(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
(本願における記載形式・基本的用語・用法の説明)
本願において、実施の態様の記載は、必要に応じて、便宜上複数のセクション等に分けて記載するが、特にそうでない旨明示した場合を除き、これらは相互に独立別個のものではなく、記載の前後を問わず、単一の例の各部分、一方が他方の一部詳細または一部または全部の変形例等である。また、原則として、同様の部分は繰り返しの説明を省略する。また、実施の態様における各構成要素は、特にそうでない旨明示した場合、理論的にその数に限定される場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、必須のものではない。
【0010】
同様に実施の態様等の記載において、材料、組成等について、「AからなるX」等といっても、特にそうでない旨明示した場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、A以外の要素を含むものを排除するものではない。たとえば、成分についていえば、「Aを主要な成分として含むX」等の意味である。たとえば、「シリコン部材」等といっても、純粋なシリコンに限定されるものではなく、SiGe(シリコン・ゲルマニウム)合金やその他シリコンを主要な成分とする多元合金、その他の添加物等を含む部材も含むものであることはいうまでもない。また、金めっき、Cu層、ニッケル・めっき等といっても、そうでない旨、特に明示した場合を除き、純粋なものだけでなく、それぞれ金、Cu、ニッケル等を主要な成分とする部材を含むものとする。
【0011】
さらに、特定の数値、数量に言及したときも、特にそうでない旨明示した場合、理論的にその数に限定される場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、その特定の数値を超える数値であってもよいし、その特定の数値未満の数値でもよい。
【0012】
また、実施の形態の各図中において、同一または同様の部分は同一または類似の記号または参照番号で示し、説明は原則として繰り返さない。
【0013】
また、添付図面においては、却って、煩雑になる場合または空隙との区別が明確である場合には、断面であってもハッチング等を省略する場合がある。これに関連して、説明等から明らかである場合等には、平面的に閉じた孔であっても、背景の輪郭線を省略する場合がある。更に、断面でなくとも、空隙でないことを明示するため、あるいは領域の境界を明示するために、ハッチングやドットパターンを付すことがある。
【0014】
<ノイズ対策>
半導体装置(半導体部品)の小型化および高機能化に伴い、半導体装置は、様々な電子装置(機器)に組み込まれ、制御用部品として使用されている。例えば、自動車や原動機付き二輪車を例に考えると、エンジンやモータなどの動力系の駆動制御、動力をタイヤに伝達する様々な部品の動作制御、照明やウィンカなどの光学部品の制御、あるいは、各部品の動作状態を監視するセンサの制御など、様々な部品の制御に利用されている。
【0015】
上記のような半導体装置を用いた制御システムは、半導体装置を含む、複数の電子部品を基板に搭載し、互いに電気的に接続することにより、構成される。この場合、基板に搭載された各電子部品のそれぞれが、互いの動作を阻害しないように電子装置のノイズ対策を行うことが重要である。
【0016】
電子装置のノイズ対策は、以下の二つに大別することができる。一つは、対象の電子部品の周囲にある回路や電子装置の外部などから発生する電磁波によって、その電子部品の動作が影響を受ける程度(EMS:Electro Magnetic Susceptibility)を小さくする対策がある。このEMS対策は、対象の電子部品のノイズ耐性を向上させる対策と言い換えることができる。もう一つは、対象の電子部品が動作することにより他の回路の動作を阻害(妨害)すること(EMI:Electro Magnetic Interference)の程度を小さくする対策がある。EMI対策は、対象の電子部品に由来するノイズ影響を低減させる対策と言い換えることができる。
【0017】
以下の実施の形態では、EMS対策あるいはEMI対策を目的として、電子部品が搭載された配線基板にノイズをフィルタリングするフィルタ回路を形成する実施態様について、複数の具体例を挙げて順に説明する。
【0018】
(実施の形態1)
本実施の形態1では、EMS対策の例として、センサを備えた電子部品(センサ部品)と、センサからの出力信号を増幅する増幅回路を備えた半導体部品とを電気的に接続する伝送経路中に、センサからの出力信号のノイズをフィルタするローパスフィルタを接続した実施態様を取り上げて説明する。なお、以下の説明では、センサとして、温度変化を測定するサーミスタを用いた実施態様について例示する。しかし、増幅回路などの回路に対して入力信号を伝送するセンサ部品などの電子部品としては、サーミスタの他、多種多様の電子部品がある。
【0019】
図1は、一実施の形態である電子装置の構成例を示す拡大平面図である。
図2は、
図1に示す電子装置の等価回路図である。
図3は、
図1に示すA−A線に沿った拡大断面図である。
【0020】
図1では、配線11が形成された配線層とは異なる配線層に形成された、導体パターンMPc、導体パターンMPg、および層間導電路であるビア配線VWのそれぞれを点線で示している。同様に、
図1では、半導体装置20に内蔵される半導体チップ21を点線で示している。また、
図1では、複数の基板端子12に接続される配線のうちの一部を示し、他の一部は図示を省略している。また、
図1では、半導体装置20が備える増幅回路OP1の回路図を二点鎖線で模式的に示している。また、
図2では、増幅回路の一例として、単純化した非反転増幅回路の例を示している。しかし、増幅回路には、例えば反転増幅回路や差動増幅回路など、種々の変形例がある。
【0021】
図1に示すように、本実施の形態の電子装置EDV1は、基材である配線基板10に半導体装置20、センサ30、抵抗部品40などの複数の部品(電子部品)が搭載され、各部品が配線11などの導電性部材を介して電気的に接続された構造体である。電子装置EDV1は、配線基板10の上面10tに搭載される半導体装置(半導体部品、電子部品)20、センサ(電子部品)30、および抵抗部品(電子部品)40を有している。
【0022】
本実施の形態の場合、センサ30は例えば温度センサ(サーミスタ)であって、周辺温度に応じてその電気抵抗値が変化するセンサ素子を備えた電子部品である。また、半導体装置20は、センサ30から出力された信号(温度検出信号)が入力され、増幅する増幅回路(オペアンプ)OP1を備える電子部品である。増幅回路OP1は、半導体装置20が備える半導体チップ21に形成された集積回路である。また、センサ30および抵抗部品40のそれぞれは、互いに反対側に位置する二つの電極を備えたチップ部品である。センサ30は、互いに反対側に位置する電極30E1および電極30E2を備える。抵抗部品40は、互いに反対側に位置する電極40E1および電極40E2を備える。
【0023】
また、半導体装置20は、外部端子である複数の端子22を有している。複数の端子(リード)22には、センサ30から出力された信号が入力される端子22Aが含まれる。端子22Aは、増幅回路OP1の非反転入力端子に接続されている。また、複数の端子22には、増幅回路OP1の反転入力端子に接続される、端子22Bが含まれる。また、複数の端子22には、増幅回路OP1の出力端子に接続される端子22Tが含まれる。また、複数の端子22には、増幅回路OP1に、ハイサイド電位(例えば正電位)を供給する伝送経路を構成する端子22Pが含まれる。また、複数の端子22には、増幅回路OP1に、ハイサイド電位より低い、ロウサイド電位(例えば負電位や接地電位)を供給する伝送経路を構成する端子22Nが含まれる。
【0024】
半導体装置20は、配線基板10の上面10t上に搭載されている。半導体装置20の複数の端子22と、配線基板10の複数の基板端子12とはそれぞれ電気的に接続されている。
【0025】
配線基板10は、上面(面、主面、表面)10tと、上面10tの反対に位置する下面(面、主面、裏面)10b(
図3参照)を有している。なお、
図1および
図3では、配線基板10の上面10t上に複数の配線11や複数の基板端子12、13が形成され、これらの導体パターンが露出している実施態様について示しているが、上面10t上に複数の配線11などの導体パターンを覆う絶縁膜(保護膜、ソルダレジスト膜)が形成されていても良い。この場合、上面10tを覆う絶縁膜には、開口部が形成され、その開口部において、複数の基板端子12、13のそれぞれの一部分または全体が絶縁膜から露出する。同様に、
図3に示すように、配線基板10の下面10b上には導体パターンMPGが形成され、露出している。しかし、下面10b上に導体パターンMPGを覆う絶縁膜(保護膜、ソルダレジスト膜)が形成されていても良い。
【0026】
また、配線基板10は、半導体装置20の複数の端子22が接続される複数の基板端子(ボンディングリード、ボンディングフィンガ、パッド、ランド)12を備えている。複数の基板端子12には、センサ30から出力された信号が入力される、基板端子12Aが含まれる。
図3に示す例では、半導体装置20の端子22Aは、半田SDを介して基板端子12Aに接合され、かつ、電気的に接続されている。また、複数の基板端子12には、増幅回路OP1の反転入力端子に接続される、基板端子12Bが含まれる。また、複数の基板端子12には、増幅回路OP1の出力端子に接続される基板端子12Tが含まれる。また、複数の基板端子12には、増幅回路OP1に、ハイサイド電位(例えば正電位)を供給する伝送経路を構成する基板端子12Pが含まれる。また、複数の基板端子12には、増幅回路OP1に、ハイサイド電位より低い、ロウサイド電位(例えば負電位や接地電位)を供給する伝送経路を構成する基板端子12Nが含まれる。
【0027】
また、配線基板10は、センサ30または抵抗部品40が搭載される複数の基板端子13を備えている。複数の基板端子13には、センサ30の電極30E1および抵抗部品40の電極40E1が接続された基板端子13Aが含まれる。センサ30の出力側の電極30E1は、図示しない半田などの接合材を介して基板端子13Aと接合されている。また、抵抗部品の電極40E1は、図示しない半田などの接合材を介して基板端子13Aと接合されている。また、複数の基板端子13には、センサ30の電極30E2に接続され、センサ30にロウサイドの基準電位を供給する基板端子13Lが含まれる。基板端子13Lには、ビア配線VWLを介して、例えば接地電位(グランド電位)などの基準電位が供給されている。また、複数の基板端子13には、抵抗部品40の電極40E2に接続され、抵抗部品40にハイサイドの基準電位を供給する基板端子13Hが含まれる。基板端子13Hには、ビア配線VWHを介して、例えば接地電位より高い基準電位が供給されている。
