(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、色の変化を制御することができるような外装要素の必要性がある。
【0009】
本発明は、色の変化を制御することができる携行可能な物のための外装要素を提案することによって前記の従来技術の課題を克服するような外装要素に関する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このために、本発明は、第1の材料が配置された支持体を有する携行可能な物のための外装要素を提供することを目的とし、前記第1の材料は、与えられた応力に応じて異なる可視光の波長を選択的に反射することができるように選ばれ、当該外装要素は、さらに、前記第1の材料に与えられた応力を変えることを可能にするデバイスを有する。
【0011】
本発明によって、塗料を被覆したり色が付いたケースを追加したりせずに色を変えることができるような外装要素を有することができる。
【0012】
第1の好ましい実施形態において、前記支持体と、及び前記第1の材料に与えられる応力を変えることを可能にするデバイスとは、同じ1つの部品である。
【0013】
第2の好ましい実施形態において、前記支持体は、前記第1の材料で被覆された双安定の金属製バンドである。
【0014】
第3の好ましい実施形態において、前記第1の材料に与えられる応力を変えることを可能にするデバイスは、物理的な量に応じて体積を変えることができる第2の材料を用い、前記第2の材料は、前記第1の材料を担持しているフレキシブル要素と関連づけられている。
【0015】
第4の好ましい実施形態において、前記支持体には、前記第1の材料によって作られハウジングを形成する膜によって閉じられる少なくとも1つの凹部があり、前記ハウジングは、第2の材料が充填された2つの連結した半殻によって構成しているカプセルを収容する。
【0016】
第5の好ましい実施形態において、前記支持体には、前記第1の材料によって作られハウジングを形成する膜によって閉じられる少なくとも1つの凹部があり、このハウジング内に、カプセル/ピストンのシステムと前記第2の材料が配置され、前記カプセル/ピストンのシステムは、半殻とピストンによって形成されており、これによって、前記第2の材料の体積の変化によって前記ピストンが運動する。
【0017】
第6の好ましい実施形態において、各カプセルは、前記第2の材料で充填され、この第2の材料は、あるカプセルが他のカプセルに対して異なっていることができる。
【0018】
別の好ましい実施形態において、各凹部は、前記第2の材料で充填され、この第2の材料は、あるハウジングが他のハウジングに対して異なっていることができる。
【0019】
別の好ましい実施形態において、前記支持体は、互いに周部にて固定された連結された少なくとも2つの部分によって形成されており、前記少なくとも2つの部分の間には空き空間があり、前記少なくとも2つの部分のうちの少なくとも1つは、フレキシブルであり前記第1の材料を担持しており、前記空き空間は、前記第2の材料を収容する凹部を形成している。
【0020】
別の好ましい実施形態において、前記少なくとも2つの部分によって形成された前記支持体は、さらに、少なくとも2つの領域の境界を定めるように前記少なくとも2つの部分の間に延在している少なくとも1つの構造を有し、その各領域は、ブラダーを含むことができる。
【0021】
別の好ましい実施形態において、各領域は、特定の第2の材料を含む。
【0022】
別の好ましい実施形態において、前記第1の材料に与えられる応力を変えることを可能にするデバイスは、ポンプシステムに接続されるプラスチック材料によって作られたブラダーを有し、前記ポンプシステムによって、前記ブラダーを膨張又は収縮させることができ、前記ポンプシステムには、中空空気キャビティと逆止め弁があり、前記中空空気キャビティには、前記中空空気キャビティに空気を充填することを可能にする穴があり、前記逆止め弁は、両方とも前記ポンプシステムの壁に溶接されたプラスチック材料で作られた1対のシートを有し、前記シートは、実質的にU字形に曲がっており、前記ブラダーの方向にのみ空気が通させるように互いに構成しており、前記デバイスは、前記第1の材料を担持しているフレキシブル要素に関連づけられている。
【0023】
別の好ましい実施形態において、前記支持体は、空き空間が間にあるように周部にて互いに固定された少なくとも2つの部分によって形成されており、前記空き空間に前記ブラダーを収容することができ、前記部分の1つには、開口があり、これによって、前記ポンプシステムがアクセス可能なまま、その開口内に前記ポンプシステムを挿入することができる。
