(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6826545
(24)【登録日】2021年1月19日
(45)【発行日】2021年2月3日
(54)【発明の名称】シリアルデータストリームを処理するための装置
(51)【国際特許分類】
H04L 25/03 20060101AFI20210121BHJP
H04B 3/06 20060101ALI20210121BHJP
【FI】
H04L25/03 C
H04B3/06 A
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-563055(P2017-563055)
(86)(22)【出願日】2016年6月6日
(65)【公表番号】特表2018-520585(P2018-520585A)
(43)【公表日】2018年7月26日
(86)【国際出願番号】US2016036023
(87)【国際公開番号】WO2016197107
(87)【国際公開日】20161208
【審査請求日】2019年5月31日
(31)【優先権主張番号】14/876,206
(32)【優先日】2015年10月6日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/171,409
(32)【優先日】2015年6月5日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390020248
【氏名又は名称】日本テキサス・インスツルメンツ合同会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【上記1名の代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】トンモイ シャンカール ムケルジー
【審査官】
阿部 弘
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2015/0016496(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0269255(US,A1)
【文献】
特開2011−151765(JP,A)
【文献】
特開2009−225018(JP,A)
【文献】
特表2015−501589(JP,A)
【文献】
特開2008−270864(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 25/03
H04B 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
判定フィードバックイコライザ(DFE)回路であって、
入力データを受信する入力端子と、
第1の等化経路及び第2の等化経路であって、
前記第1の等化経路と前記第2の等化経路との各々が、
前記入力端子で受信される入力データを受信するために前記入力端子に結合される加算ノードと、
前記加算ノードから受信されるデータをラッチする第1の同期化ラッチと、
前記第1の同期化ラッチから受信されるデータをラッチする第2の同期化ラッチと、
前記第1の同期化ラッチの出力に結合され、前記第1の同期化ラッチから出力されるデータをラッチしてフィードバックデータを出力するフィードバックラッチと、
前記第2の同期化ラッチと前記フィードバックラッチとの一方の出力に結合されるフィードバックシフトレジスタであって、フィードバックデータを出力し、複数の順次に結合されるシフトラッチを含み、前記シフトラッチの第1のシフトラッチが、前記フィードバックデータをラッチし、データを前記加算ノードに提供するように構成され、前記シフトラッチの第2のシフトラッチが、前記シフトラッチの第1のシフトラッチから受信されるデータをラッチするように構成される、前記フィードバックシフトレジスタと、
を含む、前記第1の等化経路及び第2の等化経路と、
各等化経路の前記第2の同期化ラッチに結合されるマルチプレクサと、
を含み、
前記第1の等化経路において、前記フィードバックラッチと前記フィードバックシフトレジスタと前記シフトラッチの第2のシフトラッチとが、データを前記第2の等化経路の前記加算ノードに提供し、
前記第2の等化経路において、前記フィードバックラッチと前記フィードバックシフトレジスタと前記シフトラッチの第2のシフトラッチとが、データを前記第1の等化経路の前記加算ノードに提供し、
前記第1の等化経路において、
前記第1の同期化ラッチが、前記入力端子において受信される前記入力データの記号インタバル時間の2倍である期間を有する第1のクロックによりクロックされ、
前記第2の同期化ラッチが、前記第1のクロックの反転である第2のクロックによりクロックされ、
前記フィードバックラッチが、前記第1のクロックの直交位相シフトされたバージョンである第3のクロック信号によりクロックされ、