【0028】
また、配線基板10は、複数の基板端子12に接続される複数の配線11を備えている。複数の配線11には、基板端子12Aに接続される配線11Aが含まれる。センサ30から出力される信号は、出力端子である電極30E1、基板端子13A、配線11A、基板端子12A、および端子22Aを介して半導体装置20の増幅回路OP1に入力される。また、複数の配線11には、基板端子12Bに接続される配線11Bが含まれる。配線11Bは、
図2に示す抵抗素子R2を介して基板端子12Tと電気的に接続されている。また、複数の配線11には、基板端子12Tに接続される配線11Tが含まれる。増幅回路OP1の出力信号は、半導体装置20の外部端子である端子22Tおよび配線基板10の基板端子12Tを介して配線11Tに出力される。
【0029】
電子装置EDV1のように、増幅回路OP1により信号を増幅する場合、増幅前の信号、すなわち、増幅回路OP1に入力される前の信号のノイズをフィルタリングすることが好ましい。このため、
図2に示すように電子装置EDV1は、センサ30の出力端である基板端子13Aと、増幅回路OP1の入力端である基板端子12Aとの間に、抵抗AR1、インダクタAL1、およびキャパシタAC1を備えるノイズフィルタ(ローパスフィルタ)NF1が接続されている。
【0030】
ノイズフィルタNF1のようなフィルタ回路を接続する場合、
図2に示す抵抗AR1、インダクタAL1、およびキャパシタAC1に相当する電子部品をそれぞれ準備して、配線基板10上に搭載する方法がある。しかし、配線基板10上に搭載される電子部品の数が増大すると、部品や配線のレイアウト上の制約が大きくなり、配線基板10の面積増大の原因になる。また、ディスクリートデバイス(単一機能の部品)を寄せ集めると、各部品は、他の部品との干渉について考慮されていないので、部品間の干渉により、新たなノイズ発生源になる場合もある。
【0031】
そこで、本願発明者は、配線基板10に形成された導体パターンを利用して、ノイズフィルタNF1を構成する技術について検討を行った。まず、
図2に示す抵抗AR1およびインダクタAL1は、
図1に示す配線11Aにより代用することができる。詳しくは、配線11Aの長さ(延在距離)および幅(長手方向である延在方向に対して直交する方向の長さ)を調整することにより、配線11Aに抵抗AR1およびインダクタAL1の機能を付与することができる。ただし、キャパシタAC1の機能は、誘電体を介して対向配置される電極の平面積に影響するので、配線11AにキャパシタAC1の機能を付与することは難しい。
【0032】
例えば、
図1に対する検討例として、配線11Aにビア配線VWAおよび導体パターンMPcが接続されていない場合に、配線11A自身をRLCフィルタ回路として考えた場合、RLCフィルタ回路の各成分の値は以下の通りである。すなわち、後述する算出条件において、RLCフィルタ回路の基板端子12Aにおける抵抗値は32.82[mΩ](ミリオーム)、インダクタンス値は2.62[nH](ナノヘンリー)、キャパシタンス値は、0.53[pF](ピコファラッド)になる。上記計算値の算出条件は、下記の通りである。
図1に示す配線11Aの長さ(基板端子13Aから基板端子12Aまでの経路距離)は5mm、幅(延在部11L1のY方向の長さ)は0.4mm、厚さ(
図3に示すZ方向の長さ)は60μmとした。
【0033】
上記したRLC回路の場合、出力電力が通過帯域のそれに比較して半分になる周波数、すなわち、カットオフ周波数は、約4.25GHz(ギガヘルツ)になる。しかし、例えば車載用の電子装置において、センサ30から出力される信号に対する影響を考慮するノイズの周波数としては、150kHz(キロヘルツ)以上2GHz以下程度である。したがって、カットオフ周波数が約4.25GHzであるRLCフィルタ回路は、150kHz以上2GHz以下程度の周波数帯におけるノイズフィルタとしては使用困難である。言い換えれば、150kHz以上2GHz以下程度の周波数帯において利用するノイズフィルタは、カットオフ周波数が少なくとも2GHz以下である必要がある。
【0034】
カットオフ周波数を低減させる手法として、
図2に示すキャパシタAC1の値を大きくする方法が有効である。しかし、キャパシタAC1の値を大きくするためには、誘電体を介して対向配置される電極の平面積を大きくする必要があるので、
図1に示す複数の配線11と同層にキャパシタAC1を構成する導体パターンを設けると、配線基板10の面積の増大の原因になる。
【0035】
電子装置EDV1の場合、
図3に示すように、配線基板10は、複数の配線層WL1、WL2、WL3、およびWL4を備える多層配線基板である。このため、
図2に示すキャパシタAC1に相当する導体パターンMPc、MPgは、配線11Aが形成されている配線層WL1とは別の配線層WL2、WL3に形成されている。
【0036】
図3に示すように、配線基板10は、配線11Aが配置されている配線層WL1を有する。
図1に示す複数の配線11のそれぞれも、配線11Aと同様に配線層WL1に形成されている。このように、複数の配線11を同じ配線層WL1に設けることにより、配線経路距離を短くすることができる。また、
図3に示す例では、配線層WL1に基板端子12A、13Aも形成されている。言い換えれば、配線11Aは、配線基板10が備える複数の配線層のうち、最上層に形成されている。ただし、変形例としては、
図1に示す複数の基板端子12および複数の基板端子13が最上層に設けられ、複数の配線11は、最上層より下層の配線層に設けられていても良い。この場合、複数の配線11と複数の基板端子12は、層間導電路であるビア配線VWを介して接続される。
【0037】
また、電子装置EDV1は、配線層WL1とは異なる配線層WL3に形成され、ビア配線VWAを介して配線11Aと電気的に接続されている導体パターンMPcを備える。また、電子装置EDV1は、配線層WL1および配線層WL3とは異なる配線層WL2に形成され、固定電位が供給される導体パターンMPgを備える。
図3に示す例では、配線層WL4に接地電位が供給される導体パターン(グランドプレーン)MPGが配置され、導体パターンMPgはビア配線VWGを介して導体パターンMPGと電気的に接続されている。したがって、導体パターンMPgには、接地電位(グランド電位)が供給されている。導体パターンMPGは、配線基板10の下面10bのほぼ全体を覆っている。また、導体パターンMPcと導体パターンMPgとは絶縁層14を介して互いに対向している。導体パターンMPcと導体パターンMPgとが互いに対向している領域には、
図2に示すキャパシタAC1が形成される。
【0038】
また、導体パターンMPc、MPgのそれぞれは、配線層WL1以外の配線層に形成されているので、
図1に示す複数の配線11のレイアウト上の制約を受けにくい。したがって、導体パターンMPc、MPgの面積を大きくすることができる。このため、
図1に示すように、導体パターンMPcと導体パターンMPgが互いに対向する領域の面積は、配線11Aの面積より大きい。例えば、
図1に示す例では、導体パターンMPcは四角形(詳しくは長方形)で、その面積は、20.16mm
2である。また導体パターンMPgは、ビア配線VWを通過させるために設けられた開口部MPhや配線基板10の周縁部を除き、配線層WL2の大部分に形成されている。したがって、開口部MPhの面積を考慮したとしても、導体パターンMPcと導体パターンMPgが互いに対向する領域の面積は、約20mm
2である。一方、配線11Aの長さ(基板端子13Aから基板端子12Aまでの経路距離)は5mm、幅(延在部11L1のY方向の長さ)は0.4mm程度なので、配線11Aの面積は、約2mm
2である。これにより、
図2に示すキャパシタAC1の容量値を大きくすることができる。
【0039】
例えば、
図1および
図3に示すレイアウトの場合、
図2に示すノイズフィルタNF1の基板端子12Aにおける抵抗値は36.34[mΩ]、インダクタンス値は2.73[nH]、キャパシタンス値は、9.60[pF]になる。上記した値は、以下の条件で算出した。配線11Aの長さは5mm、幅は0.4mm、厚さは60μmとした。また、配線層WL2および配線層WL3に形成された導体パターンの厚さは35μm、配線層WL4に形成された導体パターンの厚さは60μmとした。また、配線層WL1と配線層WL2の間の絶縁層14Aの厚さ、および配線層WL3と配線層WL4の間の絶縁層14Bの厚さは、600μm、配線層WL2と配線層WL3の間の絶縁層14Cの厚さは、100μmとした。
【0040】
上記の算出条件によれば、
図2に示すノイズフィルタNF1によるカットオフ周波数は、0.98GHzとなる。この程度のカットオフ周波数であれば、150kHz以上2GHz以下程度の周波数帯において利用するノイズフィルタとして十分に利用可能である。また、ノイズフィルタNF1は、
図1に示す配線11Aの長さ、幅、厚さや、導体パターンMPcと導体パターンMPgとが対向する領域の面積を調整することにより、カットオフ周波数を容易に調整できる。
【0041】
例えば、
図1に示す配線11Aの幅は上記したように0.4mmであるが、これを0.1mmにした場合、ノイズフィルタNF1(
図2参照)の基板端子12Aにおける抵抗値は69.86[mΩ]、インダクタンス値は3.78[nH]、キャパシタンス値は、9.56[pF]になる。この場合、カットオフ周波数は、0.85GHzになる。
【0042】
このように、本実施の形態によれば、
図2に示すノイズフィルタNF1を構成する抵抗AR1、インダクタAL1、およびキャパシタAC1のうち、キャパシタAC1を構成する導体パターンMPc(
図3参照)および導体パターンMPg(
図3参照)が配線11A(
図1参照)と異なる配線層に形成されている。これにより、キャパシタAC1の容量値をノイズフィルタとして利用可能な程度にまで大きくしても、配線層WL1(
図3参照)における配線レイアウトの制約が生じ難い。また、
図3に示すように、電子装置EDV1の場合、ノイズフィルタ用の電子部品を追加することなく、配線基板10の導体パターン(配線11Aも含む)によりノイズフィルタNF1(
図2参照)が構成されている。このため、ノイズフィルタNF1を接続することによる配線基板10の面積増大を抑制できる。また、配線基板10の導体パターンでノイズフィルタNF1を形成する場合、ノイズフィルタNF1と他の配線の電磁的な影響を考慮して設計できる。このため、意図しない部品間の電磁的な干渉により、新たなノイズが発生することを抑制できる。
