(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ケースのうち、前記伝熱部と接触する前記接触部位の厚さが、前記接触部位の周囲よりも薄肉であり、前記接触部位の前記周囲との境界に形成された段差によって前記第1熱伝導部材が前記接触部位に対して位置決めされる請求項5に記載の回路構成体。
前記ケースのうち、前記伝熱部と接触する前記接触部位の厚さが、前記接触部位の周囲よりも薄肉であり、前記接触部位の前記周囲との境界に形成された段差によって前記第2熱伝導部材が前記接触部位に対して位置決めされる請求項6に記載の回路構成体。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<本開示の実施形態の説明>
最初に、本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示の回路構成体は、
(1)通電により発熱する発熱部品と、前記発熱部品の接続部に接続される通電用バスバーと、前記通電用バスバーと別体に形成され、前記通電用バスバーと共に前記発熱部品の前記接続部に接続される冷却用部材と、前記冷却用部材に設けられて放熱体に熱伝導可能に接触する伝熱部と、を含む回路構成体である。
【0010】
本開示の回路構成体によれば、発熱部品の接続部に接続される部材が、通電用バスバーと冷却用部材に分かれており、冷却用部材に設けられた伝熱部が放熱体に熱伝導可能に接触するようになっている。それゆえ、通電用バスバーに伝熱部を設けた従来構造に比して、長く延出する通電用バスバー全体を熱容量を稼ぐために厚く形成する必要がなくなり、通電用バスバーの薄肉化やそれによるコストダウンを図ることができる。また、伝熱部は冷却用部材に設ければよいことから、回路構成等の制約を受ける通電用バスバーに設ける場合に比して、優れた設計自由度で冷却用部材や伝熱部を設けることができる。それゆえ、冷却用部材の伝熱部は、従来構造のように発熱部品の接続部から長く延長して設ける必要がなく、接続部の近傍にスペースに効率よく伝熱部を配置することが可能であり、回路構成体の小型化やコスト低減も図られ得る。
【0011】
しかも、発熱部品の接続部において通電用バスバーと冷却用部材が重ねて接続されることから、発熱部品の接続部における熱容量を大きくすることが可能となる。その結果、突発的な大電流によって発生する発熱にも十分に耐えることが可能となっている。さらに、通電用バスバーと伝熱部を有する冷却用部材を別体に形成することで、より単純な形状で伝熱部を設けることができ、通電用バスバーと冷却用部材を歩留まりよく形成することも可能となる。
【0012】
なお、発熱部品には、リレーやヒューズ、電流センサ等の通電により発熱する部品が含まれる。発熱部品の接続部に対する通電用バスバーの接続構造は、ボルト締結等の任意の接続構造が採用可能である。
【0013】
(2)前記発熱部品の前記接続部において、前記通電用バスバーが前記冷却用部材よりも前記接続部側に配置されていることが好ましい。
発熱部品の接続部において通電用バスバーが冷却用部材よりも接続部側に配置されていることから、発熱部品に対して通電用バスバーを低抵抗で接続することができ、ロスを回避して発熱のより少ない回路構成体が実現できる。
【0014】
(3)前記発熱部品の前記接続部からの延出方向が、前記通電用バスバーと前記冷却用部材で異なっていることが好ましい。
発熱部品の接続部に接続される部材を通電用バスバーと冷却用部材に分けることにより、それぞれの部材を最適な方向に向かって延出することが可能となる。例えば、通電用バスバーは低抵抗になるように部品間を最短距離で結び、冷却用部材は放熱体に対して最短距離で接続することが可能となる。
【0015】
(4)前記通電用バスバーと前記冷却用部材と前記発熱部品を収容するケースを含み、前記冷却用部材が、前記接続部で前記発熱部品へ熱伝導可能に接触し、前記伝熱部で前記放熱体である前記ケースに熱伝導可能に接触することが好ましい。
通電用バスバーと冷却用部材と発熱部品を収容するケースを放熱体とした場合、伝熱部で放熱体であるケースに熱伝導可能に接触することにより、ケースの接触部位を介した外部への伝熱をより有利に実現できる。それゆえ、ケースよりも放熱性の高い放熱体にケースが搭載される場合等には、発熱部品の放熱をより有利に達成し得る。
【0016】
(5)上記(4)において、前記伝熱部と前記ケースとの接触面間に介在される第1熱伝導部材を含み、前記ケースの前記伝熱部と接触する接触部位に対して前記第1熱伝導部材が位置決めされることが好ましい。通電用バスバーの伝熱部からのケースへの伝熱を促進できるからである。しかも、ケースの伝熱部への接触部位に対して第1熱伝導部材が位置決めされることから、伝熱部における伝熱の促進を一層安定して達成できる。
【0017】
(6)上記(4)または(5)において、前記ケースの前記伝熱部への接触部位は、外面側で前記放熱体である他部材に熱伝導可能に接触するものであり、前記ケースの前記外面側と前記他部材との接触面間に介在される第2熱伝導部材を含み、前記第2熱伝導部材が前記ケースの前記外面側において前記接触部位に対して位置決めされることが好ましい。冷却用部材の伝熱部を介した発熱部品からの他部材への放熱を一層有利に促進できるからである。
なお、第2熱伝導部材のケース外面側での接触部位に対する位置決めは、ケースに設けられた突起や段差等によって実現してもよいし、ケースが固定的に載置される他部材に設けられた突起や凹所等によって実現してもよい。
【0018】
(7)前記通電用バスバーと前記冷却用部材がそれぞれ別材料で形成されていることが好ましい。
通電用バスバーと冷却用部材の材料をそれぞれ最適化することが可能となることから、よりロスが少なく発熱も少ない通電用バスバーと、より放熱効率の高い冷却用部材とを、両立して実現することができる。
【0019】
(8)前記冷却用部材の前記伝熱部が、前記発熱部品に熱伝導可能に接触することが好ましい。
冷却用部材の伝熱部を、熱源である発熱部品に直接接触させ、発熱部品に最も近い位置で、伝熱部を放熱体に熱伝導可能に接触させることが可能となる。その結果、発熱部品から離隔する方向にバスバーを延長して放熱体に接触させる従来構造に比して、より効率的な発熱部品の放熱が実現できる。
【0020】
(9)上記(8)において、前記冷却用部材が、前記接続部にボルト締結されるボルト締結部を有しており、前記ボルト締結部に設けられたボルト挿通孔は、前記発熱部品の公差を吸収して前記伝熱部の前記発熱部品への接触を可能にする公差吸収スペースを含んでいることが好ましい。
冷却用部材のボルト挿通孔が、発熱部品の公差を吸収する公差吸収スペースを含んでいることから、発熱部品の公差により冷却用部材の伝熱部の発熱部品への接触状態にばらつきが生じることが低減される。その結果、伝熱部の発熱部品への接触が確実に実現され、発熱部品の放熱を安定して実現することができる。
【0021】
(10)上記(4)から(6)のいずれかにおいて、前記ケースのうち、前記伝熱部と接触する接触部位の厚さが、前記接触部位の周囲よりも薄肉であることが好ましい。ケースにおける伝熱部の接触部位を周囲よりも薄肉に構成することにより、ケースの接触部位を介した外部への伝熱をより有利に実現できる。それゆえ、ケースよりも放熱性の高い放熱体にケースが搭載される場合等には、発熱部品の放熱をより有利に達成し得る。
