特許第6826420号(P6826420)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6826420厨房機器用のスイッチ装置、及びこれを備えた厨房機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6826420
(24)【登録日】2021年1月19日
(45)【発行日】2021年2月3日
(54)【発明の名称】厨房機器用のスイッチ装置、及びこれを備えた厨房機器
(51)【国際特許分類】
   H01H 13/06 20060101AFI20210121BHJP
   H01H 21/08 20060101ALI20210121BHJP
   H01H 9/16 20060101ALI20210121BHJP
   H01H 9/04 20060101ALI20210121BHJP
   F24C 15/00 20060101ALI20210121BHJP
【FI】
   H01H13/06 B
   H01H21/08
   H01H9/16 C
   H01H9/04 F
   F24C15/00 S
【請求項の数】6
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-231775(P2016-231775)
(22)【出願日】2016年11月29日
(65)【公開番号】特開2018-88370(P2018-88370A)
(43)【公開日】2018年6月7日
【審査請求日】2019年10月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】301071893
【氏名又は名称】株式会社ハーマン
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】特許業務法人北斗特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100087767
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 惠清
(74)【代理人】
【識別番号】100155745
【弁理士】
【氏名又は名称】水尻 勝久
(74)【代理人】
【識別番号】100143465
【弁理士】
【氏名又は名称】竹尾 由重
(74)【代理人】
【識別番号】100155756
【弁理士】
【氏名又は名称】坂口 武
(74)【代理人】
【識別番号】100161883
【弁理士】
【氏名又は名称】北出 英敏
(74)【代理人】
【識別番号】100167830
【弁理士】
【氏名又は名称】仲石 晴樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162248
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 豊
(72)【発明者】
【氏名】山本 文成
【審査官】 関 信之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−277891(JP,A)
【文献】 特開2006−004881(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 13/06
F24C 15/00
H01H 9/04
H01H 9/16
H01H 21/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体に収容された基板と、
前記基板に設けられたスイッチと、
外部から押し操作できるように前記筐体に収容されたボタンと、
前記筐体内の空間を、前記スイッチ及び前記基板が位置する第一空間と前記ボタンが位置する第二空間とに仕切る仕切り壁と、
前記仕切り壁に設けられた貫通孔と、
前記貫通孔に嵌まるように配された補助ボタンと、を備え、
前記ボタンが押し操作されたときに、前記補助ボタンを介して前記スイッチが押されるように構成され
前記補助ボタンは、本体部と、前記本体部から外側に突出したフランジ部とを有し、
前記本体部が前記貫通孔に位置し、前記フランジ部が前記第一空間に位置し、
前記仕切り壁は、前記貫通孔の孔縁から、前記ボタン側と前記スイッチ側のうち、前記ボタン側にのみ突出する筒部を有していることを特徴とする厨房機器用のスイッチ装置。
【請求項2】
前記第一空間に位置し、前記補助ボタンの前記第一空間側への移動を規制するストッパーをさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の厨房機器用のスイッチ装置。
【請求項3】
前記ストッパーは、前記スイッチで構成されていることを特徴とする請求項2に記載の厨房機器用のスイッチ装置。
【請求項4】
筐体と、
前記筐体に収容された基板と、
前記基板に設けられたスイッチと、
外部から押し操作できるように前記筐体に収容されたボタンと、
前記筐体内の空間を、前記スイッチ及び前記基板が位置する第一空間と前記ボタンが位置する第二空間とに仕切る仕切り壁と、
前記仕切り壁に設けられた貫通孔と、
前記貫通孔に嵌まるように配された補助ボタンと、を備え、
前記ボタンが押し操作されたときに、前記補助ボタンを介して前記スイッチが押されるように構成され、
前記補助ボタンは、本体部と、前記本体部から外側に突出したフランジ部とを有し、
前記本体部が前記貫通孔に位置し、前記フランジ部が前記第一空間に位置し、
前記本体部は、底を有する筒状体と、前記底から前記スイッチ側に突出した突起とを含み、
