(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明のテレワーク管理システムのシステム構成の一例を示す図である。
【0018】
テレワーク管理システム100は、1または複数の管理サーバ101、1または複数のテレワーカ用PC111、1または複数の管理者用PC121がインターネット130を介して接続される構成となっている。
【0019】
管理サーバ101は、テレワーカの在席・離席状況に関する情報や第三者による覗き込み、成りすまし等の情報(テレワーク情報)を一元管理するサーバであり、サービス環境ネットワーク104上に構築されている。
【0020】
管理サーバ101へは、テレワーカ用PC111と管理者用PC121が、アカウントIDとパスワードを用いた認証処理により接続し、管理サーバ101は、テレワーカ用PC111からテレワーク情報を受信した場合は、管理サーバ101のデータベースに格納する。また、管理者用PC121からテレワーク情報の取得要求があった場合は、管理サーバ101のデータベースから必要なテレワーク情報を取り出す。
【0021】
テレワーカ用PC111は、テレワーカから勤務中か勤務外かの申請(申告)を受け付け、また接続された撮像装置により撮影された映像(画像)から端末前方状態(テレワーカが在席・離席しているのか、覗き込みやなりすましが発生しているか)を検知する端末である。自宅ネットワーク110上に存在し、端末前方状態は、ルータ112、インターネット130、及びルータ103を介して管理サーバ101へ送信される。
【0022】
管理者用PC121は、テレワーク情報を確認するための端末であり、社内ネットワーク120上に存在し、テレワーク情報の確認には、ウェブ管理コンソール(ウェブブラウザ上で動作)を使用し、ルータ122、インターネット130、及びルータ103を介して管理サーバ101に接続する。
【0023】
なお、本実施例においては、テレワーカ用PC111が端末前方状態を検知し、管理サーバ101へ情報を送信する構成として説明するが、テレワーカ用PC111から映像(画像)のみを管理サーバ101に送信し、管理サーバ101において当該映像(画像)から端末前方状態を検知するよう構成しても良い。
【0024】
図2は、本発明の実施形態における管理サーバ101、テレワーカ用PC111、管理者用PC121に適用可能な情報処理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。各装置ともに、同様な構成を備えるため、同一の符号を用いて説明する。
【0025】
図2に示すように、情報処理装置は、システムバス200を介してCPU(Central Processing Unit)201、ROM(Read Only Memory)202、RAM(Random Access Memory)203、記憶装置204、入力コントローラ205、音声入力コントローラ206、ビデオコントローラ207、メモリコントローラ208、よび通信I/Fコントローラ209が接続される。
【0026】
CPU201は、システムバス200に接続される各デバイスやコントローラを統括的に制御する。
【0027】
ROM202あるいは記憶装置204は、CPU201が実行する制御プログラムであるBIOS(Basic Input/Output System)やOS(Operating System)や、本情報処理方法を実現するためのコンピュータ読み取り実行可能なプログラムおよび必要な各種データ(データテーブルを含む)を保持している。
【0028】
RAM203は、CPU201の主メモリ、ワークエリア等として機能する。CPU201は、処理の実行に際して必要なプログラム等をROM202あるいは記憶装置204からRAM203にロードし、ロードしたプログラムを実行することで各種動作を実現する。
【0029】
入力コントローラ205は、入力装置210からの入力を制御する。入力装置210としては、キーボード、タッチパネル、マウス等のポインティングデバイス等が挙げられる。
【0030】
なお、入力装置210がタッチパネルの場合、ユーザがタッチパネルに表示されたアイコンやカーソルやボタンに合わせて押下(指等でタッチ)することにより、各種の指示を行うことができることとする。
【0031】
また、タッチパネルは、マルチタッチスクリーンなどの、複数の指でタッチされた位置を検出することが可能なタッチパネルであってもよい。
【0032】
