特許第6826356号(P6826356)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6826356
(24)【登録日】2021年1月19日
(45)【発行日】2021年2月3日
(54)【発明の名称】魚類雌雄判別装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 29/06 20060101AFI20210121BHJP
   A01K 61/95 20170101ALI20210121BHJP
【FI】
   G01N29/06
   A01K61/95
【請求項の数】11
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2020-50101(P2020-50101)
(22)【出願日】2020年3月3日
【審査請求日】2020年3月3日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520098578
【氏名又は名称】川邉 樹
(73)【特許権者】
【識別番号】520098604
【氏名又は名称】秋津 尚輝
(73)【特許権者】
【識別番号】520098626
【氏名又は名称】小寺 燿
(73)【特許権者】
【識別番号】520098659
【氏名又は名称】▲吉▼澤 颯
(73)【特許権者】
【識別番号】520098671
【氏名又は名称】石坂 翔真
(73)【特許権者】
【識別番号】520098707
【氏名又は名称】イワモト マックスウェル龍聖
(72)【発明者】
【氏名】川邉 樹
(72)【発明者】
【氏名】秋津 尚輝
(72)【発明者】
【氏名】小寺 燿
(72)【発明者】
【氏名】▲吉▼澤 颯
(72)【発明者】
【氏名】石坂 翔真
(72)【発明者】
【氏名】イワモト マックスウェル龍聖
【審査官】 村田 顕一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−168633(JP,A)
【文献】 特開2017−161419(JP,A)
【文献】 特開平11−318267(JP,A)
【文献】 特開平09−079830(JP,A)
【文献】 特開昭57−037387(JP,A)
【文献】 米国特許第06493566(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 29/00−29/52
G03H 3/00
A01K 61/00−63/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
魚類が遊泳可能な水路である魚道部と、
前記魚道部の一部に超音波振動子が設置され前記魚道部内の前記魚類の腹腔に超音波を照射し、得られた反射波に基づいて前記腹腔内の画像を取得する超音波診断装置部と、
前記超音波振動子の近傍の前記魚道部内に光を照射可能な光誘導部とを備えていることを特徴とする魚類雌雄判別装置。
【請求項2】
請求項1に記載の魚類雌雄判別装置において、
前記魚道部が、前記超音波振動子より下流に、雌と判別された前記魚類を通す雌用魚道と、雄と判別された前記魚類を通す雄用魚道と、
雌と判別された前記魚類を前記雌用魚道に誘導すると共に雄と判別された前記魚類を前記雄用魚道に誘導する雌雄魚道切り換え部とを備えていることを特徴とする魚類雌雄判別装置。
【請求項3】
請求項2に記載の魚類雌雄判別装置において、
複数の前記魚道部と、
前記雌用魚道に接続された雌用水槽と、
前記雄用魚道に接続された雄用水槽とを備えていることを特徴とする魚類雌雄判別装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の魚類雌雄判別装置において、
前記魚道部が、前記超音波振動子に対向した領域に前記魚類が収納可能な雌雄診断領域を有し、
前記雌雄診断領域内に前記魚類が入った際に、一時的に前記雌雄診断領域の前後を閉塞可能な魚類移動規制部を備えていることを特徴とする魚類雌雄判別装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の魚類雌雄判別装置において、
前記光誘導部が、複数の色の中から色を選択して光を照射可能なLED光源を備えていることを特徴とする魚類雌雄判別装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の魚類雌雄判別装置において、
前記魚類が、チョウザメであり、
前記光誘導部が、白色の光を照射可能であることを特徴とする魚類雌雄判別装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の魚類雌雄判別装置において、
前記魚道部の途中に前記魚道部内の前記魚類の大きさを測定可能な大きさ計測部を備えていることを特徴とする魚類雌雄判別装置。
【請求項8】
請求項7に記載の魚類雌雄判別装置において、
前記魚道部の前記大きさ計測部より下流に、前記大きさ計測部により一定の大きさ以上と計測された前記魚類を通す大魚用魚道と、
