特許第6826541号(P6826541)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6826541
(24)【登録日】2021年1月19日
(45)【発行日】2021年2月3日
(54)【発明の名称】作業機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/00 20060101AFI20210121BHJP
【FI】
   E02F9/00 B
【請求項の数】5
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-560637(P2017-560637)
(86)(22)【出願日】2017年6月27日
(86)【国際出願番号】JP2017023495
(87)【国際公開番号】WO2019003289
(87)【国際公開日】20190103
【審査請求日】2020年2月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 健夫
(72)【発明者】
【氏名】仲村 将大
(72)【発明者】
【氏名】中島 剛介
【審査官】 亀谷 英樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−248569(JP,A)
【文献】 特開平10−292425(JP,A)
【文献】 特開2001−032331(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0166429(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/00−9/22
E02F 3/42−3/43
E02F 3/84−3/85
F15B 11/00−11/22
F15B 21/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機と、
前記作業機を搭載する旋回フレームと、
前記作業機を駆動する複数の油圧シリンダと、
前記油圧シリンダを駆動するために操作される操作装置と、
前記油圧シリンダに作動油を供給して前記油圧シリンダを動作させる複数の方向制御弁と、
前記操作装置が操作されることにより発生するパイロット油の圧力を制御し、前記パイロット油の圧力に応じて、前記方向制御弁から前記油圧シリンダに供給される前記作動油の流量を調整する、複数の電磁比例制御弁とを備え、
前記複数の電磁比例制御弁は、少なくとも1つの前記電磁比例制御弁を含む第1弁ブロックと、少なくとも1つの前記電磁比例制御弁を含む第2弁ブロックとに分割されており、
前記第1弁ブロックは前記旋回フレームの右方の縁部分の近くに配置され、前記第2弁ブロックは前記旋回フレームの前方の縁部分の近くに配置され、前記第1弁ブロックと前記第2弁ブロックとは互いに離れて配置されている、作業機械。
【請求項2】
前記第1弁ブロックと前記第2弁ブロックとは、前記作業機を挟んで両側に配置されている、請求項1に記載の作業機械。
【請求項3】
前記作業機は、ブームを有し、
前記複数の電磁比例制御弁は、前記ブームを強制的に上昇させるためのブーム強制上げ用弁を含み、
前記第1弁ブロックは、前記ブーム強制上げ用弁を含み、
前記第1弁ブロックは、前記第2弁ブロックよりも前記方向制御弁の近くに配置されている、請求項1または2に記載の作業機械。
【請求項4】
オペレータが搭乗するキャブを備え、前記操作装置は前記キャブ内に配置されており、
前記第2弁ブロックは、前記キャブの下方に配置されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の作業機械。
【請求項5】
前記作業機は、ブームと、前記ブームに対して回転可能なアームとを有し、
前記複数の電磁比例制御弁は、前記アームを掘削動作させるためのアーム掘削用弁を含み、
前記第1弁ブロックは、前記アーム掘削用弁を含む、請求項4に記載の作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の作業機械に関し、特開平10−292425号公報(特許文献1)には、各種油圧機器を制御する制御バルブを、ブーム用制御バルブ、バケット用制御バルブおよびアーム用制御バルブが連結固定された第1コントロールバルブと、旋回用制御バルブおよびドーザ用制御バルブが連結固定された第2コントロールバルブとに分割する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−292425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
また、作業機を駆動するための油圧シリンダに作動油を供給する方向制御弁に、当該方向制御弁を動作させるためのパイロット油が流れるパイロット油路が接続されており、このパイロット油路にパイロット油の圧力を調整する電磁比例制御弁が設けられている作業機械が、考案されている。
【0005】
作業機械が複数の電磁比例制御弁を備えている場合、限られた面積の車体フレーム上に、これら複数の電磁比例制御弁を適切に配置することが求められている。
【0006】
本発明の目的は、複数の電磁比例制御弁を適切に配置できる、作業機械を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る作業機械は、作業機と、作業機を駆動する複数の油圧シリンダと、油圧シリンダを駆動するために操作される操作装置と、油圧シリンダに作動油を供給して油圧シリンダを動作させる複数の方向制御弁と、複数の電磁比例制御弁とを備えている。電磁比例制御弁は、操作装置が操作されることにより発生するパイロット油の圧力を制御し、パイロット油の圧力に応じて、方向制御弁から油圧シリンダに供給される作動油の流量を調整する。複数の電磁比例制御弁は、少なくとも1つの電磁比例制御弁を含む第1弁ブロックと、少なくとも1つの電磁比例制御弁を含む第2弁ブロックとに分割されている。第1弁ブロックと第2弁ブロックとは互いに離れて配置されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の作業機械によると、複数の電磁比例制御弁を適切に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に基づく油圧ショベルの構成を概略的に示す側面図である。
図2図1に示す油圧ショベルの平面図である。
図3】油圧ショベルに適用される油圧回路図である。
図4】油圧ショベルの旋回フレーム上の各機器の配置を示す模式的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態について図に基づいて説明する。以下の説明では、同一部品には、同一の符号を付している。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0011】