音声入力コントローラ206は、マイク/スピーカ211がマイク機能として動作する場合、マイク/スピーカ211からの音声入力を制御し、マイク/スピーカ211から入力された音声を認識することが可能となっている。また、音声入力コントローラ206は、マイク/スピーカ211がスピーカ機能として動作する場合、マイク/スピーカ211への音声出力を制御し、マイク/スピーカ211に対し音声を出力することが可能となっている。
【0033】
ビデオコントローラ207は、ディスプレイ212などの外部出力装置への表示を制御する。ディスプレイは本体と一体になったノート型パソコンのディスプレイも含まれるものとする。なお、外部出力装置はディスプレイに限ったものははく、例えばプロジェクタであってもよい。また、前述のタッチ操作により受け付け可能な装置については、入力装置210を提供する。
【0034】
なおビデオコントローラ207は、表示制御を行うためのビデオメモリ(VRAM)を制御することが可能で、ビデオメモリ領域としてRAM203の一部を利用することもできるし、別途専用のビデオメモリを設けることも可能である。
【0035】
本発明では、ユーザが情報処理装置を通常使用する場合の表示に用いられる第1のビデオメモリ領域と、所定の画面が表示される場合に、第1のビデオメモリ領域の表示内容に重ねての表示に用いられる第2のビデオメモリ領域を有している。ビデオメモリ領域は2つに限ったものではなく、情報処理装置の資源が許す限り複数有することが可能なものとする。
【0036】
メモリコントローラ208は、外部メモリ213へのアクセスを制御する。外部メモリとしては、ブートプログラム、各種アプリケーション、フォントデータ、ユーザファイル、編集ファイル、および各種データ等を記憶する外部記憶装置(ハードディスク)、フレキシブルディスク(FD)、或いはPCMCIAカードスロットにアダプタを介して接続されるコンパクトフラッシュ(登録商標)メモリ等を利用可能である。
【0037】
通信I/Fコントローラ209は、ネットワーク214を介して外部機器と接続・通信するものであり、ネットワークでの通信制御処理を実行する。例えば、TCP/IPを用いた通信やISDNなどの電話回線、および携帯電話の3G回線を用いた通信が可能である。
【0038】
なお、記憶装置204は情報を永続的に記憶するための媒体であって、その形態をハードディスク等の記憶装置に限定するものではない。例えば、SSD(Solid State Drive)などの媒体であってもよい。
【0039】
また本実施形態における通信端末で行われる各種処理時の一時的なメモリエリアとしても利用可能である。
【0040】
尚、CPU201は、例えばRAM203内の表示情報用領域へアウトラインフォントの展開(ラスタライズ)処理を実行することにより、ディスプレイ212上での表示を可能としている。また、CPU201は、ディスプレイ212上の不図示のマウスカーソル等でのユーザ指示を可能とする。
【0041】
次に、
図3、
図4のフローチャートを用いて、本実施形態におけるテレワーク管理システムが実行する処理について説明する。
【0042】
図3、
図4のフローチャートは、テレワーカ用PC111のCPU201が所定の制御プログラムを読み出して実行する処理である。
【0043】
ステップS301では、テレワーカ用PC111のCPU201は、設定ファイルから各種パラメータを読み込む。パラメータには、例えば、カメラの画像サイズ、顔認証の類似度の閾値、処理サイクル、拡張倍率、肌色広がり係数などがある。
設定ファイルの一例を
図5に示す。
【0044】
カメラ画像サイズのパラメータは、カメラから取得する画像の大きさの定義に使用する値であり、ピクセル値などにより指定するものとする。
図5に示す通り、本実施例においては、640ピクセル×480ピクセルとする。
【0045】
顔認証の類似度の閾値は、テレワーカ本人かどうかの判断に使用する値であり、本実施例においては、0.7を指定する。
【0046】
処理サイクルのパラメータは、テレワーカ用PC111での勤務状態(端末前方状態)検出の処理周期の定義にしようする値であり、ミリ秒などの単位を用いて指定するものとする。
図5に示す通り、本実施例においては、250ミリ秒とする。
【0047】
拡張倍率パラメータは、拡張顔領域情報を算出する際に使用する値であり、顔領域に対して1.0以上の面積倍率で指定するものとする。本実施例においては、4.0倍とする。
【0048】
肌色広がり係数のパラメータは、背景の誤検出であるか否かの判断に使用する値であり、
図5に示す通り、本実施例においては1.5とする。
【0049】
読み込んだ各パラメータは、RAM203に記憶させておき、必要なときに参照する。
【0050】
