(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
主蓄電装置(50)と、前記主蓄電装置の出力電圧を降圧して機器(40)へ供給する主電力変換装置(20)と、前記主電力変換装置及び前記機器と電気的に接続され、前記機器へ電力を供給する副蓄電装置(55)と、前記主蓄電装置の出力電圧を降圧して前記機器へ供給する副電力変換装置(70)と、車両の電源投入状態を、イグニッションオフ状態とアクセサリーオン状態とイグニッションオン状態とに切り替え自在の電源スイッチと、を備え、
前記イグニッションオフ状態は、前記機器とは別の機器としての別機器への電力供給を停止した状態であり、前記アクセサリーオン状態は、前記別機器へ電力を供給する状態であり、前記イグニッションオン状態は、前記車両の走行用モータ(MG)への電力供給を可能にする状態である、電源システム(100)に適用され、
前記機器が動作停止状態から動作状態へと移行することを予測する動作予測部(S13,S14)と、
前記イグニッションオフ状態において、前記機器が動作停止状態から動作状態へと移行すると予測されない場合、前記主電力変換装置を動作停止状態とし、かつ前記副電力変換装置から前記機器へ電力を供給させるために前記副電力変換装置を動作させ、前記イグニッションオフ状態において、前記機器が動作停止状態から動作状態に移行すると予測された場合、前記主電力変換装置から前記機器へ電力を供給させるために前記主電力変換装置を動作させる供給制御部(S15)と、を備え、
前記副電力変換装置の電力変換効率は、前記機器に流れる暗電流に対応する負荷電流範囲において、前記主電力変換装置の電力変換効率よりも高い値となっている、制御装置。
主蓄電装置(50)と、前記主蓄電装置の出力電圧を降圧して機器(40)へ供給する主電力変換装置(20)と、前記主電力変換装置及び前記機器と電気的に接続され、前記機器へ電力を供給する副蓄電装置(55)と、前記主蓄電装置の出力電圧を降圧して前記機器へ供給する副電力変換装置(70)と、を備える電源システム(100)に適用され、
前記機器が動作停止状態から動作状態へと移行することを予測する動作予測部(S13,S14)と、
前記機器が動作停止状態から動作状態へと移行すると予測されない場合、前記主電力変換装置を動作停止状態とし、かつ前記副電力変換装置から前記機器へ電力を供給させるために前記副電力変換装置を動作させ、前記機器が動作停止状態から動作状態に移行すると予測された場合、前記主電力変換装置から前記機器へ電力を供給させるために前記主電力変換装置を動作させる供給制御部(S15)と、
前記主蓄電装置の残存容量を取得する主取得部(S31)と、を備え、
前記副電力変換装置の電力変換効率は、前記機器に流れる暗電流に対応する負荷電流範囲において、前記主電力変換装置の電力変換効率よりも高い値となっており、
前記供給制御部は、前記主蓄電装置の残存容量が主閾値を下回った場合に、前記副電力変換装置の出力電圧指令値を、前記副蓄電装置の出力電圧よりも低い値に設定することで、前記副電力変換装置から前記機器への電力供給を停止させる、制御装置。
主蓄電装置(50)と、前記主蓄電装置の出力電圧を降圧して機器(40)へ供給する主電力変換装置(20)と、前記主電力変換装置及び前記機器と電気的に接続され、前記機器へ電力を供給する副蓄電装置(55)と、前記主蓄電装置の出力電圧を降圧して前記機器へ供給する副電力変換装置(70)と、を備える電源システム(100)に適用され、
前記機器が動作停止状態から動作状態へと移行することを予測する動作予測部(S13,S14)と、
前記機器が動作停止状態から動作状態へと移行すると予測されない場合、前記主電力変換装置を動作停止状態とし、かつ前記副電力変換装置から前記機器へ電力を供給させるために前記副電力変換装置を動作させ、前記機器が動作停止状態から動作状態に移行すると予測された場合、前記主電力変換装置から前記機器へ電力を供給させるために前記主電力変換装置を動作させる供給制御部(S15)と、
前記副蓄電装置の残存容量を取得する副取得部(S32)と、を備え、
前記副電力変換装置の電力変換効率は、前記機器に流れる暗電流に対応する負荷電流範囲において、前記主電力変換装置の電力変換効率よりも高い値となっており、
前記供給制御部は、前記副蓄電装置の残存容量が副閾値を下回った場合に、前記副電力変換装置の出力電圧指令値を、前記副蓄電装置の出力電圧よりも高い値に設定することで、前記副蓄電装置から前記機器への電力供給を停止させる、制御装置。
前記供給制御部は、前記機器が動作状態へと移行することが予測された後に、前記主電力変換装置から前記機器へ電力を供給させる場合は、前記副電力変換装置から前記機器への電力供給を停止させる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の制御装置。
前記動作予測部は、前記受信装置における前記送信波の受信状態に基づいて、前記携帯機と前記車両との距離が前記所定距離よりも大きくなる状態を検出した場合に、前記機器が動作状態から前記動作停止状態へと移行することを予測し、
前記供給制御部は、前記機器が動作停止状態へと移行することが予測された場合、前記主電力変換装置から前記機器への電力供給を停止させる、請求項8に記載の制御装置。
前記主電力変換装置と前記副蓄電装置とを電気的に接続する副電力供給ライン(LL)と、前記副電力変換装置と前記副電力供給ラインとを電気的に接続する補助ライン(LB)と、を備え、
前記供給制御部は、前記機器が動作状態へと移行することが予測された後に、前記主電力変換装置から前記機器へ電力を供給させる場合は、前記副電力変換装置から前記機器への電力供給を停止させ、
前記補助ラインに設けられ、前記主電力変換装置から前記副電力変換装置への電流の流通を防止する逆流防止部(80)を備える、請求項12に記載の制御システム。
主蓄電装置(50)と、前記主蓄電装置の出力電圧を降圧して機器(40)へ供給する主電力変換装置(20)と、前記主電力変換装置及び前記機器と電気的に接続され、前記機器へ電力を供給する副蓄電装置(55)と、前記主蓄電装置の出力電圧を降圧して前記機器へ供給する副電力変換装置(70)と、を備える電源システム(100)に適用され、
前記機器が動作停止状態から動作状態へと移行することを予測する動作予測部(S13,S14)と、
前記機器が動作停止状態から動作状態へと移行すると予測されない場合、前記主電力変換装置を動作停止状態とし、かつ前記副電力変換装置から前記機器へ電力を供給させるために前記副電力変換装置を動作させ、前記機器が動作停止状態から動作状態に移行すると予測された場合、前記主電力変換装置から前記機器へ電力を供給させるために前記主電力変換装置を動作させる供給制御部(S15)と、を備え、
前記副電力変換装置の電力変換効率は、前記機器に流れる暗電流に対応する負荷電流範囲において、前記主電力変換装置の電力変換効率よりも高い値となっている、制御装置と、
前記電源システムと、を備え、
前記機器を第1機器とし、
前記電源システムは、主電力供給ライン(HL1〜HL4)と、前記主蓄電装置に前記主電力供給ラインを通じて電気的に接続され、前記第1機器よりも負荷が高い第2機器と、前記主電力供給ラインに設けられ、前記主蓄電装置と前記第2機器との電気的な接続を切り替える切替部(SMR1,SMR2)と、を備え、