【0043】
また、本実施の形態のように、
図2に示す増幅回路OP1の入力信号に含まれるノイズを抑制する場合、ローパスフィルタであるノイズフィルタNF1のキャパシタAC1が接続される位置が、増幅回路OP1の入力端の近くにあることが好ましい。キャパシタAC1が接続される位置と増幅回路OP1の入力端との距離が短くなれば、フィルタ処理後の信号に再び別のノイズが付与されることを抑制できる。
【0044】
本実施の形態の場合、
図1に示す基板端子12Aに伝送される信号は、端子22Aを介して半導体装置20の増幅回路OP1に入力される入力信号である。また、配線11Aは、X方向に沿って延びる延在部11L1と、ビア配線VWAに接続されるビアランド部11VPと、を有している。ビアランド部11VPは、平面視において、延在部11L1と基板端子12Aとの間にある。また、平面視において、基板端子12Aとビアランド部11VPとの離間距離は、延在部11L1の延在距離(長さ)より短い。つまり、
図2に示すキャパシタAC1が接続されるビアランド部11VPが増幅回路OP1の入力端である基板端子12Aの近くに配置されている。
【0045】
また、本実施の形態の構成は、以下のように表現することもできる。すなわち、配線基板10には、配線11Aに接続されるセンサ30が搭載されている。基板端子12Aに伝送される信号は、センサ30から出力され、かつ、端子22Aを介して半導体装置20の増幅回路OP1に入力される信号である。また、配線11Aは、X方向に沿って延びる延在部11L1と、ビア配線VWAに接続されるビアランド部11VPと、を有している。ビアランド部11VPは、平面視において、延在部11L1と基板端子12Aとの間にある。また、平面視において、センサ30とビアランド部11VPの離間距離は、基板端子12Aとビアランド部11VPの離間距離より長い。つまり、
図2に示すキャパシタAC1が接続されるビアランド部11VPはセンサ30の出力端である基板端子13Aよりも増幅回路OP1の入力端である基板端子12Aの近くに配置されている。
【0046】
また、
図2に示すキャパシタAC1の容量値は、
図3に示す導体パターンMPcと導体パターンMPgとが対向する領域の面積により規定されるが、例えば、
図1に示す導体パターンMPcの平面形状が、配線11Aのように細長く延びる形状だった場合、導体パターンMPcに付与される抵抗成分およびインダクタンス成分が大きくなる。導体パターンMPcに付与される抵抗成分およびインダクタンス成分を低減する観点からは、導体パターンMPcは、平面視における縦横比(アスペクト比)が小さいパターンであることが好ましい。例えば、本実施の形態の場合、
図4に示すように、導体パターンMPcは、X方向に延びる長辺(辺)MPs1と、長辺MPs1の反対側に位置する長辺MPs2と、を有している。
図4は、
図1に示すセンサに接続される配線、基板端子およびこの配線に接続される導体パターンを抽出して示す重ね合わせ平面図である。また、導体パターンMPcは、X方向に交差するY方向に延びる短辺MPs3と、短辺MPs3の反対側に位置する短辺MPs4を有している。長辺MPs1、MPs2のそれぞれの長さは、短辺MPs3、MPs4のそれぞれの長さより長い。また、Y方向において、長辺MPs1と長辺MPs2の離間距離(幅W1)は、配線11Aの延在部11L1の幅W2より長い。言い換えれば、導体パターンMPcは、配線11Aよりも幅が広い。これにより、導体パターンMPcに付与される抵抗成分とインダクタンス成分を低減できる。
【0047】
一方、配線11Aは、
図2に示す抵抗AR1とインダクタAL1の機能を兼ねるので、
図4に示す延在部11L1は縦横比が大きい、細長い形状が好ましい。
図4に示す例では、X方向における配線11Aの延在部11L1の長さLE1は、長辺MPs1と長辺MPs2の離間距離(幅W1)より長い。
図4において、配線11Aの全体の長さは、例えば5mmである。一方、配線11Aの延在部11L1の幅(Y方向の長さ)は、0.4mmである。したがって、配線11Aの長さは、配線11Aの延在部11L1の幅に対して10倍以上になっている。
【0048】
また、
図4に示すように、平面視において、導体パターンMPcは、配線11と重畳している。詳しくは、配線11Aは、X方向に沿って延びる延在部11L1と、ビア配線VWA(
図3参照)に接続されるビアランド部11VPと、を有している。平面視において、導体パターンMPcは、配線11Aの延在部11L1と重畳している。このように配線11Aの延在部11L1と導体パターンMPcが重畳している場合、配線層WL2に導体パターンMPc以外の導体パターンを形成する際に、そのレイアウトの自由度が向上する。
【0049】
ところで、
図4に示すように、平面視において、導体パターンMPcは、基板端子12Pおよび基板端子12Pに接続される配線11Pと重畳している。基板端子12Pは、上記したように、
図1に示す増幅回路OP1に、ハイサイド電位(例えば正電位)を供給する伝送経路を構成する。このため、導体パターンMPcと配線層WL1(後述する
図6参照)の間に、他の導体パターンが介在していない場合、基板端子12Pおよび配線11Pに供給される電位が導体パターンMPcに電磁的な影響を与える場合がある。
【0050】
しかし、本実施の形態の場合、
図3に示すように、導体パターンMPcと配線層WL1の間に、固定電位が供給される導体パターンMPgが介在している。この場合、導体パターンMPgが導体パターンMPcに向かう電磁波を低減するシールド導体層として機能する。導体パターンMPgをシールド導体層として機能させる場合には、本実施の形態のように、導体パターンMPgに供給される電位は接地電位であることが特に好ましい。
【0051】
配線層WL1と配線層WL3との間にシールド導体層としての導体パターンMPgが介在している場合、導体パターンMPcの平面形状の自由度は向上する。例えば、
図4に示すように、導体パターンMPcの平面形状が四角形である場合、
図2に示すキャパシタAC1の容量の設計が容易である。
図4に示す例の場合、平面視において、導体パターンMPcは、基板端子12Pおよび基板端子12Pに接続される配線11Pと重畳している。しかし、基板端子12および配線11Pと、導体パターンMPcの間には、
図3に示す導体パターンMPgが介在している。したがって、基板端子12および配線11Pが導体パターンMPcに及ぼす電磁的な影響は大幅に低減される。
【0052】
また、本実施の形態のように配線11Aと導体パターンMPgとが絶縁層14Aを介して互いに対向して配置されている場合、配線11Aと導体パターンMPgとの間に容量が形成される。上記したように、配線11Aにより形成される容量の値はそれ程大きくはないが、本実施の形態のように、導体パターンMPcによる容量が形成され、さらに配線11Aによる容量が形成されている場合には、容量値の微調整が容易である。
【0053】
また、配線層WL1と配線層WL3との間にシールド導体層としての導体パターンMPgが介在している場合、
図5に示す電子装置EDV2のような変形例も考えられる。
図5は、
図4に対する変形例を示す重ね合わせ平面図である。電子装置EDV2は、平面視において、導体パターンMPcが基板端子12Bおよび配線11Bと重畳している点で、
図4に示す電子装置EDV1と相違する。
【0054】
基板端子12Bおよび配線11Bは、
図1に示す増幅回路OP1の反転入力端子に接続される、入力信号の伝送経路を構成している。このため、基板端子12Bには、非反転入力端子に接続される基板端子12Aおよび配線11Aとは、異なる信号電流が流れる。電子装置EDV2の場合、
図3に示す電子装置EDV1と同様に、配線層WL2には、導体パターンMPgが配置され、導体パターンMPcは配線層WL3に配置されている。したがって、
図5に示す導体パターンMPcと基板端子12Bとの間には、
図3に示す導体パターンMPgが介在している。これにより、
図5に示すように平面視において、導体パターンMPcが基板端子12Bと重畳している場合でも、導体パターンMPcと基板端子12Bとの相互の電磁的な影響を低減できる。このように、導体パターンMPcが配置される配線層WL3と配線11Aが配置される配線層WL1の間に、導体パターンMPgが配置される配線層WL2が設けられている場合、
図1に示す配線11や導体パターンMPcのレイアウトの自由度が向上する。
【0055】
また、電子装置EDV1に対する他の変形例として、
図6および
図7に示す電子装置EDV3のような構成を例示できる。
図6は、
図3に対する変形例である電子装置の拡大断面図である。
図7は、
図6に示す電子装置において、
図4に対する変形例を示す重ね合わせ平面図である。
【0056】
図6に示す電子装置EDV3は、導体パターンMPcが、導体パターンMPgと配線11Aとの間に配置されている点で、
図3に示す電子装置EDV1と相違する。また、電子装置EDV3は、
図7に示すように、平面視において、基板端子12Pと導体パターンMPcとが重畳していない点で、
図4に示す電子装置EDV1と相違する。また、
図4に示す電子装置EDV1の場合、導体パターンMPcの平面形状が長方形であるが、導体パターンMPcの平面形状には種々の変形例がある。例えば、
図7に示す電子装置EDV3が備える導体パターンMPcの場合、短辺MPs3の反対側に、短辺MPs4および短辺MPs5を備えている、また、X方向において短辺MPs4と短辺MPs5の間で、かつ、Y方向において長辺MPs1と長辺MPs2の間に位置する辺MPs6を有している。
図7に示す導体パターンMPcは、平面視において、基板端子12Pと重畳しない。また、X方向において、配線11Aは、基板端子12Aから
図6に示す基板端子13Aに向かって延びている。一方、配線11Pは、X方向において、基板端子12Pから配線11Aとは反対方向(言い換えれば
図6に示す基板端子13Aから離れる方向)に向かって延びている。電子装置EDV3の場合、上記のような導体パターンのレイアウトになっているので、導体パターンMPcは、平面視において基板端子12Pに接続される配線11Pと重畳しない。
【0057】
基板端子12Pは、上記したように、
図1に示す増幅回路OP1に、ハイサイド電位(例えば正電位)を供給する伝送経路を構成する。電源用の基板端子12Pの場合、信号用の基板端子12B(
図1参照)と比較すると、導体パターンMPcと重畳している場合でも、電磁的な影響は相対的に小さい。したがって、電子装置EDV3の変形例として、
図4に示す電子装置EDV1と同様に、平面視において、基板端子12Pおよび配線11Pが導体パターンMPcと重畳していても良い。ただし、基板端子12Pおよび配線11Pに供給される電位が導体パターンMPcに与える影響をさらに低減する観点からは、
