(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記導電性ナノワイヤは、金ナノワイヤ、銀ナノワイヤ、および銅ナノワイヤよりなる群から選択された少なくとも1つであることを特徴とする請求項1記載の静電容量式センサ。
前記アモルファス酸化物系材料は、アモルファスITO、アモルファスIZO、アモルファスGZO、アモルファスAZO、およびアモルファスFTOよりなる群から選択された少なくとも1つであることを特徴とする請求項1または2に記載の静電容量式センサ。
前記第2の方向に対して直交する方向における前記ブリッジ配線部の寸法は、100μm以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の静電容量式センサ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(第1実施形態)
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本実施形態に係る静電容量式センサ1を表す平面図である。
図2は、
図1に表した領域A1を拡大した平面図である。
図3は、
図2に表した切断面C1−C1における断面図である。
図4は、
図2に表した切断面C2−C2における断面図である。
なお、透明電極は透明なので本来は視認できないが、
図1および
図2では理解を容易にするため透明電極の外形を示している。
【0023】
本願明細書において「透明」および「透光性」とは、可視光線透過率が50%以上(好ましくは80%以上)の状態を指す。さらに、ヘイズ値が6%以下であることが好適である。本願明細書において「遮光」および「遮光性」とは、可視光線透過率が50%未満(好ましくは20%未満)の状態を指す。
【0024】
図1〜
図4に表したように、本実施形態に係る静電容量式センサ1は、基材2と、第1の透明電極4と、第2の透明電極5と、連結部7と、ブリッジ配線部10と、反射低減層3と、を備える。ブリッジ配線部10からみて基材2と反対側に反射低減層3が設けられている。基材2と反射低減層3との間には、光学透明粘着層(OCA;Optical Clear Adhesive)30が設けられている。基材2とブリッジ配線部10との間には、絶縁層20が設けられている。
図3に表したように、ブリッジ配線部10が設けられた部分においては、光学透明粘着層30は、ブリッジ配線部10と反射低減層3との間に設けられている。
【0025】
基材2は、透光性を有し、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のフィルム状の透明基材やガラス基材等で形成される。基材2の一方の主面(基材2におけるZ1−Z2方向に沿った方向を法線とする主面のうちZ1側に位置する主面であり、以下「おもて面2a」という。)には、第1の透明電極4および第2の透明電極5が設けられている。この詳細については、後述する。
図3に表したように、反射低減層3は、ブリッジ配線部10からみて基材2とは反対側に設けられ、透光性を有する。反射低減層3の材料としては、例えばプラスチック基材などが挙げられる。後述するように、反射低減層3は屈折率が所定の条件を満たすことが求められるため、ジルコニアやチタニアのような屈折率が大きな物質を含む粒子が有機系材料からなるマトリックスに分散した複合材料から反射低減層3は構成されていてもよい。
【0026】
図1に表したように、静電容量式センサ1は、反射低減層3側の面の法線に沿った方向(Z1−Z2方向)からみて、検出領域11と非検出領域25とからなる。検出領域11は、指などの操作体により操作を行うことができる領域であり、非検出領域25は、検出領域11の外周側に位置する額縁状の領域である。非検出領域25は、図示しない加飾層によって遮光され、静電容量式センサ1における反射低減層3側の面から基材2側の面への光(外光が例示される。)および基材2側の面から反射低減層3側の面への光(静電容量式センサ1と組み合わせて使用される表示装置のバックライトからの光が例示される。)は、非検出領域25を透過しにくくなっている。
【0027】
図1に表したように、基材2のおもて面2aには、第1の電極連結体8と、第2の電極連結体12と、が設けられている。第1の電極連結体8は、検出領域11に配置され、複数の第1の透明電極4を有する。
図3および
図4に示すように、複数の第1の透明電極4はおもて面2aに設けられている。各第1の透明電極4は、細長い連結部7を介してY1−Y2方向(第1の方向)に連結されている。そして、Y1−Y2方向に連結された複数の第1の透明電極4を有する第1の電極連結体8が、X1−X2方向に間隔を空けて配列されている。連結部7は、第1の透明電極4に一体として形成されている。連結部7は、隣り合う2つの第1の透明電極4を互いに電気的に接続している。
【0028】
