特許第6826677号(P6826677)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6826677改善されたロック構成を装備する、車両シートのための摺動デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6826677
(24)【登録日】2021年1月19日
(45)【発行日】2021年2月3日
(54)【発明の名称】改善されたロック構成を装備する、車両シートのための摺動デバイス
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/08 20060101AFI20210121BHJP
【FI】
   B60N2/08
【請求項の数】8
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2019-571602(P2019-571602)
(86)(22)【出願日】2019年4月24日
(65)【公表番号】特表2020-526438(P2020-526438A)
(43)【公表日】2020年8月31日
(86)【国際出願番号】IB2019053373
(87)【国際公開番号】WO2020003015
(87)【国際公開日】20200102
【審査請求日】2020年1月31日
(31)【優先権主張番号】102018000006650
(32)【優先日】2018年6月26日
(33)【優先権主張国】IT
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519234327
【氏名又は名称】マルトゥール・イタリー・ソチエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】クルポ,アズラ
(72)【発明者】
【氏名】ユステュンベルク,ジャン
【審査官】 齊藤 公志郎
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2003/0085330(US,A1)
【文献】 特開2014−136541(JP,A)
【文献】 特開平11−348622(JP,A)
【文献】 特開2016−215990(JP,A)
【文献】 特開2006−117229(JP,A)
【文献】 特開2004−276670(JP,A)
【文献】 米国特許第5596910(US,A)
【文献】 独国特許出願公開第102004003144(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00−90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両シートのための摺動デバイス(110;210)において、前記摺動デバイス(110;210)が、下側レール(130a、130b;230a、230b)および上側レール(140a、140b;240a、240b)を各々が備える一対の平行なトラック(120a、120b;220a、220b)を備え、前記上側レールの各々がそれぞれの下側レールに対して拘束されるが前記下側レールに対して摺動可能であり、前記下側レール(130a、130b;230a、230b)が前記下側レールの長手方向軸に沿って配置される複数のアパーチャ(132a、132b;232a、232b)を装備し、前記摺動デバイスが2つのロック組立体を有するロック構成を装備し、1つのロック組立体が各々の前記トラックのためのものであり、前記ロック組立体(101a、101b;201a、201b)の各々が複数のロックピン(105a、105b;203a、203b)を備え、前記複数のロックピン(105a、105b;203a、203b)が、前記それぞれの下側レールの対応するアパーチャの中まで入るようなロック形態から、前記下側レールの前記アパーチャから外されるようなアンロック形態まで、およびその逆で、移動するように構成される、車両シートのための摺動デバイス(110;210)であって、すべての前記ロックピン(105a、105b;203a、203b)が、前記アンロック形態から前記ロック形態まで移動させられるときに前記下側レール(130a、130b;230a、230b)の対応するアパーチャ(132a、132b;232a、232b)の中まで同時にまたはほぼ同時に入
前記下側レール(130a、130b;230a、230b)の前記アパーチャ(132a、132b;232a、232b)の断面が前記ロックピン(105a、105b;203a、203b)の断面と実質的に等しい形状およびサイズを有し、2つの隣接するロックピンの長手方向軸の間の距離(d)が、2つの隣接するアパーチャの長手方向軸の間の距離(d)と実質的に等しいかまたはその複数倍に実質的に等しく、また
前記下側レール(130a、130b;230a、230b)のすべての前記アパーチャ(132a、132b;232a、232b)が断面で見て実質的に等しい形状およびサイズを有し、すべての前記ロックピン(105a、105b;203a、203b)が断面で見て実質的に等しい形状およびサイズを有