ステップS302では、テレワーカ用PC111のCPU201は、ステップS315で証跡情報を送信できるよう、管理サーバとの通信接続を確立する。通信接続の確立には、あらかじめ管理サーバに登録しているテレワーカのシステムログイン用のアカウントIDとログインパスワードを使用する。
【0051】
ステップS303では、テレワーカ用PC111のCPU201は、接続されたカメラにより撮影された画像を取得する。取得した画像はRAM203に記憶しておく。
【0052】
ステップS304では、テレワーカ用PC111のCPU201は、ステップS303で取得した画像から顔を検出する。顔の検出には公知技術を用いるものとする。検出結果はRAM203に記憶しておく。
【0053】
ステップS305では、テレワーカ用PC111のCPU201は、ステップS304において検出された顔に対して、肌色領域の広がりを判定することで、背景を顔として誤検出していないかの判断を行う。本処理の詳細については、
図4のフローチャートを用いて後述する。
【0054】
ステップS306では、テレワーカ用PC111のCPU201は、ステップS305の肌色領域の広がり判定処理にて背景の誤検出を取り除いた後の、顔検出個数を判定する。
【0055】
顔の検出数が0個(未検出)の場合、処理をステップS307に移行し、端末前方状態(テレワーカの勤務状態)を「離席」として判定し設定する。
【0056】
検出数が2個以上の場合、処理をステップS308に移行し、端末前方状態(テレワーカの勤務状態)を「覗き見」(覗き込み)として判定し設定する。
【0057】
検出数が1個の場合、処理をステップS309に移行し、テレワーカ本人の顔であるか否かを確認するための顔認証処理をおこなう。
【0058】
ステップS309では、テレワーカ用PC111のCPU201は、カメラにより撮影された画像から検出された顔と、予め登録されたテレワーカ本人の顔画像との類似度を算出する。
【0059】
ステップS310では、テレワーカ用PC111のCPU201は、ステップS309で算出した類似度と、ステップS301で読み込んだ類似度の閾値とを比較し、画像から検出された顔がテレワーカ本人の顔であるかを判定する。
【0060】
具体的には、算出された類似度が閾値を満たす場合は本人と判定し、閾値を満たさない場合は、他人と判定する。
【0061】
本人と判定された場合(ステップS310:YES)は、処理をステップS311に移行し、端末前方状態(テレワーカの勤務状態)を「在席」に設定する。
【0062】
他人と判定された場合(ステップS310:NO)は、処理をステップS312に移行し、端末前方状態(テレワーカの勤務状態)を「なりすまし」に設定する。
【0063】
ステップS313では、テレワーカ用PC111のCPU201は、端末前方状態(テレワーカの勤務状態)を判定し、「覗き見」または「なりすまし」の場合は、処理をステップS314に移行する。
【0064】
「在席」または「離席」の場合は、処理をステップS315に移行する。
【0065】
ステップS314では、テレワーカ用PC111のCPU201は、ディスプレイに表示されている画面をスクリーン画面として取得する。
【0066】
ステップS315では、テレワーカ用PC111のCPU201は、ステップS303で取得したカメラ画像と、ステップS314で取得したスクリーン画像とを、管理サーバ101に証跡情報として送信する。
【0067】
ステップS316では、テレワーカ用PC111のCPU201は、CPU負荷調整のためにスリープ処理をおこなう。スリープする時間は、S301で読み込んだ処理サイクルのパラメータを使用する。
【0068】
ステップS317では、テレワーカ用PC111のCPU201は、本実施形態の処理を終了する指示がなされたかを判断する。例えば、メニュー等からテレワーカ本人により明示的に終了命令があったかを判断する。処理を終了する場合は、本フローチャートの処理を終了し、処理を終了させない場合は、再びステップS303の処理に戻る。
【0069】
次に、
図4のフローチャートを用いて、ステップS305の処理の詳細を説明する。
【0070】
ステップS401では、テレワーカ用PC111のCPU201は、ステップS304で検出した顔のすべてに対して、肌色領域の広がり度合いの判定処理をおこなったかを判断する。未処理の顔がある場合、処理をステップS402に移行する。すべての顔を処理している場合、広がり度合いの判定処理を終了し、処理をステップS306に移行する。
【0071】
