特許第6826510号(P6826510)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6826510鉄骨梁接合用仮支持部材及び鉄骨梁の接合方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6826510
(24)【登録日】2021年1月19日
(45)【発行日】2021年2月3日
(54)【発明の名称】鉄骨梁接合用仮支持部材及び鉄骨梁の接合方法
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/16 20060101AFI20210121BHJP
   E04B 1/58 20060101ALI20210121BHJP
【FI】
   E04G21/16
   E04B1/58 508P
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-167141(P2017-167141)
(22)【出願日】2017年8月31日
(65)【公開番号】特開2019-44422(P2019-44422A)
(43)【公開日】2019年3月22日
【審査請求日】2020年2月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124316
【弁理士】
【氏名又は名称】塩田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】宮下 彰法
(72)【発明者】
【氏名】岩堀 卓也
【審査官】 前田 敏行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−211449(JP,A)
【文献】 特開昭56−111760(JP,A)
【文献】 実開昭53−082528(JP,U)
【文献】 実開昭61−206046(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0261356(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第106481084(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/16
E04B 1/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄骨梁の端部に一体化した端部プレートをコンクリート部材の表面に接合するまでの間、前記コンクリート部材に表面側から仮接合され、前記端部プレートを支持する仮設の仮支持部材であり、
前記コンクリート部材の表面に重なり、前記コンクリート部材中に仮固定される仮固定具が貫通する平板と、この平板の表面に一体化し、前記端部プレートに鉛直方向下向きと水平方向にそれぞれ係止する鉛直係止部と水平係止部を備え、この鉛直係止部と水平係止部とで区画された一部の領域が前記端部プレートが重なる受け部となり、
前記受け部に、前記端部プレートに形成された、または形成される定着具挿通孔に重なる仮接合具挿通孔が形成され、前記受け部以外の領域に、前記仮固定具が挿通する仮固定具挿通孔が形成されていることを特徴とする鉄骨梁接合用仮支持部材。
【請求項2】
請求項1に記載の仮支持部材を用いて前記鉄骨梁の前記端部プレートを前記コンクリート部材に接合する方法であり、
前記コンクリート部材の、前記端部プレートに形成された、または形成される定着具挿通孔に対応した位置に定着具定着孔を穿設する工程と、
前記仮支持部材を前記コンクリート部材に仮固定し、前記仮支持部材の前記鉛直係止部と前記水平係止部に前記端部プレートを係止させる工程と、
前記端部プレートを前記平板の前記受け部に重ねて仮接合する工程と、
前記端部プレートの一部の前記定着具挿通孔を挿通させて定着具を前記コンクリート部材の前記定着具定着孔に定着させる工程と、
前記仮支持部材を回収し、前記端部プレートの残りの前記定着具挿通孔を挿通させて前記定着具を前記定着具定着孔に定着させる工程とを経て前記鉄骨梁を前記コンクリート部材に接合することを特徴とする鉄骨梁の接合方法。
【請求項3】
前記定着具定着孔を穿設する工程において、前記定着具定着孔に合わせて前記端部プレートに前記定着具が挿通する前記定着具挿通孔を形成することを特徴とする請求項2に記載の鉄骨梁の接合方法。
【請求項4】