【0024】
別の好ましい実施形態において、前記少なくとも2つの部分の少なくとも1つは、フレキシブルであり前記第1の材料を担持している。
【0025】
別の好ましい実施形態において、前記少なくとも2つの部分の少なくとも1つには、穴をあけられており、前記第1の材料は、フレキシブル要素としてはたらく前記ブラダーによって保持される、前記穴を介して見ることができる。
【0026】
別の好ましい実施形態において、前記支持体は、空き空間が間にあるように周部にて互いに固定された連結された少なくとも2つの部分によって形成されており、前記少なくとも2つの部分の少なくとも1つは、フレキシブルであり前記第1の材料を担持しており、前記空き空間は、前記ポンプシステムの前記ブラダーを形成しており、前記部分の1つには、前記ポンプシステムを中に配置するような開口がある。
【0027】
別の好ましい実施形態において、前記第1の材料は、前記支持体上に堆積する膜の形態である。
【0028】
別の好ましい実施形態において、前記フレキシブル要素は、前記第1の材料によって少なくとも部分的に形成されている。
【0029】
別の好ましい実施形態において、フレキシブルな部分は、前記第1の材料によって少なくとも部分的に形成されている。
【0030】
本発明は、さらに、ケース裏部とカバーによって閉じられるケースを有する携行可能な物に関し、前記のいずれかに記載の外装要素を少なくとも1つ有する。
【0031】
好ましい実施形態において、当該携行可能な物は、ケース裏部と風防によって閉じられるケースミドル部によって形成されるケースと、及び2対のホーンによって前記ケースミドル部に固定されたリストバンドとを有する計時器であり、前記リストバンドには、少なくとも1つのリストバンド部分があり、前記外装要素は、前記ケースミドル部、ベゼル、竜頭、押しボタン、ケース裏部及びリストバンド及びバックルを含む群から選択されるものである。
【0032】
別の好ましい実施形態において、前記計時器は、さらに、表盤を有するディスプレー手段に時間情報を与える計時器用ムーブメントを有し、前記表盤は、前記外装要素が選択される前記群に含まれている。
【0033】
添付の図面を検討しつつ以下の説明を読むことで、この種の外装要素の利点を明確に思い描くことができるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明は、携行可能な物1のための外装要素10に関する。当該携行可能な物は、例えば、計時器又は腕時計1であることができる。伝統的な携行可能な物は、ケース裏部とカバーによって閉じられるケースを有し、このケース内に収容されるデバイスを有している。もちろん、この携行可能な物は、電話機、コンピューター、電子タッチタブレット、又は腕輪のような装飾品であることができる。また、携行可能な物は、バッグや眼鏡のようなファッションアクセサリーであることができる。
【0036】
携行可能な物が計時器である場合、
図1及び2に示している計時器1は、例えば、ケース2を有する腕時計である。このケース2は、ケース裏部21と風防22によって閉じられるケースミドル部20によって形成される。当該計時器は、さらに、リストバンド又は腕輪3を有する。このリストバンド又は腕輪3は、例えば、2対のホーン24によって、ケースミドル部に固定される。リストバンド3は、2つのリストバンド部分によって形成されていることができ、その各部分は、1対のホーンに固定されており、クラスプを介して他方のリストバンド部分に接続される。当該計時器は、さらに、ディスプレー手段4に時間情報を与える機械的又は電子的な計時器用ムーブメントを有する。このディスプレー手段は、例えば、表盤41と、針42、ディスク43又はLCDスクリーン44とを有する。
【0037】
外装要素は、フレーム12を有し、これは、支持体とも呼ばれ、金属やプラスチック材料によって作られている。本発明によると、外装要素10は、与えられた応力に応じて異なる可視光の波長を選択的に反射することができる第1の材料M1を用いる。実際に、いわゆる「構造的な」色を作ることができる材料が知られている。これらの材料は、周期的に交互構成になっている異なる屈折率を有する少なくとも2つの要素によって構成している。これらの要素の大きさは、光学的干渉現象が発生(強め合う波や弱め合う波)して特定の波長を選択的に反射するような光の波長の大きさのオーダーである。干渉現象、したがって、反射される色は、選択された前記少なくとも2つの要素の周期的なグレーティングの大きさや屈折率に依存する。自然界において、構造的な色のいくつかの例がある。例えば、蝶の羽とオパールである。