前記大きさ計測部により一定の大きさ未満と計測された前記魚類を通す小魚用魚道と、
前記大きさ計測部により一定の大きさ以上と計測された前記魚類を前記大魚用魚道に誘導すると共に前記大きさ計測部により一定の大きさ未満と計測された前記魚類を前記小魚用魚道に誘導する大小魚道切り換え部とを備えていることを特徴とする魚類雌雄判別装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の魚類雌雄判別装置において、
前記魚道部の前記超音波振動子に対向した領域に、該領域に魚類が進入した際に魚類を検知する魚類検知センサを備えていることを特徴とする魚類雌雄判別装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の魚類雌雄判別装置において、
前記魚道の前記超音波振動子よりも下流に接続され前記魚道から流入させた水を濾過する水濾過部を備えていることを特徴とする魚類雌雄判別装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の魚類雌雄判別装置において、
前記光誘導部が、複数の発光素子が並べられたLEDテープとされたLED光源を備え、
前記LED光源が、前記魚道部の入口部分の外周に巻回されていることを特徴とする魚類雌雄判別装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チョウザメ等の魚類の雌雄を魚類に直接触れずに判別することができる魚類雌雄判別装置である。
【背景技術】
【0002】
外見では雌雄の判別が困難なチョウザメ等の魚類について、その雌雄を判別する場合、一般的には魚類の腹腔を切開し、生殖器が白子か卵巣かを確認した後、縫合してから水槽や池等に離している。このような手法では、魚体への大きな負担と判別のための人的負担や手間がかかり、迅速な判別を行うことが難しかった。
【0003】
そのため、従来、例えば特許文献1には、超音波を水生生物(魚類等)に照射し、得られた反射波に基づいて水生生物の体内組織の状態を非破壊的に検査して雌雄判別を行う超音波検査装置が記載されている。
この超音波検査装置では、水槽に検査対象となる魚体(死後まもない個体又は麻酔をした生体)を入れて雌雄判別を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−168633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の技術には、以下の課題が残されている。
すなわち、特許文献1の技術では、生きている魚類の雌雄判別を行う場合、麻酔をして動かなくした状態にしてから水槽に入れて超音波検査を行っているが、魚類に麻酔をしなければならず、やはり魚類に負担が掛かると共に、手間や時間がかかってしまうという問題があった。また、麻酔をした後に魚類を水槽まで運ぶ手間がかかると共に、たも網等を用いて又は素手で魚類に直接触れて運ぶため、魚類に傷を与えてしまうおそれがあった。
【0006】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、生きた魚類に触ること無く、魚類の雌雄を判別することが可能な魚類雌雄判別装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、第1の発明に係る魚類雌雄判別装置は、魚類が遊泳可能な水路である魚道部と、前記魚道部の一部に超音波振動子が設置され前記魚道部内の前記魚類の腹腔に超音波を照射し、得られた反射波に基づいて前記腹腔内の画像を取得する超音波診断装置部と、前記超音波振動子の近傍の前記魚道部内に光を照射可能な光誘導部とを備えていることを特徴とする。
【0008】
この魚類雌雄判別装置では、超音波振動子の近傍の魚道部内に光を照射可能な光誘導部を備えているので、超音波診断装置部で診断可能な位置まで魚類を光で誘導でき、魚類を直接触らずに、魚類にストレスや外傷を加えることなく、超音波により容易に雌雄判別を行うことができる。
【0009】
第2の発明に係る魚類雌雄判別装置は、第1の発明において、前記魚道部が、前記超音波振動子より下流に、雌と判別された前記魚類を通す雌用魚道と、雄と判別された前記魚類を通す雄用魚道と、雌と判別された前記魚類を前記雌用魚道に誘導すると共に雄と判別された前記魚類を前記雄用魚道に誘導する雌雄魚道切り換え部とを備えていることを特徴とする。
すなわち、この魚類雌雄判別装置では、雌と判別された魚類を雌用魚道に誘導すると共に雄と判別された魚類を雄用魚道に誘導する雌雄魚道切り換え部を備えているので、雌雄判別に応じて雌雄魚道切り換え部により自動的に魚類を雌用魚道と雄用魚道とに分けることができる。
【0010】
第3の発明に係る魚類雌雄判別装置は、第2の発明において、複数の前記魚道部と、前記雌用魚道に接続された雌用水槽と、前記雄用魚道に接続された雄用水槽とを備えていることを特徴とする。