前記ボタンが押し操作されたときに、前記突起によって前記スイッチが押されるように構成されたことを特徴とする厨房機器用のスイッチ装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の厨房機器用のスイッチ装置と、
前記厨房機器用のスイッチ装置が組み込まれる厨房機器本体と、を備え、
前記厨房機器用のスイッチ装置は、前記ボタンと前記補助ボタンと前記スイッチが水平に並び、かつ前記貫通孔が前記仕切り壁を水平方向に貫通するように、前記厨房機器本体に設置されていることを特徴とする厨房機器。
【請求項6】
前記厨房機器本体は、加熱調理部を備え、
前記厨房機器用のスイッチ装置は、前記加熱調理部よりも下方に位置することを特徴とする請求項5に記載の厨房機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、厨房機器用のスイッチ装置、及びこれを備えた厨房機器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、加熱調理器の収納部に、基板とこの基板に設けられた電源スイッチとが収納された構造が記載されている。収納部のうち電源スイッチの上方の部分には開口穴が設けられており、この開口穴は、収納部に上から貼り付けられた防水部材のメンブレンによって塞がれている。メンブレンにはエンボスが設けられており、このエンボスは、開口穴を介して電源スイッチの操作を行うためのボタンを構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−293892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の従来の収納部の構造では、経年劣化や破損を原因として、メンブレンと収納部との間に隙間ができた場合に、吹きこぼれた煮汁等の液体が、この隙間から開口穴を通じて基板へと至り、ショート等の不具合が生じるおそれがある。
【0005】
上記事情に鑑みて、本発明は、内部の基板にまで液体が到達しにくい厨房機器用のスイッチ装置、及び、これを備えた厨房機器を提案することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る一態様の厨房機器用のスイッチ装置は、筐体と、前記筐体に収容された基板と、前記基板に設けられたスイッチと、外部から押し操作できるように前記筐体に収容されたボタンと、前記筐体内の空間を、前記スイッチ及び前記基板が位置する第一空間と前記ボタンが位置する第二空間とに仕切る仕切り壁と、前記仕切り壁に設けられた貫通孔と、前記貫通孔に嵌まるように配された補助ボタンと、を備える。
【0007】
一態様の厨房機器用のスイッチ装置は、前記ボタンが押し操作されたときに、前記補助ボタンを介して前記スイッチが押されるように構成されている。
【0008】
本発明に係る一態様の厨房機器は、前記の厨房機器用のスイッチ装置と、前記厨房機器用のスイッチ装置が組み込まれる厨房機器本体と、を備える。
【0009】
前記厨房機器用のスイッチ装置は、前記ボタンと前記補助ボタンと前記スイッチが水平に並び、かつ前記貫通孔が前記仕切り壁を水平方向に貫通するように、前記厨房機器本体に設置されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、内部の基板にまで液体が到達しにくい厨房機器用のスイッチ装置、及び、これを備えた厨房機器を提案することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明に係る実施形態1の厨房機器用のスイッチ装置を示す分解斜視図である。
図2図2は、同上の厨房機器用のスイッチ装置の組み立て状態を示す斜視図である。
図3図3は、同上の厨房機器用のスイッチ装置を示す側断面図である。
図4図4は、同上の厨房機器用のスイッチ装置が、押し操作されたときの状態を示す側断面図である。
図5図5は、同上の厨房機器用のスイッチ装置の補助ボタンを示す斜視図である。
図6図6は、本発明に係る実施形態1の厨房機器を示す斜視図である。
図7図7は、同上の厨房機器が備える厨房機器用のスイッチ装置と、その取付部材を示す斜視図である。
図8図8は、実施形態1の厨房機器用のスイッチ装置の変更例を示す側断面図である。
図9図9は、実施形態1の厨房機器用のスイッチ装置の他の変更例を示す側断面図である。
図10図10は、実施形態1の厨房機器用のスイッチ装置のさらに他の変更例を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(厨房機器用のスイッチ装置)
図1〜4には、本発明に係る実施形態1の厨房機器用のスイッチ装置1(以下、単に「スイッチ装置1」と記載する)が示されている。
【0013】
スイッチ装置1は、筐体2と、筐体2に収容された基板3と、基板3に設けられたスイッチ4と、外部から押し操作できるように筐体2に収容されたボタン5を備える。さらにスイッチ装置1は、筐体2内の空間を、スイッチ4及び基板3が位置する第一空間S1とボタン5が位置する第二空間S2とに仕切る仕切り壁6と、仕切り壁6に設けられた貫通孔7と、貫通孔7に嵌まるように配された補助ボタン8を備える。さらにスイッチ装置1は、ボタン5と仕切り壁6との間に介在する付勢部材9を備える。スイッチ装置1は、ボタン5が押し操作されたときに、ボタン5により補助ボタン8を介してスイッチ4が押されるように構成されている。
【0014】
