(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の粉体燃焼装置では、粉体混合ガス噴出部から噴出される粉体混合ガスに含まれるガス燃料が、同じく粉体混合ガスに含まれる搬送用空気により、速い燃焼速度で粉体混合ガス中の全体に拡がる状態で燃焼するので、その火炎に引火して粉体混合ガス中の粉状可燃物が速い燃焼速度で燃焼することになる。従って、局部高温域(所謂ホットスポット)が生じ易くなり、それに伴って、サーマルNOxの発生量が多くなるという問題があった。
【0007】
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、低NOx化を図り得る粉体燃焼装置及び粉体燃焼方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係る粉体燃焼装置は、粉状可燃物を燃焼させる粉体
燃焼装置であって、その特徴構成は、
粉状可燃物と空気とを元混合した粉体混合空気を先端開口部から噴出する粉体混合空気
噴出筒と、
当該粉体混合空気噴出筒の径方向内側に配設されて、先端のガス燃料噴出部からガス燃
料を噴出するガス燃料噴出筒とが備えられ、
前記ガス燃料噴出筒が、当該ガス燃料噴出筒と前記粉体混合空気噴出筒との間の空間に
粉体混合空気のみを通流させる状態で配設され、前記ガス燃料噴出部から噴出するガス燃
料を粉体混合空気に含まれる空気のみを一次燃焼用空気として燃焼させ、
前記粉体混合空気噴出筒の先端開口部の外周部に、当該先端開口部から噴出される粉体混合空気中の粉状可燃物を燃焼させる空気を噴出する空気噴出部が設けられ
、
前記粉体混合空気噴出筒の先端開口部から噴出される粉体混合空気の燃焼量と前記ガス燃料噴出部から噴出されるガス燃料の燃焼量とを合わせた総燃焼量に対するガス燃料の燃焼量の比率であるガス燃焼量比率を調整するガス燃焼量比率調整手段と、
粉状可燃物の燃焼のし易さに応じて、当該燃焼のし易さが低いほど前記ガス燃焼量比率が大きくなるように設定され、当該ガス燃焼量比率と粉状可燃物の種類との関係を示すガス燃焼量比率情報により、粉状可燃物種類設定スイッチにて設定される粉状可燃物の種類に対応する前記ガス燃焼量比率となるように前記ガス燃焼量比率調整手段を制御する制御手段とが備えられている点にある。
【0009】
上記特徴構成によれば、ガス燃料噴出筒と粉体混合空気噴出筒との間の空間を粉体混合空気のみが通流して、そのように通流する粉体混合空気が粉体混合空気噴出筒の先端開口部から噴出され、その粉体混合空気の噴出流の内部に向けて、ガス燃料噴出部からガス燃料が噴出される。
そして、ガス燃料噴出部から噴出されるガス燃料に対しては、そのガス燃料に直接接触させるように燃焼用空気を供給する専用の燃焼用空気の供給手段が設けられていないことから、ガス燃料噴出部から粉体混合空気の噴出流の内部に向けて噴出されるガス燃料は、粉体混合空気に含まれる空気のみを一次燃焼用空気として燃焼し、粉体混合空気中の粉状可燃物は、粉体混合空気中の空気を一次燃焼用空気として燃焼することとなる。
【0010】
つまり、ガス燃料噴出部から噴出されるガス燃料を、粉体混合空気中の空気を積極的に利用して燃焼させることにより、粉状可燃物を燃焼させるための粉体混合空気中の一次燃焼用空気の密度を、粉体混合空気の噴出流の広範囲にわたって低くできるから、粉体混合空気中の粉状可燃物を緩慢燃焼させることができ、局部高温域の発生を良好に抑制することができる。
従って、サーマルNOxの発生を抑制することができるので、低NOx化を図り得る粉体燃焼装置を提供することができる。
また、上記特徴構成によれば、粉体混合空気噴出筒の先端開口部から噴出された粉体混合空気中の粉状可燃物は、粉体混合空気中の空気を一次燃焼用空気として燃焼し、更に、空気噴出部から噴出された空気を例えば二次燃焼用空気として燃焼する。
つまり、粉体混合空気噴出筒の先端開口部から噴出された粉体混合空気中の空気の一部が、ガス燃料噴出部から噴出されたガス燃料の燃焼に消費されるものの、粉体混合空気噴出筒の先端開口部の外周部の空気噴出部から、空気が、粉体混合空気噴出筒の先端開口部から噴出された粉体混合空気の外周部に噴出されるので、粉体混合空気中の粉状可燃物の燃焼用空気不足を防止することができる。
従って、粉状可燃物を完全燃焼させながら、低NOx化を図ることができる。
また、上記特徴構成によれば、粉状可燃物の燃焼のし易さが低いほど、ガス燃焼量比率が大きくなるように調整されることにより、粉状可燃物の燃焼のし易さが低いほど、ガス燃料の供給量が多くなり、粉体混合空気噴出筒の先端開口部から噴出された粉体混合空気の広い範囲で、ガス燃料を燃焼させることができるので、そのガス燃料の燃焼火炎に引火させる形態で、粉体混合空気中の粉状可燃物を、燃焼のし易さの違いに拘わらず、広範囲にわたって安定して緩慢燃焼させることができる。
即ち、粉状可燃物の燃焼のし易さが低いほど、局部高温域が粉体混合空気の噴出方向の先方で生じ易いが、局部高温域の発生が見込まれる箇所の近傍までガス燃料を送り込んで、粉体混合空気中の空気を積極的に消費することができるから、局部高温域の発生を効果的に抑制することができる。
従って、粉状可燃物の燃焼のし易さの違いに拘わらず、粉状可燃物を安定燃焼させることができながら、低NOx化を図ることができる。
【0011】
上記目的を達成するための本発明に係る粉体燃焼装置は、粉状可燃物を燃焼させる粉体燃焼装置であって、その特徴構成は、
粉状可燃物と空気とを元混合した粉体混合空気を先端開口部から噴出する粉体混合空気噴出筒と、
当該粉体混合空気噴出筒の径方向内側に配設されて、先端のガス燃料噴出部からガス燃料を噴出するガス燃料噴出筒とが備えられ、