すなわち、この魚類雌雄判別装置では、複数の魚道部と、雌用魚道に接続された雌用水槽と、雄用魚道に接続された雄用水槽とを備えているので、複数の魚道部で雌雄判別された魚類を雌用水槽と雄用水槽とに分けて集めることができ、多数の魚類の雌雄判別を同時にかつ効率的に行うことができる。
【0011】
第4の発明に係る魚類雌雄判別装置は、第1から第3の発明のいずれかにおいて、前記魚道部が、前記超音波振動子に対向した領域に前記魚類が収納可能な雌雄診断領域を有し、前記雌雄診断領域内に前記魚類が入った際に、一時的に前記雌雄診断領域の前後を閉塞可能な魚類移動規制部を備えていることを特徴とする。
すなわち、この魚類雌雄判別装置では、雌雄診断領域内に魚類が入った際に、一時的に雌雄診断領域の前後を閉塞可能な魚類移動規制部を備えているので、魚類移動規制部により雌雄診断領域内に魚類を収納したまま魚類の前後の移動を制限することで、超音波診断による魚類の雌雄判別を安定して行うことができる。
【0012】
第5の発明に係る魚類雌雄判別装置は、第1から第4の発明のいずれかにおいて、前記光誘導部が、複数の色の中から色を選択して光を照射可能なLED光源を備えていることを特徴とする。
すなわち、この魚類雌雄判別装置では、光誘導部が、複数の色の中から色を選択して光を照射可能なLED光源を備えているので、魚類の好む色に応じた光をLED光源により発光させて特定の魚類又はその雌若しくは雄を優先的に誘導することが可能になる。
【0013】
第6の発明に係る魚類雌雄判別装置は、第1から第5の発明のいずれかにおいて、前記魚類が、チョウザメであり、前記光誘導部が、白色の光を照射可能であることを特徴とする。
すなわち、この魚類雌雄判別装置では、光誘導部が、白色(チョウザメの雌が好む色)の光を照射可能であるので、チョウザメの雌を優先的に誘導することが可能になる。
【0014】
第7の発明に係る魚類雌雄判別装置は、第1から第6の発明のいずれかにおいて、前記魚道部の途中に前記魚道部内の前記魚類の大きさを測定可能な大きさ計測部を備えていることを特徴とする。
すなわち、この魚類雌雄判別装置では、魚道部の途中に魚道部内の魚類の大きさを測定可能な大きさ計測部を備えているので、大きさ計測部で計測した魚類の大きさと、超音波診断装置部で判別した魚類の雌雄との相関データを容易に取得することができる。
【0015】
第8の発明に係る魚類雌雄判別装置は、第7の発明において、前記魚道部の前記大きさ計測部より下流に、前記大きさ計測部により一定の大きさ以上と計測された前記魚類を通す大魚用魚道と、前記大きさ計測部により一定の大きさ未満と計測された前記魚類を通す小魚用魚道と、前記大きさ計測部により一定の大きさ以上と計測された前記魚類を前記大魚用魚道に誘導すると共に前記大きさ計測部により一定の大きさ未満と計測された前記魚類を前記小魚用魚道に誘導する大小魚道切り換え部とを備えていることを特徴とする。
すなわち、この魚類雌雄判別装置では、大きさ計測部により一定の大きさ以上と計測された魚類を大魚用魚道に誘導すると共に大きさ計測部により一定の大きさ未満と計測された魚類を小魚用魚道に誘導する大小魚道切り換え部を備えているので、大きさ計測部で計測された大きさに応じて大小魚道切り換え部により魚類を大魚用魚道と小魚用魚道とに自動的に分けて誘導することができる。
【0016】
第9の発明に係る魚類雌雄判別装置は、第1から第8の発明のいずれかにおいて、前記魚道部の前記超音波振動子に対向した領域に、該領域に魚類が侵入した際に魚類を検知する魚類検知センサを備えていることを特徴とする。
すなわち、この魚類雌雄判別装置では、魚道部の超音波振動子に対向した領域に、該領域に魚類が侵入した際に魚類を検知する魚類検知センサを備えているので、魚類検知センサが魚類を検知した際に、超音波振動子から超音波を発生させることで効率的にかつ迅速に魚類の雌雄判別を行うことができる。
【0017】
第10の発明に係る魚類雌雄判別装置は、第1から第9の発明のいずれかにおいて、前記魚道の前記超音波振動子よりも下流に接続され前記魚道から流入させた水を濾過する水濾過部を備えていることを特徴とする。
すなわち、この魚類雌雄判別装置では、魚道の超音波振動子よりも下流に接続され魚道から流入させた水を濾過する水濾過部を備えているので、水濾過部により魚道部を流れた水をきれいな水に濾過し、魚類の水槽に戻すなどの再利用を行うことが可能になる。
【0018】
第11の発明に係る魚類雌雄判別装置は、第1から第10の発明のいずれかにおいて、前記光誘導部が、複数の発光素子が並べられたLEDテープとされたLED光源を備え、前記LED光源が、前記魚道部の入口部分の外周に巻回されていることを特徴とする。
すなわち、この魚類雌雄判別装置では、LEDテープのLED光源が、魚道部の入口部分の外周に巻回されているので、魚道部の入口部分の全周から光を魚道部内に照射することができ、魚類をより強く誘導することが可能になる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、本発明に係る魚類雌雄判別装置によれば、超音波振動子の近傍の魚道部内に光を照射可能な光誘導部を備えているので、超音波診断装置部で診断可能な位置まで魚類を光で誘導でき、魚類を直接触らずに、魚類にストレスや外傷を加えることなく、超音波により容易に雌雄判別を行うことができる。
