(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記累積加算回路は、L/2を累積加算することでLL(J)が1以上となった場合には、(1)当該LL(J)から1を減算して新たなLL(J)を算出すると共に、(2)前記第1レジスタが記憶する情報を、Mを特定する情報からM+1を特定する情報へと書き換えて、(3)当該書き換えの後において、前記選択回路から出力される出力パルス列が最初に立ち上がるときに、前記第1レジスタが記憶する情報を、M+1を特定する情報からMを特定する情報へと書き換える
請求項3記載のパルス周波数制御回路。
前記累積加算回路は、L/2を累積加算することでLL(J)が1以上となった場合に、さらに、(1)前記第3レジスタが記憶する情報を、Pを特定する情報からP+1を特定する情報へと書き換えて、(2)当該書き換えの後において、前記選択回路から出力される出力パルス列が最初に立ち上がるときに、前記第3レジスタが記憶する情報を、P+1を特定する情報からPを特定する情報へと書き換える
請求項5に記載のパルス周波数制御回路。
同一基準周期の、互いに位相が異なる複数の基準クロックを取得して選択する選択回路と、設定レジスタと、制御回路とを備えるパルス周波数制御回路が行うパルス周波数制御方法であって、
前記設定レジスタが、前記基準周期よりも短い第1期間を単位とする設定周期を特定する情報を記憶する設定ステップと、
前記制御回路が、前記設定ステップによって記憶される情報に基づいて、前記選択回路に対して、前記複数の基準クロックの中から、前記設定周期の間隔で立ち上がる立ち上がりエッジを、立ち上がり決定エッジとして逐次繰り返し選択させ、前記立ち上がり決定エッジ毎に、前記複数の基準クロックの立ち上がりエッジの中から、前記立ち上がり決定エッジに対応する立ち上がりエッジを立下り決定エッジとして逐次繰り返し選択させる制御ステップと
前記選択回路が、選択する立ち上がり決定エッジのタイミング毎に立ち上がり、選択する立下り決定エッジのタイミング毎に立ち下がる出力パルスを逐次繰り返し生成することにより、当該出力パルスからなる出力パルス列を出力する出力ステップとを含む
パルス周波数制御方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一態様に係るパルス周波数制御回路、マイコン、DCDCコンバータ、及びパルス周波数制御方法の具体例について、図面を用いて説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明における好ましい一具体例を示すものである。従って、以下の実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、工程、並びに、工程の順序等は、一例であって本発明を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明における最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0016】
なお、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0017】
(実施の形態)
[1.構成]
図1は、本実施の形態に係るDCDCコンバータ3の構成を示すブロック図である。
【0018】
同図に示されるように、DCDCコンバータ3は、スイッチング素子31と、エネルギー変換回路32と、整流平滑回路33と、マイコン2とを含んで構成される。
【0019】
スイッチング素子31は、一例として、窒化ガリウムFET(Field Effective Transistor)によって実現され、マイコン2から出力される制御信号(後述の出力パルス列)に応じて、直流の入力電圧をスイッチングする。ここで、スイッチングとは、導通状態と非導通状態とを繰り返し切り替えることを言う。
【0020】
エネルギー変換回路32は、一例として、トランスによって実現され、スイッチング素子31によってスイッチングされた入力電圧が入力されると、その入力電圧の電圧変動に起因する電流変動によって起電力を生じ、生じた起電力に応じた電圧を出力する。
【0021】
整流平滑回路33は、一例として、1以上のダイオードと1以上のキャパシタとによって実現され、エネルギー変換回路32から出力される電圧を整流平滑して直流の出力電圧を出力する。
【0022】
マイコン2は、比較部21と、設定部22と、パルス周波数制御回路1とを含んで構成される。
【0023】
比較部21は、一例として、コンパレータによって実現され、出力電圧の電位と所定の電位とを比較する。
【0024】
設定部22は、一例として、マイコン2に含まれるプロセッサ(図示せず)が、マイコン2に含まれるメモリ(図示せず)に記憶されるプログラムを実行することで実現され、パルス周波数制御回路1に含まれる設定レジスタ(後述)に値を設定する。より具体的には、比較部21による比較の結果に基づいて、出力電圧の電位が上記所定の電位に近づくように、上記設定を行う。
【0025】
図2は、パルス周波数制御回路1の構成を示すブロック図である。
【0026】
同図に示されるように、パルス周波数制御回路1は、基準クロック生成回路11と、選択回路12と、設定レジスタ13と、累積加算回路14と、制御回路15とを含んで構成される。
【0027】