前記端部プレートを前記受け部に重ねて仮接合する工程において、前記平板の前記受け部に重なる前記端部プレートの前記定着具挿通孔を挿通させて前記仮支持部材における前記平板の前記仮接合具挿通孔に仮接合具を挿通させることを特徴とする請求項2、もしくは請求項3に記載の鉄骨梁の接合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は例えば既存の対向する構造体間に後から鉄骨梁を架設する場合に、少なくとも一方の構造体がコンクリートである場合のように、鉄骨梁端部の構造体への接合のためにあと施工アンカーを使用せざるを得ない状況下において、構造体中に雌ねじアンカーを埋設することができない場合に、鉄骨梁の構造体への接合完了まで鉄骨梁を支持する鉄骨梁接合用仮支持部材、及びそれを使用した鉄骨梁の接合方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
先行して構築、もしくは設置されているコンクリート造、もしくはコンクリート製の対向する壁間、または柱間等、対向するコンクリートの構造体間に、この構造体間距離に相当する長さを持つ鉄骨梁を架設するような場合、鉄骨梁はコンクリート部材間につっかい棒状に架設される。
【0003】
この関係で、鉄骨梁の端部に一体化し、コンクリート部材の表面に重なる端部プレートを厚さ方向に貫通するアンカーを用いて端部プレートをコンクリート部材に接合する場合に、コンクリート部材中に予め雌ねじアンカーを埋設しておくことができれば、端部プレートは雄ねじを形成したアンカー(ボルト)を雌ねじアンカーに螺入させることによりコンクリート部材に接合される(特許文献1参照)。
【0004】
一方、鉄骨梁の架設後のコンクリート部材への接合時に、端部プレートをコンクリート部材に対して位置決めしながらコンクリート部材に接合する場合のように、コンクリート部材中に雌ねじアンカーを埋設しておくことが適切でない場合には、コンクリート部材には端部プレートを貫通するアンカーの位置に合わせてアンカー孔を穿設し、アンカー孔にアンカーを挿入するあと施工アンカーを使用せざるを得ない(特許文献2参照)。同じことは、端部プレートの接合のためのボルトの規模(径)の大きさに適合する雌ねじアンカーがない場合にも言える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−7949号公報(段落0024〜0034、0047〜0050、図1図7図8
【特許文献2】特開2016−65428号公報(段落0027、図1図4
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
但し、鉄骨梁端部の端部プレートを貫通するボルトが挿入されるアンカー孔のコンクリート部材への穿設作業を、鉄骨梁を対向するコンクリート部材間に架設した状態で行う場合には、鉄骨梁の自重を負担しながら、架設状態を維持するためのサポートと作業用の足場を設置する必要があるため、両者を含めた支保工が大規模化し、施工が長期化することが想定される。
【0007】
また鉄骨梁は対向するコンクリート部材等の鉛直面をなす表面間に介在し、端部プレートとコンクリート部材表面間には鉄骨梁の軸方向に鉄骨梁を自由に移動できるだけの空間が確保されない状況に置かれ易いため、鉄骨梁をサポートが支持した状態での設置精度の確保も難しい。
【0008】
本発明は上記背景より、簡素な構造(形状)でありながらコンクリート部材間等に架設された状態にある鉄骨梁を安全に支持可能な仮支持部材と、それを用いて鉄骨梁の設置精度を確保し得る鉄骨梁のコンクリート部材への接合方法を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明の鉄骨梁接合用仮支持部材は、鉄骨梁の端部に一体化した端部プレートをコンクリート部材の表面に接合するまでの間、前記コンクリート部材に表面側から仮接合され、前記端部プレートを支持する仮設の仮支持部材であり、
前記コンクリート部材の表面に重なり、前記コンクリート部材中に仮固定される仮固定具が貫通する平板と、この平板の表面に一体化し、前記端部プレートに鉛直方向下向きと水平方向にそれぞれ係止する鉛直係止部と水平係止部を備え、この鉛直係止部と水平係止部とで区画された一部の領域が前記端部プレートが重なる受け部となり、
前記受け部に、前記端部プレートに形成された、または形成される定着具挿通孔に重なる仮接合具挿通孔が形成され、前記受け部以外の領域に、前記仮固定具が挿通する仮固定具挿通孔が形成されていることを構成要件とする。
【0010】
鉄骨梁は表面が鉛直面等をなす柱、壁等の構造体の対向する表面間に架設され、軸方向の少なくとも一方の端部に端部プレートが一体化する。「端部プレートの一体化」は主に溶接による接合を言う。この鉄骨梁の少なくとも一方の端部に一体化した端部プレート側の構造体が鉄筋コンクリート造、またはプレキャストコンクリート製を含むコンクリート部材であり、端部プレートが一体化しない側の構造体は必ずしもコンクリート部材であるとは限らない。鉄骨梁7は少なくとも一方の端部に一体化する端部プレート8を含め、図1に示すように対向する構造体間に納まりながら、鉄骨梁7の軸方向に自由な移動が制約された状態で、対向する構造体間に架設され、双方に接合される。
