(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
燃料ガスを供給するための燃料ガス供給手段と、改質用水を供給するための水供給手段と、前記水供給手段より供給される水を用いて前記燃料ガス供給手段より供給される燃料ガスを水蒸気改質するための改質器と、前記改質器にて水蒸気改質された改質燃料ガス及び酸化材の酸化及び還元によって発電を行う燃料電池セルスタックと、前記燃料電池セルスタックから排出される反応燃料ガスを燃焼させるための燃焼域と、前記燃料ガス供給手段及び前記水供給手段を制御するためのコントローラとを備えた燃料電池システムであって、
前記コントローラは、前記燃料電池セルスタックの発電電流と燃料利用率との関係に基づいて部分負荷運転における部分負荷燃料利用率を設定するための部分負荷燃料利用率設定手段と、前記燃料電池セルスタックの発電電流に基づいて部分負荷運転であることを判定する部分負荷運転判定手段を含んでおり、
前記部分負荷運転状態のときには、前記部分負荷燃料利用率設定手段は前記部分負荷運転状態に対応する部分負荷通常燃料利用率を設定し、前記コントローラは前記部分負荷通常燃料利用率となるように運転する部分負荷通常燃料利用率運転でもって前記燃料ガス供給手段を制御し、また前記部分負荷運転状態において前記燃料電池セルスタックの発電出力が所定時間にわたって継続して静定状態に維持されたときには、前記部分負荷燃料利用率設定手段は前記部分負荷通常燃料利用率よりも大きい部分負荷高燃料利用率を設定し、前記コントローラは前記部分負荷高燃料利用率となるように運転する部分負荷高燃料利用率運転でもって前記燃料ガス供給手段を制御することを特徴とする燃料電池システム。
前記コントローラは、更に、前記燃料電池セルスタックに送給される改質燃料ガスのS/Cを設定するためのS/C設定手段を含み、前記部分負荷通常燃料利用率運転においては、前記S/C設定手段は前記燃料電池セルスタックの発電電流とS/Cとの関係に基づいて通常S/Cを設定し、また前記部分負荷高燃料利用率運転においては、前記S/C設定手段は前記通常S/Cよりも小さい低S/Cを設定することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
前記部分負荷高燃料利用率運転状態においては、前記コントローラは、電力負荷の変動が小さいときは電力負荷に追従するように前記燃料ガス供給手段及び前記水供給手段を制御し、また電力負荷が大きく変動すると前記部分負荷高燃料利用率運転から前記部分負荷通常燃料利用率運転に切り換えることを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料電池システム。
前記燃料電池セルスタックの発電電力を利用して作動されるヒータ手段が設けられ、前記部分負荷燃料利用率運転状態においては、前記コントローラは、電力負荷の変動が小さいときは電力負荷の所定計測時間の移動平均値となるように前記燃料ガス供給手段及び前記水供給手段を制御し、前記燃料電池セルスタックの発電電力が負荷電力以上になると余剰発電電力を前記ヒータ手段に送給して消費し、また電力負荷が大きく変動すると前記部分負荷高燃料利用率運転から前記部分負荷通常燃料利用率運転に切り換えることを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料電池システム。
燃料ガスを供給するための燃料ガス供給手段と、改質用水を供給するための水供給手段と、前記水供給手段より供給される水を用いて前記燃料ガス供給手段より供給される燃料ガスを水蒸気改質するための改質器と、前記改質器にて水蒸気改質された改質燃料ガス及び酸化材の酸化及び還元によって発電を行う燃料電池セルスタックと、前記燃料電池セルスタックから排出される反応燃料ガスを燃焼させるための燃焼域とを備えた燃料電池システムの運転方法であって、
前記燃料電池セルスタックの部分負荷運転状態のときには、前記燃料電池セルスタックの発電電流と燃料利用率との関係に基づいて設定される部分負荷通常燃料利用率となるように前記燃料ガス供給手段を制御し、前記部分負荷運転状態において前記燃料電池セルスタックの発電出力が所定時間にわたって継続して静定状態に維持されたときには、前記部分負荷通常燃料利用率よりも大きい部分負荷高燃料利用率となるように前記燃料ガス供給手段を制御することを特徴とする燃料電池システムの運転方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した燃料電池システムでは、二酸化炭素を吸収する吸収剤を必要とし、また二酸化炭素を吸収除去した反応燃料ガスをリサイクルするためのリサイクル流路を設ける必要があり、燃料電池システムの構成が複雑になるなどの問題がある。
【0008】
本発明の目的は、比較的簡単な構成でもって部分負荷運転状態におけるシステムの発電効率を高めることができる燃料電池システム及びその運転方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1に記載の燃料電池システムは、燃料ガスを供給するための燃料ガス供給手段と、改質用水を供給するための水供給手段と、前記水供給手段より供給される水を用いて前記燃料ガス供給手段より供給される燃料ガスを水蒸気改質するための改質器と、前記改質器にて水蒸気改質された改質燃料ガス及び酸化材の酸化及び還元によって発電を行う燃料電池セルスタックと、前記燃料電池セルスタックから排出される反応燃料ガスを燃焼させるための燃焼域と、前記燃料ガス供給手段及び前記水供給手段を制御するためのコントローラとを備えた燃料電池システムであって、