前記シフトラッチの第1のシフトラッチが、前記第3のクロックの反転である第4のクロックによりクロックされ、
前記第2の等化経路において、
前記第1の同期化ラッチが前記第2のクロックによりクロックされ、
前記第2の同期化ラッチが前記第1のクロックによりクロックされ、
前記フィードバックラッチが前記第4のクロックによりクロックされ、
前記フィードバックシフトレジスタが前記第3のクロックによりクロックされ、
前記シフトラッチの第1のシフトラッチが、前記第1のクロックに基づいて、各等化経路の前記第2の同期化ラッチから受信されるデータを前記DFE回路の出力に選択的に配路する、DFE回路。
【請求項2】
請求項1に記載のDFE回路であって、
前記第1の等化経路及び第2の等化経路の各々において、
前記シフトラッチの第3のシフトラッチが、前記シフトラッチの第2のシフトラッチから受信されるデータをラッチし、データを前記等化経路の前記加算ノードに提供し、
前記シフトレジスタの第4のシフトレジスタが、前記シフトラッチの第3のシフトラッチから受信されるデータをラッチし、前記第1及び第2の等化経路の他方の前記加算ノードにデータを提供する、DFE回路。
【請求項3】
請求項1に記載のDFE回路であって、
前記第1の等化経路及び第2の等化経路の各々が、前記第2の同期化ラッチと前記マルチプレクサとの間に結合される第3の同期化ラッチを更に含み、
前記マルチプレクサが、前記第1のクロックに基づいて、各等化経路の前記第3の同期化ラッチから受信されるデータを前記DFE回路の出力に選択的に配路する、DFE回路。
【請求項4】
請求項1に記載のDFE回路であって、
前記第1の等化経路及び第2の等化経路の各々において、前記シフトラッチの各連続的なシフトラッチが、前記シフトラッチの直前のシフトラッチに印加されるクロック信号の反転であるクロック信号によりクロックされる、DFE回路。
【請求項5】
直列化器/反直列化器(SERDES)回路であって、
並列データを受信する並列入力端子と、
直列化データを出力する直列出力端子と、
直列データを受信する直列入力端子と、
反直列化データを出力する並列出力端子と、
前記直列入力端子で受信される直列入力データを反直列化し、前記並列出力端子に反直列化データを提供する反直列化回路要素であって、判定フィードバック等化器(DFE)回路要素を含む、前記反直列化回路要素と、
を含み、
前記DFE回路要素が、マルチプレクサと第1の等化経路及び第2の等化経路とを含み、前記第1の等化経路及び第2の等化経路の各々が、
前記直列入力端子から直列データを受信する加算ノードと、
前記加算ノードから受信されるデータをラッチする第1の同期化ラッチと、
前記第1の同期化ラッチから受信されるデータをラッチする第2の同期化ラッチと、
前記第1の同期化ラッチの出力に結合され、前記第1の同期化ラッチから出力される出力データをラッチし、フィードバックデータを出力するフィードバックラッチと、
前記第2の同期化ラッチと前記フィードバックラッチとの一方の出力に結合され、フィードバックデータを出力し、複数の順次に結合されるシフトラッチを含む、フィードバックシフトレジスタと、
を含み、
前記シフトラッチの第1のシフトラッチが、前記フィードバックデータをラッチしてデータを前記加算ノードに提供するように動作可能であり、前記シフトラッチの第2のシフトラッチが、前記シフトラッチの第1のシフトラッチから受信されるデータをラッチするように動作可能であり、
前記第1の等化経路において、前記フィードバックラッチと前記フィードバックシフトレジスタと前記シフトラッチの第2のシフトラッチとが前記第2の等化経路の加算ノードにデータを提供し、
前記第2の等化経路において、前記フィードバックラッチと前記フィードバックシフトレジスタと前記シフトラッチの第2のシフトラッチとが前記第1の等化経路の加算ノードにデータを提供し、
前記第1の等化経路において、
前記第1の同期化ラッチが、前記直列入力端子で受信される前記直列入力データの符号インタバル時間の2倍の期間を有する第1のクロックによってクロックされ、
前記第2の同期化ラッチが、前記第1のクロックの反転である第2のクロックによってクロックされ、
前記フィードバックラッチが、前記第1のクロックの直交位相シフトされたバージョンである第3のクロックによってクロックされ、
前記シフトラッチの第1のシフトラッチが、前記第3のクロックの反転である第4のクロックによってクロックされ、
前記第2の等化経路において、
前記第1の同期化ラッチが前記第2のクロックによってクロックされ、
前記第2の同期化ラッチが前記第1のクロックによってクロックされ、
前記フィードバックラッチが前記第4のクロックによってクロックされ、
前記シフトラッチの第1のシフトラッチが前記第3のクロックによってクロックされ、