前記主電力変換装置は、前記主電力供給ラインのうち前記切替部よりも前記主蓄電装置側に接続されており、
前記主電力変換装置と前記副蓄電装置とを電気的に接続する副電力供給ライン(LL)と、前記副電力変換装置と前記副電力供給ラインとを電気的に接続する補助ライン(LB)と、を備え、
前記供給制御部は、前記機器が動作状態へと移行することが予測された後に、前記主電力変換装置から前記機器へ電力を供給させる場合は、前記副電力変換装置から前記機器への電力供給を停止させ、
前記補助ラインに設けられ、前記主電力変換装置から前記副電力変換装置への電流の流通を防止する逆流防止部(80)を備える、制御システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された電源システムでは、機器の要求電力が低い状況下では、機器への出力電力がこのシステムが出力可能な電力容量を大幅に下回る場合がある。また、主蓄電装装置の出力電圧を降圧する際に主電力変換装置が消費する電力が損失となる。そのため、機器の要求電力が低い状況下では、システムにおける電力変換効率を低下させる場合がある。
【0005】
電源システムにおける電力変換効率の低下は、主蓄電装置から機器へ供給することができる電力量の低下を招くおそれがある。また、電力量の低下を補うために主蓄電装置の蓄電容量を増加させる場合、主蓄電装置の体格の増加を招くおそれがある。
【0006】
本発明は上記課題に鑑み、電源システムにおける電力変換効率の低下を好適に抑制する制御装置、並びに制御装置及び電源システムを備える制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために第1の発明に係る制御装置は、主蓄電装置と、前記主蓄電装置の出力電圧を降圧して機器へ供給する主電力変換装置と、前記主電力変換装置及び前記機器と電気的に接続され、前記機器へ電力を供給する副蓄電装置と、を備える電源システムに適用される。また、制御装置は、前記機器が動作停止状態から動作状態へと移行することを予測する動作予測部と、前記機器が動作停止状態から動作状態へと移行すると予測されない場合、前記主電力変換装置を動作停止状態とし、前記機器が動作停止状態から動作状態に移行すると予測された場合、前記主電力変換装置から前記機器へ電力を供給させるために前記主電力変換装置を動作させる供給制御部と、を備える。
【0008】
上記構成では、機器が動作停止状態から動作状態へと移行すると予測されない場合、主電力変換装置が動作停止状態とされる。このため、主電力変換装置から機器へ電力が供給されない。この場合、機器の要求電力が低い期間において、主電力変換装置から機器へ電力が供給されない。その結果、副蓄電装置から機器へ電力を供給させることで、電源システムにおける電力変換効率の低下を抑制することができる。また上記構成では、機器が動作停止状態から動作状態に移行すると予測された場合、主電力変換装置から機器へ電力を供給させるために主電力変換装置を動作させる。このため、機器の要求電力が高い期間において、主電力変換装置から機器へ電力を供給させることで、機器が電力不足となることを抑制することができる。
【0009】
第2の発明では、前記機器を第1機器とし、前記電源システムは、前記主蓄電装置に電気的に接続され、前記第1機器よりも負荷が高い第2機器を備え、前記供給制御部は、前記主蓄電装置から前記第2機器へと電力が供給されておらず、かつ前記第1機器が動作停止状態から動作状態へと移行すると予測されない場合、前記主電力変換装置を動作停止状態とする。
【0010】
主蓄電装置が第2機器へ電力を供給していない状態では、電源システム全体での出力電力が低い状態であるため、この状況下で主電力変換装置に電力を変換させると、電源システムの電力変換効率が著しく低下する。そのため、上記構成では、主蓄電装置から第2機器へと電力が供給されておらず、かつ第1機器が動作停止状態から動作状態へと移行すると予測されない場合、主電力変換装置を動作停止状態とすることとした。この場合、システム全体での電力変換効率の低下を抑制することができる。
【0011】
第3の発明では、前記主蓄電装置の出力電圧を降圧して前記機器へ供給する副電力変換装置を備え、前記供給制御部は、前記機器が動作停止状態から動作状態へと移行することが予測されない場合に、前記副電力変換装置から前記機器へ電力を供給させる。
【0012】
上記構成では、機器の動作停止状態において、副蓄電装置と副電力変換装置とのいずれか一方が機器への電力を供給できない場合でも、他方が機器への電力を供給することで、機器に対して電力が供給されない状態となるのを防止することができる。
【0013】
第4の発明では、前記副電力変換装置の電力変換効率は、前記機器に流れる暗電流に対応する負荷電流範囲において、前記主電力変換装置の電力変換効率よりも高い値となっている。上記構成により、副電力変換装置により機器への電力が供給される状況下での電力変換効率を高めることができる。
【0014】
第5の発明では、前記主蓄電装置の残存容量を取得する主取得部を備え、前記供給制御部は、前記主蓄電装置の残存容量が主閾値を下回った場合に、前記副電力変換装置の出力電圧指令値を、前記副蓄電装置の出力電圧よりも低い値に設定することで、前記副電力変換装置から前記機器への電力供給を停止させる。
【0015】
主蓄電装置が過放電状態になると、主蓄電装置の劣化が著しく進むおそれがある。そのため、上記構成では、主蓄電装置の残存容量が低い場合に、主蓄電装置から副電力変換装置を介した機器への電力供給を停止し、主蓄電装置の過放電状態を防止する。その結果、過放電に起因する主蓄電装置の劣化を抑制することができる。
【0016】
第6の発明では、前記副蓄電装置の残存容量を取得する副取得部を備え、前記供給制御部は、前記副蓄電装置の残存容量が副閾値を下回った場合に、前記副電力変換装置の出力電圧指令値を、前記副蓄電装置の出力電圧よりも高い値に設定することで、前記副蓄電装置から前記機器への電力供給を停止させる。
【0017】
副蓄電装置が過放電状態になると、副蓄電装置の劣化が著しく進むおそれがある。そのため、上記構成では、副蓄電装置の残存容量が副閾値を下回った場合に、副蓄電装置から機器への電力の供給を停止することとした。この場合、過放電に起因する副蓄電装置の劣化を抑制することができる。
【0018】
第7の発明では、前記供給制御部は、前記機器が動作状態へと移行することが予測された後に、前記主電力変換装置から前記機器へ電力を供給させる場合は、前記副電力変換装置から前記機器への電力供給を停止させる。上記構成により、主蓄電装置から主電力変換装置と副電力変換装置とを介して同じ機器へ電力が供給されるのを防止し、主蓄電装置の残存容量の低下を抑制することができる。
【0019】
第8の発明では、前記電源システムは、ユーザに携帯される携帯機から送信される送信波を受信する受信装置を備える車両に搭載されており、前記動作予測部は、前記受信装置により受信された前記送信波に基づいて、前記携帯機と前記車両との距離が所定距離以下となる状態を検出した場合に、前記機器が動作状態へと移行することを予測する。