前記コントローラは、前記燃料電池セルスタックの発電電流と燃料利用率との関係に基づいて部分負荷運転における部分負荷燃料利用率を設定するための部分負荷燃料利用率設定手段と、前記燃料電池セルスタックの発電電流に基づいて部分負荷運転であることを判定する部分負荷運転判定手段を含んでおり、
前記部分負荷運転状態のときには、前記部分負荷燃料利用率設定手段は前記部分負荷運転状態に対応する部分負荷通常燃料利用率を設定し、前記コントローラは前記部分負荷通常燃料利用率となるように運転する部分負荷通常燃料利用率運転でもって
前記燃料ガス供給手段を制御し、また前記部分負荷運転状態において前記燃料電池セルスタックの発電出力が所定時間にわたって継続して静定状態に維持されたときには、前記部分負荷燃料利用率設定手段は前記部分負荷通常燃料利用率よりも大きい部分負荷高燃料利用率を設定し、前記コントローラは前記部分負荷高燃料利用率となるように運転する部分負荷高燃料利用率運転でもって前記燃料ガス供給手段を制御することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項2に記載の燃料電池システムでは、前記コントローラは、更に、前記燃料電池セルスタックに送給される改質燃料ガスのS/Cを設定するためのS/C設定手段を含み、前記部分負荷通常燃料利用率運転においては、前記S/C設定手段は前記燃料電池セルスタックの発電電流とS/Cとの関係に基づいて通常S/Cを設定し、また前記部分負荷高燃料利用率運転においては、前記S/C設定手段は前記通常S/Cよりも小さい低S/Cを設定することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項3に記載の燃料電池システムでは、前記部分負荷高燃料利用率運転状態においては、前記コントローラは、電力負荷の変動が小さいときは電力負荷に追従するように前記燃料ガス供給手段を及び水供給手段制御し、また電力負荷が大きく変動すると前記部分負荷高燃料利用率運転から前記部分負荷通常燃料利用率運転に切り換えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項4に記載の燃料電池システムでは、前記燃料電池セルスタックの発電電力を利用して作動されるヒータ手段が設けられ、前記部分負荷燃料利用率運転状態においては、前記コントローラは、電力負荷の変動が小さいときは電力負荷の所定計測時間の移動平均値となるように前記燃料ガス供給手段及び前記水供給手段を制御し、前記燃料電池セルスタックの発電電力が負荷電力以上になると余剰発電電力を前記ヒータ手段に送給して消費し、また電力負荷が大きく変動すると前記部分負荷高燃料利用率運転から前記部分負荷通常燃料利用率運転に切り換えることを特徴とする。
【0013】
更に、本発明の請求項5に記載の燃料電池システムの運転方法は、燃料ガスを供給するための燃料ガス供給手段と、改質用水を供給するための水供給手段と、前記水供給手段より供給される水を用いて前記燃料ガス供給手段より供給される燃料ガスを水蒸気改質するための改質器と、前記改質器にて水蒸気改質された改質燃料ガス及び酸化材の酸化及び還元によって発電を行う燃料電池セルスタックと、前記燃料電池セルスタックから排出される反応燃料ガスを燃焼させるための燃焼域とを備えた燃料電池システムの運転方法であって、
前記燃料電池セルスタックの部分負荷運転状態のときには、前記燃料電池セルスタックの発電電流と燃料利用率との関係に基づいて設定される部分負荷通常燃料利用率となるように前記燃料ガス供給手段を制御し、前記部分負荷運転状態において前記燃料電池セルスタックの発電出力が所定時間にわたって継続して静定状態に維持されたときには、前記部分負荷通常燃料利用率よりも大きい部分負荷高燃料利用率となるように前記燃料ガス供給手段を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の請求項1に記載の燃料電池システム及び請求項5に記載の燃料電池システムの運転方法によれば、コントローラは、部分負荷運転における部分負荷燃料利用率を設定するための部分負荷燃料利用率設定手段を含み、部分負荷運転状態のときには、部分負荷燃料利用率設定手段は部分負荷運転状態に対応する部分負荷通常燃料利用率を設定し、コントローラは部分負荷通常燃料利用率運転でもって
燃料ガス供給手段を制御し、また部分負荷運転状態において燃料電池セルスタックの発電出力が所定時間にわたって継続して静定状態に維持されたときには、部分負荷燃料利用率設定手段は部分負荷通常燃料利用率よりも大きい部分負荷高燃料利用率を設定し、コントローラは部分負荷高燃料利用率運転でもって燃料ガス供給手段を制御するので、この部分負荷運転状態におけるシステムの発電効率を高めることができ、この部分負荷高燃料利用率運転の運転状態が長いほどこの発電効率を高めることができる。