前記マルチプレクサが、各等化経路の前記第2の同期化ラッチに結合され、前記第1のクロックに基づいて、各等化経路の前記第2の同期化ラッチから受信されるデータを前記並列出力端子に選択的に配路する、SERDES回路。
【請求項6】
請求項5に記載のSERDES回路であって、
前記第1の等化経路及び第2の等化経路の各々において、
前記シフトラッチの第3のシフトラッチが、前記シフトラッチの第2のシフトラッチから受信されるデータをラッチし、前記等化経路の加算ノードにデータを供給し、
前記シフトラッチの第4のシフトラッチが、前記シフトラッチの第3のシフトラッチから受信されるデータをラッチし、前記第1及び第2の等化経路の他方の加算ノードにデータを提供する、SERDES回路。
【請求項7】
請求項5に記載のSERDES回路であって、
前記第1の等化経路及び第2の等化経路の各々が、第2の同期化ラッチと前記マルチプレクサとの間に結合される第3の同期化ラッチを更に含み、
前記マルチプレクサが、前記第1のクロックに基づいて、各等化経路の前記第3の同期化ラッチから受信されるデータを前記並列出力端子に選択的に配路するように動作可能である、SERDES回路。
【請求項8】
請求項5に記載のSERDES回路であって、
前記第1の等化経路及び第2の等化経路の各々において、前記シフトラッチの各連続するラッチが、前記シフトラッチのすぐ隣の先行するラッチに印加されるクロック信号の反転であるクロック信号によってクロックされる、SERDES回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術が進み、デジタルコンピューティングデバイスの処理能力が増大するにつれて、こういったコンピューティングデバイスを相互接続するため、及び増大するコンピューティング電力の使用を助けるために、一層高い帯域幅のネットワークが必要とされる。しかし、増大するネットワークデータレートは、制限されるチャネル帯域幅に起因して問題となり得る。電気的チャネル(例えば、伝送ライン)の帯域幅は、表皮効果、誘電体損失、及び、インピーダンス不連続性に起因する反射などの、物理的影響により低減され得る。
【背景技術】
【0002】
制限されるチャネル帯域幅は、送信されるパルスを一つ以上のユニットインタバルにわたって拡散させ得る。その結果、受け取られた信号が、記号間干渉を受ける可能性がある。制限されるチャネルに起因する信号歪みを補償するために、ネットワークの入力及び/又は出力回路要素に等化機能が付加され得る。
【0003】
判定フィードバックイコライザ(DFE)は、高損失チャネルを等化するのに良好に適した非線形イコライザである。線形イコライザとは異なり、DFEは、ノイズ又はクロストークを増幅することなく、チャネル応答を平坦化すること及び信号歪みを低減することができ、これは、高損失チャネルを等化する際に重要な利点である。
【0004】
DFEにおいて、予め受け取られたビットが、重み付けされ、フィードバックされ、及び、受信された入力信号に付加される。予め受け取られたビットに印加される重みの大きさ及び極性が、チャネル特性に合致するように適切に調節される場合、データストリームにおける、前のビットからの記号間干渉が相殺され得、これらのビットは低ビット誤り率で検出され得る。
【発明の概要】
【0005】
判定フィードバックイコライザ(DFE)及びシリアライザの記載される例において、DFE回路が、第1の等化経路及び第2の等化経路を含む。第1の等化経路及び第2の等化経路の各々は、加算ノード、第1の同期化ラッチ、第2の同期化ラッチ、フィードバックラッチ、及びフィードバックシフトレジスタを含む。第1の同期化ラッチは、加算ノードから受け取ったデータをラッチするように構成される。第2の同期化ラッチは、第1の同期化ラッチから受け取ったデータをラッチするように構成される。フィードバックラッチは、第1の同期化ラッチの出力に結合され、第1の同期化ラッチから受け取ったデータをラッチするように構成される。フィードバックシフトレジスタは、第2の同期化ラッチとフィードバックラッチとの一方の出力に結合される。フィードバックシフトレジスタは、複数の順次結合されるシフトラッチを含む。複数の順次結合されたシフトラッチのうちの第1のシフトラッチが、第2の同期化ラッチとフィードバックラッチとの一方から受け取ったデータをラッチするように、及びデータを加算ノードに提供するように構成される。複数の順次結合されたシフトラッチのうちの第2のシフトラッチが、第1のシフトラッチから受け取ったデータをラッチするように構成される。第1の等化経路において、フィードバックラッチ及び第2のシフトラッチは、データを第2の等化経路の加算ノードに提供するように構成される。第2の等化経路において、フィードバックラッチ及び第2のシフトラッチは、データを第1の等化経路の加算ノードに提供するように構成される。
【0006】