【0022】
(11)上記(5)において、前記ケースのうち、前記伝熱部と接触する前記接触部位の厚さが、前記接触部位の周囲よりも薄肉であり、前記接触部位の前記周囲との境界に形成された段差によって前記第1熱伝導部材が前記接触部位に対して位置決めされることが好ましい。接触部位が薄肉であるため周囲との境界に形成される段差が、第1熱伝導部材の位置決めに利用することができる。これにより、少ない部品点数で、発熱部品の効率的な放熱を安定して実現できる。
【0023】
(12)上記(6)において、前記ケースのうち、前記伝熱部と接触する前記接触部位の厚さが、前記接触部位の周囲よりも薄肉であり、前記接触部位の前記周囲との境界に形成された段差によって前記第2熱伝導部材が前記接触部位に対して位置決めされることが好ましい。接触部位が薄肉であるため周囲との境界に形成される段差が、第2熱伝導部材の位置決めに利用することができる。これにより、少ない部品点数で、発熱部品の効率的な放熱を安定して実現できる。特に、(11)と組み合わせて採用することにより、一層効率的な放熱と安定性を確保できる。
【0024】
(13)上記(1)において、前記通電用バスバーと前記冷却用部材と前記発熱部品を収容するケースと、前記伝熱部と前記ケースとの接触面間に介在される第1熱伝導部材と、をさらに含んでおり、前記発熱部品には一対の前記接続部が設けられており、一方の前記接続部には
、前記通電用バスバーと前記冷却用部材が接続されており、他方の前記接続部には、放熱部を備える
他の通電用バスバーが接続されており、前記伝熱部が前記放熱部を備える
前記他の通電用バスバー側に延び出して、前記伝熱部と前記放熱部とが、1つの前記第1熱伝導部材を介して前記ケースに熱伝導可能に接触していることが好ましい。
伝熱部は、放熱部を備える
他の通電バスバー側に延び出して、これら伝熱部と放熱部とが1つの第1熱伝導部材を介してケースに熱伝導可能に接触している。それゆえ、伝熱部と放熱部とで別個に第1熱伝導部材を設ける場合に比べて、特に第1熱伝導部材の幅寸法を小さく抑えることも可能であり、第1熱伝導部材の総面積を減少させることもできる。また、伝熱部と放熱部とで別個に第1熱伝導部材を設ける場合に比べて、組付工程数を減少させることもできる。
【0025】
(14)上記(13)において、前記他方の接続部に接続された
前記他の通電用バスバーが、前記発熱部品と前記第1熱伝導部材との間に配索されていることが好ましい。
発熱部品と第1熱伝導部材との間に
他の通電用バスバーを配索することで、
他の通電用バスバーにおける発熱部品と第1熱伝導部材との間の部分を放熱部とすることができる。特に、発熱部品と放熱部とを直接接触させることで、発熱部品から、放熱部および第1熱伝導部材を通じてのケースへの伝熱を、より効率よく、且つ速やかに達成することもできる。
【0026】
(15)上記(13)または(14)において、複数の発熱部品を備えており、前記複数の発熱部品には、前記放熱部を備える複数の
前記他の通電用バスバーが熱的に接続されており、前記伝熱部および複数の前記放熱部が、1つの前記第1熱伝導部材を介して前記ケースに熱伝導可能に接触していることが好ましい。
伝熱部および複数の放熱部が、1つの第1熱伝導部材を介してケースに熱伝導可能に接触していることから、伝熱部および複数の放熱部に対して別個に第1熱伝導部材が設けられる場合に比べて、組付工程数を減少させることができる。
【0027】
<本開示の実施形態の詳細>
本開示の回路構成体の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0028】
<実施形態1>
本明細書に開示された技術を回路構成体10に適用した実施形態1について、
図1から
図6を参照しつつ説明する。回路構成体10は、例えば電気自動車やハイブリッド自動車等の車両(図示せず)に搭載され、バッテリー等の電源(図示せず)からモータ等の負荷(図示せず)への電力の供給、制御を行う。回路構成体10は、任意の向きで配置することができるが、以下では、Z方向を上方、Y方向を前方、X方向を右方として説明する。また、複数の同一部材については、一部の部材にのみ符号を付し、他の部材については符号を省略する場合がある。
【0029】
図1に示すように、回路構成体10は、ケースを構成するベース部材12と、ベース部材12に配設されたリレー14(発熱部品の一例)、ヒューズ16(発熱部品の一例)、電流センサ18(発熱部品の一例)等の電気部品と、ベース部材12を上方から覆いケースを構成する蓋部材20と、を備えている。
【0030】
<ベース部材12>
ベース部材12は、絶縁性の合成樹脂を所定の形状に射出成形してなる。ベース部材12を構成する合成樹脂は、ガラスファイバー等のフィラーを含んでいてもよい。ベース部材12は、例えば
図3に示すように、全体として上方に向かって開口する略矩形箱体形状をなしており、底壁22と、底壁22の端縁部から上方に向かって突設された周壁24とを有している。本開示の実施形態1においては、ベース部材12の外形状は、上方から見て、略長方形状をなしている。なお、ベース部材12の外形状は本実施形態の形状に限定されない。
【0031】
図3に示すように、ベース部材12の底壁22における上面26の左方端部には、平面視で矩形状かつ凹状の第1熱伝導部材収容部28aの2つが上方に向かって開口しており、左右方向に隣接配置されて僅かの隙間を隔てて並設されている。また、上面26の中央部には、第1熱伝導部材収容部28aよりも小面積とされた平面視で矩形状かつ凹状の第1熱伝導部材収容部28bが上方に開口して形成されている。さらに、上面26の右方端部には、第1熱伝導部材収容部28bよりも小面積とされた平面視で矩形状かつ凹状の矩形状の第1熱伝導部材収容部28cが上方に開口して形成されている。
【0032】
加えて、
図4に示すように、ベース部材12の底壁22における第1熱伝導部材収容部28aの裏側には、上下方向の同じ位置に背面視で矩形状かつ凹状の第2熱伝導部材収容部30aが下方に開口して形成されている。同様に、第1熱伝導部材収容部28b,28cの裏側の上下方向の同じ位置に背面視で矩形状かつ凹状の第2熱伝導部材収容部30b,30cが下方に開口して形成されている。
図6に示すように、ベース部材12の底壁22では、凹状の第1熱伝導部材収容部28a,28b,28cおよび第2熱伝導部材収容部30a,30b,30cの底面32,34を構成する部位がその周囲よりも薄肉に形成されている。
【0033】
<第1熱伝導部材36a,36b,36cおよび第2熱伝導部材38a,38b,38c>
図3および
図6に示すように、第1熱伝導部材収容部28aには第1熱伝導部材36aが収容され、第2熱伝導部材収容部30aには第2熱伝導部材38aが収容されるようになっている。同様に、第1熱伝導部材収容部28b,28cには第1熱伝導部材36b,36cが収容され、第2熱伝導部材収容部30b,30cには第2熱伝導部材38b,38cが収容されるようになっている。
【0034】