【0038】
また、この種の材料(フォトニック結晶又はオパール材料と呼ばれる)を当業者に知られた技術によって合成することもできる。合成フォトニック結晶は、一般的には、モノ分散した二元物質の球体(コアと周部では異なる2つの屈折率となっている)の規律正しいアセンブリーによって作られる。
【0039】
1)コロイド懸濁系の結晶化、沈降、蒸発(この技術は、特に、P−Ink(登録商標)とElast−Ink(登録商標)のインクにおいて用いられている)によって、
2)電場の影響の下で(Baumberg, Advanced Engineering Materials 2013, p.948に記載されているように)、
3)押出しの間のせん断力の影響の下で(Baumberg, Stretching the imagination, Textiles, issue 4, 2009, 8-10 and US 2013/0288035, Manufacture of composite optical materialsに記載されているように)、
規律正しい球体グレーティングを達成することができる。
【0040】
このようにして形成された周期的グレーティングは、重合によって固体化される。
【0041】
フォトニック結晶を作る第2の方法は、薄いフレキシブル膜(典型的にはPDMSシート)上にナノメーター的サイズの「スタッド」を作ることを伴う。このようにして、カリフォルニア大学バークレー校の研究者は、リソグラフィー技術を用いて、ケイ素ピクセルアレイを作り、そして、これらを2つのPDMSシート内にカプセル化して(Flexible photonic metastructures for tunable coloration, Optical Letters, 2015, p.255)、小さな変形の影響の下で意図的に色を変えることができる薄いフレキシブル膜を作った。
【0042】
実際に、構造的な色材がフレキシブルであったりフレキシブルな支持体上に堆積されたりする場合、材料の幾何学的寸法を変えることによって周期的グレーティングを変えることができ、したがって、材料に機械的な応力が与えられたときに、制御された形態で色を変えることができる構造的な色を有する材料を得ることができる。幾何学的寸法は、当該材料に応力を与えることによって変えられる。これらの応力は、材料の形や寸法を変えることができる、引っ張り応力、圧縮応力、ねじり応力、つまみ応力又は他の応力であることができる。
【0043】
このようにして、この第1の材料M1は、厚みが厚かったり薄かったりする膜の形態であることができ、また、外装要素10を形成する基材内に直接組み入れられることができる。膜の場合には、第1の構成によって、第1の材料M1が、上記の技術によって得られるオパール膜又はバンドを単純に有することができる。第2の構成においては、第1の材料M1は、フレキシブル膜上にて組み立てられたオパール膜を有する。第3の構成において、第1の材料M1は、2つのフレキシブル膜においてカプセル化されたオパール膜を有する。フレキシブル膜は、好ましくは、PDMS膜又は熱可塑性膜であり、これは、好ましくは、熱可塑性ポリウレタン膜である。
【0044】
結果的に、本発明に係る外装要素10には、支持体12に加えて、第1の材料M1に応力が与えられて第1の材料M1が色を変えることを可能にするデバイス14がなければならない。
【0045】
第1の実施形態において、外装要素10は、支持体12と、第1の材料に応力を与えて色を変えさせるデバイス14とが、単一の同じ要素であるように構成している。この場合、支持体が、その特徴によって、第1の材料M1に対して機械的な応力を発生させるように操作されることができることを理解することができるであろう。
【0046】
1つの実施形態によると、外装要素10は、いわゆる「スラップストラップ」又は「スラップバンド」である。このようなストラップ又はバンド30は、支持体12としてはたらく双安定の金属製バンド32によって構成している。ストラップ又はバンド30は双安定の金属製バンド32を張ることによって平坦にされて、そして、ストラップをたたくことによって手首のまわりに再び巻かれる。そして、この双安定の金属製バンド32を保護層34で被覆することができる。この保護層34は、