スイッチ装置1では、ボタン5、補助ボタン8、及びスイッチ4が、この順に一方向に並んでいる。スイッチ装置1は、例えば、ボタン5と補助ボタン8とスイッチ4とが水平方向に並び、仕切り壁6に貫通孔7が水平方向に貫通する姿勢で用いられる。以下では、この姿勢を基準として、ボタン5と補助ボタン8とスイッチ4とが並ぶ方向を前後方向とし、この前後方向に対して平面視において直交する方向を左右方向として、各構成について説明する。各図において、矢印Xで示す方向が前方であり、矢印Yで示す方向が右方であり、矢印Zで示す方向が上方である。
【0015】
まず、筐体2について詳しく説明する。
【0016】
筐体2は、筐体本体部20と、筐体本体部20の前側に取り付けられる第一カバー部21と、筐体本体部20の後側に取り付けられる第二カバー部22を有する。筐体2は、筐体本体部20、第一カバー部21、及び第二カバー部22を組み立てて一体化することによって、略直方体状に設けられる。筐体2は、ABS樹脂、PBT(ポリブチレンテレフタレート)樹脂等で成形された樹脂成型品である。
【0017】
筐体本体部20は、後面が開口した略直方体状の箱型である。筐体本体部20は、前板部200と、前板部200の上端から後方に突出した上板部201と、前板部200の下端と一体の下板部202と、上板部201の左右端のそれぞれと一体の左右一対の側板部203,204を有する。下板部202は、その前端部が、前板部200よりも前方に位置し、残りの部分が前板部200から後方に突出している。左右一対の側板部203,204は、上板部201と下板部202のそれぞれに対しても一体である。板部200,201,202,203,204が、後方に開口した略直方体状の箱型をなしている。筐体本体部20はさらに、左右一対の側板部203,204のそれぞれの外側の面に設けられる上下一対の爪部205,206を有する。
【0018】
第一カバー部21は、筐体本体部20との間に第二空間S2を形成する部材である。第一カバー部21は、ボタン5を露出させるための開口部210が設けられた前カバー部211と、前カバー部211の上端から後方に突出した上カバー部212と、前カバー部211の下端から後方に突出した下カバー部213と、前カバー部211の左右端のそれぞれから後方に突出した左右一対の側カバー部214とを有する。
【0019】
第一カバー部21はさらに、前カバー部211のうち開口部210の左右の縁のそれぞれから後方に突出した一対の側支持片部215と、前カバー部211のうち開口部210の下縁から後方に突出した下支持片部216とを有する。一対の側支持片部215のそれぞれは、先端面(つまり後面)の上端部に、さらに後方に突出した受け面217を有する。第一カバー部21はさらに、左右一対の側カバー部214のそれぞれから後方に向けて突出した側面視略U字状の爪部218を有する。
【0020】
第二カバー部22は、筐体本体部20との間に第一空間S1を形成する部材である。第二カバー部22は、前カバー部220と、前カバー部220の上端から後方に突出した上カバー部221と、前カバー部220の下端から後方に突出した下カバー部222と、前カバー部220の左右端のそれぞれから後方に突出した一対の側カバー部223とを有する。
【0021】
第二カバー部22はさらに、上カバー部221、下カバー部222、及び一対の側カバー部223のそれぞれの後端から外側に突出した矩形枠状のフランジ片部224と、フランジ片部224の左右の端部から前方に向けて突出した側面視略U字状の爪部225を有する。前カバー部220の一部には、前後方向に貫通する引き出し孔226が設けられている。
【0022】
前カバー部220、上カバー部221、下カバー部222、及び一対の側カバー部223は、筐体本体部20よりも一回り小さい箱型をなしている。フランジ片部224は、筐体本体部20の矩形枠状の後面と略同じ形状である。
【0023】
本実施形態では、筐体本体部20の前板部200が、仕切り壁6を構成している。
【0024】
仕切り壁6は、仕切り壁6をその厚み方向に貫通する円孔状の貫通孔7と、仕切り壁6をその厚み方向に貫通する矩形孔状の第二貫通孔10と、仕切り壁6から前方に突出した円筒状の筒部11を有する。さらに仕切り壁6は、仕切り壁6のうち第二貫通孔10の孔縁から前方に突出した角筒状の第二筒部12と、仕切り壁6と一体に設けられた有底筒状の固定部13を有する。
【0025】
筒部11は、仕切り壁6のうち貫通孔7の孔縁から前方に突出しており、貫通孔7と同心である。本実施形態では、筒部11の内周面の直径と貫通孔7の直径とは同じであり、筒部11の内側の空間と貫通孔7の内側の空間とは連通している。筒部11は、第二筒部12よりも前方への突出長さが長い。筒部11の外周面には、コイルスプリングからなる付勢部材9の一端(後端)が取り付けられる。
【0026】
固定部13は、底壁130を有する円筒状であり、軸方向(前後方向)の中間部分が仕切り壁6と一体である。固定部13は、その前端の開口が底壁130で閉じられている。固定部13は、その内周面にねじ溝が設けられている。
【0027】
第二貫通孔10及び第二筒部12と、貫通孔7及び筒部11と、固定部13は、この順に左右方向に並んで位置し、かつ互いに左右方向に離れて位置する。
【0028】
仕切り壁6はさらに、仕切り壁6の下端部の左右方向の中央部から前方に突出した位置決め片14と、仕切り壁6の下端部のうち位置決め片14の左右に設けられた左右一対の回転規制用の爪部15を有する。
【0029】