基準クロック生成回路11は、マイコン2がクロック信号として利用するマイコンクロック(入力基準クロック)から、後述の選択回路12が取得する複数の基準クロックを生成する。より具体的には、入力基準クロックと同じ周期(基準周期)であって、互いに1/N(Nは2以上の整数)ずつ位相がずれているN個の基準クロックを生成する。
【0028】
基準クロック生成回路11は、一例として、DLL(Delay Locked Loop)回路によって実現される。
【0029】
選択回路12は、同一基準周期の、互いに位相が異なる複数の基準クロックを取得して選択する。より具体的には、基準クロック生成回路11によって生成されたN個の基準クロックを取得して選択する。
【0030】
さらに、選択回路12は、制御回路15(後述)によって制御されることで、上記複数の基準クロックの立ち上がりエッジの中から、立ち上がり決定エッジ(後述)を繰り返し選択し、選択する立ち上がり決定エッジのタイミング毎に立ち上がる出力パルスを逐次繰り返し生成することにより、生成した出力パルス列を出力する。
【0031】
また、選択回路12は、制御回路15によって制御されることで、選択する立ち上がり決定エッジ毎に、対応する立下り決定エッジ(後述)をも選択し、一の立ち上がり決定エッジのタイミングで立ち上がる出力パルスが、その一の立ち上がり決定エッジに対応する一の立下り決定エッジのタイミングで立ち下がるように、上記出力パルスの生成を行う。
【0032】
設定レジスタ13は、基準周期よりも短い期間(第1期間)を単位とする設定周期を特定する情報を記憶する。より具体的には、上記設定周期を上記基準周期で除算する場合における商の整数値M(Mは1以上の整数)を特定する第1情報を記憶する周期設定レジスタ(第1レジスタ)131と、上記商の小数値L(Lは0以上1未満の小数)を特定する第2情報を記憶する高分解能周期設定レジスタ(第2レジスタ)132と、整数値P(Pは1以上M未満の整数)を特定する第3情報を記憶するデューティ設定レジスタ(第3レジスタ)133とを含んで構成される。
【0033】
これらレジスタの値は、設定部22によって随時設定可能となっている。
【0034】
累積加算回路14は、高分解能周期設定レジスタ(第2レジスタ)132に記憶される第2情報に基づいて、選択回路12から出力される出力パルスが立ち上がる又は立ち下がる毎に、L/2を累積加算して、J(Jは0以上の整数)回累積加算した場合に、累積加算値LL(J)を算出する。
【0035】
さらに、累積加算回路14は、L/2を累積加算することでLL(J)が1以上となった場合に、(1)LL(J)から1を減算して新たなLL(J)を算出すると共に、(2)周期設定レジスタ(第1レジスタ)131が記憶する情報を、Mを特定する情報からM+1を特定する情報へと書き換えて、(3)この書き換えの後において、選択回路12から出力される出力パルス列が立ち上がるときに、周期設定レジスタ(第1レジスタ)131が記憶する情報を、M+1を特定する情報からMを特定する情報へと書き換える。そして、さらに、累積加算回路14は、L/2を累積加算することでLL(J)が1以上となった場合に、(4)デューティ設定レジスタ(第3レジスタ)133が記憶する情報を、Pを特定する情報からP+1を特定する情報へと書き換えて、(5)この書き換えの後において、選択回路12から出力される出力パルス列が立ち上がるときに、デューティ設定レジスタ(第3レジスタ)133が記憶する情報を、P+1を特定する情報からPを特定する情報へと書き換える。
【0036】
制御回路15は、設定レジスタ13に記憶される情報に基づいて、選択回路12に対して、上記複数の基準クロックの立ち上がりエッジの中から、上記設定周期の間隔で立ち上がる立ち上がりエッジを、立ち上がり決定エッジとして逐次繰り返し選択させる。より具体的には、(1)周期設定レジスタ(第1レジスタ)131に記憶される第1情報に基づいて、上記基準周期のM倍の周期の通常パルスを逐次繰り返し生成することにより、当該通常パルスからなる通常パルス列を生成し、(2)高分解能周期設定レジスタ(第2レジスタ)132に記憶される第2情報に基づいて、選択回路12に対して、K(Kは0以上の整数)回目に、上記通常パルスの第1立ち上がりエッジから、上記基準周期のLL(2×K)倍の期間だけ遅れた位相で立ち上がる基準クロックの立ち上がりエッジを、立ち上がり決定エッジとして選択させて、K+1回目に、上記第1立ち上がりエッジの次に立ち上がる上記通常パルスの立ち上がりエッジから、上記基準周期のLL(2×(K+1))倍の期間だけ遅れた位相で立ち上がる基準クロックの立ち上がりエッジを、立ち上がり決定エッジとして選択させるように、立ち上がり決定エッジを逐次繰り返し選択させる。
【0037】
さらに、制御回路15は、デューティ設定レジスタ(第3レジスタ)133に記憶される第3情報に基づいて、選択回路12に対して、通常パルス列の第1立ち上がりエッジから、上記基準周期のLL(2×K)倍の期間だけ遅れた位相で立ち上がる基準クロックの立ち上がりエッジを、第1立ち上がり決定エッジとして選択させた場合に、さらに、上記第1立ち上がりエッジから前記基準周期のP+LL(2×K+1)倍の期間だけ遅れた位相で立ち上がる基準クロックの立ち上がりエッジを、上記第1立ち上がり決定エッジに対応する第1立下り決定エッジとして選択させる。
【0038】
制御回路15は、PWMバイナリカウンタ151と、周期制御回路152と、PWM波形生成回路153と、PWM位相調整回路154とを含んで構成される。
【0039】
PWMバイナリカウンタ151は、入力されるマイコンクロックの立ち上がりエッジのタイミングで、1ずつカウント値をインクリメントするカウンタであって、インクリメントしたカウント値を、次のマイコンクロックの立ち上がりエッジのタイミングで出力する。