第1の透明電極4および連結部7は、透光性を有し、導電性ナノワイヤを含む材料により形成される。導電性ナノワイヤとしては、金ナノワイヤ、銀ナノワイヤ、および銅ナノワイヤよりなる群から選択された少なくとも1つが用いられる。導電性ナノワイヤを含む材料を用いることで、第1の透明電極4の高い透光性とともに低電気抵抗化を図ることができる。また、導電性ナノワイヤを含む材料を用いることで、静電容量式センサ1の変形性能を向上させることができる。
【0029】
導電性ナノワイヤを含む材料は、導電性ナノワイヤと、透明な樹脂層と、を有する。導電性ナノワイヤは、樹脂層の中において分散されている。導電性ナノワイヤの分散性は、樹脂層により確保されている。透明な樹脂層の材料としては、例えば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、およびポリウレタン樹脂などが挙げられる。複数の導電性ナノワイヤが少なくとも一部において互いに接触することにより、導電性ナノワイヤを含む材料の面内における導電性が保たれている。
【0030】
第2の電極連結体12は、検出領域11に配置され、複数の第2の透明電極5を有する。
図3および
図4に示すように、複数の第2の透明電極5は、基材2のおもて面2aに設けられている。このように、第2の透明電極5は、第1の透明電極4と同じ面(基材2のおもて面2a)に設けられている。各第2の透明電極5は、細長いブリッジ配線部10を介してX1−X2方向(第2の方向)に連結されている。そして、X1−X2方向に連結された複数の第2の透明電極5を有する第2の電極連結体12が、Y1−Y2方向に間隔を空けて配列されている。ブリッジ配線部10は、第2の透明電極5とは別体として形成されている。なお、X1−X2方向は、Y1−Y2方向と交差している。例えば、X1−X2方向は、Y1−Y2方向と垂直に交わっている。
【0031】
第2の透明電極5は、透光性を有し、導電性ナノワイヤを含む材料により形成される。導電性ナノワイヤは、第1の透明電極4の材料に関して前述した通りである。
【0032】
ブリッジ配線部10は、透光性を有し、アモルファス酸化物系材料を含む材料により形成される。アモルファス酸化物系材料としては、アモルファスITO(Indium Tin Oxide)、アモルファスIZO(Indium Zinc Oxide)、アモルファスGZO(Gallium-doped Zinc Oxide)、アモルファスAZO(Aluminum-doped Zinc Oxide)およびアモルファスFTO(Fluorine-doped Zinc Oxide)よりなる群から選択された少なくとも1つが用いられる。
【0033】
あるいは、ブリッジ配線部10は、アモルファスITO等のアモルファス酸化物系材料を含む第1層と、第1層よりも低抵抗で透明な金属からなる第2層と、を有していてもよい。また、ブリッジ配線部10は、アモルファスITO等のアモルファス酸化物系材料を含む第3層をさらに有していてもよい。ブリッジ配線部10が第1層と第2層との積層構造、あるいは第1層と第2層と第3層との積層構造を有する場合には、ブリッジ配線部10と、第1の透明電極4および第2の透明電極5と、の間においてエッチング選択性を有することが望ましい。
【0034】
図2〜
図4に示すように、各第1の透明電極4間を連結する連結部7の表面には、絶縁層20が設けられている。
図3に示すように、絶縁層20は、連結部7と第2の透明電極5との間の空間を埋め、第2の透明電極5の表面にも多少乗り上げている。絶縁層20としては、例えばノボラック樹脂(レジスト)が用いられる。
【0035】
図3および
図4に示すように、ブリッジ配線部10は、絶縁層20の表面20aから絶縁層20のX1−X2方向の両側に位置する各第2の透明電極5の表面にかけて設けられている。ブリッジ配線部10は、隣り合う2つの第2の透明電極5を互いに電気的に接続している。
【0036】
図3および
図4に示すように、各第1の透明電極4間を接続する連結部7の表面には絶縁層20が設けられており、絶縁層20の表面に各第2の透明電極5間を接続するブリッジ配線部10が設けられている。このように、連結部7とブリッジ配線部10との間には絶縁層20が介在し、第1の透明電極4と第2の透明電極5とは電気的に絶縁された状態となっている。本実施形態では、第1の透明電極4と第2の透明電極5とが同じ面(基材2のおもて面2a)に設けられているため、静電容量式センサ1の薄型化を実現できる。
【0037】
なお、
図2〜
図4に表した連結部7は、第1の透明電極4に一体として形成され、Y1−Y2方向に延びている。また、
図2〜
図4に表したブリッジ配線部10は、連結部7を覆う絶縁層20の表面20aに第2の透明電極5とは別体として形成され、X1−X2方向に延びている。但し、連結部7およびブリッジ配線部10の配置形態は、これだけには限定されない。例えば、連結部7は、第1の透明電極4に一体として形成され、X1−X2方向に延びていてもよい。この場合には、連結部7は、隣り合う2つの第2の透明電極5を互いに電気的に接続する。ブリッジ配線部10は、連結部7を覆う絶縁層20の表面20aに第1の透明電極4とは別体として形成され、Y1−Y2方向に延びていてもよい。この場合には、ブリッジ配線部10は、隣り合う2つの第1の透明電極4を互いに電気的に接続する。本実施形態に係る静電容量式センサ1の説明では、ブリッジ配線部10が、連結部7を覆う絶縁層20の表面20aに第2の透明電極5とは別体として形成され、X1−X2方向に延びた場合を例に挙げる。