図3aに示すように審美性を向上させるように硬化する、オーバーモールドされたプラスチック材料、膜又はインクであることができる。
【0047】
好ましいことに、この第1の実施形態によると、第1の材料M1は、双安定の金属製バンド上に配置される。
【0048】
第1の構成において、第1の材料は、ストラップ30の表面全体をカバーするように構成している。そして、第1の材料M1は、厚かったり薄かったりする膜の形態であることができ、これは、接着剤結合、超音波溶接、レーザー溶接、赤外線溶接によって、又は
図3aに示すように双安定の金属製バンド32上に直接押し出されることによって、又は支持体12上にオーバーモールドされることによって、接着剤結合され、及び/又は縫われ、及び/又はアセンブルされる。そして、その上に、保護層34(ワニス又は熱可塑性物質)を施すことができる。そして、
図3bに示しているように、金属製バンド32又は双安定の金属製バンド32の保護層34上に、第1の材料M1を配置することができる。
【0049】
第2の好ましい構成において、プロセスの簡明さのために、第1の材料M1がストラップ30上に堆積され、そして、光透過性のTPUタイプの熱可塑性物質でオーバーモールドされる。
【0050】
第3の好ましい構成において、プロセスの簡明さのために、第1の材料M1は、2つの光透過性の(TPUタイプの)熱可塑性膜内にカプセル化されたオパール膜を有し、材料M1は熱溶接技術によってストラップに組み立てられる。
【0051】
別の構成では、第1の材料M1をストラップ上の特定の場所において見ることができる。例えば、第1の材料M1は、双安定の金属製バンド(縫われたり、接合されたり、オーバーモールドされたり、組み立てられたり、又は押し出されたりする)上に配置され、
図3cに示しているように、穴をあけられた第2の層35(皮革、熱可塑性物質、...)が適切な位置にセットされて、第1の材料M1を見えるようにする。
【0052】
したがって、双安定の金属製バンド32がある状態から別の状態に変わると、すなわち、金属製バンド32が張られた状態から金属製バンド32が巻かれているが張っていない状態へと変わると、金属製バンド32において応力の変化が発生する。この応力の変化は、第1の材料M1に伝達される。第1の材料M1は、与えられた応力に応じて異なる波長を反射することができる。結果的に、スラップストラップ30がある状態から別の状態へと変わるときに、応力の変化によって、第1の材料M1が異なる波長を反射して、したがって、ストラップのデザインを、巻かれているかどうかによって変えることができる。
【0053】
第2の実施形態において、第1の材料M1に応力を与えて色を変えさせる支持体12とデバイス14は、別個のものであり、第1の材料への応力の付与は、体積が物理的な量に応じて変わる材料M2を介して行われる。この物理的な量は、温度であることができる。より好ましくは、材料M2は、大気圧における沸点が0〜60℃である液体である。これらの条件の下で、外装要素に材料M2の沸点よりも高い温度が与えられると、材料M2が気相へと変わり、したがって、その体積が増加する。例えば、材料M2は、塩化エチル、ブタン、プロパン又はこれらの化合物の混合物である。
【0054】
第1の実施形態において、支持体12には、少なくとも1つの凹部40がある。この少なくとも1つの凹部40は、その中にカプセル/ピストンのシステム43及び材料M2を配置するために用いられる。このカプセル/ピストンのシステム2は、材料M2を通さず、
図4a及び4bに示しているように、半殻44とピストン45によって形成されている。凹部40は、材料M1によって形成されていたり材料M1を担持していたりする膜42によって閉じられる。結果的に、温度が上昇すると、材料M2の体積は増加し、ピストン45に作用する。ピストン45には、丸まった外面があり、これは、ピストンが高い位置にあるときに前記材料M1の膜と接触する。このようにして、ピストン45は、材料M2によって押されたときに、材料M1を伸ばし、材料M1が色を変える。
【0055】
このようにして形成されたカプセル/ピストン43は、外装要素にある凹部40内に配置される。このカプセル/ピストン43は、接着剤結合されたり、入れ込まれたり、溶接されたり、ねじ込まれたり、セットされたりして、凹部内に保持される。好ましい実施形態において、外装要素は、携行可能な物の熱可塑性の部品(例えば、ストラップ、表盤、腕時計ケース)に組み入れられ、外装要素1を担持している携行可能な物の熱可塑性の部品は、カプセル/ピストン43上に直接オーバーモールドされ、これによって、凹部40を形成する。この場合、外装要素と、その外装要素が組み入れられる携行可能な物との間に、非常に良好な接着を得ることができる。