筐体本体部20の左右一対の上側の爪部205に、第一カバー部21の左右一対の爪部218を引っ掛けることで、筐体本体部20に対して第一カバー部21は取り付け可能である。また、筐体本体部20の左右一対の下側の爪部206に、第二カバー部22の左右一対の爪部225を引っ掛けることで、筐体本体部20に対して第二カバー部22は取り付け可能である。
【0030】
筐体本体部20に第一カバー部21を取り付けた状態で筐体本体部20の前板部200(仕切り壁6)と第一カバー部21の前カバー部211との間に形成される空間が、ボタン5及び付勢部材9が配される第二空間S2である。筐体本体部20に第二カバー部22を取り付けた状態で筐体本体部20の前板部200(仕切り壁6)と第二カバー部22の前カバー部220との間に形成される空間が、スイッチ4等が実装された基板3が配される第一空間S1である。
【0031】
続いて、ボタン5について詳しく説明する。
【0032】
ボタン5は、利用者によって押し操作される略矩形のブロック状の操作部50と、操作部50の後端の周縁部から突出した正面視略U字状のフランジ片部51と、フランジ片部51の下端から後方に突出した側断面略直角三角形状の爪部52とを備える。爪部52の左右方向の中央部には、仕切り壁6の下端部の位置決め片14が収まる切欠き520が設けられている。
【0033】
ボタン5はさらに、操作部50から後方に突出した操作片53を備える。操作片53は、本実施形態では、突出方向(つまり後方)に対して直交する断面の形状が+(プラス)字状である。ボタン5はさらに、操作部50の一部に設けられた表示窓54と、表示窓54から後方に延びるように設けられた角棒状の導光部55を備える。導光部55は、操作片53よりも後方に突出している。
【0034】
ボタン5は、第一カバー部21と筐体本体部20との間の第二空間S2に、外部から押し込み操作できるように収容される。詳しくは、ボタン5は、その下端の爪部52が、一対の爪部15に対向して位置し、爪部52の切欠き520に、仕切り壁6の下端部の位置決め片14が差し込まれ、筒部11に取り付けられた付勢部材9の内側に操作片53が挿通され、仕切り壁6の第二貫通孔10に導光部55が挿通される状態で、仕切り壁6の前側に配される。このとき、ボタン5の下端の爪部52が仕切り壁6の下端部の爪部15に当たることによって、付勢部材9からの付勢力を受けたボタン5の前方への回転移動が規制される。これにより、前側にボタン5が配された筐体本体部20に対しての第一カバー部21の取り付けが行いやすくなっている。
【0035】
このようにボタン5が筐体本体部20の前側に配された状態で、筐体本体部20に対して第一カバー部21が取り付けられることで、ボタン5は筐体本体部20と第一カバー部21の間の第二空間S2に収容される。収容状態において、操作部50は第一カバー部21の開口部210に位置して外部に露出し、フランジ片部51は付勢部材9によって前方に付勢されて、第一カバー部21の一対の側支持片部215のそれぞれの上端部の受け面217に当たる。
【0036】
ボタン5は、フランジ片部51が受け面217に当たった待機位置と、操作片53が補助ボタン8を介してスイッチ4を押し込んだ操作位置との間で、移動自在である。利用者によって押し操作されることで、ボタン5は待機位置から操作位置へと移動可能である。利用者による押し操作が解除されると(つまり操作部50から利用者が手を離すと)、ボタン5は付勢部材9による付勢力によって、操作位置から待機位置へと自動的に移動可能である。
【0037】
ボタン5は、下端の爪部52を中心に操作部50が前後に回転移動することによって、待機位置と操作位置との間で移動する。ボタン5は、待機位置にあるときに、操作片53が補助ボタン8から離れて位置するように設けられている。
【0038】
続いて、基板3及びスイッチ4について詳しく説明する。
【0039】
基板3は、矩形板状のプリント基板である。基板3の厚み方向の一方の面には、スイッチ4と、LED等の光源30が実装され、基板3の厚み方向の他方の面には、他の電気機器と接続するためのコネクタ31が実装されている。基板3は、スイッチ4及び光源30が実装された面が前方を向き、仕切り壁6に対して平行となるように、筐体本体部20内に設置される。
【0040】
光源30は、基板3の前面のうち、仕切り壁6の第二貫通孔10の後方に並ぶ箇所に位置している。光源30は、スイッチ4が押し操作される毎に、状態が切り替わる。光源30は、例えば、点灯と消灯が切り替わったり、発光する色が切り替わる。光源30の状態は、導光部55を通じて、操作部50の表示窓54に表示される。
【0041】
基板3はさらに、基板3を厚み方向に貫通する固定孔32を有する。基板3は、固定孔32に後方から打ち込まれるねじ等の固定具によって、仕切り壁6の固定部13に固定され、これにより、仕切り壁6に対して平行に設置される。このとき、固定部13の後端面に基板3の前面が当たることで、基板3及びスイッチ4の前後位置が定まる。
【0042】
スイッチ4は、本実施形態では、タクタイルスイッチであり、押し操作されたときに、利用者にクリック感を付与することができる。スイッチ4は、基板3の前面のうち、貫通孔7の後方に並ぶ位置に実装されている。
【0043】
スイッチ4は、補助ボタン8によって押される突没自在なプランジャ40と、この後方に位置する反転バネ41を有する。クリック感の付与は、反転バネ41によって行われる。
反転バネ41による付勢力によって、プランジャ40は、押し操作された没位置から押し操作される前の突位置へと復帰させることができる。このとき、復帰するプランジャ40によって補助ボタン8が前方に押されることで、補助ボタン8もスイッチ4を押し操作した位置から、それよりも前方の位置へと移動させることができる。