ステップS402では、テレワーカ用PC111のCPU201は、処理対象の顔の顔領域情報を取得する。顔領域情報は処理対象の顔が収まる矩形に関する情報であり、矩形の左上角のXYのピクセル座標、右下角のXYのピクセル座標、矩形の回転角で表現される。取得した顔領域情報はRAM203に記憶しておく。
【0072】
顔領域情報のイメージ例を
図6に示す。
図6において破線で示すとおり、テレワーカの顔が収まる矩形(601)が形成されている。この矩形で示す領域が顔領域である。この矩形の左上の頂点を(X1,Y1)というピクセル座標で示している。また、右下の頂点を(X2,Y2)というピクセル座標で示している。
【0073】
ステップS403では、テレワーカ用PC111のCPU201は、S402で取得した顔領域情報をもとに、その領域全体のピクセル数と、領域内に存在する肌色のピクセル数とをカウントする。
【0074】
肌色ピクセル数は、肌色の色相範囲内にあるピクセルのことを示す。本実施例においては、肌色の色相範囲は、人間の肌の色として想定される色をRGB等の値により予め登録しておくものとするが、設定ファイルや処理時点の状況等により変更できるようにしてもよい。
【0075】
例えば、テレワーカ本人の肌の色を登録しておくことで、背景と本人の顔とを誤検出することを低減させることが可能となる。
【0076】
顔領域全体のピクセル数と肌色ピクセル数は、RAM203に記憶しておく。
【0077】
ステップS404では、テレワーカ用PC111のCPU201は、ステップS402で取得した顔領域を拡張したものである拡張顔領域を特定するための「拡張顔領域情報」を算出する。
【0078】
拡張顔領域情報は矩形情報であり、矩形の左上角のXYのピクセル座標、右下角のXYのピクセル座標、矩形の回転角で表現する。拡張顔領域情報の算出には、ステップS301で読み込んだ拡張倍率パラメータを使用し、顔領域の矩形に対して中心および回転角は一致したまま、面積が拡張倍率パラメータと同倍率となる相似矩形を生成し、当該矩形の左上角および右下角のXYピクセル座標を算出する。
【0079】
なお、顔がカメラ画像の端にある場合、画像領域をはみ出した拡張顔領域情報が算出されることが考えられる。その場合は、ステップS405で、はみ出した部分を考慮した処理が実施される。算出した拡張顔領域情報は、RAM203に記憶しておく。
【0080】
拡張顔領域情報のイメージ例を
図7に示す。
図7において一点鎖線で示すとおり、テレワーカの顔が収まる矩形(顔領域)を拡張した領域(拡張顔領域)を示す矩形(701)が形成されている。この矩形で示す領域(顔領域を含む領域)が拡張顔領域である。この矩形のこの矩形の左上の頂点を(X3,Y3)というピクセル座標で示している。また、右下の頂点を(X4,Y4)というピクセル座標で示している。
【0081】
ステップS405では、テレワーカ用PC111のCPU201は、S404で取得した拡張顔領域情報をもとに、その領域全体(顔領域を含む)のピクセル数と、領域内に存在する肌色ピクセル数をカウントする。肌色ピクセル数は、ステップS403の処理と同様にカウントする。拡張顔領域情報が、カメラ画像の端にあり、画像をはみ出す場合は、はみ出す領域を取り除いて、それぞれのピクセル数をカウントする(
図8参照)。
【0082】
また、カメラ画像からはみ出す領域を取り除いた最終的な拡張顔領域が、顔領域の何倍の面積になっているかを、実拡張倍率として算出する。
【0083】
拡張顔領域の肌色ピクセル数と、算出した実拡張倍率は、RAM203に記憶しておく。
【0084】
図8は、拡張顔領域が撮影領域(画像領域)を超えている場合のイメージを図示したものである。
図8の801で示す領域が取り除かれた領域である。
【0085】
ステップS406では、テレワーカ用PC111のCPU201は、ステップS403で算出した顔領域での全体ピクセル数と肌色ピクセル数、ステップS405で算出した拡張顔領域での全体ピクセル数と肌色ピクセル数をもとに、それぞれの肌色ピクセル比率を算出する。
肌色ピクセル比率は、以下の計算式で算出する。
「肌色ピクセル比率=肌色ピクセル数/全体ピクセル数」
【0086】
上記の計算式を用いて、顔領域と拡張顔領域それぞれの肌色ピクセル比率を算出する。
【0087】
ステップS407では、テレワーカ用PC111のCPU201は、ステップS401で読み込んだ肌色広がり係数パラメータ、ステップS405で算出した実拡張倍率、ステップS406で算出した顔領域と拡張顔領域の肌色ピクセル比率を用いて、肌色の広がり度合いの判定処理をおこなう。
はじめに、以下の計算式で肌色広がり率を算出する。
【0088】
「肌色広がり率=顔領域肌色ピクセル比率/拡張顔領域肌色ピクセル比率」