実施形態においては、作業機械の一例として、後方小旋回型の油圧ショベル1について説明する。図1は、実施形態に基づく油圧ショベル1の構成を概略的に示す側面図である。図2は、図1に示す油圧ショベル1の平面図である。
【0012】
図1,2に示されるように、本実施形態の油圧ショベル1は、走行体2と、旋回体3と、作業機4とを主に有している。走行体2と旋回体3とにより、油圧ショベル1の本体が構成されている。
【0013】
走行体2は、左右一対の履帯2Aを有している。左右一対の履帯2Aが回転駆動することにより、油圧ショベル1が自走可能に構成されている。旋回体3は、走行体2に対して旋回自在に設置されている。旋回体3は、キャブ5と、外装パネル6と、カウンタウェイト7とを主に有している。
【0014】
キャブ5は、旋回体3の前方左側(車両前側)に配置されている。キャブ5の内部に、運転室が形成されている。運転室は、キャブ5に搭乗したオペレータが油圧ショベル1を操作するための空間である。運転室内には、オペレータが着座するための運転席と、油圧ショベル1を駆動するためにオペレータが操作する後述する操作装置とが配置されている。
【0015】
本実施形態においては、作業機4を基準として各部の位置関係について説明する。
作業機4のブーム4Aは、旋回体3に対して、ブームピンを中心に回転移動する。旋回体3に対して回動するブーム4Aの特定の部分、たとえばブーム4Aの先端部が移動する軌跡は円弧状であり、その円弧を含む平面が特定される。油圧ショベル1を平面視した場合に、当該平面は直線として表される。この直線の延びる方向が、車両本体の前後方向、または旋回体3の前後方向であり、以下では単に前後方向ともいう。車両本体の左右方向(車幅方向)、または旋回体3の左右方向とは、平面視において前後方向と直交する方向であり、以下では単に左右方向ともいう。左右方向とは、ブームピンの延びる方向をいう。車両本体の上下方向、または旋回体3の上下方向とは、前後方向および左右方向によって定められる平面に直交する方向であり、以下では単に上下方向ともいう。
【0016】
前後方向において、車両本体から作業機4が突き出している側が前方向であり、前方向と反対方向が後方向である。前方向を視て左右方向の右側、左側がそれぞれ右方向、左方向である。上下方向において地面のある側が下側、空のある側が上側である。
【0017】
前後方向とは、キャブ5内の運転席に着座したオペレータの前後方向である。左右方向とは、運転席に着座したオペレータの左右方向である。上下方向とは、運転席に着座したオペレータの上下方向である。運転席に着座したオペレータに正対する方向が前方向であり、運転席に着座したオペレータの背後方向が後方向である。運転席に着座したオペレータが正面に正対したときの右側、左側がそれぞれ右方向、左方向である。運転席に着座したオペレータの足元側が下側、頭上側が上側である。
【0018】
外装パネル6は、エンジンフード6Aと、土砂カバー6Bと、板金カバー6Cとを有している。エンジンフード6A、土砂カバー6Bおよび板金カバー6Cは、旋回体3の上面の一部を構成している。エンジンフード6Aおよび土砂カバー6Bは、開閉可能に構成されている。エンジンフード6Aおよび土砂カバー6Bは、軽量の樹脂材料で形成されている。板金カバー6Cは、旋回体3に対して相対移動不能に構成されており、鉄鋼材料などの金属材料で形成されている。
【0019】
エンジンフード6Aおよびカウンタウェイト7の各々は、旋回体3の後方側(車両後側)に配置されている。エンジンフード6Aは、エンジンルームの上方および後方を覆うように配置されている。エンジンルーム内には、エンジンユニット(エンジン、排気処理ユニットなど)が収納されている。エンジンフード6Aには、エンジンフード6Aの一部分が切り欠かれた開口が形成されている。エンジンの排気ガスを大気中に排出するための排気筒8が、この開口を経由して、エンジンフード6Aの上方に突き出している。
【0020】
カウンタウェイト7は、採掘時などにおいて油圧ショベル1の本体のバランスをとるために、エンジンルームの後方に配置されている。油圧ショベル1は、後面の旋回半径を小さくした、後方小旋回型の油圧ショベルとして形成されている。そのため、平面視したカウンタウェイト7の後面は、旋回体3の旋回中心を中心とした円弧状に形成されている。
【0021】
土砂カバー6Bおよび板金カバー6Cは、旋回体3の右側に配置されている。土砂カバー6Bおよび板金カバー6Cは、作業機4に対し右側に設けられている。
【0022】
作業機4は、土砂の掘削などの作業を行うためのものである。作業機4は、旋回体3の前方側に取り付けられている。作業機4は、たとえばブーム4A、アーム4B、バケット4C、油圧シリンダ4D,4E,4Fなどを有している。ブーム4A、アーム4Bおよびバケット4Cの各々が油圧シリンダ4F,4E,4Dによって駆動されることにより、作業機4は駆動可能である。
【0023】
ブーム4Aの基端部は、ブームピンを介して、旋回体3に連結されている。ブーム4Aは、ブームピンを中心として旋回体3に対して両方向に回転可能に、旋回体3に取り付けられている。ブーム4Aは、上下方向に作動可能である。アーム4Bの基端部は、アームピンを介して、ブーム4Aの先端部に連結されている。アーム4Bは、アームピンを中心としてブーム4Aに対して両方向に回転可能に、ブーム4Aに取り付けられいる。バケット4Cは、バケットピンを介して、アーム4Bの先端部に連結されている。バケット4Cは、バケットピンを中心としてアーム4Bに対して両方向に回転可能に、アーム4Bに取り付けられている。
【0024】
作業機4は、キャブ5に対し右側に設けられている。なお、キャブ5と作業機4との配置は図1,2に示す例に限られるものではなく、たとえば旋回体3の前方右側に配置されたキャブ5の左側に作業機4が設けられていてもよい。
【0025】
キャブ5は、運転席を覆って配置されている屋根部分と、屋根部分を支持する複数のピラーとを含んでいる。各々のピラーは、キャブ5の床部に連結されている下端と、キャブ5の屋根部分に連結されている上端とを有している。複数のピラーは、フロントピラー12と、リアピラーとを有している。フロントピラー12は、運転席に対し前方の、キャブ5のコーナ部に配置されている。リアピラーは、運転席に対し後方の、キャブ5のコーナ部に配置されている。
【0026】
フロントピラー12は、右ピラー13と、左ピラー14とを有している。右ピラー13は、キャブ5の前方右隅に配置されている。左ピラー14は、キャブ5の前方左隅に配置されている。キャブ5に対し右方に、作業機4が配置されている。右ピラー13は、作業機4に近い側に配置されている。左ピラー14は、作業機4から離れる側に配置されている。