別の実装において、システムがDFEを含む。DFEは、第1の加算ノード、第1の同期化ラッチ、第2の同期化ラッチ、第1のフィードバックラッチ、及び第1のフィードバックシフトレジスタを含む。第1の加算ノードは、DFEのデータ入力に結合される。第1の同期化ラッチは、第1の加算ノードからデータを受け取るように構成される。第2の同期化ラッチは、第1の同期化ラッチからデータを受け取るように構成される。第1のフィードバックラッチは、第1の同期化ラッチからデータを受け取るように構成される。第1のフィードバックシフトレジスタは、第2の同期化ラッチと第1のフィードバックラッチとの一方の出力に結合される。第1のフィードバックシフトレジスタは、複数の順次結合されるシフトラッチを含む。複数の順次結合されたシフトラッチのうちの第1のシフトラッチが、第2の同期化ラッチと第1のフィードバックラッチとの一方から受け取ったデータをラッチするように、及びデータを第1の加算ノードに提供するように構成される。複数の順次結合されたシフトラッチのうちの第1の交互のシフトラッチが、フィードバックデータを第1の加算ノードに提供するように構成される。第1の加算ノードは、DFEのデータ入力から受け取った記号を、第1のフィードバックラッチとシフトラッチのうちの第1の交互のシフトラッチとによって提供されるデータをこの記号と組み合わせることによって、等化するように構成される。
【0007】
更なる実装において、システムがシリアライザを含む。シリアライザは、直列化セルの複数層を含む。複数層の各連続的な層は、先行する層より少ない直列化セルを含む。直列化セルの各々は、第1のラッチ、第2のラッチ、及びマルチプレクサを含む。マルチプレクサは、第1のラッチ及び第2のラッチの出力に結合される。第1のラッチは第1のクロックを介して制御される。第2のラッチは第2のクロックを介して制御される。第1のクロック及び第2のクロックは直交位相関係にある。マルチプレクサは、第2のクロックに基づいて第1のラッチ及び第2のラッチの出力を直列化セルの出力に選択的に配路するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】例示の実施例に従った、判定フィードバックイコライザ(DFE)の概略図を示す。
【0009】
【
図2】
図1のDFEに適用し得るタイミング信号の図を示す。
【0010】
【
図3】例示の実施例に従ったDFEの概略図を示す。
【0011】
【
図4】例示の実施例に従った、シリアライザ/デシリアライザ(SERDES)のブロック図を示す。
【0012】
【
図5】例示の実施例に従ったシリアライザの概略図を示す。
【0013】
【
図6】例示の実施例に従った、シリアライザの2つの層、及びシリアライザセルの概略図を示す。
【0014】
【
図7】例示の実施例に従ってシリアライザの2つの層におけるタイミング信号の図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
第1のデバイスが第2のデバイスに結合する場合、その接続は、直接的な電気的接続を介し得、又は他のデバイス及び接続を経由する間接的電気的接続を介し得る。また、XがYに基づく場合、Xは、Y及び任意の数のその他の要因に基づき得る。
【0016】
シリアライザ/デシリアライザ(SERDES)回路は、シリアル及びパラレルフォーマット間のデータの変換を要する種々の応用例において用いられる。高速シリアルデータストリームの処理のためのSERDES回路は、記号間干渉の影響を緩和するための判定フィードバックイコライザ(DFE)などの等化回路要素を含み得る。
【0017】
従来のフルレート判定フィードバックイコライザ(DFE)において、適切なオペレーションは、フィードバックループ遅延が、1ユニットインタバル(ユニットインタバルは記号インタバル又は記号期間である)より少ないことを要し、これにより、データレートが増大するにつれて実装がますます困難になる。従来のハーフレートDFEアーキテクチャは、フルレートアーキテクチャと同じサンプルフィードバック遅延要件を受け得る。より複雑なハーフレートDFEアーキテクチャは、フィードバック遅延要件を緩和させるサンプルアンドホールド回路要素を含むが、適切なサンプルアンドホールド回路要素を実装することは、困難であり高価となり得る。
【0018】
本明細書に開示するDFE回路は、ハーフレートアーキテクチャ及びクロス結合された等化経路を用いる。各等化経路は、等化経路において用いるためのフィードバックデータを提供するフィードバックシフトレジスタを含む。幾つかの実装は、従来のDFEアーキテクチャを用いて可能となり得るよりも高いレートのデータストリームの等化を可能にする、緩和されたフィードバックタイミング要件を含む。代替として、本明細書に開示するDFEアーキテクチャは、半導体プロセスを用いて高レートデータストリームを等化するためのDFEの実装を可能にし、こういった半導体プロセスは、このようなデータストリームを等化するよう従来のDFEを実装するために適していない可能性がある。
