(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記鋼板が左右に偏ることなく生産ラインの中央に沿って移動するようにする蛇行制御段階を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の方向性電磁鋼板の磁区細分化方法。
前記鋼板を平らに展開された状態で維持するように、前記鋼板に張力を付与する張力制御段階を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の方向性電磁鋼板の磁区細分化方法。
前記設定維持段階は、前記レーザルームの内部を外部と隔離させて外部汚染物質の流入を遮断する遮断段階と、前記レーザルームの内部温度、圧力、及び湿度を制御する段階と、を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方向性電磁鋼板の磁区細分化方法。
前記レーザ照射段階を経て前記鋼板の表面に形成されたヒルアップ(hill up)及びスパッタ(spatter)を除去するための後処理段階を更に含むことを特徴とする請求項4に記載の方向性電磁鋼板の磁区細分化方法。
前記後処理段階は、ブラシロールで前記鋼板の表面に形成された前記ヒルアップ及びスパッタを除去するブラシ段階を含むことを特徴とする請求項5に記載の方向性電磁鋼板の磁区細分化方法。
前記後処理段階は、前記鋼板をアルカリ溶液と電気分解反応させて前記鋼板の表面に残存する前記ヒルアップ及びスパッタを追加除去する清浄段階と、前記清浄段階で前記鋼板から除去され、前記アルカリ溶液内に含まれている異物を前記アルカリ溶液からろ過するためのフィルタリング段階と、を更に含むことを特徴とする請求項6に記載の方向性電磁鋼板の磁区細分化方法。
前記レーザ照射段階は、前記鋼板の表面に照射される前記レーザビームの照射線の角度を変換する角度変換段階を更に含むことを特徴とする請求項4に記載の方向性電磁鋼板の磁区細分化方法。
前記角度変換段階は、前記鋼板の幅方向に対して前記レーザビームの照射線の角度を±4°の範囲で変換することを特徴とする請求項8に記載の方向性電磁鋼板の磁区細分化方法。
前記レーザ照射段階は、レーザビーム照射時に発生したヒューム(fume)を遮断する遮断段階と、前記鋼板の溝内部に圧縮乾燥空気を噴射して前記溝内部に残存する溶融鉄を除去するための噴射段階と、前記ヒューム及び前記溶融鉄を吸入して除去する集塵段階と、を含むことを特徴とする請求項4に記載の方向性電磁鋼板の磁区細分化方法。
前記レーザ照射段階は、前記レーザビームの散乱光と熱とがレーザ照射設備の光学系に流入するのを遮断する前記遮断段階を含むことを特徴とする請求項4に記載の方向性電磁鋼板の磁区細分化方法。
鋼板を支持しながら鋼板の上下方向の位置を制御する鋼板支持ロール位置調節設備と、レーザビームを照射して前記鋼板を溶融させて前記鋼板の表面に溝を形成するレーザ照射設備と、
前記鋼板支持ロール位置調節設備及び前記レーザ照射設備を外部から隔離収容し、レーザ照射のための動作環境を提供するレーザルームと、を含み、
前記レーザ照射設備は、鋼板支持ロール表面に円弧状に接して進行する前記鋼板の表面に対して、前記レーザビームの照射方向が、前記鋼板支持ロールの中心軸と前記鋼板支持ロールの頂部を通る際のレーザビームの照射位置を基準点とし、前記基準点に対して前記鋼板支持ロールの中心から外周面に沿って3〜7°離隔した範囲に、前記レーザビームを照射する設備であることを特徴とする方向性電磁鋼板の磁区細分化装置。
前記鋼板が左右に偏ることなく生産ラインの中央に沿って移動するようにする蛇行制御設備を更に含むことを特徴とする請求項12に記載の方向性電磁鋼板の磁区細分化装置。
前記鋼板を平らに展開された状態で維持するように、鋼板に張力を付与する張力制御設備を更に含むことを特徴とする請求項12に記載の方向性電磁鋼板の磁区細分化装置。
前記レーザルームは、前記レーザ照射設備及び鋼板支持ロール位置制御設備を収容して外部と隔離させるように内部空間が形成され、前記鋼板の進行方向に沿って両側面には入口及び出口が形成され、内部は前記レーザルームの内部圧力を外部より高めるための陽圧装置、前記レーザ照射設備の光学系が位置した上部空間を前記鋼板の通る下部空間と分離させる光学系下部フレーム、及び前記レーザルームの内部温度と湿度とを制御する恒温恒湿制御器を含むことを特徴とする請求項12乃至14のいずれか1項に記載の方向性電磁鋼板の磁区細分化装置。
前記鋼板の表面に形成されたヒルアップ(hill up)及びスパッタ(spatter)を除去するための後処理設備を更に含むことを特徴とする請求項15に記載の方向性電磁鋼板の磁区細分化装置。
前記後処理設備は、前記レーザルームの後段に配置され、前記ヒルアップ及びスパッタを除去するブラシロールを含むことを特徴とする請求項16に記載の方向性電磁鋼板の磁区細分化装置。
前記後処理設備は、前記ブラシロールの後段に配置され、前記鋼板をアルカリ溶液と電気分解反応させて前記鋼板の表面に残存するヒルアップ及びスパッタを追加除去する清浄ユニットと、前記清浄ユニットに連結され、前記清浄ユニットのアルカリ溶液内に含まれている異物を前記アルカリ溶液からろ過するためのフィルタリング部と、を更に含むことを特徴とする請求項17に記載の方向性電磁鋼板の磁区細分化装置。
前記光学系は、駆動部によって回転可能な構造からなり、前記鋼板に対して回転して、前記鋼板の幅方向に対して前記レーザビームの照射線の角度を変換する構造であることを特徴とする請求項15に記載の方向性電磁鋼板の磁区細分化装置。
前記レーザ照射設備は、前記鋼板に前記レーザビームの照射により生成されたヒューム及びスパッタを除去するための溶融鉄除去設備を含むことを特徴とする請求項15に記載の方向性電磁鋼板の磁区細分化装置。
前記レーザ照射設備は、レーザ反射光と散乱光とが前記光学系に流入するのを遮断する遮蔽部を含むことを特徴とする請求項15に記載の方向性電磁鋼板の磁区細分化装置。
前記レーザ照射設備は、前記鋼板の溝内部に圧縮乾燥空気を噴射して前記溝内部に残存する溶融鉄を除去するエアナイフと、ヒュームと前記融鉄を吸入して除去する集塵フードと、を含むことを特徴とする請求項15に記載の方向性電磁鋼板の磁区細分化装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