第1熱伝導部材36a,36b,36cと第2熱伝導部材38a,38b,38cは、何れも絶縁性を有しており、上下方向に扁平なシート状をなしており、空気よりも熱伝導率の大きな合成樹脂からなる。具体的には、シリコーン系の樹脂や非シリコーン系のアクリル系樹脂やセラミック系樹脂等が利用できる。より詳細には、例えば、シリコーン系の樹脂からなる、放熱ギャップフィラーや熱伝導グリースや熱伝導性シリコーンゴム等が挙げられる。第1熱伝導部材36a,36b,36cは柔軟性を有しており、上下方向に加えられる力に応じて、厚さ寸法が変化できるようになっている。なお、本実施形態では、第1熱伝導部材36a,36b,36cと第2熱伝導部材38a,38b,38cは、何れもシート状をなしているが、これに限定されず任意の形状が採用可能である。
【0035】
<リレー14>
図3,5に示すように、リレー14は、直方体形状の本体40の内部に図示しない接点部およびコイル部を有する、いわゆる機械式の電気部品である。本体40の前面には、左側に設けられた第1電力端子42(接続部の一例)と、右側に設けられた第2電力端子44(接続部の一例)とが左右方向に並んで設けられている。第1電力端子42と第2電力端子44に電流が流れると、接点部およびコイル部で熱が発生する。接点部は、第1電力端子42と第2電力端子44に近接する側(
図5中、手前側)に設けられ、コイル部は、第1電力端子42および第2電力端子44から離隔する側(
図5中、奥側)に設けられている。また、本体40の前面において、第1電力端子42と第2電力端子44との間には、両端子42,44を仕切る絶縁板46が設けられている。なお、
図6に示すように、第1電力端子42および第2電力端子44には、それぞれ前後方向に延びるボルト孔48が形成されている。
【0036】
第1電力端子42には、ボルト孔48にボルト50を螺合することにより後述する第1通電用バスバー56と第1通電用バスバー56と別体に形成された第1冷却用部材64が接続され、熱伝導可能に接触されている。また、第2電力端子44には、ボルト孔48にボルト50を螺合することにより、後述する第2通電用バスバー72と第2通電用バスバー72と別体に形成された第2冷却用部材78が接続され、熱伝導可能に接触されている。
【0037】
<ヒューズ16>
図3に示すように、ヒューズ16は、直方体形状をなしている。ヒューズ16の左側面および右側面からは、それぞれリード端子52a(接続部の一例)が、左右方向の外方に突出して形成されている。リード端子52aは金属板材からなる。リード端子52aには、上下方向に貫通する挿通孔54aが形成されている。
【0038】
<電流センサ18>
図3にも示すように、電流センサ18は、直方体形状をなしている。電流センサ18の右側面および左側面からは、それぞれリード端子52b(接続部の一例)が、左右方向の外方に突出して形成されている。リード端子52bは金属板材からなる。リード端子52bには、上下方向に貫通する挿通孔54bが形成されている。
【0039】
<第1通電用バスバー56>
通電用バスバーとしての第1通電用バスバー56は、金属板材を所定の形状にプレス加工してなる。第1通電用バスバー56を構成する金属としては、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の熱伝導性が高く、電気抵抗の低い金属を適宜に選択することができる。
図3に示すように、第1通電用バスバー56は左右方向に延びており、左右方向の適切な箇所でL字状に屈曲して形成されている。第1通電用バスバー56は、右方端部に設けられたボルト締結部58と、ボルト締結部58の下端部から左方側に延び出しL字状に屈曲されて水平方向(前後方向および左右方向)に広がり左方端部に設けられた外部接続部60aと、を備えている。外部接続部60aには、ボルト挿通孔61が形成されている。
【0040】
ボルト締結部58は、前方から見て長方形状をなしており、やや右寄りの中央部に円形状のボルト挿通孔62が貫設されている。このように、第1通電用バスバー56の一端部(右方端部)が、発熱部品であるリレー14の接続部である第1電力端子42に接続される接続部位であるボルト締結部58とされている。
【0041】
<第1冷却用部材64>
冷却用部材としての第1冷却用部材64は、第1通電用バスバー56に関して例示した任意の金属からなる板材を所定の形状にプレス加工してなる金属製の平板部材によって構成されている。
図3に示すように、第1冷却用部材64は前後方向に延びており、前後方向の適切な箇所でL字状に屈曲して形成されている。第1冷却用部材64は、前方端部に設けられたボルト締結部66と、ボルト締結部66の下端部においてL字状に屈曲されて後方側に延び出して設けられた伝熱部68と、を備えている。なお、第1冷却用部材64(後述する第2冷却用部材78)は熱伝導率が高ければ、必ずしも電気抵抗が低くなくてもよいため、第1通電用バスバー56(後述する第2〜第4通電用バスバー72,82,90)とは別材料を用いることも可能である。
【0042】
ボルト締結部66は、前方から見て長方形状をなしており、やや右寄りの中央部に縦長の楕円形状のボルト挿通孔70が貫設されている。このように、第1冷却用部材64の一端部(前方端部)が、発熱部品であるリレー14の接続部である第1電力端子42に接続される接続部位であるボルト締結部66とされている。
【0043】
ボルト締結部58とボルト締結部66は、第1電力端子42に前方から重ね合わされた状態で、ボルト50のねじ部50aがボルト挿通孔70,62を挿通して第1電力端子42のボルト孔48に螺合されることにより、第1電力端子42にボルト締結される。これにより、第1通電用バスバー56と第1冷却用部材64がリレー14に対して電気的に接続される。この結果、第1電力端子42において、ボルト締結部58がボルト締結部66よりも第1電力端子42側に配置される。
【0044】
また、
図5に示すように、ボルト締結部66に設けられたボルト挿通孔70が、縦長の楕円形状とされていることから、ボルト締結部66に対するリレー14の上下方向の公差を吸収することができる。すなわち、
図6に示すように、ボルト締結部66のボルト挿通孔70は第1電力端子42のボルト孔48に対して上下方向に公差吸収スペース(
図6中のa
1 およびa
2 )を有している。これにより、ボルト締結部66の下端部から延び出した伝熱部68が、リレー14の本体40の底面に対して確実に接触することを可能としている。このように、本実施形態では、第1冷却用部材64に設けられた伝熱部68を、発熱部品であるリレー14に直接接触させ、リレー14に最も近い位置で、伝熱部68を放熱体であるベース部材12に熱伝導可能に接触させている。
【0045】
さらに、外部接続部60aに図示しない外部回路端子が重ね合わされた状態でボルト挿通孔61にボルトを挿通して締結することにより、外部接続部60aと外部回路端子とが電気的に接続されるようになっている。
【0046】
<第2通電用バスバー72>
通電用バスバーとしての第2通電用バスバー72は、第1通電用バスバー56に関して例示した任意の金属からなる板材を所定の形状にプレス加工してなる。
図3に示すように、第2通電用バスバー72は左右方向に延びており、左右方向の適切な箇所でL字状に屈曲して形成されている。第2通電用バスバー72は、左方端部に設けられたボルト締結部74と、ボルト締結部74の下端部から右方側に延び出しL字状に屈曲されて前後方向に延び出し後方端部に設けられたヒューズ接続部76と、を備えている。ヒューズ接続部76には、回路構成体10の組付時にボルト50が挿通されるボルト挿通孔77が形成されている。