【0019】
また、SERDES回路は、データをパラレル形態からビットストリームに変換するためシリアライザを含む。従来の高速シリアライザより少ない回路要素を要するシリアライザが、本明細書に開示される。本開示のシリアライザは、等価の性能を有する従来のシリアライザより実質的に少ない(例えば、40%少ない)回路要素及びエネルギー消費を備えて実装され得る。本明細書に開示するシリアライザの実施例は、直交位相クロック信号を介して制御されるラッのためフリップフロップの利用を避ける。低減された回路面積及び電力消費に加えて、直交位相クロック信号の利用は、従来のシリアライザに比して低減されるクロック負荷のため、増大された性能を可能にし得る。
【0020】
図1は、例示の実施例に従ったDFE回路100の概略図を示す。DFE回路100により、従来のDFE実装に対してフィードバック時間仕様が緩和され得る。そのため、DFE回路100は、所与の半導体プロセスでの従来のフルレート実装よりも高速のデータストリームの等化を可能とする一方で、従来のハーフレートDFE実装より少ない回路要素を要する、ハーフレート実装である。
【0021】
DFE回路100は、各等化経路において複数のフィードバック経路を備える、パラレル等化経路110及び150を含む。DFE回路100の入力において受け取られたデータストリームの交互の記号が、等化経路110、150の各々において処理される。マルチプレクサ148が、等化経路110及び150から出力データを選択して、等化されたデータの出力データストリームを形成する。マルチプレクサ148は、等化経路110及び150により生成されたハーフレートデータストリームを直列化して、フルレートデータストリームを生成する。
【0022】
等化経路110は、加算ノード112、同期化ラッチ114及び116、フィードバックラッチ118、及びフィードバックシフトレジスタ120を含む。フィードバックシフトレジスタ120は、シフトラッチ122、124、126、及び128を含む。等化経路150は、加算ノード152、及び同期化ラッチ154及び156、フィードバックラッチ158、及びフィードバックシフトレジスタ160を含む。フィードバックシフトレジスタ160は、シフトラッチ162、164、166、及び168を含む。加算ノード112及び152の各々は、DFE回路100の入力からデータを受け取り、入力データをフィードバックデータと加算するための回路要素を含む。
【0023】
等化経路110において、同期化ラッチ114は、加算されたデータを入力として加算ノード112から受け取り、出力データを入力として同期化ラッチ116及びフィードバックラッチ118に提供する。フィードバックラッチ118は、出力データをフィードバックシフトレジスタ120への入力として提供する。フィードバックラッチ118からフィードバックシフトレジスタ120により受け取られたデータは、シフトラッチ122においてラッチされ、連続的なシフトラッチ124、126、及び128を介してシフトされる。フィードバックラッチ118、シフトラッチ124、及びシフトラッチ128の出力データは、それぞれの利得段130、132、及び134において重み付けされ、等化経路150の加算ノード152に提供される。シフトラッチ122及び126の出力データは、それぞれの利得段136及び138において重み付けされ、等化経路110の加算ノード112に提供される。
【0024】
同様に、等化経路150において、同期化ラッチ154は、加算されたデータを入力として加算ノード152から受け取り、同期化ラッチ156及びフィードバックラッチ158への入力のために出力データを提供する。フィードバックラッチ158は、出力データを入力としてフィードバックシフトレジスタ160に提供する。フィードバックラッチ158からフィードバックシフトレジスタ160により受け取られたデータは、シフトラッチ162においてラッチされ、連続的なシフトラッチ164、166、及び168を介してシフトされる。フィードバックラッチ158、シフトラッチ164、及びシフトラッチ168の出力データは、それぞれの利得段170、172、及び174において重み付けされ、等化経路110の加算ノード112に提供される。シフトラッチ162及び166の出力データは、それぞれの利得段176及び178において重み付けされ、等化経路150の加算ノード152に提供される。
【0025】
同期化ラッチ116及び156の出力は、マルチプレクサ148又は等価の選択回路要素に提供され、マルチプレクサ148又は等価の選択回路要素は、DFE回路100の出力へのラッチ116、156の出力を選択/配路する。
【0026】
利得段130〜138及び170〜178は、回路100へのデータ入力との組み合わせのため、ラッチ118〜128及び158〜168の出力をスケーリングする。利得段130〜138及び170〜178の各々から提供されるフィードバック信号の極性は、利得段において、加算ノード112及び152において、又はDFE回路100における任意の箇所において、変えられ得る。