【0044】
スイッチ4、光源30及びコネクタ31が実装された基板3の仕切り壁6への取り付けは、仕切り壁6の貫通孔7に補助ボタン8が配された状態で行われる。仕切り壁6へ基板3を取り付けた状態で、筐体本体部20には第二カバー部22が取り付けられる。基板3に実装されたコネクタ31は、第二カバー部22の引き出し孔226を通じて後方に突出して、外部に露出する。
【0045】
続いて、補助ボタン8について詳しく説明する。
【0046】
補助ボタン8は、本体部80と、本体部80から外側に突出したフランジ部81とを有する。本体部80は、底801を有する筒状体800と、底801からスイッチ4側(つまり後方)に突出した突起802とを含む。
【0047】
本実施形態では、筒状体800は、円筒状であり、その前端の開口が底801によって閉塞されている。底801は、円板状である。筒状体800の後端から、フランジ部81が外側に突出している。フランジ部81は、円環状である。筒状体800の直径は、貫通孔7の直径よりも僅かに短い。筒状体800の前後方向の長さは、貫通孔7及び筒部11の合計の前後方向の長さよりも短い。フランジ部81の外径は、貫通孔7の直径よりも長い。
【0048】
突起802は、底801の後面(第一空間S1側の面)の中央部から後方に突出している。突起802と筒状体800の内周面との間には隙間が形成される。突起802の先端面(後面)は、フランジ部81の後面よりも前方に位置する。図5に示すように、突起802は、突出方向(つまり後方)に対して直交する断面の形状が、+(プラス)字状である。
【0049】
補助ボタン8は、貫通孔7に嵌まるように配された状態で、本体部80が貫通孔7内に位置し、フランジ部81が第一空間S1に位置する。ここで、嵌まるように配されるとは、本体部80と貫通孔7との間に隙間が無い状態で、貫通孔7内に本体部80が位置する場合に限らず、本実施形態のように、本体部80と貫通孔7との間に僅かな隙間がある状態で、貫通孔7内に本体部80が位置する場合も含む。
【0050】
補助ボタン8は、本体部80が貫通孔7内に位置する範囲で、前後方向に移動自在である。詳しくは、補助ボタン8は、フランジ部81が仕切り壁6の第一空間S1側の面に当たった前位置と、突起802がスイッチ4を押し込んだ後位置との間で、前後方向に移動自在である。本実施形態では、補助ボタン8は、前位置にあるとき、本体部80の前端部が筒部11内に位置し、本体部80の残りの部分全体が貫通孔7内に位置し、後位置にあるとき、本体部80の一部である前部分が貫通孔7内に位置する。
【0051】
補助ボタン8は、仕切り壁6の貫通孔7に対して後側(第一空間S1側)から挿入することで、貫通孔7内に配される。
【0052】
続いて、スイッチ装置1の動作について詳しく説明する。
【0053】
図3には、利用者によってボタン5が押し操作されていない、待機状態のスイッチ装置1が示されている。
【0054】
待機状態のスイッチ装置1では、ボタン5は、フランジ片部51が第一カバー部21の一対の側支持片部215のそれぞれの受け面217に当たった待機位置に位置する。補助ボタン8は、本体部80の全体または略全体が貫通孔7内に位置し、フランジ部81が仕切り壁6の第一空間S1側の面に当たるか、僅かな隙間を介して位置する。スイッチ4のプランジャ40は、押し操作される前の突位置に位置する。ボタン5の操作片53と補助ボタン8の底801とは、僅かな隙間を介して位置し、補助ボタン8の突起802とスイッチ4のプランジャ40とは僅かな隙間を介して位置する。ここで、補助ボタン8の突起802とスイッチ4のプランジャ40との間の隙間の前後方向の寸法は、筒状体800の前後方向の長さ(底801の前面からフランジ部81の前面までの前後方向の距離)よりも短く、スイッチ4は補助ボタン8の第一空間S1側への移動を規制して、貫通孔7からの補助ボタン8の抜け落ちを防ぐストッパー16を構成している。
【0055】
待機状態のスイッチ装置1において、ボタン5が利用者によって押し操作されることで、図4に示す操作状態のスイッチ装置1のように、スイッチ装置1の各構成が動作する。
【0056】
詳しくは、利用者によってボタン5の操作部50が押し操作されると、ボタン5は、爪部52の先端(後端)を中心に回転して操作片53が後方に移動し、操作片53によって補助ボタン8の底801が後方に押される。操作片53によって押された補助ボタン8が貫通孔7内を後方に移動し、補助ボタン8の突起802がスイッチ4のプランジャ40を後方に押し、プランジャ40が没位置へと移動することで、スイッチ4が基板3の電気回路を通電させる。このとき、スイッチ4の反転バネ41によって利用者にクリック感が付与され、利用者はスイッチ4が押し操作されたことがわかる。またこのとき、基板3に実装された光源30が、例えば点灯し、導光部55を介して表示窓54にその光が表示されることで、利用者はスイッチ4が押し操作されたことがわかる。
【0057】
次いで、ボタン5の操作部50から利用者が手を離すと、ボタン5は、付勢部材9による付勢を受けて前方に移動して待機位置へと復帰する。またこのとき、スイッチ4のプランジャ40は、反転バネ41からの付勢力を受けて前方へと移動し、押される前の突位置へと復帰し、補助ボタン8は、突起802がプランジャ40によって押されることで、前方へと移動する。このとき、補助ボタン8は、フランジ部81が仕切り壁6の第一空間S1側の面に当たる位置まで戻るか、あるいは、仕切り壁6との間に僅かな隙間が形成される位置まで戻る。これにより、スイッチ装置1が、操作状態から待機状態へと戻る。