【0015】
また、本発明の請求項2に記載の燃料システムによれば、S/C設定手段は、部分負荷通常燃料利用率運転時には燃料電池セルスタックの発電電流とS/Cとの関係に基づいて通常S/C(スチーム/カーボンの比率)を設定し、また部分負荷高燃料利用率運転時にはこの通常S/Cよりも小さい低S/Cを設定するので、改質燃料ガスに含まれるスチームの量が少なくなり、これにより、燃料利用率を高くしたときに生じる燃料電池セルスタックの温度低下を抑えることができる。
【0016】
また、本発明の請求項3に記載の燃料電池システムによれば、部分負荷高燃料利用率運転状態において電力負荷が大きく変動すると、部分負荷高燃料利用率運転から部分負荷通常燃料利用率運転に切り換えられるので、燃料利用率が部分負荷高燃料利用率から部分負荷通常燃料利用率切り換わり、これにより、電力負荷変動に伴う燃料ガス不足を回避することができる。
【0017】
また、本発明の請求項4に記載の燃料電池システムによれば、コントローラは、電力負荷の変動が小さいときは電力負荷の所定計測時間の移動平均値となるように燃料ガス供給手段及び水供給手段を制御し、そして、燃料電池セルスタックの発電電力が負荷電力以上になると、この余剰発電電力がヒータ手段で消費されるので、発生した余剰発電電力がシステム内で消費されて商用電力側へ逆潮流するのを回避することができる。また、電力負荷が大きく変動すると、部分負荷高燃料利用率運転から部分負荷通常燃料利用率運転に切り換えられるので、燃料利用率が部分負荷通常燃料利用率切り換えられ、これにより、電力負荷変動に伴う燃料ガス不足を回避することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して、本発明に従う燃料電池システム及びその運転方法の一実施形態について説明する。
【0020】
図1において、図示の燃料電池システム2は、燃料ガスとして炭化水素系の燃料ガス、例えば天然ガス(都市ガス)を消費して発電を行うものであり、燃料ガスを改質するための改質器4と、改質器4にて改質された燃料ガス(改質燃料ガス)及び酸化材としての空気の酸化及び還元によって発電を行う燃料電池セルスタック6と、空気を燃料電池セルスタック6に送給するための送風手段8と、を備えている。
【0021】
燃料電池セルスタック6は、例えば固体酸化物形のものから構成され、燃料電池反応によって発電を行うための複数の燃料電池セルが集電部材を介して積層され、図示していないが、酸素イオンを伝導する固体電解質と、この固体電解質の一方側に設けられた燃料極と、固体電解質の他方側に設けられた酸素極とを備え、固体電解質として例えばイットリアをドープしたジルコニアが用いられる。
【0022】
燃料電池セルスタック6の燃料極の導入側は、改質燃料ガス送給ライン10を介して改質器4に接続され、この改質器4は、ガス・水蒸気送給ライン12を介して気化器14に接続され、この気化器14は、燃料ガス供給ライン16を介して燃料ガスを供給するための燃料ガス供給源18(例えば、埋設管や貯蔵タンクなど)に接続されているとともに、水供給ライン20を介して水供給源22(例えば、水タンクなど)に接続されている。改質器4は、改質触媒として例えばアルミナにルテニウムを担持させたものが用いられ、この改質触媒によって燃料ガスを水蒸気改質する。また、気化器14は、水供給ライン20を通して送給される水を気化させて水蒸気を発生する。なお、改質器4と気化器14とを一体的に形成することもできる。
【0023】
燃料ガス供給ライン16には、脱硫器24、燃料ガスポンプ26、燃料ガス流量検知センサ28(燃料ガス流量検知手段)及び遮断弁30が配設されている。脱硫器24は燃料ガスに含まれる硫黄成分を除去し、燃料ガスポンプ26は燃料ガス供給源18からの燃料ガスを燃料ガス供給ライン16を通して気化器14に送給し、燃料ガス流量検知センサ28は燃料ガス供給ライン16を通して送給される燃料ガスの流量を検知し、また遮断弁30は燃料ガス供給ライン16を開閉して燃料ガスの供給、供給停止を行う。この形態では、燃料ガスポンプ26の回転数を制御することによって、燃料ガス供給ライン16を通して供給される燃料ガスの供給流量が制御され、その回転数が多くなる(又は少なくなる)と、燃料ガスの供給流量が増加し(又は減少し)、これら燃料ガス供給源18、燃料ガスポンプ26及び燃料ガス供給ライン16が燃料ガス供給手段を構成する。
【0024】
また、水供給ライン20には水ポンプ34及び水流量検知センサ35(水流量検知手段)が配設されており、この水ポンプ34は、水供給源22からの水を気化器14に供給し、水流量検知センサ35は、水供給ライン20を通して供給される改質用水の流量を検知する。この形態では、水ポンプ34の回転数を制御することによって、水供給ライン20を通して供給される改質用水の供給流量が制御され、その回転数が多くなる(又は少なくなる)と、改質用水の供給流量が増加し(又は減少し)、これら水供給源22、水ポンプ34及び水供給ライン20が水供給手段を構成する。尚、改質用水として、排気ガスに含まれる水蒸気を凝縮させて利用するようにすることもできる。
【0025】