したがって、本発明の魚類雌雄判別装置では、魚体及び作業者の負担を軽減し、迅速な魚類の雌雄判別が可能になって、チョウザメ等において卵巣の有無等を容易に判別することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】 本発明に係る魚類雌雄判別装置の第1実施形態を示す平面図(a)及び側面図(b)である。
図2】 本発明に係る魚類雌雄判別装置の第2実施形態を示す平面図である。
図3】 本発明に係る魚類雌雄判別装置の第3実施形態において、雌雄診断領域を示す要部の斜視図(a)及び平面図(b)である。
図4】 本発明に係る魚類雌雄判別装置の第4実施形態を示す平面図である。
図5】 本発明に係る魚類雌雄判別装置の第5実施形態を示す平面図である。
図6】 本発明に係る魚類雌雄判別装置の第6実施形態において、雌雄診断領域を示す要部の側面図である。
図7】 第6実施形態において、飼育水槽を示す平面図(a)及び断面図(b)並びに雌雄判別後の水槽を示す断面図(c)である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る魚類雌雄判別装置の第1実施形態を、図1を参照しながら説明する。なお、以下の説明に用いる図面では、各部材を認識可能又は認識容易な大きさとするために必要に応じて縮尺を適宜変更している部分がある。
【0022】
本実施形態の魚類雌雄判別装置1は、図1に示すように、魚類Fが遊泳可能な水路である魚道部2と、魚道部2の一部に超音波振動子3aが設置され魚道部2内の魚類Fの腹腔に超音波を照射し、得られた反射波に基づいて腹腔内の画像を取得する超音波診断装置部3と、超音波振動子3aの近傍の魚道部2内に光を照射可能な光誘導部4とを備えている。
【0023】
上記魚道部2は、超音波振動子3aより下流に、雌と判別された魚類Fを通す雌用魚道2Aと、雄と判別された魚類Fを通す雄用魚道2Bと、雌と判別された魚類を雌用魚道2Aに誘導すると共に雄と判別された魚類Fを雄用魚道2Bに誘導する雌雄魚道切り換え部5とを備えている。
上記光誘導部4は、複数の色の中から色を選択して光を照射可能なLED光源4aを備えている。
【0024】
上記魚類Fは、光に反応して光に近寄る習性を有する魚類が好ましく、例えばチョウザメである。
本実施形態では、魚類Fがチョウザメであり、光誘導部4のLED光源4aが、白色の光を照射可能である。すなわち、チョウザメは、色覚が発達しており、好嫌色特性があり、特に雌は白色光を好み、雄は緑色光を好むためである。本実施形態では、チョウザメの雌を特に誘導することを目的としている。
上記魚道部2は、角筒状の水路であり、内部の状態が外部から視認可能な透明なアクリル等のプラスチック材料等で形成されている。
【0025】
上記超音波診断装置部3は、いわゆるエコー診断装置であり、超音波の送受信が可能な超音波振動子3aで受信した超音波の反射波に基づいて、画像をディスプレイ(図示略)に表示することができる。なお、表示された魚類Fの腹腔内の画像から雌雄の判別を作業者が行うだけでなく、超音波診断装置部3が画像に基づいて自動で魚類Fの雌雄を判別する機能を設けてもよい。
【0026】
上記魚道部2は、入口近傍に光誘導部4が設置され魚類Fが進入する誘導路部6と、誘導路部6の下流に接続され雌雄魚道切り換え部5が設けられた仕分け部7と、仕分け部7の下流に接続された上記雌用魚道2A及び上記雄用魚道2Bとを備えている。
上記LED光源4aは、複数のLED素子が並べられたLEDテープ等が採用可能である。本実施形態では、誘導路部6の入口から仕分け部7の近傍までLEDテープのLED光源4aが延在状態に誘導路部6の上面上に複数設置されている。
【0027】
上記雌雄魚道切り換え部5は、可動式の仕切り板である雌雄分別弁5aが回動軸部5bに取り付けられており、回動軸部5bに接続されたモータ(図示略)等により、雌雄分別弁29aが回動軸部5b周りに回動可能となっている。
すなわち、雌雄分別弁5aが左右どちらかに回動することで、雌用魚道2A又は雄用魚道2Bの入口を閉鎖するようになっている。
【0028】
本実施形態の魚類雌雄判別装置1による魚類Fの雌雄判別方法について説明する。
まず、魚類Fが飼育されている水槽内や池内に魚類雌雄判別装置1を設置し、光誘導部4のLED光源4aを光らせて誘導路部6内を照明する。この状態で、水槽内や池内の魚類Fは光に反応して誘導路部6に進入する。例えば、魚類Fがチョウザメの場合、白色光で照らされた誘導路部6には特に雌が誘導させ易い。
【0029】
誘導路部6に誘導された魚類Fが、超音波振動子3aの対向領域(雌雄診断領域)まで進入すると、超音波診断装置部3により超音波振動子3aから超音波を魚類Fに照射し、その反射波に基づいて魚類Fの腹腔内の画像を取得する。得られた画像に基づいて作業者が魚類Fの雌雄を判別するか、超音波診断装置部3により雌雄判別を自動的に行う。