【0047】
ボルト締結部74は、前方から見て長方形状をなしており、やや左寄りの中央部に円形状のボルト挿通孔62が貫設されている。このように、第2通電用バスバー72の一端部(左方端部)が、発熱部品であるリレー14の接続部である第2電力端子44に接続される接続部位であるボルト締結部74とされている。
【0048】
<第2冷却用部材78>
冷却用部材としての第2冷却用部材78は、第1通電用バスバー56に関して例示した任意の金属からなる板材を所定の形状にプレス加工してなる金属製の平板部材によって構成されている。
図3に示すように、第2冷却用部材78は前後方向に延びており、前後方向の適切な箇所でL字状に屈曲して形成されている。第2冷却用部材78は、前方端部に設けられたボルト締結部80と、ボルト締結部80の下端部においてL字状に屈曲されて後方側に延び出して設けられた伝熱部68と、を備えている。
【0049】
ボルト締結部80は、前方から見て長方形状をなしており、やや左寄りの中央部に縦長の楕円形状のボルト挿通孔70が貫設されている。このように、第2冷却用部材78の一端部(前方端部)が、発熱部品であるリレー14の接続部である第2電力端子44に接続される接続部位であるボルト締結部80とされている。
【0050】
ボルト締結部74とボルト締結部80は、第2電力端子44に前方から重ね合わされた状態で、ボルト50のねじ部50aがボルト挿通孔70,62を挿通して第2電力端子44のボルト孔48に螺合されることにより、第2電力端子44にボルト締結される。これにより、第2通電用バスバー72と第2冷却用部材78がリレー14に対して電気的に接続される。なお、第2電力端子44において、ボルト締結部74がボルト締結部80よりも第2電力端子44側に配置されている。
【0051】
また、
図5に示すように、ボルト締結部80に設けられたボルト挿通孔70が、縦長の楕円形状とされていることから、ボルト締結部80に対するリレー14の上下方向の公差を吸収することができる。すなわち、
図6に示すボルト締結部66と同様に、ボルト締結部80のボルト挿通孔70は第2電力端子44のボルト孔48に対して上下方向に公差吸収スペース(
図6中のa
1 およびa
2 )を有している。これにより、ボルト締結部80の下端部から延び出した伝熱部68が、リレー14の本体40の底面に対して確実に接触することを可能としている。第1冷却用部材64と同様、本実施形態では、第2冷却用部材78に設けられた伝熱部68を、発熱部品であるリレー14に直接接触させ、リレー14に最も近い位置で、伝熱部68を放熱体であるベース部材12に熱伝導可能に接触させている。
【0052】
ヒューズ接続部76は、上方から見て長方形状をなしている。ヒューズ接続部76は、ヒューズ16から左方に突出したリード端子52aと重ね合わされた状態で、ボルト50により固定されるようになっている。これにより、第2通電用バスバー72とヒューズ16とが電気的に接続されるようになっている。
【0053】
<第3通電用バスバー82>
図3に示すように、第3通電用バスバー82(通電用バスバーの一例)は左右方向に延びており、左右方向の適切な箇所でクランク状に屈曲して形成されている。第3通電用バスバー82は、左方端部に設けられたヒューズ接続部84と、右方端部に設けられた電流センサ接続部86と、かかるヒューズ接続部84と電流センサ接続部86間をU字状に繋ぐU字状部と、を備えている。U字状部の底壁によって放熱部88が構成されている。第3通電用バスバー82も第1通電用バスバー56に関して例示した熱伝導性が高く、電気抵抗の低い任意の金属により構成される。
【0054】
ヒューズ接続部84は、ヒューズ16から右方に突出するリード端子52aと重ね合わされた状態で、ボルト50が螺合されることにより固定されるようになっている。これにより、第3通電用バスバー82とヒューズ16とが電気的に接続されるようになっている。
【0055】
電流センサ接続部86は、電流センサ18から左方に突出するリード端子52bと重ね合わされた状態で、ボルト50が螺合されることにより固定されるようになっている。これにより、第3通電用バスバー82と電流センサ18とが電気的に接続されるようになっている。
【0056】
<第4通電用バスバー90>
図3に示すように、第4通電用バスバー90(通電用バスバーの一例)は左右方向に延びており、左右方向の適切な箇所でクランク状に屈曲して形成されている。第4通電用バスバー90は、左方端部に設けられた電流センサ接続部92と、右方端部に設けられた外部接続部60bと、かかる電流センサ接続部92と外部接続部60b間をU字状に繋ぐU字状部と、を備えている。U字状部の底壁によって放熱部94が構成されている。第4通電用バスバー90も第1通電用バスバー56に関して例示した熱伝導性が高く、電気抵抗の低い任意の金属により構成される。
【0057】
電流センサ接続部92は、電流センサ18から右方に突出するリード端子52bと重ね合わされた状態で、ボルト50が螺合されることにより固定されるようになっている。これにより、第4通電用バスバー90と電流センサ18とが電気的に接続されるようになっている。
【0058】
また、外部接続部60bにはボルト挿通孔95が形成されている。そして、外部接続部60bに図示しない外部回路端子が重ね合わされた状態でボルト挿通孔95にボルトを挿通して締結することにより、外部接続部60bと外部回路端子とが電気的に接続されるようになっている。
【0059】
<蓋部材20>
蓋部材20は、ベース部材12と同様の材質を所定の形状に射出成形してなる。蓋部材20は、下方に開口する箱形状とされている。本実施形態では、蓋部材20が、ベース部材12に対応して、上方から見て長方形をなしている。すなわち、蓋部材20は、矩形の上底壁部96と、上底壁部96の周囲から下方に突出する周壁部98とを備えている。
【0060】
図1および
図3に示すように、蓋部材20の左右方向の端部には、上底壁部96が矩形状に切り欠かれることにより上下方向に開口する開口部100a,100bが形成されている。また、蓋部材20の外周部分には、後述する他部材108(
図6参照)に装着される際にボルトが挿通される複数のボルト挿通孔102が形成されている。
【0061】
<回路構成体10の組み付け工程>
続いて、回路構成体10の組み付け工程の一例について説明する。回路構成体10の組み付け工程は、以下の記載に限定されない。
【0062】
まず、ベース部材12を準備する。次に、2枚の第1熱伝導部材36aと、第1熱伝導部材36b,36cを1枚ずつ、および2枚の第2熱伝導部材38aと第2熱伝導部材38b,38cを1枚ずつ、トムソン型抜き加工等の公知の手法により所定の形状に切り出す。このようにして形成された第1熱伝導部材36a,36b,36cと第2熱伝導部材38a,38b,38cを、第1熱伝導部材収容部28a,28b,28c内と第2熱伝導部材収容部30a,30b,30c内にそれぞれ配置する。この際、ベース部材12の伝熱部68および放熱部88,94への接触部位である第1熱伝導部材収容部28a,28b,28cの底面32と周囲の段差104によって第1熱伝導部材36a,36b,36cが位置決めされる。また、ベース部材12の外面側に設けられた後述する他部材108への接触部位である第2熱伝導部材収容部30a,30b,30cの底面34と周囲の段差106によって第2熱伝導部材38a,38b,38cが位置決めされる。