前記ガス燃料噴出筒が、当該ガス燃料噴出筒と前記粉体混合空気噴出筒との間の空間に粉体混合空気のみを通流させる状態で配設され、前記ガス燃料噴出部から噴出するガス燃料を粉体混合空気に含まれる空気のみを一次燃焼用空気として燃焼させ、
前記粉体混合空気噴出筒の先端開口部の外周部に、当該先端開口部から噴出される粉体混合空気中の粉状可燃物を燃焼させる空気を噴出する空気噴出部が設けられ、
前記粉体混合空気噴出筒の先端開口部から噴出される粉体混合空気の燃焼量と前記ガス燃料噴出部から噴出されるガス燃料の燃焼量とを合わせた総燃焼量に対するガス燃料の燃焼量の比率であるガス燃焼量比率を調整すするためにガス燃料の噴出量を調整して、前記ガス燃料噴出部からのガス燃料の噴出速度を調整するガス燃料噴出速度調整手段と、
粉状可燃物の燃焼のし易さに応じて、当該燃焼のし易さが低いほど前記ガス燃焼量比率が大きくなるように設定され、当該ガス燃焼量比率と粉状可燃物の種類との関係を示すガス燃焼量比率情報により、粉状可燃物種類設定スイッチにて設定される粉状可燃物の種類に対応する前記ガス燃焼量比率となるように前記ガス燃料噴出速度調整手段を制御する制御手段とが備えられている点にある。
【0012】
上記特徴構成によれば、ガス燃料噴出筒と粉体混合空気噴出筒との間の空間を粉体混合空気のみが通流して、そのように通流する粉体混合空気が粉体混合空気噴出筒の先端開口部から噴出され、その粉体混合空気の噴出流の内部に向けて、ガス燃料噴出部からガス燃料が噴出される。
そして、ガス燃料噴出部から噴出されるガス燃料に対しては、そのガス燃料に直接接触させるように燃焼用空気を供給する専用の燃焼用空気の供給手段が設けられていないことから、ガス燃料噴出部から粉体混合空気の噴出流の内部に向けて噴出されるガス燃料は、粉体混合空気に含まれる空気のみを一次燃焼用空気として燃焼し、粉体混合空気中の粉状可燃物は、粉体混合空気中の空気を一次燃焼用空気として燃焼することとなる。
つまり、ガス燃料噴出部から噴出されるガス燃料を、粉体混合空気中の空気を積極的に利用して燃焼させることにより、粉状可燃物を燃焼させるための粉体混合空気中の一次燃焼用空気の密度を、粉体混合空気の噴出流の広範囲にわたって低くできるから、粉体混合空気中の粉状可燃物を緩慢燃焼させることができ、局部高温域の発生を良好に抑制することができる。
従って、サーマルNOxの発生を抑制することができるので、低NOx化を図り得る粉体燃焼装置を提供することができる。
また、上記特徴構成によれば、粉体混合空気噴出筒の先端開口部から噴出された粉体混合空気中の粉状可燃物は、粉体混合空気中の空気を一次燃焼用空気として燃焼し、更に、空気噴出部から噴出された空気を例えば二次燃焼用空気として燃焼する。
つまり、粉体混合空気噴出筒の先端開口部から噴出された粉体混合空気中の空気の一部が、ガス燃料噴出部から噴出されたガス燃料の燃焼に消費されるものの、粉体混合空気噴出筒の先端開口部の外周部の空気噴出部から、空気が、粉体混合空気噴出筒の先端開口部から噴出された粉体混合空気の外周部に噴出されるので、粉体混合空気中の粉状可燃物の燃焼用空気不足を防止することができる。
従って、粉状可燃物を完全燃焼させながら、低NOx化を図ることができる。
また、上記特徴構成によれば、粉状可燃物の燃焼のし易さが低いほど、ガス燃料噴出部からのガス燃料の噴出速度が速くなるように調整されることにより、粉状可燃物の燃焼のし易さが低いほど、粉体混合空気噴出筒の先端開口部から噴出された粉体混合空気に対して、その噴出方向の先方までガス燃料を届かせることができるので、そのガス燃料の燃焼火炎に引火させる形態で、粉体混合空気中の粉状可燃物を、燃焼のし易さの違いに拘わらず、広範囲にわたって安定して緩慢燃焼させることができる。
即ち、粉状可燃物の燃焼のし易さが低いほど、局部高温域が粉体混合空気の噴出方向の先方で生じ易いが、局部高温域の発生が見込まれる箇所の近傍までガス燃料を送り込んで、粉体混合空気中の空気を積極的に消費することができるから、局部高温域の発生を効果的に抑制することができる。
従って、粉状可燃物の燃焼のし易さの違いに拘わらず、粉状可燃物を安定燃焼させることができながら、低NOx化を図ることができる。
【0013】
本発明に係る粉体燃焼装置の更なる特徴構成は、前記粉体混合空気噴出筒が円筒状であり、
当該粉体混合空気噴出筒が、円筒状の空気噴出筒の内部に配設され、
前記ガス燃料噴出部が、前記粉体混合空気噴出筒の先端側からの筒長手方向視で、外周が円状で且つ先端面に複数のガス燃料噴出孔を有するガス燃料ノズルにて構成され、
前記ガス燃料ノズルと前記粉体混合空気噴出筒の先端開口縁との間に、粉体混合空気を噴出する環状の粉体混合空気噴出部が形成され、
前記粉体混合空気噴出筒の先端開口縁と前記空気噴出筒の先端開口縁との間に、環状の前記空気噴出部が形成されている点にある。
【0014】
上記特徴構成によれば、ガス燃料ノズルの先端面の複数のガス燃料噴出孔からガス燃料が噴出され、そのように噴出されるガス燃料の外周の全周にわたって、環状の粉体混合空気噴出部から粉体混合空気が噴出され、そのように噴出される粉体混合空気の外周の全周にわたって、環状の空気噴出部から空気が噴出される。
つまり、環状の粉体混合空気噴出部から噴出された粉体混合空気の内部の極力広範囲にわたって、ガス燃料ノズルから噴出されたガス燃料を行きわたらせて、粉体混合空気中の空気をガス燃料の燃焼により消費することができるので、粉体混合空気中の粉状可燃物の緩慢燃焼を一層良好に行わせることができる。並びに、環状の粉体混合空気噴出部から噴出された粉体混合空気の外周部全周の極力広範囲にわたって、環状の空気噴出部から噴出された空気を行きわたらせることができるので、粉体混合空気中の粉状可燃物の燃焼用空気不足を的確に防止することができる
従って、粉状可燃物を的確に完全燃焼させながら、更に低NOx化を図ることができる。