【0056】
代替構成の1つにおいて、第1の材料M1は、光透過性の(TPUタイプの)熱可塑性物質の2つの膜においてカプセル化されたオパール膜を有し、材料M1は、例えば、熱溶接又は接着剤結合によって、組み立てられる。
【0057】
図4cに示しているように、好ましいことに、この構成によって、それぞれが1つのカプセル/ピストン43を収容する凹部40を設けることができる。これらのカプセルは、特定の異なる材料M2を有することができる。
【0058】
この実施形態において、与えられた応力に応じて異なる波長を反射することができる材料M1の色を変えることができる。実際に、本発明に係る材料は、与えられた応力に応じて異なる波長を反射することができ、これによって、同じ材料に対して応力が異なれば色の変化が異なるようになる。
【0059】
これを達成するために、第1の手法は、以下のような寸法を変更することを伴う。すなわち、カプセル/ピストン43又は凹部40の長さ、体積である。これらの寸法変化によって、材料M2の膨張によって与えられる応力に対する反応が変わる。
【0060】
第2の手法は、材料M2の異なる変種を用いることを伴い、その材料M2の変種はそれぞれ、異なる膨脹係数を有する。材料M2が異なるために、この手法によって、同じ大きさのカプセル43又は凹部40で異なる色変化を得ることができる。
【0061】
第3の手法は、膜42の具体化のために異なる材料を用いることを伴う。実際に、それぞれが異なる変形特性を有する材料を用いることによって、材料M1に与えられる応力が異なるようになり、したがって、色の変化が異なるようになることを確実にする。また、各カプセル/ピストン43ごとに固有な材料M1を用いることもできる。
【0062】
これらの可能性によって、異なる領域において色の変化が異なることを可能にする特徴を有することができるような、第1の材料M1を用いる複数の領域がある外装要素1を作ることができる。
【0063】
第2の実施形態において、凹部40は、
図5a及び5bに示しているように、フレキシブルな材料によって作られた2つの半殻44’を備えるカプセル43’を収容するために用いられる。そして、このカプセル43’は、半殻44’の一方に対する接着剤結合又は熱溶接によって、凹部内に固定される。また、このカプセル43’は、温度や圧力のような物理的な量に応じて膨張する材料M2で充填されるように構成している。凹部40は、材料M1によって作られた膜42’によって閉じられる。結果的に、例えば、温度が上昇すると、カプセル内の材料M2は膨張して、半殻44’を変形させる。この半殻44’は、次に、膜42’に応力を与える。この応力は、膜42’を変形させて、したがって、材料M1が異なる波長を反射する。
図5cに示すように、1つの凹部40当たりいくつかのカプセル43’を設けることができる。
【0064】
この第2の実施形態の代替例において、外装要素10自身が、カプセル43’として用いられる。1つの例(これに限定されない)において、外装要素は、ストラップないしリストバンドの部分31又はリンク3である。
【0065】
そして、リストバンド部分は、互いに組み立てられた2つのバンド310によって構成している。この組み立ては、2つのバンド310がそれらの周部によって取り付けられて内側空間312がキャビティとしてはたらくことができるように行われる。このキャビティ312によって、巧妙に、温度や圧力のような物理的な量に応じて膨張する材料M2を含むブラダーを収容することができるようになる。
【0066】
好ましいことに、本発明によると、リストバンド3の部分31を形成している2つのバンド310の一方又は双方は、与えられた応力に応じて異なる波長を反射することができる材料M1を担持している。この第1の材料M1は、これらのバンドの一方及び/又は他方上にて膜ないしバンドの形態にて配置されており、又は
図6に示しているようにバンド310を構築する材料の一部を形成している。
【0067】
したがって、例えば、温度が変わるときに、材料M1は、反応し、膨張又は収縮して、これによって、リストバンド部分を形成する1つのバンド又は複数のバンドを変形させる。このようにして、
図7に示しているように、この変形が第1の材料M1に伝達され、この第1の材料M1の構造が、与えられた応力の影響の下で変わって異なる波長を反射する。
【0068】
好ましい変種では、