【0027】
右ピラー13と、左ピラー14と、一対のリアピラーとによって囲まれた空間は、キャブ5の室内空間を形成している。運転席は、キャブ5の室内空間に収容されている。キャブ5の左側面には、オペレータがキャブ5に乗降するためのドアが設けられている。
【0028】
右ピラー13と左ピラー14との間には、前窓15が配置されている。前窓15は、運転席に対し前方に配置されている。前窓15は、透明材料により形成されている。運転席に着座しているオペレータは、前窓15を通して、キャブ5の外部を視認可能である。たとえば運転席に着座しているオペレータは、前窓15を通して、土砂を掘削するバケット4C、および施工対象の現況地形などを、直接見ることができる。
【0029】
キャブ5には、ステー11Bを介して、ミラー11Aが取り付けられている。ミラー11Aは、キャブ5に対し後方に配置されている。ミラー11Aは、キャブ5の屋根部分よりも下方に配置されている。
【0030】
図3は、油圧ショベル1に適用される油圧回路図である。図3に示す本実施形態の油圧システムでは、油圧ポンプ31が、エンジン33によって駆動される。油圧ポンプ31は、油圧シリンダ4D,4E,4F、および走行モータ16,17などの油圧アクチュエータを駆動するための駆動源となる。油圧ポンプ31から吐出された油の一部は、主操作弁34を経由して、油圧アクチュエータに供給される。油圧アクチュエータを作動するために、その油圧アクチュエータに供給される油は、作動油と称される。油圧アクチュエータから流出する作動油は、主操作弁34を経由してタンク35に排出される。
【0031】
主操作弁34は、複数の方向制御弁を有している。方向制御弁は、第1受圧室および第2受圧室に供給される油によって作動して、各油圧アクチュエータに対して作動油が流れる方向および流量を制御する。方向制御弁を作動するために、その第1受圧室および第2受圧室に供給される油は、パイロット油と称される。パイロット油の圧力はパイロット圧と称される。
【0032】
方向制御弁は、ロッド状のスプールを有している。方向制御弁は、スプールが軸方向に移動することにより、油圧アクチュエータに供給される作動油の流れ方向、および、油圧アクチュエータに対する作動油の単位時間当たりの供給量を調整する。油圧アクチュエータに対する作動油の供給量が調整されることにより、油圧アクチュエータの移動速度が調整される。油圧シリンダ4D,4E,4Fの移動速度を調整することにより、バケット4C、アーム4Bおよびブーム4Aの速度が制御される。
【0033】
複数の方向制御弁は、図3に示すように、アーム用パイロット切換弁36、ブーム用パイロット切換弁37、左走行用パイロット切換弁38、右走行用パイロット切換弁39、およびバケット用パイロット切換弁40を含んでいる。
【0034】
アーム用パイロット切換弁36は、油圧シリンダ4Eへの作動油の供給および排出を制御し、アーム4Bを作動制御する。ブーム用パイロット切換弁37は、油圧シリンダ4Fへの作動油の供給および排出を制御し、ブーム4Aを作動制御する。左走行用パイロット切換弁38は、左走行モータ17への作動油の供給および排出を制御し、左走行モータ17を作動制御する。右走行用パイロット切換弁39は、右走行モータ16への作動油の供給および排出を制御し、右走行モータ16を作動制御する。バケット用パイロット切換弁40は、油圧シリンダ4Dへの作動油の供給および排出を制御し、バケット4Cを作動制御する。
【0035】
アーム用パイロット切換弁36、ブーム用パイロット切換弁37、左走行用パイロット切換弁38、右走行用パイロット切換弁39およびバケット用パイロット切換弁40は、各々一対のパイロットポートp1,p2を有している。各パイロットポートを経由して各受圧室に供給されるパイロット油の圧力(パイロット圧)に応じて、各パイロット切換弁36〜40が制御される。
【0036】
ブーム用パイロット切換弁37およびバケット用パイロット切換弁40の各パイロットポートp1,p2に印加されるパイロット圧は、第1操作レバー装置41が操作されることによって制御される。アーム用パイロット切換弁36の各パイロットポートp1,p2に印加されるパイロット圧は、第2操作レバー装置42が操作されることによって制御される。オペレータは、第1操作レバー装置41および第2操作レバー装置42を操作することにより、作業機4の動作および旋回体3の旋回動作を制御する。第1操作レバー装置41および第2操作レバー装置42は、作業機4を駆動するオペレータの操作を受け付ける操作装置を構成している。操作装置は、油圧シリンダ4D,4E,4Fを駆動するために操作される。
【0037】
第1操作レバー装置41は、オペレータによって操作される第1操作レバー44を有している。第1操作レバー装置41は、第1パイロット圧制御弁41A、第2パイロット圧制御弁41B、第3パイロット圧制御弁41C、および第4パイロット圧制御弁41Dを有している。第1操作レバー44の前後左右の4方向に対応して、第1パイロット圧制御弁41A、第2パイロット圧制御弁41B、第3パイロット圧制御弁41C、第4パイロット圧制御弁41Dが設けられている。
【0038】
各パイロット圧制御弁41A〜41Dは、第1操作レバー44に接続されている。各パイロット圧制御弁41A〜41Dは、第1操作レバー44が操作されることにより発生するパイロット圧を出力して、作業機4用の油圧シリンダ4D,4Fの駆動を制御する。
【0039】
第2操作レバー装置42は、オペレータによって操作される第2操作レバー45を有している。第2操作レバー装置42は、第5パイロット圧制御弁42A、第6パイロット圧制御弁42B、第7パイロット圧制御弁42C、および第8パイロット圧制御弁42Dを有している。第2操作レバー45の前後左右の4方向に対応して、第5パイロット圧制御弁42A、第6パイロット圧制御弁42B、第7パイロット圧制御弁42C、第8パイロット圧制御弁42Dが設けられている。
【0040】
各パイロット圧制御弁42A〜42Dは、第2操作レバー45に接続されている。各パイロット圧制御弁42A〜42Dは、第2操作レバー45が操作されることにより発生するパイロット圧を出力して、作業機4用の油圧シリンダ4Eおよび旋回モータの駆動を制御する。
【0041】
第1パイロット圧制御弁41Aは、第1ポンプポートX1と、第1タンクポートY1と、第1給排ポートZ1とを有している。
【0042】
第1ポンプポートX1は、ポンプ流路51に接続されている。ポンプ流路51は、油圧ポンプ31に接続されている。ポンプ流路51には、図示しない減圧弁が設けられている。油圧ポンプ31から吐出された油の一部は、ポンプ流路51を経由して減圧弁で減圧されて、パイロット油として第1パイロット圧制御弁41Aに供給される。
【0043】