【0015】
本発明に係る粉体燃焼装置の更なる特徴構成は、前記粉体混合空気噴出筒が、横断形状が矩形状の角筒状であり、
当該粉体混合空気噴出筒が、横断形状が矩形状の角筒状の空気噴出筒の内部に設けられ、
前記空気噴出部として、前記粉体混合空気噴出筒の先端開口部から噴出される粉体混合空気中の粉状可燃物を燃焼させる二次燃焼用空気を噴出する二次空気噴出部と、三次燃焼用空気を噴出する三次空気噴出部とが設けられ、
前記粉体混合空気噴出筒の先端開口縁と前記空気噴出筒の先端開口縁との間に、矩形枠状の前記二次空気噴出部が形成され、
当該二次空気噴出部における一辺部と当該一辺部に対向する一辺部夫々の外周部に、前記三次空気噴出部が各別に設けられている点にある。
【0016】
上記特徴構成によれば、角筒状の粉体混合空気噴出筒の先端開口部から粉体混合空気が噴出され、そのように噴出される粉体混合空気の外周の全周にわたって、矩形枠状の二次空気噴出部から二次燃焼用空気が噴出され、そのように噴出される二次燃焼用空気の外周部に、矩形枠状の二次空気噴出部における互いに対向する二辺部夫々の外周部の三次空気噴出部から三次燃焼用空気が噴出される。
つまり、粉体混合空気噴出筒の先端開口部から噴出された粉体混合空気の外周部全周の極力広範囲にわたって、矩形枠状の二次空気噴出部から噴出された二次燃焼用空気を行きわたらせることができるので、粉体混合空気噴出筒の先端開口部から噴出された粉体混合空気の広範囲にわたって、粉状可燃物を万遍なく燃焼させることができる。更に、粉体混合空気噴出筒の先端開口部から噴出された粉体混合空気に対して、その噴出方向の先方で、2つの三次空気噴出部から三次燃焼用空気が供給されるので、粉状可燃物の未燃分を的確に燃焼させることができる。
要するに、粉体混合空気中の粉状可燃物の燃焼用空気不足をより一層的確に防止することができる。
従って、粉状可燃物を的確に完全燃焼させながら、更に低NOx化を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。
〔第1実施形態〕
先ず、
図1及び
図2に基づいて、第1実施形態を説明する。
粉体燃焼装置は、粉状可燃物Fと空気Aとを元混合した粉体混合空気Mを先端開口部1wから噴出する粉体混合空気噴出筒1と、当該粉体混合空気噴出筒1の径方向内側に配設されて、先端のガス燃料噴出部2からガス燃料Gを噴出するガス燃料噴出筒10と、この粉体燃焼装置の運転を制御する制御部3(制御手段の一例)等を備えて構成されている。
そして、ガス燃料噴出筒10が、当該ガス燃料噴出筒10と粉体混合空気噴出筒1との間の空間に粉体混合空気Mのみを通流させる状態で配設され、ガス燃料噴出部2から噴出するガス燃料Gを粉体混合空気Mに含まれる空気Aのみを一次燃焼用空気Aとして燃焼させるように構成されている。
又、粉体混合空気噴出筒1の先端開口部1wの外周部に、当該先端開口部1wから噴出される粉体混合空気M中の粉状可燃物Fを燃焼させる空気Aを噴出する空気噴出部4が設けられている。
【0026】
ちなみに、ガス燃料Gとしては、例えば、13A等、メタンを主成分とする都市ガスが用いられる。
【0027】
この第1実施形態では、粉体混合空気噴出筒1が円筒状であり、当該粉体混合空気噴出筒1が、円筒状の空気噴出筒6の内部に配設されている。
ガス燃料噴出部2が、粉体混合空気噴出筒1の先端側からの筒長手方向視(軸心方向視)で、外周が円状で且つ先端面に複数のガス燃料噴出孔7hを有するガス燃料ノズル7にて構成されている。
そして、ガス燃料ノズル7と粉体混合空気噴出筒1の先端開口縁との間に、粉体混合空気Mを噴出する環状の粉体混合空気噴出口8(粉体混合空気噴出部の一例)が形成され、粉体混合空気噴出筒1の先端開口縁と空気噴出筒6の先端開口縁との間に、粉体混合空気噴出口8から噴出される粉体混合空気M中の粉状可燃物Fを燃焼させる二次燃焼用空気Aを噴出する環状の二次空気噴出口9が形成され、この二次空気噴出口9が空気噴出部4に相当する。
【0028】
以下、この第1実施形態の粉体燃焼装置の各部について、説明を加える。
粉体混合空気噴出筒1、空気噴出筒6は、いずれも基端が閉塞され、夫々の先端開口部1w,6wを同方向に向けた状態で、粉体混合空気噴出筒1が空気噴出筒6内に同心状に配設されている。
ガス燃料噴出筒10は円筒状であり、そのガス燃料噴出筒10が、空気噴出筒6の閉塞端及び粉体混合空気噴出筒1の閉塞端から挿通された状態で、粉体混合空気噴出筒1の内部に同心状に配設され、そのガス燃料噴出筒10の先端に、ガス燃料ノズル7が着脱自在に取り付けられている。ガス燃料ノズル7は、先端側ほど大径となる漏斗状であり、
図2に示すように、先端面には、複数のガス燃料噴出孔7hが二重円状に並ぶ状態で備えられている。図示を省略するが、このガス燃料ノズル7は、例えば、その基端部に備えられた雌ネジ部をガス燃料噴出筒10の先端に備えられた雄ネジ部に螺合することにより、ガス燃料噴出筒10の先端に取り付けられる。
【0029】
図1に示すように、空気噴出筒6、粉体混合空気噴出筒1及びガス燃料ノズル7は、粉体混合空気噴出筒1の先端開口部1wが空気噴出筒6の先端開口部6wから筒長手方向(軸芯方向)にわずかに後退し、ガス燃料ノズル7の先端面が筒長手方向において空気噴出筒6の先端開口部6wと略同位置となる相対位置関係で配設されている。
そして、ガス燃料噴出筒10と粉体混合空気噴出筒1との間の環状の空間には、他の部材は設けられず、当該空間全域が、粉体混合空気Mのみを通流させる粉体混合空気流路11とされ、この粉体混合空気流路11を通流する粉体混合空気Mを粉体混合空気噴出口8から噴出する構成となっている。