設備と工程を最適化することにより、磁区細分化効率を高め、作業性を改善して処理能力を増大させることができる方向性電磁鋼板の磁区細分化方法と、その装置を提供することを課題とする。
【0007】
また、鉄損改善効率をより高め、磁束密度の低下を最小化することができる方向性電磁鋼板の磁区細分化方法とその装置を提供することを課題とする。
【0008】
更に、レーザ照射により形成されたヒルアップとスパッタなどの汚染物質をより効果的に除去して製品の品質を高めることができる方向性電磁鋼板の磁区細分化方法とその装置を提供することを課題とする。
【0009】
また更に、工程に必要な最適な動作環境を提供することができる方向性電磁鋼板の磁区細分化方法とその装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本実施形態の磁区細分化方法は、鋼板を支持しながら該鋼板の上下方向の位置を制御する鋼板支持ロール位置調節段階と、レーザビームを照射して鋼板を溶融させて鋼板の表面に溝を形成するレーザ照射段階と、レーザビームを照射するレーザルーム内部の動作環境を設定し維持する設定維持段階と、を含むことができる。
【0011】
前記磁区細分化方法は、鋼板が左右に偏ることなく生産ラインの中央に沿って移動するようにする蛇行制御段階を更に含んでもよい。
前記磁区細分化方法は、鋼板を平らに展開された状態で維持されるように、鋼板に張力を付与する張力制御段階を更に含んでもよい。
【0012】
前記設定維持段階は、レーザルームの内部を外部と隔離させて外部汚染物質の流入を遮断する遮断段階と、レーザルームの内部温度、圧力、及び湿度を制御する段階とを含むことができる。
【0013】
前記磁区細分化方法は、レーザ照射段階を経て鋼板の表面に形成されたヒルアップ(hill up)及びスパッタ(spatter)を除去するための後処理段階を更に含んでもよい。
前記後処理段階は、ブラシロールで鋼板表面に付いたヒルアップ及びスパッタを除去するブラシ段階を含むことができる。
【0014】
前記後処理段階は、鋼板をアルカリ溶液と電気分解反応させて鋼板表面に残存するヒルアップ及びスパッタを追加除去する清浄段階と、清浄段階で鋼板から除去され、アルカリ溶液内に含まれている異物をアルカリ溶液からろ過するためのフィルタリング段階と、を更に含んでもよい。
【0015】
前記蛇行制御段階は、鋼板の幅の中央位置が生産ラインの中央から外れた蛇行量を測定する蛇行量測定段階と、蛇行量測定段階で測定された鋼板の蛇行量に基づき、ステアリングロール(Steering Roll)の軸を回転及び移動させて鋼板の動く方向を調整して鋼板の蛇行量を制御する蛇行量制御段階と、を含むことができる。
【0016】
前記蛇行量制御段階は、鋼板の蛇行量を±1mm以内に制御することができる。
前記張力制御段階は、テンションブライドルロール(Tension Bridle Roll)によって鋼板に張力を印加する鋼板張力印加段階と、鋼板張力印加段階を行った鋼板の張力を測定するための鋼板張力測定段階と、鋼板張力測定段階で測定された鋼板の張力に基づき、テンションブライドルロールの速度を調整して鋼板の張力を制御する鋼板張力制御段階と、を含むことができる。
【0017】
前記鋼板支持ロール位置調節段階は、レーザ照射段階に位置する鋼板を鋼板支持ロールで支持する鋼板支持段階と、レーザ照射段階で鋼板へのレーザ照射時に発生する火炎の明るさを測定する輝度測定段階と、輝度測定段階で測定された火炎の明るさに基づき、鋼板支持ロール位置制御系によって鋼板支持ロールの位置を調整してレーザの焦点深度(Depth of Focus)内に鋼板が位置するように制御する鋼板支持ロール位置制御段階と、を含むことができる。
【0018】
前記レーザ照射段階は、レーザ発振器から照射されたレーザビームを、光学系によって鋼板表面に照射して、上部幅、下部幅、及び深さがそれぞれ70μm以内、10μm以内、及び3〜30μmの溝を形成すると同時に、レーザビーム照射時に溶融部の溝の内部壁面に残留する再凝固部が生成するように、鋼板の溶融に必要な1.0〜5.0J/mm
2の範囲内のレーザビームエネルギー密度を鋼板に伝達するレーザ照射及びエネルギー伝達段階と、を含むことができる。
【0019】
前記レーザ照射段階は、レーザ発振器制御器によって、正常な作業条件下ではレーザビームを発振するレーザ発振器をオン(On)状態にし、鋼板の蛇行量が15mm以上に増大すると、レーザ発振器をオフ(Off)状態に制御するレーザビーム発進制御段階を含むことができる。
前記レーザ照射段階において、レーザ発振器は、ガウシアンエネルギー分布(Gaussian energy distribution)連続波レーザビームを発振することができる。
【0020】
前記レーザ照射段階において、光学系は、レーザの走査速度を制御して、レーザビームの照射線の間隔を圧延方向に2〜30mmに調整することができる。
前記レーザ照射段階は、鋼板表面に照射されるレーザビームの照射線の角度を変換する角度変換段階を更に含んでもよい。
【0021】
前記角度変換段階は、鋼板の幅方向に対してレーザビームの照射線の角度を±4°の範囲に変換することができる。
前記レーザ照射段階は、鋼板支持ロール表面に円弧状に接して進行する鋼板の表面に対して、レーザビームの照射方向が鋼板支持ロールの中心軸を通る際のレーザビームの照射位置を基準点として、前記基準点から鋼板支持ロールの中心から外周面に沿って角度をおいて離隔した位置に、レーザビームを照射することができる。
【0022】
前記レーザ照射段階において、レーザビームは、基準点に対して鋼板支持ロールの中心から外周面に沿って3〜7°離隔した範囲で照射される。
前記レーザ照射段階は、レーザビームの散乱光及び熱が、レーザ照射設備の光学系に流入するのを遮断する遮断段階を更に含んでもよい。
【0023】
前記レーザ照射段階は、レーザビーム照射時に発生したヒューム(fume)及び溶融鉄を吸入して除去する集塵段階を更に含んでもよい。
前記集塵段階は、鋼板の溝内部に圧縮乾燥空気を噴射して溝内部に残存する溶融鉄を除去するための噴射段階を含むことができる。
【0024】
本実施形態の磁区細分化装置は、鋼板を支持しながら鋼板の上下方向の位置を制御する鋼板支持ロール位置調節設備と、レーザビームを照射して鋼板を溶融させて鋼板の表面に溝を形成するレーザ照射設備と、鋼板支持ロール位置調節設備と、レーザ照射設備を外部から隔離収容しレーザ照射のための動作環境を提供するレーザルームと、を含むことができる。