【0040】
周期制御回路152は、周期設定レジスタ131に記憶される第1情報に逐次繰り返し基づいて、PWMバイナリカウンタ151のカウント値とM−1の値とが一致する毎に、そのカウント値を初期化する。ここで、カウント値を初期化するとは、カウント値の値を初期値0にすることを言う。
【0041】
PWM波形生成回路153は、デューティ設定レジスタ133に記憶される第3情報に逐次繰り返し基づいて、(1)PWMバイナリカウンタ151から初期化された値が出力されるタイミングで立ち上がり、(2)PWMバイナリカウンタ151からPの値と一致する値が出力されるタイミングで立ち下がる通常パルスを逐次繰り返し生成して出力する。
【0042】
PWM位相調整回路154は、高分解能周期設定レジスタ132に記憶される第2情報に基づいて、選択回路12に対して、K(Kは0以上の整数)回目に、上記通常パルスの第1立ち上がりエッジから、上記基準周期のLL(2×K)倍の期間だけ遅れた位相で立ち上がる基準クロックの立ち上がりエッジを、立ち上がり決定エッジとして選択させて、K+1回目に、上記第1立ち上がりエッジの次に立ち上がる上記通常パルスの立ち上がりエッジから、上記基準周期のLL(2×(K+1))倍の期間だけ遅れた位相で立ち上がる基準クロックの立ち上がりエッジを、立ち上がり決定エッジとして選択させるように、立ち上がり決定エッジを逐次繰り返し選択させる。
【0043】
さらに、PWM位相調整回路154は、デューティ設定レジスタ133に記憶される第3情報に逐次繰り返し基づいて、選択回路12に対して、通常パルス列の第1立ち上がりエッジから、上記基準周期のLL(2×K)倍の期間だけ遅れた位相で立ち上がる基準クロックの立ち上がりエッジを、第1立ち上がり決定エッジとして選択させた場合に、さらに、上記第1立ち上がりエッジから前記基準周期のP+LL(2×K+1)倍の期間だけ遅れた位相で立ち上がる基準クロックの立ち上がりエッジを、上記第1立ち上がり決定エッジに対応する第1立下り決定エッジとして選択させる。
【0044】
以下、PWM位相調整回路154が、他の回路と連携して行う動作について、図面を参照しながら、具体例を例示しながら説明する。
【0045】
図3、
図4は、PWM位相調整回路154が、他の回路と連携して行う動作の一具体例を示すタイミング図である。
【0046】
図3、
図4では、Nが5であり、Mが6であり、Mを特定する第1情報がM−1を示す5であり、L及びLを特定する第2情報が0.2であり、Pが3であり、Pを特定する第3情報がP−1を示す2であり、マイコンクロックの周期がtである場合の例を具体例として例示している。
【0047】
図3、
図4において、「基準点」とは、累積加算回路14によって算出される累積加算値LLが0である場合において、PWMバイナリカウンタが0を出力する時点を示す。
【0048】
図3は、基準点から、マイコンクロックの周期の10倍の期間が経過する時点までの期間を含むタイミング図となっており、
図4は、基準点から、マイコンクロックの周期の25倍の期間が経過する時点までの期間を含むタイミング図となっている。
【0049】
図3に示されるように、基準クロック生成回路11は、マイコンクロックと同じ周期であって、互いに0.2t(すなわち(1/N)×t)ずつ位相がずれた5個(すなわちN個)の基準クロックを出力する。すなわち、基準クロック生成回路11は、マイコンクロックと同位相の第0基準クロックと、マイコンクロックから0.2tだけ遅延した位相の第1基準クロックと、マイコンクロックから0.4tだけ遅延した位相の第2基準クロックと、マイコンクロックから0.6tだけ遅延した位相の第3基準クロックと、マイコンクロックから0.8tだけ遅延した位相の第4基準クロックとを出力する。
【0050】
基準点において、PWM波形生成回路153は、PWMバイナリカウンタ151から0が出力されるタイミングで立ち上がる通常パルスの出力を開始する。
【0051】
そして、PWM位相調整回路154は、選択回路12に、通常パルスの立ち上がりエッジのタイミングから0t(すなわち、累積加算値LLの値0×t)だけ遅れた位相(すなわち同位相)で立ち上がる第0基準クロックの立ち上がりエッジを第0立ち上がり決定エッジとして選択させる。すると、選択回路12は、生成する出力パルスの立ち上がりのエッジタイミングが基準点となるように、出力パルスの生成を開始する。そして、累積加算回路14は累積加算値LLの値0に、0.2(すなわち、L/2)を累積加算して、累積加算値LLの値を0.2とする。
【0052】
次に、PWM波形生成回路153は、PWMバイナリカウンタ151から3(すなわちP)が出力されるタイミングで、生成する通常パルスが立ち下がるように、通常パルスの生成を行う。このため、PWM波形生成回路153の生成する通常パルスのデューティは3t(すなわちP×t)となる。
【0053】
一方、PWM位相調整回路154は、選択回路12に、基準点から3.2t(すなわち、(Pの値3+累積加算値LLの値0.2)×t)だけ遅れた位相で立ち上がる第1基準クロックの立ち上がりエッジを第0立下り決定エッジとして選択させる。すると、選択回路12は、生成する出力パルスの立下りのエッジのタイミングが、基準点から3.2t遅延するタイミングとなるように、出力パルスの生成を行う。このため、選択回路12の生成する出力パルスのデューティは、3.2t(すなわち、(P+L/2)×t)となる。
【0054】