つまり、ガス燃料ノズル7から噴出されるガス燃料Gに対しては、そのガス燃料Gに直接接触させるように燃焼用空気Aを供給する専用の燃焼用空気Aの供給手段が設けられていず、ガス燃料ノズル7から噴出されるガス燃料Gに対する燃焼用空気Aの供給源は、空気Aが元混合されて粉体混合空気噴出口8から噴出される粉体混合空気Mのみとされている。
【0030】
又、粉体混合空気噴出筒1と空気噴出筒6との間の環状空間が、二次燃焼用空気Aを通流させる二次空気流路12とされ、この二次空気流路12を通流する二次燃焼用空気Aを二次空気噴出口9から噴出する構成となっている。
この二次空気流路12の先端部には、二次空気噴出口9から噴出する二次燃焼用空気Aを旋回させる旋回羽根13が設けられている。
【0031】
更に、図示を省略するが、この粉体燃焼装置を取り付ける加熱炉の炉壁26(
図1参照)には、三次燃焼用空気を噴出する三次空気噴出口が設けられると共に、その三次空気噴出口から噴出する三次燃焼用空気の量を調整する三次空気ダンパが設けられている。
【0032】
図1に示すように、粉体混合空気噴出筒1の周壁部における閉塞端側の部分には、粉体混合空気供給筒14が、空気噴出筒6の周壁部から挿通された状態で、粉体混合空気流路11に連通するように接続されている。その粉体混合空気供給筒14の基端には、粉体混合空気Mを供給する粉体混合空気供給路15が接続され、この粉体混合空気供給路15には、粉体混合空気Mの供給を断続する粉体混合空気断続弁16、及び、粉体混合空気Mの供給量を調整自在な粉体混合空気供給量調整弁17が設けられている。
【0033】
ガス燃料噴出筒10の基端には、ガス燃料Gを供給するガス燃料供給路18が接続され、このガス燃料供給路18には、ガス燃料Gの供給を断続するガス燃料断続弁19、及び、ガス燃料Gの供給量を調整自在なガス燃料供給量調整弁20が設けられている。
空気噴出筒6の周壁における閉塞端側の部分には、筒状の空気供給口21が二次空気流路12に連通する状態で接続され、空気供給口21には、空気供給路22を介して送風機23が接続され、その送風機23により、二次空気流路12に二次燃焼用空気Aを送風可能なように構成されている。
空気供給口21内には、二次燃焼用空気Aの通風量を調整自在な二次空気ダンパ24が設けられている。
【0034】
そして、
図1に示すように、上述のように構成された粉体燃焼装置が、取付板25を介して、加熱炉の炉壁26に形成された取付用開口27に取り付けられている。
【0035】
以下、制御部3の制御動作について説明する。
制御部3は、送風機23、ガス燃料断続弁19、ガス燃料供給量調整弁20、粉体混合空気断続弁16、粉体混合空気供給量調整弁17、二次空気ダンパ24及び三次空気ダンパ等の作動を制御することにより、粉体燃焼装置の運転を制御するように構成されている。
制御部3に各種制御情報を送信する操作盤(図示省略)には、粉体燃焼装置の運転の開始及び停止を指令する運転スイッチ等の他に、燃焼対象の粉状可燃物Fの種類を設定する粉状可燃物種類設定スイッチが備えられている。
【0036】
そして、予め、粉状可燃物Fの易燃焼性が低いほど、粉状可燃物Fの燃焼量とガス燃料Gの燃焼量とを合わせた総燃焼量に対するガス燃料Gの燃焼量の比率であるガス燃焼量比率が大きくなる状態で、ガス燃焼量比率が複数の粉状可燃物Fの種類に応じて設定されている。そして、その粉状可燃物Fの種類とガス燃焼量比率との関係が、ガス燃焼量比率情報として、制御部3の記憶部(図示省略)に記憶されている。
【0037】
ちなみに、粉状可燃物Fの易燃焼性は、例えば、粉状可燃物Fに含まれる可燃性の揮発成分の量が少ないほど低くなる。
そして、実験等により、複数種の粉状可燃物F夫々について、粉状可燃物Fを安定して緩慢燃焼させて、局部高温域の発生を十分に抑制できるように、ガス燃焼量比率が設定される。粉状可燃物Fの易燃焼性が低いほど、粉状可燃物Fを安定して緩慢燃焼させるために、ガス燃焼量比率を大きくする必要があるので、ガス燃焼量比率が、粉状可燃物Fの易燃焼性が低いほど大きくなる状態で、複数の粉状可燃物Fの種類に応じて設定されることになる。ちなみに、ガス燃焼量比率は、例えば5〜20%の範囲で、複数の粉状可燃物Fの種類に応じて設定される。
燃焼対象の粉状可燃物Fの種類としては、例えば、ペトロコークス微粉、微粉炭、有機性汚泥粉、廃プラスチック粉等がある。
【0038】
又、粉体混合空気供給路15を通して供給される粉体混合空気Mにおける粉状可燃物Fと空気Aとの混合比率は、所定の比率に設定されている。
又、総燃焼量に対する燃焼用空気の空気比も所定の値に設定されて、設定空気比として制御部3の記憶部に記憶されている。ちなみに、設定空気比は、粉体混合空気Mに含まれる一次燃焼用空気Aの量、二次空気噴出口9から噴出される二次燃焼用空気Aの量及び三次空気噴出口から噴出される三次燃焼用空気Aの量を合わせた空気量を総空気量として、その総空気量に基づいて設定されている。
【0039】
粉体燃焼装置のオペレータは、粉状可燃物種類設定スイッチにより粉状可燃物Fの種類を設定して、運転スイッチにより運転開始を指令する。
制御部3は、運転スイッチにより運転開始が指令されると、点火プラグ(図示省略)を作動させた状態で、送風機23を作動し、ガス燃料断続弁19及び粉体混合空気断続弁16を開弁すると共に、総燃焼量が設定燃焼量となり、空気比が設定空気比になり、且つ、ガス燃焼量比率が粉状可燃物種類設定スイッチにて設定された粉状可燃物Fの種類に対応する比率になるように、ガス燃料ノズル7からのガス燃料Gの噴出量、粉体混合空気噴出口8からの粉体混合空気Mの噴出量、二次空気噴出口9からの二次燃焼用空気Aの噴出量、三次空気噴出口からの三次燃焼用空気Aの噴出量を夫々調整すべく、ガス燃料供給量調整弁20の開度、粉体混合空気供給量調整弁17の開度、二次空気ダンパ24の開度、三次空気ダンパの開度を調整する。