【0025】
前記磁区細分化装置は、鋼板が左右に偏ることなく生産ラインの中央に沿って移動するようにする蛇行制御設備を更に含んでもよい。
前記磁区細分化装置は、鋼板が平らに展開された状態で維持されるように、鋼板に張力を付与する張力制御設備を更に含んでもよい。
【0026】
前記レーザルームは、レーザ照射設備と鋼板支持ロール位置制御設備とを収容して外部と隔離させるように内部空間を形成し、鋼板の進行方向に沿って両側面には入口と出口が形成され、内部にはレーザルームの内部圧力を外部より高めるための陽圧装置と、レーザ照射設備の光学系が位置した上部空間を鋼板の通る下部空間と分離させる光学系下部フレームと、レーザルームの内部温度と湿度を制御する恒温恒湿制御器と、を含むことができる。
【0027】
鋼板の表面に形成されたヒルアップ(hill up)及びスパッタ(spatter)を除去するための後処理設備を更に含んでもよい。
前記後処理設備は、レーザルームの後段に配置され、鋼板表面のヒルアップ及びスパッタを除去するブラシロールを含むことができる。
【0028】
前記後処理設備は、ブラシロールの後段に配置され、鋼板をアルカリ溶液と電気分解反応させて鋼板表面に残存するヒルアップ及びスパッタを追加除去する清浄ユニットと、清浄ユニットに連結され、清浄ユニットのアルカリ溶液内に含まれている異物をアルカリ溶液からろ過するためのフィルタリング部と、を更に含んでもよい。
【0029】
前記蛇行制御設備は、鋼板の移動方向を切り替えるためのステアリングロール(Steering Roll)と、鋼板の幅の中央位置が生産ラインの中央から外れた程度(蛇行量)を測定する蛇行測定センサと、蛇行測定センサの出力値に基づき、ステアリングロールの軸を回転及び移動させて鋼板の動く方向を調整する鋼板中央位置制御系(Strip Center Position Control System)と、を含むことができる。
【0030】
前記張力制御設備は、鋼板に張力を印加しながら移動を誘導するテンションブライドルロール(Tension Bridle Roll)と、テンションブライドルロールを通過した鋼板の張力を測定する鋼板張力測定センサと、鋼板張力測定センサで測定された鋼板の張力に基づき、テンションブライドルロールの速度を調整する鋼板(Strip)張力制御系と、を含むことができる。
【0031】
前記鋼板支持ロール位置調節設備は、レーザ照射設備の位置で鋼板を支持する鋼板支持ロールと、レーザ照射設備から鋼板へのレーザ照射時に発生する火炎の明るさを測定する輝度測定センサと、輝度測定センサで測定された火炎の明るさに基づき鋼板支持ロールの位置を制御する鋼板支持ロール位置制御系と、を含むことができる。
【0032】
前記レーザ照射設備は、連続波レーザビームを発振するレーザ発振器と、レーザ発振器から発振したレーザビームを鋼板表面に照射して、上部幅、下部幅、及び深さがそれぞれ70μm以内、10μm以内、及び3〜30μmの溝を形成させると同時に、レーザ照射時に溶融部の溝の内部壁面に残留させる再凝固部を生成させるように、鋼板の溶融に必要な1.0〜5.0J/mm
2の範囲内のレーザエネルギー密度を鋼板に伝達する光学系と、を含むことができる。
【0033】
前記レーザ照射設備は、正常な作業条件下ではレーザ発振器をオン(On)状態にし、鋼板蛇行量が15mm以上発生するとレーザ発振器をオフ(Off)状態に制御するレーザ発振器制御器を更に含んでもよい。
【0034】
前記レーザ発振器は、ガウシアンエネルギー分布(Gaussian energy distribution)の連続波レーザビームを発振することができる。
前記光学系は、レーザの走査速度を制御して、レーザ照射線の間隔を圧延方向に沿って2〜30mmに調整することができる。
【0035】
前記レーザ照射設備は、鋼板にレーザビームを照射する光学系が、駆動部によって回転可能な構造からなり、光学系が鋼板に対して回転して、鋼板の幅方向に対してレーザビームの照射線の角度を変換させる構造であってもよい。
【0036】
前記レーザ照射設備は、鋼板支持ロールの表面に円弧状に接して進行する鋼板の表面に対して、レーザビームの照射方向が鋼板支持ロールの中心軸を通る際のレーザビームの照射位置を基準点として、基準点から鋼板支持ロールの中心から外周面に沿って角度をおいて離隔した位置にレーザビームが照射する構造であってもよい。
【0037】
前記レーザ照射設備は、レーザビームを、基準点に対して鋼板支持ロールの中心から外周面に沿って3〜7°離隔した範囲に照射する構造であってもよい。
前記レーザ照射設備は、レーザ散乱光及び熱が光学系に流入するのを遮断する遮蔽部を更に含んでもよい。
【0038】
前記レーザ照射設備は、鋼板にレーザビーム照射により生成されたヒューム及びスパッタを除去するための溶融鉄除去設備を更に含んでもよい
前記溶融鉄除去設備は、鋼板の溝内部に圧縮乾燥空気を噴射して溝内部に残存する溶融鉄を除去するエアナイフと、ヒュームと溶融鉄を吸入して除去する集塵フードと、を含むことができる。
【発明の効果】
【0039】
以上説明したように、本実施形態によれば、鋼板を2m/sec以上の高速で進行させながら、安定にレーザによる磁区細分化工程を進行させて、電磁鋼板の熱処理前後の鉄損改善率をそれぞれ5%以上、及び10%以上確保することができる。
また、磁区細分化効率を高め、作業性を改善して磁区細分化処理能力を増大させることができる。
【0040】
更に、鉄損改善効率をより高め、磁束密度の低下を最小化することができる。
また、レーザ照射により形成されたヒルアップとスパッタなどの汚染物質をより効果的に除去して製品の品質を高めることができる。
更に、工程に必要な最適な動作環境を提供することによって、高品質の製品を大量に生産することができる。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下で使用される専門用語は、単に特定の実施例を言及するためのものであり、本発明を限定することを意図しない。ここで使用される単数形態は、文章がこれと明確に反対の意味を示さない限り、複数形態も含む。明細書で使用される「含む」の意味は、特定の特性、領域、整数、段階、動作、要素及び/又は成分を具体化し、他の特定の特性、領域、整数、段階、動作、要素、成分及び/又は群の存在や付加を除外させるわけではない。