図7に示すように、基板端子12Pおよび配線11Pが平面視において導体パターンMPcと重畳しないことが好ましい。
【0058】
また、
図3に示すように、電子装置EDV1の場合、ビア配線VWAが、配線基板10をその厚さ方向(
図3に示すZ方向)に貫通している。一方、
図6に示す電子装置EDV3の場合、ビア配線VWAが配線基板10を貫通せず、配線層WL2と配線層WL1の間に配置されている。
【0059】
図3に示すように、配線基板10を厚さ方向に貫通するビア配線VWAは、配線基板10の各配線層を積層した後、配線基板10を厚さ方向に貫通する貫通孔を形成し、その貫通孔に導体材料を埋め込むことにより形成される。一方、
図6に示すように配線基板10を貫通しないビア配線VWAは、例えばビルドアップ工法により、形成される。
【0060】
図3に示すように配線基板10を厚さ方向に貫通するビア配線VWAの場合、ビア配線VWAの下端部(配線層WL3と配線層WL4の間の部分)が、スタブとして機能する場合がある。つまり、ビア配線VWAの下端部の長さによっては、ビア配線VWAのスタブ共振により、特定の周波数帯の信号の伝送が阻害される。
図2に示すように、ローパスフィルタが挿入された伝送経路では特に問題にならない場合が多い。しかし、信号の周波数が比較的高い場合には、必要な信号の伝送が阻害されることを抑制する観点から、
図6に示すように配線基板10を貫通しないビア配線VWAを用いることが好ましい。一方、製造の容易さの観点からは、
図3に示すように配線基板10を貫通するビア配線VWAの方が容易に形成できる。
【0061】
以下、本明細書において、種々のビア配線VWについて説明するが、ビア配線VWの形状は、
図3に示すビア配線VWAのように、配線基板10を貫通しても良いし、
図6に示すビア配線VWAのように、配線基板10を貫通しなくても良い。ただし、実施の形態4として後述するバンドパスフィルタやハイパスフィルタを構成するビア配線VWの場合、ビア配線VWがスタブとして機能する場合がある。例えば、
図3に示すビア配線VWAのうち、配線層WL3から配線層WL4までの部分の長さが、通過させたい周波数の1/4波長の長さであると、共振によりその周波数帯が通過し難くなる。バンドパスフィルタやハイパスフィルタを接続する場合には、高周波の信号を伝送する場合に用いられるので、スタブ共振が発生する可能性がある。このため、バンドパスフィルタやハイパスフィルタを構成するビア配線VWの場合、
図6に示すビア配線VWAのように、配線基板10を貫通しない方が好ましい。
【0062】
また、
図1では、信号の入力経路の一つである配線11Aと導体パターンMPcとを電気的に接続する実施態様について説明した。しかし、変形例として、
図8に示す電子装置EDV4のように、信号の入力経路である配線11Aおよび配線11Bのそれぞれが互いに分離された導体パターンMPcに接続されていても良い。
図8は、
図4に対する他の変形例を示す重ね合わせ平面図である。
【0063】
図8に示す電子装置EDV4の場合、増幅回路OP1(
図1参照)の非反転入力端子に接続される配線11Aは、ビア配線VWAを介して導体パターンMPc1と電気的に接続されている。また、増幅回路OP1の反転入力端子に接続される配線11Bは、ビア配線VWBを介して導体パターンMPc2と電気的に接続されている。導体パターンMPc1およびMPc2は、互いに分離され、例えば
図3に示す配線層WL2に形成されている。また、配線層WL2には、
図3に示す電子装置EDV1と同様に導体パターンMPgが形成されている。導体パターンMPc1およびMPc2のそれぞれは、絶縁層14Cを介して導体パターンMPgと対向している。導体パターンMPc1は、増幅回路OP1の非反転入力端子に接続される伝送経路において、
図2に示すノイズフィルタNF1のキャパシタAC1の一部分を構成する。また、導体パターンMPc2は、増幅回路OP1の反転入力端子に接続される伝送経路において、ノイズフィルタ(ローパスフィルタ)のキャパシタの一部分を構成する。
【0064】
電子装置EDV4の場合、増幅回路に入力される信号の入力経路のそれぞれにノイズフィルタを設けることで、各伝送経路のノイズ影響を低減できる。電子装置EDV4のような構成は、反転入力端子と、非反転入力端子にそれぞれ独立した信号が入力され、二つの入力信号の差を、差動利得に応じて増幅する差動増幅回路に適用して特に有効である。
【0065】
(実施の形態2)
上記実施の形態1では、EMS対策の例として、センサからの出力信号のノイズを増幅回路に入力される前にフィルタするローパスフィルタを接続した実施態様を取り上げて説明した。本実施の形態2では、EMI対策の例(およびEMS対策の他の例)として、増幅回路などのアナログ回路から出力されたアナログ信号が、他の電子部品のアナログ回路に入力される前にフィルタするノイズフィルタを接続した実施態様を取り上げて説明する。なお、以下で説明するノイズフィルタは、
図9に示す増幅回路OP1を備える半導体装置20にとっては、EMI対策の実施態様になるが、AD変換回路(アナログデジタル変換回路、ADコンバータ)ADC1を備える半導体装置50にとっては、EMS対策になる。
図9は、
図1に対する変形例である電子装置の構成例を示す拡大平面図である。
図10は、
図9に示す増幅回路とアナログ変換回路を電気的に接続する経路の等価回路図である。以下の説明では、上記実施の形態1で既に説明した技術と同様な部分の説明は原則として重複説明を省略する。ただし、上記実施の形態1で既に説明した技術と同様な部分に関し、上記実施の形態で説明した図面を参照して説明する場合がある。
【0066】
図9では、配線11が形成された配線層とは異なる配線層に形成された、導体パターンMPc、導体パターンMPg、および層間導電路であるビア配線VWのそれぞれを点線で示している。同様に、
図9では、半導体装置20に内蔵される半導体チップ21を点線で示している。
図9では、複数の基板端子12および複数の基板端子15に接続される配線のうちの一部を示し、他の一部は図示を省略している。また、
図9では、半導体装置20が備える増幅回路OP1の回路図、および半導体装置50が備えるAD変換回路ADC1を二点鎖線で模式的に示している。
【0067】
図9および
図10に示す電子装置EDV5は、配線11Tを介して電気的に接続される半導体装置20および半導体装置(電子部品)50を有している。配線11Tは、増幅回路OP1の出力端子に接続されている。また、半導体装置50は、AD変換回路ADC1を備え、AD変換回路ADC1は、端子(リード)51Tおよび基板端子15Tを介して配線11Tと電気的に接続されている。AD変換回路ADC1は、アナログ信号をデジタル信号に変換する回路である。
【0068】
図10に示すように、電子装置EDV5の場合、半導体装置20の出力端子である端子22Tから出力されたアナログ信号は、配線11T、基板端子15T、および端子51Tを介して半導体装置50のAD変換回路ADC1に入力される。また、電子装置EDV5の場合、基板端子15Tと基板端子12Tとを電気的に接続する伝送経路中に、ノイズフィルタNF2が接続されている。
図10に示す例では、ノイズフィルタNF2は、抵抗AR2、インダクタAL2、およびキャパシタAC2を備えるローパスフィルタである。
【0069】
半導体装置20の出力端子(端子22T)の先にノイズフィルタNF2を接続することにより、アナログ信号の伝送経路(配線11T等)のノイズ成分が他の回路に与える影響を低減できる。また、アナログ回路を含んでいるAD変換回路ADC1の入力端子(端子51T)の前にノイズフィルタNF2を接続することにより、AD変換回路ADC1への入力信号に含まれるノイズを低減できる。
【0070】
図10に示す、抵抗AR2、インダクタAL2、およびキャパシタAC2のそれぞれは、
図2を用いて説明したノイズフィルタNF1と同様に、電子装置EDV5が有する配線基板10の導体パターンにより形成されている。すなわち、
図9に示す配線11Tの延在部11L2は、
図10に示すノイズフィルタNF2を構成する抵抗AR2、インダクタAL2、およびキャパシタAC2のうち、抵抗AR2、インダクタAL2の部分を構成する。また、
図9に示す導体パターンMPcと導体パターンMPgとが互いに対向する部分は、
図10に示すキャパシタAC2を構成する。なお、図示は省略するが、導体パターンMPcは、
図3に示す電子装置EDV1と同様に、配線層WL3に形成されている。また、導体パターンMPgは、
図3に示す配線層WL2に形成されている。また、電子装置EDV5に対する変形例として、
図6に示す電子装置EDV3と同様に、導体パターンMPcが配線層WL2に形成され、導体パターンMPgが配線層WL3に形成されていても良い。
【0071】
ここで、電子装置EDV5の場合、ノイズフィルタNF2を構成する配線11Tに流れる信号は、端子22Tを介して増幅回路OP1から出力され、かつ、半導体装置50のAD変換回路ADC1に入力される信号である。このように、出力信号の伝送経路にローパスフィルタを接続する場合には、
図10に示すように、キャパシタAC2と出力端子である基板端子12Tとの間に抵抗AR2およびインダクタAL2が接続される。したがって、電子装置EDV5の場合、以下のようなレイアウトになっている。すなわち、
図9に示すように、配線11Tは、Y方向に沿って延びる延在部11L2と、ビア配線VWTに接続されるビアランド部11VPとを有している。延在部11L2は、平面視において、ビアランド部11VPと端子22T(基板端子12T)との間にある。
【0072】
また、電子装置EDV5の構成は以下のように表現することもできる。すなわち、平面視において、端子22T(基板端子12T)とビアランド部11VPの離間距離は、半導体装置50とビアランド部11VPの離間距離より長い。
【0073】
なお、ノイズフィルタの一部分を構成する配線11は、
図1に示す配線11Aのように一方向に直線的に配置できれば、設計が容易である点で好ましい。しかし、レイアウト上の制約等により、
図9に示す配線11Tのように、配線経路の途中で曲がっていても良い。例えば
図9に示す配線11Tは、Y方向に延びる延在部11L2と、Y方向に交差するX方向に延びる延在部11L3と、を有している。この場合、上記した端子22T(基板端子12T)とビアランド部11VPの離間距離は、配線11Tの配線経路における離間距離、すなわち、延在部11L2の延在距離と延在部11L3の延在距離を合計した値である。また、上記した「平面視において、延在部11L2が、ビアランド部11VPと端子22T(基板端子12T)との間にある。」という表現は、「配線11Tの配線経路において、延在部11L2が、ビアランド部11VPと端子22T(基板端子12T)との間にある。」という意味である。