そして、累積加算回路14は、累積加算値LLに0.2(すなわち、L/2)を累積加算して、累積加算値LLを0.4とする。
【0055】
次に、PWM波形生成回路153は、PWMバイナリカウンタ151から0が出力されるタイミング(
図3中の第1立ち上がり点)で立ち上がる新たな通常パルスの出力を開始する。このため、PWM波形生成回路153によって前回出力された通常パルスの周期は6t(すなわち、M×t)となる。
【0056】
次に、PWM位相調整回路154は、選択回路12に、第1立ち上がり点から0.4t(すなわち、累積加算値LLの値0.4×t)だけ遅れた位相で立ち上がる第2基準クロックの立ち上がりエッジを、第1立ち上がり決定エッジとして選択させる。すると、選択回路12は、生成する出力パルスの立ち上がりのエッジタイミングが第1立ち上がり点から0.4t遅延するタイミングとなるように、出力パルスの生成を行う。このため、選択回路12の生成する出力パルスの周期は、6.4tとなる。
【0057】
そして、累積加算回路14は、累積加算値LLに0.2(すなわち、L/2)を累積加算して、累積加算値LLを0.6とする。
【0058】
次に、PWM波形生成回路153は、PWMバイナリカウンタ151から3(すなわちP)が出力されるタイミングで、生成する通常パルスが立ち下がるように、通常パルスの生成を行う。このため、PWM波形生成回路153の生成する通常パルスのデューティは3t(すなわちP×t)となる。
【0059】
次に、PWM位相調整回路154は、選択回路12に、第1立ち上がり点から3.6t(すなわち、(Pの値3+累積加算値LLの値0.6)×t)だけ遅れた位相で立ち上がる第3基準クロックの立ち上がりエッジを第1立下り決定エッジとして選択させる。すると、選択回路12は、生成する出力パルスの立下りのエッジのタイミングが、第1立ち上がり点から3.6t遅延するタイミングとなるように、新たな出力パルスの生成を開始する。このため、選択回路12の生成する出力パルスのデューティは、3.2tとなる。
【0060】
そして、累積加算回路14は、累積加算値LLに0.2(すなわち、L/2)を累積加算して、累積加算値LLを0.8とする。
【0061】
以降の動作については、
図4を参照しながら説明する。
【0062】
累積加算回路14が累積加算値を0.8にした後において、PWM波形生成回路153は、PWMバイナリカウンタ151から0が出力されるタイミング(
図4中の第2立ち上がり点)で立ち上がる新たな通常パルスの出力を開始する。このため、PWM波形生成回路153によって前回出力された通常パルスの周期は6t(すなわち、M×t)となる。
【0063】
次に、PWM位相調整回路154は、選択回路12に、第2立ち上がり点から0.8t(すなわち、累積加算値LLの値0.8×t)だけ遅れた位相で立ち上がる第4基準クロック(
図4中には図示されず。)の立ち上がりエッジを、第2立ち上がり決定エッジとして選択させる。すると、選択回路12は、生成する出力パルスの立ち上がりのエッジタイミングが第2立ち上がり点から0.8t遅延するタイミングとなるように、出力パルスの生成を開始する。このため、選択回路12の生成する出力パルスの周期は、6.4tとなる。
【0064】
そして、累積加算回路14は、累積加算値LLに0.2(すなわち、L/2)を累積加算して、累積加算値LLを1とする。
【0065】
ここで、累積加算回路14は、累積加算値LLが1以上となったため、累積加算値LLから1を減算して新たな累積加算値LLを0にすると共に、周期設定レジスタ131が記憶する値を、5(すなわち、M−1)から、6(すなわち、M−1+1)に書き換えて、デューティ設定レジスタ133が記憶する値を、2(すなわち、P−1)から、3(すなわち、P−1+1)に書き換える。
【0066】
次に、PWM波形生成回路153は、PWMバイナリカウンタ151から4(すなわちP+1)が出力されるタイミングで、生成する通常パルスが立ち下がるように、通常パルスの生成を行う。このため、PWM波形生成回路153の生成する通常パルスのデューティは4t(すなわち、(P+1)t)となる。
【0067】
一方、PWM位相調整回路154は、選択回路12に、第2立ち上がり点から4t(すなわち、(P(すなわち、3)+1+累積加算値LLの値0)×t)だけ遅れた位相で立ち上がる第1基準クロックの立ち上がりエッジを第2立下り決定エッジとして選択させる。すると、選択回路12は、生成する出力パルスの立下りのエッジのタイミングが、第2立ち上がり点から4t遅延するタイミングとなるように、出力パルスの生成を行う。このため、選択回路12の生成する出力パルスのデューティは、3.2tとなる。
【0068】
そして、累積加算回路14は、累積加算値LLに0.2(すなわち、L/2)を累積加算して、累積加算値LLを0.2とする。
【0069】
ここで、PWMバイナリカウンタ151は、Mが6となっているため、カウント値が6になるまでカウントを続ける。このため、PWMバイナリカウンタ151は、カウント値5を出力した次にカウント値6を出力し、その後初期値0を出力する。
【0070】
次に、PWM波形生成回路153は、PWMバイナリカウンタ151から0が出力されるタイミング(
図4中の第3立ち上がり点)で立ち上がる通常パルスの出力を開始する。このため、PWM波形生成回路153によって前回出力された通常パルスの周期は7tとなる。
【0071】
次に、PWM位相調整回路154は、選択回路12に、第3立ち上がり点から0.2t(すなわち、累積加算値LLの値0.2×t)だけ遅れた位相で立ち上がる第1基準クロック(