【0043】
以下、添付した図面を参照して、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように本発明の実施例を説明する。本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に理解できるように、後述する実施例は、本発明の概念と範囲を逸脱しない限度内で多様な形態に変形可能である。これにより、本発明は種々の異なる形態で実現され、ここで説明する実施例に限定されない。
【0044】
以下の説明において、本実施例は、変圧器の鉄心素材などに使用される方向性電磁鋼板の永久磁区細分化のための設備を例として説明する。
図1は、本実施例による方向性電磁鋼板の磁区細分化装置を概略的に示しており、
図2は、本実施例により磁区細分化処理された鋼板を示している。以下の説明において、圧延方向又は鋼板の移動方向は、
図2におけるx軸方向を意味し、幅方向は、圧延方向に直角の方向で
図2におけるy軸方向を意味し、幅は、y軸方向に対する鋼板の長さを意味する。
図2において、図面符号31は、レーザビームによって溝状に凹まれて鋼板1表面に連続的に形成された照射線を指し示す。
【0045】
図1に示すように、本実施例による方向性電磁鋼板の磁区細分化装置は、鋼板1が2m/s以上の高速で走行しても安定して永久磁区細分化処理を行う。
本実施例の磁区細分化装置は、鋼板1を支持しながら鋼板の上下方向の位置を制御する鋼板支持ロール位置調節設備と、レーザビームを照射して鋼板を溶融させて鋼板の表面に溝を形成するレーザ照射設備と、鋼板支持ロール位置調節設備とレーザ照射設備を外部から隔離収容し、レーザ照射のための動作環境を提供するレーザルーム20と、を含むことができる。
【0046】
また、磁区細分化装置は、鋼板1が左右に偏ることなく生産ラインの中央に沿って移動するようにする蛇行制御設備を更に含んでもよい。
更に、磁区細分化装置は、鋼板1が傾くことなく平らに展開された状態に保持されるように、鋼板に張力を付与する張力制御設備を更に含んでもよい。
【0047】
また、磁区細分化装置は、レーザビーム照射により鋼板の表面に形成されたヒルアップ(hill up)及びスパッタ(spatter)を除去するための後処理設備を更に含んでもよい。
ヒルアップ(hill up)は、鋼板表面にレーザビームを照射して溝を形成する時に、鋼板の溝部位の両側に溶融した鉄が一定の高さ以上に盛り上がって形成される部分を意味する。スパッタ(spatter)は、レーザビーム照射時に発生して鋼板表面に凝固した溶融鉄を意味する。
【0048】
蛇行制御設備は、鋼板1の移動方向を切り替えるためのステアリングロール(Steering Roll)2A、2Bと、鋼板1の幅の中央位置が生産ラインの中央から外れた程度(蛇行量)を測定する蛇行測定センサ4と、蛇行測定センサ4の検出信号を演算して、ステアリングロール2A、2Bの軸を回転及び移動させて鋼板1の動く方向を調整する鋼板中央位置制御系(Strip Center Position Control System)3と、を含むことができる。
蛇行測定センサ4は、ステアリングロール2Bの後段に配置され、ステアリングロールを通過する鋼板の実際の蛇行量をリアルタイムで検出する。
【0049】
蛇行制御設備によって鋼板が左右に偏ることなく生産ラインの中央に沿って真っすぐに移動することによって、鋼板の全幅にわたって鋼板表面に溝を形成することができる。
蛇行制御設備は、レーザ照射による鋼板表面の溝形成前工程において、蛇行測定センサ4によって鋼板の蛇行量が測定される。蛇行測定センサ4によって測定された値は、鋼板中央位置制御系に出力され、鋼板中央位置制御系は、蛇行測定センサの出力値を演算して、演算された蛇行程度に応じてステアリングロール2A、2Bの軸を回転及び移動させる。このように、ステアリングロール2A、2Bが回転及び移動されることによって、ステアリングロールに巻かれて移動する鋼板の動く方向が調整される。これにより、鋼板の蛇行量が制御され、鋼板1の蛇行量を±1mm以内に制御することができる。
【0050】
張力制御設備は、鋼板1に一定大きさの張力を印加しながら移動を誘導するテンションブライドルロール(Tension Bridle Roll:TBR)5A、5Bと、テンションブライドルロールを通過した鋼板1の張力を測定するための鋼板張力測定センサ7と、鋼板張力測定センサ7で測定された鋼板1の張力に基づき、テンションブライドルロール5A、5Bの速度を調整するための鋼板(Strip)張力制御系6とを含むことができる。
【0051】
鋼板張力測定センサ7は、テンションブライドルロール5Bの後段に配置され、テンションブライドルロール5Bを経て張力が付与された鋼板の実際の張力をリアルタイムで測定する。
本実施例において、鋼板の張力は、レーザ照射設備のレーザ照射位置における鋼板表面の形状を平らにしつつ、過度な張力によって鋼板の破断が発生しないように設定される。
【0052】
張力制御設備は、設定された範囲内の鋼板張力で操業するために、鋼板張力測定センサ7で測定された鋼板の張力に基づき、鋼板(Strip)張力制御系6によってテンションブライドルロール(Tension Bridle Roll:TBR)5A、5Bの速度を調整する。これにより、張力制御設備は、鋼板1の張力誤差が設定範囲以内となるように制御して後半に張力を付与する。
【0053】
張力制御設備を通過した鋼板は、レーザルーム20の内部に流入して、鋼板支持ロール位置調節設備とレーザ照射設備とを経て磁区細分化加工された後、レーザルーム20の外部に流出する。レーザルームについては、後で更に説明する。
本実施例において、レーザルーム20の内部には、レーザ照射設備の直下に鋼板支持ロール9が配置され、鋼板支持ロールを挟んで両側にそれぞれデフレクタロール(Deflector Roll)8A、8Bが配置される。
【0054】
鋼板1の移動方向は、デフレクタロール(Deflector Roll)8A、8Bによって鋼板支持ロール9に向かうように切り替えられる。鋼板1は、デフレクタロール8Aを通りながら鋼板支持ロール9側に移動方向が転換されて鋼板支持ロール9に接した後、再びデフレクタロール8B側に方向が転換されてデフレクタロール8Bを通って移動する。