【0058】
上述のように、ボタン5が押し操作されることによって、スイッチ装置1のコネクタ31に接続された電気機器が制御される。例えば、厨房機器の電源がOFFからONに切り替える制御が行われる。
【0059】
上述した手順と同様の手順で、ボタン5を再度押し操作することで、スイッチ装置1のコネクタ31に接続された電気機器を制御することができる。例えば、厨房機器の電源を、ONからOFFに切り替える制御を行うことが可能である。
【0060】
以上説明した本実施形態のスイッチ装置1では、仕切り壁6に設けられた貫通孔7に、補助ボタン8が嵌まるように配され、貫通孔7が補助ボタン8によって完全にまたは略完全に塞がれている。スイッチ装置1が待機状態にあるときと操作状態にあるときの両状態において、補助ボタン8は貫通孔7を塞いでいる。
【0061】
そのため、本実施形態のスイッチ装置1では、ボタン5の周囲から、吹きこぼれた煮汁等の液体が貫通孔7へと入り込んだときに、この液体が、基板3が位置する第一空間S1に浸入することを、補助ボタン8によって抑制することができる。
【0062】
また、本実施形態のスイッチ装置1では、補助ボタン8が、貫通孔7に位置する本体部80とこの本体部80から外側に突出して第一空間S1に位置するフランジ部81とを有するため、本体部80の外周面から本体部80のスイッチ4に接触する面(つまり突起802の先端面)へと至る液体の浸入経路を、フランジ部81の分だけ長くすることができる。これにより、本実施形態のスイッチ装置1では、貫通孔7と補助ボタン8との間に入り込んだ液体が、補助ボタン8の表面を伝ってスイッチ4及び基板3へと至ることが抑制される。
【0063】
さらに、本実施形態のスイッチ装置1では、本体部80が、底801を有する筒状体800と、底801から後方に突出し、スイッチ4に接触する突起802で構成されるため、本体部80の外周面(つまり筒状体800の外周面)から突起802の先端面へと至る液体の浸入経路を、筒状体800の内周面と、底801のスイッチ4側を向く面と、突起802の外周面の分だけさらに長くすることができる。これにより、本実施形態のスイッチ装置1では、貫通孔7と補助ボタン8との間に入り込んだ液体が、補助ボタン8の表面を伝ってスイッチ4及び基板3へと至ることがさらに抑制される。
【0064】
また、本実施形態のスイッチ装置1では、補助ボタン8のフランジ部81が第一空間S1に位置するため、補助ボタン8が貫通孔7から外れて第二空間S2側へと抜け落ちることを抑制できる。また、本実施形態のスイッチ装置1では、スイッチ4で構成されるストッパー16によって補助ボタン8が貫通孔7から第一空間S1側へと抜け落ちることを抑制できる。そのため、本実施形態のスイッチ装置1では、貫通孔7内に補助ボタン8が位置して貫通孔7を塞ぐ状態が維持しやすい。
【0065】
また、本実施形態のスイッチ装置1では、補助ボタン8の突起802を、断面+(プラス)字状に設けたことで、突起802の先端面の面積を抑えることができて、液体が突起802の先端面を介してスイッチ4及び基板3へと至ることを抑制することができる。
【0066】
また、本実施形態のスイッチ装置1では、基板3を上下方向に対して平行に(つまり起立状態に)設けたことで、補助ボタン8の外面や貫通孔7の内周面を伝って第一空間S1に浸入した液体が、基板3上にこぼれ落ちにくい。
【0067】
(厨房機器)
続いて、上述したスイッチ装置1を備えた厨房機器100の一例について説明する。
【0068】
図6に示す実施形態1の厨房機器100は、スイッチ装置1と、スイッチ装置1が組み込まれる厨房機器本体とを備える。厨房機器本体は、加熱調理部101と、加熱調理部101が組み込まれたカウンター102と、キャビネット103を備える。加熱調理部101は、本実施形態では、ガスコンロである。なお、加熱調理部101は、電磁加熱調理器であってもよい。
【0069】
厨房機器本体は、キャビネット103の上端部の前面に設置される、引き出し式の操作プレート104をさらに備える。操作プレート104は、その上面に、加熱調理部101を操作するための各種のボタンが設けられており、引き出した使用位置において操作可能である。
【0070】
スイッチ装置1は、本実施形態では、加熱調理部101の電源スイッチである。スイッチ装置1が操作されることによって、加熱調理部101の電源のON/OFFが切り替えられ、操作プレート104による各種の操作が可能となる。
【0071】
スイッチ装置1は、図7に示す取付部材105を介して、キャビネット103の上端部に取り付けられる。スイッチ装置1は、ボタン5と補助ボタン8とスイッチ4とが水平方向に並び、仕切り壁6に貫通孔7が水平方向に貫通する姿勢で、取付部材105に組み込まれる。
【0072】
取付部材105は、ボタン5が露出する窓106を一部に備える前板部107と、スイッチ装置1を下方から覆う下板部108と、スイッチ装置1を上方から覆う上板部109と、上板部109の後端部から上方に突出した立ち上がり板部110と、スイッチ装置1を側方から覆う一対の側板部111を備える。
【0073】
取付部材105はさらに、下板部108の後端部から下方に突出した支持板部112と、支持板部112の下端部から後方に突出した固定板部113を備える。取付部材105はさらに、上板部109の上に取り付けられる上カバー部114を備える。
【0074】
スイッチ装置1は、上板部109の下方に配され、この上板部109に対してねじ等の固定具によって固定されることによって、取付部材105に組み込まれる。スイッチ装置1を上板部109に対して固定する固定具の頭部は、上カバー部114によって覆い隠される。