【0038】
図1に示すように、非検出領域25には、各第1の電極連結体8および各第2の電極連結体12から引き出された複数本の配線部6が形成されている。第1の電極連結体8および第2の電極連結体12のそれぞれは、接続配線16を介して配線部6と電気的に接続されている。各配線部6は、図示しないフレキシブルプリント基板と電気的に接続される外部接続部27に接続されている。すなわち、各配線部6は、第1の電極連結体8および第2の電極連結体12と、外部接続部27と、を電気的に接続している。外部接続部27は、例えば導電ペースト、Cu、Cu合金、CuNi合金、Ni、Ag、Au等の金属を有する材料を介して、図示しないフレキシブルプリント基板と電気的に接続されている。
【0039】
各配線部6は、Cu、Cu合金、CuNi合金、Ni、Ag、Au等の金属を有する材料により形成される。接続配線16は、ITO、金属ナノワイヤ等の透明導電性材料で形成され、検出領域11から非検出領域25に延出している。配線部6は、接続配線16の上に非検出領域25内で積層され、接続配線16と電気的に接続されている。
【0040】
配線部6は、基材2のおもて面2aにおける非検出領域25に位置する部分に設けられている。外部接続部27も、配線部6と同様に、基材2のおもて面2aにおける非検出領域25に位置する部分に設けられている。
【0041】
図1では、理解を容易にするために配線部6や外部接続部27が視認されるように表示しているが、実際には、非検出領域25に位置する部分には、遮光性を有する加飾層(図示せず)が設けられている。このため、静電容量式センサ1を反射低減層3側の面からみると、配線部6および外部接続部27は加飾層によって隠蔽され、視認されない。加飾層を構成する材料は、遮光性を有する限り任意である。加飾層は絶縁性を有していてもよい。
【0042】
本実施形態に係る静電容量式センサ1では、
図3に示すように例えば反射低減層3の面3a上に操作体の一例として指を接触させると、指と指に近い第1の透明電極4との間、および指と指に近い第2の透明電極5との間で静電容量が生じる。静電容量式センサ1は、このときの静電容量変化に基づいて、指の接触位置を算出することが可能である。静電容量式センサ1は、指と第1の電極連結体8との間の静電容量変化に基づいて指の位置のX座標を検知し、指と第2の電極連結体12との間の静電容量変化に基づいて指の位置のY座標を検知する(自己容量検出型)。
【0043】
あるいは、静電容量式センサ1は、相互容量検出型であってもよい。すなわち、静電容量式センサ1は、第1の電極連結体8および第2の電極連結体12のいずれか一方の電極の一列に駆動電圧を印加し、第1の電極連結体8および第2の電極連結体12のいずれか他方の電極と指との間の静電容量の変化を検知してもよい。これにより、静電容量式センサ1は、他方の電極により指の位置のY座標を検知し、一方の電極により指の位置のX座標を検知する。
【0044】
ここで、透明電極が導電性ナノワイヤを含む材料により形成された場合には、透明電極とブリッジ配線部との接触面積が比較的狭くなることがある。すなわち、導電性ナノワイヤは、透明電極の表面に露出した導電性ワイヤによってブリッジ配線部との導電性を確保している。そのため、ブリッジ配線部の材料が導電性ナノワイヤを含む材料である場合には、透明電極とブリッジ配線部との接触は、ワイヤとワイヤとの点接触になる。あるいは、ブリッジ配線部の材料が例えばITOなどの酸化物系材料である場合には、透明電極とブリッジ配線部との接触は、ワイヤの線あるいは点と面との接触になる。これにより、透明電極の材料に導電性ナノワイヤを含む材料を用いると、透明電極とブリッジ配線部との接触面積が比較的狭くなることがある。
【0045】
すると、導通安定性が低下することがある。また、静電気放電(ESD;Electro Static Discharge)が発生し、大電流が透明電極とブリッジ配線部との接触部分に流れると、その接触部分が局所的に発熱して溶断することがある。つまり、透明電極の材料に導電性ナノワイヤを含む材料を用いると、静電容量式センサの変形性能が向上する一方で、導通安定性およびESD耐性が低下することがある。また、ブリッジ配線部の材料に結晶性の酸化物系材料や金属系材料を用いると、折り曲げ時の抵抗が上昇したり、ブリッジ配線部が断線したりすることがある。
【0046】
そこで、ブリッジ配線部のサイズを大きくすることにより、透明電極と、ブリッジ配線部と、の接触面積を広くすることが考えられる。しかし、ブリッジ配線部のサイズを大きくすると、ブリッジ配線部が視認されやすくなるという問題がある。
【0047】
