特許第6826644号(P6826644)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6826644
(24)【登録日】2021年1月19日
(45)【発行日】2021年2月3日
(54)【発明の名称】情報処理装置及び情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20210121BHJP
【FI】
   A63F7/02 352F
   A63F7/02 352L
【請求項の数】6
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2019-170258(P2019-170258)
(22)【出願日】2019年9月19日
【審査請求日】2020年4月14日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000230858
【氏名又は名称】日本金銭機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085660
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 均
(74)【代理人】
【識別番号】100149892
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 弥生
(74)【代理人】
【識別番号】100185672
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 雅人
(72)【発明者】
【氏名】新井 洋和
(72)【発明者】
【氏名】西崎 敏崇
(72)【発明者】
【氏名】市川 雅章
【審査官】 手塚 毅
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−178393(JP,A)
【文献】 特開昭61−259685(JP,A)
【文献】 特開2002−095843(JP,A)
【文献】 特開平11−265472(JP,A)
【文献】 特開2018−175712(JP,A)
【文献】 特開2010−195514(JP,A)
【文献】 特開2017−086236(JP,A)
【文献】 特開2011−107980(JP,A)
【文献】 特開平05−017049(JP,A)
【文献】 特開2018−201762(JP,A)
【文献】 特開2016−001449(JP,A)
【文献】 特開2005−111003(JP,A)
【文献】 特開2020−086771(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
A63F 5/04
G07D 11/00
G07D 11/10
G07D 11/12−11/60
G07F 19/00
B65H 5/02
B65H 5/06
B65H 5/22
B65H 29/12−29/24
B65H 29/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定められた時間間隔で基準タイマを更新する更新手段と、
予め定められた時間間隔で前記基準タイマを初期化する初期化手段と、
前記初期化の回数を記憶する記憶手段と、
遊技場における搬送経路を紙葉が移動した場合、前記基準タイマの現在値および前記初期化の回数が特定される差分情報を保存する保存手段と
を具備する情報処理装置。
【請求項2】
前記保存手段は、前記搬送経路のうち第1搬送経路を紙葉が移動した場合、第1事象情報を含む前記差分情報を保存し、前記搬送経路のうち第2搬送経路を紙葉が移動した場合、前記第1事象情報とは相違する第2事象情報を含む前記差分情報を保存する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記基準タイマは、第1基準タイマおよび第2基準タイマを含み、
前記更新手段は、前記第2基準タイマより短い時間間隔で前記第1基準タイマを更新し、
前記保存手段は、前記第1搬送経路を紙葉が移動した場合、前記第1基準タイマの現在値を含む前記差分情報を保存し、前記第2搬送経路を紙葉が移動した場合、前記第2基準タイマの現在値を含む前記差分情報を保存する
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記初期化手段は、前記第2基準タイマより短い時間間隔で前記第1基準タイマを初期化する
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
管理装置と複数の中継装置とを具備する情報処理システムであって、
前記管理装置は、
予め定められた時間間隔で特定コマンドを送信する送信手段を具備し、
前記中継装置は、
前記特定コマンドを受信する受信手段と、
予め定められた時間間隔で基準タイマを更新する更新手段と、
前記特定コマンドが受信されると、前記基準タイマを初期化する初期化手段と、
前記初期化の回数を計数する計数手段と、
遊技場における搬送経路を紙葉が移動した場合、前記基準タイマの現在値および前記初期化の回数が特定される差分情報を保存する保存手段と
を具備する情報処理システム。
【請求項6】
前記送信手段は、前記複数の中継装置へ前記特定コマンドを略同時に送信可能である
請求項5に記載の情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置および情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、紙葉(例えば、紙幣)を搬送する各種の技術が提案されている。例えば、特許文献1には、遊技場の遊技用装置に投入された紙幣を搬送し、金庫に収納する技術が開示される。以上の従来技術では、搬送経路の紙葉を検知可能な構成(例えば、各種のセンサ)が採用される。
【0003】
また、現在の時刻を示すカウンタ(以下「時刻カウンタ」という)を設け、紙葉が検知された場合、時刻カウンタの現在値を記憶する構成を採用する場合があった。以上の構成では、紙葉が検知された時刻を特定可能な履歴情報が生成できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−101171公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、時刻カウンタのデータ長が長い場合、上述の履歴情報を生成するためのデータ量が過大になる不都合が生じ易くなる。以上の事情を考慮して、本発明は、履歴情報を生成するためのデータ量を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するために、本発明の情報処理装置は、予め定められた時間間隔で基準タイマを更新する更新手段と、予め定められた時間間隔で基準タイマを初期化する初期化手段と、初期化の回数を記憶する記憶手段と、遊技場における搬送経路を紙葉が移動した場合、基準タイマの現在値および初期化の回数が特定される差分情報を保存する保存手段とを具備する。
【0007】
以上の構成では、基準タイマの現在値および基準タイマの初期化回数が差分情報から特定される。また、基準タイマが更新される時間間隔を「X」、基準タイマの現在値を「Y」、基準タイマが初期化される時間間隔を「Z」、基準タイマの初期化回数を「W」とした場合、特定の時点(W=0、Y=0の時点)からの経過時間は「X×Y+Z×W」で算出される。したがって、差分情報から、搬送経路を紙幣が移動した時刻が把握される。また、本発明では、例えば、搬送経路を紙幣が移動する毎に、時刻カウンタの現在値が蓄積して保存される構成と比較して、履歴情報を生成するためのデータ量を抑制することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、搬送経路で紙葉が検知された時刻を特定可能な履歴情報を生成するためのデータ量を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】情報処理システムを採用した遊技場の具体例を説明するための図である。
図2】情報処理システムの各構成を説明するための図である。
図3】情報処理システムの機能ブロック図である。
図4】紙幣の搬送経路を説明するための図である。
図5】第1実施形態の差分情報の具体例を説明するための図である。
図6】情報処理システムにおける各処理を説明するための図である。
図7】第2実施形態における各センサを説明するための図である。
図8】第2実施形態の差分情報の具体例を説明するための図である。
図9】第3実施形態の情報処理システムを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1実施形態>
図1(a)は、本発明の情報処理システム(情報処理装置)が採用される遊技場の一例を説明するための図である。図1(a)には、遊技場に設置された複数の遊技機1の一部が示される。図1に示す通り、各遊技機1は、島Lに区分して設置される。図1(a)の具体例では、島Lに8台の遊技機1が設置される。図1(a)の具体例では、遊技球を用いて遊技可能な遊技機1(パチンコ機)を例示する。