【0011】
仮支持部材1はコンクリート部材9が配置された側に配置され、そのコンクリート部材9には後述の仮固定具5により仮固定される。「コンクリート部材の表面」は主に鉛直面である。仮支持部材1はコンクリート部材9への端部プレート8の接合が完了し、その後の養生が済むまでコンクリート部材9に仮固定された状態を維持することで端部プレート8(鉄骨梁7)を支持し、養生後、回収される。
【0012】
鉄骨梁7は先行して使用状態にある構造体間に架設されることから、端部プレート8が一体化した側のコンクリート部材9の表面には予め端部プレート8を受けるためのアンカー孔やボルト挿通孔が形成されていない。このため、コンクリート部材9には図2に示すように表面側から、端部プレート8をコンクリート部材9に接合するアンカー等の定着具10を定着させるための定着具定着孔9aを端部プレート8の接合前に形成することが必要になる。端部プレート8はコンクリート部材9への定着具定着孔9aの形成後にコンクリート部材9の表面側に配置される。図2では定着具定着孔9aと端部プレート8の関係を示すために、便宜的に端部プレート8付きの鉄骨梁7を示しているが、定着具定着孔9aの形成時には鉄骨梁7は架設されていない。鉄骨梁7は上記した仮支持部材1の仮固定後に架設され、仮支持部材1に支持される(図4図5)。
【0013】
一方、仮支持部材1は端部プレート8をコンクリート部材9への接合位置に位置決めしたまま、端部プレート8の接合完了まで支持し、コンクリート部材9表面の面内水平方向(鉄骨梁の幅方向)にも移動しないように保持する役目を果たすことが必要である。すなわち、仮支持部材1はコンクリート部材9への仮固定状態で、仮支持部材1の表面側に端部プレート8を配置し、端部プレート8を支持しながら、その面内水平方向にも端部プレート8を拘束できる形状である必要がある。
【0014】
この関係で、仮支持部材1は図4−(a)に示すようにコンクリート部材9の表面に重なるプレート等の平板2と、平板2の表面に一体化し、端部プレート8が鉛直方向下向きに係止する鉛直係止部3と、端部プレート8が平板2表面の面内水平方向に係止する水平係止部4を構成要素として備える。「鉛直係止部3等の一体化」は主に溶接による接合を言う。鉛直係止部3と水平係止部4は平板2の表面全体を端部プレート8が重なる領域である受け部21とそれ以外の領域に区画する。端部プレート8は受け部21の表面にその厚さ方向に重なる。
【0015】
鉛直係止部3は端部プレート8(鉄骨梁7)の鉛直荷重を負担し、水平係止部4は端部プレート8の面内水平方向のいずれかの向きへの移動を拘束する。鉛直係止部3の、端部プレート8の係止面は実質的に水平面をなし、水平係止部4の係止面は実質的に鉛直面をなす。鉛直係止部3と水平係止部4は連続する場合と不連続の場合がある。
【0016】
1個(枚)の仮支持部材1の水平係止部4は面内水平方向のいずれかの向きへの、端部プレート8の移動を拘束するため、仮支持部材1は端部プレート8の面内水平方向のいずれの向きへの移動を拘束する上では、図4−(a)に示すように1枚の端部プレート8に付き、2個で対になって使用される。端部プレート8は対になる2個の仮支持部材1、1の平板2、2に跨りながら、コンクリート部材9の表面に対向させられる。端部プレート8はコンクリート部材9の表面に重なって仮固定された仮支持部材1(平板2)の受け部21の表面に重なるため、端部プレート8のコンクリート部材9側の背面とコンクリート部材9の表面との間には図4−(b)に示すように少なくとも仮支持部材1(平板2)の板厚分の空隙が確保される。図4は仮支持部材1と端部プレート8の関係を示すために、仮支持部材1に端部プレート8が支持された状況を示している。
【0017】
端部プレート8は平板2の受け部21に重なり、端部プレート8の受け部21に重ならない領域がコンクリート部材9に接合されるまでの間、平板2に一時的に仮接合される。この端部プレート8の受け部21への仮接合のために、受け部21には図4−(a)に示すように端部プレート8を仮接合するボルト等の仮接合具6が挿通する仮接合具挿通孔2aが形成される。
【0018】
仮接合具挿通孔2aに対応した端部プレート8の位置には、図3に示すように最終的に端部プレート8をコンクリート部材9に固定するアンカー等の定着具10が挿通するための定着具挿通孔8aが形成され、仮接合具6は図5に示すように定着具挿通孔8aと仮接合具挿通孔2aを挿通することにより端部プレート8を平板2に仮接合する(請求項4)。仮接合具6がボルトの場合、仮接合具6は仮接合具挿通孔2aに螺入する。定着具挿通孔8aには最終的に端部プレート8をコンクリート部材9に固定する定着具10が挿通するため、定着具挿通孔8aは平板2の仮接合具挿通孔2aの位置を含め、コンクリート部材9に穿設される後述の定着具定着孔9aに対応した位置に形成される。