図8に示しているように、リストバンド部分31には強化構造313がある。これらの強化構造は、リストバンド部分を形成する2つのバンド310の間に設けられており、そのリストバンド部分に対して長手方向又は横断方向に延在している。これらの強化構造によって、リストバンド部分のねじれ抵抗を増加させることができる。これらの強化構造313は、2つのバンドに固定される少なくとも1つの壁314の形態である。この構成によって、この壁が様々な領域315を定めることができる。例えば、2つの横断方向の壁を有することによって、リストバンド部分において3つの別個の領域が発生する。この変種によると、巧妙なことに、これらの領域はそれぞれ、別個の材料M2を含むブラダーで充填されることができる。この構成によって、不規則な形態で変形するリストバンド部分を形成する一又は複数のバンドを得ることができる。なぜなら、各別個の領域の材料M2が異なるように反応するからである。
【0069】
もちろん、リストバンド部分のバンドを異なる材料で作ることができる。このことによって、好ましいことに、第1の材料を担持しているバンドのために、より有利な変形特性を有する材料を得ることができる。このことは、このバンドが変形しやすくなって、第2の材料M2の膨張に対する反応性が良くなることを意味している。
【0070】
第3の実施形態において、第1の材料M1に応力を与えることは、機械的デバイス14によって達成される。この機械的デバイスは、ユーザーによる要求があったときに第1の材料に応力を与えて、それによって、その第1の材料の寸法及び/又は形を変えるように構成している。
【0071】
この第3の実施形態においては、第1の材料に応力を与えるデバイス14は、ポンプデバイス140である。このデバイスは、Reebok(登録商標)によって出願された米国特許US5113599のものと同様である。このようなデバイスは、大まかには、ポンプシステム142を備えるプラスチック材料によって作られたブラダー141によって構成している。このようなポンプシステム142は、プラスチックブラダー141を膨張させて収縮させるポンプ143と排出弁144を有する。用いられるポンプ143は、穴143bがある中空エアチャンバー143aによって構成している。この穴143bによって、このチャンバーに空気を充填することができる。また、このポンプ143には、1対のプラスチック材料のシート145aを用いる逆止め弁145を設けることができる。このシート145aは、このポンプ143の壁に溶接スポットを介して溶接されることができる。これらのシートは、実質的にU字形になるように曲げられ、ポンプからブラダーへの矢の方向にのみ空気を通すことを可能にする。
【0072】
ブラダーから空気を解放するために、出口弁ないし排出弁144を用いる。
図9に示している出口弁は、ピストンを閉位置にするばね144bを有するピストン144aを有することができる。ピストンステム144aの周部のまわりのフランジ144cによって、空気がピストンと出口コネクターの間に漏れることを防ぐ。なぜなら、フランジが閉位置に付勢されており前記コネクターと接触しているからである。ブラダー141から空気を解放するために、ユーザーによってピストンが押し込まれ、ピストンステムのまわりにて空気が逃げる。
【0073】
このとき、このポンプシステム142は、直接ブラダー141上に又はブラダー141とは離れるように配置されることができ、ダクトを介して前記ブラダーに接続することができる。直接ブラダー141又はダクト上の構成は、プラスチック基材とは独立にポンプシステム142を作ることによって達成することができる。
図9に示しているように、このプラスチック基材は、開口があるブラダー又はダクト上に溶接又は接着剤結合される。
【0074】
図10に示している第1の代替実施形態において、外装要素1とブラダー141は、一体化されている。
【0075】
例(これに限定されない)において、外装要素1は、ストラップ又はリストバンド3の部分31である。前記のように、この部分は、2つのバンド3100を有しており、これらは互いに接合しており、間に空き空間3102を形成している。このようにして、この空き空間3102は、エアポケットを形成する。好ましくは携行可能な物を着用するときにユーザーが見る方のバンドである、2つのバンド3100のうちの一方には、記載しているようなポンプシステム142が設けられる。
【0076】