【0011】
図1(a)に示す通り、遊技場には各遊技用装置2が設置される。本実施形態では、遊技機1毎に遊技用装置2が設けられる。図1(a)の具体例では、遊技用装置2は、当該遊技用装置2が対応する遊技機1の左側に隣接して設けられる。また、遊技用装置2には、紙幣挿入口2aが設けられる。紙幣挿入口2aに紙幣(紙葉)が挿入されると、遊技用装置2が遊技球を貸出可能になる。
【0012】
図1(a)に示す通り、島Lの一端(妻板)には、金庫ユニット3が設けられる。遊技用装置2(紙幣挿入口2a)に挿入された紙幣は、島L内部の搬送経路(後述図1(b)参照)を介して、金庫ユニット3(後述の金庫6)に収納される。本実施形態の金庫ユニット3は、島Lに設けられた全ての遊技用装置2からの紙幣を収納する。
【0013】
本実施形態では、1個の島Lに対して1個の金庫ユニット3が設けられる構成を想定する。ただし、複数個の島Lに対して1個の金庫ユニット3が設けられる構成としてもよい。以上の金庫ユニット3は、複数個の島Lの各遊技用装置2から搬送されてきた紙幣を収納可能である。
【0014】
図1(b)は、情報処理システムAの各構成を説明するための図である。図1(b)に示す通り、情報処理システムAは、上述の金庫ユニット3に加え、島端ユニット4、受入ユニット5および中継ユニット11(情報処理装置)を含む。以上の島端ユニット4、受入ユニット5および中継ユニット11は、例えば、島Lの内部に設けられる。
【0015】
図1(b)に示す通り、金庫ユニット3と中継ユニット11とは通信可能に接続される。また、中継ユニット11は、各遊技用装置2、島端ユニット4および各受入ユニット5と通信可能に接続される。金庫ユニット3は、中継ユニット11を介して、他の装置と通信可能である。ただし、金庫ユニット3が中継ユニット11を介さずに(直接)他の装置と通信可能な構成としてもよい。なお、情報処理システムAの各構成は、適宜に変更できる。例えば、中継ユニット11に1個または3個以上の受入ユニット5が接続される構成としてもよい。
【0016】
図1(b)には、遊技用装置2から金庫ユニット3までの搬送経路のうち、紙幣が実際に移動した搬送経路の一例が破線の矢印で示される。具体的には、遊技用装置2の紙幣挿入口2aから挿入された紙幣は、遊技用装置2の内部を通過し、遊技用装置2の裏面から島L内部側へ排出される。また、遊技用装置2から排出された紙幣は、受入ユニット5に受入れられる(後述の図2(b)参照)。
【0017】
受入ユニット5は、遊技用装置2から受入れた紙幣を一時的に貯留可能である。本実施形態の受入ユニット5は、複数枚の紙幣を貯留可能に構成される。ただし、受入ユニット5が紙幣を貯留出来ない(紙幣が通過するのみの)構成としてもよい。受入ユニット5に貯留された紙幣は、金庫ユニット3から回収コマンドが送信された場合、貯留状態(エスクロ)が解除され搬送ユニット8の内部を移動可能になる。
【0018】
搬送ユニット8は、受入ユニット5からの紙幣を金庫ユニット3まで搬送する。詳細には後述するが、本実施形態の搬送ユニット8は、空気流と磁力を利用して紙幣を搬送する。ただし、搬送ユニット8において紙幣を搬送する方法は、空気流を利用したものに限定されない。例えば、搬送ベルトにより紙幣が搬送される構成(例えば、特開2008−114977号公報に記載の構成)を採用してもよい。
【0019】
図1(b)に示す通り、搬送ユニット8は、島Lの長手方向(遊技機1の配列方向)に延在する搬送管8aを含んで構成される(後述の図2(a−1)参照)。本実施形態では、搬送管8aの内部を紙幣が搬送される。搬送管8aは島Lの長手方向に沿って延びる。
【0020】
金庫ユニット3は、金庫6、送風装置7および管理ユニット10を含んで構成される。金庫6は、搬送ユニット8から搬送されてきた紙幣を受入れて貯留する。金庫6は、施錠可能に構成され、例えば遊技場の管理者が所持する鍵により解錠される。遊技場の管理者は、定期的に金庫6に貯留された紙幣を回収する。送風装置7は、上述の搬送ユニット8において、紙幣を搬送するための空気流を発生させる。
【0021】
管理ユニット10は、中継ユニット11へ各種のコマンドを送信する。例えば、管理ユニット10は、上述した回収コマンドを中継ユニット11へ送信する。回収コマンドには、受入ユニット5の何れかを特定する情報が含まれる。回収コマンドが送信されると、受入ユニット5が貯留する紙幣が搬送ユニット8を介して金庫6へ移動可能になる。
【0022】
また、管理ユニット10は、特定コマンドを中継ユニット11へ送信する。詳細には後述するが、本実施形態では、搬送経路(受入ユニット5)の紙幣を検知可能な構成(後述のセンサS)を具備するとともに、紙幣が検知された時刻を特定可能な差分情報Dが生成される。また、中継ユニット11には基準タイマTが設けられ、上述の差分情報Dには、紙幣が検知された時点における基準タイマTの値が含まれる。中継ユニット11は、特定コマンドを受信すると、基準タイマTを初期化する。
【0023】
図1(b)に示す通り、島端ユニット4は、搬送ユニット8の一端のうち、金庫ユニット3とは逆側の一端に設けられる。詳細には図2(a−1)および図2(a−2)で説明するが、搬送ユニット8は、搬送体8bおよび移動体8cを含んで構成される。以上の搬送体8bおよび移動体8cが移動することで、搬送ユニット8の搬送経路(搬送管8a)を紙幣が移動する。島端ユニット4は、搬送体8bおよび移動体8cの位置検知および制御をする。
【0024】
図2(a−1)および図2(a−2)は、搬送ユニット8の詳細を説明するための図である。図2(a−1)は、搬送ユニット8を幅方向(長手方向と垂直な方向)から見た図である。図2(a−1)に示す通り、搬送ユニット8は、搬送管8a、搬送体8b、移動体8cおよび送風管8dを含んで構成される。
【0025】
送風管8dは、気体の流路を形成する。送風管8d内の気流は、上述の送風装置7により制御される。また、送風管8dの内部には、図2(a−1)に示す通り、移動体8cが設けられる。以上の移動体8cは、送風管8d内の気流により送風管8d内を走行する(移動する)。
【0026】
また、搬送ユニット8は、少なくとも一部が送風管8dに沿って送風管8dに隣接配置された搬送管8aを具備する。搬送管8aの内部には、搬送管8aを走行する(移動する)搬送体8bが設けられる。搬送体8bは、紙幣を保持した状態で搬送管8aを移動可能に構成される(後述の図2(a−2)参照)。
【0027】
なお、図2(a−1)では、説明のため、搬送管8a内部の搬送体8bを示す。すなわち、図2(a−1)は、搬送管8aが透明であると仮定した場合の具体例である。同様に、図2(a−1)では、説明のため、送風管8d内部の移動体8cを示す。すなわち、図2(a−1)は、送風管8dが透明であると仮定した場合の具体例である。
【0028】
図2(a−1)に示す通り、移動体8cは移動体側磁石m2を備え、搬送体8bは搬送体側磁石m1を備える。本実施形態の搬送ユニット8は、送風管8d内の気流により移動体8cを送風管8dの長手方向に移動させた場合、移動体8cとの間に作用する磁力により搬送体8bを移動させる。すなわち、搬送ユニット8は、搬送体側磁石m1と移動体側磁石m2との間に作用する磁力に基づく吸着、及び/又は、反発により、気流を受けた移動体8cの移動に連動して搬送体8bを移動させる。
【0029】
搬送管8aは、磁力に基づく搬送体8bの走行に影響を与えない材料から構成される。具体的には、搬送管8aの全体が非磁性体の構成が好適である。ただし、搬送体8bの走行に影響を与えない範囲で搬送管8aの一部に磁性体を含んでもよい。
【0030】
図2(a−2)は、搬送管8aと搬送体8bとの関係を示した斜視図である。図2(a−2)においては、搬送管8aの内部を、一部露出させた状態を示している。図2(a−2)に示すように、搬送体8bは、送風管8d寄りに配置されて、移動体8cからの磁力を受ける搬送ベース8bxと、搬送ベース8bxの送風管8dとは反対側に設けられた紙幣保持部8byとを備える。紙幣保持部8byは、上述の受入ユニット5で貯留された紙幣を保持する。
【0031】
紙幣保持部8byで保持された紙幣は、搬送体8bが金庫ユニット3まで移動した後に、金庫6に収納される。以下、説明のため、搬送ユニット8における紙幣の搬送経路を「搬送経路Pa」と記載する場合がある。本実施形態の搬送経路Paでは、約5m/sの速度で紙幣を搬送可能である。図2(a−1)および図2(a−2)には、搬送ユニット8における搬送経路Paが矢印で示される。
【0032】
図2(b)は、受入ユニット5における紙幣の搬送経路を説明するための図である。以下、説明のため、受入ユニット5における紙幣の搬送経路を「搬送経路Pb」と記載する場合がある。また、上述の搬送経路Paと搬送経路Pbとを「搬送経路P」と総称する場合がある。
【0033】