【0019】
平板2の受け部21以外の領域には、平板2が端部プレート8を支持し、鉄骨梁7の自重をコンクリート部材9に伝達するために、図4−(a)に示すように平板1をコンクリート部材9に仮固定するための仮設のアンカー等の仮固定具5が挿通する仮固定具挿通孔2bが形成される。図面では1枚の平板2に複数個の仮固定具挿通孔2bを形成しているが、仮固定具挿通孔2bの数は任意である。仮固定具挿通孔2bに対応した位置のコンクリート部材9にはボルト、またはアンカー等の仮固定具5が仮固定されるための仮固定具定着孔9bが穿設される。
【0020】
コンクリート部材9にはまた、端部プレート8をコンクリート部材9に接合する定着具10が定着されるための上記した定着具定着孔9aも穿設される。定着具定着孔9aは端部プレート8に形成された、または形成される定着具挿通孔8aに対応した位置に形成されるが、具体的には定着具挿通孔8aは後述のように定着具定着孔9aの実際の穿設位置に合わせ、工場等で形成(穿設)される。仮固定具5は端部プレート8のコンクリート部材9への接合後には仮支持部材1(平板2)と共に回収されることから、仮固定具定着孔9bからの離脱を容易にするために、図面では図4図6に示すように仮固定具5にボルトを使用している。この場合、仮固定具定着孔9bには図示しないが、ボルトが螺入する雌ねじスリーブ(雌ねじアンカー)が挿入(埋設)される。
【0021】
仮支持部材1は平板2の仮固定具挿通孔2bを挿通する仮固定具5がコンクリート部材9の仮固定具定着孔9bに埋設等により定着されることによりコンクリート部材9に仮固定される。仮支持部材1はこの状態で図5−(a)に示すように平板2の鉛直係止部3上に端部プレート8が載置されることにより端部プレート8を支持する。仮支持部材1、1は前記のように2個で対になってコンクリート部材9に仮固定され、端部プレート8はこの2個の仮支持部材1、1の鉛直係止部3、3に支持される。端部プレート8は2個の仮支持部材1、1の平板2、2の水平係止部4、4に面内水平方向に係止することにより面内水平方向の移動に対して拘束される。
【0022】
鉄骨梁7が対向する構造体間に架設された状態では前記のように鉄骨梁7が軸方向に移動できる距離が制限されているため、端部プレート8(鉄骨梁7)がコンクリート部材9の表面から遠ざかる向きに移動できる距離も制限されている。従って端部プレート8が平板2の鉛直係止部3上に載置されたときに、端部プレート8のコンクリート部材9から遠ざかる向きへの移動可能距離より大きい幅を鉛直係止部3が持てば、鉛直係止部3が端部プレート8を支持した状態で鉄骨梁7が軸方向に移動しても端部プレート8が鉛直係止部3から離脱する可能性はないため、鉛直係止部3は端部プレート8の鉛直荷重を安全に負担し、コンクリート部材9に伝達することができる。
【0023】
仮支持部材1は本体の平板2とその表面に一体化する鉛直係止部3及び水平係止部4から成立するため、簡素な構造(形状)でありながら、コンクリート部材9の表面に仮固定された状態を維持することで、端部プレート8のコンクリート部材9への接合完了まで、少なくとも一方がコンクリート部材9である構造体間に架設された状態にある鉄骨梁7を安全に支持する能力を有することになる。
【0024】
同様に水平係止部4が端部プレート8のコンクリート部材9から遠ざかる向きへの移動可能距離より大きい幅を持てば、鉄骨梁7が軸方向に移動しても端部プレート8が水平係止部4から離脱することはないため、水平係止部4は端部プレート8の面内水平方向の移動を拘束することができる。
【0025】
前記のように1枚の端部プレート8に付き、2個(枚)の仮支持部材1、1が使用されるため、2個の仮支持部材1、1が対になることで、端部プレート8の面内水平方向のいずれの向きにも移動を拘束することが可能である。結果として端部プレート8を鉛直係止部3が支持している状態での面内水平方向のずれが防止、または抑制されるため、端部プレート8を鉛直方向と面内水平方向(鉄骨梁7幅方向)に正確に位置決めした状態でコンクリート部材9に接合することが可能であり、端部プレート8の設置精度が向上する。
【0026】
仮支持部材1を用いて端部プレート8をコンクリート部材9に接合する際には、図2に示すように端部プレート8をコンクリート部材9に接合する定着具10をコンクリート部材9に定着させるための定着具定着孔9aがコンクリート部材9に表面側から穿設される(請求項2)。定着具定着孔9aは端部プレート8に予め形成された、または後から形成される定着具挿通孔8aに対応した位置に穿設される。このとき、並行して仮支持部材1をコンクリート部材9に仮固定する仮固定具5を仮固定させるための仮固定具定着孔9bをコンクリート部材9に穿設すること、または上記のように穿設した仮固定具定着孔9bに仮固定具5を受ける雌ねじスリーブ(雌ねじアンカー)を埋設することも行われる。