このために、好ましくはユーザーが見える方のバンドである、2つのバンド3100の一方には、開口3103がある。この開口3103は、ポンプシステム142を挿入するために設けられる。このポンプシステム142は、基礎142a上に配置される。この基礎142aは、開口3103においてリストバンド部分31のバンド3100上に溶接され又は接着剤結合される。したがって、ユーザーがポンプシステム142に作用して、リストバンド部分を膨張させたり収縮させることができる。
【0077】
このリストバンド部分は、第1の材料M1、すなわち、与えられた応力に応じて異なる波長を反射することができる材料、を担持するために用いられる。この第1の材料M1は、リストバンド部分31を形成する2つのバンド3100の少なくとも1つ上に堆積された厚膜の形態である。しかし、第1の材料M1は、当該材料の一体化された部分を形成するように構成していることができる。この一体化された部分から、バンド3100が作られる。
【0078】
好ましい構成の1つ(図示せず)において、プロセスの簡明さのために、前記第1の材料M1は、2つの光透過性の(TPUタイプの)熱可塑性膜内にカプセル化されたオパール膜を有し、材料M1は、リストバンド部分のバンド3100の少なくとも1つを形成する。したがって、ブラダーとそのプラスチックポンプシステムの製造は、いくつかの熱溶接操作によって容易に達成することができる。結果的に、ユーザーがポンプシステム142に作用すると、そのユーザーはリストバンド部分31内の気圧を増やしたり減らしたりすることができる。圧力が増加すると、この圧力上昇によって与えられる応力は、バンド3100の一方及び/又は他方の変形を発生させるまで、リストバンド部分31を形成するバンドへと伝達される。この変形は、第1の材料M1に伝達され、そして、その第1の材料M1の構造が変わって、異なる波長を反射するようになる。ポンプシステム142の排出弁144に作用することによって、リストバンド部分31から空気を排出して、このリストバンド部分31内の圧力が下がる。このことによって、バンド3100に与えられる応力が小さくなり、このバンド3100はその初期の形に戻る。そして、第1の材料M1は、その初期の構造に戻り、したがって、元の波長を反射する。
【0079】
もちろん、リストバンド部分31を形成するバンド3100を異なる材料で作ることができる。好ましいことに、このことによって、第1の材料M1を担持しているバンドのために、より有利な変形特性がある材料を得ることができる。このことは、このときにバンド3100がより容易に変形可能であるようになり、ポンピングに対する反応性が向上する。
【0080】
図示している第2の代替実施形態において、外装要素10とブラダー141は別個である。例(これに限定されない)において、外装要素10はリストバンド部分31である。前記のように、この部分は、2つのバンド3100を有しており、これらどうしは接合しており、それらの間に空き空間3102を形成している。
【0081】
好ましいことに、この代替実施形態によると、2つのバンド3100の間の空き空間3102がハウジングとして用いられる。前記のように、このハウジングは、膨張したり収縮したりすることができるブラダー141を収容するために用いられ、このハウジングには、ポンプシステム142を受ける開口3103がある。このようにして、原理は、ポンプ145のアクティブ化によって、ブラダー141が膨張したり収縮され、その結果その変形とリストバンド部分を形成するバンド3100の変形を発生させることをするということである。
【0082】
図11に示している第1の手法によると、第1の代替実施形態のために説明したように、リストバンド部分を形成するバンド3100の一方及び/又は他方は、第1の材料M1を担持している。したがって、ブラダー141を膨張又は収縮させると、リストバンド部分に応力が与えられ/与えられず、このリストバンド部分が変形する/変形しない。
【0083】
図12に示している第2の手法によれば、ブラダー141は、第1の材料M1を担持している要素であるように構成している。この第1の材料M1は、ブラダー上に堆積する膜の形態であるが、第1の材料M1は、ブラダー141が作られる材料の一体化された部品を形成するように構成していることもできる。巧妙なことに、リストバンド部分31のバンド3100の少なくとも1つには、開口3103がある。これらの開口3103によって、リストバンド部分31を形成するバンド3100を通して特定の波長をブラダー141が反射することをユーザーが見ることができるようになる。また、ブラダー141がポンプ145の作用の下で膨張するとき、ブラダー141が開口3103内に部分的に挿入されて、したがって、局所的に変形することができる。このようにして、この局所的な変形によって、第1の材料M1上に局所的な応力を発生させて、したがって、反射することができる波長を変える。