図2(b)は、受入ユニット5を水平方向に切断した場合の断面図である。図2(b)には、搬送経路Pbが矢印で示される。また、図2(b)において、搬送経路Pbにおける紙幣Bを例示する。図2(b)に示す通り、受入ユニット5は、受入口51、駆動ローラ(52、53)、センサ用プリズム(54、55)およびセンサS(S1、S2)を含んで構成される。ただし、受入ユニット5の構成は適宜に変更できる。
【0034】
受入口51は、遊技用装置2からの紙幣を受入れる。具体的には、遊技用装置2の裏側には、遊技用装置2の挿入口2a(図1参照)から挿入された紙幣が排出される排出口が設けられる。受入ユニット5は、遊技用装置2の排出口と受入口51とが連通する位置に設けられ、遊技用装置2の排出口から排出された紙幣は、そのまま受入口51へ進入できる。受入口51へ進入した紙幣は、駆動ローラ52および駆動ローラ53により搬送経路Pbを移動する。
【0035】
センサSは、搬送経路Pbの紙幣を検知するセンサである。本実施形態では、発光素子と受光素子とを含むフォトセンサがセンサSとして採用される。ただし、フォトセンサ以外をセンサSとして採用してもよい。
【0036】
紙幣が搬送経路Pbにない場合、センサSの発光素子から照射された検知光は、センサ用プリズム(54、55)で反射し、当該センサSの受光素子に入射する。一方、紙幣が搬送経路Pbを移動している場合であって、センサSの発光素子から照射された検知光が当該紙幣で遮られている場合、検知光が当該センサSの受光素子に入射しない。
【0037】
以下、説明のため、センサSの受光素子に検知光が入射しない状態(紙幣を検知している状態)を、センサSが「ON状態」であると記載する場合がある。また、センサSの受光素子に検知光が入射する状態(紙幣を検知していない状態)を、センサSが「OFF状態」であると記載する場合がある。以上のセンサSの状態(ON状態、OFF状態)を示す検知信号が、当該センサSから中継装置100(情報処理装置、後述の図3(a)参照)へ入力される。なお、センサSの状態を示すコマンドが、中継ユニット11から管理ユニット10へ定期的に送信される構成としてもよい。
【0038】
図2(b)に示す通り、センサSは、センサS1とセンサS2とを含む。センサS1は、センサS2より搬送経路Pbの上流側を移動する紙幣を検知する。以上の構成では、搬送経路Pbを紙幣が移動すると、センサS1、センサS2の順にON状態になる。ただし、受入ユニット5に設けられるセンサSの個数は、2個に限定されない。例えば、受入ユニット5に3個以上のセンサSを設けてもよいし、1個のセンサSを設けてもよい。
【0039】
以上の説明から理解される通り、本実施形態の構成では、搬送経路Pbを移動する紙幣がセンサSにより検知される。以下で詳細に説明するが、本実施形態の情報処理システムAでは、搬送経路Pで紙幣が検知された時刻(履歴)が特定される情報(後述の差分情報D)が生成される。なお、搬送経路Pa(搬送ユニット8)において紙幣が検知される構成としてもよい。以上の構成の具体例については、後述の第2実施形態で説明する(後述の図7参照)。
【0040】
図3(a)は、本実施形態の情報処理システムAの機能ブロック図である。図3(a)に示す通り、情報処理システムAは、中継装置100および管理装置200を含んで構成される。例えば、上述の中継ユニット11のCPU(Central Processing Unit)がROM(Read Only Memory)に記憶されたプログラムを実行することで、中継装置100として機能する。また、上述の管理ユニット10のCPUがプログラムを実行することで、管理装置200として機能する。
【0041】
図3(a)に示す通り、管理装置200は、送信部201、記憶部202、情報復元部203および制御部204を含んで構成される。送信部201は、上述の各種のコマンド(回収コマンド、特定コマンド)を送信する。以下、説明のため、上述の各コマンドのうち特定コマンドを「特定コマンドX」と記載する(図においては、単に「X」と記載する)。
【0042】
特定コマンドXは、上述した通り、中継装置100(中継ユニット11)の基準タイマTを初期化するためのコマンドである。送信部201は、予め定められた時間間隔で特定コマンドXを中継装置100へ送信する。具体的には、送信部201は、特定コマンドXを約25s(秒)毎に送信する。以上の構成は、中継装置100の基準タイマTが約25s毎に初期化されるとも換言される。
【0043】
管理装置200の記憶部202は、情報処理システムAを制御するための各種の情報を記憶する。例えば、図3(a)に示す通り、記憶部202には時刻カウンタおよび周期カウンタが設けられる。時刻カウンタは、現在の時刻(時、分、秒)を記憶する。例えば、情報処理システムA(管理装置200)の電源がONされた場合、現在の時刻が時刻カウンタの初期値として格納される。また、時刻カウンタの初期値は、基準時刻として管理装置200に記憶される。
【0044】
記憶部202の周期カウンタは、特定コマンドXが送信される毎に数値「1」加算される。また、周期カウンタは基準時刻の設定時に初期化される。以上の周期カウンタには、基準時刻から特定コマンドXが送信された回数が記憶される。
【0045】
上述した通り、特定コマンドXが送信された場合、基準タイマTが初期化される。したがって、上述の周期カウンタは、基準タイマTが初期化された回数を記憶するとも換言される。また、特定コマンドXには、周期カウンタの現在値(更新直後の数値)が含まれる。以上の構成では、周期カウンタの現在値が特定コマンドXにより中継装置100に通知される。
【0046】
情報復元部203は、履歴情報Jを生成する。履歴情報Jは、紙幣の搬送経路PにおけるセンサS(上述の図2(b)参照)の状態(ON状態、OFF状態)が変化した時刻を特定可能な情報である。詳細には後述するが、情報復元部203は、予め定められた契機で差分情報D(後述の図5参照)を中継装置100から取得し、当該差分情報Dから履歴情報Jを生成する。
【0047】
図3(b)は、履歴情報Jの具体例を説明するための図である。図3(b)に示す通り、履歴情報Jは、特定の事象(センサSの状態変化)と当該事象が生じた時刻とを含んで構成される。例えば、図3(b)の具定例では、時刻「XX時YY分ZZ秒+α1秒」においてセンサS1がON状態に変化し、時刻「XX時YY分ZZ秒+α2秒」においてセンサS2がON状態に変化し、時刻「XX時YY分ZZ秒+α3秒」においてセンサS1がOFF状態に変化し、時刻「XX時YY分ZZ秒+α4秒」においてセンサS2がOFF状態に変化した場合を想定する。
【0048】
本実施形態の時刻カウンタは、約10μs毎に加算される。また、時刻カウンタは、X時間(Xは正の整数)に亘り更新され続けた場合であっても、桁上りしない(継続して更新可能な)大きさのデータである。以上の構成では、X時間に亘る期間(以下「履歴記録期間」という場合がある)の履歴情報Jを生成できる。例えば、1回の履歴記録期間としては、24時間(1日)が考えられる。
【0049】
図3(a)に説明を戻す。管理装置200の制御部204は、各種の制御を実行する。例えば、制御部204は、上述の受入ユニット5に貯留された紙幣が搬送路8aを移動可能に制御する。また、制御部204は、上述の履歴情報Jを所定の表示装置に表示するための制御をする。さらに、制御部204は、ホールコンピュータ(管理装置の上位の装置)との通信を制御する。
【0050】
図3(a)に示す通り、中継装置100は、受信部101、記憶部102、更新部103、初期化部104および保存部105を含んで構成される。受信部101は、上述の管理装置200(送信部201)が送信した特定コマンドXを受信する。
【0051】
中継装置100の記憶部102は、図3(a)に示す通り、周期数C、基準タイマTおよび差分情報Dを記憶する。周期数Cは、上述の管理装置200(記憶部202)の周期カウンタの現在値を示す。上述した通り、特定コマンドXには、周期カウンタの現在値が含まれる。中継装置100は、特定コマンドXが受信されると、当該特定コマンドXに含まれる周期カウンタの現在値に周期数Cを更新する。
【0052】
なお、特定コマンドXに含まれる周期カウンタの現在値で周期数Cが上書きされる構成に替えて、特定コマンドXが受信される毎に記憶部102の周期数Cに数値「1」が加算される構成としてもよい。詳細には後述するが、以上の周期数Cは、差分情報Dを生成する際に用いられる。
【0053】
更新部103は、予め定められた時間間隔で基準タイマTを更新する。具体的には、更新部103は、約1ms毎に基準タイマTに数値「1」を加算する。なお、基準タイマTを更新する時間間隔は、適宜に設定する必要がある。例えば、基準タイマTを更新する時間間隔は、紙幣の搬送速度に応じて設定する必要がある。以上の構成については、後述の第2実施形態において詳細に説明する。
【0054】
初期化部104は、予め定められた時間間隔で基準タイマTを初期化する。具体的には、上述した通り、基準タイマTは、特定コマンドXが受信されると初期化される。また、特定コマンドXは、約25s毎に受信される。したがって、基準タイマTは、約25s毎に初期化される。詳細には後述するが、以上の基準タイマTは、差分情報Dを生成する際に用いられる。
【0055】