【0027】
「後から形成される定着具挿通孔8a」とは、コンクリート部材9に先行して穿設された定着具定着孔9aに合わせて端部プレート8に定着具挿通孔8aを形成することを言う(請求項3)。この場合、定着具定着孔9aに合わせて定着具挿通孔8aを形成することで、定着具挿通孔8aを予め形成しておく場合の施工誤差を軽減、あるいは解消することが可能になる。定着具定着孔9aに合わせて定着具挿通孔8aを形成することは、例えば穿設後の定着具定着孔9aの位置を正確に端部プレート8の背面に墨出し等の手段で転写(実測)し、その位置に従って定着具挿通孔8aを形成(穿設)することにより可能である。定着具挿通孔8aの形成は工場で、または現場付近で行われる。
【0028】
定着具定着孔9aをコンクリート部材9に穿設した後には(請求項2)、上記のように仮支持部材1が仮固定具5によりコンクリート部材9に仮固定され、仮支持部材1の鉛直係止部3と水平係止部4に端部プレート8が鉛直方向下向きと水平方向に係止させられる(請求項2)。端部プレート8が鉛直係止部3に係止させられることは、端部プレート8(鉄骨梁7)が鉛直係止部3に支持されることであり、水平係止部4に係止させられることは、対になる2個の仮支持部材1、1に端部プレート8が面内水平方向(鉄骨梁7の幅方向)に係止させられることを言い、端部プレート8(鉄骨梁7)が面内水平方向に拘束(保持)されることである。このとき、前記のように端部プレート8は仮支持部材1の平板2に一体化している鉛直係止部3と水平係止部4に係止することで、端部プレート8は鉛直方向と面内水平方向に位置決めされるため、端部プレート8は仮支持部材1、1に対して正確に設置される。
【0029】
仮支持部材1に端部プレート8が係止させられた後、図5に示すように端部プレート8が平板2の受け部21に重ねられて仮接合される(請求項2)。この仮接合は前記のようにボルト等の仮接合具6を平板2の受け部21に重なる端部プレート8の定着具挿通孔8aと平板2の仮接合具挿通孔2aを挿通させることにより行われる(請求項4)。
【0030】
仮接合具6が端部プレート8の定着具挿通孔8aと平板2の仮接合具挿通孔2aを挿通し、端部プレート8を仮支持部材1の平板2に仮接合することで、図6に示すように平板2の受け部21に重ならない部分に形成されている定着具挿通孔8aからコンクリート部材9の定着具定着孔9aにまで定着具10を挿通させ、定着させることができる。
【0031】
端部プレート8の平板2への仮接合後、端部プレート8の一部の定着具挿通孔8aを挿通し、アンカー等の定着具10がコンクリート部材9の定着具定着孔9aに埋設等により定着される(請求項2)。定着具10は端部プレート8の定着具挿通孔8aを挿通し、例えば定着具埋設孔9a内へのモルタル、接着剤等の充填等により定着具埋設孔9aに埋設されることにより定着される。「一部の定着具挿通孔8a」は端部プレート8が平板2の受け部21に重なる部分以外の部分に形成されている定着具挿通孔8aを指す。定着具10がコンクリート部材9に定着されることで、端部プレート8(鉄骨梁7)の鉛直荷重を定着具10を介してコンクリート部材9に負担させた状態にすることができる。
【0032】
図面では1枚の端部プレート8に付き、2本の仮接合具6で2個の仮支持部材1、1に仮接合し、4本の定着具10でコンクリート部材9に本接合しているが、仮接合用の仮接合具6の本数と本接合用の定着具10の本数は任意である。仮接合具6が挿通していた端部プレート8の定着具挿通孔8aには仮支持部材1、1の回収後、定着具10が挿通させられて定着具定着孔9aに定着させられ、端部プレート8の本接合に寄与する。
【0033】
定着具10の定着具定着孔9aへの定着時、端部プレート8の一部を平板2に仮接合したまま、端部プレート8の他の一部をコンクリート部材9に本接合することができるため、端部プレート8を対になる2個の仮支持部材1、1のみに支持させたまま、端部プレート8をコンクリート部材9に接合することが可能になる。
【0034】
従って対になる2個の仮支持部材1、1のみが、端部プレート8のコンクリート部材9への仮支持から本接合までの間、端部プレート8(鉄骨梁7)を支持することができ、端部プレート8(鉄骨梁7)の仮支持のためのサポート、またはサポートと足場を含む支保工が不要になるため、端部プレート8のコンクリート部材9への接合のための仮設の設備が簡略化され、支保工の設置分の経費が節減され、時間が短縮される。
【0035】
定着具10の定着具定着孔9aへの定着後、仮支持部材1は回収され、端部プレート8の残りの定着具挿通孔8aを挿通して定着具10が定着具定着孔9aに埋設等により定着される(請求項2)。「残りの定着具挿通孔8a」は図6図8に示すように端部プレート8が平板2の受け部21に重なる部分に形成されている定着具挿通孔8aを指し、端部プレート8の仮支持部材1への仮接合時に両者を接合していた仮接合具6が挿通していた定着具挿通孔8aである。