図4中には図示されず。)の立ち上がりエッジを、第3立ち上がり決定エッジとして選択させる。すると、選択回路12は、生成する出力パルスの立ち上がりのエッジタイミングが第3立ち上がり点から0.2t遅延するタイミングとなるように、出力パルスの生成を開始する。このため、選択回路12の生成する出力パルスの周期は、6.4tとなる。
【0072】
そして、累積加算回路14は、周期設定レジスタ131が記憶する値を、6(すなわち、M−1+1)から、5(すなわち、M−1)に書き換えて、デューティ設定レジスタ133が記憶する値を、3(すなわち、P−1+1)から、2(すなわち、P−1)に書き換える。
【0073】
以後、PWM位相調整回路154は同様の動作を繰り返し行うことで、他の回路と連携して、選択回路12から、デューティが3.2t(すなわち、(P+L/2)×t)で、周期が6.4t(すなわち、(M+L)×t)となる出力パルスを継続して出力させ続けるように、選択回路12を制御する。
【0074】
上記一具体例を例示しながら説明したように、上記構成のパルス周波数制御回路1は、マイコン2がクロック信号として利用するマイコンクロックの周期がtである場合において、設定部22によって、周期設定レジスタ131にM−1(Mは1以上の整数)が設定され、高分解能周期設定レジスタ132にL(Lは0以上1未満の少数)が設定され、デューティ設定レジスタ133にP−1(Pは1以上M未満の整数)が設定されるときに、デューティが(P+L/2)×tで、周期が(M+L)×tとなる出力パルスを継続して出力し続ける。ここで、Lは小数であるため、この出力パルスのパルス周期は、マイコンクロックの周期よりも短い期間を単位とする周期になることができる。
【0075】
[2.動作]
上記構成のパルス周波数制御回路1は、その特徴的な動作として、高分解能パルス列出力処理を行う。
【0076】
この高分解能パルス列出力処理は、入力されるマイコンクロックのクロック周期よりも短い期間を単位とする周期からなる出力パルス列を出力する処理である。
【0077】
以下、この高分解能パルス列出力処理について図面を参照しながら説明する。
【0078】
図5、
図6は、高分解能パルス列出力処理のフローチャートである。
【0079】
高分解能パルス列出力処理は、PWMバイナリカウンタ151が0に初期化され、累積加算値LLが0に初期化され、設定部22によって、周期設定レジスタ131と高分解能周期設定レジスタ132とデューティ設定レジスタ133との値が設定された後において、パルス周波数制御回路1にマイコンクロックが入力されることで開始される。
【0080】
ここでは、説明のために、マイコンクロックの周期がtで、基準クロックの数がN(Nは2以上の整数)で、高分解能パルス列出力処理が開始される時点において、周期設定レジスタ131が記憶する値がM−1(Mは1以上の整数)で、高分解能周期設定レジスタ132が記憶する値がL(Lは0以上1未満の小数)で、デューティ設定レジスタ133が記憶する値がP−1(Pは1以上M未満の整数)であるとする。
【0081】
高分解能パルス列出力処理が開始されると、基準クロック生成回路11は、周期がtで、互いに1/Nずつ位相がずれているN個の基準クロックの生成を開始し、PWMバイナリカウンタ151は、マイコンクロックの立ち上がりエッジの数のカウントを開始する。以後、基準クロック生成回路11は、マイコンクロックが入力されている限り、上記N個の基準クロックを継続して生成し続け、PWMバイナリカウンタ151は、時々初期化されながら、マイコンクロックの立ち上がりエッジの数を継続してカウントし続ける。
【0082】
PWMバイナリカウンタ151がカウントを開始した後において、PWMバイナリカウンタ151は、カウント値がM−1と一致すると、カウント値が初期化されて、初期値0を出力する(ステップS5)。
【0083】
すると、PWM波形生成回路153は、初期値0の出力タイミングで立ち上がる通常パルスの生成を開始する(ステップS10)。
【0084】
その後、通常パルスが立ち上がってから、LL×tだけ時間が経過した時点で、PWM位相調整回路154は、選択回路12に、通常パルスが立ち上がってから、LL×tだけ遅延した位相で立ち上がる基準クロックの立ち上がりエッジを立ち上がりエッジ決定エッジとして選択させる。すると、選択回路12は、通常パルスが立ち上がってから、LL×tだけ遅延したタイミングで立ち上がる出力パルスの生成を開始する(ステップS15)。そして、累積加算回路14は、累積加算値LLに、L/2を累積加算する(ステップS20)。
【0085】
L/2を累積加算すると、累積加算回路14は、累積加算値LLが1以上であるか否かを判定する(ステップS25)。
【0086】
ステップS25の処理において、累積加算値LLが1以上でない場合において(ステップS25:No)、PWMバイナリカウンタ151がカウント値P−1を出力すると(ステップS30)、PWM波形生成回路153は、PWMバイナリカウンタ151からカウント値P−1が出力されるタイミングで、生成する通常パルスを立ち下げる(ステップS35)。
【0087】
一方、通常パルスが立ち上がってから、(P+LL)×tだけ時間が経過した時点で、PWM位相調整回路154は、選択回路12に、通常パルスが立ち上がってから、(P+LL)×tだけ遅延したタイミングで立ち上がる基準クロックの立ち上がりエッジを立下りエッジ決定エッジとして選択させる。すると、選択回路12は、通常パルスが立ち上がってから(P+LL)×tだけ遅延するタイミングで、生成する出力パルスを立ち下げる(ステップS40)。そして、累積加算回路14は累積加算値LLに、L/2を累積加算する(ステップS45)。