この燃料電池セルスタック6の酸素極の導入側は、空気水蒸気を送給ライン36を介して空気(酸化材)を予熱するための空気予熱器38に接続され、この空気予熱器38は、空気供給ライン40を介して送風手段8に接続されている。送風手段8は、例えば送風ブロアから構成され、この送風ブロアの回転数を制御することによって、空気供給ライン40を通して供給される空気の送給量が制御され、送風ブロアの回転数が多くなる(又は少なくなる)と、空気供給ライン40を通して供給される空気の供給流量が増加し(又は減少し)、これら送風手段8(送風ブロア)及び空気供給ライン40が空気供給手段(酸化材供給手段)を構成する。
【0026】
燃料電池セルスタック6の燃料極及び酸素極の各排出側には燃焼域44が配設され、燃料電池セルスタック6の一端から排出された反応燃料ガス(余剰の燃料ガスを含んでいる)と酸素極側から排出された空気(酸素を含んでいる)とがこの燃焼域44に送給されて燃焼される。この燃焼域44は排気ガス送給ライン46を介して空気予熱器38に接続され、空気予熱器38を流れる排気ガスは排気ガス排出ライン48を通して大気に排出される。空気予熱器38においては、空気供給ライン40を通して流れる空気と排気ガス送給ライン46を通して流れる排気ガスとの間で熱交換が行われ、この熱交換により加温された空気が空気送給ライン36を通して燃料電池セルスタック6に送給される。
【0027】
この実施形態では、燃料電池セルスタック6の電力出力部(図示せず)には発電電流検知センサ52(発電電流検知手段)(
図2参照)が配設され、この発電電流検知センサ52は、燃料電池セルスタック6からの発電電流を検知する。
【0028】
この実施形態では、また、改質器4、燃料電池セルスタック6、気化器14及び空気予熱器38が電池収容ハウジング54に収容され、この電池収容ハウジング54は、その内壁面が断熱材で覆われて高温室56を規定し、改質器4、燃料電池セルスタック6、気化器14及び空気予熱器38がこの高温室56内で高温状態に保たれる。
【0029】
この燃料電池システム2では、例えば、次のように作動して発電が行われる。燃料ガス供給源18からの燃料ガス(例えば、都市ガス)が、燃料ガス供給ライン16を通して気化器14に供給され、また水供給源22からの水が、水供給ライン20を通して気化器14に供給される。気化器14においては、水が加熱されて水蒸気となり、加熱された燃料ガスと発生した水蒸気が混合されてガス・水蒸気送給ライン12を介して改質器4に送給される。
【0030】
改質器4においては、燃料ガスと水蒸気とで水蒸気改質反応が行なわれ、水蒸気改質された燃料ガス(改質燃料ガス)が改質燃料ガス送給ライン10を通して燃料電池セルスタック6の燃料極側に送給される。また、送風手段8からの空気は、空気供給ライン40を通して空気予熱器38に供給され、この空気予熱器38において燃焼域44から排気ガス送給ライン46を通して流れる排気ガスとの間で熱交換されて加温された後に、空気送給ライン36を通して燃料電池セルスタック6の酸素極側に送給される。
【0031】
燃料電池セルスタック6の燃料極側は改質された燃料ガスを酸化し、またその酸素極側は空気中の酸素を還元し、燃料極側の酸化及び酸素極側の還元による電気化学反応により発電が行われる。燃料電池セルスタック6の一端側より排出された反応燃料ガス及び空気は燃焼域44に送給されて燃焼され、この反応燃料ガスの燃焼熱を利用して改質器4及び気化器14が加熱される。燃焼域44からの排気ガスは排気ガス送給ライン46を通して空気予熱器38に送給され、この空気予熱器38において送風手段8から供給される空気との熱交換に利用された後に、排気ガス排出ライン48を通して大気に排出される。
【0032】
この燃料電池システム2は、更に、燃料ガスポンプ28、水ポンプ34及び送風手段8を作動制御するためのコントローラ60(例えば、マイクロプロセッサなどから構成される)を備えている。
図2を参照して更に説明すると、この実施形態では、コントローラ60は、部分負荷燃料利用率設定手段62、定格負荷燃料利用率設定手段64、部分負荷運転判定手段66、静定状態発電判定手段67、S/C設定手段68、作動制御手段70、タイマ手段71及びメモリ手段72を備えている。部分負荷燃料利用率設定手段62は、部分負荷運転時における燃料利用率(部分負荷燃料利用率)を後述する如く設定し、定格負荷燃料利用率設定手段64は、定格負荷運転時における燃料利用率(定格負荷燃料利用率)を設定し、部分負荷運転判定手段66は、発電電流検知センサ52からの検知信号に基づいて部分負荷発電状態であるかの判定を行い、静定状態発電判定手段67は燃料電池セルスタック6の発電出力が静定状態であるか(換言すると、電力負荷の負荷変動が所定範囲内に保持されている)かの判定を行い、またS/C設定手段68は、後述する如くS/Cを設定する。また、作動制御手段70は、燃料ポンプ26及び水ポンプ34などを後述する如く作動制御する。
【0033】