【0036】
仮支持部材1の回収時には端部プレート8の定着具挿通孔8aを挿通し、端部プレート8を平板2に仮接合していた仮接合具6、及び仮支持部材1をコンクリート部材9に仮固定していた仮固定具5も回収される。仮接合具6の回収により開放した端部プレート8の(残りの)定着具挿通孔8aから定着具10が挿通させられ、定着具定着孔9aに埋設される等により定着される。端部プレート8の全定着具挿通孔8aから定着具10が定着具定着孔9aに定着されることで、端部プレート8のコンクリート部材9への接合が完了する。
【発明の効果】
【0037】
請求項1ではコンクリート部材の表面に重なり、コンクリート部材中に仮固定される仮固定具が貫通する平板と、平板の表面に一体化し、端部プレートに鉛直方向下向きと水平方向にそれぞれ係止する鉛直係止部と水平係止部を備えるため、鉛直係止部において端部プレートの鉛直荷重を負担しながらコンクリート部材に伝達することができ、水平係止部において端部プレートの面内水平方向の移動を拘束することができる。特に端部プレートがコンクリート部材に対して移動可能な距離より大きい幅を鉛直係止部と水平係止部が持てば、鉛直係止部と水平係止部は端部プレートを離脱させることなく、端部プレートの鉛直荷重を安全に負担しながら面内水平方向の移動を拘束することができる。
【0038】
結果として端部プレートを鉛直係止部が支持している状態での面内水平方向のずれが防止、または抑制されるため、端部プレートを鉛直方向と面内水平方向(鉄骨梁幅方向)に正確に位置決めした状態でコンクリート部材に接合することが可能になり、端部プレートの設置精度が向上する。
【0039】
また対になる2個の仮支持部材のみが、端部プレートのコンクリート部材への仮支持から本接合までの間、端部プレート(鉄骨梁)を支持することができることで、端部プレート(鉄骨梁)の仮支持のためのサポート、またはサポートと足場を含む支保工が不要になるため、端部プレートのコンクリート部材への接合のための仮設の設備が簡略化され、支保工の設置分の経費が節減され、時間が短縮される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】少なくとも一方がコンクリート部材である、対向する構造体間に、端部に端部プレートが一体化した鉄骨梁が架設された状況を示した縦断面図である。
図2】(a)は鉄骨梁に一体化した端部プレートがコンクリート部材の表面に突き合わせられたときの状況に合わせ、コンクリート部材の表面側から定着具定着孔と、仮固定具定着孔を穿設したときの様子を示した鉄骨梁の軸方向の縦断面図、(b)は(a)のa−a線断面図である。
図3】(a)は図2におけるコンクリート部材の定着具定着孔に合わせ、端部プレートに定着具挿通孔を形成したときの様子を示した鉄骨梁の軸方向の縦断面図、(b)は(a)のb−b線断面図である。
図4】(a)はコンクリート部材の表面に対になる2個の仮支持部材を仮固定具を用いて仮固定したときの様子を示した仮支持部材の表面側の立面図、(b)は(a)のc−c線断面図である。
図5】(a)は図4に示す2個の仮支持部材の受け部に端部プレートを重ね、仮接合具を用いて仮支持部材に仮接合したときの様子を示した鉄骨梁の軸方向の縦断面図、(b)は(a)のd−d線断面図である。
図6】(a)は図5に示す端部プレートの、仮支持部材に重なった領域以外の領域に形成されている定着具挿通孔を挿通させてコンクリート部材の定着具定着孔に定着具を定着させたときの様子を示した鉄骨梁の軸方向の縦断面図、(b)は(a)のe−e線断面図である。
図7】(a)は図6に示す仮支持部材を回収したときの様子を示した鉄骨梁の軸方向の縦断面図、(b)は(a)のf−f線断面図である。
図8】(a)は図7に示す端部プレートの、仮支持部材に重なっていた領域に形成されている定着具挿通孔を挿通させてコンクリート部材の定着具埋設孔に定着具を定着させたときの様子を示した鉄骨梁の軸方向の縦断面図、(b)は(a)のg−g線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1は軸方向の少なくとも一方の端部に端部プレート8が一体化した鉄骨梁7を、端部プレート8側がコンクリート部材9である、対向する構造体間に架設した状況を示す。対向する構造体の内、端部プレート8側の一方の構造体は鉄筋コンクリート造等のコンクリート部材9であり、他方はコンクリート部材、または鉄骨部材等である。コンクリート部材9を含め、構造体は表面が実質的に鉛直面をなす柱、または壁等である。
【0042】