【0040】
ガス燃料供給量調整弁20により、ガス燃料ノズル7からのガス燃料Gの噴出量を調整し、粉体混合空気供給量調整弁17により、粉体混合空気噴出口8からの粉体混合空気Mの噴出量を調整することにより、ガス燃焼量比率が調整されることになるので、ガス燃料供給量調整弁20及び粉体混合空気供給量調整弁17により、ガス燃焼量比率を調整するガス燃焼量比率調整手段Vが構成される。
つまり、制御部3が、粉状可燃物Fの易燃焼性に応じて、当該易燃焼性が低いほどガス燃焼量比率を大きくするように、ガス燃焼量比率調整手段Vを制御するように構成されていることになる。
【0041】
制御部3は、二次空気ダンパ24及び三次空気ダンパ夫々の開度を調整するに当たっては、設定燃焼量に応じて、設定空気比に対応する総空気量を演算すると共に、演算した総空気量に応じて、予め設定された所定の比率で、二次空気噴出口9からの二次燃焼用空気Aの噴出量、三次空気噴出口からの三次燃焼用空気Aの噴出量を夫々設定して、設定した夫々の噴出量になるように、二次空気ダンパ24及び三次空気ダンパ夫々の開度を調整する。
【0042】
ちなみに、この粉体燃焼装置がボイラの熱源として用いられる場合は、設定空気比は、例えば1.1に設定される。
そして、制御部3は、演算した総空気量に応じて、例えば、粉体混合空気Mに含まれる一次燃焼用空気Aの量と二次空気噴出口9からの二次燃焼用空気Aの噴出量とを合わせた量が、空気比0.9分の量となり、三次空気噴出口からの三次燃焼用空気Aの噴出量が、残りの空気比0.2分の量となるように、二次空気ダンパ24及び三次空気ダンパ夫々の開度を調整する。
【0043】
制御部3は、運転スイッチにより運転停止が指令されると、ガス燃料断続弁19、粉体混合空気断続弁16、ガス燃料供給量調整弁20及び粉体混合空気供給量調整弁17を閉弁し、二次空気ダンパ24及び三次空気ダンパを閉じると共に、送風機23を停止して、粉体燃焼装置の運転を停止する。
【0044】
次に、
図1に基づいて、上述のように構成した第1実施形態による粉体燃焼装置の燃焼形態について説明する。
中央のガス燃料ノズル7からガス燃料Gが噴出され、そのように噴出されるガス燃料Gの外周の全周にわたって、環状の粉体混合空気噴出口8から粉体混合空気Mが噴出され、そのように噴出される粉体混合空気Mの外周部の全周にわたって、環状の二次空気噴出口9から二次燃焼用空気Aが噴出される。又、図示を省略するが、三次空気噴出口から三次燃焼用空気が噴出される。
【0045】
そして、ガス燃料ノズル7から噴出されるガス燃料Gに対しては、そのガス燃料Gに直接接触させるように燃焼用空気Aを供給する専用の燃焼用空気Aの供給手段が設けられていないことから、ガス燃料ノズル7から粉体混合空気Mの噴出流の内部に向けて噴出されるガス燃料Gは、粉体混合空気Mに含まれる空気Aのみを一次燃焼用空気Aとして燃焼し、粉体混合空気M中の粉状可燃物Fは、粉体混合空気M中の空気Aを一次燃焼用空気Aとして燃焼することとなる。
つまり、ガス燃料ノズル7から噴出されるガス燃料Gを、粉体混合空気M中の空気Aを積極的に利用して燃焼させることにより、粉状可燃物Fを燃焼させるための粉体混合空気M中の一次燃焼用空気Aの密度を、粉体混合空気Mの噴出流の広範囲にわたって低くできるから、粉体混合空気M中の粉状可燃物Fを緩慢燃焼させることができる。
【0046】
更に、この第1実施形態では、ガス燃料ノズル7の外周部に環状の粉体混合空気噴出口8が設けられ、その粉体混合空気噴出口8の外周部に環状の二次空気噴出口9が設けられている。それにより、粉体混合空気噴出口8から噴出された粉体混合空気Mの内部の極力広範囲にわたって、ガス燃料ノズル7から噴出されたガス燃料Gを行きわたらせて、粉体混合空気M中の空気Aをガス燃料Gの燃焼により消費することができるので、粉体混合空気M中の粉状可燃物Fの緩慢燃焼を一層良好に行わせることができる。
しかも、粉体混合空気噴出口8から噴出された粉体混合空気Mの外周部全周の極力広範囲にわたって、二次空気噴出口9から噴出された二次燃焼用空気Aを行きわたらせることができ、更に、三次空気噴出口からは、粉体混合空気噴出口8からの粉体混合空気Mの噴出方向先方において、三次燃焼用空気Aが供給されるので、粉体混合空気M中の粉状可燃物Fの燃焼用空気不足を的確に防止することができる。
【0047】
更に、粉状可燃物Fの易燃焼性が低いほど、ガス燃焼量比率が大きくなるように調整されることにより、粉状可燃物Fの易燃焼性が低いほど、ガス燃料Gの供給量が多くなり、粉体混合空気噴出筒1の先端開口部1wから噴出された粉体混合空気Mの広い範囲で、ガス燃料Gを燃焼させることができるので、そのガス燃料Gの燃焼火炎に引火させる形態で、粉体混合空気M中の粉状可燃物Fを、易燃焼性の違いに拘わらず、広範囲にわたって安定して緩慢燃焼させることができる。
即ち、粉状可燃物Fの易燃焼性が低いほど、局部高温域が粉体混合空気Mの噴出方向の先方で生じ易いが、局部高温域の発生が見込まれる箇所の近傍までガス燃料Gを送り込んで、粉体混合空気M中の空気Aを積極的に消費することができるから、局部高温域の発生を効果的に抑制することができる。
従って、粉状可燃物Fの易燃焼性の違いに拘わらず、粉状可燃物Fを安定燃焼させることができながら、低NOx化を図ることができる。
【0048】
つまり、この第1実施形態の粉体燃焼装置は、ガス燃料ノズル7から噴出するガス燃料Gを粉体混合空気Mに含まれる空気Aのみを一次燃焼用空気Aとして燃焼させる粉体燃焼方法が実行されるように構成されている。
【0049】
〔第2実施形態〕
次に、
図3〜
図6に基づいて、第2実施形態を説明する。