保存部105は、受入ユニット5の搬送経路で紙幣が検知された場合、差分情報Dを保存する。差分情報Dには、紙幣が検知された時点における基準タイマTの現在値および周期数C(基準タイマTの初期化の回数)が含まれる。また、本実施形態の差分情報Dには、基準タイマTおよび周期数Cに加え、事象情報Eが含まれる(後述の図4(c)参照)。以上の事象情報Eは、紙幣を検知したセンサSの種類を特定可能な情報である。
【0056】
差分情報Dは、搬送経路で紙幣が検知される毎に、記憶部102に蓄積される。また、中継装置100は、記憶部102に蓄積された差分情報Dを予め定められた契機で管理装置200へ送信する。例えば、管理装置200が適宜に操作された場合、中継装置100へ差分情報Dを送信すべき旨の指示が送信される構成が考えられる。以上の構成では、上述の指示が中継装置100で受信されると、差分情報Dが中継装置100から管理装置200へ送信される。
【0057】
管理装置200(情報復元部203)は、上述した通り、中継装置100から受信した差分情報Dを用いて履歴情報J(上述の図3(b)参照)を生成する。なお、中継装置100から差分情報Dが管理装置200へ送信される契機は適宜に変更できる。例えば、中継装置100の電源がOFFになる契機で、差分情報Dが自動で管理装置200へ送信される構成が考えられる。
【0058】
ところで、履歴情報Jは、上述した通り、センサSの状態変化の内容(事象)と当該状態変化の発生時刻とを含む。したがって、本実施形態の構成(差分情報Dから履歴情報Jを生成する構成)に替えて、上述の時刻カウンタを中継装置100に設ける構成(以下「対比例」という)としてもよい。以上の対比例では、センサSが状態変化した時点の時刻カウンタの数値が中継装置100に蓄積され、蓄積された時刻カウンタの数値から履歴情報Jを生成する。
【0059】
しかし、時刻カウンタのデータ長は、履歴記録期間に応じて長くする必要がある。例えば、履歴記録期間が24時間の場合、時刻カウンタは、24時間に亘り加算され続けても桁上りしないデータ長にする必要がある。したがって、履歴記録期間が長期化した場合、時刻カウンタの現在値が蓄積される上述の対比例では、履歴情報Jを生成するために中継装置100が記憶すべきデータ量が過大になる不都合が生じ得る。
【0060】
本実施形態の差分情報D(周期数C、基準タイマT、事象情報E)には、時刻カウンタの現在値が含まれない。また、管理装置200は、差分情報Dの周期数Cおよび基準タイマTにより、センサSが紙幣を検知した時刻を算出できる。したがって、本実施形態では、例えば上述の対比例と比較して、履歴情報Jを生成するためのデータ量を抑制できるという利点がある。以上の構成について、以下で詳細に説明する。
【0061】
図4(a)は、本実施形態における搬送経路Pと、搬送経路Pを移動する紙幣を検知するセンサSの詳細を説明するための図である。本実施形態の中継装置100(中継ユニット11)は、複数(2台)の受入ユニット5と接続される。以下、説明のため、複数の受入ユニット5のうち、一方を受入ユニット5xと記載し、他方を受入ユニット5yと記載する場合がある。図4(a)に示す通り、受入ユニット5xは、遊技用装置2xからの紙幣を受入れる。また、受入ユニット5yは、遊技用装置2yからの紙幣を受入れる。
【0062】
また、上述した通り、受入ユニット5は、搬送経路Pの紙幣を検知するセンサS1およびセンサS2を具備する。以下、説明のため、受入ユニット5xのセンサS1を「センサS1x」と記載し、センサS2を「センサS2x」と記載する。同様に、受入ユニット5yのセンサS1を「センサS1y」と記載し、センサS2を「センサS2y」と記載する。なお、図4(a)における搬送経路Pの形状、および、各センサの位置関係は、実際とは相違させて示す。
【0063】
図4(b)は、各センサSの状態変化の具体例を説明するための図である。図4(b)の具体例では、上述の図4(a)の具体例において、遊技用装置2xに紙幣が挿入された場合を想定する。以上の場合、遊技用装置2xから受入ユニット5xへ紙幣が搬送される。
【0064】
以上の図4(b)の具体例では、受入ユニット5xにおけるセンサS1xおよびセンサS2xにより紙幣が検知される。図4(b)には、各センサS(1x、2x)が状態変化する各時点(t11、t12、t21、t22)が時間軸上に示される。図4(b)の具体例では、時点t11においてセンサSx1がON状態になり、時点t12においてセンサSx1がOFF状態になる場合を想定する。また、時点t21においてセンサSx2がON状態になり、時点t22においてセンサSx2がOFF状態になる場合を想定する。
【0065】
なお、本実施形態では、センサS1からセンサS2までの搬送経路Pの長さが、紙幣の横幅(搬送経路方向の長さ)より短い。したがって、図4(b)に示す通り、センサS1がON状態に変化した場合、センサS1がOFF状態に変化する前に、センサS2がON状態に変化する。ただし、センサS1からセンサS2までの搬送経路Pの長さは適宜に変更できる。
【0066】
上述した通り、中継装置100は、センサSの状態が変化した場合、差分情報Dを生成する。例えば、図4(b)の具体例では、時点t11、時点t21、時点t12および時点t22において、差分情報Dが生成される。以上の差分情報Dには、状態が変化したセンサSが特定される事象情報Eが含まれる。
【0067】
図4(c)は、事象情報E(1〜8)の具体例を説明するための図である。差分情報Dに含まれる事象情報Eは、状態が変化したセンサS、および、その変化の態様(OFF→ON、OFF→ON)の組合せ毎に設けられる。
【0068】
例えば、上述の図4(a)の具体例において、受入ユニット5xのセンサS1xがON状態に変化すると、事象情報E1を含む差分情報Dが生成される。また、受入ユニット5xのセンサS2xがON状態に変化すると、事象情報E2を含む差分情報Dが生成される。受入ユニット5xのセンサS1xがOFF状態に変化すると、事象情報E3を含む差分情報Dが生成される。また、受入ユニット5xのセンサS2xがOFF状態に変化すると、事象情報E4を含む差分情報Dが生成される。
【0069】
同様に、受入ユニット5yのセンサS1yがON状態に変化すると、事象情報E5を含む差分情報Dが生成される。また、受入ユニット5yのセンサS2yがON状態に変化すると、事象情報E6を含む差分情報Dが生成される。受入ユニット5xのセンサS1yがOFF状態に変化すると、事象情報E7を含む差分情報Dが生成される。また、受入ユニット5xのセンサS2yがOFF状態に変化すると、事象情報E8を含む差分情報Dが生成される。
【0070】
例えば、上述の図4(b)の具体例では、時刻t11(センサS1xがON)において事象情報E1を含む差分情報Dが生成される。また、時刻t21(センサS2xがON)において事象情報E2を含む差分情報Dが生成され、時刻t12(センサS1xがOFF)において事象情報E3を含む差分情報Dが生成され、時刻t22(センサS2xがOFF)において事象情報E4を含む差分情報Dが生成される。
【0071】
以上の事象情報E(1〜8)を含む差分情報Dからは、状態が変化したセンサSの種類、および、変化の態様が特定できる。ただし、事象情報Eの構成は以上の例に限定されない。例えば、センサSの状態がON状態になった場合の事象情報E(1、2、5、6)とOFF状態になった場合の事象情報E(3、4、7、8)との双方を設けたが、何れか一方のみを設ける構成としてもよい。
【0072】
図5(a)、図5(b)、図5(c−1)および図5(c−2)は、差分情報Dが生成されるまでの具体例を説明するための図である。
【0073】
図5(a)は、差分情報Dに含まれる周期数Cおよび基準タイマTの値を説明するための図である。図5(a)には、センサSの状態が変化した各時点(t11、t12、t21、t22)が時間軸上に示される。また、図5(a)には、各時点における周期数Cおよび基準タイマTの値が示される。
【0074】
上述した通り、管理装置200に基準時刻が設定される。図5(a)の具体例では、時点t0において基準時刻が設定された場合を想定する。図5(a)に示す通り、基準時刻が設定された直後では、周期数Cは数値「0」である。その後、特定コマンドXが受信される毎に周期数Cに数値「1」が加算される。例えば、図5(a)の具体例では、時点txにおいて、特定コマンドXが受信された場合を想定する。以上の場合、時点txにおいて、周期数Cが数値「N−1」(Nは正の整数)から数値「N」に加算される。
【0075】
図5(a)に示す通り、基準時刻が設定された直後では、基準タイマTは数値「0」である。その後、1ms毎に基準タイマTに数値「1」が加算される。また、基準タイマTは、特定コマンドXが受信された場合に初期化される。したがって、図5(a)の具体例では、時点txにおいて基準タイマTが初期化される。また、上述した通り、特定コマンドXは、約25s毎に送信される。したがって、図5(a)に示す通り、初期化直前の基準タイマTは、数値「25000」まで加算されている。
【0076】