第1タンクポートY1は、タンク流路52に接続されている。タンク流路52は、タンク35に接続されている。タンク35は、油を貯留する。
【0044】
第1給排ポートZ1は、第1パイロット油路53に接続されている。第1パイロット油路53は、第1操作レバー装置41の第1パイロット圧制御弁41Aと、ブーム用パイロット切換弁37の第2パイロットポートp2とを接続している。
【0045】
第1パイロット圧制御弁41Aは、第1操作レバー44の操作に応じて、出力状態と、排出状態とに切り換えられる。第1パイロット圧制御弁41Aは、出力状態では、第1ポンプポートX1と第1給排ポートZ1とを連通させ、第1操作レバー44の操作量に応じた圧力のパイロット油を第1給排ポートZ1から第1パイロット油路53に出力する。また、第1パイロット圧制御弁41Aは、排出状態では、第1タンクポートY1と第1給排ポートZ1とを連通させる。
【0046】
第2パイロット圧制御弁41Bは、第2ポンプポートX2と、第2タンクポートY2と、第2給排ポートZ2とを有している。第2ポンプポートX2は、ポンプ流路51に接続されている。第2タンクポートY2は、タンク流路52に接続されている。
【0047】
第2給排ポートZ2は、第2パイロット油路54に接続されている。第2パイロット油路54は、第1操作レバー装置41の第2パイロット圧制御弁41Bと、ブーム用パイロット切換弁37の第1パイロットポートp1とを接続している。
【0048】
第2パイロット圧制御弁41Bは、第1操作レバー44の操作に応じて、出力状態と、排出状態とに切り換えられる。第2パイロット圧制御弁41Bは、出力状態では、第2ポンプポートX2と第2給排ポートZ2とを連通させ、第1操作レバー44の操作量に応じた圧力のパイロット油を第2給排ポートZ2から第2パイロット油路54に出力する。また、第2パイロット圧制御弁41Bは、排出状態では、第2タンクポートY2と第2給排ポートZ2とを連通させる。
【0049】
第1パイロット圧制御弁41Aと第2パイロット圧制御弁41Bとは、対になっており、互いに反対向きの第1操作レバー44の操作方向に対応している。たとえば、第1パイロット圧制御弁41Aが第1操作レバー44の前方への操作に対応し、第2パイロット圧制御弁41Bが第1操作レバー44の後方への操作に対応している。第1パイロット圧制御弁41Aと第2パイロット圧制御弁41Bとは、第1操作レバー44の操作によって、択一的に選択される。第1パイロット圧制御弁41Aと第2パイロット圧制御弁41Bとの一方が出力状態であるとき、他方は排出状態となる。
【0050】
第1パイロット圧制御弁41Aは、ブーム用パイロット切換弁37の第2パイロットポートp2へのパイロット油の供給および排出を制御する。第2パイロット圧制御弁41Bは、ブーム用パイロット切換弁37の第1パイロットポートp1へのパイロット油の供給および排出を制御する。第1操作レバー44の操作に応じて、油圧シリンダ4Fのボトム側油室およびヘッド側油室に対する作動油の供給および排出が制御され、油圧シリンダ4Fが伸長または収縮する移動量および移動速度が制御される。
【0051】
第1操作レバー44は、ブーム4Aを駆動するユーザ操作を受け付ける。第2パイロット圧制御弁41Bは、ブーム4Aを上昇させようとするユーザ操作に応じた油圧信号を出力する。第1パイロット圧制御弁41Aは、ブーム4Aを下降させようとするユーザ操作に応じた油圧信号を出力する。第1操作レバー44の操作によって出力される油圧信号は、ブーム4Aを上昇操作するためのブーム上昇信号と、ブーム4Aを下降操作するためのブーム下降信号とを含み得る。これにより、第1操作レバー44の操作に従って、ブーム4Aの上げ方向または下げ方向への動作が制御される。
【0052】
ブーム用パイロット切換弁37の第1パイロットポートp1は、ブーム4Aを上昇させる動作時にパイロット油が供給される、ブーム上げ用パイロットポートとしての機能を有している。ブーム用パイロット切換弁37の第2パイロットポートp2は、ブーム4Aを下降させる動作時にパイロット油が供給される、ブーム下げ用パイロットポートとしての機能を有している。第1操作レバー装置41は、ブーム4Aを駆動するためのオペレータの操作を受け付けるブーム操作装置を構成している。
【0053】
第1操作レバー装置41および第2操作レバー装置42と主操作弁34とを接続する油圧経路には、中継ブロック70が設けられている。中継ブロック70は、複数の電磁比例制御弁73〜79を含んで構成されている。電磁比例制御弁73は、第1パイロット油路53に設けられている。電磁比例制御弁74は、第2パイロット油路54に設けられている。電磁比例制御弁73,74は、第1操作レバー44の操作に応じてブーム4Aの上下動作を制御するために設けられている。
【0054】
第1操作レバー44の操作に従って、第1パイロット圧制御弁41Aと電磁比例制御弁73との間の第1パイロット油路53内に油圧が生じる。電磁比例制御弁73は、この油圧に基づいて制御される。当該油圧に応じて、電磁比例制御弁73に対してブーム下げを指示する指令信号が出力されて、電磁比例制御弁73の開度が調節される。これにより、第1パイロット油路53を流れるパイロット油の流量が変化して、ブーム用パイロット切換弁37の第2パイロットポートp2に伝わるパイロット圧が制御される。第2パイロットポートp2に伝わるパイロット圧の大きさに応じて、ブーム用パイロット切換弁37のスプールが移動する。このスプールの移動量により、ブーム用パイロット切換弁37から油圧シリンダ4Fのヘッド側油室に供給される作動油の供給量が調整されて、ブーム4Aを下降させるときのブーム4Aの速度が調整される。
【0055】
第1操作レバー44の操作に従って、第2パイロット圧制御弁41Bと電磁比例制御弁74との間の第2パイロット油路54内に油圧が生じる。電磁比例制御弁74は、この油圧に基づいて制御される。当該油圧に応じて、電磁比例制御弁74に対してブーム上げを指示する指令信号が出力されて、電磁比例制御弁74の開度が調節される。これにより、第2パイロット油路54を流れるパイロット油の流量が変化して、ブーム用パイロット切換弁37の第1パイロットポートp1に伝わるパイロット圧が制御される。第1パイロットポートp1に伝わるパイロット圧の大きさに応じて、ブーム用パイロット切換弁37のスプールが移動する。このスプールの移動量により、ブーム用パイロット切換弁37から油圧シリンダ4Fのボトム側油室に供給される作動油の供給量が調整されて、ブーム4Aを上昇させるときのブーム4Aの速度が調整される。
【0056】
第2パイロット油路54には、シャトル弁80が設けられている。シャトル弁80は、2つの入口ポートと1つの出口ポートとを有している。シャトル弁80の出口ポートは、第2パイロット油路54を介して、ブーム用パイロット切換弁37の第1パイロットポートp1に接続されている。シャトル弁80の入口ポートの一方は、第2パイロット油路54を介して、第2パイロット圧制御弁41Bに接続されている。シャトル弁80の入口ポートの他方は、ポンプ流路55に接続されている。