この第2実施形態においても、上記の第1実施形態における粉体混合空気噴出筒1及びガス燃料噴出筒10の配設形態と同様の形態で、粉体混合空気噴出筒31及びガス燃料噴出筒41が配設され、又、粉体混合空気噴出筒31の先端開口部31wの外周部に、空気噴出部4が設けられている。
【0050】
そして、この第2実施形態では、粉体混合空気噴出筒31が、筒長手方向視での横断形状が矩形状の角筒状であり、当該粉体混合空気噴出筒31が、筒長手方向視での横断形状が矩形状の角筒状の空気噴出筒32の内部に設けられている。
空気噴出部4として、粉体混合空気噴出筒31の先端開口部31wから噴出される粉体混合空気M中の粉状可燃物Fを燃焼させる二次燃焼用空気Aを噴出する二次空気噴出口33(二次空気噴出部の一例)と、三次燃焼用空気Aを噴出する三次空気噴出口34(三次空気噴出部の一例)とが設けられている。
粉体混合空気噴出筒31の先端開口縁と空気噴出筒32の先端開口縁との間に、矩形枠状の二次空気噴出口33が形成され、当該二次空気噴出口33における一辺部と当該一辺部に対向する一辺部夫々の外周部に、矩形状の三次空気噴出口34が各別に設けられている。
【0051】
以下、この第2実施形態の粉体燃焼装置の各部について、説明を加える。
図3、
図5及び
図6に示すように、横断形状が矩形状で一端側が閉塞された角筒状のエアーレジスタ35の周壁における閉塞端側に、横断形状が矩形状の角筒状のエアーダクト36が連通連結されて、外形形状が平面視で概略L字状の装置本体37が構成されている。
【0052】
この装置本体37の内部に、2枚の仕切り板38が、装置本体8の高さ方向に間隔を隔てて並設されて、装置本体37の内部が、エアーレジスタ35とエアーダクト36とにわたって一連に連なる概略L字状に屈曲した角筒状の3個の空間に区画され、エアーダクト36の端部には送風機39が接続され、その送風機39により各空間に空気Aを送風可能に構成されている。
3個の空間のうち、中央の空間が、横断面積が最も広く、両側の空間は、横断面積がほぼ等しい。
そして、2枚の仕切り板38とそれら2枚の仕切り板38に架かる状態のエアーレジスタ35及びエアーダクト36夫々の周壁部分とにより、3個の空間のうちの中央の空間を内部空間として、空気噴出筒32が構成される。
【0053】
図3、
図4及び
図6に示すように、空気噴出筒32におけるエアーレジスタ35により構成される部分の内部に、基端が閉塞された角筒状の粉体混合空気噴出筒31が、エアーレジスタ35の閉塞端から挿通された状態で配設されている。
粉体混合空気噴出筒31は、横断形状が矩形状の角筒状の筒本体部31mとその先端に連結された横断形状が矩形状の角筒状のノズル部31nとからなり、そのノズル部31nの先端開口部が、粉体混合空気噴出筒31の先端開口部31wに相当し、粉体混合空気噴出口40とされる。
粉体混合空気噴出筒31のノズル部31nには、先端の粉体混合空気噴出口40から多少手前の部分に、通路断面積が先端側及び基端側よりも狭くなる絞り部分が備えられている。
【0054】
図示を省略するが、ノズル部31nは、両方の仕切り板38の側に傾けることが可能なティルト機構により筒本体部31mの先端に連結されている。
【0055】
図3、
図4及び
図6に示すように、粉体混合空気噴出筒31内には、その粉体混合空気噴出筒31の閉塞端から挿通された状態で、円筒状のガス燃料噴出筒41が配設され、そのガス燃料噴出筒41の先端には、ガス燃料ノズル42が着脱自在に取り付けられ、このガス燃料ノズル42によりガス燃料噴出部2が構成されている。ガス燃料ノズル42は、先端側ほど大径となるコーン状であり、
図5に示すように、先端面には、複数のガス燃料噴出孔42hが円状に並ぶ状態で備えられている。図示を省略するが、このガス燃料ノズル42は、例えば、その基端部に備えられた雌ネジ部をガス燃料噴出筒41の先端に備えられた雄ネジ部に螺合することにより、ガス燃料噴出筒41の先端に取り付けられる。
【0056】
図3及び
図4に示すように、空気噴出筒32、粉体混合空気噴出筒31及びガス燃料ノズル42は、粉体混合空気噴出筒31の先端開口部31wが空気噴出筒32の先端開口部32wと筒長手方向において略同位置となり、ガス燃料ノズル42が粉体混合空気噴出筒31の先端開口部31wから多少後退した部分に位置する相対位置関係で配設されている。
そして、ガス燃料噴出筒41と粉体混合空気噴出筒31との間の空間には、他の部材は設けられず、当該空間全域が、粉体混合空気Mを通流させる粉体混合空気流路43とされ、その粉体混合空気流路43からの粉体混合空気Mを先端の粉体混合空気噴出口40から噴出する構成となっている。
つまり、ガス燃料ノズル42から噴出されるガス燃料Gに対しては、そのガス燃料Gに直接接触させるように燃焼用空気Aを供給する専用の燃焼用空気Aの供給手段が設けられておらず、ガス燃料ノズル42から噴出されるガス燃料Gに対する燃焼用空気Aの供給源は、空気Aが元混合されて粉体混合空気噴出口40から噴出される紛体混合空気Mのみとされている。
【0057】
又、粉体混合空気噴出筒31と空気噴出筒32との間の横断形状が矩形枠状の空間が、二次燃焼用空気Aを通流させる二次空気流路44とされ、その二次空気流路44からの二次燃焼用空気Aが二次空気噴出口33から噴出される構成となっている。
エアーレジスタ35とエアーダクト36とにわたって形成される3個の角筒状の空間のうちの両端の空間夫々が、三次燃焼用空気Aを通流させる三次空気流路46とされ、当該空間夫々の先端開口部が三次空気噴出口34とされる。
【0058】
図3及び
図6に示すように、粉体混合空気噴出筒31の周壁の基端に、粉体混合空気供給口47が取り付けられ、その粉体混合空気供給口47に、粉体混合空気Mを供給する粉体混合空気供給路48が接続され、この粉体混合空気供給路48には、粉体混合空気Mの供給を断続する粉体混合空気断続弁49、及び、粉体混合空気Mの供給量を調整自在な粉体混合空気供給量調整弁50が設けられている。