図5(a)では、上述の図4(b)の具体例と同様に、時点t11でセンサSx1がON状態、時点t12でセンサSx1がOFF状態、時点t21でセンサSx2がON状態、時点t22でセンサSx2がOFF状態になる場合を想定する。また、時点t11では基準タイマTが数値「n1」、時点t21では基準タイマTが数値「n2」、時点t12では基準タイマTが数値「n3」、時点t22では基準タイマTが数値「n4」である場合を想定する。
【0077】
図5(b)は、上述の図5(a)の各時点tにおける、基準時刻からの経過時間を説明するための図である。詳細には以下で説明するが、基準時刻からの経過時間は、差分情報Dから算出される。また、基準時刻に経過時間を加算することで、差分情報Dが生成された時点(センサの状態が変化した時点)における実際の時刻が求められる。なお、図5(b)には、各時点tにおける経過時間に加え、各時点tで発生した事象、各時点における基準タイマTおよび周期数Cの値、生成される差分情報Dが示される。
【0078】
上述した通り、基準時刻が設定される時点t0では、周期数Cおよび基準タイマTは数値「0」である。以上の場合、図5(b)に示す通り、経過時間は「0」(ms)である。また、特定コマンドXが受信された時点txでは、基準タイマTは数値「0」であり、周期数Cは数値「N」である。以上の時点txでは、基準時刻が開始されてから特定コマンドXが中継装置100でN回受信されている。特定コマンドXは約25s毎に送信されるから、時点txにおける経過時間は「25000×N」(ms)である。
【0079】
図5(b)に示す通り、センサS1xがON状態に変化した時点t11では、基準タイマTは数値「n1」であり、周期数Cは数値「N」である。以上の時点t11は、N回目の特定コマンドXの受信時点から(時点txから)、約「n1」(ms)が経過した時点である。したがって、時点t11における経過時間は「(25000×N)+(n1)」(ms)になる。また、以上の時点t11では、差分情報D1が生成される。
【0080】
以上の説明から理解される通り、各時点における経過時間は、当該時点における周期数Cおよび基準タイマTの値から求められる(経過時間=(25000×周期数C)+(基準タイマT))。例えば、時点t21における経過時間は「(25000×N)+(n2)」(ms)であり、時点t12における経過時間は「(25000×N)+(n3)」(ms)であり、時点t22における経過時間は「(25000×N)+(n4)」(ms)である。また、時点t21では差分情報D2が生成され、時点t12では差分情報D3が生成され、時点t22では差分情報D4が生成される。
【0081】
図5(c−1)は、差分情報Dを構成する各情報を説明するための図である。上述した通り、差分情報Dは、発生した事象(紙幣を検知したセンサ、および、当該センサの状態変化の態様)が特定される事象情報E、当該事象の発生時点における周期数Cの値、および、当該事象の発生時点における基準タイマTの値を含む。なお、差分情報Dのデータ長は適宜に設定できる。差分情報Dのデータ長の具体例は、後述の変形例で説明する。
【0082】
図5(c−2)は、差分情報Dの具体例を説明するための図である。図5(c−2)の具体例では、上述の図4(b)(図4(a))の具体例において生成される差分情報D(1〜4)を示す。例えば、センサS1xがON状態になった時点t11では、基準タイマTが「n1」であり、周期数Cが「N」である。以上の時点t11では、「周期数C=N、事象情報E=E1、基準タイマT=n1」を示す差分情報D1が生成される。
【0083】
以上の差分情報Dの事象情報Eからは、状態が変化したセンサS、および、当該センサSの変化の態様が特定される。また、差分情報Dの周期数Cおよび基準タイマTからは、基準時刻からの経過時間が算出される。したがって、差分情報Dからは、上述の履歴情報Jが生成できる。
【0084】
なお、上述の図3(b)に示した履歴情報Jの具体例では、状態が変化したセンサS1がセンサS1xであるかセンサS1yであるか(何れの受入ユニット5のセンサS1の状態が変化したか)が区別できない。また、状態が変化したセンサS2がセンサS2xであるかセンサS2yであるかが区別できない。しかし、状態が変化したセンサS1がセンサS1xであるかセンサS1yであるかが区別され、状態が変化したセンサS2がセンサS2xであるかセンサS2yであるかが区別される履歴情報Jが生成される構成としてもよい。即ち、履歴情報Jは、特定の事象(センサSの状態変化)と当該事象が生じた時刻と、状態変化が生じたセンサを特定する情報を含んで構成されてもよい。
【0085】
また、基準タイマTは、予め定められた時間間隔で初期化されるため、上述の時刻カウンタと比較して、データ長が短くて済む。したがって、本実施形態の構成では、履歴情報Jを生成するためのデータ量を抑制することができるという利点がある。
【0086】
図6(a)は、管理装置200が実行する管理装置側処理のフローチャートである。管理装置200は、予め定められた時間間隔で(例えば、10μs毎に)管理装置側処理を実行する。
【0087】
管理装置側処理を開始すると、管理装置200は、時刻カウンタ更新処理(S11)を実行する。時刻カウンタ更新処理では、時刻カウンタが加算される。また、時刻カウンタ更新処理を実行した後に、管理装置200は、特定コマンドXの送信時期であるか否かを判定する(S12)。具体的には、ステップS12において、管理装置200は、特定コマンドXを前回送信してから(後述のコマンド送信処理を前回実行してから)の時間長が25sに達したか否かを判定する。
【0088】
特定コマンドXの送信時期であると判断した場合(S12:Yes)、管理装置200は、コマンド送信処理(S13)を実行する。コマンド送信処理では、特定コマンドXが中継装置100へ送信される。コマンド送信処理を実行した後に、管理装置200は、周期カウンタ更新処理(S14)を実行する。周期カウンタ更新処理では、周期カウンタに数値「1」が加算される。
【0089】
上述のステップS12において、特定コマンドの送信時期ではないと判断した場合(S12:No)、管理装置200は、コマンド送信処理および周期カウンタ更新処理を実行しないで、管理装置側処理を終了する。
【0090】
図6(b)は、中継装置100が実行する中継装置側処理のフローチャートである。中継装置側処理を開始すると、中継装置100は、基準タイマTの更新時期であるか否かを判定する(S21)。具体的には、基準タイマTを前回更新してから(後述の基準タイマ更新処理を前回実行してから)の時間長が1msに達したか否かを判定する。
【0091】
基準タイマTの更新時期であると判断した場合(S21:Yes)、中継装置100は、基準タイマ更新処理(S22)を実行する。基準タイマ更新処理では、基準タイマTに数値「1」が加算される。基準タイマ更新処理を実行した後に、中継装置100は、ステップS23へ処理を進める。一方、基準タイマTの更新時期ではなと判断した場合(S21:No)、中継装置100は、基準タイマ更新処理を実行しないでステップS23へ処理を進める。
【0092】
ステップS23において、中継装置100は、特定コマンドXを受信したか否かを判定する。特定コマンドXを受信したと判断した場合(S23:Yes)、中継装置100は、基準タイマTを初期化し(S24)、周期数Cを更新し(S25)、ステップS26へ処理を進める。一方、特定コマンドXを受信していないと判断した場合(S23:No)、中継装置100は、上述のステップS24およびステップ25を省略して、ステップS26へ処理を進める。
【0093】
ステップS26において、中継装置100は、センサS1またはセンサS2の状態(ON状態、OFF状態)が変化したか否かを判定する。センサSの状態が変化したと判断した場合(S26:Yes)、中継装置100は、保存処理(S27)を実行する。
【0094】
以上の保存処理では、上述の差分情報Dが生成され、記憶部102に保存される。具体的には、中継装置100は、保存処理において、センサSのうち状態が変化したセンサS、および、状態変化の態様を解析し、解析結果に応じて事象情報E(上述の図4(c)参照)を決定する。また、中継装置100は、記憶部102が記憶する周期数Cおよび基準タイマTの現在値を取得し、上述の事象情報Eと周期数Cおよび基準タイマTの現在値を含む差分情報Dを生成する。
【0095】
保存処理を実行した後に、中継装置100は、中継装置側処理を終了する。また、上述のステップS26において、センサSの状態が変化していないと判断した場合(S26:No)、中継装置100は、保存処理を省略して中継装置側処理を終了する。
【0096】
<第2実施形態>
本発明の他の実施形態を以下に説明する。なお、以下に例示する各形態において作用や機能が第1実施形態と同等である要素については、第1実施形態の説明で参照した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0097】
上述の第1実施形態では、搬送経路P(Pa、Pb)のうち受入ユニット5における搬送経路Pbを移動する紙幣を検知可能な構成を採用した(上述の図2参照)。第2実施形態では、受入ユニット5の搬送経路Pbに加え、搬送ユニット8の搬送経路Paを紙幣が移動したことを検知可能な構成が採用される。