雌雄判別された後、作業者又は超音波診断装置部3が雌雄魚類切り換え部5の雌雄分別弁29aを回動させて魚類Fの雌雄に応じて魚類Fを雌用魚道2A又は雄用魚道2Bへの水路を開放することで、魚類Fの雄・雌を別々に仕分けすることができる。
【0030】
このように本実施形態の魚類雌雄判別装置1では、超音波振動子3aの近傍の魚道部2内に光を照射可能な光誘導部4を備えているので、超音波診断装置部3で診断可能な位置まで魚類Fを光で誘導でき、魚類Fを直接触らずに、魚類Fにストレスや外傷を加えることなく、超音波により容易に雌雄判別を行うことができる。
また、雌と判別された魚類Fを雌用魚道2Aに誘導すると共に雄と判別された魚類Fを雄用魚道2Bに誘導する雌雄魚道切り換え部5を備えているので、雌雄判別に応じて雌雄魚道切り換え部5により自動的に魚類Fを雌用魚道2Aと雄用魚道2Bとに分けることができる。
【0031】
さらに、光誘導部4が、複数の色の中から色を選択して光を照射可能なLED光源4aを備えているので、魚類Fの好む色に応じた光をLED光源4aにより発光させて特定の魚類F又はその雌若しくは雄を優先的に誘導することが可能になる。
特に、光誘導部4が、白色(チョウザメの雌が好む色)の光を照射可能であるので、チョウザメの雌を優先的に誘導することが可能になる。
【0032】
次に、本発明に係る魚類雌雄判別装置の第2〜第6実施形態について、図2図7を参照して以下に説明する。なお、以下の各実施形態の説明において、上記実施形態において説明した同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0033】
第2実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態では、魚道部2が1ルートだけであったのに対し、第2実施形態の魚類雌雄判別装置21は、図2に示すように、複数の魚道部22と、雌用魚道22Aに接続された雌用水槽28Aと、雄用魚道22Bに接続された雄用水槽28Bとを備えている点である。
すなわち、第2実施形態では、誘導路部26の漏斗状の入口内面に光誘導部24の防水型LED光源24aが並んで設置されており、誘導路部26が3つ分岐路22aに分岐している。
【0034】
また、誘導路部26の入口には、開閉式の入口扉26aが設けられており、雌雄判別を行うとき以外は誘導路部26を入口扉26aで閉塞し、誤って魚類Fが進入しないようになっている。なお、雌雄判別しない場合は、入口扉26aが閉まると共にLED光源24aが消灯状態となる。
上記誘導路部26の分岐部分には、一対の分岐用弁26bが設けられており、一対の分岐用弁26bにより3つの分岐路22aいずれか1つだけを開口し、他の2つを閉塞できるようになっている。すなわち、3つの分岐路22aのいずれかに魚類Fが集中して渋滞しないように、順番に分岐路22aを開放して魚類Fを誘導できるようになっている。
【0035】
また、第2実施形態の魚類雌雄判別装置21は、魚道部22の途中に魚道部22内の魚類Fの大きさを測定可能な大きさ計測部27を備えている。
すなわち、3つの分岐路22aの途中に、通過する魚類Fを撮影可能なCCDカメラ等の大きさ計測部27が設置されている。この大きさ計測部27では、撮影された魚類Fの画像を処理することで、その大きさ(長さ、体高等)を計測可能になっている。
【0036】
さらに、第2実施形態では、魚道部22が、超音波振動子3aに対向した領域に魚類Fが収納可能な雌雄診断領域Mを有し、雌雄診断領域M内に魚類Fが入った際に、一時的に雌雄診断領域Mの前後を閉塞可能な魚類移動規制部29を備えている。
すなわち、3つの分岐路22aの途中には、それぞれ魚類Fの雌雄を判別するための雌雄診断領域Mが設けられており、各雌雄診断領域Mにはそれぞれ超音波振動子3aが設けられている。
なお、チョウザメは水底を泳ぐ修正があるため、水底に超音波振動子3aを設置することが好ましい。
各雌雄診断領域Mは、ループ型水槽となっており、魚類Fが内部を周遊可能になっている。また、各雌雄診断領域Mの入口及び出口には、魚類移動規制部29として開閉弁29aがそれぞれ設けられている。
【0037】
すなわち、雌雄診断領域Mに進入した魚類Fを開閉弁29aにより雌雄診断領域Mに閉じ込めた状態で、超音波診断装置部3により雌雄判別を行う。なお、超音波診断装置部3による雌雄判別終了後、雌雄診断領域M出口の開閉弁29aを開けるように設定されている。
また、全ての雌雄診断領域Mの入口の開閉弁29aが閉まっているときは、LED光源4aは消灯状態となるように設定されている。
【0038】
3つの分岐路22aは、下流側が1つに合流しており、さらに合流部22bの下流には雌用魚道部2と雄用魚道部2とが分岐して接続されている。
なお、3つの分岐路22aには、それぞれレーン番号が定められており、そのレーン番号で雌雄分別弁29aがどの分岐路22aの超音波診断装置部3からの信号であるかを識別可能になっている。