【0057】
ポンプ流路55は、ポンプ流路51から分岐している。ポンプ流路55の一方端はポンプ流路51に接続されており、ポンプ流路55の他方端はシャトル弁80に接続されている。油圧ポンプ31によって移送されるパイロット油は、ポンプ流路51を経由して第1操作レバー装置41および第2操作レバー装置42へ流れ、また、ポンプ流路51,55を経由してシャトル弁80へ流れる。
【0058】
シャトル弁80は、高圧優先形のシャトル弁である。シャトル弁80は、入口ポートの一方に接続された第2パイロット油路54内の油圧と、入口ポートの他方に接続されたポンプ流路55内の油圧とを比較し、高圧側の圧力を選択する。シャトル弁80は、第2パイロット油路54とポンプ流路55とのうち、高圧側の流路を出口ポートに連通し、当該高圧側の流路を流れるパイロット油をブーム用パイロット切換弁37の第1パイロットポートp1に供給する。
【0059】
ポンプ流路55には、電磁比例制御弁75が設けられている。電磁比例制御弁75は、中継ブロック70に含まれている。電磁比例制御弁75は、オペレータによる第1操作レバー装置41の操作に関わらず、コントローラから出力された指令信号を受けてその開度を調節する。電磁比例制御弁75の開度変化により、ポンプ流路55を流れるパイロット油の流量が変化する。
【0060】
介入制御を実行しない通常制御の場合、電磁比例制御弁75は全閉にされる。シャトル弁80の入口において、ポンプ流路55内の油圧よりも第2パイロット油路54内の油圧のほうが大きいと、シャトル弁80は、第2パイロット油路54を出口ポートに連通する。第2パイロット油路54内のパイロット油が、ブーム用パイロット切換弁37の第1パイロットポートp1に供給される。
【0061】
バケット4Cの刃先が設計地形に侵入しないようにする介入制御が実行される場合、電磁比例制御弁74,75によって調整されたパイロット圧が、ブーム用パイロット切換弁37の第1パイロットポートp1に伝えられる。第1操作レバー44の操作に従って作業機4を動作させるとバケット4Cの刃先が設計地形よりも下方に移動して設計地形に侵入してしまうことになる場合には、ブーム4Aを強制的に上昇させる制御が行なわれる。この場合、電磁比例制御弁75が開状態になり、ポンプ流路55内の高圧のパイロット油がブーム用パイロット切換弁37の第1パイロットポートp1に供給される。
【0062】
第2パイロット油路54とポンプ流路55とは、いずれもブーム上げ用パイロット油路としての機能を有している。さらに詳述すれば、第2パイロット油路54は、ブーム通常上げ用パイロット油路として機能し、ポンプ流路55は、ブーム強制上げ用パイロット油路として機能する。第2パイロット油路54に設けられた電磁比例制御弁74は、ブーム通常上げ用の電磁比例制御弁と表現でき、ポンプ流路55に設けられた電磁比例制御弁75は、ブーム強制上げ用の電磁比例制御弁と表現できる。電磁比例制御弁75は、ブーム上げ強制介入用の弁である。電磁比例制御弁75の開度調節によって、ブーム4Aの強制的な上げ動作が制御される。
【0063】
第3パイロット圧制御弁41Cおよび第4パイロット圧制御弁41Dは、上述した第1パイロット圧制御弁41Aおよび第2パイロット圧制御弁41Bと同様の構成を有している。第3パイロット圧制御弁41Cおよび第4パイロット圧制御弁41Dは、第1パイロット圧制御弁41Aおよび第2パイロット圧制御弁41Bと同様に、対になっており、第1操作レバー44の操作によって択一的に選択される。たとえば、第3パイロット圧制御弁41Cが第1操作レバー44の左方への操作に対応し、第4パイロット圧制御弁41Dが第1操作レバー44の右方への操作に対応している。
【0064】
第3パイロット圧制御弁41Cは、ポンプ流路51、タンク流路52、および第3パイロット油路56に接続されている。第3パイロット油路56は、第1操作レバー装置41の第3パイロット圧制御弁41Cと、バケット用パイロット切換弁40の第2パイロットポートp2とを接続している。第4パイロット圧制御弁41Dは、ポンプ流路51、タンク流路52、および第4パイロット油路57に接続されている。第4パイロット油路57は、第1操作レバー装置41の第4パイロット圧制御弁41Dと、バケット用パイロット切換弁40の第1パイロットポートp1を接続している。
【0065】
第3パイロット圧制御弁41Cは、バケット用パイロット切換弁40の第2パイロットポートp2へのパイロット油の供給および排出を制御する。第4パイロット圧制御弁41Dは、バケット用パイロット切換弁40の第1パイロットポートp1へのパイロット油の供給および排出を制御する。第1操作レバー44の操作に応じて、油圧シリンダ4Dのボトム側油室およびヘッド側油室に対する作動油の供給および排出が制御され、油圧シリンダ4Dが伸長または収縮する移動量および移動速度が制御される。
【0066】
第1操作レバー44は、バケット4Cを駆動するユーザ操作を受け付ける。第1操作レバー装置41は、バケット4Cを駆動するためのオペレータの操作を受け付けるバケット操作装置を構成している。
【0067】
第4パイロット圧制御弁41Dは、バケット4Cの刃先が旋回体3から離れるダンプ方向にバケット4Cを移動させようとするユーザ操作に応じた油圧信号を出力する。第3パイロット圧制御弁41Cは、バケット4Cの刃先が旋回体3へ近づく掘削方向にバケット4Cを移動させようとするユーザ操作に応じた油圧信号を出力する。第1操作レバー44の操作によって出力される油圧信号は、バケット4Cをダンプ操作するためのバケットダンプ信号と、バケット4Cを掘削操作するためのバケット掘削信号とを含み得る。これにより、第1操作レバー44の操作に従って、バケット4Cの掘削方向またはダンプ方向への動作が制御される。
【0068】
電磁比例制御弁76は、第3パイロット油路56に設けられている。電磁比例制御弁76は、第3パイロット圧制御弁41Cを介して第3パイロット油路56に供給されるパイロット油の圧力に応じて、バケット用パイロット切換弁40の第2パイロットポートp2に伝わるパイロット圧を制御する。第2パイロットポートp2に伝わるパイロット圧の大きさに応じて、バケット用パイロット切換弁40のスプールが移動する。このスプールの移動量により、バケット用パイロット切換弁40から油圧シリンダ4Dのボトム側油室に供給される作動油の供給量が調整されて、バケット4Cを掘削方向に移動させるときのバケット4Cの速度が調整される。
【0069】