【0020】
携帯機を所持するユーザが車両に近づいた場合、機器が動作状態へ移行する可能性が高くなる。そのため、上記構成では、送信波に基づいて、携帯機と車両との距離が所定距離以下となる状態を検出した場合に、機器が動作状態へと移行することを予測することとした。
【0021】
第9の発明では、前記動作予測部は、前記受信装置における前記送信波の受信状態に基づいて、前記携帯機と前記車両との距離が前記所定距離よりも大きくなる状態を検出した場合に、前記機器が動作状態から前記動作停止状態へと移行することを予測し、前記供給制御部は、前記機器が動作停止状態へと移行することが予測された場合、前記主電力変換装置から前記機器への電力供給を停止させる。
【0022】
機器が動作状態から動作停止状態へと移行する場合、機器の要求電力が低下する。この状態で主電力変換装置の電力供給を維持していると、電力変換効率の低下を招くおそれがある。そのため、上記構成では、受信装置における送信波の受信状態に基づいて、携帯機と車両との距離が所定距離よりも大きくなる状態を検出した場合に、機器が動作状態から動作停止状態へと移行することを予測する。そして、機器が動作停止状態へと移行することが予測された場合、主電力変換装置から機器への電力供給を停止させることとした。これにより、好適に電力変換効率の低下を抑制することができる。
【0023】
第10の発明では、前記電源システムは、車両ドアの開錠状態と施錠状態とを切り替える施錠装置を備える車両に搭載されており、前記動作予測部は、前記開錠状態を検出した場合に、前記機器の前記動作状態への移行を予測する。
【0024】
車両が開錠状態となった場合に、機器が動作状態へ移行する可能性が高くなる。そのため、上記構成では、施錠装置の開錠状態を検出した場合に、動作状態への移行を予測することとした。この場合、機器の動作状態への移行の予測精度を高めることができ、電力変換効率の低下を好適に抑制することができる。
【0025】
第11の発明では、前記動作予測部は、前記車両ドアが前記開錠状態から前記施錠状態へ切り替えられた場合に、前記機器が動作状態から動作停止状態へと移行することを予測し、前記供給制御部は、前記機器が動作停止状態へと移行することが予測された場合、前記主電力変換装置から前記機器への電力供給を停止させる。
【0026】
上記構成では、施錠装置の施錠状態を検出した場合に、動作停止状態への移行を予測することとした。これにより、機器の動作停止状態への移行の予測精度を高めることができ、好適に電力変換効率の低下を抑制することができる。
【0027】
また、本発明に係る制御装置と電源システムとを備える制御システムを実現することができる。
【0028】
具体的には、第12の発明は、前記制御装置と、前記電源システムと、を備え、前記機器を第1機器とし、前記電源システムは、主電力供給ラインと、前記主蓄電装置に前記主電力供給ラインを通じて電気的に接続され、前記第1機器よりも負荷が高い第2機器と、前記主電力供給ラインに設けられ、前記主蓄電装置と前記第2機器との電気的な接続を切り替える切替部と、を備え、前記主電力変換装置は、前記主電力供給ラインのうち前記切替部よりも前記主蓄電装置側に接続されている。
【0029】
上記構成では、切替部により主蓄電装置による第2機器への電力が供給されない状況下においても、主電力変換装置に第1機器への電力を供給させることができる。そのため、主電力変換装置による第1機器への電力供給を柔軟に実施することができる。
【0030】
第13の発明では、前記主蓄電装置の出力電圧を降圧して前記機器に供給する副電力変換装置と、前記主電力変換装置と前記副蓄電装置とを電気的に接続する副電力供給ラインと、前記副電力変換装置と前記副電力供給ラインとを電気的に接続する補助ラインと、を備え、前記供給制御部は、前記機器が動作状態へと移行することが予測された後に、前記主電力変換装置から前記機器へ電力を供給させる場合は、前記副電力変換装置から前記機器への電力供給を停止させ、前記補助ラインに設けられ、前記主電力変換装置から前記副電力変換装置への電流の流通を防止する逆流防止部を備える。
【0031】
上記構成では、主電力変換装置に機器への電力を供給させた後に、副電力変換装置に機器への電力供給を停止させる場合でも、主電力変換装置から補助ラインを介して副電力変換装置へ電流が流れるのを防止することができる。その結果、逆流電流による副電力変換装置の劣化を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、第1実施形態に係る制御システム100の構成図である。制御システム100は、車両に搭載されている。また、この実施形態において、制御システム100が搭載される車両は、走行動力源として、内燃機関であるエンジンと、走行用モータとを備えるハイブリット車両である。具体的には、車両は、HV(Hybrid Vehicle)/PHV(Plug−in Hybrid Vehicle)である。
【0034】
制御システム100は、主蓄電装置に相当する第1蓄電池50と、副蓄電装置に相当する第2蓄電池55と、第1機器40と、第2機器51と、主電力変換装置に相当する主DC/DCコンバータ20と、を備えている。以下では、主DC/DCコンバータを主DDCと記載する。この第1実施形態では、電源システムは、第1蓄電池50と、第2蓄電池55と、主DCC20とを備えている。
【0035】
第1蓄電池50は、各機器40,51の動作に必要な電力を供給する。本実施形態では、第1蓄電池50は、リチウムイオン蓄電池であり、例えば、200V〜400Vの端子間電圧を生じさせる。
【0036】
第2機器51は、入力コンデンサ52と、第1蓄電池50から供給される直流電圧を交流電圧に変換するインバータ53とを備えている。インバータ53の入力側は、第1蓄電池50のプラス側端子と繋がる第1高圧ラインHL1、及び第1蓄電池50のマイナス側端子と繋がる第2高圧ラインHL2に接続されている。また、入力コンデンサ52は、第1高圧ラインHL1と第2高圧ラインHL2との間においてインバータ53に並列接続されている。本実施形態では、各高圧ラインHL1〜HL4が主電力供給ラインに相当する。
【0037】
インバータ53の出力側には、走行用モータMGが接続されている。走行用モータMGは、インバータ53によって変換された交流電圧により駆動する。また、インバータ53は、交流電流を直流電流に整流する整流機能を備えている。インバータ53は、車両の制動時には、回生発電によって走行用モータMGから出力された交流電流を直流電流に整流する。整流された電流が各高圧ラインHL1,HL2を通じて第1蓄電池50に供給されることにより、第1蓄電池50が充電される。
【0038】
第1高圧ラインHL1には、第1リレーSMR1が設けられ、第2高圧ラインHL2には、第2リレーSMR2が設けられている。各リレーSMR1,2が閉状態に制御されることで、第1蓄電池50とインバータ53との間が電気的に接続される。これにより、第1蓄電池50からインバータ53への電力供給が可能とされる。一方、各リレーSMR1,2が開状態に制御されることで、第1蓄電池50とインバータ53との間が電気的に遮断される。各リレーSMR1,SMR2が切替部に相当する。