前記下側レール(130a、130b;230a、230b)の前記アパーチャ(132a、132b;232a、232b)が円形貫通孔として作られ、前記ロックピン(105a、105b;203a、203b)が円筒形ボディを有し、前記下側レールの前記アパーチャの直径(DA)が前記ロックピンの直径(DP)に実質的に等しい、
車両シートのための摺動デバイス(110;210)。
【請求項2】
前記ロックピン(105a’、105b’;203a’、203b’)のうちの少なくとも1つのロックピンが円形先端部(106a、106b;204a、204b)を装備し、前記下側レールの隣接するアパーチャを分離するウェブ部分(134a、134b;234a、234b)が前記下側レールの長手方向軸の方向において凸形プロフィールを有する、請求項に記載の摺動デバイス(110;210)。
【請求項3】
前記ロックピンがそれらのアンロック形態からそれらのロック形態まで移動させられるとき、前記ロックピン(105a’、105b’)のうちの前記少なくとも1つのロックピンのストロークが他のロックピンのストロークより短い、請求項に記載の摺動デバイス(110)。
【請求項4】
前記ロックピンがそれらのアンロック形態からそれらのロック形態まで移動させられるとき、前記ロックピン(203a’、203b’)のうちの前記少なくとも1つのロックピンが他のロックピンより迅速に移動する、請求項に記載の摺動デバイス(210)。
【請求項5】
すべての前記ロックピンが円形先端部を装備する、請求項に記載の摺動デバイス。
【請求項6】
前記ロックピン(105a’、105b’;203a’、203b’)のうちの前記少なくとも1つのロックピンが、球形先端部(106a、106b;204a、204b)のところで終端する円錐台形先端部分を装備する、請求項からのいずれか一項に記載の摺動デバイス(110;210)。
【請求項7】
前記下側レールの前記アパーチャ(132a、132b;232a、232b)が面取りされた縁部(136a、136b;236a、236b)を装備する、請求項に記載の摺動デバイス(110;210)。
【請求項8】
前記ロックピン(105a、105b;203a、203)が、ばね(107a、107b;205a、205b)により、前記下側レールの前記アパーチャ(132a、132b;232a、232b)の方に付勢される、請求項1からのいずれか一項に記載の摺動デバイス(110;210)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改善されたロック構成を装備する、車両シートのための摺動デバイスに関する。
より詳細には、本発明は、そのロック作用により摺動デバイスの上側レールと下側レールとの間でのロッキングが最適化されることが保証されるような、ロック構成を装備する、車両シートのための摺動デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
車両シートは、一般に、シートクッションを前後方向に押したりまたは引いたりするための摺動機能と、シートクッションの高さを調整するための高さ調整機能と、シートクッションに対するシートバックレストの傾きを調整するためのリクライニング機能とを有する。
【0003】
上記の摺動機能は、一般に、車両フロアに取り付けられる下側レールおよび車両シートに取り付けられる上側レールを各々が備える一対の平行なトラックを備える摺動デバイスによって実装され、ここでは上側レールが下側レールに対して拘束されるが上記下側レールに対して摺動することができる。
【0004】
摺動デバイスが、下側レールに対して上側レールが移動するのを可能にする/防止するためのロック構成をさらに備える。このようなロック構成が通常はロック形態にあり、ロック形態ではロック構成が下側レールに対して上側レールが摺動するのを防止し、それにより車両フロアに対してシートが誤って変位させられるのを回避する。
【0005】
このようなロック構成は、通常、一対のロック組立体を備え、1つのロック組立体が各々のトラックのためのものである。
摺動デバイスが、下側レールに対して上側レールが自由に移動することができるようなアンロック形態までロック構成のロック組立体を移動させる場合に使用者によって使用され得る解放部材をさらに装備し、その結果、車両フロアに対するシートの位置が調整され得る。このような解放部材が、例えば、2つの実質的に平行なアームを有する「U」形ハンドルまたはタオルバーとして、作られ得、平行なアームを有する「U」形ハンドルまたはタオルバーの端部分がそれぞれのロック組立体をそれらのアンロック形態まで移動させるためにそれぞれのロック組立体に同時に作用するように構成される。
【0006】
上側レールと下側レールと間での積極的な係合を実現することを目的とするような摺動デバイスが当技術分野から知られており、各トラックの下側レールが、上記下側レールの長手方向軸に沿って位置合わせされて好適には互いから均等に離間される一連のアパーチャを装備し、各ロック組立体がそれぞれの上側レールに接続され、下側レールのそれぞれのアパーチャの中まで入って上記アパーチャの縁部に係合するように構成される1つまたは複数のロックピンを備える。
【0007】
このようなロックピンが、通常では、例えばばねにより、ロック形態まで付勢されており、ロック形態ではロックピンの少なくとも一部が下側レールのそれぞれのアパーチャに係合される。