電磁比例制御弁77は、第4パイロット油路57に設けられている。電磁比例制御弁77は、第4パイロット圧制御弁41Dを介して第4パイロット油路57に供給されるパイロット油の圧力に応じて、バケット用パイロット切換弁40の第1パイロットポートp1に伝わるパイロット圧を制御する。第1パイロットポートp1に伝わるパイロット圧の大きさに応じて、バケット用パイロット切換弁40のスプールが移動する。このスプールの移動量により、バケット用パイロット切換弁40から油圧シリンダ4Dのヘッド側油室に供給される作動油の供給量が調整されて、バケット4Cをダンプ方向に移動させるときのバケット4Cの速度が調整される。
【0070】
第5パイロット圧制御弁42A、第6パイロット圧制御弁42B、第7パイロット圧制御弁42C、および第8パイロット圧制御弁42Dは、上述した第1パイロット圧制御弁41A、第2パイロット圧制御弁41B、第3パイロット圧制御弁41C、第4パイロット圧制御弁41Dと同様の構成を有している。第5パイロット圧制御弁42Aと第6パイロット圧制御弁42Bとは対になっており、第2操作レバー45の操作によって択一的に選択される。第7パイロット圧制御弁42Cと第8パイロット圧制御弁42Dとは対になっており、第2操作レバー45の操作によって択一的に選択される。
【0071】
たとえば、第5パイロット圧制御弁42Aが第2操作レバー45の前方への操作に対応し、第6パイロット圧制御弁42Bが第2操作レバー45の後方への操作に対応し、第7パイロット圧制御弁42Cが第2操作レバー45の左方への操作に対応し、第8パイロット圧制御弁42Dが第2操作レバー45の右方への操作に対応している。
【0072】
第5パイロット圧制御弁42Aは、ポンプ流路51、タンク流路52、および第5パイロット油路60に接続されている。第6パイロット圧制御弁42Bは、ポンプ流路51、タンク流路52、および第6パイロット油路61に接続されている。旋回体3を旋回させる図示しない油圧モータは、第5パイロット圧制御弁42Aを介して第5パイロット油路60に供給されるパイロット油の圧力、および、第6パイロット圧制御弁42Bを介して第6パイロット油路61に供給されるパイロット油の圧力に基づいて、制御される。当該油圧モータは、第5パイロット油路60にパイロット油が供給される場合と、第6パイロット油路61にパイロット油が供給される場合とでは、逆方向に回転駆動する。第2操作レバー45の操作方向および操作量に応じて、旋回体3の旋回方向と旋回速度とが制御される。
【0073】
第7パイロット圧制御弁42Cは、ポンプ流路51、タンク流路52、および第7パイロット油路58に接続されている。第7パイロット油路58は、第2操作レバー装置42の第7パイロット圧制御弁42Cと、アーム用パイロット切換弁36の第1パイロットポートp1とを接続している。第8パイロット圧制御弁42Dは、ポンプ流路51、タンク流路52、および第8パイロット油路59に接続されている。第8パイロット油路59は、第2操作レバー装置42の第8パイロット圧制御弁42Dと、アーム用パイロット切換弁36の第2パイロットポートp2とを接続している。
【0074】
第7パイロット圧制御弁42Cは、アーム用パイロット切換弁36の第1パイロットポートp1へのパイロット油の供給および排出を制御する。第8パイロット圧制御弁42Dは、アーム用パイロット切換弁36の第2パイロットポートp2へのパイロット油の供給および排出を制御する。第2操作レバー45の操作に応じて、油圧シリンダ4Eのボトム側油室およびヘッド側油室に対する作動油の供給および排出が制御され、油圧シリンダ4Eが伸長または収縮する移動量および移動速度が制御される。
【0075】
第2操作レバー45は、アーム4Bを駆動するユーザ操作を受け付ける。第2操作レバー装置42は、アーム4Bを駆動するためのオペレータの操作を受け付けるアーム操作装置を構成している。
【0076】
第8パイロット圧制御弁42Dは、アーム4Bが旋回体3へ近づくアーム掘削方向へアーム4Bを移動させようとするユーザ操作に応じた油圧信号を出力する。第7パイロット圧制御弁42Cは、アーム4Bが旋回体3から離れるアームダンプ方向へアーム4Bを移動させようとするユーザ操作に応じた油圧信号を出力する。第2操作レバー45の操作によって出力される油圧信号は、アーム4Bをダンプ操作するためのアームダンプ信号と、アーム4Bを掘削操作するためのアーム掘削信号とを含み得る。これにより、第2操作レバー45の操作に従って、アーム4Bの掘削方向またはダンプ方向への動作が制御される。
【0077】
電磁比例制御弁78は、第7パイロット油路58に設けられている。電磁比例制御弁78は、第7パイロット圧制御弁42Cを介して第7パイロット油路58に供給されるパイロット油の圧力に応じて、アーム用パイロット切換弁36の第1パイロットポートp1に伝わるパイロット圧を制御する。第1パイロットポートp1に伝わるパイロット圧の大きさに応じて、アーム用パイロット切換弁36のスプールが移動する。このスプールの移動量により、アーム用パイロット切換弁36から油圧シリンダ4Eのヘッド側油室に供給される作動油の供給量が調整されて、アームダンプ方向にアーム4Bを移動させるときのアーム4Bの速度が調整される。
【0078】
電磁比例制御弁79は、第8パイロット油路59に設けられている。電磁比例制御弁79は、第8パイロット圧制御弁42Dを介して第8パイロット油路59に供給されるパイロット油の圧力に応じて、アーム用パイロット切換弁36の第2パイロットポートp2に伝わるパイロット圧を制御する。第2パイロットポートp2に伝わるパイロット圧の大きさに応じて、アーム用パイロット切換弁36のスプールが移動する。このスプールの移動量により、アーム用パイロット切換弁36から油圧シリンダ4Eのボトム側油室に供給される作動油の供給量が調整されて、アーム掘削方向にアーム4Bを移動させるときの、アーム4Bの速度が調整される。
【0079】
第1操作レバー装置41および第2操作レバー装置42と、中継ブロック70との間の油圧経路に、パターン切替バルブ62が設けられている。パターン切替バルブ62を操作することにより、第1操作レバー44および第2操作レバー45の操作方向と、作業機4の動作および旋回体3の旋回動作との対応関係の設定を、所望のパターンに切り替えることができる。たとえば、パターン切替バルブ62を操作することにより、第1操作レバー44の前後方向への操作を、ブーム4Aの上下動に対応させることができ、またはアーム4Bの掘削方向およびダンプ方向への移動に対応させることができる。
【0080】
複数の電磁比例制御弁73〜79を含んで構成されている中継ブロック70は、第1弁ブロック71と、第2弁ブロック72とに分割されている。第1弁ブロック71は、ブーム下げ用の電磁比例制御弁73と、ブーム通常上げ用の電磁比例制御弁74と、ブーム強制上げ用の電磁比例制御弁75と、アーム掘削用の電磁比例制御弁79とを含んでいる。第2弁ブロック72は、バケット掘削用の電磁比例制御弁76と、バケットダンプ用の電磁比例制御弁77と、アームダンプ用の電磁比例制御弁78とを含んでいる。