【0075】
取付部材105は、立ち上がり板部110の上端がカウンター102の下面に当たる状態で、固定板部113がキャビネット103の一部にねじ等の固定具で固定されることによって、キャビネット103の上端部に取り付けられる。取り付け状態において、取付部材105は、前板部107の前面が、収納位置にある操作プレート104の前面と、キャビネット103が有する扉の前面のそれぞれに対して略面一となる。前板部107の前面は、カウンター102の前端よりも後方に位置している。
【0076】
以上説明した実施形態1の厨房機器100においては、加熱調理部101で煮こぼれが生じた場合に、取付部材105の窓106を通じてスイッチ装置1のボタン5へと流れ込んだ液体が、スイッチ装置1の基板3まで到達することを、補助ボタン8によって抑制することができる。
【0077】
(変更例)
続いて、上述した実施形態1のスイッチ装置1及び厨房機器100の変更例について説明する。
【0078】
スイッチ装置1は、図8に示すように、補助ボタン8のフランジ部81と基板3との間に介在する圧縮されたコイルバネからなる付勢部材17をさらに備えてもよい。この場合、待機状態のスイッチ装置1において、補助ボタン8のフランジ部81が仕切り壁6に当たって、貫通孔7が補助ボタン8によって完全に塞がれる状態の維持がしやすい。
【0079】
また、スイッチ装置1の補助ボタン8は、図9に示すように、フランジ部81の上端部から後方に突出する拡張部82を有してもよい。拡張部82は、基板3及びスイッチ4よりも上方に位置し、かつ拡張部82の先端(後端)が、基板3の後面よりも後方に位置する。拡張部82は、突出方向(前後方向)に対して直交する断面の形状が、上方に凸の円弧状である。この場合、本体部80の外周面から突起802の先端面へと至る液体の浸入経路を、拡張部82の分だけ長くすることができ、補助ボタン8の表面を伝って液体がスイッチ4及び基板3へと至ることがさらに抑制される。
【0080】
また、スイッチ装置1の補助ボタン8は、図10に示すように、フランジ部81の外周縁から前方に突出する拡張部83を有してもよい。この場合、仕切り壁6の貫通孔7の周囲には、第一空間S1側に開口し、拡張部83が嵌まる溝60が設けられる。拡張部83は、フランジ部81の外周縁に全周に亘って円筒状に設けられている。拡張部83は、第一空間S1側から視て、円環状である。
【0081】
補助ボタン8の本体部80は、溝60に拡張部83が嵌まる状態で、貫通孔7内に配される。拡張部83は、補助ボタン8の突起802がスイッチ4を押し込んだ位置にあるときにも溝60内に位置するように、その突出長さ(前後方向の長さ)が設定されている。拡張部83が溝60に嵌まることで、貫通孔7から第一空間S1へと至る液体の浸入経路が塞がれやすい。また、本体部80の外周面から突起802の先端面へと至る液体の浸入経路を、拡張部83の分だけ長くすることができ、補助ボタン8の表面を伝って液体がスイッチ4及び基板3へと至ることがさらに抑制される。
【0082】
なお、拡張部83は、円筒状に限らず、フランジ部81の外周縁に設けられ、互いに隙間を介して位置する複数の円弧状の片で構成されてもよい。
【0083】
また、スイッチ装置1の補助ボタン8は、貫通孔7に嵌まるように配され、ボタン5が押し操作されたときに補助ボタン8を介してスイッチ4が押されるように構成されていればよく、図1図3及び図5に示す形状に限定されず、例えば、フランジ部81及び突起802を有さない形状(つまり円柱状)であってもよい。
【0084】
また、スイッチ装置1のボタン5は操作片53を有さなくてもよい。この場合、例えば、補助ボタン8の本体部80を貫通孔7よりも第二空間S2側に突出する長さで形成すればよい。
【0085】
また、スイッチ装置1のストッパー16は、スイッチ4で構成しなくてもよい。この場合、例えば、筐体本体部20の内壁から突出するように設けたその他の部分でストッパー16を構成すればよい。
【0086】
また、貫通孔7は、矩形状の孔であってもよい。この場合、補助ボタン8の本体部80は第二空間S2側から視て矩形状に設けられ、フランジ部81は第二空間S2側から視て例えば矩形の環状に設けられる。なお、フランジ部81は円環状でもよいし、その他の形の環状でもよい。
【0087】
また、筒部11は、その内周面の直径が貫通孔7の直径よりも大きくてもよいし、あるいは小さくてもよい。
【0088】
また、スイッチ装置1は、ボタン5、補助ボタン8、及びスイッチ4がこの順に上から並び、仕切り壁6に貫通孔7が上下方向に貫通する姿勢で用いてもよい。この場合も、貫通孔7を補助ボタン8が塞ぐことができるため、液体が基板3へと至ることを抑制できる。
【0089】
また、スイッチ装置1が組み込まれる厨房機器本体は、例えば、オーブンレンジ、食器洗浄機、食器乾燥機等であってもよい。このようにスイッチ装置1に対して液体がかかるおそれのある電気機器に対しても、スイッチ装置1は好適に用いられる。
【0090】
(効果)
実施形態1のスイッチ装置1は、下記の第一の構成を具備することを特徴とする。
【0091】
すなわち、実施形態1のスイッチ装置1は、筐体2と、筐体2に収容された基板3と、基板3に設けられたスイッチ4と、外部から押し操作できるように筐体2に収容されたボタン5と、筐体2内の空間を、スイッチ4及び基板3が位置する第一空間S1とボタン5が位置する第二空間S2とに仕切る仕切り壁6と、仕切り壁6に設けられた貫通孔7と、貫通孔7に嵌まるように配された補助ボタン8と、を備える。実施形態1のスイッチ装置1は、ボタン5が押し操作されたときに、補助ボタン8を介してスイッチ4が押されるように構成されている。