これに対して、本実施形態に係る静電容量式センサ1では、第2の透明電極5は導電性ナノワイヤを含み、ブリッジ配線部10はアモルファス酸化物系材料を含んでいる。そのため、ブリッジ配線部10の材料に結晶性の酸化物系材料や金属系材料を用いた場合と比較して、静電容量式センサ1の変形性能を向上させることができるとともに、第2の透明電極5とブリッジ配線部10との密着性を確保することができる。また、折り曲げ時の抵抗が上昇することを抑えることができる。
【0048】
さらに、ブリッジ配線部10からみて基材2とは反対側には、反射低減層3が設けられている。反射低減層3の屈折率は、第2の透明電極5の屈折率よりも高く、ブリッジ配線部10の屈折率よりも低い。これにより、ブリッジ配線部10のサイズを大きくして、第2の透明電極5とブリッジ配線部10との接触面積を広くした場合であっても、反射低減層3がブリッジ配線部10の表面における光の反射を低減することで、ブリッジ配線部10の不可視性を確保することができる。そのため、ブリッジ配線部10のサイズを大きくすることができ、導通安定性およびESD耐性が低下することを抑えることができる。
【0049】
導電性ナノワイヤが金ナノワイヤ、銀ナノワイヤ、および銅ナノワイヤよりなる群から選択された少なくとも1つである場合には、第1の透明電極4および第2の透明電極5の材料に例えばITOなどの酸化物系材料を用いた場合と比較して、静電容量式センサ1の変形性能を向上させることができるとともに、折り曲げ時の抵抗が上昇することをより抑えることができる。
【0050】
アモルファス酸化物系材料がアモルファスITO、アモルファスIZO、アモルファスGZO、アモルファスAZO、およびアモルファスFTOよりなる群から選択された少なくとも1つである場合には、ブリッジ配線部10の材料に例えば結晶性ITOなどを用いた場合と比較して、静電容量式センサ1の変形性能を向上させることができるとともに、折り曲げ時の抵抗が上昇することを抑えることができる。また、ブリッジ配線部10の材料に例えば金属ナノワイヤなどを用いた場合と比較して、ブリッジ配線部10の不可視性をより高めることができる。
【0051】
次に、本発明者が実施した検討の結果について、図面を参照しつつ説明する。
図5は、接触面積とESD耐性との関係を例示するグラフである。
図6は、ケルビンパターンを模式的に例示する平面図である。
【0052】
本発明者は、
図6に表したようなケルビンパターンを用いて、接触部分P1のESD耐圧を測定した。ESD耐圧試験は、直接印加方式である。そのため、ESD耐圧試験については、人体モデル(HBM:Human Body Model)試験を実施した。この人体モデル試験は、JEITA規格:EIAJ ED−4701/300 試験方法304に基づいている。
【0053】
図6に表したように、本試験では、銀ナノワイヤを含む第1の試料5Aと、アモルファスITOを含む第2の試料10Aと、を互いに交差させている。第1の試料5Aは、第2の透明電極5に相当する。第2の試料10Aは、ブリッジ配線部10に相当する。本試験では、接触部分P1のX1−X2方向の寸法L11および接触部分P1のY1−Y2方向の寸法L12のいずれか一方を100μmに固定し、寸法L11および寸法L12のいずれか他方を変化させることで、接触部分P1の接触面積を変化させた。第1の試料5Aと第2の試料10Aとの接触部分P1の接触面積と、ESD耐性と、の間の関係は、
図5に表した通りである。
【0054】
図5に表したグラフの横軸は、接触部分P1の接触面積(単位:μm
2)を表す。
図5に表したグラフの縦軸は、ESD耐圧(単位:kV)を表す。本願明細書において「ESD耐圧」とは、ESDによる破壊(溶断)が発生したときの電圧をいうものとする。
【0055】
本発明者が本試験により得た知見によれば、接触部分P1の接触面積が10000μm
2未満である場合には、接触部分P1においてESDによる破壊が生じた。一方で、接触部分P1の接触面積が10000μm
2以上である場合には、接触部分P1ではなくブリッジ配線部10に相当する第2の試料10A自身においてESDによる破壊が生じた。
【0056】
これにより、接触部分P1の接触面積が10000μm
2以上である場合には、第2の透明電極5に相当する第1の試料5Aと、ブリッジ配線部10に相当する第2の試料10Aと、の接触部分P1の接触面積を広くして、接触部分P1がESDにより破壊することを抑えることができる。つまり、ESD耐性が低下することを抑えることができる。
【0057】
図7は、接触面積とESD耐性との他の関係を例示するグラフである。
本発明者は、他の試料を用いて、接触部分P1のESD耐圧を測定した。すなわち、
図6に表したように、本試験では、銀ナノワイヤを含む第1の試料5Aと、アモルファスITOと銅(Cu)とアモルファスITOとの積層構造を有する第2の試料10Bと、を互いに交差させている。第2の試料10Bにおいて、銅(Cu)は、2つのアモルファスITOの間に設けられている。
【0058】
第1の試料5Aは、第2の透明電極5に相当する。第2の試料10Bは、ブリッジ配線部10に相当する。本試験の方法は、
図5および
図6に関して前述した通りである。第1の試料5Aと第2の試料10Bとの接触部分P1の接触面積と、ESD耐性と、の間の関係は、
図7に表した通りである。