ガス燃料噴出筒41の基端には、ガス燃料Gを供給するガス燃料供給路51が接続され、このガス燃料供給路51には、ガス燃料Gの供給を断続するガス燃料断続弁52、及び、ガス燃料Gの供給量を調整自在なガス燃料供給量調整弁53が設けられている。
【0059】
図5に示すように、二次空気流路44、各三次空気流路46には、夫々、空気Aの通風量を調整自在な二次空気ダンパ54、三次空気ダンパ55が設けられている。
【0060】
更に、図示を省略するが、この粉体燃焼装置を取り付ける加熱炉の炉壁57(
図3参照)には、四次燃焼用空気Aを噴出する四次空気噴出口が設けられると共に、その四次空気噴出口から噴出する四次燃焼用空気Aの量を調整する四次空気ダンパが設けられている。
【0061】
図3に示すように、上述のように構成された粉体燃焼装置が、2つの三次空気噴出口34が上下方向に並ぶ姿勢で、取付板56を介して、加熱炉の炉壁57に形成された取付用開口58に取り付けられている。
【0062】
以下、制御部3の制御動作について説明する。
制御部3は、送風機39、ガス燃料断続弁52、ガス燃料供給量調整弁53、粉体混合空気断続弁49、粉体混合空気供給量調整弁50、二次空気ダンパ54、三次空気ダンパ55及び四次空気ダンパ等の作動を制御することにより、粉体燃焼装置の運転を制御するように構成されている。
操作盤(図示省略)には、上記の第1実施形態と同様の運転スイッチ、粉状可燃物種類設定スイッチ等が備えられ、制御部3の記憶部には、上記の第1実施形態と同様のガス燃焼量比率情報、設定空気比等の情報が予め記憶されている。
【0063】
制御部3は、運転スイッチにより運転開始が指令されると、点火プラグ(図示省略)を作動させた状態で、送風機39を作動し、ガス燃料断続弁52及び粉体混合空気断続弁49を開弁すると共に、総燃焼量が設定燃焼量となり、空気比が設定空気比になり、且つ、ガス燃焼量比率が粉状可燃物種類設定スイッチにて設定された粉状可燃物Fの種類に対応する比率になるように、ガス燃料ノズル42からのガス燃料Gの噴出量、粉体混合空気噴出口40からの粉体混合空気Mの噴出量、二次空気噴出口33からの二次燃焼用空気Aの噴出量、三次空気噴出口34からの三次燃焼用空気Aの噴出量、四次空気噴出口からの四次燃焼用空気Aの噴出量を夫々調整すべく、ガス燃料供給量調整弁53の開度、粉体混合空気供給量調整弁50の開度、二次空気ダンパ54の開度、三次空気ダンパ55の開度、四次空気ダンパの開度を調整する。
【0064】
制御部3は、二次空気ダンパ54、三次空気ダンパ55及び四次空気ダンパ夫々の開度を調整するに当たっては、上記の第1実施形態と同様に、設定燃焼量に応じて、設定空気比に対応する総空気量を演算すると共に、演算した総空気量に応じて、予め設定された所定の比率で、二次空気噴出口33からの二次燃焼用空気Aの噴出量、三次空気噴出口34からの三次燃焼用空気Aの噴出量、四次空気噴出口からの四次燃焼用空気Aの噴出量を夫々設定して、設定した夫々の噴出量になるように、二次空気ダンパ54、三次空気ダンパ55及び四次空気ダンパ夫々の開度を調整する。
【0065】
ガス燃料供給量調整弁53及び粉体混合空気供給量調整弁50により、ガス燃焼量比率を調整するガス燃焼量比率調整手段Vが構成される。
つまり、この第2実施形態においても、制御部3が、粉状可燃物Fの易燃焼性に応じて、当該易燃焼性が低いほどガス燃焼量比率を大きくするように、ガス燃焼量比率調整手段Vを制御するように構成されていることになる。
【0066】
ちなみに、設定空気比は、第1実施形態と同様の値、例えば1.1に設定される。
そして、制御部3は、演算した総空気量に応じて、例えば、粉体混合空気Mに含まれる一次燃焼用空気Aの量と二次空気噴出口33からの二次燃焼用空気Aの噴出量と三次空気噴出口34からの三次燃焼用空気Aの噴出量とを合わせた量が、空気比0.9分の量となり、四次空気噴出口からの四次燃焼用空気Aの噴出量が、残りの空気比0.2分の量となるように、二次空気ダンパ54、三次空気ダンパ55及び四次空気ダンパ夫々の開度を調整する。
【0067】
制御部3は、運転スイッチにより運転停止が指令されると、ガス燃料断続弁52、粉体混合空気断続弁49、ガス燃料供給量調整弁53及び粉体混合空気供給量調整弁50を閉弁し、二次空気ダンパ54、三次空気ダンパ55及び四次空気ダンパを閉じると共に、送風機39を停止して、粉体燃焼装置の運転を停止する。
【0068】
次に、
図4に基づいて、上述のように構成した第2実施形態による粉体燃焼装置の燃焼形態について説明する。
粉体混合空気噴出筒31の先端の矩形状の粉体混合空気噴出口40から粉体混合空気Mが噴出され、その粉体混合空気噴出口40の略中央で粉体混合空気噴出口40から引っ込んだ位置のガス燃料ノズル42からガス燃料Gが噴出され、粉体混合空気噴出口40から噴出される粉体混合空気Aの外周の全周にわたって、矩形枠状の二次空気噴出口33から二次燃焼用空気Aが噴出され、そのように噴出される二次燃焼用空気Aの外周部に、矩形枠状の二次空気噴出口33における互いに対向する二辺部夫々の外周部の三次空気噴出口34から三次燃焼用空気Aが噴出される。又、図示を省略するが、四次空気噴出口から四次燃焼用空気が噴出される。
【0069】
基本的な燃焼形態は、上記の第1実施形態による燃焼形態と同様であり、ガス燃料ノズル42から噴出されるガス燃料Gを、粉体混合空気M中の空気Aを積極的に利用して燃焼させることにより、粉状可燃物Fを燃焼させるための粉体混合空気M中の一次燃焼用空気Aの密度を、粉体混合空気Mの噴出流の広範囲にわたって低くできるから、粉体混合空気M中の粉状可燃物Fを緩慢燃焼させることができる。
【0070】