【0088】
L/2を累積加算すると、累積加算回路14は、累積加算値LLが1以上であるか否かを判定する(ステップS50)。
【0089】
ステップS50の処理において、累積加算値LLが1以上でない場合において(ステップS50:No)、PWMバイナリカウンタ151がカウント値0を出力すると(ステップS55)、パルス周波数制御回路1は、再びステップS10の処理に進み、以降の処理を続ける。
【0090】
ステップS25の処理において、累積加算値LLが1以上である場合には(ステップS25:Yes)、累積加算回路14は、累積加算値LLから1を減算して新たな累積加算値LLとする(ステップS100(
図6参照))と共に、周期設定レジスタ131が記憶する値をM−1からMに書き換えて、デューティ設定レジスタ133が記憶する値をP−1からPに書き換える(ステップS105)。
【0091】
その後、PWMバイナリカウンタ151がカウント値Pを出力すると(ステップS110)、PWM波形生成回路153は、PWMバイナリカウンタ151からカウント値Pが出力されるタイミングで、生成する通常パルスを立ち下げる(ステップS115)。
【0092】
一方、通常パルスが立ち上がってから、(P+1+LL)×tだけ時間が経過した時点で、PWM位相調整回路154は、選択回路12に、通常パルスが立ち上がってから、(P+1+LL)×tだけ遅延したタイミングで立ち上がる基準クロックの立ち上がりエッジを立下りエッジ決定エッジとして選択させる。すると、選択回路12は、通常パルスが立ち上がってから(P+1+LL)×tだけ遅延するタイミングで、生成する出力パルスを立ち下げる(ステップS120)。そして、累積加算回路14は累積加算値LLに、L/2を累積加算する(ステップS125)。
【0093】
その後、PWMバイナリカウンタ151がカウント値0を出力すると(ステップS130)、PWM波形生成回路153は、初期値0の出力タイミングで立ち上がる通常パルスの生成を開始する(ステップS135)。
【0094】
その後、通常パルスが立ち上がってから、LL×tだけ時間が経過した時点で、PWM位相調整回路154は、選択回路12に、通常パルスが立ち上がってから、LL×tだけ遅延した位相で立ち上がる基準クロックの立ち上がりエッジを立ち上がりエッジ決定エッジとして選択させる。すると、選択回路12は、通常パルスが立ち上がってから、LL×tだけ遅延したタイミングで立ち上がる出力パルスの生成を開始する(ステップS140)。そして、累積加算回路14は、周期設定レジスタ131が記憶する値をMからM−1に書き換えて、デューティ設定レジスタ133が記憶する値をPからP−1に書き換える(ステップS145)。
【0095】
ステップS145の処理が終わると、パルス周波数制御回路1は、再びステップS20の処理(
図5参照)に進み、以降の処理を続ける。
【0096】
ステップS50の処理において、累積加算値LLが1以上である場合には(ステップS50:Yes)、累積加算回路14は、累積加算値LLから1を減算して新たな累積加算値LLとする(ステップS150(
図6参照))と共に、周期設定レジスタ131が記憶する値をM−1からMに書き換えて、デューティ設定レジスタ133が記憶する値をP−1からPに書き換える(ステップS155)。
【0097】
ステップS155の処理が終わると、パルス周波数制御回路1は、ステップS130の処理に進み、以降の処理を続ける。
【0098】
[3.まとめ]
上述した通り、本実施の形態にかかるパルス周波数制御回路1は、マイコンクロックの周期よりも短い期間を単位とする周期の出力パルス列を出力することができる。このため、このパルス周波数制御回路1を利用することで、マイコンクロックの周期の整数倍の周期の出力パルス列を出力する従来のパルス周波数制御回路を利用する場合よりも、スイッチング素子31のスイッチング周波数制御を、より高い分解能で実現することができるようになる。
【0099】
従って、パルス周波数制御回路1を利用する、本実施の形態に係るDCDCコンバータ3は、従来のパルス周波数制御装置を利用する従来のDCDCコンバータよりも、より精度よく出力電圧を制御することができる。
【0100】
(変形例)
実施の形態では、PWM位相調整回路154が、他の回路と連携して行う動作について、
図3、
図4を用いて、Mが6であり、Pが3である場合、すなわち、デューティ比が50%となる場合を具体例に挙げて説明した。
【0101】
これに対して、ここでは、PWM位相調整回路154が、他の回路と連携して行う動作について、デューティ比が50%とならない場合の具体例について、図面を参照しながら説明する。
【0102】
図7、
図8は、PWM位相調整回路154が、他の回路と連携して行う動作の、他の一具体例を示すタイミング図である。
【0103】
図7、
図8では、Nが5であり、Mが6であり、Mを特定する第1情報がM−1を示す5であり、L及びLを特定する第2情報が0.2であり、Pが2であり、Pを特定する第3情報がP−1を示す1であり、マイコンクロックの周期がtである場合の例を具体例として例示している。
【0104】
基準点において、PWM波形生成回路153は、PWMバイナリカウンタ151から0が出力されるタイミングで立ち上がる通常パルスの出力を開始する。
【0105】