また、雌用魚道部22Aと雄用魚道部22Bとの分岐部分には、雌用魚道部22A及び雄用魚道部22Bの入口を選択的に開閉可能な雌雄分別弁5aが魚道切り換え部5として設けられている。
【0039】
この雌雄分別弁29aは、各超音波診断装置部3で雌雄が判別された魚類Fの雌雄に対応して発信された信号に基づいて、魚類Fを雌用魚道部22Aと雄用魚道部22Bとに分けて誘導する。この際、分岐路22aの分岐用弁26aにもレーン番号の信号が送られ、分岐用弁26aがレーン番号に対応した分岐路22aへの入口を開ける。
なお、雌用魚道部22A及び雄用魚道部22Bの途中には、動体検知機能を備えたセンサ(図示略)が設けられており、魚類Fを検知すると、その信号を分岐用弁26aへ送るように設定されている。
【0040】
このように第2実施形態の魚類雌雄判別装置21では、複数の魚道部22と、雌用魚道2Aに接続された雌用水槽28Aと、雄用魚道2Bに接続された雄用水槽28Bとを備えているので、複数の魚道部22で雌雄判別された魚類Fを雌用水槽28Aと雄用水槽28Bとに分けて集めることができ、多数の魚類Fの雌雄判別を同時にかつ効率的に行うことができる。
【0041】
また、雌雄診断領域M内に魚類Fが入った際に、一時的に雌雄診断領域Mの前後を閉塞可能な魚類移動規制部29を備えているので、魚類移動規制部29により雌雄診断領域M内に魚類Fを収納したまま魚類Fの前後の移動を制限することで、超音波診断による魚類Fの雌雄判別を安定して行うことができる。
さらに、魚道部2の途中に魚道部22内の魚類Fの大きさを測定可能な大きさ計測部27を備えているので、大きさ計測部27で計測した魚類Fの大きさと、超音波診断装置部3で判別した魚類Fの雌雄との相関データを容易に取得することができる。また、魚類Fの大きさと魚類Fの卵巣の大きさとの相関データ等も取得することが可能である。
【0042】
次に、第3実施形態と第2実施形態との異なる点は、第2実施形態では、雌雄診断領域Mの入口及び出口に開閉弁29aを設けているのに対し、第3実施形態の魚類雌雄判別装置31では、図3に示すように、魚類Fの大きさに応じてサイズを変更可能な雌雄診断領域Mを備えている点である。
すなわち、第3実施形態では、雌雄診断領域Mに複数の可動弁39aが設けられており、これら可動弁39aが大きさ計測部37で計測した魚類Fの大きさ(長さ)に応じて雌雄診断領域Mの両端側を閉塞するように設定されている。
このように第3実施形態の魚類雌雄判別装置31は、雌雄診断領域M内に魚類Fが入った際に、魚類Fの大きさに応じて一時的に雌雄診断領域Mの前後を閉塞可能な魚類移動規制部39を備えている。
【0043】
複数の可動弁39aは、それぞれ魚道部2を閉塞可能な板状に形成されており、魚道部2の雌雄診断領域Mの上部に流路方向に沿って並んで設置されている。これら可動弁39aは、下方に移動可能になっており、下方に下がって雌雄診断領域Mの前後を閉塞するようになっており、魚類移動規制部39として機能する。
また、第3実施形態では、大きさ計測部37が雌雄診断領域Mに設けられている。
【0044】
第3実施形態の魚類雌雄判別装置31は、魚道部2の超音波振動子3aに対向した領域(雌雄診断領域M)に、該領域に魚類Fが進入した際に魚類Fを検知する魚類検知センサSを備えている。
すなわち、複数の可動弁39aの下部には、大きさ計測部37として、それぞれ赤外線センサである魚類検知センサSが設けられており、これら魚類検知センサSにより雌雄診断領域M内の魚類Fの大きさに応じて可動弁39aが昇降する。
【0045】
雌雄診断領域M内に魚類Fが進入後、可動弁39aの魚類検知センサSにより下方に魚類Fがいると判断した場合、その可動弁39aは下がらず、下方に魚類Fがいないと判断した場合、その可動弁39aが下がるように設定されている(なお、魚類Fの両端部に近い可動弁39aだけを下げてもよい)。このため、雌雄診断領域M内に魚類Fが進入すると、魚類F上方の可動弁39aは下がらず、魚類Fの前後の可動弁39aだけが下がり、魚類Fを挟んで収納した状態で雌雄診断領域Mの前後を閉塞することができる。このように可動弁39aで仕切った雌雄診断領域Mの範囲内だけを、超音波振動子3aが3〜5回往復することで、魚類Fの雌雄判別診断を行う。これにより、雌雄判別の精度が向上する。
なお、雌雄判別が終了すると、下流側の可動弁39aが上に移動して雌雄診断領域Mを開くと共に、上流側から下流側に順次、可動弁39aが下がって閉まることで、魚類Fを雌雄診断領域Mから出て行くことを促すように設定されている。
【0046】
このように第3実施形態の魚類雌雄判別装置31では、魚道部2の超音波振動子3aに対向した領域(雌雄診断領域M)に、該領域に魚類Fが進入した際に魚類Fを検知する魚類検知センサSを備えているので、魚類検知センサSが魚類Fを検知した際に、超音波振動子3aから超音波を発生させることで効率的にかつ迅速に魚類Fの雌雄判別を行うことができる。