【0039】
主DDC20は、降圧コンバータであり、第1蓄電池50から供給される直流電圧を降圧する主駆動部21と、主駆動部21の動作を制御する主制御部22と、を備えている。
【0040】
主駆動部21は、複数の半導体スイッチを備え、各半導体スイッチのオン・オフを切り替えることで、第1蓄電池50から供給される入力電圧を降圧して出力する。主駆動部21の第1入力端子Tin1は、第1高圧ラインHL1と繋がる第3高圧ラインHL3に接続されている。また、第2入力端子Tin2は、第2高圧ラインHL2に繋がる第4高圧ラインHL4に接続されている。主駆動部21の第1出力端子Tout1は、低圧ラインLLに接続されている。
【0041】
本実施形態では、第3高圧ラインHL3は、第1リレーSMR1よりも第1蓄電池50側で第1高圧ラインHL1に接続されている。また、第4高圧ラインHL4は、第2リレーSMR2よりも第1蓄電池50側で第2高圧ラインHL2に接続されている。そのため、各リレーSMR1,2が開状態に制御された場合でも、第1蓄電池50と主DDC20との電気的な接続が維持される。
【0042】
主制御部22は、主駆動部21の各半導体スイッチを駆動させる。主制御部22は、主駆動部21の出力電圧を出力電圧指令値に制御すべく、各半導体スイッチの1スイッチング周期に対するオン期間の比であるデューティ比を制御する。主制御部22によるデューティ比の制御により、主駆動部21の第1出力端子Tout1を通じて低圧ラインLLに出力される電圧値が変更される。
【0043】
低圧ラインLLには、第2蓄電池55が接続されている。第2蓄電池55のプラス側端子が、低圧ラインLLに接続され、マイナス側端子がグランドラインGNDに接続されている。そのため、低圧ラインLLには、主DDC20の出力電圧、及び第2蓄電池55の出力電圧の少なくともいずれかが印加される。低圧ラインLLが副電力供給ラインに相当する。
【0044】
本実施形態において、第2蓄電池55の蓄電容量は、第1蓄電池50の蓄電容量よりも小さい。また、第2蓄電池55の端子間電圧は、第1蓄電池50の端子間電圧よりも低い。例えば、第2蓄電池55の端子間電圧は、12Vとなっている。
【0045】
低圧ラインLLには、この低圧ラインLLを通じて電力が供給される第1機器40が接続されている。本実施形態において、第1機器40は、主として、パワースライドドア41、パワーバックドア42及びメータ43を含む。パワースライドドア41、パワーバックドア42及びメータ43の定格電圧は、第2機器51の定格電圧よりも低い値となっている。
【0046】
パワースライドドア41は、車両のスライドドアと、このスライドドアをスライド動作させる駆動源として機能するドア用モータとを備える。ドア用モータの駆動によりスライドドアが車両に対して前後にスライド移動する。また、パワーバックドア42は、リアゲートと、このリアゲートを動作させる駆動源として機能するバックドア用モータとを備える。バックドア用モータの駆動によりリアゲートが開閉動作する。メータ43は、エンジン又は走行用モータMG1の回転数に応じた車速の表示や、ディスプレイを表示する。
【0047】
第1機器40は、照合ECU10、HV−ECU11、ドアロックECU12及び電池ECU13を含む。各ECU10〜13は、低圧ラインLLを通じて電力が供給される。また、各ECU10〜13は、車載ネットワークインタフェース14を介して違いに通信可能に接続されている。車載ネットワークインタフェース14としては、例えば、CAN(Controller Area Network)や、LIN(Local Interconnect Network)といった周知のインタフェースを用いることができる。以下では、車載ネットワークインタフェース14を、車載NIF14と記載する。
【0048】
照合ECU10は、ユーザが携帯する携帯機としての電子キー65との間で相互通信を行い、電子キー65に対する照合処理を実行する。照合ECU10は、車室内及び車両から所定距離の範囲に位置する電子キー65を検知するための送受信装置60と車載NIF14を通じて接続されている。照合ECU10から照合処理を実施するためのリクエスト信号が送受信装置60に送信されると、送受信装置60はこのリクエスト信号に基づいて電子キーの検知エリアを形成する。この検知エリアは車室内及び車室外のいずれにも形成される。電子キー65がこの検知エリアに進入した場合、電子キー65は送受信装置60に対して送信波を送信する。送受信装置60により受信された送信波は、デジタル信号に変換された後、車載NIF14を通じて照合ECU10に出力される。照合ECU10は、デジタル信号に含まれるIDコードを照合する。このIDコードは、車両毎に異なる番号が割り当てられている。照合ECU10は、IDコードの照合結果が該当する番号である場合、照合の成立を車載NIF14を通じて各ECU11〜13に通知する。
【0049】
電子キー65を携帯するユーザが検知エリアに進入することで、電子キー65からの送信波を受信できる状態となるため、照合ECU10は、ユーザと車両との距離が所定距離以下となった状態を検出することができる。また、電子キー65を携帯するユーザが検知エリア外に位置することで、電子キー65からの送信波を受信できない状態となるため、照合ECU10は、ユーザと車両との距離が所定距離よりも大きくなる状態を検出することができる。
【0050】
照合ECU10による電子キー65に対する照合は、電子キー65を携帯するユーザが車両に近接した場合、及びユーザが車両のプッシュSWを操作した場合に実施される。プッシュSWは、ユーザによる操作により、車両の電源投入状態を、イグニッションオフ(IGOFF)、アクセサリーオン(ACCON),イグニッションオン(IGON)の各状態に順番に移行させる。
【0051】
IGOFFは、各リレーSMR1,2が共に開状態となっており、かつ不図示のACリレーが開状態となった電源投入状態である。ACCONは、不図示のACリレーを開状態から閉状態へ移行させることで、第2蓄電池55から第1機器40及び第2機器51を除く他の機器への電力を供給させる電源状態である。IGONは、各リレーSMR1,2を開状態から閉状態に移行させる要求を出力する電源状態である。
【0052】
ドアロックECU12は、車両ドアを施錠状態と開錠状態とに切替える。ドアロックECU12は、ユーザが車両に近接したことに伴い実施される照合処理において、照合ECU10による照合が成立した場合に、車載NIF14を通じて開錠信号を送信する。この開錠信号により施錠装置61は、車両を施錠状態から開錠状態に切り替える。開錠状態では、車両のスライドドア、又はリアゲートが開錠される。また、ドアロックECU12は、車両ドアが施錠状態と開錠状態とのいずれの状態であるかを示すドア状態信号を車載NIF14を通じて照合ECU10に送信することができる。
【0053】
HV−ECU11は、各リレーSMR1,2を開状態から閉状態に切り替えることで、第1蓄電池50から第2機器51を通じた走行用モータMGへの電力供給を可能にする。本実施形態において、HV−ECU11は、車両の電源投入状態がIGONであり、かつユーザがブレーキを操作した場合に、SMR1,2を開状態から閉状態に切り替える。