【0027】
DFE回路100を、4つのシフトラッチを含むフィードバックシフトレジスタ120、160を含むように説明してきたが、DFEフィードバックシフトレジスタの幾つかの実施例は、関連する利得段を備える、より多い又はより少ないシフトラッチを含み得る。幾つかの実施例において、フィードバックレジスタ118及び158は、それぞれ、フィードバックシフトレジスタ120及び160に含まれ得る。
【0028】
図2は、DFE回路100に印加される制御信号を示す。クロックI及びQは、回路100へのデータ入力のユニットインタバルの2倍の周期を有する。クロックIは、各ユニットインタバルの中心における又はほぼ中心における遷移に整合される。クロックQは、クロックIの直交位相(即ち、90度遅延される)バージョンである。従って、クロックQの遷移は、回路100へのデータ入力のユニットインタバルのエッジにおいて又はほぼエッジにおいて整合される。そのため、クロックQにより制御されるラッチは、偶数ユニットインタバルの間データを通過させ、奇数ユニットインタバルの間データをラッチし、一方、クロックQの反転されたバージョンにより制御されるラッチは、奇数ユニットインタバルの間データを通過させ、偶数ユニットインタバルの間データをラッチする。
【0029】
等化経路110において、クロックIは、ラッチ114に、各偶数ユニットインタバルの前半において加算ノード112から受け取ったデータをトランスペアレントに通過させ、後続の奇数ユニットインタバルの中間を通してデータをラッチする。クロックQは、ラッチ118に、偶数ユニットインタバルにわたってラッチ114から受け取ったデータをトランスペアレントに通過させ、奇数ユニットインタバルにわたって受け取られたデータをラッチする。そのため、ラッチ118は、ラッチ114によりラッチされたデータを捕捉し、加算ノード152における入力データとの組み合わせのため次のユニットインタバルにわたってフィードバックデータを整合する。
【0030】
ラッチ116は、クロックIの反転されたバージョンによりクロックされる。従って、ラッチ116は、ラッチ114がラッチされる間トランスペアレントであり、ラッチ114がトランスペアレントになった後、付加的なユニットインタバルの間、ラッチ114の出力をストアする。ラッチ122は、クロックQの反転されたバージョンによりクロックされて、ラッチ118から提供されたデータを、ラッチし、ホールドし、後続の偶数ユニットインタバルで整合する。そのため、ラッチ122は、加算ノード112における入力データとの組み合わせのため、フィードバックデータを整合する。従って、等化経路110において、所与のユニットインタバル(例えば、ユニットインタバル2)におけるデータの等化に対し、直前のユニットインタバル(例えば、ユニットインタバル1)からのフィードバックが、他方の等化経路150から提供され、所与のユニットインタバルの2つ先のユニットインタバル(ユニットインタバル0)からのフィードバックが等化経路110から提供される。また、シフトラッチ124及び128は、クロックQによりクロックされ、加算ノード152への提供のためデータをラッチする。シフトラッチ126は、クロックQの反転されたバージョンによりクロックされ、加算ノード112への提供のためデータをラッチする。
【0031】
クロックIをラッチ156に、クロックQをラッチ162及び166に、クロックIの反転をラッチ154に、及びクロックQの反転をラッチ158、164、及び168に印加すると、等化経路150は、奇数ユニットインタバルに対して等化経路110と同様に動作する。そのため、DFE回路100は、フルレートDFE及び従来のハーフレートDFEに比して、低減された実装複雑性を提供する。DFE回路100は、予め受け取られた記号データのフィードバックに利用可能な時間を有利に増大する。例えば、25ギガビット入力レートでは、DFE100により、フィードバックのために、従来のDFE実装において提供されるような20ピコ秒ではなく、40ピコ秒が提供される。従って、DFE100は、フルレートアーキテクチャによって提供されるものと同等のレートでの等化を提供する一方で、少ない複雑な及びより安価な半導体プロセスを用いる実装を可能とする。逆に、所与の半導体プロセスで、DFE100は、従来のフルレートDFEにより可能とされるよりも高いレートを等化するために有用である。また、DFE回路100は、シンプルな50%デューティサイクルクロックを用い、これらは、非対称クロックよりも高速回路要素において生成及び伝搬することが一層容易である。また、従来のDFEとは対照的に、DFE回路100を用いると、フィードバックデータが、正確にユニットインタバル境界(即ち、記号ゼロ交差)において提供されることが要求されず、その代わりに、フィードバックデータは、有利にも、マージン制約内で任意の時間に、フィードバックデータが入力データと組み合わされるユニットインタバルの前に、提供され得る。