鉄骨梁7の他方側にも端部プレートが一体化することもあるが、鉄骨梁7の他方側の端部の、その側の構造体への接合方法は問われない。図1に示すように端部プレート8を含めた鉄骨梁7は対向する構造体間に納まりながら、鉄骨梁7の軸方向に自由な移動が制約された状態で、対向する構造体間に架設され、双方に接合される。図面では風荷重等、主に水平方向からの外力に抵抗させる目的で、強軸方向を水平方向に向けて鉄骨梁7を構造体間に架設しているが、鉄骨梁7の強軸方向(弱軸方向)の向きは任意である。
【0043】
鉄骨梁7の端部プレート8は図4に示すような、対になる2個の仮支持部材1、1に鉛直方向に支持されながら、端部プレート8の面内水平方向(鉄骨梁7の幅方向)に保持された状態でコンクリート部材9に接合される。仮支持部材1はコンクリート部材9の表面に重なり、コンクリート部材9中に仮固定される仮固定具5が貫通する平板2と、平板2の表面に一体化し、端部プレート8に鉛直方向下向きと水平方向にそれぞれ係止する鉛直係止部3と水平係止部4を構成要素として備える。
【0044】
平板2と鉛直係止部3及び水平係止部4にはこれに重なる端部プレート8に合わせ、主に形鋼等の鋼材が使用されるが、少なくともコンクリート部材9への仮固定時と端部プレート8の仮接合時に受ける、仮固定具5と仮接合具6による板厚方向の圧縮力を負担可能であれば、材料は問われず、硬質プラスチック等の使用も可能である。平板2の形状は必ずしも方形状である必要はない。図面では鉛直係止部3と水平係止部4に、端部プレート8側に平坦な面を形成可能な山形鋼を使用しているが、端部プレート8側にその位置決めが可能な面を持てば、形状は任意である。
【0045】
平板2の全体の内、図4−(a)に示すように鉛直係止部3と水平係止部4とで区画された一部の領域が端部プレート8が厚さ方向に重なる受け部21となり、受け部21に、端部プレート8に形成された、または後から形成される定着具挿通孔8aに重なる仮接合具用挿通孔2aが形成され、受け部21以外の領域に、仮固定具5が挿通する仮固定具挿通孔2bが形成されている。仮接合具用挿通孔2aと仮固定具挿通孔2bは平板2を厚さ方向に貫通する。
【0046】
受け部21を形成する一部の領域は端部プレート8が重なったときに、端部プレート8が受け部21から2方向に張り出すため、平板2の少なくとも一部の隅角部を含む領域になる。また受け部21には、図4−(a)に示すように端部プレート8が重なったときに、その重複領域に仮接合具6と定着具10が挿通する仮接合具挿通孔2aが形成可能な面積が確保される。この受け部21を区画するように鉛直係止部3と水平係止部4が平板2の表面から配置される。前記のように鉛直係止部3と水平係止部4に山形鋼を使用した場合には、平坦面が端部プレート8側を向くように配置される。仮固定具挿通孔2bは鉛直係止部3と水平係止部4が重ならない領域に形成される。
【0047】
以下、図2図8に基づいて端部プレート8のコンクリート部材9への接合の手順を説明する。
【0048】
図2に示すようにコンクリート部材9の表面の内、端部プレート8が重なったときの定着具挿通孔8aに対応した位置に定着具定着孔9aを、仮支持部材1が重なったときの平板2の仮固定具挿通孔2bに対応した位置に仮固定具定着孔9bをそれぞれドリル等により穿設する。
【0049】
図2−(a)はコンクリート部材9の表面に端部プレート8を重ねた状況を想定した様子を示しているが、端部プレート8付きの鉄骨梁7はコンクリート部材9への定着具定着孔9aと仮固定具定着孔9bの穿設後(図4以降)に吊り込まれる。仮固定具定着孔9bに定着される仮固定具5は端部プレート8のコンクリート部材9への接合後、回収されるため、仮固定具5を回収可能にするために、仮固定具5にボルトが使用される場合を想定し、仮固定具定着孔9bには雌ねじの切られた雌ねじアンカーが埋設されることが適切である。
【0050】
その後、図3に示すようにコンクリート部材9に穿設された定着具定着孔9aを、コンクリート部材9への接合位置に落とし込まれた端部プレート8、または落とし込まれたときの端部プレート8を想定した罫書き板等の背面、もしくは表面に墨出し、罫書き等の手段により転写し、その位置に定着具挿通孔8aをドリル等により穿設する。定着具挿通孔8aは端部プレート8の製作時に予め形成されることもある。
【0051】
但し、現場でコンクリート部材9に穿設される定着具定着孔9aとの誤差の発生を抑制、または防止する上では、現場、もしくは工場で定着具定着孔9aの位置に合わせて定着具挿通孔8aを穿設することが合理的である。図面では鉄骨梁7の中心を通る鉛直線の片側に3個の定着具挿通孔8aを形成し、その内、最下段の定着具挿通孔8aを仮支持部材1への仮接合用に使用し、他の2個の定着具挿通孔8aをコンクリート部材9への本接合用に使用しているが、定着具挿通孔8aの形成数と配分は任意である。
【0052】
続いて図4に示すように仮固定具定着孔9bに仮固定具挿通孔2bを合致させて仮支持部材1の平板2をコンクリート部材9の表面に重ね、仮固定具挿通孔2bを貫通させて仮固定具5を仮固定具定着孔9bに挿入する。
