特許第6826539号(P6826539)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6826539オートバイ用トランスミッションのカバー構造体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6826539
(24)【登録日】2021年1月19日
(45)【発行日】2021年2月3日
(54)【発明の名称】オートバイ用トランスミッションのカバー構造体
(51)【国際特許分類】
   B62J 99/00 20200101AFI20210121BHJP
   B62M 7/02 20060101ALI20210121BHJP
   B62M 9/04 20060101ALI20210121BHJP
【FI】
   B62J99/00
   B62M7/02 X
   B62M9/04
【請求項の数】12
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-554006(P2017-554006)
(86)(22)【出願日】2016年4月13日
(65)【公表番号】特表2018-513051(P2018-513051A)
(43)【公表日】2018年5月24日
(86)【国際出願番号】EP2016058132
(87)【国際公開番号】WO2016166167
(87)【国際公開日】20161020
【審査請求日】2019年4月4日
(31)【優先権主張番号】102015000011955
(32)【優先日】2015年4月16日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】514151524
【氏名又は名称】ピアッジオ・アンド・シー.・エス.ピー.エー.
【氏名又は名称原語表記】PIAGGIO & C. S.P.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】特許業務法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドヴェリ,ステファノ
【審査官】 結城 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−50809(JP,A)
【文献】 特開2007−56788(JP,A)
【文献】 再公表特許第2011/027445(JP,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第2827024(EP,A1)
【文献】 特開2008−24101(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62M 7/02 , 9/04 ,
F16H 57/031,57/035,
B62J 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オートバイのトランスミッションの側部に配置され、エンジンから後輪に駆動力を伝達するトランスミッション部材を保護するオートバイ用トランスミッションのカバー構造体(1)であって、
前記トランスミッション部材を保護するのに適し、前記エンジンの軸に対応する凹状の前方領域(4)から前記後輪の従動軸に対応する後方領域(13)まで、前記オートバイの進行方向(F)に沿う長手方向に延在し、前記凹状の前方領域(4)にあるトランスミッションの吸気ポートに設けられた吸気孔(6)を備える第1のカバー部材(2)と、
前記吸気孔(6)を保護するために前記凹状の前方領域(4)の一部と重なり合い、前記凹状の前方領域の覆われていない部分において前記第1のカバー部材(2)の上端部から下端部まで延在し且つ前記後方領域(13)に対向して開口するすなわち前記オートバイの進行方向(F)と反対方向に開口する吸気領域を画定する吸気部(19)を、前記第1のカバー部材(2)とともに形成する第2のカバー部材(3)と、
空気を前記吸気孔(6)に向けて上方向に運ぶための流路を形成するように、前記第1のカバー部材(2)と前記第2のカバー部材(3)の間の前記吸気部(19)に配置されるバッフル(20)と、を備え
前記第1のカバー部材(2)と前記第2のカバー部材(3)の間には、前記吸気孔(6)に対応する開口部を有するベースプレート(5)が配置され、前記ベースプレート(5)は、前記第1のカバー部材(2)に密閉接合され、