【0074】
図9および
図10に示す電子装置EDV5は、上記した点を除き、
図1〜
図3に示す電子装置EDV1と同様である。したがって、重複する説明は省略する。また、本実施の形態2の電子装置EDV5において、上記実施の形態1で説明した各変形例を組み合わせて適用しても良い。
【0075】
(実施の形態3)
上記実施の形態1や上記実施の形態2では、EMI対策やEMS対策の例として、信号伝送経路にノイズフィルタを接続することにより、信号伝送経路のノイズ対策を行う方法について主に説明した。EMS対策やEMI対策などのノイズ対策は、信号伝送経路の他、電源電位などの電力供給経路に対して有効な場合がある。本実施の形態3では、電力供給経路にノイズフィルタを接続することにより、EMS対策やEMI対策を行う実施態様について説明する。
【0076】
図11は、パワー系の半導体部品のEMI対策を施した電子装置の構成例を示す拡大平面図である。
図12は、
図11に示す増幅回路を備える半導体部品と、上記半導体部品に電力を供給するパワー半導体部品とを電気的に接続する経路の等価回路図である。
図13は、
図11に示すA−A線に沿った拡大断面図である。
【0077】
図11に示す電子装置EDV6は、半導体装置20と、半導体装置20に電源電位を供給する半導体装置(半導体部品、電子部品)60と、半導体装置20および半導体装置60が搭載される配線基板10と、を有する。半導体装置60は、電力変換回路であるインバータINVを備えている。インバータINVでは、外部から入力された電力に処理を施し、処理後の電力を出力する。上記した処理の一例としては、外部から供給された電位を昇圧、あるいは降圧して、入力電位とは異なる電位を出力する処理が挙げられる。また、上記した処理の他の一例としては、入力された直流電源を交流電源に変換して出力する処理が挙げられる。半導体装置60は、電子装置EDV6が有する電子部品に供給される電力を制御する、パワーマネジメント用の半導体装置である。
【0078】
図11では、半導体装置60が備える複数の端子(リード)61のうち、処理後の電位を出力する出力端子である端子(リード)61Pを示している。端子61Pは、半導体装置60の内部でインバータINVと電気的に接続されている。
【0079】
半導体装置60のようなパワー系の半導体装置の出力端子に接続される伝送経路(電力伝送経路)は、上記実施の形態1や実施の形態2で説明した信号伝送経路と比較して流れる電流量が多い。このため、電力伝送経路にノイズが含まれている場合、電力伝送経路の周辺の回路に電磁的な影響を与えやすい。したがって、電子装置EDV6では、半導体装置60の出力端子である端子61Pに接続される電力伝送経路にノイズフィルタNF3(
図12参照)を接続し、電力伝送経路に含まれるノイズを低減している。
【0080】
図12に示す例では、ノイズフィルタNF3は、
図2に示すノイズフィルタNF1や
図10に示すノイズフィルタNF2と同様に、抵抗AR3、インダクタAL3、およびキャパシタAC3を備えるローパスフィルタである。したがって、
図12に示す例では、配線11Pに流れる電流に含まれる高周波ノイズが低減される。
【0081】
ローパスフィルタの場合、電力が消費される半導体装置20の近傍にキャパシタAC3(
図12参照)が接続される。このため、チップ部品であるコンデンサチップを、キャパシタAC3として半導体装置20の近傍に搭載した場合、半導体装置20に接続される信号配線(例えば、
図12に示す基板端子12Aや基板端子12Tなどに接続される配線)に電磁的な影響を及ぼす場合がある。そこで、電子装置EDV6の場合、
図12に示すノイズフィルタNF3を構成する、抵抗AR3、インダクタAL3、およびキャパシタAC3のそれぞれは、配線基板10が備える導体パターンにより形成されている。
【0082】
図11および
図13に示すように、配線基板10は、端子61Pに接続される基板端子16Pと、配線層WL1(
図13参照)に形成され、基板端子16Pに接続される配線11Pと、を備える。また、配線基板10は、配線層WL1とは異なる配線層WL3(
図13参照)に形成され、ビア配線VWPを介して配線11Pと電気的に接続されている導体パターンMPcと、配線層WL1およびWL3とは異なる配線層WL2(
図13参照)に形成され、固定電位(例えば接地電位)が供給される導体パターンMPgと、を備える。また、導体パターンMPcと導体パターンMPgとは絶縁層14C(
図13参照)を介して互いに対向している。また、導体パターンMPcと導体パターンMPgが互いに対向する領域の面積は、配線11Pの面積より大きい。配線11PはY方向に沿って延びる延在部11L4と、ビア配線VWPに接続されるビアランド部11VPと、を有している。延在部11L4は、平面視において、ビアランド部11VPと基板端子16Pとの間にある。
【0083】
電子装置EDV6の場合、電力伝送経路にノイズフィルタNF3を接続することにより、電力伝送経路におけるノイズを低減できる。このため、半導体装置20の周辺回路に、電力伝送経路中のノイズに起因する電磁的な影響が及ぶことを抑制できる。また、ノイズフィルタNF3を構成する抵抗AR3、インダクタAL3、およびキャパシタAC3のそれぞれは、配線基板10が備える導体パターンにより形成されている。これにより、ノイズフィルタNF3の影響により、周辺回路に予期しない電磁的影響が及ぶことを抑制できる。
【0084】
なお、上記実施の形態2で形成した電子装置EDV5(
図9参照)と同様に、電子装置EDV6が備えるノイズフィルタNF3(
図12参照)の一部分を構成する配線11Pは、配線経路の途中で屈曲している。配線11Pは、Y方向に延びる延在部11L4と、Y方向に交差するX方向に延びる延在部11L5と、を有している。延在部11L5は、ビアランド部11VPと基板端子12Pの間にある。出力端子に接続するローパスフィルタの場合、出力端子とキャパシタの間に抵抗およびインダクタが接続される。
図12に示す抵抗AR3およびインダクタAL3の値は、延在部11L4の延在距離により規定される。このため、延在部11L4の長さがある程度長い方が、抵抗AR3およびインダクタAL3の値を制御し易い。一方、延在部11L5の長さが長い場合、ノイズフィルタNF3を通過した後に、新たにノイズが混入するリスクが大きくなる。したがって延在部11L5の長さは、短い方が良い。このため、本実施の形態では
図11に示すように、延在部11L4の長さは延在部11L5の長さより長い。
【0085】
上記した延在部11L4と延在部11L5の関係は、
図9に示す延在部11L2と延在部11L3の関係にも当てはまる。
【0086】
図11〜
図13に示す電子装置EDV6は、上記した点を除き、
図9および
図10を用いて説明した電子装置EDV5と同様である。したがって、重複する説明は省略する。また、本実施の形態3の電子装置EDV6において、上記実施の形態1で説明した各変形例を組み合わせて適用しても良い。
【0087】
次に、本実施の形態3では、電力供給経路にノイズフィルタを接続することにより、EMS対策を行う実施態様について説明する。
図14は、コネクタと、コネクタに接続される半導体部品を有する電子装置の構成例を示す拡大平面図である。
図15は、
図14に示すA−A線に沿った拡大断面図である。
図16は、
図14の反対側の下面に搭載されたコンデンサ周辺の拡大平面図である。
図17は、
図16のA−A線に沿った拡大断面図である。また、
図18は、
図14に示す電子装置の等価回路図である。
【0088】
図14〜
図18に示す電子装置EDV7は、電力が供給される回路72(
図14参照)を有する半導体装置70と、外部から供給された電源電位および接地電位を半導体装置70に中継するコネクタ80を有している。
【0089】
半導体装置(半導体部品、電子部品)70が備える回路72は、電源電位と接地電位が供給される回路であれば、特に回路の種類は限定されない。例えば演算処理回路など、電力を消費してデータ処理を行う論理回路であっても良いし、電源のバッファ回路などでも良い。半導体装置70は、回路72に接続される複数の端子(リード)71を備えている。
図14では、複数の端子71のうち、電源電位の入力端子である71Dおよび接地電位の入力端子である端子(リード)71Gを図示している。
【0090】
また、コネクタ(電子部品)80は、電子装置EDV7と外部の機器とを電気的に接続する中継部品(外部接続部品)である。
図18では、コネクタ80が外部電源PSに接続される例を示している。また、コネクタ80は、複数の端子(リード)81を備えている。
図14では、コネクタ80が備える複数の端子81のうち、電源電位の出力端子である端子(リード)81Dおよび接地電位の出力端子である端子(リード)81Gを示している。
【0091】
また、半導体装置70およびコネクタ80は、配線基板10に搭載され、互いに電気的に接続されている。電子装置EDV7の配線基板10は、上面(面、主面、表面)10tと、上面10tの反対に位置する下面(面、主面、裏面)10bを有している。半導体装置70およびコネクタ80のそれぞれは、上面10t上に搭載されている。半導体装置70とコネクタ80は、配線層WL1(
図15参照)に形成された配線11を介して互いに電気的に接続されている。詳しくは、電源電位の供給経路を構成する半導体装置70の端子71Dとコネクタ80の端子81Dは、基板端子17D、配線11D、および基板端子18Dを介して互いに電気的に接続されている。また、接地電位の供給経路を構成する半導体装置70の端子71Gとコネクタ80の端子81Gは、基板端子17G、配線11G、および基板端子18Gを介して互いに電気的に接続されている。
【0092】
また、半導体装置70は、配線基板10に搭載されたコンデンサ(コンデンサ部品、チップコンデンサ)90を有している。
図15に示す例では、コンデンサ90は、配線基板10の下面10bに搭載されている。
図16に示すように、コンデンサ90は、平面視において四角形を成す。また、コンデンサ90は、二つの長辺(長側面)と、二つの短辺(短側面)と、を有する。また、コンデンサ90は、互いに反対側の端部に設けられた電極91Dおよび電極91Gを有する。本実施の形態の例では、二つの電極91(
図17参照)は、コンデンサ90の長辺の延在方向において、互いに反対側の端部に位置している。また、コンデンサ90は、電極91Dと電極91Gの間に挟まれる本体部92を有している。例えば
図17に示すように、本体部は、絶縁層(誘電体層)93を介して積層される、複数の導体板94を有し、複数の導体板94のそれぞれは、電極91Dおよび電極91Gのうちの一方に接続されている。電極91Dおよび電極91Gは、対向配置される複数の導体板間に形成された容量を外部に取り出すための外部電極端子として機能する。