【0055】
デフレクタロールによって、鋼板1は、鋼板支持ロール9に沿って円弧状に巻かれて鋼板支持ロールに面接触しながら通過する。レーザビーム照射時、鋼板の振動及び波動によるレーザビームの焦点距離の変動を最小化するためには、鋼板が鋼板支持ロールに十分に面接触して通過しなければならず、この状態で鋼板支持ロールに沿って進行する鋼板にレーザビームを照射しなければならない。本実施例では、前記のように鋼板が鋼板支持ロールに面接触することによって、鋼板に対してレーザビームを正確に照射することができる。
【0056】
鋼板支持ロール位置調節設備は、鋼板1をレーザ照射設備のレーザ照射位置に支持する鋼板支持ロール9と、レーザ照射設備から鋼板1へのレーザ照射時に発生する火炎の明るさを測定する輝度測定センサ10と、輝度測定センサ10で測定された火炎の明るさに基づき鋼板支持ロール9の位置を制御する鋼板支持ロール(SPR)位置制御系12と、を含むことができる。
【0057】
鋼板支持ロール位置調節設備は、鋼板1を鋼板支持ロール9によってレーザ照射部の位置に支持し、鋼板がレーザの鋼板照射効率が高い焦点深度(Depth of Focus)内に位置するように、鋼板へのレーザ照射時に発生する火炎の明るさが最も良い状態となるように、鋼板支持ロール9の位置を全体的に上下に調整する。また、鋼板へのレーザ照射時に発生する火炎の明るさは、輝度測定センサ10を用いて測定される。
【0058】
本実施例において、鋼板支持ロール位置調節設備は、レーザ照射設備の光学系から鋼板表面の間の実際の距離を測定するための距離測定センサ11を更に含んでもよい。鋼板支持ロール位置制御系12は、輝度測定センサ10から検出された火炎の明るさと、距離測定センサ11から実際に測定された光学系と鋼板表面との間の距離と、を演算して鋼板支持ロール9の位置をより精密に制御する。
【0059】
蛇行制御設備、張力制御設備、及び鋼板支持ロール位置調節設備は、レーザ照射設備によって鋼板に精密にレーザ溝を形成できるように、レーザ照射位置における鋼板の条件を設定する役割を果たす。レーザ照射位置における鋼板は、鋼板の中央位置と生産ラインの中央位置とが一致しなければならず、光学系との距離が設定された値に維持されなければならない。
レーザ照射設備は、レーザ発振器制御器13と、連続波レーザビーム16を発振するレーザ発振器14と、光学系15と、を含むことができる。
【0060】
図3に示すように、光学系15は、回転可能に設けられ、鋼板の幅方向に対するレーザビームの照射線の角度を付与するモジュールプレート37と、モジュールプレート37を回転させるための駆動部36と、モジュールプレート37に設けられ、レーザ発振器14から印加されたレーザビームを光学系15の内部に出射するヘッダ39と、モジュールプレート37に回転可能に設けられ、ヘッダ39から出射したレーザビームを反射させるポリゴンミラー32と、ポリゴンミラー32を回転駆動させる回転モータ33と、モジュールプレート37に設けられ、ポリゴンミラー32から反射したレーザビーム16を鋼板側に反射させて鋼板に集光させる集光ミラー35と、集光ミラー35に連結され、集光ミラー35を移動させてレーザビームの焦点距離を調節する駆動モータ34と、モジュールプレート37に設けられ、レーザビーム照射の有無に応じてモジュールプレート37を選択的に遮断するシャッタ38とを含むことができる。
【0061】
光学系15は、光学ボックスをなすモジュールプレート37内にヘッダ39、ポリゴンミラー32、集光ミラー35、及びシャッタが配置され、1つのボディをなす。レーザ発振器14とヘッダ39とは、例えば、光ケーブル41で連結される。これにより、レーザ発振器14から出たレーザは、光ケーブル41に乗ってヘッダ39に送られる。光学ボックスをなすモジュールプレート37の内部で、ヘッダ39、ポリゴンミラー32、及び集光ミラー35は、レーザビーム16を所望の位置に反射させるために正位置に配置される。
図3に示すように、例えば、ヘッダ39は、ポリゴンミラー32を挟んで両側に配置され、それぞれポリゴンミラー32に向かってレーザビームを出射する構造であってもよい。ポリゴンミラー32から反射されるそれぞれのレーザビームに合わせて2つの集光ミラー35が配置される。ヘッダ39から出射されたレーザビームは、回転モータ33の駆動によって回転するポリゴンミラー32から反射して集光ミラー35に送られる。集光ミラー35で反射したレーザビーム16は、集光ミラー35からシャッタ38を介して鋼板側に反射され、鋼板1の表面に集光される。これにより、レーザビームが鋼板表面に周期的に照射され、幅方向に連続溝を形成する。
【0062】
光学系15によるレーザビーム16の全体的な焦点距離は、鋼板支持ロール9の上下移動によって調整され、左右の焦点距離が合わないものは、集光ミラー35に連結設置されている駆動モータ34によって調整される。
シャッタ38は、モジュールプレート37の下部に設けられ、モジュールプレート37を開閉する。シャッタ38は、レーザビームが集光ミラー35から下部に照射される時に開放され、レーザビームと干渉を防止し、レーザビームが照射されない時は閉鎖され、外部のヒュームや異物が光学系15の内部に流入するのを遮断する。
【0063】
鋼板の蛇行量が過大であれば、鋼板がレーザ照射位置から外れて鋼板支持ロール9にレーザが照射され損傷が発生する。このために、鋼板支持ロールの損傷を防止するために、レーザ発振器制御器13は、正常な作業条件下ではレーザ発振器をオン(On)状態にし、鋼板に15mm以上の蛇行が発生するとレーザ発振器をオフ(Off)に制御する。
【0064】
レーザ発振器14は、ガウシアンエネルギー分布(Gaussian energy distribution)連続波レーザビームを発振して光学系15に伝達することができる。光学系15は、伝達されたレーザビーム16を鋼板表面に照射する。
レーザ発振器14と光学系15とは、レーザビームを鋼板表面に照射して、上部幅、下部幅、及び深さがそれぞれ70μm以内、10μm以内、及び3〜30μmの溝を形成すると同時に、レーザ照射時に溶融部の溝の内部壁面に残留させる再凝固部が生成するように、鋼板の溶融に必要な1.0〜5.0J/mm
2の範囲内のレーザエネルギー密度を鋼板に伝達することができる。
【0065】
光学系15は、レーザの走査速度を制御する機能があり、レーザ照射線(