メモリ手段72には、部分負荷運転時において燃料利用率を設定する際のベースとなる発電電流−燃料利用率特性マップ、燃料利用率上昇値(部分負荷通常燃料利用率から部分負荷高燃料利用率に上昇するときの上昇値であって、例えば5%程度に設定される)、部分負荷運転時においてS/Cを設定する際のベースとなる発電電流−S/C特性マップ、S/C下降値(通常のS/Cより小さい低S/C値に下げるときの下降値であって、例えば0.3〜0.5程度の範囲内の例えば0.4に設定される)、静定状態を判定するための静定判定時間(例えば、5〜15分程度の時間であって、例えば、10分程度に設定される)及び静定電流範囲値(例えば、±0.3〜0.6A程度の範囲であって、例えば、±0.5Aに設定される)などが登録されている。
【0034】
燃料ガス流量検知センサ28(燃料ガス流量検知手段)、水流量検知センサ35(水流量検知手段)及び発電電流検知センサ52(発電電流検知手段)からの検知信号は、コントローラ60に送給され、これら検知信号に基づいて、コントローラ60は燃料ガスポンプ26、水ポンプ34及び送風手段8を次のように作動制御する。
【0035】
主として
図2及び
図3を参照して、燃料電池システム2を発電運転すると、燃料電池セルスタック6にて上述したように発電が行われる。この発電運転では、発電電流検知センサ52により発電電流の検知が行われ(ステップS1)、その検知信号に基づいて部分負荷状態かの判定が行われる(ステップS2)。即ち、発電電流検知センサ52の検知電流が定格発電電流に達していないと、部分負荷運転判定手段66は部分負荷状態であると判定し、ステップS2からステップS3に進んで部分負荷運転が行われ、この部分負荷運転においては、燃料電池セルスタック6の発電電力(発電電流)が電力負荷に追従するように、作動制御手段70は燃料ガスポンプ26及び水ポンプ34を制御する。また、この検知電流が定格発電電流に達していると、ステップS2からS4に移って定格負荷運転が行われる。
【0036】
この部分負荷運転状態においては、部分負荷通常燃料利用率(以下、「部分負荷通常Uf」とも称する)となるように運転制御される。燃料電池セルスタック6の発電電流と限界燃料利用率(以下、「限界Uf」とも称する)及び通常燃料利用率(以下、「通常Uf」とも称する)との関係は、例えば、
図4に示すように設定され、燃料電池セルスタック6の発電電流が大きくなる(換言すると、燃料電池セススタック6の発電出力が大きくなる)ほど燃料利用率が大きくなるように制御される。
【0037】
この部分負荷運転状態においては、部分負荷燃料利用率設定手段64は、メモリ手段72に登録された発電電流−燃料利用率特性マップに基づき燃料電池セルスタック6の発電電流に対応する部分負荷通常燃料利用率(部分負荷通常Uf)を設定し、作動制御手段70は、設定された部分負荷通常Ufとなるように燃料ガスポンプ26を制御する。また、S/C設定手段68は、メモリ手段72に登録された発電電流−S/C特性マップに基づき燃料電池セルスタック6の発電電流に対応する通常S/Cを設定し、作動制御手段70は、通常S/Cとなるように水ポンプ34を制御し、燃料電池システム2は部分負荷通常燃料利用率運転(「部分負荷通常Uf運転」とも称する)される(ステップS5)。
【0038】
この部分負荷通常燃料利用率運転において、燃料電池セルスタック6の発電電流が静定状態である(即ち、発電電流の変動幅が小さくて安定している状態である)かが判断される(ステップS6)。この発電電流の静定は、燃料電池セルスタック6の発電状態が例えば電流I
0のときに発電電流検知センサ52の検知電流Iが例えば±0.5Aの範囲である〔(I
0−0.5)≦I≦(I
0+0.5)〕かが判断され、静定状態であるときにはステップS6からステップS7に進み、タイマ手段71の計時が行われるが、静定状態でないときはステップS6からステップS1に戻り、このタイマ手段71の計時がリセットされる。
【0039】
ステップS7においては、燃料電池セルスタック6の発電電流の静定状態が所定時間(例えば、10分)の間にわたって継続しているかが判定される。ステップS6における燃料電池セルスタック6の発電電流の静定判定は、例えば、1秒毎に行われ、この発電電流の静定状態が10分間継続する、即ちタイマ手段71がこの所定時間を計時すると、ステップS7からステップS8に進み、静定状態発電判定手段67は、燃料電池セルスタック6の発電状態が静定状態にあると判定する。尚、静定状態と判定した後は、タイマ手段71はリセットされる。
【0040】
このように静定状態であると判定されると、部分負荷燃料利用率設定手段62は、通常燃料利用率よりも燃料利用率上昇値(例えば、5%)だけ上昇した部分負荷高燃料利用率(「部分負荷高Uf」とも称する)を設定し、作動制御手段70は、設定された部分負荷高Ufとなるように燃料ガスポンプ26を制御し、燃料電池システム2は部分負荷高燃料利用率運転(「部分負荷高Uf運転」とも称する)される(ステップS9)。
【0041】
そして、この部分負荷高燃料利用率運転(部分負荷高Uf運転)においては、部分負荷通常Ufよりも燃料利用率が大きい部分負荷高Ufに設定されるので、
図5に示すように、S/C設定手段68は、通常S/CよりもS/C下降値(例えば、0.4)下がった低S/Cに設定変更する(ステップS10)。例えば、部分負荷通常Uf運転時において部分負荷通常Ufが例えば65%である場合、部分負荷高Uf運転に変わると燃料利用率が5ポイント上昇して部分負荷高Ufが例えば70%となる。このとき、S/Cは通常S/C(例えば、2.7)から例えば0.4ポイント下がった低S/C(例えば、2.3)に設定される。