【0098】
図7(a)は、搬送ユニット8の搬送経路Paを紙幣が移動したことを検知するための各センサSa(Sa1、Sa2)を説明するための図である。図7(a)は、長手方向と直交する方向に切断した場合の搬送ユニット8の切断面を示す。上述した通り、搬送ユニット8は、搬送体8bおよび移動体8cを具備する。移動体8cは、送風装置7が発生させた気流により、送風管8dの内部を移動する。また、搬送体8bは、紙幣を保持した状態で、移動体8cの移動に伴い搬送管8aの内部を移動する。
【0099】
図7(a)に示す通り、搬送ユニット8には、センサSa1およびセンサSa2が設けられる。センサSa1は、搬送ユニット8(搬送管8a)を移動する搬送体8bを検知可能に設けられる。具体的には、センサSa1は、発光素子と受光素子とを含んで構成される。発光素子は搬送管8aの側壁の一方に設けられ、受光素子は搬送管8aの側壁の他方に設けられる。
【0100】
搬送経路Paを紙幣が移動しない期間(搬送管8aを搬送体8bが移動しない期間)では、センサSa1の発光素子から照射された検知光が受光素子で受光される。一方、搬送経路PaにおけるセンサSa1の検知領域に搬送体8bが位置する場合、センサSa1の発光素子から照射された検知光は、搬送体8bで遮光され、受光素子に入射しない。以下、説明のため、センサSa1の受光素子に検知光が入射しない状態を、センサSa1がON状態であるという。また、センサSa1の受光素子に検知光が入射する状態を、センサSa1がOFF状態であるという。
【0101】
上述した通り、搬送経路Pa(搬送管8aの内部)において、紙幣は搬送体8bと一体的に移動する。したがって、搬送経路Paで搬送体8が検知された場合、搬送経路Paを紙幣が移動した旨が実質的に検知される。なお、搬送経路Paの紙幣を直接検知するセンサ(例えば、受入ユニット5におけるセンサS。上述の図2(b)参照)が設けられる構成としてもよい。
【0102】
ただし、搬送経路Paを移動する紙幣の種類(形状)によっては、当該紙幣が直接検知され難い場合がある。したがって、搬送経路Paの紙幣を直接検知するセンサを設けた構成では、紙幣が適当に検知されない不都合が生じ得る。上述の第2実施形態では、以上の不都合が抑制されるという利点がある。
【0103】
センサSa2は、搬送ユニット8(送風管8d)を移動する移動体8cを検知可能に設けられる。具体的には、センサSa2は、発光素子と受光素子とを含んで構成される。発光素子は送風管8dの側壁の一方に設けられ、受光素子は送風管8dの側壁の他方に設けられる。
【0104】
搬送経路Paを紙幣が移動しない期間(送風管8dを移動体8cが移動しない期間)では、センサSa2の発光素子から照射された検知光が受光素子で受光される。一方、センサSa2の検知領域に移動体8cがある場合、センサSa2の発光素子から照射された検知光は、移動体8cで遮光され、受光素子に入射しない。以下、説明のため、センサSa2の受光素子に検知光が入射しない状態を、センサSa2がON状態であるという。また、センサSa2の受光素子に検知光が入射する状態を、センサSa2がOFF状態であるという。
【0105】
上述の搬送体8bを検知するセンサSa1は、移動体8cを検知するセンサSa2の略直上に設けられる。以上の構成では、移動体8cに伴い搬送体8b(紙幣)が搬送経路Paを移動した場合、センサSa1およびセンサSa2は、略同時期にON状態に変化する(後述の図7(c)参照)。ただし、センサSa1およびセンサSa2が設けられる位置は適宜に変更してもよい。
【0106】
図7(b)は、第2実施形態における搬送経路P(Pa、Pb)と、搬送経路Pを移動する紙幣を検知するセンサS(Sa、Sb)の詳細を説明するための図である。なお、図7(b)には、1個の受入ユニット5を設けた具体例を示すが、複数個の受入ユニット5が設けられる構成(例えば、上述の第1実施形態)としてもよい。
【0107】
受入ユニット5は、上述の第1実施形態と同様に、搬送経路P(Pb)の紙幣を検知するセンサS1およびセンサS2を具備する(上述の図2(b)参照)。以下、説明のため、受入ユニット5のセンサS1を「センサSb1」と記載し、センサS2を「センサSb2」と記載する。
【0108】
第2実施形態の受入ユニット5の搬送経路Pbでは、第1実施形態と同様に、駆動ローラ(図2(b)の52および53)により紙幣が搬送される。一方、搬送ユニット8の搬送経路Paでは、空気流により紙幣が搬送される。以上の構成では、搬送経路Paおよび搬送経路Pbで紙幣の搬送速度が相違する。第2実施形態では、図7(b)に示す通り、搬送経路Paにおける紙幣の搬送速度は約5m/sであり、搬送経路Pbにおける紙幣の搬送速度は、約100〜200mm/sである。すなわち、搬送経路Paでは搬送経路Pbと比較して高速で紙幣が搬送される。
【0109】
図7(b)に示す通り、遊技用装置2に挿入された紙幣が金庫6まで搬送された場合、当該紙幣は、搬送経路PbのセンサSb1で検知され、搬送経路PbのセンサSb2で検知され、搬送経路PaのセンサSa1およびセンサSa2で略同時に検知される。
【0110】
図7(c)は、各センサSの状態変化の具体例を説明するための図である。図7(c)には、各センサSがON状態になる期間(pb1、pb2、pa)が時間軸上に示される。第2実施形態では、搬送経路Pbを紙幣が移動した場合、センサSb1が期間pb1においてON状態になり、センサSb2が期間pb2においてON状態になる。その後、搬送経路Paを紙幣が移動した場合、センサSa1およびセンサSa2が期間paにおいてON状態になる。
【0111】
上述した通り、搬送経路Paでは搬送経路Pbと比較して高速で紙幣が搬送される。したがって、図7(c)に示す通り、搬送経路PaにおいてセンサSa(1、2)がON状態になる期間paの時間長は、搬送経路PbにおいてセンサSbがON状態になる期間pb(1、2)の時間長より短くなる。
【0112】
図8(a)から図8(c)は、差分情報Dを生成するための構成を説明するための図である。第2実施形態の差分情報Dは、上述の第1実施形態と同様に、事象情報E、基準タイマTおよび周期数Cの値を含んで構成される。
【0113】
ただし、詳細には後述するが、第2実施形態の中継装置100には、基準タイマT(Ta、Tb)および周期数C(Ca、Cb)が其々2個ずつ設けられる。また、紙幣が検知された搬送経路P(Pa、Pb)に応じて、相違する基準タイマTおよび周期数Cを用いて差分情報Dが生成される。
【0114】
図8(a)は、第2実施形態の事象情報E(11〜18)を説明するための図である。第2実施形態の事象情報Eは、第1実施形態の事象情報E(上述の図4(c)参照)と同様に、状態が変化したセンサS(a1、a2、b1、b2)、および、その変化の態様(OFF→ON、OFF→ON)が特定される。
【0115】
図8(b)は、第2実施形態の中継装置100(記憶部102)に設けられた基準タイマT(Ta、Tb)および周期数C(Ca、Cb)を説明するための図である。図8(b)に示す通り、第2実施形態の基準タイマTは、基準タイマTaおよび基準タイマTbを含んで構成される。以上の基準タイマTaと基準タイマTbとでは、更新の時間間隔が相違する。
【0116】
具体的には、基準タイマTaは約10μs毎に数値「1」加算される。中継装置100は、各センサSのうち搬送経路Paの各センサSa(Sa1、Sa2)の状態が変化した場合、基準タイマTaの現在値を含む差分情報Dを生成する。第2実施形態では、説明のため、搬送経路Paの各センサSaの状態が変化した際に生成される差分情報Dを「差分情報Da」と記載する。
【0117】
一方、基準タイマTbは約1ms毎に数値「1」加算される(第1実施形態の基準タイマTと同様)。以上の説明から理解される通り、基準タイマTaは、基準タイマTbより短い時間間隔で更新される。中継装置100は、各センサSのうち搬送経路Pbの各センサSb(Sb1、Sb2)の状態が変化した場合、基準タイマTbの現在値を含む差分情報Dを生成する。第2実施形態では、説明のため、搬送経路Pbの各センサSbの状態が変化した際に生成される差分情報Dを「差分情報Db」と記載する。
【0118】
図8(b)に示す通り、基準タイマTaは、約5s毎に初期化される。第2実施形態の中継装置100は、基準タイマTaが初期化された回数を示す周期数Caを記憶する。また、基準タイマTbは、約25s毎に初期化される(第1実施形態の基準タイマTと同様)。第2実施形態の中継装置100は、基準タイマTbが初期化された回数を示す周期数Cbを記憶する。
【0119】
仮に、基準タイマTaが基準タイマTbより短い時間間隔で加算される構成において、初期化される時間間隔が基準タイマTaと基準タイマTbとで共通の構成を想定する。また、以上の構成では、桁上りが発生するまでの加算回数が基準タイマTaと基準タイマTbとで共通(基準タイマTaと基準タイマTbとでデータ長が共通)であると仮定する。以上の構成では、基準タイマTaにおいて桁上りが生じ易くなるという不都合が想定される。上述した通り、第2実施形態の構成では、基準タイマTaが基準タイマTbより短い時間間隔で初期化されるため、上述の不都合が抑制されるという利点がある。