図2の31)を圧延方向に2〜30mmの間隔に調整することができる。これにより、レーザビームによる熱影響部(HAZ、Heat Affected Zone)の影響を最小化して鋼板の鉄損を改善することができる。
【0066】
レーザ照射設備は、鋼板表面に照射されるレーザビームの照射線の角度を鋼板の幅方向に対して変換する構造であってもよい。本実施例において、レーザ照射設備は、鋼板の幅方向に対してレーザビームの照射線の角度を±4°の範囲で変換することができる。
【0067】
このために、レーザ照射設備は、鋼板にレーザビームを照射する光学系15が、駆動部36によって回転可能な構造からなり、鋼板表面に形成されるレーザビームの照射線の角度を鋼板の幅方向に対して変換する構造であってもよい。このように光学系によるレーザビームの照射線の角度が変換されることによって、レーザビームによる照射線31は、鋼板の圧延方向に対して直角の方向に対して±4°の範囲に傾いて形成される。従って、レーザによる溝形成による磁束密度の低下を最小化することができる。
【0068】
また、本実施例において、レーザ照射設備は、鋼板1に対するレーザビームの照射位置を制御して、鋼板に照射されるレーザビームが鋼板から反射して光学系やレーザ発振器に入るバックリフレクション現象を防止する構造となっている。
【0069】
このために、
図3に示すように、レーザ照射設備は、鋼板支持ロール9表面に円弧状に接して進行する鋼板の表面に対して、光学系15から照射されるレーザビームの照射方向が鋼板支持ロール9の中心軸を通る際のレーザビームの照射位置を基準点Pとして、基準点Pから鋼板支持ロール9の中心から外周面に沿って角度(以下、説明の便宜のために離隔角度Rという)をおいて離隔した位置にレーザビームを照射する構造であってもよい。
【0070】
基準点Pとは、
図3で鋼板支持ロール9の中心軸を通る線と鋼板との接する地点である。レーザビームの照射方向が鋼板支持ロール9の中心軸を通る場合、レーザビームの焦点は、基準点Pに合わされる。この場合、レーザビームの照射方向が基準点Pにおける鋼板支持ロール9の接線と直角をなすことによって、鋼板に当たって反射するレーザビームが、そのまま光学系とレーザ発振器に入って損傷を与えるバックリフレクション現象が発生する。
【0071】
本実施例によるレーザ照射設備は、前記のように、基準点Pから離隔角度Rだけ離隔した位置にレーザビームを照射することによって、鋼板から再反射するレーザビームが光学系に入射しなくなる。従って、バックリフレクション現象を防止し、レーザビームによって形成される溝形状の品質を維持することができる。
【0072】
本実施例において、離隔角度Rは、基準点Pに対して鋼板支持ロール9の中心から外周面に沿って3〜7°の範囲に設定される。
レーザビームが照射される位置である離隔角度Rが3°より小さい場合には、鋼板から再反射するレーザビームの一部が光学系やレーザ発振器に流入しうる。離隔角度Rが7°を超えると、レーザビームによる溝形成がうまく行われず、溝の形成不良が発生しうる。
【0073】
このように、本実施例のレーザ照射設備は、鋼板に、基準点Pを中心に所定角度離隔した地点からレーザを照射することによって、バックリフレクション現象を防止し、レーザビーム反射時、入射光路と干渉されず、レーザビームによって形成される溝形状の品質を安定的に維持することができる。
【0074】
レーザ照射設備は、鋼板にレーザビームの照射により生成されたヒュームとスパッタとを除去するための溶融鉄除去設備と、を更に含んでもよい。
溶融鉄除去設備は、鋼板の溝内部に圧縮乾燥空気を噴射して溝内部に残存する溶融鉄を除去するエアナイフ17と、ヒュームと溶融鉄を吸入して除去する集塵フード19A、19Bとを含むことができる。エアナイフと集塵フードを介してレーザ照射時に生成されたヒュームが除去され、光学系の内部にヒュームが流入するのを防止することができる。エアナイフ17は、鋼板1の溝内部に一定大きさの圧力Paを有する圧縮乾燥空気を噴射して溝内部に残存する溶融鉄を除去する。エアナイフ17で、圧縮乾燥空気は0.2kg/cm
2以上の圧力Paを有することが好ましい。圧縮乾燥空気の圧力が0.2kg/cm2より小さい場合には、溝内部の溶融鉄の除去が不可能で、鉄損改善効果を確保できないからである。エアナイフによって除去されたヒューム及びスパッタは、レーザ照射位置の前後に配置された集塵フード19A、19Bによって除去される。
【0075】
また、レーザ照射設備は、レーザビームの反射光と散乱光及び輻射熱が光学系に流入するのを遮断する遮蔽部18を更に含んでもよい。遮蔽部18は、鋼板に照射されたレーザビーム16の反射と散乱によって光学系に流入する反射光と散乱光を遮断することによって、反射光と散乱光による輻射熱によって光学系が加熱されて熱変形するのを防止する。
レーザルーム20は、内部空間を有するルーム構造物で、内部にはレーザ照射設備と鋼板支持ロール位置制御設備を収容して外部と隔離させ、これらの円滑な駆動のための適切な動作環境を提供する。
【0076】
鋼板の進行方向に沿ってレーザルーム20の入側と出側にはそれぞれ入口と出口が形成される。レーザルーム20は、外部の埃などによって内部空間が汚染されないように汚染物質の流入を遮断する施設を備える。このために、レーザルーム20は、内部圧力を外部より高めるための陽圧装置23を備える。陽圧装置23は、レーザルーム20の内部圧力を外部圧力より相対的に高く維持する。これにより、外部の異物がレーザルーム20の内部に流入するのを防止することができる。また、鋼板が出入りする入口と出口には、エアカーテン22A、22B、22C、22Dが設けられる。エアカーテンは、鋼板がレーザルーム20に入り抜け出る通路である入口と出口に空気を噴射して膜を形成することによって、入口と出口を通して埃などが流入するのを遮断する。更に、レーザルーム20内部の汚染を防止するために、レーザルーム20の出入口のドアにはシャワーブース21が設けられる。シャワーブース21は、レーザルーム20に入る出入者の体に付いた異物を除去する。
【0077】
レーザルーム20は、実質的にレーザビームによる鋼板の磁区細分化工程が進行する空間で、内部環境の変化を最小化し、適正環境を維持する必要がある。このために、レーザルーム20は、レーザ照射設備のレーザ発振器14と光学系15などが位置する上部空間を鋼板1の通る下部空間と分離する光学系下部フレーム24と、レーザルーム20の内部温度と湿度を制御する恒温恒湿制御器25と、を備える。