【0042】
一般的に、燃料電池セルスタック6での燃料利用率(Uf)とその温度とは、
図6に示す関係にあり、燃料利用率が大きく(又は小さく)なると燃料電池セルスタック6における燃料電池反応にて消費される燃料ガスが多く(又は少なく)なり、従って、燃料電池セルスタック6から排出される反応ガス中に含まれる燃料ガスが少なく(又は多く)なり、燃焼域44での燃料ガスの燃焼による燃焼熱の発生が少なく(又は多く)なり、その結果、燃料電池セルスタック6の温度が低下傾向(又は上昇傾向)となる。一方、燃料電池セルスタック6でのスチーム/カーボンの比率(S/C)とその温度との関係は、
図7に示す関係にあり、S/Cが大きく(又は小さく)なると改質燃料ガスに含まれるスチームの割合が多く(又少なく)なり、従って、燃料電池セルスタック6の温度が低下傾向(又は上昇傾向)となる。
【0043】
このようなことから、この実施形態では、部分負荷高燃料利用率運転(部分負荷高Uf運転)においては、部分負荷高Ufになるように制御するために燃料電池セルスタック6の温度が低下傾向となるが、この温度低下傾向を抑えるために低S/Cとなるように制御しており、このように制御することにより、燃料電池セルスタック6の温度低下を抑えながら部分負荷運転状態における発電効率を高めることができる。
【0044】
この部分負荷高Uf運転中は、発電電流検知センサ52により燃料電池セルスタック6の発電電流の検知が行われ(ステップS11)、燃料電池セルスタック6の発電電流が静定状態であるか否か、換言すると発電電流検知センサ52の検知電流Iが例えば±0.5Aに維持されている〔(I
0−0.5)≦I≦(I
0+0.5)〕かが判断される(ステップS12)。
【0045】
そして、燃料電池セルスタック6の発電電流が安定していて静定状態に維持されているときには、ステップS12からステップS11に戻り、部分負荷高Uf運転が継続して行われる。また、この発電電流が大きく変動すると、上述の静定状態でなくなったとしてステップS12からステップS13に進み、上述した部分負荷高Uf運転が解除され、その後ステップS1に戻り、部分負荷運転が継続されているときには部分負荷通常Uf運転に切り換わる。
【0046】
尚、部分負荷運転から定格負荷運転になる(即ち、燃料電池セルスタック6の発電電流が定格発電電流となる)と、定格負荷燃料利用率設定手段64は、定格負荷燃料利用率(「定格負荷Uf」とも称する)を設定し、作動制御手段70は定格負荷燃料利用率(定格負荷Uf)となるように燃料ガスポンプ26を制御する。また、S/C設定手段68は、燃料電池セルスタック6の定格発電電流に対応するS/Cを設定し、作動制御手段70はこのS/Cとなるように水ポンプ34を制御する。
【0047】
上述した実施形態では、部分負荷の燃料利用率に関して、コントローラ60のメモリ手段72に発電電流−燃料利用率特性マップ及び燃料利用率上昇値を登録し、部分負荷通常Ufについては発電電流−燃料利用率特性マップを用いて設定し、部分負荷高Ufについては発電電流−燃料利用率特性マップ及び燃料利用率上昇値を用いて設定しているが、このような構成に代えて、次のように構成することもできる。
図8に示すように、このメモリ手段72に、発電電流−通常燃料利用率特性マップ(
図8で一点鎖線で示す)及び発電電流−高燃料利用率特性マップ(
図8で実線で示す)を登録し、この発電電流−高燃料利用率特性マップにおける発電電流に対する燃料利用率の値が、発電電流−通常燃料利用率特性マップにおける同じ発電電流に対する燃料利用率の値よりも大きくなるように設定される。このように二つの上述した特性マップを用いた場合、部分負荷通常Uf運転においては、発電電流−通常燃料利用率特性マップを用いて燃料電池セルスタック6の発電電流に対応する部分負荷通常Ufを設定するようにし、また部分負荷高Uf運転においては、発電電流−高燃料利用率特性マップを用いて燃料電池セルスタック6の発電電流に対応する部分負荷高Ufを設定するようにしてもよい。
【0048】
また、上述した実施形態では、部分負荷運転におけるS/Cに関して、コントローラ60のメモリ手段72に発電電流−S/C特性マップ及びS/C下降値を登録し、通常S/Cについては発電電流−S/C特性マップを用いて設定し、低S/Cについては発電電流−S/C特性マップ及びS/C下降値を用いて設定しているが、このような構成に代えて、次のように構成することもできる。即ち、燃料利用率の設定と略同様に、このメモリ手段72に、発電電流−通常S/C特性マップ及び発電電流−低S/C特性マップを登録し、この発電電流−低S/C特性マップにおける発電電流に対するS/Cの値が、発電電流−通常S/C特性マップにおける同じ発電電流に対するS/Cの値よりも小さくなるように設定される。このように二つのS/C特性マップを用いた場合、部分負荷通常Uf運転においては、発電電流−通常S/C特性マップを用いて燃料電池セルスタック6の発電電流に対応する通常S/Cを設定するようにし、また部分負荷高Uf運転においては、発電電流−低S/C特性マップを用いて燃料電池セルスタック6の発電電流に対応する低S/Cを設定するようにしてもよい。