【0089】
肌色広がり率を算出後、以下の不等式で肌色の広がり度合いを判定する。
「肌色広がり率≧実拡張倍率/肌色広がり係数パラメータ」
【0090】
この不等式が成り立たない場合は、肌色の広がりは許容範囲外として判定する(ステップS407:NO)。すなわち、人物の顔ではなく、背景の凹凸や模様等を顔と誤認識したものであると判定する。
【0091】
不等式が成立する場合は、肌色の広がりは許容範囲内、すなわち人物の顔であると判定する(ステップS407:YES)。
【0092】
上記式によれば、肌色広がり率は、拡張顔領域から顔領域を除いた領域に肌色ピクセルが存在しない場合には、実拡張倍率と等しくなる。他方、拡張顔領域から顔領域を除いた領域に肌色ピクセルが存在する場合には、実拡張倍率よりも小さい値となる。
【0093】
そのため、肌色広がり係数パラメータの値を大きくすれば基準が緩くなり(背景の凹凸や模様等を人物の顔と認識する可能性が高くなるが、人物の顔を背景等と誤認識する可能性は低くなる)、小さくすれば基準が厳しくなる(背景の凹凸や模様等を人物の顔と認識する可能性が低くなるが、人物の顔を背景等と誤認識する可能性は高くなる)。
【0094】
また、本実施例では、肌色ピクセルの比率を用いたが、単純に肌色ピクセルの絶対数の増減によって肌色の広がり度合いを判定することも可能である。
【0095】
しかし、比率を用いる方法によれば、画像中の顔の大きさ(顔領域、拡張顔領域の面積)によって判定内容に差が出てしまうことを防ぐことが可能となる。その結果、顔の大きさに関らず適切な判断が可能となる。
【0096】
また、比率を用いることで、拡張顔領域が画像からはみ出している場合にも、適切な判断が可能となる。つまり、拡張顔領域の大部分が画像からはみ出すような場合、それが背景であっても、肌色ピクセル数の増加数は画像中央で検出された場合(すなわち、拡張顔領域が画像からはみ出ない場合)よりも少なくなる。このように、肌色ピクセルの絶対数の増減によって判定する手法だと、適切な結果が得られないケースがあるため、本実施例のように比率を用いる方法の方が好ましい。
【0097】
ステップS408では、テレワーカ用PC111のCPU201は、ステップS407の処理で、背景の誤認識として判断された顔情報を削除する。そして、処理をステップS401に戻す。
【0098】
本実施例においては、予め肌色を定義しておくものとして説明した。例えば、ステップS403の処理で説明したように、人間の肌の色として想定される色をRGB等の値により予め登録しておく方法や、テレワーカ本人の肌の色を予め登録しておく方法である。
【0099】
しかし、肌色を予め定義せずに、「右目・左目・口を頂点とする三角形の内側の色」を肌色としたり、「顔領域の中心(中心点)の色」を肌色としたり、「顔領域で最もピクセル数の多い色」を肌色とするなど、動的に肌色を定義しても良い。すなわち、「右目・左目・口を頂点とする三角形の内側の色」や「顔領域の中心の色」や「顔領域で最もピクセル数の多い色」が拡張顔領域にも広がっているかを判断することで、背景であるか人物の顔であるかを判定する方法であっても良い。
【0100】
以上の処理により、本当は背景であるにもかかわらず顔として検出した場合にも、当該検出が誤検出であることを判定可能となる。このように、本物の顔を適切に検出できるため、在席・離席・覗き込み・成りすまし等の端末前方状態を適切に検出することが可能となる。
【0101】
次に
図5を参照して、本実施例における設定ファイルの記述例について説明する。
【0102】
図6は、カメラ画像のサイズ、本人認証時の類似度の閾値、本人認証処理のサイクル、顔周辺のどこまでを判定対象にするかを決める拡張倍率、拡張顔領域内で許容する肌色の広がり係数の各パラメータ設定例である。この例では、各設定項目をタグで囲んで設定している。
【0103】
カメラ画像サイズのパラメータは、image_sizeタグで指定している。「横×縦」の形式で、ピクセルで指定している。
【0104】
本人認証時の類似度の閾値のパラメータは、similarity_thresholdタグで指定している。認証処理時に算出する類似度がここで設定する閾値を下回ると、他人と判断される。フォールス・ネガティブの観点から、指定できる範囲を0.5〜1.0とするのが好ましい。
【0105】
本人認証処理サイクルのパラメータは、processing_cycleタグで指定している。指定する値の単位はミリ秒とするのが好ましい。
【0106】
拡張倍率のパラメータは、extended_face_areaタグで指定する。指定する値は拡張のための面積倍率を表すため、指定範囲は1.0以上とする。