そして、PWM位相調整回路154は、選択回路12に、通常パルスの立ち上がりエッジのタイミングから0t(すなわち、累積加算値LLの値0×t)だけ遅れた位相(すなわち同位相)で立ち上がる第0基準クロックの立ち上がりエッジを第0立ち上がり決定エッジとして選択させる。すると、選択回路12は、生成する出力パルスの立ち上がりのエッジタイミングが基準点となるように、出力パルスの生成を開始する。そして、累積加算回路14は累積加算値LLの値0に、0.2(すなわち、L/2)を累積加算して、累積加算値LLの値を0.2とする。
【0106】
次に、PWM波形生成回路153は、PWMバイナリカウンタ151から2(すなわちP)が出力されるタイミングで、生成する通常パルスが立ち下がるように、通常パルスの生成を行う。このため、PWM波形生成回路153の生成する通常パルスのデューティは2t(すなわちP×t)となる。
【0107】
一方、PWM位相調整回路154は、選択回路12に、基準点から2.2t(すなわち、(Pの値2+累積加算値LLの値0.2)×t)だけ遅れた位相で立ち上がる第1基準クロックの立ち上がりエッジを第0立下り決定エッジとして選択させる。すると、選択回路12は、生成する出力パルスの立下りのエッジのタイミングが、基準点から2.2t遅延するタイミングとなるように、出力パルスの生成を行う。このため、選択回路12の生成する出力パルスのデューティは、2.2t(すなわち、(P+L/2)×t)となる。
【0108】
そして、累積加算回路14は、累積加算値LLに0.2(すなわち、L/2)を累積加算して、累積加算値LLを0.4とする。
【0109】
次に、PWM波形生成回路153は、PWMバイナリカウンタ151から0が出力されるタイミング(
図7中の第1立ち上がり点)で立ち上がる新たな通常パルスの出力を開始する。このため、PWM波形生成回路153によって前回出力された通常パルスの周期は6t(すなわち、M×t)となる。
【0110】
次に、PWM位相調整回路154は、選択回路12に、第1立ち上がり点から0.4t(すなわち、累積加算値LLの値0.4×t)だけ遅れた位相で立ち上がる第2基準クロックの立ち上がりエッジを、第1立ち上がり決定エッジとして選択させる。すると、選択回路12は、生成する出力パルスの立ち上がりのエッジタイミングが第1立ち上がり点から0.4t遅延するタイミングとなるように、出力パルスの生成を行う。このため、選択回路12の生成する出力パルスの周期は、6.4tとなる。
【0111】
そして、累積加算回路14は、累積加算値LLに0.2(すなわち、L/2)を累積加算して、累積加算値LLを0.6とする。
【0112】
次に、PWM波形生成回路153は、PWMバイナリカウンタ151から2(すなわちP)が出力されるタイミングで、生成する通常パルスが立ち下がるように、通常パルスの生成を行う。このため、PWM波形生成回路153の生成する通常パルスのデューティは2t(すなわちP×t)となる。
【0113】
次に、PWM位相調整回路154は、選択回路12に、第1立ち上がり点から2.6t(すなわち、(Pの値2+累積加算値LLの値0.6)×t)だけ遅れた位相で立ち上がる第3基準クロックの立ち上がりエッジを第1立下り決定エッジとして選択させる。すると、選択回路12は、生成する出力パルスの立下りのエッジのタイミングが、第1立ち上がり点から2.6t遅延するタイミングとなるように、新たな出力パルスの生成を開始する。このため、選択回路12の生成する出力パルスのデューティは、2.2tとなる。
【0114】
そして、累積加算回路14は、累積加算値LLに0.2(すなわち、L/2)を累積加算して、累積加算値LLを0.8とする。
【0115】
以降の動作については、
図8を参照しながら説明する。
【0116】
累積加算回路14が累積加算値を0.8にした後において、PWM波形生成回路153は、PWMバイナリカウンタ151から0が出力されるタイミング(
図8中の第2立ち上がり点)で立ち上がる新たな通常パルスの出力を開始する。このため、PWM波形生成回路153によって前回出力された通常パルスの周期は6t(すなわち、M×t)となる。
【0117】
次に、PWM位相調整回路154は、選択回路12に、第2立ち上がり点から0.8t(すなわち、累積加算値LLの値0.8×t)だけ遅れた位相で立ち上がる第4基準クロック(
図8中には図示されず。)の立ち上がりエッジを、第2立ち上がり決定エッジとして選択させる。すると、選択回路12は、生成する出力パルスの立ち上がりのエッジタイミングが第2立ち上がり点から0.8t遅延するタイミングとなるように、出力パルスの生成を開始する。このため、選択回路12の生成する出力パルスの周期は、6.4tとなる。
【0118】
そして、累積加算回路14は、累積加算値LLに0.2(すなわち、L/2)を累積加算して、累積加算値LLを1とする。
【0119】
ここで、累積加算回路14は、累積加算値LLが1以上となったため、累積加算値LLから1を減算して新たな累積加算値LLを0にすると共に、周期設定レジスタ131が記憶する値を、5(すなわち、M−1)から、6(すなわち、M−1+1)に書き換えて、デューティ設定レジスタ133が記憶する値を、1(すなわち、P−1)から、2(すなわち、P−1+1)に書き換える。
【0120】
次に、PWM波形生成回路153は、PWMバイナリカウンタ151から3(すなわちP+1)が出力されるタイミングで、生成する通常パルスが立ち下がるように、通常パルスの生成を行う。このため、PWM波形生成回路153の生成する通常パルスのデューティは3t(すなわち、(P+1)t)となる。
【0121】