【0054】
HV−ECU11は、車両の電源投入状態がReadyONである場合に、ユーザのアクセルの操作量に応じて走行用モータMG1の駆動に必要な指令トルクを算出する。HV−ECU11は、走行用モータMGのトルクを指令トルクに制御すべく、インバータ53を制御する。
【0055】
電池ECU13は、第1蓄電池50及び第2蓄電池55の各種情報を元に第1蓄電池50の残存容量を第1残存容量SOC1(SOC:State Of Charge)として算出し、第2蓄電池55の残存容量を第2残存容量SOC2として算出する。本実施形態では、電池ECU13は、第1蓄電池50及び第2蓄電池55のそれぞれの出力電流、出力電圧、及び温度から第1,第2残存容量SOC1,SOC2を算出する。
【0056】
次に、
図2を用いて車両の電源投入状態の推移を説明する。各リレーSMR1,2が共に開状態に制御されている場合、車両の電源投入状態は、車両が走行不可能な状態を示すResdyOFFである。そのため、第2機器51には、第1蓄電池50からの電力が供給されていない。ユーザがプッシュSWを操作することで、車両の電源投入状態をIGOFFからACCへ、更にはIGONへ移行させた場合でも、各リレーSMR1,2は開状態に維持される。このReadyOFFでは、第1機器40には電力が供給されており、第1機器40がスタンバイ状態となっている。
【0057】
スタンバイ状態とは、第1機器40に必要最低限の電力が供給されている状態である。スタンバイ状態において、第1機器40に流れている電流を暗電流と記載する。本実施形態では、スタンバイ状態が第1機器40の動作停止状態に相当する。なお、主DDC20においては、スタンバイ状態では、主駆動部21の半導体スイッチが動作しておらず、第1機器40に電力を供給していない状態である。スタンバイ状態における第1機器40の最大要求電力(例えば1W以下)に比べて、主DDC20の出力可能な最大電力(例えば数百W〜数千W)は大きい。
【0058】
車両の状態がIGONである場合に、ユーザのブレーキ操作により、車両の状態が走行可能状態を示すReadyONとなる。このReadyONでは、各リレーSMR1,2が共に閉状態に制御され、第2機器51に第1蓄電池50からの電力が供給される。
【0059】
第1機器40のスタンバイ状態では、動作状態と比べて第1機器40に流れる電流(暗電流)が低い値に保たれるため、スタンバイ状態での出力電流は、動作状態での出力電流と比べて低い値となる。その結果、第1機器40のスタンバイ状態における主DDC20の電力変換効率は、動作状態での電力変換効率と比べて低くなる。言い換えると、第1機器40のスタンバイ状態は、制御システム100における電力変換効率を低下させる要因となっている。
【0060】
そこで、本実施形態では、照合ECU10は、第1機器40のスタンバイ状態では、主DDC20から第1機器40への電力を供給させず、第2蓄電池55から第1機器40への電力を供給させることとした。また、第1機器40がスタンバイ状態から動作状態へ移行することを予測した場合は、主DDC20から第1機器40への電力を供給させることで、第1機器40の動作に必要な電力を確保することとした。そのため、照合ECU10が制御装置に相当する。
【0061】
次に、照合ECU10により実施される電力供給制御を
図3のフローチャートを用いて説明する。
図3のフローチャートで示す処理は、照合ECU10により所定の制御周期で繰り返し実施される。
【0062】
ステップS11では、車両の状態がReadyOFFであるか否かを判定する。本実施形態では、各リレーSMR1,2が開状態となっている場合、ReadyOFFであることを判定する。例えば、各リレーSMR1,2を開状態又は閉状態のいずれかに制御していることを示すHV−ECU11からの通知により、ReadyOFFであるか否かを判定する。ReadyOFFを判定した場合、ステップS12に進む。一方、ReadyONを判定した場合、
図3に示す処理を一旦終了する。
【0063】
ステップS12では、主DDC20から第1機器40への電力供給の有無を判定する。例えば、前回の制御周期において、第1機器40の動作状態への移行を判定していれば、すでに主DDC20が第1機器40へ電力を供給していると判定する。主DDC20から第1機器40への電力が供給されていないと判定した場合、ステップS13に進む。
【0064】
ステップS13,S14では、第1機器40のスタンバイ状態から動作状態への移行を予測する。ステップS13,S14,S16,S17が動作予測部に相当する。
【0065】
ステップS13では、電子キー65を携帯するユーザと車両との距離が所定距離以下となる状態を示す近接状態を検出する。具体的には、電子キー65を携帯するユーザが検知エリアに進入することにより電子キー65から送信波を受信した場合、近接状態を検出する。一方、電子キー65からの送信波を受信しない場合は、近接状態を検出しないことになる。これ以外にも、電子キー65からの送信波を受信しており、かつ送信波に含まれるIDコードの照合が成立した場合に、近接状態を検出するものであってもよい。近接状態を検出した場合、第1機器40の動作状態への移行を予測したことになり、ステップS15に進む。
【0066】
一方、近接状態を検出していない場合、ステップS14に進む。ステップS14では、ユーザが電子キー65を操作することで、施錠装置61による車両の開錠状態を検出する。車両の開錠状態を検出しない場合、第1機器40の動作状態への移行を予測したことにならず、
図3の処理を一旦終了する。一方で、車両の開錠状態を検出した場合、第1機器40の動作状態への移行を予測したことになり、ステップS15に進む。
【0067】
ステップS15では、主DDC20に第1機器40への電力供給を開始させるための機器動作要求を発行する。この機器動作要求は、車載NIF14を通じてHV−ECU11に受信される。HV−ECU11は、機器動作要求を受信すると、主DDC20の主制御部22に対して、主DDC20から第1機器40への電力供給を開始させる。ステップS15,S18が供給制御部に相当する。
【0068】
本実施形態では、第2蓄電池55から第1機器40への電力供給を停止するため、主制御部22は、主DDC20の出力電圧を第2蓄電池55の端子間電圧よりも高い電圧値(例えば、14V)となるよう主DDC20の出力電圧指令値を設定する。そのため、低圧ラインLLにおいて、主DDC20から第2蓄電池55へ向けて電流が流れ、第2蓄電池による第1機器40への電力供給が停止される。
【0069】
一方、ステップS12において、主DDC20から第1機器40への電力が供給されていることを判定した場合、ステップS16に進む。第1機器40の動作状態への移行が予測された場合でも、その後に、例えばユーザが車両から降車した場合、第1機器40がスタンバイ状態へ移行する可能性が高くなる。そのため、ステップS16において、送受信装置60における送信波の受信状態に基づいて、ユーザに携帯された電子キー65と車両との距離が所定距離よりも大きくなる状態を検出する。