【0120】
図8(c)は、第2実施形態の差分情報D(Da、Db)を説明するための図である。上述した通り、第2実施形態では、センサSaが搬送体8bまたは移動体8cを検知(搬送経路Paを紙幣が移動)した際に差分情報Daが生成され、センサSbが紙幣を検知(搬送経路Pbを紙幣が移動)した際に差分情報Dbが生成される。
【0121】
図8(c)に示す通り、差分情報Daは、周期数Ca、事象情報E(E11〜E14)および基準タイマTaの値を含んで構成される。例えば、中継装置100は、センサSa1がON状態になると、周期数Caおよび基準タイマTaの現在値、および、事象情報E11(上述の図8(a)参照)を含む差分情報Daを生成して保存する。
【0122】
図8(c)に示す通り、差分情報Dbは、周期数Cb、事象情報E(E15〜E18)および基準タイマTbの値を含んで構成される。例えば、中継装置100は、センサSb1がON状態になると、周期数Cbおよび基準タイマTbの現在値、および、事象情報E15(上述の図8(a)参照)を含む差分情報Dbを生成して保存する。
【0123】
第2実施形態では、上述の第1実施形態と同様に、基準時刻が設定される。また、基準時刻からの経過時間(ms)は、例えば、「5000×(周期数Caの現在値)+(基準タイマTaの現在値)×(1/100)」という数式から算出される。すなわち、差分情報Daから経過時間が算出できる。同様に、基準時刻からの経過時間(ms)は、例えば、「25000×(周期数Cbの現在値)+(基準タイマTbの現在値)」という数式から算出される。すなわち、差分情報Dbから経過時間が算出できる。
【0124】
以上の説明から理解される通り、第2実施形態の差分情報D(Da、Db)によれば、搬送経路Paで紙幣が検知された時刻および搬送経路Pbで紙幣が検知された時刻の双方が特定される。第2実施形態の管理装置200は、予め定められた契機で差分情報Dを中継装置100から取得し、搬送経路Paで紙幣が検知された時刻および搬送経路Pbで紙幣が検知された時刻の双方が特定される履歴情報Jを生成する。
【0125】
ところで、第2実施形態では、搬送経路Paを紙幣が移動した場合と、搬送経路Pbを紙幣が移動した場合とで、相違する基準タイマTを用いて差分情報Dを生成したが、以上の各場合で共通の基準タイマTが用いられる構成としてもよい。ただし、紙幣の搬送速度に対して基準タイマTの更新間隔が短過ぎると、基準タイマTのデータ長が不必要に長くなる。また、紙幣の搬送速度に対して基準タイマTの更新間隔が長過ぎると、紙幣が検知された実際の時刻と差分情報Dから算出される検知時刻との誤差が大きくなるという不都合が生じる。
【0126】
以上の事情を考慮して、第2実施形態では、紙幣の搬送速度が相違する搬送経路P(Pa、Pb)毎に基準タイマT(Ta、Tb)を設ける構成を採用した。以上の構成では、例えば、何れの搬送経路Pで紙幣が検知された場合であっても共通の基準タイマTが用いられる構成と比較して、紙幣の搬送速度に応じて適当な更新間隔の基準タイマTを設けることができるという利点がある。
【0127】
<第3実施形態>
図9(a)は、第3実施形態の情報処理システムAを説明するための図である。図9(a)に示す通り、第3実施形態の情報処理システムAは、管理装置200と複数の中継装置100(x、y、z)とを含んで構成される。なお、図9(a)の具体例では、3個の中継装置100を具備する情報処理システムAを示すが、中継装置100の個数は3個に限定されない。
【0128】
中継装置100の各々は、受入ユニット5が接続され、受入ユニット5のセンサSbからの検知信号(ON信号、OFF信号)が入力される。具体的には、中継装置100の各々には、複数(例えば4個)の受入ユニット5が接続され、各受入ユニット5のセンサSbからの検知信号が入力される。ただし、図9(a)では、受入ユニット5に接続されるセンサSbのうち1個のセンサSbを抜粋して示す。
【0129】
中継装置100の各々は、搬送ユニット8のセンサSaからの検知信号(ON信号、OFF信号)が入力される。具体的には、図9(a)に示す通り、第3実施形態の搬送経路Paには、複数(3組)のセンサSaが設けられ、各センサSaからの検知信号は、別々の中継装置100に入力される。以上の各センサSaにより紙幣が検知される搬送経路Paの領域R(x、y、z)は、センサSa毎に相違する。
【0130】
具体的には、図9(a)に示す通り、中継装置100xに接続されるセンサSaは、搬送領域Paの領域Rxに紙幣(搬送体8b)が位置する場合にON状態になる。同様に、中継装置100yに接続されるセンサSaは、搬送領域Paの領域Ryに紙幣が位置する場合にON状態になり、中継装置100zに接続されるセンサSaは、搬送領域Paの領域Rzに紙幣が位置する場合にON状態になる。
【0131】
各中継装置100は、管理装置200と通信可能に接続される。具体的には、図9(a)に示す通り、各中継装置100は、管理装置200へレスポンスを送信するための専用の出力線tx、および、管理装置200からのコマンドを受信するための専用の入力線trを具備する。また、管理装置200は各中継装置100へコマンドを送信するための専用の出力線tx、および、各中継装置100からのレスポンスを受信するための専用の入力線trを具備する。
【0132】
以上の説明から理解される通り、各中継装置100と管理装置200とは、全二重通信で接続される。ただし、各中継装置100と管理装置200との接続方式は全二重通信に限定されない。例えば、各中継装置100と管理装置200とが半二重通信で接続される構成としてもよい。
【0133】
図9(a)に示す通り、中継装置100の各々には、上述の第2実施形態と同様に、基準タイマTaおよび基準タイマTbが設けられる。第3実施形態では、上述の第2実施形態と同様に、基準タイマTaを用いて差分情報Daが生成され、基準タイマTbを用いて差分情報Dbが生成される。
【0134】
図9(a)に示す通り、管理装置200は、特定コマンドXを各中継装置100へ送信する。具体的には、管理装置200は、特定コマンドXを約5s毎に各中継装置100へ一斉に送信する。各中継装置100は、特定コマンドXを受信した回数を計数するカウンタ(計数手段)を具備する。
【0135】
また、管理装置200には、第1周期カウンタおよび第2周期カウンタが設けられる。第1周期カウンタは、特定コマンドXが送信される毎(約5s毎)に数値「1」加算される。第2周期カウンタは、特定コマンドXが5回送信される毎(約25s毎)に数値「1」加算される。
【0136】
図9(b−1)および図9(b−2)は、特定コマンドXに含まれる各情報の一部(データ部)を説明するための図である。図9(b−1)および図9(b−2)に示す通り、特定コマンドXは、データ部dp1およびデータ部dp2を含んで構成される。
【0137】
図9(b−1)は、(5×m)回目(mは正の整数)に送信される特定コマンドX(以下「特定コマンドX1」と記載する場合がある)を説明するための図である。図9(b−1)に示す通り、特定コマンドX1のデータ部dp1は、第1周期カウンタの現在値を示す。また、特定コマンドX1のデータ部dp2は、第2周期カウンタの現在値を示す。
【0138】
各中継装置100は、特定コマンドX1を受信した場合、当該特定コマンドX1のデータ部dp1で周期数Caを上書きする(数値「1」増加させる)。また、各中継装置100は、周期数Caを上書きした場合、基準コマンドTaを初期化する。同様に、各中継装置100は、特定コマンドX1を受信した場合、当該特定コマンドX1のデータ部dp2の数値で周期数Cbを上書きする。また、各中継装置100は、周期数Cbを上書きした場合、基準コマンドTbを初期化する。
【0139】
図9(b−2)は、(5×m)回目以外(1〜4回目、6〜9回目…)に送信される特定コマンドX(以下「特定コマンドX2」と記載する場合がある)を説明するための図である。図9(b−2)に示す通り、特定コマンドX2のデータ部dp1は、第1周期カウンタの現在値を示す。また、特定コマンドX1のデータ部dp2は、数値「0」を示す。
【0140】
各中継装置100は、特定コマンドX2を受信した場合、上述の特定コマンドX1を受信した場合と同様に、当該特定コマンドX1のデータ部dp1で周期数Caを上書きする。また、特定コマンドX2を受信した場合、基準カウンタTaが初期化される。一方、各中継装置100は、特定コマンドX2を受信した場合、周期数Cbを上書きしない。また、基準カウンタTbが初期化されない。
【0141】
以上の構成では、上述の第2実施形態と同様に、各中継装置100は、特定コマンドXを受信する毎(約5s毎)に、基準タイマTaを初期化し、特定コマンドXを5回受信する毎(約25s毎)に、基準タイマTbを初期化する。
【0142】