【0078】
光学系下部フレーム24は、レーザ発振器14及び光学系15などの主要設備の動作環境をより徹底的に管理できるようにする。光学系下部フレーム24は、レーザルーム20の内部で鋼板が通る光学系の下部空間と、レーザ発振器と光学系ミラーが位置する光学系の上部空間と、を分離するように設けられる。光学系下部フレーム24によって、レーザルーム20の内部でも光学系の上部空間が別途に分離され、レーザ発振器や光学系などの主要設備に対する汚染防止と温度及び湿度制御がより容易になる。
【0079】
恒温恒湿制御器25は、レーザルーム20内部の温度と湿度とを調節して適正環境を提供する。本実施例において、恒温恒湿制御器25は、レーザルーム20の内部温度を20〜25℃に維持し、湿度を50%以下に維持することができる。
このように、レーザルーム20の内部空間は、作業環境に適した温度と湿度に維持され続けて、鋼板に対して最適な状態で磁区細分化工程を遂行できるようにする。従って、工程に必要な最適な動作環境下で高品質の製品を大量に生産することができる。
【0080】
本実施例の磁区細分化装置は、鋼板の表面に形成されたヒルアップ(hill up)及びスパッタ(spatter)を除去するための後処理設備を更に含んでもよい。
ヒルアップ及びスパッタは、製品の絶縁性と占積率低下の原因になるので、後処理設備により完全に除去することによって、製品の品質を高めることができる。
【0081】
後処理設備は、鋼板の移動方向に沿ってレーザルーム20の後段に配置され、鋼板表面のヒルアップ及びスパッタを除去するブラシロール26A、26Bを含むことができる。ブラシロール26A、26Bは、駆動モータによって高速で回転せれ、動作時に発生する駆動モータの電流値を設定された目標値に制御する電流制御系と、ブラシロールと鋼板と、の間の間隔を調節して制御するブラシ位置制御系とによって回転速度と鋼板との間隔が制御される。ブラシロールは、レーザビームによる溝が形成された鋼板の一面にのみ配置されるか、鋼板の両面に配置される。ブラシロール26A、26Bは、鋼板表面に密着して高速で回転しながら鋼板表面に付着しているヒルアップ及びスパッタなどを除去する。
図1に示すように、ブラシロール26A、26Bに近接し、ブラシロールによって除去されたヒルアップ及びスパッタを排出するための集塵フード19Cが更に設けられる。集塵フード19Cは、ブラシロール26A、26Bによって鋼板から剥離されたヒルアップ及びスパッタなどの溶融鉄を吸入して外部に排出する。
【0082】
また、後処理設備は、ブラシロール26A、26Bの後段に配置され、鋼板をアルカリ溶液と電気分解反応させて鋼板表面に残存するヒルアップ及びスパッタを追加除去する清浄ユニット29と、清浄ユニットに連結され、清浄ユニットのアルカリ溶液内に含まれている異物をアルカリ溶液からろ過するためのフィルタリング部30と、を更に含んでもよい。
【0083】
鋼板は、ブラシロール26A、26Bを経て一次的にヒルアップ及びスパッタが除去され、清浄ユニット29を通りながら二次的に残存ヒルアップ及びスパッタが除去される。これにより、鋼板表面に付着したヒルアップ及びスパッタをより完璧に除去して、製品の品質を高めることができる。
【0084】
清浄ユニット29は、内部にアルカリ溶液が満たされ、一側にフィルタリング部30が連結される。清浄ユニットを介して鋼板を処理することによって、内部のアルカリ溶液に鋼板から除去されたヒルアップ及びスパッタが累積して、鋼板の清浄性能が低下する。フィルタリング部30は、清浄ユニットのアルカリ溶液を循環させながらアルカリ溶液に含まれているヒルアップ及びスパッタを除去する。フィルタリング部30は、ヒルアップ及びスパッタを除去して、アルカリ溶液の鉄分含有量を500ppm以下に管理する。このように、清浄ユニットの清浄性能の低下を防止して連続的に鋼板を処理することができる。
【0085】
以下、本実施例による電磁鋼板の磁区細分化過程について説明する。
連続的に移送される鋼板は、蛇行制御設備と張力制御設備とを経てレーザルームの内部に進入して2m/sec以上の速度で進行し、磁区細分化処理される。レーザルームの内部に進入した鋼板は、レーザ照射設備により永久磁区細分化処理された後、レーザルームの外部に引き出される。レーザルームの外部に引き出された鋼板は、後処理設備を経て表面に残存するヒルアップ及びスパッタなどが除去され、後工程に送られる。
【0086】
この過程で、鋼板表面に対するレーザ照射が進行するレーザルームは、磁区細分化のための最適な環境を提供できるように、内部の動作環境を適切に設定し維持する。
レーザルームは、内部を外部と隔離して外部汚染物質の流入を遮断し、レーザルームの内部温度、圧力、及び湿度を磁区細分化形成のための動作環境に合わせて制御する。
【0087】
レーザルームは、内部の圧力を外部と比較して高く設定し維持することによって、外部の埃などの異物がレーザルームの内部に流入するのを防止することができる。また、鋼板の移動する通路である入口と出口に空気による膜を形成することによって、入口と出口を通して鋼板が進行する過程で埃などの異物がレーザルームの内部に流入するのを遮断することができる。
【0088】
更に、レーザルームに設けられた恒温恒湿制御器は、レーザルーム内部の温度を20〜25℃に維持し、湿度を50%以下に維持することによって、レーザ照射による磁区細分化処理に最適な条件を提供する。
このように、レーザルームによってレーザビーム照射のための最適な環境が提供され、鋼板は、蛇行制御設備、張力制御設備、そして鋼板支持ロール位置調節設備を経て、レーザの照射位置に正確に位置される。
【0089】
まず、磁区細分化処理のために、鋼板は、蛇行制御設備により進行方向が制御され、左右に偏ることなく生産ラインの中央に沿って真っすぐに移動する。
蛇行測定センサは、鋼板の蛇行量を持続的に検出し、鋼板が蛇行すると、蛇行測定センサで検出された信号を演算して、鋼板中央位置制御系がステアリングロールの軸を回転及び移動させて鋼板を正位置に移動させる。このように鋼板の位置に応じて持続的にステアリングロールを制御することによって、鋼板を引き続き生産ラインの中央を外れることなく連続的に移動させることができる。
【0090】