また、雌雄診断領域M内に魚類Fが入った際に、魚類Fの大きさに応じて一時的に雌雄診断領域Mの前後を閉塞可能な魚類移動規制部39を備えているので、魚類移動規制部39により雌雄診断領域M内に魚類Fを収納したまま魚類Fの前後の移動を制限することで、超音波診断による魚類Fの雌雄判別を安定して行うことができる。
【0047】
次に、第4実施形態と第2実施形態との異なる点は、第2実施形態では、魚類Fの大きさを計測した後、魚類Fを単に雌雄で分けているのに対し、第4実施形態の魚類雌雄判別装置41では、図4に示すように、計測した魚類Fの大きさに応じて魚道部42を切り換える点である。
すなわち、第4実施形態の魚類雌雄判別装置41は、魚道部42の大きさ計測部47より下流に、大きさ計測部47により一定の大きさ以上と計測された魚類Fを通す大魚用魚道42Aと、大きさ計測部47により一定の大きさ未満と計測された魚類Fを通す小魚用魚道42Bと、大きさ計測部47により一定の大きさ以上と計測された魚類Fを大魚用魚道42Aに誘導すると共に大きさ計測部47により一定の大きさ未満と計測された魚類Fを小魚用魚道42Bに誘導する大小魚道切り換え部43とを備えている。
【0048】
誘導路部6の下流側には、計測通路部47aが接続され、計測通路部47aに大きさ計測部47としてCCDカメラ等が設置されている。
上記計測通路部47aを通過する魚類Fを大きさ計測部47で撮影した画像から魚類Fの大きさを計測する。
計測通路部47aの出口には、大きさ計測部27で計測した魚類Fの大きさに応じて、当該魚類Fを大魚用魚道42Aと小魚用魚道42Bとに振り分ける分別弁である大小魚道切り換え部43が設けられている。
【0049】
上記大小魚道切り換え部43から下流側は大魚用魚道42Aと小魚用魚道42Bとに分岐しており、大魚用魚道42Aの途中には超音波診断装置部3を備えた雌雄診断領域Mが形成されている。
なお、大魚用魚道42Aは途中で雌雄魚道切り換え部5を介して雌用魚道2Aと雄用魚道2Bとに分岐しており、雌用魚道2Aは雌用水槽28Aに接続され、雄用魚道2Bは雄用水槽28Bに接続されている。
さらに、小魚用魚道42Bは、小魚用水槽48Cに接続されている。すなわち、生殖腺が十分に育っていない小魚は、雌雄判別せずに別の小魚用水槽48Cに分けることで、大きな魚類Fだけを効率的に雌雄判別することができる。
【0050】
このように第4実施形態の魚類雌雄判別装置41では、大きさ計測部47により一定の大きさ以上と計測された魚類Fを大魚用魚道42Aに誘導すると共に大きさ計測部47により一定の大きさ未満と計測された魚類Fを小魚用魚道42Bに誘導する大小魚道切り換え部43を備えているので、大きさ計測部47で計測された大きさに応じて大小魚道切り換え部43により魚類Fを大魚用魚道42Aと小魚用魚道42Bとに自動的に分けて誘導することができる。
【0051】
次に、第5実施形態と第3実施形態との異なる点は、第3実施形態では、魚道部2の途中に水槽がないのに対し、第5実施形態の魚類雌雄判別装置51では、図5に示すように、光誘導部4と雌雄診断領域Mとの間の魚道部52に中間水槽58Bが設けられている点である。
第5実施形態では、飼育水槽58Aに接続された魚道部52内に光誘導部4により誘導された複数の魚類Fが雌雄診断領域Mに入ってしまい、混まないようにするため、中間部分に中間水槽58Bを設けている。
【0052】
上記光誘導部4のLED光源4aは、複数の発光素子が並べられたLEDテープであり魚道部52の入口部分の外周に巻回されている。すなわち、LEDテープのLED光源4aを、光誘導路6に螺旋状に巻回して取り付けている。なお、螺旋状にLEDテープのLED光源4aを巻回することで、1本のLEDテープで済み、点灯プログラムも簡単になると共に、光誘導部4の全周で光を照射することが可能になり、魚類Fの収集力が向上する。
このように第5実施形態の魚類雌雄判別装置51では、LEDテープのLED光源4aが、魚道部52の入口部分の外周に巻回されているので、魚道部52の入口部分の全周から光を魚道部52内に照射することができ、魚類Fをより強く誘導することが可能になる。
【0053】
中間水槽58Bと雌雄診断領域Mとの間の魚道部52には、魚類Fを検知する赤外線センサ等の第1センサS1が設置されており、第1センサS1が魚類Fを検知すると、中間水槽58B出口の開閉扉58aを一旦閉めるように設定されている。すなわち、この状態で中間水槽58Bから魚類Fが雌雄診断領域M側に進入しないように設定されている。
また、雌雄診断領域M内にも赤外線センサ等の第2センサS2が設置されており、第2センサS2が魚類Fを検知すると、雌雄診断領域M両端の雌雄分別弁29aを閉じるように設定されている。
この状態で、超音波診断装置部3の超音波振動子3aが雌雄診断領域Mを移動して魚類Fの腹腔内をスキャンして雌雄判別を行った後、雌雄診断領域M出口の雌雄分別弁29aを開くように設定されている。
【0054】