【0084】
図13に示している第3の代替例において、ここではリストバンド部分31である外装要素1は、凹部400と、材料M1によって形成されており又は材料M1を担持しているフレキシブル膜410とによって形成されている。この凹部/膜のアセンブリーは、ブラダー141を形成している。このようにして、第1の代替実施形態と同様に、ポンプシステム142をブラダー141上に配置して、ブラダー141を膨張又は収縮させて、これによって、材料M1に幾何学的な応力を与えて、したがって、その色を変えることができる。
【0085】
この代替例の好ましいバージョンにおいて、プロセスの簡明さのために、凹部400と、ポンプシステム142と、及びブラダーをシールするフレキシブル膜410とは、熱可塑性物質で作られている。好ましくは、凹部410は、射出成形によって得られたリストバンド部分31に組み入れられる。材料M1は、2つの熱可塑性のシートの間でカプセル化されたオパールポリマー膜によって形成されている。このようにして、単純な組み立て操作(超音波、熱溶接など)によって外装要素1を得ることができる。
【0086】
図14及び15に示している例示的実施形態において、外装要素1は、腕時計の表盤41であり、携行可能な物は、計時器用ムーブメント25を有する腕時計である。このような場合、ブラダー141が表盤41の下に配置される。このブラダー141は、2つの熱溶接された半ブラダーによって作られていることができる。2つの半ブラダーを用いることができることによって、異なる材料によって作られたブラダー141を得て、スチフネスが異なる半ブラダーを得ることができ、これによって、1つの半ブラダーを支持体としてはたらかせて、1つの「アクティブな」半ブラダーを容易に変形することができるようにすることができる。そして、このブラダー141は、表盤41と、ケースミドル部20と、及び計時器用ムーブメントのプレートとによって形成されるハウジング内に配置されることができる。
【0087】
そして、ブラダー141には、腕時計の着用者が操作することができるように外側の腕時計ケース2上に配置されたポンプシステム142を介して空気が与えられる。超音波結合又はシールによって、シールされた形態となるようにポンプシステムを腕時計ケースに組み立てることができる。ポンプシステムは、ダクト146を介してブラダーに接続している。ダクト146は、ブラダー141の一体化された部品を形成し、膨張した領域の厚みを小さくするように環状の接合を付加することによって作られる。
【0088】
ブラダー141が携行可能な物の着用者に見えるように、表盤41には開口41aがある。着用者に見えるブラダーの部分は、第1の材料M1を担持している部分である。したがって、着用者がポンプシステムに作用すると、ブラダーは膨張するか収縮され、材料M1が反射する光の波長を変えさせる応力が材料M1に与えられる。
【0089】
本発明の好ましいバージョンにおいて、材料M1を担持しているブラダーは、開口内、又は穴をあけられた表盤内にあって、ブラダーが見えるようにされる。ポンプがアクティブ化すると、材料M1を担持しているブラダーが膨張し、オパールの設計によって色が変わり、表盤の残りに対して識別できるようにされる。
【0090】
本発明のすべての実施形態において、製造時にM1を形成しているオパール材料の実際の構造に作用することによって、基本色と色の変化を変えることができる。実際に、前記文献に記載されているように、オパール材料によって作られた部品の屈折率、大きさ及び間隔によって、元の色と機械的な応力を与えられた後の色を制御することができる。
【0091】
なお、上で説明した実施形態は、リストバンドや表盤に制限されず、腕時計ケース、ケースミドル部、ベゼル、竜頭、押しボタン、クラスプやバックル、又は風防にも適用することができる。
【0092】
添付の請求の範囲によって定められる本発明の範囲から逸脱せずに、上記の本発明の様々な実施形態に対して、当業者に明白な様々な変更及び/又は改善及び/又は組み合わせを行うことができることは明らかである。
【0093】
第1の実施形態において、水を吸収する材料で作られている外装要素を想到することができる。このような構成によって、外装要素が水分で膨張して、これによって、応力を第1の材料の外観に出現させることができる。