【0093】
図17に示す構造のコンデンサ90は、セラミック製の絶縁層93が用いられることが多く、セラミックコンデンサと呼ばれる。また、
図17に示すようにコンデンサ90は、配線基板10の表面上に実装することができる、表面実装型の電子部品である。表面実装型の電子部品は、チップ部品(コンデンサ90の場合はチップコンデンサ)とも呼ばれる。
【0094】
コンデンサ90は、半導体装置70に電源電位を供給する経路と、半導体装置70に接地電位を供給する経路に並列に接続されている。言い換えれば、半導体装置70に駆動電圧を供給する経路には、並列でコンデンサ90(
図15〜
図18参照)が接続される。詳しくは、コンデンサ90の電極91Dは、配線層WL4(
図15参照)に形成された基板端子19D、ビアランド部VP3、配線基板10を厚さ方向に貫通するビア配線VWD2、およびビアランド部11VP2を介して基板端子17Dと電気的に接続されている。また、コンデンサ90の電極91Gは、配線層WL4(
図15参照)に形成された基板端子19Gおよび配線基板10を厚さ方向に貫通するビア配線VWG(
図14、
図16、および
図18参照)を介して基板端子17Gと電気的に接続されている。半導体装置70に駆動電圧を供給する経路には、並列でコンデンサ90が接続されている場合、半導体装置70における瞬間的な電力消費量の増大に伴い、電圧降下等が発生することを抑制することができる。すなわち、コンデンサ90はバイパスコンデンサとして動作する。電力が消費される回路72(
図18参照)の近傍にバイパスコンデンサを接続することにより、回路72を安定的に動作させることができるので、電子装置EDV7の信頼性を向上させることができる。
【0095】
ところが、駆動電圧の供給経路に高周波ノイズが混入すると、バイパスコンデンサであるコンデンサ90が正しく動作しない場合がある。
【0096】
そこで、電子装置EDV7では半導体装置70に駆動電圧を供給する二つの伝送経路のうち、相対的に電位が高い電源電位が供給される経路中にローパスフィルタであるノイズフィルタNF4(
図18参照)が接続されている。これにより、配線11Dに接続される伝送経路において、高周波ノイズを低減することができる。また、配線11Gには、接地電位が供給されている。このため、配線11Gを含む伝送経路には、高周波ノイズは混入し難い。したがって、電子装置EDV7の場合、配線11DにノイズフィルタNF4が接続されていることにより、半導体装置70の駆動電圧を供給する経路における高周波ノイズを低減し、バイパスコンデンサであるコンデンサ90を正しく動作させることができる。
【0097】
また、
図18に示す電子装置EDV7が有するノイズフィルタNF4は、配線基板10が備える導体パターンにより形成されている。
【0098】
図14に示すように、配線基板10は、端子81Dに接続される基板端子18Dと、配線層WL1(
図15参照)に形成され、基板端子18Dに接続される配線11Dと、を備える。また、配線基板10は、配線層WL1とは異なる配線層WL3(
図15参照)に形成され、ビア配線VWDを介して配線11Dと電気的に接続されている導体パターンMPcと、配線層WL1およびWL3とは異なる配線層WL2(
図15参照)に形成され、固定電位(例えば接地電位)が供給される導体パターンMPgと、を備える。また、導体パターンMPcと導体パターンMPgとは絶縁層14C(
図15参照)を介して互いに対向している。また、導体パターンMPcと導体パターンMPgが互いに対向する領域の面積は、配線11Dの面積より大きい。配線11DはY方向に沿って延びる延在部11L6と、ビア配線VWD1に接続されるビアランド部11VP1と、を有している。平面視において、延在部11L6は、ビアランド部11VP1と基板端子18Dとの間にあり、かつ、ビアランド部11VP1は、コンデンサ90(
図15参照)の電極91Dと配線11Dの延在部11L6の間にある。
【0099】
また、
図15に示す導体パターンMPcおよびビア配線VWD2のそれぞれは配線11Dに接続されている。このため、導体パターンMPcとビア配線MWD2が接触していても良い。ただし、
図15に示す例では、ビア配線VWD2は、導体パターンMPcとは接触していない。これにより、基板端子17Dを基準として、ノイズフィルタNF4(
図18参照)に接続される経路と、バイパスコンデンサであるコンデンサ90に接続される経路とを区別することができるので、お互いの動作に対する相互干渉を抑制することができる。また、コンデンサ90とノイズフィルタNF4との干渉を抑制する観点からは、
図15に示すように、導体パターンMPcとコンデンサ90とが重畳していないことが好ましい。
【0100】
また、バイパスコンデンサであるコンデンサ90に接続される経路を短くする観点から、
図15に示すように、端子71Dからビア配線VWD2に接続される配線経路の経路距離は、端子71Dからビア配線VWD1に接続される配線経路の経路距離と同等あるいはそれより短いことが好ましい。
【0101】
電子装置EDV7の場合、電力伝送経路にローパスフィルタであるノイズフィルタNF4を接続することにより、電力伝送経路における高周波ノイズを低減できる。このため、バイパスコンデンサ90を正しく動作させることができる。また、ノイズフィルタNF4を構成する抵抗AR4、インダクタAL4、およびキャパシタAC4のそれぞれは、配線基板10が備える導体パターンにより形成されている。これにより、ノイズフィルタNF4の影響により、周辺回路に予期しない電磁的影響が及ぶことを抑制できる。
【0102】
なお、電子装置EDV7にも種々の変形例がある。例えば、
図15では、コンデンサ90が配線基板10の下面10bに搭載された例を示したが、上面10t上にコンデンサ90が搭載されていても良い。この場合、コンデンサ90の電極91Dに接続される基板端子19Dは、平面視において、基板端子17Dとビア配線VWD1(ビアランド部11VP1)との間に配置される。この変形例の場合、コンデンサ90と回路72(
図18参照)との経路距離を
図15に示す例よりも近づけることができる。ただし、チップコンデンサと半導体装置70との距離が近づくことにより、部品同士の予期しない電磁的干渉が生じる懸念がある。したがって、部品間の干渉を抑制する観点からは、
図15に示すように、コンデンサ90は、配線基板10の下面10bに搭載されていることが好ましい。
【0103】
また例えば、本実施の形態3では、コンデンサ部品の例として、
図17に示すように互いに反対側の端部に設けられた電極91Dおよび電極91Gを有するセラミックコンデンサであるコンデンサ90を用いる例を示している。しかし、変形例として、電解コンデンサを利用しても良い。
【0104】
また、上記実施の形態2で形成した電子装置EDV5(
図9参照)と同様に、電子装置EDV7が備えるノイズフィルタNF4(
図18参照)の一部分を構成する配線11Dが、配線経路の途中で屈曲していても良い。この場合、配線11Dが互いに交差する複数の方向に延びる複数の延在部を備えている場合、延在部11L6の長さが最も長いことが好ましい。
【0105】
図14〜
図18に示す電子装置EDV7は、上記した点を除き、
図9および
図10を用いて説明した電子装置EDV5と同様である。したがって、重複する説明は省略する。また、本実施の形態3の電子装置EDV7において、上記実施の形態1で説明した各変形例を組み合わせて適用しても良い。
【0106】
(実施の形態4)
例えば、上記実施の形態1〜上記実施の形態3では、ノイズフィルタの例として、抵抗、インダクタ、およびキャパシタからなるローパスフィルタを例示的に取り上げて説明した。しかし、ノイズフィルタには、主に高周波ノイズの通過を阻害するローパスフィルタの他、主に低周波ノイズの通過を阻害するハイパスフィルタや、通過させたい周波数帯以外の高周波ノイズおよび低周波ノイズの通過を阻害するバンドパスフィルタなどもある。本実施の形態では、ローパスフィルタの変形例として、バンドパスフィルタおよびハイパスフィルタの一部分が配線基板の導体パターンにより形成された実施態様について説明する。
【0107】
図19は、送信回路と受信回路の間にバンドパスフィルタを接続した電子装置の構成例を示す拡大平面図である。
図20は、
図19に示す電子装置の等価回路図である。
図21は、
図19に示すA−A線に沿った拡大断面図である。
図19は平面図であるが、導体パターンMPrと導体パターンMPtとが互いに対向する領域OWRにハッチングを付している。また、
図21では、別の断面に存在し、導体パターンMPG1と導体パターンMPG2とを電気的に接続するビア配線VWGを二点鎖線で示している。
【0108】
図19に示す電子装置EDV8は、受信回路102(
図20参照)を備える半導体装置(半導体部品、電子部品)100と、送信回路202(
図20参照)を備える半導体装置(半導体部品、電子部品)200と、半導体装置100および200が搭載される配線基板10と、を備えている。電子装置EDV8は、
図20に示す送信回路202と受信回路102との間で、例えば5GHz程度の高周波信号を伝送する、高周波通信回路を備えている。
【0109】
高周波信号を伝送する場合、通信に使用する周波数帯以外の周波数帯のノイズを低減させることが好ましい。この場合、送信回路202と受信回路102の間の伝送経路に、バンドパスフィルタを接続することにより、所定の周波数帯以外のノイズを低減することができる。また、後述するように、送信回路202と受信回路102の間の伝送経路に、ハイパスフィルタを接続することにより、所定の周波数帯より低い周波数のノイズを低減させる場合もある。
【0110】
バンドパスフィルタやハイパスフィルタの場合、
図20に示すように、キャパシタAC5が、伝送経路中に直列で接続されている点で
図2などに示すローパスフィルタと相違する。キャパシタAC5の一方の電極(
図21に示す導体パターンMPt)は、送信回路202に接続されている。また、キャパシタAC5の他方の電極(
図21に示す導体パターンMPr)は、受信回路102に接続されている。
【0111】
また、電子装置EDV8は、バンドパスフィルタであるノイズフィルタNF5の一部分が、配線基板10(
図19参照)の導体パターンにより形成されている。詳しくは、
図20に示すノイズフィルタNF5を構成するインダクタAL5、キャパシタAC5、および抵抗AR5のうち、インダクタAL5とキャパシタAC5は配線基板10の導体パターンにより形成されている。一方、抵抗AR5に関しては、チップ部品(チップ抵抗)である抵抗部品40の抵抗値が抵抗AR5の大部分を担っている。
【0112】