前記ベースプレート(5)は、前記吸気孔(6)の外周に沿う溝(33)を有し、前記溝(33)は、前記第2のカバー部材(3)の内側面から垂直に突出する且つ曲線状の閉じた輪郭を有する端部壁(23)の密閉座部として機能し、前記端部壁(23)は、前記ベースプレート(5)と前記第2のカバー部材(3)の間の空間に、前記吸気孔(6)の外周の一部に沿って環状の空間を形成し、
前記吸気孔(6)を囲む前記端部壁(23)の略接線方向に沿って空気を案内する漏斗状の流路が、前記バッフル(20)と前記第2のカバー部材(3)の前記端部壁(23)によって形成されるため、前記流路の面積は、前記吸気部(19)の吸気領域から前記バッフル(20)の終端部(41)にある狭小な吸気領域(A)に向けて徐々に減少する、カバー構造体(1)。
【請求項2】
前記吸気部(19)は、前記第1のカバー部材(2)の上端部に対応する一端部を有し、前記一端部は、前記第1のカバー部材(2)の下端部にある前記吸気部(19)の他端部よりも前記後方領域(13)側に位置し、前記吸気部(19)は、前記後方領域(13)に向かう方向に傾斜する輪郭を有する、請求項1に記載のカバー構造体(1)。
【請求項3】
前記吸気部(19)において、前記第1のカバー部材(2)と前記第2のカバー部材(3)の間にスラット(12)が形成され、これらのスラット(12)は、前記吸気部(19)に対応するルーバー構造を形成する、請求項に記載のカバー構造体(1)。
【請求項4】
前記バッフル(20)および前記スラット(12)は、前記吸気部(19)の輪郭の傾斜方向に対して反対方向に傾斜する、請求項に記載のカバー構造体(1)。
【請求項5】
前記ベースプレート(5)は、前記吸気孔(6)の外周に沿う且つフィルタ(21)を受容する座部(8)をさらに備える、請求項に記載のカバー構造体(1)。
【請求項6】
前記吸気部(19)の吸気領域の高さは、前記第2のカバー部材(3)の外側面および前記第1のカバー部材(2)の前記後方領域(13)の外側面によって画定される高さよりも低い、請求項1に記載のカバー構造体(1)。
【請求項7】
前記凹状の前方領域(4)と前記後方領域(13)は、傾斜面(40)によって接合される、請求項に記載のカバー構造体(1)。
【請求項8】
前記凹状の前方領域(4)は、前記第1のカバー部材(2)の前端部から前記第1のカバー部材(2)の全長の約3分の2を占め、前記第2のカバー部材(3)は、前記第1のカバー部材(2)の前端部から前記第1のカバー部材(2)の全長の3分の1を覆う、請求項に記載のカバー構造体(1)。
【請求項9】
前記バッフル(20)は、前記第2のカバー部材(3)の前記端部壁(23)の延長部分である、請求項に記載のカバー構造体(1)。
【請求項10】
前記狭小な吸気領域(A)は、前記バッフル(20)の前記終端部(41)によって画定され、前記狭小な吸気領域(A)の流路は、前記吸気部(19)の吸気領域によって画定される流路の面積に対して50%以下の面積を有する、請求項に記載のカバー構造体(1)。
【請求項11】
前記第2のカバー部材(3)の前端部は、前記第1のカバー部材(2)の前端部上に位置しており、前記凹状の前方領域(4)の前記第2のカバー部材(3)に覆われていない部分は、無風領域となっており、前記無風領域から前記吸気部(19)を通って空気の流れが引き込まれる、請求項1に記載のカバー構造体(1)。
【請求項12】
前記第2のカバー部材(3)の外側面と前記後方領域(13)の外側面は、1つの平坦な外側面すなわち共通する前記カバー構造体(1)の外側面を形成する、請求項11に記載のカバー構造体(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オートバイのトランスミッションの片側に配置され、エンジンから後輪に駆動力を伝達するトランスミッション部材を保護するオートバイ用トランスミッションのカバー構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
このようなカバー構造体は、トランスミッション部材に対応する前方領域から後輪の従動軸に実質的に対応する後方領域まで、オートバイの進行方向に沿う長手方向に延在する。
【0003】