【0063】
続いて、リレー14,ヒューズ16,電流センサ18に対して第1〜第4通電用バスバー56,72,82,90と第1および第2冷却用部材64,78を取り付ける。例えば、まず、リレー14の第1電力端子42に設けられたボルト孔48に対して第1通電用バスバー56のボルト締結部58に設けられたボルト挿通孔62を重ねる。次いで、第1冷却用部材64のボルト締結部66に設けられたボルト挿通孔70を重ね、リレー14の底面に第1冷却用部材64の伝熱部68を接触させる。かかる状態で、リレー14の第1電力端子42に対して第1通電用バスバー56のボルト締結部58および第1冷却用部材64のボルト締結部66をボルト締結する。同様にして、リレー14の第2電力端子44に対して第2通電用バスバー72のボルト締結部74と第2冷却用部材78のボルト締結部80をボルト締結する。これにより、リレー14の底面に第2冷却用部材78の伝熱部68が接触された状態となる。以上の結果、接続部である第1電力端子42において、通電用バスバーである第1通電用バスバー56が冷却用部材である第1冷却用部材64よりも接続部である第1電力端子42側に配置された状態で固定される。また、接続部である第2電力端子44において、通電用バスバーである第2通電用バスバー72が冷却用部材である第2冷却用部材78よりも接続部である第2電力端子44側に配置された状態で固定される。
【0064】
次に、第2通電用バスバー72のヒューズ接続部76に対して、ヒューズ16から左方に突出したリード端子52aを下方側から重ね合わせて、ボルト50により両者を接続する。ヒューズ16から右方に突出したリード端子52aに対しては、上方側から第3通電用バスバー82のヒューズ接続部84を重ね合わせて、ボルト50により両者を接続する。
【0065】
第3通電用バスバー82の電流センサ接続部86に対しては、電流センサ18から左方に突出するリード端子52bを下方側から重ね合わせて、ボルト50により両者を接続する。
【0066】
以上の結果、リレー14,ヒューズ16,電流センサ18が、第1〜第4通電用バスバー56,72,82,90によって直列に電気的に接続される。左方端部には図示しない外部回路端子と接続可能な外部接続部60aが形成され、右方端部には図示しない外部回路端子と接続可能な外部接続部60bが形成される。加えて、リレー14の底面には、第1および第2冷却用部材64,78の伝熱部68がそれぞれ左方側と右方側の略全面に亘って接触状態で配置されている。
【0067】
このようにして、リレー14,ヒューズ16,電流センサ18が第1〜第4通電用バスバー56,72,82,90によって直列に電気的に接続され、リレー14の底面に第1および第2冷却用部材64,78の伝熱部68が接触状態で配置されている。かかる部材を、第1熱伝導部材36a,36b,36cおよび第2熱伝導部材38a,38b,38cが配置されたベース部材12に、上方から収容する。なお、収容時には、第1冷却用部材64の伝熱部68,第2冷却用部材78の伝熱部68,第3通電用バスバー82の放熱部88,第4通電用バスバー90の放熱部94がそれぞれ第1熱伝導部材36a,36a,36b,36c上に接触するように位置合わせして収容される。
【0068】
最後に、このように構成されたベース部材12を上方から蓋部材20により覆蓋して、回路構成体10が完成する。この結果、第1冷却用部材64の伝熱部68と第2冷却用部材78の伝熱部68の
他方の面である上面は、いずれも発熱部品であるリレー14に対して、熱伝導可能に直接接触している。第1冷却用部材64の伝熱部68,第2冷却用部材78の伝熱部68および第3通電用バスバー82の放熱部88,第4通電用バスバー90の放熱部94の一方の面である下面はいずれも、放熱体であるベース部材12に対して第1熱伝導部材36a,36a,36b,36cを介して熱伝導可能に接触している。これにより、リレー14に最も近い位置で、伝熱部68をリレー14とベース部材12に熱伝導可能に接触させることが可能となり、効率的なリレー14の放熱が実現できる。ここで、ケースを構成するベース部材12の底壁22のうち、伝熱部68,68および放熱部88,94と接触する接触部位である第1熱伝導部材収容部28a,28b,28cの底面32を構成する部位の厚さは、その周囲よりも薄肉となっている。これにより、伝熱部68,68および放熱部88,94による伝熱の促進を達成できる。また、底面32を構成する部位の周囲に段差104が形成されており、段差104によって第1熱伝導部材36a,36b,36cが、接触部位である第1熱伝導部材収容部28a,28b,28cに位置決めされている。そのため、第1熱伝導部材36a,36b,36cのずれが防止されて、意図しない伝熱部68,68および放熱部88,94の周辺部材との導通を確実に回避できる。さらに、第1冷却用部材64の伝熱部68と第2冷却用部材78の伝熱部68の他方の面である上面は、発熱部品であるリレー14の底面に対して熱伝導可能に接触している。すなわち、発熱部品であるリレー14とベース部材12との接触面間には第1熱伝導部材36aが介在している。なお、第3通電用バスバー82の放熱部88は、第3通電用バスバー82およびリード端子52a,52bを介して発熱部品であるヒューズ16および電流センサ18に熱伝導可能に接触しており、放熱体であるベース部材12に対して第1熱伝導部材36bを介して熱伝導可能に接触している。また、第4通電用バスバー90の放熱部94は、第4通電用バスバー90およびリード端子52bを介して発熱部品である電流センサ18に熱伝導可能に接触しており、放熱体であるベース部材12に対して第1熱伝導部材36cを介して熱伝導可能に接触している。
【0069】
加えて、
図6に示すように、ベース部材12の第1冷却用部材64(第2冷却用部材78)の伝熱部68への接触部位である第1熱伝導部材収容部28aの底面32は、外面側で放熱体である他部材108(例えば、電池パックの金属製筐体)に対して第2熱伝導部材38aを介して熱伝導可能に接触するようになっている。すなわち、ベース部材12と他部材108との接触面間には、第2熱伝導部材38aが介在している。これにより、冷却用部材である第1冷却用部材64(第2冷却用部材78)の伝熱部68を介した発熱部品であるリレー14からの他部材108への放熱を一層有利に促進できる。また、底面34を構成する部位の周囲に段差106が形成されており、段差106によって第2熱伝導部材38a,38b,38cが、接触部位である第2熱伝導部材収容部30a,30b,30cに位置決めされている。そのため、第2熱伝導部材38a,38b,38cのずれが防止されて、意図しない伝熱部68,68および放熱部88,94の周辺部材との導通を確実に回避できる。
【0070】