【0059】
本発明者が本試験により得た知見によれば、接触部分P1の接触面積が10000μm
2未満である場合には、接触部分P1においてESDによる破壊が生じた。一方で、接触部分P1の接触面積が10000μm
2以上である場合には、接触部分P1ではなくブリッジ配線部10に相当する第2の試料10B自身においてESDによる破壊が生じた。
【0060】
これにより、ブリッジ配線部10が積層構造を有する場合においても、接触部分P1の接触面積が10000μm
2以上である場合には、第2の透明電極5に相当する第1の試料5Aと、ブリッジ配線部10に相当する第2の試料10Bと、の接触部分P1の接触面積を広くして、接触部分P1がESDにより破壊することを抑えることができる。つまり、ESD耐性が低下することを抑えることができる。
【0061】
図8は、接触面積と電気抵抗値との関係を例示するグラフである。
本発明者が得た知見によれば、温度85℃、湿度85%の環境に240時間放置する環境試験(85℃85%高温高湿信頼性試験)の前後において、接触部分P1の電気抵抗値が上昇する。そこで、本発明者は、
図6に関して前述したケルビンパターンを用いて、85℃85%高温高湿信頼性試験を実施した後の接触部分P1の電気抵抗値を測定した。本環境試験は、JEITA規格:EIAJED−4701/100 試験方法103に基づいている。
【0062】
本試験で用いた試料は、銀ナノワイヤを含む第1の試料5A、およびアモルファスITOを含む第2の試料10Aである。その他の試験方法は、
図5および
図6に関して前述した通りである。第1の試料5Aと第2の試料10Aとの接触部分P1の接触面積と、電気抵抗値と、の間の関係は、
図8に表した通りである。
【0063】
図8に表したグラフの横軸は、
図5に表したグラフの横軸と同じである。
図8に表したグラフの縦軸は、接触部分P1の電気抵抗値(単位:Ω)を表す。
【0064】
本発明者が本試験により得た知見によれば、接触部分P1の接触面積が12000μm
2未満である場合には、接触面積に応じた電気抵抗値の上昇が比較的大きい。一方で、接触部分P1の接触面積が12000μm
2以上である場合には、接触面積に応じた電気抵抗値の上昇が比較的小さく、また比較的安定している。
【0065】
これにより、接触部分P1の接触面積が12000μm
2以上である場合には、85℃85%高温高湿信頼性試験において、第2の透明電極5に相当する第1の試料5Aと、ブリッジ配線部10に相当する第2の試料10Aと、の接触部分P1の電気抵抗値の上昇を安定化させることができる。
【0066】
図9は、反射低減層の有無に関する比較を例示する写真である。
図9(a)は、反射低減層3が設けられていない比較例を示す写真である。
図9(b)は、本実施形態の反射低減層3が設けられた例を示す写真である。
図9(b)に表した写真における反射低減層3の屈折率は、1.79である。
【0067】
図9(a)に表したように、反射低減層3が設けられていない場合には、絶縁層20の縁を明確に視認することができる。また、ブリッジ配線部10において反射された光の明るさが第2の透明電極5において反射された光の明るさとは異なり、ブリッジ配線部10を明確に視認することができる。
【0068】
これに対して、
図9(b)に表したように、反射低減層3が設けられた場合には、
図9(a)に表した比較例と比較すると絶縁層20の縁は視認されにくくなっている。また、ブリッジ配線部10において反射された光の明るさが第2の透明電極5において反射された光の明るさと略同じであり、ブリッジ配線部10をほとんど視認することができない。
図9(a)および
図9(b)に表したように、反射低減層3は、ブリッジ配線部10の表面における光の反射を低減して、ブリッジ配線部10の不可視性を高めることができる。なお、
図9では、静電容量式センサ1の観察側と反対側の面には特段の部材が設けられていない。以下、このように観察側から入射した光が裏面側へと透過しうる状態で観察することを「明視野」で観察するという。
【0069】
図10は、銀ナノワイヤを含む層とブリッジ配線部とを備える構造体の上に設けられた反射低減層の屈折率と、ブリッジ配線部の幅と、ブリッジ配線部の不可視性と、の関係を例示する表である。銀ナノワイヤを含む層の屈折率は1.5であり、ブリッジ配線部の屈折率は2.0であった。
図10に表した表の中の丸印(○)は、ブリッジ配線部10が不可視性である場合(ブリッジ配線部10を視認できなかった場合)を示している。一方で、
図10に表した表のバツ印(×)は、ブリッジ配線部10が視認された場合を示している。
【0070】
本発明者が
図5〜
図8に関して前述した試験により得た知見によれば、接触部分P1のX1−X2方向の寸法L11および接触部分P1のY1−Y2方向の寸法L12の少なくともいずれかが100μm以上である必要がある。寸法L11および寸法L12の少なくともいずれかは、
図2に表したように、第2の方向に対して直交する方向におけるブリッジ配線部10の寸法(幅)L1に相当する。
【0071】