【0081】
第1弁ブロック71に含まれる電磁比例制御弁73,74,75,79は、互いに連結固定されており、一体の構造物として形成されている。第2弁ブロック72に含まれる電磁比例制御弁76,77,78は、互いに連結固定されており、一体の構造物として形成されている。第1弁ブロック71と第2弁ブロック72とは、別々の構造物として形成されている。
【0082】
複数の方向制御弁を含んで構成されている主操作弁34は、1ブロック化されている。主操作弁34に含まれている複数のパイロット切換弁36〜40は、複数のブロックに分割されることなく、一体の構造物として形成されている。
【0083】
図4は、油圧ショベル1の旋回フレーム20上の各機器の配置を示す模式的な平面図である。図4に示すように、油圧ショベル1の旋回体3は、旋回フレーム20を有している。旋回フレーム20は、図1,2に示す走行体2の上方に配置されており、走行体2に対して任意の方向に旋回自在に設けられている。
【0084】
エンジン33、および図4には図示しない作業機4、キャブ5などは、旋回フレーム20上に搭載されており、旋回フレーム20の上面に配置されている。
【0085】
旋回体3は、仕切板21を有している。仕切板21は、左右方向に延び、かつ上下方向に延びる、平板状の概略形状を有している。仕切板21は、エンジン33を収容するエンジンルームの前方の側壁を構成している。仕切板21は、キャブ5とエンジンルームとを仕切っている。エンジンルームは、エンジンフード6A(図1,2)、仕切板21およびカウンタウェイト(図1)によって上方および側方を覆われて規定されている。エンジンルームは、旋回体3の後部に形成されている。
【0086】
旋回フレーム20における左右方向の中央部の前端部には、センタブラケット22が設けられている。作業機4(図1,2)の基端部は、センタブラケット22に取り付けられている。センタブラケット22は、作業機4を旋回体3に対して回転可能に支持しており、作業機4の旋回体3への取付部分を構成している。
【0087】
エンジンルーム内に、4つのエンジンマウント23が設けられている。エンジンマウント23の上面は、平面状に形成されている。エンジンマウント23の上面は、旋回フレーム20の上面と平行である。エンジン33は、エンジンマウント23上に搭載されている。エンジン33は、エンジンマウント23を介して、旋回フレーム20に搭載されている。
【0088】
油圧ポンプ31は、エンジン33に直結されており、エンジン33の回転駆動力を受けて駆動する。油圧ポンプ31は、エンジン33の右方に配置されている。油圧ポンプ31は、仕切板21の後方に配置されている。油圧ポンプ31は、旋回フレーム20の右後方の隅部分に配置されている。
【0089】
仕切板21の前方、かつセンタブラケット22の左方に、4つのキャブマウント24が設けられている。キャブ5の四隅に対応する位置に、4つのキャブマウント24が配置されている。キャブマウント24は、旋回フレーム20上に搭載されている。キャブ5は、キャブマウント24の上に載せ置かれている。キャブ5と旋回フレーム20との間に、キャブマウント24が介在している。キャブ5は、キャブマウント24を介して、旋回フレーム20の上方に配置されている。キャブ5は、旋回フレーム20の上方に、旋回フレーム20と間隔を空けて配置されている。キャブ5の下面と旋回フレーム20の上面との間には、中空のキャブ下空間が形成されている。
【0090】
第1操作レバー装置41および第2操作レバー装置42は、キャブ5内に配置されている。第1操作レバー装置41は、オペレータが第1操作レバー44を右手で容易に操作できるように、キャブ5内の右側に配置されている。第2操作レバー装置42は、オペレータが第2操作レバー45を左手で容易に操作できるように、キャブ5内の左側に配置されている。第1操作レバー装置41と第2操作レバー装置42とは、ほぼ同じ前後方向の位置に配置されている。第1操作レバー装置41と第2操作レバー装置42とは、左右方向に並んで配置されている。第1操作レバー装置41は、第2操作レバー装置42よりも右方に配置されている。第2操作レバー装置42は、第1操作レバー装置41よりも左方に配置されている。
【0091】
第1パイロット圧制御弁41A、第2パイロット圧制御弁41B、第3パイロット圧制御弁41Cおよび第4パイロット圧制御弁41Dは、第1操作レバー44の下方に配置されている。第5パイロット圧制御弁42A、第6パイロット圧制御弁42B、第7パイロット圧制御弁42Cおよび第8パイロット圧制御弁42Dは、第2操作レバー45の下方に配置されている。
【0092】
パターン切替バルブ62と第2弁ブロック72とは、キャブ5の下方に配置されている。パターン切替バルブ62と第2弁ブロック72とは、キャブ下空間内に配置されている。パターン切替バルブ62と第2弁ブロック72とは、旋回フレーム20上に搭載されている。パターン切替バルブ62および第2弁ブロック72の上方は、キャブ5によって覆われている。パターン切替バルブ62と第2弁ブロック72とは、センタブラケット22よりも左方に配置されており、したがって作業機4よりも左方に配置されている(図2も併せて参照)。
【0093】
パターン切替バルブ62は、キャブ下空間の左方の縁部分の近くに配置されている。パターン切替バルブ62は、キャブ5を左右方向に二等分する中心線よりも左側に配置されている。パターン切替バルブ62は、第2弁ブロック72よりも左方に配置されている。パターン切替バルブ62は、第2操作レバー装置42とほぼ同じ左右方向の位置に配置されている。パターン切替バルブ62は、旋回フレーム20の左方の縁部分の近くに配置されている。キャブ5の下方の左側の外装パネルの一部を開放することで、作業者がパターン切替バルブ62に容易にアクセス可能なように、パターン切替バルブ62は配置されている。
【0094】
第2弁ブロック72は、キャブ下空間の前方の縁部分の近くに配置されている。第2弁ブロック72は、キャブ5を前後方向に二等分する中心線よりも前側に配置されている。第2弁ブロック72は、前後方向において仕切板21から前方に離れて配置されている。第2弁ブロック72は、第1操作レバー装置41および第2操作レバー装置42よりも前方に配置されている。第2弁ブロック72は、パターン切替バルブ62よりも前方に配置されている。第2弁ブロック72は、旋回フレーム20の前方の縁部分の近くに配置されている。キャブ5の下方の前方の外装パネルの一部を開放することで、作業者が第2弁ブロック72に容易にアクセス可能なように、第2弁ブロック72は配置されている。
【0095】