【0092】
実施形態1のスイッチ装置1では、ボタン5が位置する第二空間S2と、基板3が位置する第一空間S1とを繋ぐ貫通孔7に、補助ボタン8が嵌まるように配されている。これにより、第一の態様の厨房機器用のスイッチ装置1では、吹きこぼれた煮汁等の液体が、貫通孔7を通じて基板3へと至ることを、補助ボタン8によって抑制することができる。
【0093】
また、実施形態1のスイッチ装置1は、上記の第一の構成に加えて、下記の第二の構成を付加的に具備する。
【0094】
すなわち、実施形態1のスイッチ装置1では、補助ボタン8は、本体部80と、本体部80から外側に突出したフランジ部81とを有する。本体部80が貫通孔7に位置し、フランジ部81が第一空間S1に位置する。
【0095】
実施形態1のスイッチ装置1では、本体部80の外周面から本体部80のスイッチ4に接触する面へと至る液体の浸入経路を、フランジ部81の分だけ長くすることができ、補助ボタン8の表面を伝って液体がスイッチ4及び基板3へと至ることが抑制される。加えて、実施形態1のスイッチ装置1では、補助ボタン8のフランジ部81が第一空間S1に位置するため、補助ボタン8が貫通孔7から外れて第二空間S2側へと抜け落ちることを抑制できる。
【0096】
また、実施形態1のスイッチ装置1は、上記の第一及び第二の構成に加えて、下記の第三の構成を付加的に具備する。
【0097】
すなわち、実施形態1のスイッチ装置1は、第一空間S1に位置し、補助ボタン8の第一空間S1側への移動を規制するストッパー16をさらに備える。
【0098】
実施形態1のスイッチ装置1では、ストッパー16によって補助ボタン8が貫通孔7から第一空間S1側へと抜け落ちることを抑制できる。したがって、実施形態1のスイッチ装置1では、補助ボタン8が、貫通孔7から第一空間S1側へ抜け落ちることと第二空間S2側へ抜け落ちることを共に抑制することができて、補助ボタン8が貫通孔7内に位置して貫通孔7を塞ぐ状態を維持しやすい。
【0099】
また、実施形態1のスイッチ装置1は、上記の第一乃至第三の構成に加えて、下記の第四の構成を付加的に具備する。
【0100】
すなわち、実施形態1のスイッチ装置1では、ストッパー16は、スイッチ4で構成されている。
【0101】
実施形態1のスイッチ装置1では、スイッチ4がストッパー16を兼ねるため、ストッパー16を別途設ける必要がなく、構造のコンパクト化を図ることができる。
【0102】
また、実施形態1のスイッチ装置1は、上記の第一及び第二の構成、第一乃至第三の構成、第一乃至第四の構成のいずれかに加えて、下記の第五の構成を付加的に具備する。
【0103】
すなわち、実施形態1のスイッチ装置1では、本体部80は、底801を有する筒状体800と、底801からスイッチ4側に突出した突起802とを含む。実施形態1のスイッチ装置1は、ボタン5が押し操作されたときに、突起802によってスイッチ4が押されるように構成されている。
【0104】
実施形態1のスイッチ装置1では、本体部80の外周面(つまり筒状体800の外周面)から突起802の先端面へと至る液体の浸入経路を、筒状体800の内周面と、底801のスイッチ4側を向く面と、突起802の外周面の分だけさらに長くすることができる。これにより、実施形態1のスイッチ装置1では、貫通孔7と補助ボタン8との間に入り込んだ液体が、補助ボタン8の表面を伝ってスイッチ4及び基板3へと至ることがさらに抑制される。
【0105】
また、実施形態1の厨房機器100は、下記の第六の構成を具備することを特徴とする。
【0106】
すなわち、実施形態1の厨房機器100は、上記の第一乃至第五の構成の一部または全部の組み合わせのスイッチ装置1と、スイッチ装置1が組み込まれる厨房機器本体と、を備える。厨房機器用のスイッチ装置1は、ボタン5と補助ボタン8とスイッチ4が水平に並び、貫通孔7が仕切り壁6を水平方向に貫通するように厨房機器本体に設置されている。
【0107】
実施形態1の厨房機器100では、貫通孔7が仕切り壁6に対して水平方向に貫通するため、貫通孔7に液体が入り込みにくく、また、補助ボタン8の外面を伝って第一空間S1へと浸入した液体が、基板3上にこぼれ落ちにくい。
【0108】
また、実施形態1の厨房機器100は、上記の第六の構成に加えて、下記の第七の構成を付加的に具備する。
【0109】
すなわち、実施形態1の厨房機器100では、厨房機器本体は、加熱調理部101を備え、厨房機器用のスイッチ装置1は、加熱調理部101よりも下方に位置する。
【0110】
実施形態1の厨房機器100では、加熱調理部101で煮こぼれが生じたときに、この煮こぼれがスイッチ装置1内の基板3へと至ることを効果的に抑制することができる。
【0111】
以上、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の意図する範囲内であれば、適宜の設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0112】
1 スイッチ装置
2 筐体
3 基板
4 スイッチ
5 ボタン
6 仕切り壁
7 貫通孔
8 補助ボタン
16 ストッパー
80 本体部
81 フランジ部
800 筒状体
801 底
802 突起
100 厨房機器
101 加熱調理部
S1 第一空間
S2 第二空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10