【0070】
ステップS16において、近接状態を検出しない場合、第1機器40がスタンバイ状態へ移行することを予測し、ステップS18へ進む。一方、近接状態を検出した場合、ステップS17に進む。なお、ステップS16の処理は、ステップS13と同様の処理である。
【0071】
車両ドアが開錠状態から施錠状態に切り替わった場合、ユーザが降車した可能性が高くなる。そのため、ステップS17では、ユーザが降車した可能性を開錠状態から施錠状態への切替えの検出により判定する。具体的には、ドアロックECU12から送信されるドア状態信号が開錠状態から施錠状態へと変化したことにより判定する。施錠状態への切替えを検出した場合、ステップS18に進む。一方、施錠状態への切替えを検出しない場合、
図3の処理を一旦終了する。
【0072】
ステップS18では、主DDC20から第1機器40への電力供給を停止させる。具体的には、主DDC20の電力供給を停止させるための動作停止要求を車載NIF14を通じてHV−ECU11に送信する。HV−ECU11は、動作停止要求を受信すると、主DDC20の主制御部22に対して、主DDC20から第1機器40への電力供給を停止させる。そのため、低圧ラインLLには、第2蓄電池55からの出力電圧のみが印加される状態となり、この出力電圧により第1機器40への電力が供給される。
【0073】
以上説明した本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
【0074】
・照合ECU10は、第1機器40がスタンバイ状態から動作状態へと移行すると予測しない場合、主DDC20がスタンバイ状態とされる。このため、主DDC20から第1機器40へ電力が供給されない。この場合、第1機器40の要求電力が低い期間において、主DDC20から第1機器40へ電力が供給されない。その結果、第2蓄電池55から第1機器40へ電力を供給させることで、制御システム100における電力変換効率の低下を抑制することができる。また照合ECU10は、第1機器40がスタンバイ状態から動作状態に移行すると予測した場合、主DDC20から第1機器40へ電力を供給させるために主DDC20を動作させる。このため、第1機器40の要求電力が高い期間において、主DDC20から第1機器40へ電力を供給させることで、第1機器40が電力不足となることを抑制することができる。
【0075】
・照合ECU10は、車両がReadyOFFである場合において、第1機器40の動作状態への移行が予測されない場合に、主DDC20に第1機器40への電力を供給させないこととした。この場合、制御システム100全体での電力変換効率の低下を抑制することができる。
【0076】
・照合ECU10は、送信波に基づいて、電子キー65と車両との距離が所定距離以下となる近接状態を検出した場合に、第1機器が動作状態へと移行することを予測することとした。この場合、第1機器の動作状態への移行の予測精度を高めることができ、電力変換効率の低下を好適に抑制することができる。
【0077】
・照合ECU10は、送受信装置60における送信波の受信状態に基づいて、電子キー65と車両との距離が所定距離よりも大きくなる状態を検出した場合、第1機器40が動作状態からスタンバイ状態へと移行することを予測する。そして、第1機器40がスタンバイ状態へと移行することが予測された場合、主DDC20から第1機器40への電力供給を停止させることとした。この場合、送信波の受信状態に基づいて第1機器のスタンバイ状態への移行を予測することで、好適に電力変換効率の低下を抑制することができる。
【0078】
・照合ECU10は、施錠装置61の開錠状態を検出した場合に、第1機器40の動作状態への移行を予測することとした。この場合、第1機器40の動作状態への移行の予測精度を高めることができ、電力変換効率の低下を好適に抑制することができる。
【0079】
・照合ECU10は、施錠装置61の施錠状態を検出した場合に、第1機器40のスタンバイ状態への移行を予測することとした。この場合、施錠装置61による車両ドアの施錠状態に基づいて第1機器40の動作停止状態への移行を予測することで、好適に電力変換効率の低下を抑制することができる。
【0080】
(第2実施形態)
第2実施形態では、第1実施形態と異なる構成を中心に説明する。
【0081】
図4は、第2実施形態に係る制御システム100の構成図である。なお
図4において、先の
図1に示した構成と同一の構成については、便宜上、同一の符号を付している。
【0082】
本実施形態に係る制御システム100は、第1機器40に電力を供給する暗電流コンバータ70を備えている。暗電流コンバータ70が副電力変換装置に相当する。
【0083】
本実施形態では、暗電流コンバータ70は、第1蓄電池50の出力電圧を降圧する。暗電流コンバータ70は、副駆動部71と、この副駆動部71の駆動を制御する副制御部72と、を備えている。
【0084】
副駆動部71は、複数の半導体スイッチを備え、各半導体スイッチのオン・オフ制御により、第1蓄電池50から供給される入力電圧を降圧する。副駆動部71の第3入力端子Tin3は、第3高圧ラインHL3と繋がる第5高圧ラインHL5に接続されている。また、第4入力端子Tin4は、第4高圧ラインHL4に繋がる第6高圧ラインHL6に接続されている。そして、副駆動部71の第2出力端子Tout2は、補助ラインLBの第1端に接続されている。また、補助ラインLBの第2端は低圧ラインLLに接続されている。そのため、補助ラインLBは、暗電流コンバータ70と低圧ラインLLとを電気的に接続している。
【0085】
副制御部72は、副駆動部71の各半導体スイッチを駆動させる。副制御部72による半導体スイッチの駆動により、副駆動部71の第2出力端子Tout2を通じて低圧ラインLLに印加される出力電圧の値が変更される。
【0086】
制御システム100は、第2蓄電池55の端子間電圧VSrを検出する電圧検出センサ56を備えている。電圧検出センサ56により検出された端子間電圧VSrは、照合ECU10に出力される。
【0087】
図5は、主DDC20と暗電流コンバータ70との電力変換効率の推移を説明するグラフである。
図5では、横軸を負荷電流[A]とし、縦軸を電力変換効率[%]としている。
【0088】
暗電流コンバータ70の電力変換効率η1は、第1機器40に流れる暗電流に対応する第1負荷電流範囲LA1において、主DDC20の電力変換効率η2よりも高い値となっている。本実施形態において、第1負荷電流範囲LA1は、スタンバイ状態において第1機器40が取り得る負荷電流の範囲である。また、第2負荷電流範囲LA2は、動作状態において第1機器40が取り得る負荷電流の範囲である。本実施形態において、第2負荷電流範囲LA2の最小値は、第1負荷電流範囲LA1の最大値よりも大きな値である。暗電流コンバータ70の電力変換効率η1のピークは、第1負荷電流範囲LA1に含まれている。一方、主DDC20の電力変換効率η2は、第1負荷電流範囲LA1において、電力変換効率η1より小さな値となっている。また、電力変換効率η2のピークは、第2負荷電流範囲LA2に含まれている。
