンは、アルカリ金属カチオン又はアルカリ土類カチオンである。本明細書で有効なカチオンとしては例示的に、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム又はそれらの組合せが挙げられる。本発明の或る特定の実施形態では、第1のリン酸塩がトリポリリン酸ナトリウム、リン酸二カリウム、リン酸二アンモニウム、ピロリン酸四ナトリウム、ピロリン酸四カリウム又はそれらの組合せであるという条件で、第2のリン酸塩がリン酸二ナトリウムとなる。本発明のまた別の実施形態では、第2のリン酸塩は、無水リン酸二ナトリウム又はその水和物のみである。本発明の他の実施形態では、第2のリン酸塩は、ピロリン酸四ナトリウム、ピロリン酸四カリウム又はそれらの組合せである。
【0014】
本発明によれば、第1のリン酸塩は、上記第2のリン酸塩に対して1〜4:1(第1のリン酸塩及び上記第2のリン酸塩)の重量比で存在する。濃縮物には2つの塩が存在し、これらの塩は、濃縮物又は水溶液の乾燥残渣の90総重量パーセント〜100総重量パーセントの量である。故に、脱イオン水で1重量%に希釈した本発明の組成物の水溶液は、pH9.5〜9.8を有する。当然のことながら、リン酸塩濃縮物を従来の製品に添加して腐食防止を提供することも可能である。
【0015】
任意の添加剤は、濃縮物の0総重量パーセント〜60総重量パーセントで存在する。かかる添加剤の総量が60総乾燥重量パーセント未満であるという条件で、本明細書で有効な添加剤としては例示的に、ケイ酸ナトリウム、金属塩化物、ケイ酸セラミック(ceramic silicates)、シリカ、ポリマー、pHバッファ、界面活性剤、消泡剤、殺生物剤及びそれらの組合せが挙げられる。
【0016】
ケイ酸ナトリウムは、存在する場合、本発明の幾つかの実施形態では0.5乾燥重量パーセント〜20乾燥重量パーセントの量で使用される。
【0017】
本明細書で有効な金属塩化物としては例示的に、基板保護剤の塩、例えば、塩化亜鉛、塩化マグネシウム及びそれらの組合せが挙げられる。幾つかの実施形態において金属塩化物は、存在する場合、本発明の幾つかの実施形態では0.1乾燥重量パーセント〜14乾燥重量パーセントの量で使用される。当然のことながら、ケイ酸ナトリウムと組み合わせて又はケイ酸ナトリウム後に塗布される塩化亜鉛は、ケイ酸亜鉛保護コーティングの形成をもたらす。
【0018】
本明細書で有効なケイ酸セラミックとしては例示的に、ケイ酸ジルコニウム、ケイ酸マグネシウム及びそれらの組合せが挙げられる。幾つかの実施形態においてケイ酸セラミックは、存在する場合、本発明の幾つかの実施形態では溶液の0.01乾燥重量パーセント〜3乾燥重量パーセントの量で使用される。
【0019】
本明細書で有効なシリカとしては例示的に、ヒュームドシリカ、二酸化ケイ素、非晶質シリカ、ケイ酸アルミニウム(alumina-silicates)及びそれらの組合せが挙げられる。幾つかの実施形態においてシリカは、存在する場合、本発明の幾つかの実施形態では濃縮物の0.3乾燥重量パーセント〜60乾燥重量パーセントの量で使用される。当然のことながら、シリカは、粘度を制御するとともに、耐熱性を改善させるのによく適している。
【0020】
本明細書で有効なポリマーとしては例示的に、ポリエチレン粉末、ポリアミド、テトラフルオロエチレンポリエステル、及びそれらの組合せが挙げられる。幾つかの実施形態においてポリマーは、存在する場合、本発明の幾つかの実施形態では1乾燥重量パーセント〜20乾燥重量パーセントの量で使用される。
【0021】
本発明で有効な殺生物剤及び消泡剤は、水溶液中における相溶性及び溶解性によって限定されるに過ぎない。存在する場合、殺生物剤及び消泡剤の典型的な充填量は、それぞれ0.01乾燥重量パーセント〜5乾燥重量パーセント及び0.5乾燥重量パーセント〜5乾燥重量パーセントの範囲をとる。
【0022】
また他の添加剤は、色を与えるために添加される顔料が含まれる。本明細書で有効な顔料としては例示的に、鉄、コバルト、スズ、マンガン等の様々な金属の酸化物、硫化物、セレン化物、硫酸塩、及びそれらの組合せが挙げられる。幾つかの実施形態において顔料は、存在する場合、本発明の幾つかの実施形態では0.1乾燥重量パーセント〜60乾燥重量パーセントの量で使用される。当然のことながら、磁性粒子又は他の不活性フィラーは着色顔料添加剤として存在し、また着色顔料添加剤とみなされ得るものである。
【0023】
本明細書で有効な界面活性剤としては例示的に、アルコキシル化アルコール及びアミド等の非イオン性界面活性剤;アルキルアリールジメチルアンモニウムクロライド及びジアルキルジメチルアンモニウムクロライドのようなエトキシル化第四級アンモニウム塩等のカチオン性界面活性剤;硫酸アルキル塩、アルキルベンゼンスルホネート若しくはアルキルトルエンスルホネート、又はアルキルエーテルサルフェート等のアニオン性界面活性剤;及びそれらの組合せが挙げられる。幾つかの実施形態においてシリカは、存在する場合、本発明の幾つかの実施形態では1乾燥重量パーセント〜15乾燥重量パーセントの量で使用される。
【0024】
本明細書で有効なpHバッファとしては例示的に、本発明の組成物の水溶液中に存在する第1のリン酸塩、第2のリン酸塩又はそれらの組合せのいずれかの共役系の弱酸又は弱塩基が挙げられる。
【0025】