【0032】
DFE回路100は種々の方式で改変され得る。
図3は、DFE回路100に類似するDFE回路300の概略図を示す。DFE回路300は、パラレル等化経路310及び350を含む。回路300の幾つかの実施例において、付加的な同期化ラッチ140が、同期化ラッチ116の出力に結合される。DFE回路100におけるように同期化ラッチ116ではなく、同期化ラッチ140が、マルチプレクサ148に接続され、等化された出力データをマルチプレクサ148に提供する。幾つかの実施例において、フィードバックシフトレジスタ120は、DFE回路100におけるようにフィードバックラッチ118にではなく、同期化ラッチ116に結合され、同期化ラッチ116から入力データを受け取る。
【0033】
同様に、回路300の幾つかの実施例において、付加的な同期化ラッチ180が、同期化ラッチ156の出力に結合される。同期化ラッチ180は、マルチプレクサ148に結合され、等化された出力データをマルチプレクサ148に提供する。幾つかの実施例において、フィードバックシフトレジスタ160は、フィードバックラッチ158にではなく、同期化ラッチ156に結合され、同期化ラッチ156から入力データを受け取る。
【0034】
図4は、種々の実装に従ったSERDES400のブロック図を示す。SERDES400は、シリアル・パラレル変換経路412及びパラレル−シリアル変換経路414を含む。シリアル−パラレル変換経路412は、DFE回路100又はDFE回路300であり得るDFE回路404、クロック/データ回復(CDR)回路406、及びシリアル・パラレルコンバータ408を含む。DFE404は、記号間干渉を緩和するためシリアル入力データを等化する。CDR回路406は、DFE404により生成された等化されたシリアルデータストリームからクロック及びデータ信号を抽出する。シリアル・パラレルコンバータ408は、パラレルワードでCDR回路406により回復されたデータビットをグルーピングする。シリアル−パラレル変換経路412は、明確にするため省略されている、種々のその他の構成要素及びサブシステムを含み得る。例えば、シリアル−パラレル変換経路412は、付加的な等化回路要素、レシーバ回路要素、及び/又はクロック生成回路要素を含み得る。
【0035】
パラレル−シリアル変換経路414は、シリアライザ402及びドライバ410を含む。シリアライザ402は、パラレルデータワード(各ワードが、多数の同時に提示されるデータビットを含む)を受け取り、パラレルデータワードをシリアルビットストリームに変換する。ドライバ410は、他の回路要素への伝送のため、シリアライザ410により生成されたシリアルビットストリームをコンディショニングする。
【0036】
SERDES400に加えて、DFE回路404及び/又はシリアライザ402は、シリアルデータストリームを受け取る及び/又は生成する、その他の応用例、回路、又はシステムにも適用され得る。
【0037】
図5は、例示の実施例に従ったシリアライザ500の概略図を示す。シリアライザ500は、シリアライザ402としてSERDES400に適用され得る。シリアライザ500は、ツリー構造に配される複数の直列化層502、504、506を含み、ツリーのルートにおいて出力シリアルビットストリームが生成される。3つの直列化層502、504、506は、直列化層502の入力において提示されるパラレルデータの8ビットの直列化のために配される。シリアライザ500の他の実施例が、異なる数のパラレルデータビットを直列化するために異なる数の層を含み得る。直列化層502〜506の各々は、一つ又は複数の直列化セル508を含む。各直列化セル508は、2つの同時に提示されるビット/ビットストリームを直列化する。
【0038】
図6は、シリアライザ500の層504及び506の概略図を示し、シリアライザセル508の付加的な詳細を示す。各シリアライザセル508は、ラッチ602、ラッチ604、及びマルチプレクサ606を含む。ラッチ602及び604は、各々、直列化されるべきビットとして入力を受け取る。マルチプレクサ606は、ラッチ出力を直列化するために各ラッチ602及び604の出力を選択する。
【0039】
直列化セル508を参照すると、直列化セル508は、シリアライザ500に対する出力シリアルビットストリームを生成し、ラッチ604はIclkにより制御され、ラッチ602はQclkにより制御される。Qclkは、Iclkの直交位相バージョンである(即ち、Qclkは90度遅延されたIclkである)。マルチプレクサ606は、ラッチ604に印加されるクロックにより、シリアライザセル508においてはIclkにより制御される。
【0040】