【0089】
次に、第2実施形態に係る電力供給制御を
図7のフローチャートを用いて説明する。
図6のフローチャートで示される処理は、照合ECU10により所定の制御周期で繰り返し実施される。
【0090】
ステップS11において、車両のReadyOFFを判定した場合、ステップS31に進む。ステップS31では、第1蓄電池50の残存容量を示す第1残存容量SOC1を取得する。ステップS31が主取得部に相当する。電池ECU13から車載NIF14を通じて第1残存容量SOC1を取得する。
【0091】
ステップS32では、第2蓄電池55の残存容量を示す第2残存容量SOC2を取得する。ステップS32が副取得部に相当する。
【0092】
ステップS33では、第1残存容量SOC1を主閾値Th1と比較する。主閾値Th1は、第1蓄電池50の残存容量を判定する閾値である。主閾値Th1は、例えば、放電を繰り返した場合に第1蓄電池50を劣化させる第1残存容量SOC1よりも大きい値に定められている。第1残存容量SOC1が主閾値Th1以上であると判定すれば、ステップS34に進む。
【0093】
ステップS34では、第2残存容量SOC2を副閾値Th2と比較する。副閾値Th2は、例えば、放電を繰り返した場合に第2蓄電池55を劣化させる第2残存容量SOC2よりも大きい値に定められている。第2残存容量SOC2が副閾値Th2以上であると判定した場合、ステップS35に進む。
【0094】
本実施形態では、第2蓄電池55の蓄電容量は、第1蓄電池50の蓄電容量よりも小さいため、副閾値Th2は主閾値Th1よりも小さい値に定められている。
【0095】
ステップS35では、第1残存容量SOC1が主閾値Th1以上であり、かつ第2残存容量SOC2が副閾値Th2以上であるため、第2蓄電池55及び暗電流コンバータ70に第1機器40への電力を供給させる。
【0096】
ステップS34において、第2残存容量SOC2が副閾値Th2未満であると判定した場合、ステップS36に進む。第2蓄電池55の蓄電容量が第1蓄電池50の蓄電容量よりも小さいと、第2蓄電池55の蓄電容量が少なくなり過放電状態となりやすくなる。そのため、ステップS36では、暗電流コンバータ70の出力電圧指令値VL*を、第2蓄電池55の端子間電圧VSrよりも高い値に設定することで、暗電流コンバータ70のみで第1機器40へ電力を供給させる。
【0097】
具体的には、電圧検出センサ56により検出された端子間電圧VSrに補正値ΔV1を加算する。そして、補正値ΔV1が加算された端子間電圧VSrを暗電流コンバータ70の出力電圧指令値VL*に設定する。そのため、出力電圧指令値VL*により暗電流コンバータ70の出力電圧が第2蓄電池55の端子間電圧VSrよりも大きくなることで、低圧ラインLLには暗電流コンバータ70から第2蓄電池55へ向けて電流が流れる。その結果、第2蓄電池55に第1機器40への電力供給を停止させる。
【0098】
ステップS33において、第1残存容量SOC1が主閾値Th1未満であると判定すれば、ステップS37に進む。ステップS37において、第2残存容量SOC2が副閾値Th2以上であると判定した場合、ステップS38に進む。ステップS38では、暗電流コンバータ70の出力電圧指令値VL*を、第2蓄電池55の端子間電圧VSrよりも低い値に設定することで、第2蓄電池55のみで第1機器40への電力を供給させる。
【0099】
具体的には、電圧検出センサ56により検出された端子間電圧VSrに補正値ΔV2を減算する。そして、補正値ΔV2が減算された端子間電圧VSrを暗電流コンバータ70の出力電圧指令値VL*に設定する。そのため、出力電圧指令値VL*により暗電流コンバータ70の出力電圧が第2蓄電池55の端子間電圧VSrよりも小さくなることで、低圧ラインLLには、第2蓄電池55から暗電流コンバータ70へ向けて電流が流れる。その結果、暗電流コンバータ70の第1機器40への電力供給が停止される。
【0100】
ステップS37において、第2残存容量SOC2が副閾値Th2未満と判定すれば、ステップS15に進む。この場合、両蓄電池50,55の残存容量SOC1,SOC2が十分な残容量でないことになる。この第2実施形態では、蓄電容量が大きい第1蓄電池50を優先的に使用すべく、ステップS15において、第1蓄電池50から主DDC20を介して第1機器40へ電力を供給させる。
【0101】
また、ステップS15において、主DDC20に第1機器40への電力を供給させた後、ステップS41に進む。ステップS41では、暗電流コンバータ70により電力を供給している場合(ステップS35又はS36)、第1蓄電池50の蓄電容量の低下を抑制するため、暗電流コンバータ70の駆動を停止させる。具体的には、HV−ECU11に対して暗電流コンバータ70の駆動を停止させるための停止要求を出力する。HV−ECU11は停止要求を受信すると、暗電流コンバータ70の副制御部72に対して、暗電流コンバータ70から第1機器40への電力供給を停止させる。
【0102】
ステップS41又はS18の処理が終了した場合、
図6の処理を一旦終了する。
【0103】
以上説明した本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
【0104】
・制御システム100は、第1蓄電池50の出力を降圧して第1機器40への電力を供給する暗電流コンバータ70を備えている。そして、照合ECU10は、第1機器40の動作状態への移行を予測しない場合に、第2蓄電池55に加えて暗電流コンバータ70に第1機器40への電力を供給させる。上記構成では、第2蓄電池55と暗電流コンバータ70とのいずれか一方が第1機器40への電力を供給できない状況下でも、他方が第1機器40へ電力を供給することができる。その結果、第1機器40に対して電力が供給されない状態を防止することができる。
【0105】
・暗電流コンバータ70の電力変換効率η2は、第1機器40に流れる暗電流に対応する負荷電流範囲LA1において、主DDC20の電力変換効率η1よりも高い値となっている。上記構成により、第1機器40のスタンバイ状態での制御システム100の電力変換効率を高めることができる。
【0106】
・照合ECU10は、第1蓄電池50の第1残存容量SOC1が主閾値Th1よりも低いと判定した場合に、第1蓄電池50から暗電流コンバータ70を介した第1機器40への電力供給を停止し、第1蓄電池50の過放電状態を防止する。その結果、過放電に起因する第1蓄電池50の劣化を抑制することができる。また、電気的な接続を切り替えるためのリレー等の部品を必要とすることなく暗電流コンバータ70と第2蓄電池55との間での電力供給を切り替えることができるため、制御システム100の体格の肥大化を抑制することができる。
【0107】
・照合ECU10は、暗電流コンバータ70の出力電圧指令値VL*を、第2蓄電池55の端子間電圧VSrよりも低い値に設定することで、暗電流コンバータ70に第1機器40への電力供給を停止させる。この場合、過放電に起因する第2蓄電池55の劣化を抑制することができる。また、電気的な接続を切り替えるためのリレー等の部品を必要とすることなく暗電流コンバータ70と第2蓄電池55との間での電力供給を切り替えることができるため、制御システム100の体格の肥大化を抑制することができる。