第2の透明電極5とブリッジ配線部10との接触部では、第2の透明電極5に含まれる導電性ナノワイヤとブリッジ配線部10に含まれるアモルファス酸化物系材料とが電気的に接続されている。そして、ブリッジ配線部10は隣り合う2つの第2の透明電極(一方の第2の透明電極、他方の第2の透明電極)を電気的に接続するものであるから、ブリッジ配線部10では第2の方向に電流が流れ、ブリッジ配線部10と第2の透明電極5との接触部においても同様にブリッジ配線部10内を第2の方向に沿って電流は流れる。
【0072】
したがって、一方の第2の透明電極5からブリッジ配線部10を流れて他方の第2の透明電極5に到達した電流は、他方の第2の透明電極5におけるブリッジ配線部10に接する複数の導電性ナノワイヤに分散して流れ込むとき、これらの複数の導電性ナノワイヤのそれぞれに均等に電流が流れることはなく、一方の第2の透明電極5に近位な導電性ナノワイヤほど電流が流れ込みやすい。それゆえ、ブリッジ配線部10の幅(寸法L1)が狭く、ブリッジ配線部10と第2の透明電極5との接触部においても第2の方向に直交する方向の長さが小さい(幅が狭い)場合には、一方の第2の透明電極5に近位な導電性ナノワイヤに大きな電流が流れやすく、導電性ナノワイヤの溶断が生じやすい。
【0073】
これに対し、ブリッジ配線部10の幅が広く、ブリッジ配線部10と第2の透明電極5との接触部の幅が広い場合には、ブリッジ配線部10を流れてきた電流は、すみやかに多くの導電性ナノワイヤに分岐して流れることができる。この場合には、導電性ナノワイヤ一つ一つに過電流が流れる可能性は低くなるため、導電性ナノワイヤの溶断は生じにくい。
【0074】
このように、第2の透明電極5が導電性ナノワイヤを含む場合には、ブリッジ配線部10をバルク的に流れてきた電流が導電性ナノワイヤとの接触部において分岐されるため、接触部における電流の流れ込みが最初に生じる部分において特に導電性ナノワイヤの溶断が生じやすい。したがって、ブリッジ配線部10の幅をある程度広くすること、具体的には100μm以上とすることにより、ブリッジ配線部10と第2の透明電極5との接触部において導電性ナノワイヤが溶断する可能性をより低減させることができる。
【0075】
ここで、
図10に表したように、寸法L1が100μm以上である場合において、反射低減層3の屈折率が1.75以上であるときには、ブリッジ配線部10の不可視性を確保できることがある。具体的には、反射低減層3の屈折率が1.75である場合には、寸法L1が100μm以上、120μm以下であるときに、ブリッジ配線部10の不可視性を確保できる。反射低減層3の屈折率が1.79以上、1.82以下である場合には、寸法L1が100μm以上、150μm以下であるときに、ブリッジ配線部10の不可視性を確保できる。
【0076】
図11は、反射低減層の厚みと、ブリッジ配線部の幅と、ブリッジ配線部の不可視性と、の関係を例示する表である。
図11に表した表の中の丸印(○)およびバツ印(×)は、
図10に関して前述した通りである。
【0077】
図10に関して前述したように、第2の方向に対して直交する方向におけるブリッジ配線部10の寸法(幅)L1は、100μm以上である必要がある。ここで、
図11に表したように、寸法L1が100μm以上である場合において、基材2のおもて面2aの法線に沿った方向における反射低減層3の寸法(厚み)L2(
図3参照)が2μm以上であるときには、ブリッジ配線部10の不可視性を確保できることがある。具体的には、寸法L2が2μmである場合には、寸法L1が100μm以上、150μm以下であるときに、ブリッジ配線部10の不可視性を確保できる。
【0078】
以上、本発明の第1実施形態およびその適用例を説明したが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。例えば、第1実施形態またはその適用例に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、設計変更を行ったものや、各実施形態の特徴を適宜組み合わせたものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含有される。
【0079】
一様態として、上記の説明では、基材2上に設けられた第1の電極連結体8および第2の電極連結体12を備える構造体と反射低減層3との間には光学透明粘着層30が配置されているが、これに限定されない。例えば、
図12に示されるように、基材2上に設けられた第1の電極連結体8および第2の電極連結体12を備える構造体を覆うように反射低減層3が設けられていてもよい。このような構成は、反射低減層3を形成するための組成物を上記の構造体上に塗布し、この塗膜を硬化して反射低減層3を形成するような方法により得ることができる。
【0080】
また、
図12に示されるように、反射低減層3の上には、光学透明粘着層30を介してカバー材40が設けられていてもよい。カバー材40を構成する材料は限定されず、ポリカーボネート(PC)などの樹脂系材料から構成されていてもよいし、ガラスなどの無機系材料から構成されていてもよいし、異なる材料の層からなる積層構造を有していていもよい。なお、