続いて、本実施形態の作用効果について説明する。本実施形態によれば、発熱部品であるリレー14の接続部である第1電力端子42,第2電力端子44に接続される部材が、通電用バスバーである第1通電用バスバー56,第2通電用バスバー72と、冷却用部材である第1冷却用部材64,第2冷却用部材78に分かれている。リレー14の放熱は、第1および第2冷却用部材64,78に設けられた伝熱部68から、伝熱部68に熱伝導可能に接触する放熱体であるベース部材12を通して行われるようになっている。これにより、通電用バスバーに伝熱部を設けた従来構造のように長く延出する通電用バスバー全体を、熱容量を稼ぐために厚く形成する必要がなくなる。特に、第1電力端子42において、第1電力端子42に接続される第1通電用バスバー56と第1冷却用部材64の延出方向が相互に異なっている。また、第2電力端子44において、第2電力端子44に接続される第2通電用バスバー72と第2冷却用部材78の延出方向が相互に異なっている。この結果、例えば、第1および第2通電用バスバー56,72は低抵抗になるように部品間を最短距離で結び、第1および第2冷却用部材64,78は放熱体に対して最短距離で接続することが可能となる。これにより、通電用バスバーの長さを短くしたり薄肉化することができることから、通電用バスバーのコストダウンを図ることができる。また、伝熱部68を設ける第1および第2冷却用部材64,78は、発熱部品であるリレー14と放熱体であるベース部材12を接続するだけでよいことから、極めて簡単な構成で実現することができる。このように部材を通電用バスバーと冷却用部材に分けることにより、構造が簡単になって歩留りよく形成することができ、回路構成体全体の小型化やそれに伴うコスト低減も可能となる。
【0071】
また、第1および第2通電用バスバー56,72のボルト締結部58,74と第1および第2冷却用部材64,78のボルト締結部66,80が、リレー14の第1電力端子42,第2電力端子44において重ねて接続されている。これにより、リレー14の接続部を構成する第1および第2電力端子42,44における熱容量を大きくすることが可能となることから、突発的な大電流が発生したとしてもそれによる発熱にも十分に耐えることが可能となっている。しかも、第1および第2通電用バスバー56,72のボルト締結部58,74が、第1および第2冷却用部材64,78のボルト締結部66,80よりもリレー14の接続部である第1および第2電力端子42,44側に配置されている。これにより、第1および第2通電用バスバー56,72をより低抵抗でリレー14の接続部である第1および第2電力端子42,44に接続することができることから、ロスを回避して発熱のより少ない回路構成体を実現することができる。
【0072】
ボルト挿通孔70はボルト50のねじ部50aに対して上下方向に公差吸収スペース(
図6中のa
1 およびa
2 )を有していることから、ボルト締結部58の下端部から延び出した伝熱部68が、リレー14の本体40の底面に対して確実に接触することを可能としている。それゆえ、第1および第2冷却用部材64,78に設けられた伝熱部68の発熱部品であるリレー14への接触が確実に実現され、発熱部品の放熱を安定して実現することができる。
【0073】
<実施形態2>
本明細書に開示された技術を回路構成体110に適用した実施形態2について、
図7から
図13を示して説明する。実施形態2の回路構成体110は、全体として前記実施形態1の回路構成体10と略同様の構造であるが、主に、
図11にも示されるように、リレー14の他方の接続部である第2電力端子44に対して、放熱部112を備える通電用バスバーとしての第2通電用バスバー114が接続されている点で異なっている。なお、実施形態2において、前記実施形態1と実質的に同一の部材および部位には、図中に、前記実施形態1と同一の符号を付すことにより詳細な説明を省略する。
【0074】
図12にも示されるように、リレー14の一方の接続部である第1電力端子42には、通電用バスバーとしての第1通電用バスバー116と、第1通電用バスバー116とは別体に形成された冷却用部材118とが接続されている。なお、実施形態2では、リレー14が、左方を向いて配置されている。
【0075】
実施形態2の第1通電用バスバー116は、全体としてL字形に屈曲している。第1通電用バスバー116の上端部は、水平方向(XY平面)に広がっていると共に、右端部は、上下方向(
YZ平面)に広がっている。第1通電用バスバー116において、水平方向に広がる上端部が、ボルト挿通孔61を備える外部接続部60aである。また、第1通電用バスバー116において、上下方向に広がる右端部が、ボルト挿通孔62を備えるボルト締結部58である。
【0076】
実施形態2の蓋部材120における上底壁部96には、第1通電用バスバー116のボルト締結部58が差し入れられる差入溝122が、上底壁部96を厚さ方向(上下方向)で貫通して形成されている。即ち、蓋部材120における差入溝122に対して第1通電用バスバー116のボルト締結部58が上方から差し入れられることで、ボルト締結部58が上底壁部96から下方に突出して、回路構成体110の組付時においてボルト挿通孔62と第1電力端子42とが相互に位置合わせされるようになっている。また、第1通電用バスバー116の外部接続部60aは、蓋部材120の上底壁部96に重ね合わされて外部に露出している。
【0077】
冷却用部材118は、右端部が上下方向(
YZ平面)に広がっている。この上下方向に広がる右端部が、ボルト挿通孔70を備えるボルト締結部66である。即ち、回路構成体110の組付時には、冷却用部材118のボルト挿通孔70と、第1通電用バスバー116のボルト挿通孔62と、第1電力端子42のボルト孔48とが相互に位置合わせされて、ボルト50が挿通されて締結される。これにより、リレー14の第1電力端子42に対して第1通電用バスバー116と冷却用部材118が固定されて、電気的、且つ熱的に接続されるようになっている。更に、冷却用部材118には、左端部に、水平方向に広がる伝熱部124が設けられている。この伝熱部124は、ボルト締結部66よりも前方に向かって延び出している。
【0078】
実施形態2の第2通電用バスバー114は、全体として左右方向に延びている。即ち、第2通電用バスバー114の左端部が、上下方向(
YZ平面)に広がるボルト締結部74であると共に、第2通電用バスバー114の右端部が、水平方向に広がるヒューズ接続部76である。したがって、回路構成体110の組付時には、第2通電用バスバー114におけるボルト締結部74のボルト挿通孔62と、リレー14における第2電力端子44のボルト孔48とが相互に位置合わせされて、ボルト50が挿通されて締結される。これにより、リレー14の第2電力端子44に対して第2通電用バスバー114が、電気的、且つ熱的に接続されるようになっている。また、第2通電用バスバー114のヒューズ接続部76と、ヒューズ16から左方に突出するリード端子52aとが重ね合わされてボルト50により締結される。
【0079】
ボルト締結部74とヒューズ接続部76との間には、水平方向に広がる放熱部112が設けられている。放熱部112は、ボルト締結部74におけるボルト挿通孔62およびヒューズ接続部76よりも下方に位置している。これにより、回路構成体110の組付時において、第2通電用バスバー114がリレー14とヒューズ16との間に接続された際に、放熱部112がリレー14の下方に位置するようになっている。そして、後述するように、放熱部112が第1熱伝導部材130を介してベース部材126に熱伝導可能に接触している。換言すれば、第2通電用バスバー114が、リレー14と第1熱伝導部材130との間に配索されている。