図19に示すように、半導体装置100は、通信信号が入力される端子(リード)101Rを備え、半導体装置200は、通信信号が出力される端子(リード)201Tを備えている。また、抵抗部品40は、互いに反対側に位置する電極40E3および40E4を備えている。半導体装置100、200、および抵抗部品40のそれぞれは配線基板10の上面10t上に搭載されている。
【0113】
また、配線基板10は、半導体装置100の端子101Rが接続される基板端子111R、および半導体装置200の端子201Tが接続される基板端子211Tを備えている。また、配線基板10は、基板端子111Rと電気的に接続される配線11Rと、基板端子211Tと電気的に接続される配線11Tを備えている。基板端子111R、211T、および配線11R,11Tのそれぞれは、配線基板10の配線層WL1(
図21参照)に形成されている。配線11Rは、ビア配線VWRに接続されるビアランド部11VP、および基板端子111Rとビアランド部11VPの間にある延在部11L7を備える。また、配線11Tは、ビア配線VWTに接続されるビアランド部11VP、および基板端子211Tとビアランド部11VPの間にある延在部11L8を備える。
【0114】
また、配線基板10は、配線層WL1とは異なる配線層WL2(
図21参照)に形成され、ビア配線VWRを介して配線11Rと電気的に接続される導体パターンMPrと、配線層WL1、WL2とは異なる配線層WL3に形成され、ビア配線VWTを介して配線11Tと電気的に接続される導体パターンMPtと、を備えている。導体パターンMPrと導体パターンMPtとは絶縁層14C(
図21参照)を介して互いに対向している。また、導体パターンMPrと導体パターンMPtが互いに対向する領域OWRの面積は、配線11Rの面積より大きい。また、領域OWRの面積は配線11Tの面積よりも大きい。この導体パターンMPrおよび導体パターンMPtが絶縁層14Cを介して互いに対向している部分が、
図20に示すキャパシタAC5を構成している。このため、平面視において、領域OWRは、ビア配線VWRとビア配線VWTの間にある。
【0115】
また、配線11Tおよびビア配線VWTが
図20に示すインダクタAL5に相当し、配線11Tおよびビア配線VWTの長さを調整することにより、
図20に示すインダクタAL5の値を調整できる。
【0116】
また、配線基板10は、配線層WL4に形成された導体パターンMPG1、および配線層WL1に形成された導体パターンMPG2を備えている。導体パターンMPG1およびMPG2には、それぞれ接地電位が供給され、導体パターンMPG1およびMPG2は、ビア配線VWGを介して電気的に接続されている。
【0117】
また、
図19に示すように、接地電位が供給される導体パターンMPG2には、複数のビア配線VWGが接続されている。ビア配線VWRの両隣、およびビア配線VWTの両隣には、それぞれビア配線VWGが配置されている。言い換えれば、ビア配線VWRは複数のビア配線VWGの間に配置されている。また、ビア配線VWTは複数のビア配線VWGの間に配置されている。このように、信号伝送経路であるビア配線VWRおよびビア配線VWTの両隣に接地電位が供給されるビア配線VWGを配置することにより、ビア配線VWRおよびビア配線VWTの信号伝送経路が、他の回路から受ける電磁的な影響を低減できる。
【0118】
また、配線11Rは、抵抗部品40の一方の電極である電極40E4に接続されている。詳しくは、配線11Rは、ビア配線VWRに接続されるビアランド部11VPと抵抗部品40の電極40E4が接続される抵抗接続部11BPとを有している。抵抗接続部11BPは、基板端子111Rとビアランド部11VPの間にある。基板端子111Rとビアランド部11VPの間にはX方向に沿って延びる延在部11L7があり、抵抗接続部11BPは延在部11L7の途中にある。電極40E4は、半田SDを介して抵抗接続部11BPに接合され、かつ、電気的に接続されている。平面視において、抵抗接続部11BPは、基板端子111Rとビア配線VWR(ビアランド部11VP)との間にある。また、抵抗部品40の他方の電極である電極40E3は、導体パターンMPG2に接続されている。
【0119】
電子装置EDV8の場合、
図20に示すノイズフィルタNF5を構成するインダクタAL5、キャパシタAC5、および抵抗AR5のうち、インダクタAL5とキャパシタAC5は配線基板10の導体パターンにより形成されている。したがって、インダクタAL5やキャパシタAC5が他の電子部品と電磁的に干渉することを抑制できる。また、電子装置EDV8の場合、抵抗AR5は、チップ部品を利用している。しかし、バンドパスフィルタの一部を構成する抵抗AR5の抵抗値は、例えば数十Ω以上であり、流れる電流が小さい。このため、ローパスフィルタに組み込まれる場合と比較して、抵抗AR5にチップ部品を用いても電磁的な影響は小さい。また、大きな抵抗の抵抗素子を導体パターンで形成する場合、導体パターンの延在距離を長くする必要があるので、配線基板10の平面積が大きくなる場合がある。したがって、電子装置EDV8の場合には、抵抗AR5としてチップ部品を利用することにより、配線基板10の平面積を低減させている。
【0120】
次に、ハイパスフィルタを備えた電子装置の構成例について説明する。
図22は、送信回路と受信回路の間にハイパスフィルタを接続した電子装置の構成例を示す拡大平面図である。
図23は、
図22に示す電子装置の等価回路図である。
図24は、
図22に示すA−A線に沿った拡大断面図である。
図22は平面図であるが、導体パターンMPrと導体パターンMPtとが互いに対向する領域OWRにハッチングを付している。また、
図24では、別の断面に存在し、導体パターンMPG1と導体パターンMPG2とを電気的に接続するビア配線VWGを二点鎖線で示している。
【0121】
図22〜
図24に示す電子装置EDV9のうち、半導体装置100や半導体装置200など、
図19〜
図21を用いて説明した電子装置EDV8と共通する部分については、重複する説明を省略する。
【0122】
ハイパスフィルタの場合も、
図23に示すように、キャパシタAC6が、伝送経路中に直列で接続されている点で、
図2などに示すローパスフィルタと相違する。キャパシタAC6の一方の電極(
図24に示す導体パターンMPt)は、送信回路202に接続されている。また、キャパシタAC6の他方の電極(
図24に示す導体パターンMPr)は、受信回路102に接続されている。
【0123】
また、電子装置EDV9は、ハイパスフィルタであるノイズフィルタNF6の一部分が、配線基板10(
図22参照)の導体パターンにより形成されている。詳しくは、
図23に示すノイズフィルタNF6を構成するインダクタAL6、キャパシタAC6、および抵抗AR6のうち、インダクタAL6とキャパシタAC6は配線基板10の導体パターンにより形成されている。一方、抵抗AR6に関しては、チップ部品(チップ抵抗)である抵抗部品40の抵抗値が抵抗AR6の大部分を担っている。
【0124】
図22に示すように、半導体装置100は、通信信号が入力される端子(リード)101Rを備え、半導体装置200は、通信信号が出力される端子(リード)201Tを備えている。また、抵抗部品40は、互いに反対側に位置する電極40E5および40E6を備えている。半導体装置100、200、および抵抗部品40のそれぞれは配線基板10の上面10t上に搭載されている。
【0125】
また、配線基板10は、半導体装置100の端子101Rが接続される基板端子111R、および半導体装置200の端子201Tが接続される基板端子211Tを備えている。また、電子装置EDV9の配線基板10は、抵抗部品40の電極40E5が接続される基板端子13R1と、抵抗部品40の電極40E6が接続されている基板端子13R2と、を備えている。また、配線基板10は、基板端子111Rと電気的に接続される配線11Rと、基板端子211Tと電気的に接続される配線11T2を備えている。また、電子装置EDV9の配線基板10は、基板端子13R1に接続される配線11T1と、配線11Rに接続される配線11Lを備えている。基板端子111R、211T、13R1、13R2、および配線11R、11T1、11T2、11Lのそれぞれは、配線基板10の配線層WL1(
図24参照)に形成されている。
【0126】
また、配線基板10は、配線層WL1とは異なる配線層WL2(
図24参照)に形成され、ビア配線VWRを介して配線11Rと電気的に接続される導体パターンMPrと、配線層WL1、WL2とは異なる配線層WL3に形成され、ビア配線VWTを介して配線11T1と電気的に接続される導体パターンMPtと、を備えている。導体パターンMPrと導体パターンMPtとは絶縁層14C(
図24参照)を介して互いに対向している。また、導体パターンMPrと導体パターンMPtが互いに対向する領域OWRの面積は、配線11Rの面積より大きい。また、領域OWRの面積は配線11T1の面積よりも大きい。この導体パターンMPrおよび導体パターンMPtが絶縁層14Cを介して互いに対向している部分が、
図23に示すキャパシタAC6を構成している。このため、平面視において、領域OWRは、ビア配線VWRとビア配線VWTの間にある。
【0127】
また、配線11Rに接続される配線11Lおよび配線11Lに接続されるビア配線VWLGが、
図23に示すインダクタAL6に相当する。配線11Rは、X方向に沿って延びる延在部11L9と、ビア配線VWRに接続されるビアランド部11VPと、を有している。平面視において、配線11Lは、基板端子111Rと、配線11Rのビアランド部11VPの間に接続され、かつ、延在部11L9より長い延在部11L10を有している。また、ビア配線VWLGは、
図24に示すビア配線VWGと同様に、配線基板10を厚さ方向に貫通する層間導電路であって、配線層WL4において、接地電位が供給される導体パターンMPG1と電気的に接続されている。ノイズフィルタNF6(
図23参照)の場合、
図22に示す配線11Lの延在部11L10の長さを調整することにより、
図23に示すインダクタAL6の値を調整できる。
【0128】
また、配線基板10は、配線層WL4に形成された導体パターンMPG1、および配線層WL1に形成された導体パターンMPG2を備えている。導体パターンMPG1およびMPG2には、それぞれ接地電位が供給され、導体パターンMPG1およびMPG2は、ビア配線VWGを介して電気的に接続されている。
【0129】
また、