図5から
図11に示される結果は、
図12に示される構造を用いて得られたものである。
【0081】
上述したように、本発明の第1実施形態に係る静電容量式センサ1において、基材2上に設けられた第1の電極連結体8および第2の電極連結体12を備える構造体を覆うように設けられた反射低減層3は、明視野で観察したときにブリッジ配線部10の不可視性を高めることに寄与する。
【0082】
(第2実施形態)
続いて、
図13を用いて、本発明の第2実施形態に係る静電容量式センサ1Aについて説明する。なお、第1実施形態と同一構成については、同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0083】
近年、静電容量式センサの操作側(観察側)とは反対側の面(裏面)には、有機EL素子(OLED)のように局所的に発光しうる発光素子が配置される場合がある。この場合には、発光素子が発光していない部分では、静電容量式センサの裏面側に黒い反射体が位置することになる。ここで、静電容量式センサの裏面側が透過しうる状態になく、静電容量式センサの裏面側に黒色系の反射体が位置する状態で観察することを、本明細書において「暗視野」で観察するという。
【0084】
明視野と暗視野とでは、静電容量式センサの裏面側からの光の影響が異なるため、静電容量式センサを暗視野で観察すると、明視野で観察する場合とは不可視性が異なる場合がある。特に、第1実施形態の構成により、明視野であれば不可視性を向上させることができたブリッジ配線部10の不可視性が、暗視野ではさらに向上させることが好ましい場合がある。本発明の第2実施形態に係る静電容量式センサ1Aによれば、暗視野での不可視性を向上させることができる。
【0085】
図13は、本発明の第2実施形態に係る静電容量式センサ1Aの構造を概念的に示す断面図であり、
図3および
図12と同様に、第2の透明電極5が並ぶ方向(X1−X2方向)を含む面を切断面とする断面図である。第2実施形態に係る静電容量式センサ1Aの基本的な構造は、第1実施形態に係る静電容量式センサ1と共通する。特に、
図12に示されるように、反射低減層3は、基材2上に設けられた第1の電極連結体8および第2の電極連結体12を備える構造体を直接的に覆うように設けられている。第2実施形態に係る静電容量式センサ1Aにおける
図12に示される構成との相違は、反射低減層3の厚さが相対的に薄いことである。
【0086】
図11を用いて説明したように、第1実施形態に係る静電容量式センサ1の反射低減層3は、厚さが2μm以上あることが好ましい。これに対し、第2実施形態に係る静電容量式センサ1Aの反射低減層3は、第2の透明電極5の屈折率よりも高くブリッジ配線部10の屈折率よりも低い屈折率を有し、その厚さが50nm以上150nm以下であることが好ましい。かかる屈折率の範囲の具体例として1.6から1.8の範囲が挙げられる。このような屈折率と厚さとを有する反射低減層3を備えることにより、静電容量式センサ1Aは、暗視野においてもブリッジ配線部10の不可視性を確保することが容易となる。暗視野におけるブリッジ配線部10の不可視性をより安定的に確保する観点から、上記の範囲の屈折率を有する反射低減層3の厚さは50nm以上110nm以下であることがより好ましい場合がある。このように反射低減層3が相対的に薄くなることにより、静電容量式センサ1Aは、第1実施形態に係る静電容量式センサ1よりも屈曲性に優れる場合がある。具体的には、第1実施形態に係る静電容量式センサ1のように、反射低減層3がμm単位の厚さを有している場合には、反射低減層3はドライフィルムレジストのような比較的硬質な材料から構成される場合があり、そのような場合には、反射低減層3の厚さが2μm程度またはそれ以上であることにより、静電容量式センサ1の屈曲性を高まりにくくなることもある。
【0087】
なお、上記の内容を別の観点で説明すれば、第2の透明電極5の屈折率が1.5〜1.7であって、ブリッジ配線部10の屈折率が1.9〜2.1である場合には、反射低減層3の屈折率と厚さとの積は、80nm以上250nm以下であることが好ましく、85nm以上180nm以下であることがより好ましく、90nm以上150nm以下であることが特に好ましい。
【0088】
(第3実施形態)
続いて、
図14を用いて、本発明の第3実施形態に係る静電容量式センサ1Bについて説明する。なお、第1実施形態と同一構成については、同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0089】
第2実施形態に係る静電容量式センサ1Aによれば、反射低減層3の屈折率および厚さを適切に制御することにより、暗視野においても、不可視性、特にブリッジ配線部10の不可視性を安定的に確保することができる。上記のように、暗視野の場合には、明視野に比べて不可視性を確保することが容易でなく、各要素の色合いも明視野の場合に比べて強調されやすい。次に説明するように、第3実施形態に係る静電容量式センサ1Bでは、暗視野において観察した際の不可視性をより高める観点から、第2の透明電極5の屈折率と絶縁層20の屈折率との差の絶対値を0.05以下とする。