【0080】
実施形態2のベース部材126は、全体として、前記実施形態1におけるベース部材12と同様の形状であるが、第1熱伝導部材収容部128の形状が異なっている。即ち、実施形態2の第1熱伝導部材収容部128は、全体として左右方向に延びる略矩形状である。この第1熱伝導部材収容部128は、底壁22の上面26において、左右方向の略全長に亘って形成されている。なお、第1熱伝導部材収容部128には、蓋部材120においてボルト挿通孔102を形成する領域を確保するために、切欠状の凹部が設けられている。実施形態2においても、底壁22の上面26に段差104を設けることで第1熱伝導部材収容部128が形成されている。また、底壁22の下面にも段差106を設けることで、第1熱伝導部材収容部128と同形状とされた第2熱伝導部材収容部129が形成されている。特に、実施形態2では、これら第1熱伝導部材収容部128および第2熱伝導部材収容部129が、ベース部材126の前後方向一方の側(前側)に偏倚して設けられている。即ち、第1熱伝導部材収容部128の前後方向幅寸法が、ベース部材126の前後方向幅寸法の1/2以下である。
【0081】
第1熱伝導部材収容部128および第2熱伝導部材収容部129には、第1熱伝導部材収容部128および第2熱伝導部材収容部129と同形状とされた第1熱伝導部材130および第2熱伝導部材132が収容されて、接着剤等により固着されている。実施形態2においても、第1および第2熱伝導部材130,132は熱伝導シートの態様をもって形成されており、第1熱伝導部材収容部128および第2熱伝導部材収容部129と同様に切欠状の凹部が形成されている。
【0082】
<回路構成体110の組み付け工程>
続いて、回路構成体110の組み付け工程の一例について説明する。回路構成体110の組み付け工程は、以下の記載に限定されない。
【0083】
先ず、蓋部材120と第1通電用バスバー116を準備する。そして、蓋部材120の上底壁部96に設けられた差入溝122に第1通電用バスバー116のボルト締結部58を差し入れて、必要に応じてボルト挿通孔61にボルトを挿通して蓋部材120に締結することで、蓋部材120と第1通電用バスバー116を固定する。
【0084】
また、リレー14と第2通電用バスバー114とを準備して、リレー14の第2電力端子44に対して第2通電用バスバー114をボルト50により固定する。その後、蓋部材120を上下反転して、蓋部材120の上底壁部96に、第2通電用バスバー114が固定されたリレー14と第3通電用バスバー82と第4通電用バスバー90とを載置する。そして、上方からヒューズ16と電流センサ18を更に載置する。その後、リレー14をボルトにより蓋部材120に固定すると共に、ヒューズ16と電流センサ18と第2〜第4通電用バスバー114,82,90をボルト50により蓋部材120に固定する。これにより、リレー14の第1電力端子42と第1通電用バスバー116のボルト挿通孔62とを位置合わせする。
【0085】
さらに、蓋部材120の上方から冷却用部材118のボルト締結部66を差し入れて、第1電力端子42のボルト孔48と第1通電用バスバー116のボルト挿通孔62と冷却用部材118のボルト挿通孔70とを位置合わせする。そして、これらボルト孔48とボルト挿通孔62,70とにボルト50を挿通して締結し、リレー14に対して第1通電用バスバー116と冷却用部材118とを固定する。なお、蓋部材120の周壁部98における左端には、図示しない貫通窓が形成されており、リレー14を蓋部材120に固定した状態でも、左方から第1および第2電力端子42,44に対してボルト50を締結することが可能である。
【0086】
次に、リレー14、ヒューズ16、電流センサ18、第1〜第4通電用バスバー116,114,82,90、冷却用部材118が固定された蓋部材120の上方開口部に対して、第1および第2熱伝導部材130,132が固着されたベース部材126を組み付ける。そして、蓋部材120とベース部材126とを、接着や溶着、凹凸嵌合や圧入等の従来公知の固定方法で固定することで、蓋部材120とベース部材126とを含むケース134を形成する。このケース134を上下反転させることで、回路構成体110が完成する。
【0087】
なお、上記の回路構成体110の組み付け工程は具体的な一例に過ぎず、回路構成体110の組み付け工程を限定するものではない。例えば、第2通電用バスバー114は、予めリレー14に固定される必要はなく、第1電力端子42にボルト50を締結してリレー14に対して第1通電用バスバー116と冷却用部材118とを固定する際に、第2電力端子44にボルト50を締結してリレー14と第2通電用バスバー114とを固定してもよい。
【0088】
以上のように製造された回路構成体110では、冷却用部材118に設けられた伝熱部124が前方、即ち第2電力端子44(第2通電用バスバー114)側に延び出しており、ケース134の前方側で、第2通電用バスバー114に設けられた放熱部112に近接している。そして、実施形態2では、これら伝熱部124と放熱部112とが、1つの第1熱伝導部材130を介してケース134(ベース部材126)に熱伝導可能に接触している。特に、実施形態2では、伝熱部124と放熱部112だけでなく、第3通電用バスバー82に設けられた放熱部88と第4通電用バスバー90に設けられた放熱部94も、同じ1つの第1熱伝導部材130を介してケース134(ベース部材126)に熱伝導可能に接触している。具体的には、
図13において二点鎖線で示される第1熱伝導部材130が、伝熱部124と放熱部112の略全面に接触していると共に、放熱部88,94に対しては部分的(前方部分)に接触している。
【0089】
実施形態2の回路構成体110においても、第1通電用バスバー116とは別体とされた冷却用部材118が設けられており、冷却用部材118に設けられた伝熱部124を通じて、リレー14の発熱がケース134から放熱されることから、前記実施形態1と同様の効果が発揮され得る。
【0090】
特に、実施形態2では、伝熱部124と放熱部112とが、1つの第1熱伝導部材130に接触していることから、前記実施形態1のように一対の伝熱部68,68に対して別個の第1熱伝導部材36a,36aが設けられる場合に比べて、組付工程数を減少させることができる。また、実施形態2では、放熱部112が左右方向に長い形状であることから、伝熱部124と放熱部112とに接触する第1熱伝導部材を設ける場合でも、第1熱伝導部材の前後方向寸法を小さく抑えることができる。それゆえ、例えば前記実施形態1の両伝熱部68,68に接触する1つの第1熱伝導部材を設ける場合に比べて、第1熱伝導部材の総面積を低減させることができる。
【0091】