鋼板は、ステアリングロールを通って張力調節のためのテンションブライドルロールを経て移動する。テンションブライドルロールを通った鋼板の張力は、張力測定センサによって検出される。鋼板張力制御系は、張力測定センサによって検出された測定値を演算して、設定された張力に合わせてテンションブライドルロールの速度を制御する。これにより、移動する鋼板の張力を設定された範囲に合わせて持続的に維持することができる。
【0091】
テンションブライドルロールを経た鋼板は、レーザルームの入口を通過してレーザルームの内部に進入する。鋼板は、レーザルームの内部でブライドルロールによって方向が切り替えられて2つのブライドルロールの間に位置した鋼板支持ロールに密着した状態で移動する。
鋼板支持ロールは、鋼板を上下に移動させてレーザビームの焦点深度内に鋼板を位置させる。
【0092】
レーザ照射設備から鋼板にレーザビームが照射されると、輝度測定センサは、鋼板表面の火炎の明るさをリアルタイムで検出し、輝度測定センサで検出された測定値に基づき、鋼板支持ロール位置制御系が鋼板支持ロールを上下に移動させてレーザビームの焦点深度内に鋼板が位置するようにする。これにより、鋼板表面にレーザビームが効果的に照射され、高品質の照射線を形成することができる。
【0093】
レーザ発振器制御器は、鋼板の蛇行程度に応じてレーザ発振器をオン/オフさせる。レーザ発振器制御器は、蛇行測定センサに連結され、蛇行測定センサが鋼板の蛇行量が、例えば、15mm以上になったと判定すると、鋼板が鋼板支持ロールから過度に多く外れたと判断して、レーザ発振器をオフ(off)にする。これにより、レーザビームが蛇行した鋼板を通過して鋼板支持ロール表面に照射されてロールが損傷するのを防止することができる。
【0094】
レーザ発振器制御器の命令により、レーザ発振器で生成されたレーザビームは、光学系を経て鋼板表面に照射される。レーザ発振器は、TEM00連続波レーザビームを発振して光学系に伝達する。
光学系は、レーザビームの方向を切り替えて鋼板の表面にレーザを照射することによって、鋼板表面に連続的に溶融溝を形成して磁区細分化処理する。
【0095】
光学系を経て鋼板に照射されたレーザビームによって鋼板表面が溶融され、照射線に沿って溶融溝が形成される。本実施例において、レーザビーム照射により、鋼板表面に上部幅、下部幅、及び深さがそれぞれ70μm以内、10μm以内、及び3〜30μmの溝を形成させると同時に、レーザ照射時に溶融部の溝の内部壁面に残留する再凝固部が生成するように、レーザ発振器と光学系は、鋼板の溶融に必要な1.0〜5.0J/mm
2の範囲内のレーザエネルギー密度を鋼板に伝達する。
【0096】
また、光学系を通したレーザビーム照射過程で、レーザビームを基準点から離隔した位置に照射することによって、鋼板から再反射するレーザビームが光学系に入射しなくなる。従って、バックリフレクション現象を防止し、反射光によってレーザビームの入射光路が干渉されず、レーザビームによって形成された溝形状の品質を維持することができる。
光学系は、レーザの走査速度を制御する機能があり、圧延方向に対してレーザ照射線の間隔を調整することができる。
【0097】
また、光学系は、回転機能を備えて、レーザ照射線の角度を変更することができる。本実施例において、光学系によってレーザ照射線の間隔を圧延方向に2〜30mmに調整可能にすることで、レーザビームによる熱影響部(HAZ、Heat Affected Zone)の影響を最小化して鋼板の鉄損を改善することができる。また、レーザビーム照射過程で、光学系の回転により鋼板表面に照射されるレーザビームの照射線の角度を変換することができる。本実施例において、光学系は、レーザビームの照射線の角度を鋼板の幅方向に対して±4°の範囲に変換することができる。つまり、
図2にて、y軸方向に対して±4°の範囲で傾くようにしてレーザビームの照射線31を形成することができる。これにより、鋼板表面に形成される照射線は、圧延方向に対して86〜94°の範囲に傾いて形成される。このように照射線をy軸方向に対して傾くように形成することによって、レーザによる溝形成による磁束密度の低下を最小化することができる。
【0098】
レーザビーム照射過程で、鋼板がレーザビームによって溶融されながら多量のヒュームと溶融鉄のスパッタが発生する。ヒューム及びスパッタは光学系を汚染させ、溝内部に溶融鉄が残存する場合、正確な溝の形成が難しく、鉄損の改善がなされず製品の品質を阻害する。これにより、鋼板の溝内部に圧縮乾燥空気を噴射して溝内部に残存する溶融鉄を除去し、集塵フードを介してヒュームと溶融鉄とを直ちに吸入して除去する。従って、鋼板の磁区細分化過程でヒュームが光学系側に流入するのを遮断し、ヒューム及びスパッタを速やかに除去して磁区細分化処理効率を高めることができる。また、レーザビーム照射過程でレーザビームの散乱光と熱とがレーザ照射設備の光学系に流入するのを更に遮断することができる。
【0099】
レーザビーム照射により鋼板表面に溝が形成されながら磁区細分化処理され、磁区細分化処理された鋼板は、連続的に移動されてレーザルームの出口を通して外部に排出される。
レーザルームから排出された鋼板は、後処理過程を経て、鋼板表面に付着したヒルアップ及びスパッタを除去する過程を経る。
【0100】
鋼板はまず、レーザルームの外側に配置されたブラシロールを通りながら、鋼板に密着して高速で回転するブラシロールによって一次的にヒルアップ及びスパッタが除去される。
ブラシロールを経た鋼板は、二次的に清浄ユニットを経て、鋼板とアルカリ溶液との電気分解反応により残存するヒルアップ及びスパッタが最終的に除去される。清浄ユニットを経てヒルアップとスパッタが除去された鋼板は、後工程に移送される。
【0102】
表1は、本実施例による連続波レーザビーム照射により0.27mmの厚さの鋼板表面に形成された溝による方向性電磁鋼板の鉄損改善率を示している。表1に示すように、本実施例により磁区細分化処理された鋼板の場合、レーザ照射後も、レーザで磁区細分化し熱処理した後も、共に鉄損が改善されることを確認することができる。
【0103】
以上説明したように、本発明の例示的な実施例を図示及び説明したが、多様な変形と他の実施例が本分野における熟練した技術者によって行われるであろう。このような変形と他の実施例とは、添付した請求の範囲にすべて考慮されて含まれ、本発明の真の趣旨及び範囲を逸脱しないというべきである。