また、上述の構成では、各中継装置100が記憶する周期数Caは、管理装置200の第1周期カウンタの現在値となる。すなわち、各中継装置100の周期数Caが同期する。同様に、各中継装置100が記憶する周期数Cbは、管理装置200の第2周期カウンタの現在値となる。すなわち、各中継装置100の周期数Cbが同期する。
【0143】
第3実施形態の管理装置200は、上述の各形態と同様に、基準時刻を記憶する。また、各中継装置100が生成する差分情報D(Da、Db)には、基準タイマT(Ta、Tb)および周期数C(Ca、Cb)の値が含まれる。以上の差分情報Dからは、上述の各形態と同様に、基準時刻からの経過時間が算出される。
【0144】
仮に、各中継装置100における基準タイマTおよび周期数Cが同期しない構成では、中継装置100毎に基準時刻を設定する必要がある。以上の構成では、中継装置100の個数が多い場合、多くの基準時刻を管理装置200に設定する必要があるという不都合が生じる。
【0145】
第3実施形態では、各中継装置100に特定コマンドXが一斉送信され、各中継装置100における基準タイマTおよび周期数Cが同期する。したがって、中継装置100毎に基準時刻を設定する必要がないため、上述の不都合が抑制されるという利点がある。
【0146】
以上の第3実施形態では、上述の第1実施形態および第2実施形態と同様な効果が奏せられる。また、第3実施形態では、各中継装置100に特定コマンドXが一斉送信され、各中継装置100における基準タイマTおよび周期数Cが同期するため、複数の基準時刻を設定する必要が無いという利点がある。
【0147】
<変形例>
以上の各形態は多様に変形される。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は適宜に併合され得る。
【0148】
上述の各形態において、差分データDの構成(データ長等)は、適宜に変更できる。例えば、差分データDのデータ長としては32ビットが採用され得る。以上の差分データDは、例えば、8ビットの同期数C、4ビットの事象情報E、20ビットの基準タイマTの値で構成される。
【0149】
以上の差分データDを用いた場合、例えば第2実施形態の基準タイマTaは、10μs毎に数値「1」加算されるため、約10.48576(=(2の20乗)/100000)s間に亘り初期化する必要がない。なお、上述した通り、基準タイマTaは、約5s(≦10.48576)毎に初期化される。したがって、基準タイマTaは、数値「500000」以上には、原則、加算されない。
【0150】
ところで、例えばノイズの影響で、管理装置200から定期的に送信される特定コマンドXの一部が中継装置100で受信されない場合がある。以上の場合、基準タイマTaの数値が「1048576」に達して桁上りし、正確な経過時間が算出される差分情報Dが生成されない不都合が生じる。
【0151】
以上の事情を考慮して、当該変形例の管理装置200は、基準タイマTが桁上りするまでの時間長に対して十分に短い時間間隔で特定コマンドXを中継装置100へ送信する。具体的には、上述した通り管理装置200は約5s毎に特定コマンドXを送信する。
【0152】
仮に、1個の特定コマンドXが中継装置100で受信されなかった場合、約10s間に亘り基準タイマTaが初期化されない。したがって、基準タイマTaが数値「1000000」まで加算される。ただし、当該変形例の基準タイマTaは20ビットであるため、1個の特定コマンドXを取りこぼした場合であっても桁上りが生じない。
【0153】
なお、以上の変形例であっても、特定コマンドXを連続して取りこぼした場合、基準タイマTaが桁上りする。以上の事情を考慮して、基準タイマTaが桁上りした場合であっても、正確な経過時間が算出される差分情報Dを生成可能な構成が好適である。
【0154】
以上の構成としては、基準タイマTaが桁上りした場合、当該桁上りの回数を中継装置100が記憶しておく構成が考えられる。例えば、差分情報Dの周期数Cが「N」、基準タイマTaが「n」であり、基準タイマTaが桁上りした回数が「m」の場合を想定する。以上の場合、経過時間は、「5000×N+n×(1/100)+10485.76×m」(ms)の数式から算出される。
【0155】
なお、桁上りの回数を中継装置100が記憶する構成に替えて、特定コマンドXに周期数Cが含まれる構成(例えば、上述の第3実施形態)とし、前回受信した特定コマンドXの周期数Cと今回受信した特定コマンドXの周期数Cとの差を求めてもよい。以上の構成において、仮に、各特定コマンドXの周期数Cの差が数値「1」の場合、特定コマンドXを前回受信してから特定コマンドXを今回受信するまでの期間において、特定コマンドXの取りこぼしは無い。一方、各特定コマンドXの周期数Cの差が数値「m+1」の場合、特定コマンドXを前回受信してから特定コマンドXを今回受信するまでの期間において、特定コマンドXをm回取りこぼした旨が特定できる。以上の構成は、上述の基準タイマTaに加え、約1ms毎に加算され、約25s毎に初期化される基準タイマTbに適用してもよい。
【0156】
また、差分情報Daおよび差分情報Dbのうち差分情報Daのみを島端ユニット4が保存する構成を採用してもよい。以上の構成では、差分情報Daは、中継装置100と島端ユニット4との双方に記憶される。
【0157】
<本実施形態の態様例の作用、効果のまとめ>
<第1態様>
本態様の情報処理装置(中継装置100)は、予め定められた時間間隔(10μs、1ms)で基準タイマ(Ta、Tb)を更新する更新手段(103)と、予め定められた時間間隔(5s、25s)で基準タイマを初期化する初期化手段(104)と、初期化の回数を記憶する記憶手段(102)と、搬送経路(P)を紙葉が移動した場合、基準タイマの現在値および初期化の回数が特定される差分情報(D)を保存する保存手段(105)とを具備する。本態様によれば、搬送経路で紙葉が検知された時刻を特定可能な履歴情報を生成するためのデータ量を抑制することができる。
【0158】
<第2態様>
本態様の情報処理装置は、保存手段は、搬送経路のうち第1搬送経路(Pa)を紙葉が移動した場合、第1事象情報(E11〜E14)を含む差分情報(Da)を保存し、搬送経路のうち第2搬送経路(Pa)を紙葉が移動した場合、第1事象情報とは相違する第2事象情報(E15〜E18)を含む差分情報(Db)を保存する。以上の本態様では、紙葉が移動した搬送経路の種類を差分情報から特定できる。
【0159】
<第3態様>
本態様の情報処理装置は、基準タイマは、第1基準タイマ(Ta)および第2基準タイマ(Tb)を含み、更新手段は、第2基準タイマより短い時間間隔で第1基準タイマを更新し、保存手段は、第1搬送経路を紙葉が移動した場合、第1基準タイマの現在値を含む差分情報を保存し、第2搬送経路を紙葉が移動した場合、第2基準タイマの現在値を含む差分情報を保存する。以上の本態様によれば、紙幣の搬送速度に応じて適当な基準タイマにより差分情報を生成できる。
【0160】
<第4態様>
本態様の情報処理装置は、初期化手段は、第2基準タイマより短い時間間隔で第1基準タイマを初期化する。以上の本態様では、第1基準タイマが第2基準タイマより短い時間間隔で更新される構成を採用した場合であっても、第1基準タイマが桁上がりする不都合が抑制される。
【0161】
<第5態様>
本態様の情報処理システム(A)は、管理装置(200)と複数の中継装置(100x、100y、100z)とを具備する情報処理システムであって、管理装置は、予め定められた時間間隔で特定コマンド(X)を送信する送信手段を具備し、中継装置は、特定コマンドを受信する受信手段と、予め定められた時間間隔で基準タイマを更新する更新手段と、特定コマンドが受信されると、基準タイマを初期化する初期化手段と、初期化の回数を計数する計数手段と、搬送経路を紙葉が移動した場合、基準タイマの現在値および初期化の回数が特定される差分情報を保存する保存手段とを具備する。以上の本態様によれば、上述の第1態様と同様な効果が奏せられる。
【0162】
<第6態様>
本態様の情報処理システムは、送信手段は、複数の中継装置へ特定コマンドを略同時に送信可能である。以上の本態様によれば、基準タイマを各中継装置で同期できる。また、計数手段が計数する初期化の回数を各中継装置で同期できる。
【符号の説明】
【0163】
100…中継装置、101…受信部、102…記憶部、103…更新部、104…初期化部、105…保存部、200…管理装置、201…送信部、202…記憶部、203…情報復元部、204…制御部。
【要約】
【課題】搬送経路を紙葉が移動した時刻を特定可能な履歴情報を生成するためのデータ量を抑制する。
【解決手段】予め定められた時間間隔(10μs、1ms)で基準タイマ(Ta、Tb)を更新する更新手段(103)と、予め定められた時間間隔(5s、25s)で基準タイマを初期化する初期化手段(104)と、初期化の回数を記憶する記憶手段(102)と、搬送経路(P)を紙葉が移動した場合、基準タイマの現在値および初期化の回数が特定される差分情報(D)を保存する保存手段(105)とを具備する。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9