【0107】
肌色の広がり係数のパラメータは、skin_broadening_effectタグで指定する。指定する値は、背景の誤検出であるかの判断に使用するための、肌色の広がりの度合いを表す。指定範囲は1.0以上とし、この例では1.0〜2.0で指定する。
【0108】
図9は、背景の凹凸や模様等を顔と誤検出した場合のイメージを図示したものである。
図9に示すように、テレワーカの背後にあるキャビネットの扉(取っ手)(901)を顔として誤検出している。
【0109】
本発明によれば、破線で囲まれた顔領域と一点鎖線で囲まれた拡張顔領域との肌色ピクセル比率に基づき、
図9の901で示す領域は人物の顔ではない(すなわち、背景である)と判断することができ、覗き込みが発生しているといった誤った判断を防ぐことが可能となる。
【0110】
図10は、顔検出の結果が誤検出か否かを判定するための別の手法を説明する図である。
【0111】
図10に示すように、拡張顔領域を複数の領域に分割し(
図10の例では、A〜Dの4分割)、領域ごとに肌色ピクセル比率を求め、判断する。
【0112】
また、肌色が広がっていないと考えられる領域(例えば、
図10の例ではA、Bの領域は、髪の毛が多く、肌色は少ないと考えられる)について肌色ピクセル比率を求め、判断する。
【0113】
このように、領域を分割して判断することで、適切な結果を得ることが可能となる。
【0114】
本実施例においては、
図3、
図4のフローチャートで示す処理をテレワーカ用PC111で実行するものとして説明したが、管理サーバ101において実行するよう構成してもよい。この場合、テレワーカ用PC111から管理サーバに対して、撮影された画像を送信し、管理サーバが
図5に示すパラメータ等を用いて、処理を実行する。
【0115】
本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラムもしくは記録媒体等としての実施態様をとることが可能である。具体的には、複数の機器から構成されるシステムに適用しても良いし、また、一つの機器からなる装置に適用しても良い。
【0116】
また、本発明におけるプログラムは、
図3、
図4に示すフローチャートの処理方法をコンピュータが実行可能なプログラムであり、本発明の記憶媒体は
図3、
図4の処理方法をコンピュータが実行可能なプログラムが記憶されている。なお、本発明におけるプログラムは
図3、
図4の各装置の処理方法ごとのプログラムであってもよい。
【0117】
以上のように、前述した実施形態の機能を実現するプログラムを記録した記録媒体を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に格納されたプログラムを読み出し、実行することによっても本発明の目的が達成されることは言うまでもない。
【0118】
この場合、記録媒体から読み出されたプログラム自体が本発明の新規な機能を実現することになり、そのプログラムを記録した記録媒体は本発明を構成することになる。
【0119】
プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、DVD−ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、EEPROM、シリコンディスク等を用いることが出来る。
【0120】
また、コンピュータが読み出したプログラムを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0121】
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0122】
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用しても、ひとつの機器から成る装置に適用しても良い。また、本発明は、システムあるいは装置にプログラムを供給することによって達成される場合にも適応できることは言うまでもない。この場合、本発明を達成するためのプログラムを格納した記録媒体を該システムあるいは装置に読み出すことによって、そのシステムあるいは装置が、本発明の効果を享受することが可能となる。
【0123】
さらに、本発明を達成するためのプログラムをネットワーク上のサーバ、データベース等から通信プログラムによりダウンロードして読み出すことによって、そのシステムあるいは装置が、本発明の効果を享受することが可能となる。なお、上述した各実施形態およびその変形例を組み合わせた構成も全て本発明に含まれるものである。