一方、PWM位相調整回路154は、選択回路12に、第2立ち上がり点から3t(すなわち、(P(すなわち、2)+1+累積加算値LLの値0)×t)だけ遅れた位相で立ち上がる第1基準クロックの立ち上がりエッジを第2立下り決定エッジとして選択させる。すると、選択回路12は、生成する出力パルスの立下りのエッジのタイミングが、第2立ち上がり点から3t遅延するタイミングとなるように、出力パルスの生成を行う。このため、選択回路12の生成する出力パルスのデューティは、2.2tとなる。
【0122】
そして、累積加算回路14は、累積加算値LLに0.2(すなわち、L/2)を累積加算して、累積加算値LLを0.2とする。
【0123】
ここで、PWMバイナリカウンタ151は、Mが6となっているため、カウント値が6になるまでカウントを続ける。このため、PWMバイナリカウンタ151は、カウント値5を出力した次にカウント値6を出力し、その後初期値0を出力する。
【0124】
次に、PWM波形生成回路153は、PWMバイナリカウンタ151から0が出力されるタイミング(
図8中の第3立ち上がり点)で立ち上がる通常パルスの出力を開始する。このため、PWM波形生成回路153によって前回出力された通常パルスの周期は7tとなる。
【0125】
次に、PWM位相調整回路154は、選択回路12に、第3立ち上がり点から0.2t(すなわち、累積加算値LLの値0.2×t)だけ遅れた位相で立ち上がる第1基準クロック(
図8中には図示されず。)の立ち上がりエッジを、第3立ち上がり決定エッジとして選択させる。すると、選択回路12は、生成する出力パルスの立ち上がりのエッジタイミングが第3立ち上がり点から0.2t遅延するタイミングとなるように、出力パルスの生成を開始する。このため、選択回路12の生成する出力パルスの周期は、6.4tとなる。
【0126】
そして、累積加算回路14は、周期設定レジスタ131が記憶する値を、6(すなわち、M−1+1)から、5(すなわち、M−1)に書き換えて、デューティ設定レジスタ133が記憶する値を、2(すなわち、P−1+1)から、1(すなわち、P−1)に書き換える。
【0127】
以後、PWM位相調整回路154は同様の動作を繰り返し行うことで、他の回路と連携して、選択回路12から、デューティが2.2t(すなわち、(P+L/2)×t)で、周期が6.4t(すなわち、(M+L)×t)となる出力パルスを継続して出力させ続けるように、選択回路12を制御する。
【0128】
上記他の一具体例を例示しながら説明したように、上記構成のパルス周波数制御回路1は、Mの値とPの値との組み合わせに応じて、様々なデューティ比の出力パルス列の出力を実現できる。
【0129】
(補足)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態及び変形例について説明した。しかしながら本開示による技術は、これらに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略等を行った実施の形態にも適用可能である。
【0130】
(1)実施の形態において、本発明に係るDCDCコンバータの一例として、
図1に示される構成のDCDCコンバータ3を例示して説明した。
【0131】
しかしながら、本発明に係るDCDCコンバータは、必ずしも
図1に示される構成のDCDCコンバータ3に限定される必要はない。
【0132】
以下に、本発明に係るDCDCコンバータの他の構成について、いくつか例示する。
【0133】
図9は、本発明に係るDCDCコンバータの他の一例であるDCDCコンバータ3Aの構成を示すブロック図である。
【0134】
同図に示されるように、DCDCコンバータ3Aは、スイッチング素子91と、エネルギー変換回路92と、整流平滑回路93と、マイコン2とを含んで構成される。
【0135】
実施の形態1に係るDCDCコンバータ3(
図1参照)は、エネルギー変換回路32がトランスを含んで実現される例であるのに対して、このDCDCコンバータ3Aは、エネルギー変換回路92がトランスを含まずにコイルを含んで実現される、いわゆるチョッパ方式DCDCコンバータの例となっている。
【0136】
図10は、本発明に係るDCDCコンバータのさらなる他の一例であるDCDCコンバータ3Bの構成を示すブロック図である。
【0137】
同図に示されるように、DCDCコンバータ3Bは、第1スイッチング素子101Aと、第2スイッチング素子101Bと、エネルギー変換回路102と、整流平滑回路103と、マイコン2Aとを含んで構成される。
【0138】
実施の形態1に係るDCDCコンバータ3(
図1参照)は、1つのスイッチング素子と、1つの出力パルス列を出力するパルス周波数制御回路1とを含んで実現される例であるのに対して、このDCDCコンバータ3Bは、互いに異なる位相でスイッチングする2つのスイッチング素子と、互いに異なる位相の2つの出力パルス列を出力するように、実施の形態1に係るパルス周波数制御回路1からその一部の機能が変形されたパルス周波数制御回路1Aとを含んで実現される例となっている。
【0139】
(2)実施の形態において、パルス周波数制御回路1は、マイコン(マイコン2)に内蔵されているとして説明した。
【0140】
しかしながら、本発明に係るパルス周波数制御回路は、必ずしもマイコンに内蔵される構成に限定される必要はない。
【0141】
一例として、パルス周波数制御回路1は、マイコンに含まれずに単独の半導体集積回路として実現されても構わないし、マイコン以外の電子部品に内蔵されて実現されても構わない。