図22に示すように、接地電位が供給される導体パターンMPG2には、複数のビア配線VWGが接続されている。ビア配線VWRの両隣、およびビア配線VWTの両隣には、それぞれビア配線VWGが配置されている。言い換えれば、ビア配線VWRは複数のビア配線VWGの間に配置されている。また、ビア配線VWTは複数のビア配線VWGの間に配置されている。このように、信号伝送経路であるビア配線VWRおよびビア配線VWTの両隣に接地電位が供給されるビア配線VWGを配置することにより、ビア配線VWRおよびビア配線VWTの信号伝送経路が、他の回路から受ける電磁的な影響を低減できる。
【0130】
また、
図23に示すハイパスフィルタを構成する抵抗AR6は、例えば、数十Ω以上抵抗値が必要である。このため、配線基板10の平面積を低減する観点から、電子装置EDV9では、抵抗AR6として、チップ部品である抵抗部品40を利用している。
【0131】
抵抗部品40は、電極40E5が基板端子13R1に、電極40E6が基板端子13R2に、それぞれ半田SD(
図24参照)を介して搭載されている。配線基板10の基板端子13R1は、配線11T1を介してビア配線VWTに電気的に接続されている。配線11T1は、ビア配線VWTに接続されるビアランド部11VP、およびビアランド部11VPと基板端子13R1の間にある延在部11L11を有している。また、配線基板10の基板端子13R2は、配線11T2を介して基板端子211Tと電気的に接続されている。
【0132】
本実施の形態では、ローパスフィルタの変形例として、バンドパスフィルタおよびハイパスフィルタの一部分が配線基板の導体パターンにより形成された実施態様について、それぞれ一例ずつを例示して説明した。しかし、
図19に示す電子装置EDV8や
図22に示す電子装置EDV9には種々の変形例がある。
【0133】
例えば、
図21や
図24では、導体パターンMPrが配線層WL2に形成され、導体パターンMPtが配線層WL3に形成された例について説明した。しかし、導体パターンMPrと導体パターンMPtとが絶縁層を介して互いに対向している構造であれば、これらが形成されている配線層は限定されない。例えば、導体パターンMPtが配線層WL2に形成され、導体パターンMPrが配線層WL3に形成されていても良い。
【0134】
また、例えば、本実施の形態では、
図20または
図23に示すように送信回路202と受信回路102の両方を備える電子装置EDV8、EDV9について説明したが、これらの送受信回路のうちの一方を備えた電子装置であっても良い。この場合、送信回路202を備える半導体装置200および受信回路102を備える半導体装置100のうち、いずれか一方が、例えば
図14に示すコネクタ80のような中継部品(電子部品)になっていれば良い。中継部品は、送信回路202から出力される信号、あるいは、受信回路102に入力される信号を外部機器との間で受信または送信する機能を備えている。
【0135】
さらに、上記実施の形態1〜3で説明した複数の変形例を組み合わせて適用しても良い。
【0136】
<他の変形例>
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。なお、上記実施の形態中でもいくつかの変形例について説明したが、以下では、上記実施の形態で説明した変形例以外の代表的な変形例について説明する。
【0137】
例えば、上記実施の形態1〜4では、キャパシタを構成する導体パターンの構造例として、例えば
図3に示すように、一枚の導体パターンMPcと一枚の導体パターンMPgが絶縁層14Cを介して互いに対向している構造について説明した。この場合、
図3に示すように、配線層WL1とは異なる配線層WL2および配線層WL3によりキャパシタを構成できるので、配線基板10の配線層数を低減することができる。
【0138】
しかし、配線基板10の配線層数は、4層以上であっても良い。例えば、
図25に示す電子装置EDV10が有する配線基板10Aの場合、配線層WL1〜配線層WL7なでの、7層の配線層を備えている。
図25は、
図1〜
図24を用いて説明したキャパシタの変形例を示す拡大断面図である。以下電子装置EDV10を一例として、配線層数が多い場合の変形例について説明する。
【0139】
電子装置EDV10の場合、配線層数が多いので、多数の配線層にキャパシタを構成する導体パターンMP1、MP2を配置することができる。電子装置EDV10の場合、キャパシタを構成する導体パターンMP1および導体パターンMP2が複数枚ずつ積層されている点で上記実施の形態1〜3で説明した電子装置EDV1〜EDV9と相違する。詳しくは配線基板10Aの構造は、以下のように表現できる。
【0140】
配線基板10Aは、ビア配線VW1を介して配線11W1に接続され、互いに異なる配線層に形成された複数の導体パターンMP1を備えている。また、配線基板10Aは、ビア配線VW2を介して配線11W2または導体パターンMPGに接続され、互いに異なる配線層に形成された複数の導体パターンMP2を備えている。複数の導体パターンMP1と複数の導体パターンMP2のそれぞれは、互いに異なる配線層に形成されている。また、複数の導体パターンMP1のそれぞれは、絶縁層14を介して複数の導体パターンMP2のうちのいずれかと対向している。
【0141】
複数の導体パターンMP1のそれぞれは、ビア配線VW1を介して互いに電気的に接続されている。また、複数の導体パターンMP2のそれぞれは、ビア配線VW2を介して互いに電気的に接続されている。このように、複数の導体パターンMP1と複数の導体パターンMP2が積層された構造になっている場合、各導体パターンMP1、MP2の面積は小さくてもキャパシタの容量値を大きくすることができる。このため、電子装置EDV10のように積層構造のキャパシタを備えている場合には、導体パターンMP1と導体パターンMP2が一枚ずつである場合と比較して、平面視において、キャパシタの占める面積を低減できる。この結果、配線基板10Aの平面積を低減できる。
【0142】
なお、電子装置EDV10が備えるキャパシタは、上記実施の形態で説明した電子装置EDV1〜EDV9が備えるキャパシタに置き換えて適用できる。したがって、導体パターンMP1は、上記実施の形態で説明した導体パターンMPcまたはMPrに対応している。また、導体パターンMP2は、上記実施の形態で説明した導体パターンMPgまたはMPtに対応している。また、ビア配線VW1は、上記実施の形態で説明したビア配線VWA、VWP、VWD1、またはVWRに対応している。また、ビア配線VW2は、上記実施の形態で説明したビア配線VWGまたはVWTに対応している。
【0143】
また、上記実施の形態1〜3では、導体パターンMPcが接続される配線11の大部分が平面視において導体パターンMPcと重畳している実施態様について説明した。しかし、
図19に示す例のように、導体パターンMPrと接続される配線11の大部分が平面視において導体パターンMPcと重畳していなくても良い。
【0144】
また、上記実施の形態では、例えば
図3に示すように、複数の基板端子12、13と配線11とが、それぞれ配線層WL1に形成されている例について説明した。ただし、配線11が基板端子よりも下層(下面10b側の配線層)に形成されていても良い。
【0145】
また、上記実施の形態では、一つのノイズフィルタの構造について説明した。しかし、
図8を用いて説明した電子装置EDV4のように複数の伝送経路のそれぞれにノイズフィルタが接続されていても良い。また、例えば、マルチチャンネルで動作する複数の回路(例えば増幅回路)がある場合、複数の回路の伝送経路のそれぞれにノイズフィルタを接続しても良い。この場合、レイアウトによっては、複数の導体パターンMPcが複数の配線層に形成されていても良い。
【0146】
また、例えば、上記の通り種々の変形例について説明したが、上記で説明した各変形例同士を組み合わせて適用することができる。
【0147】
また、上記実施の形態で説明した電子装置について技術的思想を抽出すれば、下記のように表現することができる。
【0148】
〔付記1〕
第1信号が入力される第1端子を備える電子部品と、
前記電子部品が搭載されている配線基板と、
前記配線基板に搭載され、互いに反対側に位置する二つの電極を備える抵抗部品と、を有し、
前記配線基板は、
前記第1端子が接続される第1基板端子と、
第2基板端子と、
第1配線層に形成され、前記第1基板端子に電気的に接続される第1配線と、
前記第1配線層に形成され、前記第2基板端子に電気的に接続される第2配線と、
前記第1配線層とは異なる第2配線層に形成され、第1ビア配線を介して前記第1配線と電気的に接続されている第1導体パターンと、
前記第1配線層および前記第2配線層とは異なる第3配線層に形成され、第2ビア配線を介して前記第2配線と電気的に接続される第2導体パターンと、を備え、
前記第1導体パターンと前記第2導体パターンとは絶縁層を介して互いに対向し、
前記第1導体パターンと前記第2導体パターンが互いに対向する第1領域の面積は、前記第1配線の面積より大きく、
前記第1配線は、前記第1ビア配線に接続される第1ビアランド部と、前記抵抗部品の前記二つの電極のうちの一方が接続される抵抗接続部と、を有し、
平面視において、前記抵抗接続部は前記第1基板端子と前記第1ビア配線との間にあり、かつ、前記第1領域は、前記第1ビア配線と前記第2ビア配線の間にある、電子装置。
【0149】
〔付記2〕
第1信号が入力される第1端子を備える電子部品と、
前記電子部品が搭載されている配線基板と、
前記配線基板に搭載され、互いに反対側に位置する第1電極および第2電極を備える抵抗部品と、を有し、
前記配線基板は、
前記第1端子が接続される第1基板端子と、
前記抵抗部品の第1電極が接続される第2基板端子と、
前記抵抗部品の第2電極が接続される第3基板端子と、
第1配線層に形成され、前記第1基板端子に電気的に接続される第1配線と、
前記第1配線層に形成され、前記第2基板端子に電気的に接続される第2配線と、
前記第1配線層に形成され、前記第1配線に接続される第3配線と、
前記第1配線層とは異なる第2配線層に形成され、第1ビア配線を介して前記第1配線と電気的に接続されている第1導体パターンと、
前記第1配線層および前記第2配線層とは異なる第3配線層に形成され、第2ビア配線を介して前記第2配線と電気的に接続される第2導体パターンと、を備え、
前記第1導体パターンと前記第2導体パターンとは絶縁層を介して互いに対向し、
前記第1導体パターンと前記第2導体パターンが互いに対向する第1領域の面積は、前記第1配線の面積より大きく、
前記第1配線は、第1方向に沿って延びる第1延在部と、前記第1ビア配線に接続される第1ビアランド部と、を有し、
平面視において、前記第3配線は、前記第1基板端子と、前記第1ビアランド部の間に接続され、かつ、前記第1延在部より長い第2延在部を有し、
平面視において、前記第2ビア配線は前記第1領域と前記2基板端子の間にあり、かつ、前記第1領域は前記第1ビア配線と前記第2ビア配線の間にある、電子装置。