【0008】
車両フロアに対する車両シートの位置を調整するためにロック組立体をそれらのアンロック形態まで移動させるため、解放部材(解放用のタオルバーまたはハンドルなど)が設けられ、この解放部材がそれぞれの接続部材に作用し、1つの接続部材が各々のロック組立体のためのものであり、上記接続部材がさらに、ロックピンをアンロック形態まで移動させるためにそれぞれのロック組立体のロックピンに作用し、アンロック形態ではロックピンがそれぞれの下側レールのアパーチャから外される。車両シートのための摺動デバイスのためのこのようなロック構成は、例えば、文献、米国特許出願公開第2003/006355号、米国特許第7980525号、および米国特許第6637712号に開示されている。
【0009】
しかし、上記の文献で開示される種類のロック構成は欠陥がないというわけではない。
このようなロック構成では、各ロック組立体が複数のロックピンを有する。
下側レールに対する上側レールの任意の位置において下側レールに対して上側レールをロックするのを可能にするために、上記ロックピンのサイズ、上記ロックピンの間の距離、下側レール内のアパーチャのサイズ、および上記アパーチャの間の距離が、少なくとも1つのロックピンを対応するアパーチャに常に位置合わせするように、選択され、その結果、この少なくとも1つのロックピンが上記アパーチャの中まで入って上記アパーチャの縁部に係合され得るようになる。
【0010】
一部の既知のロック構成では、上記ロックピンのサイズ、上記ロックピンの間の距離、下側レール内のアパーチャのサイズ、および上記アパーチャの間の距離が、少なくとも第1のロックピンを対応するアパーチャの中まで入れてその対応するアパーチャの縁部の前方側に係合させるように位置決めするように、および少なくとも第2のロックピンを対応する窓の中まで入れてその対応する窓の縁部の後方側に係合させるように位置決めするように、選択され、それにより「チャックレス」の係合が実現される。
【0011】
しかし、上記の結果を達成するために、既知のロック構成では、ロックピンが下側レール内のアパーチャに対してオフセットされて配置される必要があり、その結果、下側レールに対する上側レールの任意の位置において、少なくとも1つのロックピンがそれぞれの下側レールの対応するアパーチャの中に入らなくなる。反対に、このようなロックピンは、2つの隣接するアパーチャの間のウェブ部分のところで下側レールに当接され、ロック作用に一切寄与することがない。
【0012】
言い換えると、下側レールに対する上側レールの任意に位置において、およびロック組立体内に設けられるロックピンの任意の数において、全体のロック作用に対して上記ロックピンのうちの一部しか寄与しないので、ロック作用が最適化されない。
【0013】
また、上記の結果を達成するために、下側レールのアパーチャが、ロックピンの直径よりも大幅に大きい長さを有するような(例えば、ロックピンの直径の2倍)、細長いスロットとして作られる必要がある。
【0014】
ロックピンがそれらのアンロック形態からそれらのロック形態まで移動するとき、最初に第1のピンのみが下側レールのアパーチャに相対するようになり、そのばねにより上記アパーチャの中へと下方に付勢されることになる。しかし、アパーチャの長さがロックピンの直径より大きいことによりロックピンが上記アパーチャの縁部に到達するまではアパーチャの内部で自由に動くことができるので、この時点では、依然として前方および後方にいくらかの遊びが存在する。上記ピンがアパーチャの縁部に到達して初めて第2のピンが別のアパーチャに位置合わせされてそのばねにより上記アパーチャの中へと下方に付勢されてそれにより「チャックレス」の係合を実現する。
【0015】
言い換えると、既知のロック構成では、ロックピンが下側レール内のそれぞれのアパーチャの中まで同時に入ることがなく、したがってある種の中間的な形態が生じることになり、この中間的な形態ではロックピンがそれらのロック形態まで移動させられてはいるが車両シートと車両フロアとの間において前方または後方に遊びが依然として存在する。
【0016】
文献、DE102004003144が、下側レールおよび上側レールを備える、車両シートのための摺動デバイスを開示しており、この摺動デバイスが、下側レールに付随するロックバーと、上側レールに付随する3つのロックピンとを備えるロック構成を装備する。ロックバーが交互の短い窓および長い窓を有し、ここでは短い窓がロックピンの自由端の厚さより大きいがこのロックピンの標準的なセクションにおいてはこのロックピンの厚さより小さいサイズを有する。
【0017】
DE102004003144の教示によると、ロックピンのうちの1つのロックピンのみが遊びのないロック係合を担っており、つまり1つのロックピンがロックバーの短い窓と相互作用するが、他の2つのロックピンが隣接する1つの長い窓の中に係合されるかまたは短い窓の両側に位置する2つの長い窓の中に係合され、その結果、これらの他の2つのロックピンは自動車の通常運転時に摺動デバイスの実際のロッキングに介入しない。これらの他の2つのロックピンは、アクシデントに関連する状況においてロック構成を動かないようにすることのためにのみ、必要とされるものである。