【0090】
図14は、本発明の第3実施形態に係る静電容量式センサ1Bの構造を概念的に示す断面図であり、
図3、
図12および
図13と同様に、第2の透明電極5が並ぶ方向(X1−X2方向)を含む面を切断面とする断面図である。
【0091】
図14に示されるように、本発明の第3実施形態に係る静電容量式センサ1Bの基本的な構造は、第2実施形態に係る静電容量式センサ1Aと共通する。第3実施形態に係る静電容量式センサ1Bは、第2の透明電極5の屈折率と絶縁層20の屈折率との差の絶対値が0.05以下である点で、第2実施形態に係る静電容量式センサ1Aと相違する。第2の透明電極5の屈折率と絶縁層20の屈折率との差の絶対値が0.05以下であることにより、暗視野で観察した場合であっても、第2の透明電極5が位置する領域の色と絶縁層20が位置する領域の色との差が少なくなって、絶縁層20の不可視性を確保することが容易となる。第2の透明電極5の屈折率と絶縁層20の屈折率との差の絶対値を小さくするための具体的な方法は任意である。第2の透明電極5が導電性ナノワイヤが分散する樹脂層にさらにオーバーコート層を備えるものとし、このオーバーコート層の組成や厚さを調整することにより、第2の透明電極5の屈折率を変更することが一例として挙げられる。
【0092】
<実施例>
以下の実施例により本発明についてさらに説明する。説明にあたっては、
図15に示すような構成を有した比較例1を用いて行う。
図15に示す比較例1の静電容量式センサは、本発明の実施形態に係る静電容量式センサ(1、1A、1B)と比較して、反射低減層3が設けられていないところが主に異なる。なお、本発明はこの実施例に限定されない。
【0093】
先ず、
図12から
図15に示される構成を有し、
図16に示されるような各層の屈折率(反射低減層3については厚さtも示した。)を有する試験部材を作製した。この試験部材を、実施例1(
図12の構成)、実施例2(
図13の構成)、実施例3(
図14の構成)、比較例1(
図15の構成)とし、各試験部材について、次の評価や測定を行った。
【0094】
(1)不可視性の評価
試験部材を明視野または暗視野にて目視で観察して、ブリッジ配線部の視認性を次の4段階で評価した。結果を
図17に示す。
A:ブリッジ配線部を視認できない
B:ブリッジ配線部をおおむね視認できない
C:ブリッジ配線部を視認可能である
【0095】
続いて、試験部材の明視野および暗視野における外観の色味の品位を評価した。結果を
図17に示す。
図17における各欄の記号は次の意味を有する。
A:均一で無色な色味を呈する
B1:全体的に黄味を帯びる
B2:ギラツキを有する
B3:透明電極の領域が赤味を帯びる
【0096】
上記の視認性および色味の評価に基づく総合評価(トータル判定)を次の4段階で評価した。結果を
図17に示す。
A:不可視性が特に優れる
B:不可視性が良好である
C:不可視性を有する
D:不可視性を有しない
【0097】
(2)透明電極領域の光学特性の測定
透明電極(第1の透明電極4および第2の透明電極)が位置する領域は、導電性ナノワイヤが樹脂層に分散して導電性を有する部分(導電部)と、導電性ナノワイヤがエッチングなどにより除去されて導電性が低下した部分(絶縁部)とからなる。これらの導電部および絶縁部のそれぞれについて、JIS K7375:2008に規定される全光線透過率およびJIS K7136:2000に規定されるヘーズ(Haze)を測定した。また、これらの結果について、導電部と絶縁部との差の絶対値(Δ)を求めた。結果を
図18に示す。
【0098】
(3)色空間の測定
試験部材を明視野および暗視野で観察して、透明電極が位置する領域、ブリッジ配線部が位置する領域、および絶縁層が位置する領域のそれぞれについて、CIE1976L
*a
*b
*色空間に規定されるL
*値、a
*値およびb
*値を測定した。また、各領域の透明電極領域に対する差分(ΔL
*、Δa
*およびΔb
*)を求めた。測定結果および算出結果を
図19に示す。
【0099】
図17から
図19に示されるように、比較例1では、ブリッジ配線部の色味差が大きいため、明視野においても暗視野においてもブリッジ配線部が視認されやすい。これに対し、実施例1では、全体的に色空間値の差分(ΔL
*、Δa
*およびΔb
*)が小さくなったため、不可視性が向上した。しかしながら、暗視野ではΔb
*が比較的大きいため、黄味がやや強めであった。また、暗視野において全体的にL
*値が大きく、試験部材を暗視野で目視観察した際にギラツキとして認識されやすくなる傾向を有していた。実施例2では、実施例1との対比にで、暗視野で観察した際に色空間値の差分(ΔL
*、Δa
*およびΔb
*)の低下が認められ、暗視野で目視観察した際にギラツキが生じにくくなった。実施例3では、実施例2との対比で、暗視野で観察した際の透明電極領域のa
*値が顕著に低下(5.51→1.52)し、実施例2の暗視野での観察で認められた透明電極領域の赤味が改善された。