また、実施形態2では、伝熱部124と放熱部112だけでなく、第3通電用バスバー82の放熱部88と第4通電用バスバー90の放熱部94も、同一の第1熱伝導部材130に接触している。それゆえ、前記実施形態1のように、一対の伝熱部68,68と放熱部88,94とでそれぞれ別個の第1熱伝導部材36a,36a,36b,36cを設ける場合に比べて、組付工程数を一層減少させることができる。特に、前記実施形態1において、一対の伝熱部68,68と放熱部88,94との全面に亘って接触し得る大きさの1つの第1熱伝導部材を設けようとする場合には、ベース部材12の底壁22の略全面に亘る大きさの第1熱伝導部材が必要であった。それに対して、実施形態2では、第1熱伝導部材130を幅寸法(前後方向寸法)が略一定の矩形状として形成することで、伝熱部124および放熱部112,88,94の何れにも接触させつつ、第1熱伝導部材の総面積を少なく抑えることができる。
【0092】
さらに、実施形態2では、第2通電用バスバー114が、リレー14と第1熱伝導部材130との間に配索されている。これにより、第2通電用バスバー114においてリレー14と第1熱伝導部材130との間に位置する部分を放熱部112とすることができて、第2通電用バスバー114において第1熱伝導部材130に接触する放熱部112を巧く形成することができる。なお、実施形態2では、リレー14の底面と放熱部112とが僅かに離隔しているが、例えば第2通電用バスバー114のボルト締結部74におけるボルト挿通孔62を、前記実施形態1における第1および第2冷却用部材64,78のボルト挿通孔70のように長円形状とすることで、リレー14と第2通電用バスバー114との上下方向の相対位置を調整することも可能となる。これにより、リレー14の底面と放熱部112とを相互に接触させることもできて、伝熱効率の向上を図ることもできる。
【0093】
<他の実施形態>
本明細書に記載された技術は上記記述および図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本明細書に記載された技術の技術的範囲に含まれる。
【0094】
(1)本開示の回路構成体10,110では、発熱部品としてリレー14を例にとって、説明を行ったが、発熱部品として通電によって発熱するものであれば、ヒューズ16や電流センサ18等の任意の部品に適用可能である。また、リレー14の接続部を構成する第1および第2電力端子42,44に対する第1および第2通電用バスバー56,116,72,114の接続構造はボルト締結で説明を行ったが、これ以外の圧入等の任意の接続構造が採用可能である。さらに、第1および第2冷却用部材64,78や冷却用部材118による放熱は、第1および第2冷却用部材64,78や冷却用部材118に設けられた伝熱部68,124から、伝熱部68,124に熱伝導可能に接触する放熱体であるベース部材12,126を通したもの以外に、第1および第2冷却用部材64,78や冷却用部材118自体の放熱も含まれる。
(2)また、第1および第2冷却用部材64,78や冷却用部材118の形状は実施形態1,2に記載のものに限定されず、発熱部品や他の部品の配設位置等に合わせて適宜設計され得る。例えば、ベース部材に貫通孔が形成されており、貫通孔を介して伝熱部や放熱部が直接他部材(例えば電池パックの筐体等)に接触するものも含む。
(3)本開示の回路構成体10,110では、ケースを構成するベース部材12,126の外面側に形成された段差106を第2熱伝導部材38a,38b,38c,132の位置決めに利用していたが、これに限定されない。すなわち、第2熱伝導部材38a,38b,38c,132は、ベース部材12,126の外面側において伝熱部68,124の接触部位(底面32,34)に対して位置決めされていればよい。例えば、ベース部材12,126を含むケースが固定的に装着される電池パックの筐体等の他部材108側に設けられた位置決め突起や凹所によって、第2熱伝導部材38a,38b,38c,132が固定的に保持されて、その結果、第2熱伝導部材38a,38b,38c,132がベース部材12,126の外面側において伝熱部68の接触部位(底面32,34)に対して位置決めされるようにしてもよい。これにより、伝熱部68,124における伝熱の促進を一層安定して達成できる。
(4)本開示の回路構成体10,110では、第1〜第4通電用バスバー56,116,72,114,82,90と第1および第2冷却用部材64,78および冷却用部材118を構成する金属として同様の板材が例示されていたが、これに限定されない。第1〜第4通電用バスバー56,116,72,114,82,90と第1および第2冷却用部材64,78および冷却用部材118が異なる金属材料からなる板材から構成されていてもよい。例えば、第1〜第4通電用バスバー56,116,72,114,82,90として導電性と熱伝導性に優れた銅を選択し、第1および第2冷却用部材64,78および冷却用部材118として熱伝導性に優れ比熱の大きなアルミニウムを選択してもよい。これにより、第1〜第4通電用バスバー56,116,72,114,82,90の低抵抗化を実現でき、大電流が流れた時でも第1および第2冷却用部材64,78および冷却用部材118の温度上昇を抑えることができる。あるいは、冷却用部材は、熱伝導率の高い合成樹脂材料等から形成されていてもよい。また、冷却用部材の形状は、平板状に限定されず、任意の形状のものが採用可能である。
(5)本開示の実施形態1の回路構成体10では、接続部を構成する第1および第2電力端子42,44において、第1および第2通電用バスバー56,72がそれぞれ第1および第2冷却用部材64,78よりも接続部を構成する第1および第2電力端子42,44側に配置された状態で固定されていたが、これに限定されない。第1および第2冷却用部材64,78がそれぞれ第1および第2通電用バスバー56,72よりも接続部を構成する第1および第2電力端子42,44側に配置された状態で固定されていてもよい。また、第1および第2冷却用部材64,78の伝熱部68はいずれも発熱部品であるリレー14の本体40の底面に接触していたが、必ずしも接触していなくてもよい。例えば、冷却用部材の伝熱部が、発熱部品に接触することなく、ケース内やケース外の放熱体に接触するようにしてもよい。
【0095】
(6)前記実施形態2では、幅方向寸法(前後方向寸法)が略一定な略矩形状の第1熱伝導部材130が採用されていたが、第1熱伝導部材の幅方向寸法は部分的に大きくされてもよい。即ち、例えば実施形態2における第1熱伝導部材において、第3通電用バスバー82の放熱部88と第4通電用バスバー90の放熱部94に接触する部分の幅方向寸法を大きくしてもよく、第1熱伝導部材は、第3および第4通電用バスバーの放熱部に対して全面に亘って接触してもよい。
【0096】
(7)前記実施形態2では、第1電力端子42に冷却用部材118が接続されて、伝熱部124が、第2電力端子44(第2通電用バスバー114)側、即ち前側に延び出していたが、この態様に限定されない。例えば第2電力端子に冷却
用部材が接続されて、第1電力端子に放熱部を備える通電用バスバーが接続されてもよく、伝熱部は後方に延び出していてもよい。
【解決手段】回路構成体10が、通電により発熱する発熱部品14と、発熱部品14の接続部42,44に接続される通電用バスバー56,72と、通電用バスバー56,72と別体に形成され、通電用バスバー56,72と共に発熱部品14の接続部42,44に接続される冷却用部材64,78と、冷却用部材64,78に設けられて放熱体12に熱伝導可能に接触する伝熱部68,68と、を含む。