そして、この第2実施形態では、粉体混合空気噴出筒31が角筒状であり、その粉体混合空気噴出筒31の先端開口部31wの外周部に矩形枠状の二次空気噴出口33が設けられ、その二次空気噴出口33における互いに対向する二辺部夫々の外周部に三次空気噴出口34が設けられている。それにより、粉体混合空気噴出筒31の先端の粉体混合空気噴出口40から噴出された粉体混合空気Mの外周部全周の極力広範囲にわたって、二次空気噴出口33から噴出された二次燃焼用空気Aを行きわたらせることができるので、粉体混合空気噴出口40から噴出された粉体混合空気Mの広範囲にわたって、粉状可燃物Fを万遍なく燃焼させることができる。更に、粉体混合空気噴出口40から噴出された粉体混合空気Mに対して、その噴出方向の先方で、2つの三次空気噴出口34から三次燃焼用空気Aが供給され、並びに、四次空気噴出口から四次燃焼用空気Aが供給されるので、粉状可燃物の未燃分を的確に燃焼させることができる。
【0071】
更に、粉状可燃物Fの易燃焼性が低いほど、ガス燃焼量比率が大きくなるように調整されることから、第1実施形態と同様の燃焼形態で粉体混合空気Mを燃焼させることができるので、粉体混合空気M中の粉状可燃物Fを、易燃焼性の違いに拘わらず、広範囲にわたって安定して緩慢燃焼させることができて、局部高温域の発生を効果的に抑制することができる。
従って、粉状可燃物Fの易燃焼性の違いに拘わらず、粉状可燃物Fを安定燃焼させることができながら、低NOx化を図ることができる。
【0072】
つまり、この第2実施形態の粉体燃焼装置も、ガス燃料ノズル42から噴出するガス燃料Gを粉体混合空気Mに含まれる空気Aのみを一次燃焼用空気Aとして燃焼させる粉体燃焼方法が実行されるように構成されている。
【0073】
〔別実施形態〕
(A)上記の第1実施形態において、二次空気噴出口9の外周部に、三次燃焼用空気を噴出する三次空気噴出部を設けても良い。この場合、例えば、三次空気噴出部を環状の二次空気噴出口9の外周を全周にわたって囲むように、環状に設けることができる。
【0074】
(B)上記の第2実施形態において、三次空気噴出部を、矩形枠状の二次空気噴出口33の外周を全周にわたって囲むように、矩形枠状に設けても良い。
【0075】
(C)上記の第1実施形態において、ガス燃料ノズル7として、ガス燃料Gの噴出速度が夫々異なる複数のガス燃料ノズル7を、夫々、ガス燃料噴出筒10の先端に取り付け可能に備え、上記の第2実施形態においても、ガス燃料ノズル42として、ガス燃料Gの噴出速度が夫々異なる複数のガス燃料ノズル42を、夫々、ガス燃料噴出筒41の先端に取り付け可能に備える。
そして、粉状可燃物Fの易燃焼性に応じて、当該易燃焼性が低いほど、ガス燃料Gの噴出速度が速いガス燃料ノズル7,42をガス燃料噴出筒10,41の先端に取り付ける運転方法を実行しても良い。
この場合、ガス燃焼量比率は、粉状可燃物Fの種類に拘わらず、例えば5〜20%の範囲の一定の比率に設定する。
【0076】
(D)上記の第1及び第2の各実施形態において、粉体燃焼装置から排出される燃焼排ガス中のNOx濃度を検出するNOxセンサを設ける。そして、このNOxセンサにより検出される燃焼排ガス中のNOx濃度が所定の上限濃度以下になるように、第1実施形態においては、ガス燃料ノズル7からのガス燃料Gの噴出量を調整すべく、ガス燃料供給量調整弁20の開度を、第2実施形態においては、ガス燃料ノズル42からのガス燃料Gの噴出量を調整すべく、ガス燃料供給量調整弁53の開度を夫々調整するように構成しても良い。
【0077】
(E)上記の第1及び第2の各実施形態において、ガス燃料ノズル7,42からのガス燃料Gの噴出速度を調整するガス燃料噴出速度調整手段を設け、制御部3を構成するに、粉状可燃物Fの易燃焼性に応じて、当該易燃焼性が低いほど、ガス燃料ノズル7,42からのガス燃料Gの噴出速度を速くするように、ガス燃料噴出速度調整手段を制御するように構成しても良い。
ガス燃料供給量調整弁20,53の開度を大きくして、ガス燃料ノズル7,42からのガス燃料Gの噴出量を多くするほど、ガス燃料ノズル7,42からのガス燃料Gの噴出速度が速くなるので、上記の第1実施形態においては、ガス燃料供給量調整弁20を、第2実施形態においては、ガス燃料供給量調整弁53を、夫々ガス燃料噴出速度調整手段として用いることができる。
【0078】
この場合は、上記の第1及び第2の各実施形態と同様に、ガス燃焼量比率情報を設定して、制御部3の記憶部に記憶させておく。
そして、制御部3を構成するに、ガス燃焼量比率が粉状可燃物種類設定スイッチにて設定された粉状可燃物Fの種類に対応する比率になるように、ガス燃料ノズル7,42からのガス燃料Gの噴出量を調整すべく、ガス燃料供給量調整弁20,53の開度を調整するように構成する。
つまり、制御部3を、粉状可燃物Fの易燃焼性に応じて、当該易燃焼性が低いほどガス燃料ノズル7,42からのガス燃料Gの噴出速度を速くするように、ガス燃料供給量調整弁20,53を制御するように構成することになる。
【0079】
(F)本発明に係る粉体燃焼装置では、燃焼対象の粉状可燃物Fとして、ペトロコークス微粉、微粉炭、有機性汚泥粉、廃プラスチック粉等、各種の粉状可燃物Fを使用することができる。
又、ガス燃料Gとしても、13A以外の種々の都市ガス、及び、都市ガス以外の各種のガス燃料を使用することができる。
又、本発明に係る粉体燃焼装置の用途は、上記の第1及び第2の各実施形態において例示したボイラの熱源以外に、種々の加熱炉の熱源等、種々の用途で用いることができる。
【0080】
尚、上記の実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、又、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。