一般的に、カバー構造体は、大きな損傷を引き起こす要因となる泥、埃、ごみまたは水がトランスミッション・ギアへ進入することを防止する役割と、カバー構造体に形成された専用の開口部を介して引き込まれる空気を循環させる役割の2つの役割を担っている。
【0004】
そのため、引き込まれる空気は、可能な限り異物がない状態になされる。これに関連して、オートバイは、開口部を水や破片から保護する任意の車体要素を有してもよい。しかしながら、この車体要素がない場合、トランスミッション・ギアが汚染される可能性が高くなる。
【0005】
欧州特許出願第2,474,435A1号明細書は、カバー構造体の露出面に形成された開口部を有する吸気構造体を開示している。しかしながら、その開口部の位置には、開口部を保護するように適切に機能する車体要素が必要となる。
【0006】
欧州特許出願第2,827,024号明細書に記載されたCVT式トランスミッションのカバー構造体は、カバーの上端部に設けられて上向きに開口する吸気口を有し、この吸気口は、さらなる車体要素によって保護されるようになされている。
【0007】
一方、欧州特許出願第1,138,591号明細書に示すCVT式トランスミッションのカバーは、カバーの上端部に設けられて車両に対して横向きに開口する吸気口を同様に有し、カバー構造体の内部には、フィルタに空気を導入するためのU字状の流路が形成されている。
【0008】
さらに、欧州特許出願第1,880,934号明細書に記載されたCVT式トランスミッションのカバー構造体には、カバー構造体の前端部のスロットル・ボディに供給されるエア・クリーナーの空気のための吸気部と隣接する位置に、吸気口が夫々配置されている。
【0009】
また、欧州特許出願第2,019,233号明細書は、CVT式トランスミッションの側面用カバー構造体に設けられて横向きに開口する吸気開口部を開示しており、吸気開口部は、車両の後方に向けられた矢形の輪郭と、引き込まれた空気をフィルタに向けて運ぶための複雑な流路とを有している。薄くて著しく長いこの吸気開口部は、車両に対して横向きに開口する吸気口を画定している。
【0010】
結論として、オートバイまたはスクーター用トランスミッションのカバー構造体として知られる例において、空気をトランスミッションに向かわせる吸気口は、小型であるかまたは車両の車体部材によって保護されるようになされており、塵、埃または水等の外部要因によるトランスミッションへの汚染を防止するために、これらのカバー構造体には複雑な流路が設けられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の根底にある技術的課題は、従来技術に関連して述べた欠点を取り除くことが可能なカバー構造体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このような課題は、添付の請求項1に記載するおよび上述したカバー構造体によって解決される。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るカバー構造体が提供する主な利点は、追加的な保護用車体要素を必要としない且つ可能な限り広い開口部を有する吸気部から、清浄な空気が流入できることにある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
以下、本発明の一例として記載した非限定的で好適な一実施形態を、添付図面を参照して説明する。
図1】本発明の一実施形態に係るカバー構造体の斜視図である。
図2図1のカバー構造体の側部を示す部分断面図である。
図3図1のカバー構造体の吸気孔を示す部分断面図である。
図4図1のカバー構造体のベースプレートを示す平面図である。
図5図1のカバー構造体のカバー部材を示す背面図すなわち図4のベースプレートに対向するカバー部材の面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図面を参照すると、カバー構造体が全体として符号1によって示されている。カバー構造体は、トランスミッション部材を保護するのに適した第1のカバー部材2を備え、第1のカバー部材2は、トランスミッションすなわちエンジンの駆動軸に対応する前方領域から後輪の従動軸に実質的に対応する後方領域まで、符号Fによって示されるオートバイの進行方向に沿う長手方向に延在している。