【0053】
端部プレート8のコンクリート部材9への接合終了後には図7に示すように仮固定具5は回収されるため、仮固定具5の仮固定具定着孔9bからの離脱作業性の面からは、仮固定具定着孔9bには雌ねじスリーブが挿入(埋設)されることが適切である。その場合、仮固定具5には雌ねじスリーブに螺入するボルトが使用される。但し、ボルト等の仮固定具5を直接、仮固定具定着孔9b内に挿入し、モルタル、接着剤等の充填材の充填により仮固定具定着孔9b内に埋設して定着させることもある。その場合、仮接合具(ボルト)5は頭部を切断することで、回収される。
【0054】
仮支持部材1、1は1枚の端部プレート8に付き、2個で対になって配置される。この2個の仮支持部材1、1における鉛直係止部3と水平係止部4、及び仮接合具挿通孔2aと仮固定具挿通孔2bは仮支持部材1、1間の中心線に関して対称な位置に配置される。仮支持部材1は図4−(b)に示すようにコンクリート部材9の表面に密着(接触)するように、または接近するように配置され、端部プレート8の配置時にはコンクリート部材9と端部プレート8の背面との間に挟み込まれる。
【0055】
仮固定具5が雌ねじスリーブへの接続等により仮固定具定着孔9b内に仮固定された後、図5に示すように2個の仮支持部材1、1の平板2、2の各受け部21に端部プレート8を重ね、合致した定着具挿通孔8aと仮接合具挿通孔2aにボルト等の仮接合具6を挿通させ、端部プレート8を平板2に仮接合する。仮接合具6がボルトの場合、仮接合具6は定着具挿通孔8aと仮接合具挿通孔2aに螺入する。図面では平板2の受け部21に重なった領域に形成されている端部プレート8の定着具挿通孔8aが1個の場合であるが、複数個の場合もある。
【0056】
受け部21に端部プレート8を重ねるとき、端部プレート8は2個の仮支持部材1、1の鉛直係止部3、3に載置されることにより仮支持部材1、1に支持され、水平係止部4、4に面内水平方向(鉄骨梁7幅方向)に係止することによりその方向の移動に対して拘束され、端部プレート8は2個の仮支持部材1、1に安定して支持され、保持される。
【0057】
続いて図6に示すように端部プレート8の、平板2に重なっていない領域に形成されている定着具挿通孔8aを貫通させてアンカー等の定着具10をコンクリート部材9の定着具定着孔9aに挿入し、例えば充填材の充填により定着具10を定着具定着孔9a内に埋設する等により定着させる。定着具10の頭部は端部プレート8の表面から鉄骨梁7側へ突出する。定着具10の頭部には雄ねじが形成されており、この頭部にナット11が緊結されることにより端部プレート8がコンクリート部材9に接合される。定着具10の定着具定着孔9a内での定着の形態は問われず、定着具定着孔9a内への充填材の充填を伴わない形態の場合もある。
【0058】
定着具定着孔9aを挿通する定着具10は仮接合具6の回収(撤去)時に端部プレート8を定着具10のみで確実にコンクリート部材9に接合した状態を維持する必要があるため、平板2に重なっていない領域の定着具挿通孔8aは複数個、形成される。図面では端部プレート8を安定させてコンクリート部材9に接合するために、4個の定着具挿通孔8aを形成しているが、個数は任意である。
【0059】
端部プレート8のコンクリート部材9への接合後、図7に示すように仮接合具6が回収され、端部プレート8と仮支持部材1の仮接合状態が解除される。引き続き、仮固定具5が回収され、役目を終えた仮支持部材1も回収される。このとき、端部プレート8は平板2の受け部21に重なっていた領域以外の領域を挿通している定着具10のコンクリート部材9への定着によりコンクリート部材9への接合状態を維持している。
【0060】
その後、図8に示すように仮接合具6が挿通していた定着具挿通孔8aを貫通させてアンカー等の定着具10をコンクリート部材9の定着具定着孔9aに挿入し、充填材の充填等により定着具10を定着具定着孔9a内に埋設する等により定着させ、定着具10の頭部にナット11を緊結することにより端部プレート8がコンクリート部材9に完全に接合される。端部プレート8は最終的には端部プレート8に形成されている定着具挿通孔8aの数分の本数の定着具10によってコンクリート部材9に接合される。
【符号の説明】
【0061】
1……仮支持部材、
2……平板、21……受け部、2a……仮接合具挿通孔、2b……仮固定具挿通孔、
3……鉛直係止部、4……水平係止部、
5……仮固定具、6……仮接合具、
7……鉄骨梁、
8……端部プレート、8a……定着具挿通孔、
9……コンクリート部材、9a……定着具定着孔、9b……仮固定具定着孔、
10……定着具、11……ナット。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8