本発明の組成物は、乾燥粉末として貯蔵され、規定の濃度まで水に溶解する方法に関する指示書が与えられる。本発明の他の実施形態では、溶液濃縮物が提供される。典型的に、濃縮物を10倍〜500倍に希釈して、使用溶液を形成する。また他の実施形態では、0.1総重量パーセント〜5総重量パーセントの本発明の組成物の溶液を含有するすぐに使える完全に希釈された溶液として本発明の組成物が提供される。
【0026】
鉄含有金属を腐食から保護する方法は、金属を本発明の溶液に曝露させることを伴う。経時的な金属の腐食のモニタリングを通して、金属の腐食に対する保護を確実になる。モニタリングが、金属の腐食が予め選択した閾値を超えることを指し示す場合に、上記溶液を補充する。
【0027】
当然のことながら、溶液を調製する際には、また更なる量の上述の添加剤を溶液に添加する。本発明の幾つかの実施形態では水と混和性の共溶媒も提供される。本明細書で有効な共溶媒としては例示的に、アミン溶媒、例えば、ピリジン、ピペリジン、コリジン、エチレンジアミン、キノロン、ジエチレントリアミン、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジグリコールアミン、ジイソプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、及びそれらの組合せが挙げられる。
【実施例】
【0028】
以下の非限定的な実施例に関して本発明を更に詳述する。
【0029】
脱イオン(DI)水中の1総重量パーセントの塩へと規準化した溶液に1グラムの総重量を有する鋳鉄小片を入れる。50mmのpyrexペトリ皿に合わせて55mmのWhatman 40無灰濾紙を切り取る。濾紙の入ったペトリ皿をデジタルスケール上に置く。1.00グラムのASTM D4627−97の鋳鉄小片をペトリ皿の中の濾紙上で秤量する。次に、1.00グラムの試料溶液を鋳鉄小片上に滴下させる。その後、試料溶液が全て蒸発するまで室温でペトリ皿をそのままにしておく。その後、鋳鉄小片及び濾紙を腐食に関して検査する。腐食量の評価(0%〜100%)は、濾紙を検査して、鋳鉄小片が占める濾紙の範囲と比較してどのくらいの範囲の濾紙が錆を示すかを求めることによってなされる。質量既知の(tared)濾紙上に酸化鉄が蓄積することによって測定する場合、調製時及び鋳鉄小片の投入前の溶液のpHを、鉄の重量損失によって求められる腐食パーセントと併せて記録する。結果を表1にまとめる。比較例として、同じく1総重量パーセントの四ホウ酸ナトリウム十水和物が、pH9.25及び5%〜10%の腐食重量損失を有した。DI水中0.93総重量パーセントで存在するトリポリリン酸ナトリウム(低密度、工業銘柄)及び0.07%の炭酸ナトリウムは、pH10.99及び40%〜50%の腐食重量損失を有した。対照としてDI水自体が、pH4.84及び100%の腐食重量損失を有する。
【0030】
表1.トリポリリン酸ナトリウム(低密度、工業銘柄)(STPP LD TGと略される)、3つの異なる銘柄/供給源の無水リン酸二ナトリウム(DSPA)、ヘキサメタリン酸ナトリウム(SHMP)顆粒、リン酸二カリウム(DPP)顆粒、ピロリン酸四カリウム(TPPP)顆粒、トリポリリン酸カリウム(KTPP)、リン酸二アンモニウム(DAP)顆粒、四ホウ酸ナトリウム十水和物(従来技術)、及び競合製品(トリポリリン酸ナトリウム及び炭酸ナトリウム)を含む、DI水中1総重量パーセントの特定のリン酸塩についての腐食パーセント及び溶液pH。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2-1】
【0033】
【表2-2】
【0034】
【表3】
【0035】
試料ID 1、22、43及び63について言及されるように、トリポリリン酸ナトリウム(STPP)も無水リン酸二ナトリウム(DSPA)も特段良好な腐食防止剤ではない。重量比1〜4:1に対応するとともに、9.8以下のpHを有する試料ID 11〜17、29〜38、53〜57、71、72、76、79、80、83〜90、102、103、116〜119、142及び144に言及されるSTPP:DSPA間の相乗関係によって、この範囲外の溶液よりも良好な腐食に対する保護がもたらされる。また、表1の本発明の組成物は、四ホウ酸ナトリウム十水和物よりも優れていることを言及している。
【0036】
表1に言及されるように、相乗的な腐食防止は、トリポリリン酸ナトリウムとリン酸二カリウム、トリポリリン酸ナトリウムとリン酸二ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウムとピロリン酸四カリウム、リン酸二ナトリウムとピロリン酸四カリウム、リン酸二ナトリウムとピロリン酸四ナトリウム、リン酸二ナトリウムとトリポリリン酸カリウム、トリポリリン酸ナトリウムとリン酸二アンモニウムのリン酸塩対の間で言及される。
【0037】
試料11〜17、29〜38、53〜57、71、72、76、79、80、83〜90、102、103、116〜119、142又は144による組成物を、ホウ砂の代わりに蛍光性磁性粉末及び水質調整剤のドライミックス配合物中に混和させる。得られる製品は、ベース製品と同様の性能を発揮する。
【0038】
上記の記載は本発明の特定の実施形態を説明するものであり、実施に際する限定を意味するものではない。全ての均等物を含む添付の特許請求の範囲は発明の範囲を規定するものと意図される。