また、雌雄判別された魚類Fは、雌雄診断領域Mから出た後、雌雄分別弁29aにより雌用魚道2Aと雄用魚道2Bとに分別されるが、雌用魚道2Aと雄用魚道2Bとは雌雄診断領域Mから下方に傾斜した傾斜路となっていると共に、雌用水槽28A及び雄用水槽28Bは雌雄診断領域Mよりも低い位置に設けられている。したがって、雌雄分別され雌用魚道2A又は雄用魚道2Bに進入した魚類Fは、傾斜した雌用魚道2A又は雄用魚道2Bから低位の雌用水槽28A又は雄用水槽28Bまで流れる水流によって素早く移動させられる。
【0055】
次に、第6実施形態と第5実施形態との異なる点は、雌雄診断領域M内に進入した魚類Fを前後の雌雄分別弁29aで閉じ込めた状態で雌雄判別を行っているが、第6実施形態のの魚類雌雄判別装置61では、図6に示すように、雌雄診断領域M内に進入した魚類Fの頭部を一対の開閉支持板69aで上下から挟んだ状態で雌雄判別を行う点である。
第6実施形態では、チョウザメ等の魚類Fの重要器官である鼻を傷付けないように、スポンジ等の柔らかな一対の開閉支持板69aが魚類Fの頭部を上下から固定することで、超音波振動子3aを雌雄診断領域Mで往復させて超音波診断装置部3により何度も魚類Fの腹腔を診断することができ、高精度なデータを取得することができる。
【0056】
また、上述した第4実施形態では、大きさ計測部47により魚類Fの大きさを計測して大きさに応じて魚類Fを振り分けていたのに対し、第6実施形態の魚類雌雄判別装置61では、図7の(a)に示すように、飼育水槽68Aが複数に区分けされており、年齢に応じて区分けされた各領域に魚類Fを入れている点でも異なっている。
第6実施形態では、例えば4つの仕切り68eで4つの領域68a〜68dに飼育水槽58Aが区分けされており、魚類Fがチョウザメの場合、0歳,1歳,2歳,3歳にそれぞれ分けて4つの領域に入れられている。
【0057】
このように年齢に応じて魚類Fが予め分けられて飼育されていることで、生殖器が確立するまで3〜4年かかるチョウザメの場合、飼育水槽68A内で3歳〜4歳のものが飼育されている領域(例えば領域68d)に光誘導部4を接続して魚道部2へ誘導することで、効率よく雌雄判別することが可能になる。
【0058】
また、第6実施形態では、図7の(b)に示すように、飼育水槽68Aの底部が傾斜しており、最低部に底部に溜まったゴミ等を外部へ排出可能な排出口68fが設けられている。この排出口68fに魚道部2の入口を接続することで、魚類Fが魚道部2へ泳ぎ易くなる。
さらに、第6実施形態では、雌用水槽28A及び雄用水槽28Bが、円形状とされていると共に、図6の(c)に示すように、底部中央に排出口69fが設けられている。したがって、雌用水槽28A又は雄用水槽28B内を魚類Fが回遊することにより、雌用水槽28A又は雄用水槽28B内に渦流が生じ、底部中央にゴミ等が溜まり易くなり、排出口69fからゴミ等を取り除くことが容易となる。
【0059】
また、雌用水槽28A及び雄用水槽28Bの排出口69fに水濾過部69を接続しても構わない。上記水濾過部69は、例えば炭素繊維等を入れたタンク状の一次濾過部と、砂や砂利等を用いた二次濾過部とを備えている。このような水濾過部69により雌用水槽28A及び雄用水槽28Bから排出された水をきれいな水に濾過した後、再び飼育水槽68Aに戻すことで、水の再利用を図ることができる。また、濾過した水を水耕栽培などに用い、水中のアンモニアを分解させ、その水を飼育水槽68Aに戻しても良い。
このように第6実施形態の魚類雌雄判別装置61では、魚道部2の超音波振動子よりも下流に接続され魚道部2から流入させた水を濾過する水濾過部69を備えているので、水濾過部69により魚道部2を流れた水をきれいな水に濾過し、魚類Fの水槽に戻すなどの再利用を行うことが可能になる。
【0060】
なお、本発明の技術範囲は上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0061】
1,21,31,41,51,61…魚類雌雄判別装置、2,22,42,52…魚道部、2A,22A…雌用魚道、2B,22B…雄用魚道、3…超音波診断装置部、3a…超音波振動子、4,24…光誘導部、4a…LED光源、5…雌雄魚道切り換え部、28A…雌用水槽、28B…雄用水槽、27,37…大きさ計測部、29,39…魚類移動規制部、42A…大魚用魚道、42B…小魚用魚道、43…大小魚道切り換え部、69…水濾過部、F…魚類、M…雌雄診断領域、S…魚類検知センサ
【要約】
【課題】 生きた魚類に触ること無く、魚類の雌雄を判別することが可能な魚類雌雄判別装置を提供すること。
【解決手段】 魚類Fが遊泳可能な水路である魚道部2と、魚道部の一部に超音波振動子3aが設置され魚道部内の魚類の腹腔に超音波を照射し、得られた反射波に基づいて腹腔内の画像を取得して画像から魚類の雌雄を判別可能な超音波診断装置部3と、超音波振動子の近傍の魚道部内に光を照射可能な光誘導部4とを備えている。これにより、超音波診断装置部で診断可能な位置まで魚類を光で誘導でき、魚類を直接触らずに、魚類にストレスや外傷を加えることなく、超音波により容易に雌雄判別を行うことができる。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7