【0108】
・照合ECU10は、第1機器40への動作状態への移行を予測した後に、主DDC20に第1機器40への電力を供給させる場合は、暗電流コンバータ70に第1機器40への電力供給を停止させる。この場合、第1蓄電池50から主DDC20と暗電流コンバータ70とを介して同じ機器へ電力が供給されるのを防止し、第1蓄電池50の残存容量の低下を抑制することができる。
【0109】
(第3実施形態)
この第3実施形態では、第2実施形態と異なる構成を中心に説明する。
【0110】
図7は、第3実施形態に係る制御システム100の構成図である。第3実施形態に係る制御システム100は、低圧ラインLLに流れる電流が主DDC20から暗電流コンバータ70に向けて流れるのを防止する逆流防止部80を備えている。
【0111】
図6のステップS15において、主DDC20から第1機器40への電力供給が開始された後、ステップS41において暗電流コンバータ70の動作が停止される。ここで、主DDC20の出力電圧が暗電流コンバータ70の出力電圧より高い値となる場合、補助ラインLBを通じて主DDC20から暗電流コンバータ70へ電流が流れるおそれがある。そのため、この第3実施形態において、補助ラインLBに逆流防止部80を備えている。
【0112】
本実施形態では、逆流防止部80として、ダイオードを用いている。具体的には、補助ラインLBにおいて、ダイオードのアノードが暗電流コンバータ70の第2出力端子Tout2に接続されており、カソードが低圧ラインLLに接続されている。そのため、主DDC20の出力電圧が暗電流コンバータ70の出力電圧よりも高くなる状況下でも、この逆流防止部80により低圧ラインLLから補助ラインLBへ電流が流れるのが防止される。
【0113】
以上説明した本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
【0114】
・主DDC20に第1機器40への電力を供給させた後に、暗電流コンバータ70に第1機器40への電力の供給を停止させる場合でも、主DDC20から補助ラインLBを通じて暗電流コンバータ70へ電流が流れるのを防止することができる。その結果、電流により暗電流コンバータ70の劣化を抑制することができる。
【0115】
(第4実施形態)
この第4実施形態では、第3実施形態と異なる構成を中心に説明する。
【0116】
図8は、第4実施形態に係る制御システム100の構成図である。第4実施形態に係る制御システム100は、第1機器40に電力を供給する太陽光発電装置90を備えている。そのため、この第4実施形態では、第2蓄電池55及び太陽光発電装置90が副蓄電装置に相当する。
【0117】
太陽光発電装置90は、太陽光を電気エネルギーに変換するソーラーパネル91と、このソーラーパネル91の出力を変圧するパネル用DC/DCコンバータ92と、を備えている。パネル用DC/DCコンバータ92により、ソーラーパネル91からの出力電圧は、第1機器40の駆動に応じた出力電圧(例えば、12V)に変圧される。
【0118】
パネル用DC/DCコンバータ92の第3出力端子Tout3は、低圧ラインLLに接続されている。そのため、パネル用DC/DCコンバータ92によって変圧された出力電圧は、低圧ラインLLに印加される。その結果、太陽光発電装置90により第1機器40への電力が供給される。
【0119】
以上説明した本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
【0120】
太陽光発電装置90は、第1蓄電池50の蓄電容量を必要としない電力供給手段であるため、太陽光発電装置90が動作可能な環境(例えば晴天時昼間等)では第1蓄電池50及び第2蓄電池55の消費を抑えることができる。そのため、車両燃費の向上や各蓄電池50,55の劣化を抑制することができる。
【0121】
(第5実施形態)
この第5実施形態では、第1実施形態と異なる構成を中心に説明する。
【0122】
図9は、第5実施形態に係る制御システム100の構成図である。第5実施形態に係る制御システム100は、第1蓄電池50、主DDC20、各リレーSMR1,2を収容する筐体95を備えている。
【0123】
上記構成において、車両のReadyOFFでは、各リレーSMR1,2が開状態となっており、第2機器51には第1蓄電池50からの電力が供給されていない。そのため、整備士やユーザ等が筐体95外部の第2機器51に触れたとしても感電を防止することができる。
【0124】
(その他の実施形態)
図3及び
図6のステップS15,S18において、照合ECU10が主DDC20に対して直接、電力の供給及び電力の供給停止を示す要求を送信するものであってもよい。この場合において、例えば、ReadyOFFでは、HV−ECU11がスリープモードに移行している場合でも、HV−ECU11を起動させることなく、主DDC20から第1機器40への電力供給と電力供給の停止とを実施することができる。
【0125】
図3及び
図6に示す処理を照合ECU10が実施することに代えて、主DDC20の主制御部22が実施するものであってもよい。この場合においても、主制御部22は、車載NIF14を通じて、各ECU10〜13から必要な情報を取得する。
【0126】
制御システム100は、車両以外の装置に搭載されるものであってもよい。
【0127】
蓄電装置として、蓄電池に代えて、キャパシタを用いるものであってもよい。
【0128】
第2蓄電池55の蓄電容量を第1蓄電池50の蓄電容量よりも小さくすることに代えて、第2蓄電池55と第1蓄電池50とを同じ蓄電容量とするものであってもよい。
【0129】
高圧ラインHL1,HL2に設けられる切替部としては、リレーに限らない。
【0130】
第1蓄電池50と第2機器51とを繋ぐ高圧ラインHL1,HL2に各リレーSMR1,2を設けたことは一例に過ぎず、高圧ラインHL1,HL2に各リレーSMR1,2が設けられていなくともよい。具体的には、
図3,
図6に示す処理を、車両が走行していない状態において実施するものであってもよい。この場合において、
図3,
図6において、照合ECU10は、各リレーSMR1,2が開状態となるReadyOFFを判定するステップS11の処理を実施しなくともよい。
【0131】
逆流防止部80に用いられる素子は、電流の流れる向きに特性を有するものであればよい。そのため、ダイオードに代えて、サイリスタ、GTO、IGBTなどの素子を用いるものであってもよい。
【0132】
第1実施形態において、電子キー65に代えて、携帯電話等の携帯端末を用いるものであってもよい。この場合において、
図3及び
図6のステップS13及びS16において、携帯端末から送信される送信波に基づいて、近接状態の検出が行われる。また、携帯端末からの信号により車両ドアの開錠状態と施錠状態とを切り替えられる構成とする場合、ステップS14,S17において、携帯端末からの信号に応じて車両ドアが開錠状態又は施錠状態となったことを検出する。
【0133】
第1実施形態において、第2蓄電値55の蓄電容量が第1蓄電池50の蓄電容量よりも大きくてもよい。