【0049】
また、上述した実施形態では、部分負荷高Uf運転においては、低S/Cに常に設定するようにして燃料電池セルスタック6の温度低下を抑えているが、このような構成に代えて、次のように構成することもできる。即ち、燃料電池セルスタック6の温度を検知するためのスタック温度検知センサ(図示せず)を設け、部分負荷高Uf運転において燃料電池セルスタック6の温度が低下したときに、スタック温度検知センサの検知温度に基づいて通常S/Cから低S/Cに設定変更して燃料電池セルスタック6の温度低下を抑えるようにしてもよい。
【0050】
次に、
図9〜
図11を参照して、本発明に従う燃料電池システムの他の実施形態について説明する。この他の実施形態においては、商用電源への逆潮流が生じないように構成されている。尚、この他の実施形態において、上述した実施形態と実質上同一のものには同一の参照番号を付し、その説明を省略する。
【0051】
図9を参照して、この他の実施形態では、燃料ガス流量検知センサ28、水流量検知センサ35及び発電電流検知センサ52に加えて、系統電力検知手段102が設けられ、系統電力検知手段102は系統電流検知センサ104を含んでいる。系統電力検知手段102は、系統接続される電力負荷(図示せず)の負荷電力を検知し、系統電流検知センサ104は、この電力負荷に流れる系統電流を検知する。商用電源から電力供給を受ける場合、商用電源側へ逆潮流が生じないように構成され、電力負荷の負荷変動を考慮して商用電源から例えば30W程度使用するように構成される。
【0052】
このことに関連して、コントローラ60Aは、部分負荷燃料利用率設定手段62、定格負荷燃料利用率設定手段64、部分負荷運転判定手段66、静定状態発電判定手段67、S/C設定手段68、作動制御手段70、タイマ手段71及びメモリ手段72Aに加えて、移動平均値演算手段106、余剰発電判定手段108、Uf特性マップ切換手段110及びS/C特性マップ切換手段112を含んでいる。移動平均値演算手段106は、系統電力検知手段102により検知される負荷電力の移動平均値(例えば1秒毎に負荷電力を検知したときの例えば3秒間の平均値)を演算し、この移動平均値に基づいて燃料電池セルスタックの発電電力が設定される。余剰発電判定手段108は、系統電流検知センサ104の検知電流に基づいて逆潮流状態であるか否か、換言すると余剰発電状態であるかを判定する。また、Uf特性マップ切換手段110は、メモリ手段72Aに登録された発電電流−通常燃料利用率特性マップ及び発電電流−高燃料利用率特性マップを後述するようにして選択的に切り換え、S/C特性マップ切換手段112は、メモリ手段72Aに登録された発電電流−通常S/C特性マップ及び発電電流−低S/C特性マップを後述するようにして選択的に切り換える。
【0053】
更に、燃料電池セルスタックに関連して、余剰電力ヒータ114(ヒータ手段を構成する)が設けられる。この余剰電力ヒータ114は、燃料電池セルスタックの発電電力が大きくなってその一部が余剰電力となったときに消費するものである。この他の実施形態におけるその他の構成は、上述した実施形態と実質上同一でよい。尚、燃料電池システムが凍結防止ヒータなどの電力ヒータを備えている場合、この凍結防止ヒータなどを余剰電力を消費するヒータ手段として機能させるようにしてもよい。
【0054】
この燃料電池システムにおける発電運転は、次のように行われる。
図9とともに
図10を参照して、燃料電池セルスタックの発電運転では、発電電流検知センサ52により発電電流の検知が行われ(ステップS21)、その検知信号に基づいて部分負荷状態かの判定が行われる(ステップS22)。上述したと同様に、発電電流検知センサ52の検知電流が定格発電電流に達していないと、部分負荷運転判定手段66は部分負荷運転状態であると判定し、ステップS22からステップS23に進んで部分負荷運転が行われる。また、この検知電流が定格発電電流に達していると、ステップS22からS24に移って定格負荷運転が行われる。
【0055】
この部分負荷運転状態においては、燃料利用率が部分負荷通常Ufとなるように運転制御される。移動平均値演算手段106は、系統電力検知手段102の検知信号に基づいて負荷電力の移動平均値を演算し、この移動平均値に基づいて燃料電池セルスタックの発電電流(発電電力)が決定され、この発電電力は電力負荷の負荷電力に追従するように決定される。そして、部分負荷燃料利用率設定手段64は、メモリ手段72Aに登録された発電電流−部分負荷通常燃料利用率特性マップを選択し、この発電電流−部分負荷通常燃料利用率に基づき燃料電池セルスタック6の発電電流に対応する部分負荷通常Ufを設定し、作動制御手段70は、設定された部分負荷通常Ufとなるように燃料ガスポンプ26を制御する。また、S/C設定手段68は、メモリ手段72Aに登録された発電電流−通常S/C特性マップを選択し、この発電電流−通常S/C特性マップに基づき燃料電池セルスタックの発電電流に対応する通常S/Cを設定し、作動制御手段70は、通常S/Cとなるように水ポンプ34を制御し、燃料電池システムはこのようにして部分負荷通常Uf運転される(ステップS25)。
【0056】