【0016】
第1のカバー部材2は、トランスミッションの構成要素の一部であるギア部材(図示せず)を冷却する空気のための吸気孔6を備えている。この孔6は、上述した前方領域に配置されている。
【0017】
実際には、エンジンに連結されたギア部材は、クランクケース内に形成された吸引ファン(図示せず)を駆動させ、それにより、第1のカバー部材2の前方領域に配置されたトランスミッションの吸気ポートから空気が引き込まれる。このファンは、ギア部材の軸、特にエンジン自体の軸によって、直接駆動される。例示的且つ非限定的な使用目的において、トランスミッションは、CVT式(continuous variable transmission:無段変速機)であってもよい。
【0018】
そのため、吸気孔6は、オートバイ用トランスミッションの第1のカバー部材2の前方領域にある吸気ポートすなわちファンの駆動軸に配置されている。第1のカバー部材2の前方領域には、窪みまたは空洞を画定する凹部が形成され、この凹部は、従動側プーリ(図示せず)の軸に対応する支持孔16を有する後方領域13を除く、前方領域の全体に渡って延在している。
【0019】
したがって、本実施形態において、第1のカバー部材2の凹部と第1のカバー部材2の前方領域は、後方領域の外側面よりも低い高さを有する領域すなわち凹状の前方領域4を形成している。
【0020】
第1のカバー部材2は、オートバイのクランクケースに嵌合するのに適した外広がりの端部を有し、第1のカバー部材2は、第1のカバー部材2の外周に沿って設けられた固定孔15に取り付けられるボルトによって、クランクケースに固定されている。
【0021】
クランクケースは金属製であり、一方、カバー部材はプラスチック製であってもよい。
【0022】
構造体1は、第1のカバー部材2の前方領域の一部と重なり合う第2のカバー部材3を備えている。したがって、前方領域の一部は覆われている。
【0023】
具体的には、第2のカバー部材3の各端部と第1のカバー部材2の前方の各端部は、実質的に夫々重なり合っている。すなわち第2のカバー部材3の前端部は、第1のカバー部材2の前端部上に位置し、上端部および下端部も同様に、第1のカバー部材2上に位置する。
【0024】
したがって、第1のカバー部材2から物理的に独立している第2のカバー部材3は、吸気孔6を保護するように凹状の前方領域4の一部を覆っている。第2のカバー部材3は、第2のカバー部材3の孔32,34および第1のカバー部材2の孔9,10,11に螺合されるねじによって、第1のカバー部材2に固定されている。また、第1のカバー部材2と第2のカバー部材3の間に設けられるベースプレート5は、第1のカバー部材2にボルト留めされている。ベースプレート5も、吸気孔6に対応する開口部を有している。
【0025】
第1のカバー部材2の前端部および上下端部とベースプレート5は、第2のカバー部材3の各端部によって密閉接合される(図4)。これに関連して、ベースプレート5は、吸気孔6の外周に沿う溝33を有し、この溝33は、第2のカバー部材3の内側面から垂直に突出する端部壁23(図3および図5)の密閉座部として機能する。
【0026】
また、第1のカバー部材2の対応する溝に挿入されるシール部22が、ベースプレート5から突出するリブによって、ベースプレート5と第1のカバー部材2の間にさらに形成されている。
【0027】
第1のカバー部材2の凹状の前方領域4における第2のカバー部材3の一端部は、第1のカバー部材2の外側面すなわち第1のカバー部材2の前方領域から離間している。
【0028】
この第2のカバー部材3の一端部と第1のカバー部材2によって、凹状の前方領域4の第2のカバー部材3に覆われていない部分に吸気部19が形成されている。
【0029】
吸気部19は、第1のカバー部材2の上端部から下端部まで延在し、後方領域に対向して開口するすなわちオートバイの一般的な進行方向Fと反対方向に開口する幅広の吸気領域を画定している(図1図2および図5)。
【0030】
しかしながら、吸気部19の吸気領域は、凹状の前方領域4の凹部の内側に位置することでさらに保護されており、吸気部19の吸気領域の高さは、第2のカバー部材3の外側面および第1のカバー部材2の後方領域13の外側面によって画定される高さよりも低いことに留意されたい(図1)。第1のカバー部材2の凹状の前方領域4と後方領域13は、段差による乱流の発生を防止する傾斜面40によって接合されている。