主操作弁34は、仕切板21よりも前方に配置されている。第1弁ブロック71は、主操作弁34の後方に配置されている。主操作弁34と第1弁ブロック71とは、旋回フレーム20の右方の縁部分の近くに配置されている。主操作弁34と第1弁ブロック71とは、図2に示す土砂カバー6Bおよび板金カバー6Cによって上方を覆われている。板金カバー6Cの一部、または板金カバー6Cの下方の外装パネルの一部を開放することで、作業者が第1弁ブロック71に容易にアクセス可能なように、第1弁ブロック71は配置されている。主操作弁34と第1弁ブロック71とは、センタブラケット22よりも右方に配置されており、したがって作業機4よりも右方に配置されている(図2も併せて参照)。
【0096】
第1弁ブロック71と第2弁ブロック72とは、互いに離れて配置されている。第1弁ブロック71は、作業機4に対して右方に配置されている。第2弁ブロック72は、作業機4に対して左方に配置されている。左右方向において、第1弁ブロック71と第2弁ブロック72との間に、作業機4が介在している。第1弁ブロック71と第2弁ブロック72とは、作業機4を挟んで両側に配置されている。
【0097】
第1弁ブロック71は、第2弁ブロック72よりも、主操作弁34の近くに配置されている。第1弁ブロック71は、第2弁ブロック72よりも、油圧ポンプ31の近くに配置されている。第2弁ブロック72がキャブ5の下方に配置されているのに対し、第1弁ブロック71はキャブ5の下方には配置されていない。第2弁ブロック72は、第1弁ブロック71よりも、キャブ5内の操作装置(第1操作レバー装置41、第2操作レバー装置42)に近い位置に、配置されている。第1弁ブロック71は、第2弁ブロック72よりも、キャブ5内の操作装置からより離れた位置に、配置されている。
【0098】
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
実施形態に基づく油圧ショベル1によれば、図3に示すように、複数の電磁比例制御弁73〜79は、電磁比例制御弁73〜75,79を含む第1弁ブロック71と、電磁比例制御弁76〜78を含む第2弁ブロックとに分割されている。図4に示すように、第1弁ブロック71と第2弁ブロック72とは、互いに離れて配置されている。
【0099】
パイロット圧を制御するための電磁比例制御弁73〜79を二つのブロックに分割することで、第1弁ブロック71と第2弁ブロック72とを別々に配置することが可能になっている。電磁比例制御弁73〜79を一つのブロック化する構造と比較して、第1弁ブロック71および第2弁ブロック72の各々の体積が小さくなっているため、第1弁ブロック71と第2弁ブロック72との各々を、比較的小さいスペース内に配置することが可能である。したがって、限られた面積の旋回フレーム20上の、互いに離れた2つの空きスペースを活用して、複数の電磁比例制御弁73〜79を適切に配置することができる。
【0100】
複数の電磁比例制御弁73〜79が分割されて、第1弁ブロック71および第2弁ブロック72が小型化されていることにより、複数の電磁比例制御弁73〜79を旋回フレーム20上に搭載する際の組立性が向上されている。第1弁ブロック71と第2弁ブロック72との両方が旋回フレーム20の縁部分の近くに配置されていることにより、電磁比例制御弁73〜79へのアクセスが容易となるため、電磁比例制御弁73〜79のメンテナンス性を向上することができる。
【0101】
また図4に示すように、第1弁ブロック71と第2弁ブロック72とは、作業機4を挟んで両側に配置されている。このような構成とすることで、作業機4に対して右方の空きスペースに第1弁ブロック71を配置し、作業機4に対して左方の空きスペースに第2弁ブロック72を配置することができる。
【0102】
また図3に示すように、第1弁ブロック71は、ブーム4Aを強制的に上昇させるためのブーム強制上げ用の電磁比例制御弁75を含んでいる。第1弁ブロック71は、第2弁ブロック72よりも主操作弁34の近くに配置されている。このようにすれば、電磁比例制御弁75が、制御対象であるブーム用パイロット切換弁37の近くに配置されるので、ブーム4Aの強制上げ動作の応答性を向上できる。したがって、ブーム4Aを強制的に上昇させてバケット4Cの刃先を設計地形に沿って移動させるならい制御を、より精度よく実行することができる。
【0103】
また図4に示すように、第2弁ブロック72は、キャブ5の下方のキャブ下空間に配置されている。このようにすれば、キャブ5の下方の空間を活用して、第2弁ブロック72を適切に配置することができる。
【0104】
また図3に示すように、第1弁ブロック71は、アーム4Bを掘削動作させるためのアーム掘削用の電磁比例制御弁79を含んでいる。アーム4Bを掘削動作させるときに油圧信号を出力する第8パイロット圧制御弁42Dは、第2操作レバー装置42の一部構成であるため、図4に示すように、キャブ5内に配置されている。第1弁ブロック71をキャブ5の下方のキャブ下空間ではない別のスペースに配置することにより、第8パイロット圧制御弁42Dから電磁比例制御弁79までの距離が大きくなる。第8パイロット圧制御弁42Dと電磁比例制御弁79とを連結する第8パイロット油路59の長さが大きくなることで、第8パイロット圧制御弁42Dと電磁比例制御弁79との間の第8パイロット油路59内にあるパイロット油の量が増大している。
【0105】
これにより、コントローラが電磁比例制御弁79に対して出力する電流値が振動する場合でも、第8パイロット油路59内のパイロット油によって振動の影響が吸収されるので、第2操作レバー装置42にまで振動が伝わることを抑制できる。したがって、第2操作レバー装置42を操作するオペレータは、振動を感知することなく、快適に第2操作レバー装置42を操作することができる。
【0106】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0107】
1 油圧ショベル、2 走行体、3 旋回体、4 作業機、4A ブーム、4B アーム、4C バケット、4D,4E,4F 油圧シリンダ、5 キャブ、6 外装パネル、6A エンジンフード、6B 土砂カバー、6C 板金カバー、7 カウンタウェイト、16,17 走行モータ、20 旋回フレーム、21 仕切板、22 センタブラケット、23 エンジンマウント、24 キャブマウント、31 油圧ポンプ、33 エンジン、34 主操作弁、35 タンク、36〜40 パイロット切換弁、41 第1操作レバー装置、41A〜41D,42A〜42D パイロット圧制御弁、42 第2操作レバー装置、44 第1操作レバー、45 第2操作レバー、51,55 ポンプ流路、52 タンク流路、53〜54,56〜61 パイロット油路、62 パターン切替バルブ、70 中継ブロック、71 第1弁ブロック、72 第2弁ブロック、73〜79 電磁比例制御弁、80 シャトル弁、p1,p2 パイロットポート。
図1
図2
図3
図4