この部分負荷通常燃料利用率運転においては、上述したと同様に、燃料電池セルスタック6の発電電流が静定状態であるかが判定され(ステップS26)、またこの静定状態が所定時間(例えば、10分)継続して維持されているかが判断される(ステップS27)。
【0057】
このようにして燃料電池セルスタックの発電電流が所定時間継続して静定状態であると判定されると、ステップS26からステップS27を経てステップS28に進み、静定状態発電判定手段67は、発電電流が静定状態にあると判定する。尚、燃料電池セルスタックの発電電流が変動している(即ち、静定状態に保たれていない)ときには、ステップ26からステップS21に戻り、またこの静定状態が所定時間継続しないときには、ステップS27からステップS21に戻る。
【0058】
上述したようにして静定状態と判定されると、部分負荷高Uf運転が行われる(ステップS29)。即ち、Uf特性マップ切換手段110は、発電電流−通常燃料利用率特性マップから発電電流−高燃料利用率特性マップに切り換え、部分負荷燃料利用率設定手段62は、切り換えられた発電電流−高燃料利用率特性マップに基づき燃料電池セルスタックの発電電流に対応する高燃料利用率、即ち部分負荷高Ufを設定し、作動制御手段70は、設定された部分負荷高Ufとなるように燃料ガスポンプ26を制御する。
【0059】
この部分負荷高Uf運転においては、上述したと略同様に、S/C設定手段68によりS/Cの変更設定が行われる(ステップS30)。S/C特性マップ切換手段112は、発電電流−通常S/C特性マップから発電電流−低S/C特性マップに切り換え、S/C設定手段68は、この発電電流−低S/C特性マップに基づき燃料電池セルスタックの発電電流に対応する低S/Cを設定し、作動制御手段70は、低S/Cとなるように水ポンプ34を制御し、燃料電池システムはこのようにして部分負荷高Uf運転される。
【0060】
この部分負荷高Uf運転においては、系統電力検知手段102が電力負荷の負荷電力を検知し(ステップS31)、移動平均値演算手段106が検知された負荷電力に基づいて移動平均値を演算し(ステップS32)、この部分負荷高Uf運転においてもこの移動平均値に基づいて燃料電池セルスタックの発電電流(発電電力)が決定され、この発電電力は電力負荷の負荷電力に追従するように決定される。そして、この移動平均値の変動が小さいと、ステップS33からステップS34に進み、この負荷電力が燃料電池セルスタックの発電電力以下である(換言すると、商用電源への逆潮流が生じていない)かが判断される(ステップS34)。
【0061】
このとき、負荷電力が発電電力以下であると、商用電源への逆潮流が生じるとしてステップS35に進み、作動制御手段70は余剰電力ヒータ114を作動させ、燃料電池セルスタックにて発電された発電電力の一部、即ち余剰発電電力が余剰電力ヒータ114に送給されて消費され、これにより、余剰発電電力が商用電源側へ逆潮流することが防止される。
【0062】
このことを
図11を参照して説明すると、燃料電池セルスタックの発電出力目標値が負荷電力実測値以上である場合、燃料電池セルスタックの発電電力の一部(電力負荷で消費されない余剰発電電力)が商用電源側に流れ、
図11において領域A、領域B及び領域Cにおいて逆潮流が生じることになるが、この逆潮流を防止するために、これら領域A〜Cにおける余剰発電電力が余剰電力ヒータ114に送給されて消費されることになる。尚、ステップS34において負荷電力がこの発電電力よりも大きいといには、逆潮流が生じることがなく、ステップS34からステップS31に戻り、またステップS35において余剰電力ヒータ35が作動した後はステップS31に戻り、部分負荷高Uf運転が継続して行われる。
【0063】
また、ステップS31にて負荷変動が大きいと判断されると、ステップS33からステップS36に進み、部分負荷高Uf運転が解除された後にステップS21に戻り、部分負荷運転状態における通常Uf運転となり、このようにして部分負荷運転が行われる。
【0064】
尚、この他の実施形態では、余剰電力を消費するための専用の余剰電力ヒータ114を設けているが、燃料電池システムが例えば凍結防止ヒータなどのヒータ手段を備えている場合、この凍結防止ヒータなどを余剰発電電力を消費するためのヒータ手段として機能させるようにしてもよい。
【0065】
以上、本発明に従う燃料電池システム及びその運転方法の一実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変更乃至修正が可能である。
【0066】
例えば、上述した実施形態では、水供給源22として水タンクなどを用いているが、このような構成に代えて、排気ガス排出ライン48を通して排出される排気ガスに含まれる水分を凝縮して水回収タンクに回収し、この水回収タンクに回収した水を改質用水として利用することもできる。
【0067】
また、例えば、排気ガスの熱を温水として貯える貯湯タンクを備えた貯湯装置と組み合わせて用いるようにすることもできる。例えば、排気ガス排出ライン48に熱交換器を配設し、この熱交換器において排気ガス排出ライン48を流れる排気ガスと貯湯タンクからの水との間で熱交換を行い、この熱交換により加温された温水を貯湯タンクに貯えるようにしてもよい。