【0031】
また、凹状の前方領域4は、第1のカバー部材2の前端部から第1のカバー部材2の全長の約3分の2を占め、一方、第2のカバー部材3は、第1のカバー部材2の前端部から第1のカバー部材2の全長の約3分の1を覆うことに留意されたい。
【0032】
第2のカバー部材3に覆われていない凹状の前方領域4の部分は、無風領域(calm zone)となっており、空気の流れはそこから引き込まれる。
【0033】
さらに、互いに同じ高さを有する第2のカバー部材3の外側面と後方領域13の外側面は、1つの平坦な外側面すなわち共通するカバー構造体1の外側面を形成して、カバー構造体1の空力特性を向上させる。
【0034】
吸気部19(図1および図2)の一端部は、第1のカバー部材2の上端部に対応しており、第1のカバー部材2の下端部にある吸気部19の他端部よりも後方領域13側に位置する。このように、吸気部19は、後方領域13に向かう方向に傾斜する輪郭を有する。
【0035】
また、カバー構造体1は、吸気部19のわずかに内側の位置で第1のカバー部材2と第2のカバー部材3の間に配置されるバッフル20を備え、このバッフル20は、空気を運ぶ流路を形成するように、吸気部19に対向する方向に傾斜している。具体的には、バッフル20は、バッフル20の端部を受容するベースプレート5の溝33内に装着されるように、第2のカバー部材3の内側面から垂直に突出している(図5)。
【0036】
吸気部19において、第1のカバー部材2と第2のカバー部材3の間に複数のスラットまたはフィン12が形成されている。これらのスラットまたはフィン12は、バッフル20と同様に、第2のカバー部材3と一体形成され、その内側面からベースプレート5に向かって垂直に突出している(図5)。
【0037】
実質的にルーバー構造を吸気部19に形成するこれらのスラット12は、トランスミッションによって引き込まれた空気を吸気孔6に向けて上方向に運ぶために、バッフル20と同様に、吸気部19の傾斜方向に対して反対方向に傾斜している。
【0038】
ベースプレート5は、吸気孔6の外周に沿って設けられた第1の歯部31と、吸気孔6を画定する端部と同心を有する外側線の上に設けられた第2の歯部35とによって画定される座部8をさらに備えている。第1の歯部31と第2の歯部35の間の空間には、環状に形成されたフィルタ21が配置されてもよい。
【0039】
上述した形状と、バッフル20および端部壁23によって、吸気孔6の全体を囲む保護空間が形成されることに留意されたい。空気は、吸気孔6に向けて上方向に運ばれる。このようにして、上述した対策をもすり抜けて吸気部19に進入したごみや液体は、環状の空間内に落下して、吸気孔6より下方に蓄積される。
【0040】
具体的には、本実施形態においておよび図5を参照すると、バッフル20は、第2のカバー部材3の端部壁23の延長部分であり、ベースプレート5と第2のカバー部材3の間の空間に、吸気孔6の外周の一部に沿って環状の空間を形成している。
【0041】
バッフル20は、吸気部19より狭小な吸気領域Aを画定する終端部41を有している。図が明確に示すように、狭小な吸気領域Aの開口部は、吸気部19によって画定される開口部の面積に対して50%以下の面積を有する。
【0042】
第2のカバー部材3の端部壁23は、曲線状の閉じた輪郭すなわち吸気孔6を囲む略円形の輪郭を有する。吸気孔6を囲む端部壁23の略接線方向に沿って空気を案内する漏斗状の流路が、バッフル20と第2のカバー部材3の端部壁23によって形成され、それにより、流路の面積は、吸気部19の吸気領域からバッフル20の終端部41にある狭小な吸気領域Aに向けて徐々に減少する。
【0043】
したがって、吸気部19から第2のカバー部材3内に引き込まれる空気の流れは、狭小な吸気領域Aを通過することで速度が増加され、第2のカバー部材3内の空気の循環が著しく促進される。このようにして、空気から、空気に含まれる可能性がある泥、ごみ、埃または水等の異物を容易に分離することができる。
【0044】
上述したカバー構造体に関して、当業者は、追加的および付随する要求を満たすために、添付の請求項によって定義される本発明の保護範囲内で、いくつかの追加的な変更および変形をすることができる。
図1
図2
図3
図4
図5