セル508により直列化されるべきデータのレートがシリアライザ500の各後続の層において倍になるので、所与の層においてラッチ602及び604及びマルチプレクサ606に印加されるクロックは、後続の層において印加されるレートの2倍である。そのため、直列化層504において印加されるIclk及びQclkのバージョンは、直列化層506において印加されるIclk及びQclkのバージョンの周波数の半分である。同様に、直列化層502において印加されるIclk及びQclkのバージョンは、直列化層504において印加されるIclk及びQclkのバージョンの周波数の半分である。従って、シリアライザ500の出力からシリアライザ500の層を見ると、各々、より遠い層が、シリアライザ500の出力により近い隣接層において印加されるクロックの周波数の半分であるクロックを印加する。
【0041】
また、シリアライザ500の各後続の層で、ラッチ602及び604及びマルチプレクサ606に印加されるクロック位相は変更される。層506において、直交位相クロックはラッチ602に印加され、同相クロックはラッチ604及びマルチプレクサ606に印加される。このクロッキングは、同相位相クロックがラッチ602に印加され、直交位相クロックがラッチ604及びマルチプレクサ606に印加されるように、層504において変えられる。
【0042】
図7は、例示の実施例に従った、シリアライザセル508におけるタイミング信号の図を示す。
図7のタイミングは、シリアライザ500の層504及び506のシリアライザセル508のオペレーションに対するものである。層504において、データビットは、クロックIclkのレートでシリアライザセル508に提示される。クロックIclk(DIV_2ICLK)は、データビットのほぼ遷移時間に遷移する。クロック信号Qclk(DIV_2QCLK)は、Iclkから90度オフセットされる。マルチプレクサ606はQclkにより制御される。従って、層504において、シリアライザ508のデータ出力はQclkと同期化され、各出力ビットは、Qclkの2分の1周期の間、提示される。
【0043】
INPUT EVEN STREAM(入力偶数ストリーム)と記されるデータが、ラッチ602に提示され、INPUT ODD STREAM(入力奇数ストリーム)と記されるデータストリームが、ラッチ604に提示される。ラッチ602は、Iclkが低であるときトランスペアレントであり、Iclkが高であるとき入力データをラッチする。マルチプレクサ606は、Qclkが低であるときラッチ602の出力を選択する。従って、マルチプレクサ606は、
図7に示すように、各ユニットインタバルの中心部分の間、出力のためラッチ602の出力を選択する。ラッチ604は、Qclkが低であるときトランスペアレントであり、Qclkが高であるとき入力データをラッチする。そのため、ラッチ604は、INPUT ODD STREAMをIclkサイクルの1/4遅延させ、マルチプレクサ606は、Qclkの高部分の間、ラッチ604の出力を選択する。
【0044】
後続のシリアライザ層(即ち、層506)において、印加されたQclkは、前の層(即ち、層504)において印加されたQclkと整合された位相であり、そのQclkの2倍の周波数である。層506において受け取られた入力データは、Qclkのほぼ高から低への遷移時間に遷移する。層506において印加されたIclkは、前の層(即ち、層504)において印加されたIclkと位相整合され、そのIclkの2倍の周波数である。また、このIclkは、層504において印加されたものに関して反転されている。従って、Iclk及びQclkのタイミング関係は前の層におけるものと同じであるが、このIclkは、IclkがQclkに対して90度遅延されるように、反転される。Qclkはマルチプレクサ606及びラッチ602に印加され、一方、反転されたIclkがラッチ604に印加される。そのため、ラッチ602及び604及びマルチプレクサ606に印加されるクロックは、上述のように、層504に関して切り替えられ、及び、層506において、DELAYED ODD STREAM(遅延された奇数ストリーム)は、反転されたIclkを介して1/4サイクル遅延される。
図7に示すように、層506の出力は、反転されたIclkと同期される。
【0045】
そのため、シリアライザ500の各後続の層において、前の層のマルチプレクサに印加されるクロックは、後続の層のラッチ502に2倍の周波数で印加され、また、前の層のラッチ502に印加されたクロックの反転は、後続の層のラッチ504及びマルチプレクサ506に2倍の周波数で印加される。上述の配置における直交位相クロックの利用により、シリアライザ500が、従来のシリアライザより実質的に少ない回路要素を備えてシリアルビットストリームを生成する一方で、出力ビットレートを潜在的に増大させることが可能となる。
【0046】
本発明の特許請求の範囲内で、説明した例示の実施例に変形が成され得、他の実施例が可能である。