【0018】
また、文献、米国特許第5596910号が、下側レールおよび上側レールを備える、車両シートのための摺動デバイスを開示しており、この摺動デバイスが、下側レールに付随するロックバーと、上側レールに付随する3つのロックピンとを備えるロック構成を装備する。米国特許第5596910号で開示される摺動デバイスでも、ロックバーが交互の短い窓および長い窓を有する。文献、特開2001−130291が、シートクッションおよびシートバックを備える車両シートを開示しており、ここでは、シートバックの下側部分が、車両ボディ側にある摺動レールによって長手方向に摺動可能に支持される接続部材に結合され;この接続部材が、前方ロックピンおよび後方ロックピンをそれぞれのロック孔の中に嵌め込むことにより摺動レールの任意の摺動位置に位置決めされる。これらのロックピンが、衝突の場合にシートバックに作用する曲げモーメントに耐えるのを可能にする。
【0019】
ロックピンが正確に位置決めされることおよびロックピンが対応するロック孔に正確に係合されることを保証するために、細いピンがさらに設けられ;この細いピンがそれぞれのロック孔に対してロックピンを位置合わせする機能を有し、この細いピンがシートバックに作用する荷重に耐えるのに一切寄与しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
したがって、本発明の主要な目的は、改善されたロック構成を装備する、車両シートのための摺動デバイスを提供することであり、ここではロック作用が最適化される。
より具体的には、本発明の目的は、上述の種類のロック構成を装備する、車両シートのための摺動デバイスを提供することであり、ここでは、ロック組立体のすべてのロックピンがロック作用に寄与し、一方で摺動デバイスの下側レールに対する上側レールの任意の位置においてロッキングを達成し得るのを保証する。
【0021】
本発明の別の目的は、上述の種類のロック構成を装備する、車両シートのための摺動デバイスを提供することであり、ここでは、ロック組立体のすべてのロックピンが下側レールのそれぞれのアパーチャの中まで同時にまたはほぼ同時に入る。
【0022】
本発明の別の目的は、サイズがコンパクトであり、制限される数の構成要素を有するロック構成を装備し、それによりロック構成の信頼性を向上させる、車両シートのための摺動デバイスを提供することである。
【0023】
これらのおよび他の目的が、添付の特許請求の範囲で特許請求される摺動デバイスによって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明は、車両フロアに取り付けられることを意図される下側レールと、車両シートに取り付けられて上記下側レールに摺動可能に設置されることを意図される上側レールとを各々が有する一対の平行なトラックを備える、車両シートのための摺動デバイスに関し、各下側レールが複数のアパーチャを備え、複数のアパーチャが上記下側レールの長手方向軸に沿って互いに位置合わせされて互いに等間隔に離間される。
【0025】
摺動デバイスが、上記下側レールに対する上記上側レールの移動を選択的に可能にする/防止するための、各トラックに付随するロック組立体を備えるロック構成をさらに備える。各ロック組立体がそれぞれの上側レールに接続され、それぞれの下側レールの対応するアパーチャの中まで入って上記アパーチャの縁部に係合するように構成される複数のロックピンを備え、上記ロックピンが例えばばね手段によりロック形態まで付勢されている。
【0026】
本発明によると、下側レールのアパーチャの断面が、ロックピンの断面と実質的に等しいサイズおよび形状を有し、隣接するロックピンの間の距離が、上記下側レールの2つの隣接するアパーチャの間の距離と等しいかまたは上記距離の複数倍に実質的に等しい。本文脈では、2つの隣接するロックピンの間の距離が、2つの隣接するロックピンの長手方向軸の間の距離であることを意図され、2つの隣接するアパーチャの間の距離が、2つの隣接するアパーチャの長手方向軸の間の距離であることを意図される(共に、それぞれの下側レールの長手方向軸の方向に沿って測定される)。
【0027】
本発明によると、下側レールのすべてのアパーチャが断面で見て実質的に等しいサイズおよび形状を有し、それに応じてすべてのロックピンが断面で見て実質的に等しいサイズおよび形状を有する。
【0028】
このような構成により、車両シートに作用する荷重(さらには、衝突の場合の非常に大きい荷重も)が、有利には、すべてのロックピンに実質的に一様に分散される。
好適には、ロックピンが円筒形ボディを有し、下側レール内のアパーチャが、ロックピンの直径に実質的に等しい直径を有する円形貫通孔として作られる。
【0029】
上記形態により、すべてのロックピンがそれぞれの下側レールの対応するアパーチャの中まで入ることができる。
さらに、すべてのロックピンは同時にまたはほぼ同時にそれぞれの下側レールの対応するアパーチャの中まで入る。
【0030】
これにより、車両シートに作用する荷重(さらには、衝突の場合の非常に大きい荷重も)が、有利には、すべてのロックピンに実質的に一様に分散されることが可能となる。
ロックピンがそれらのアンロック形態からそれらのロック形態まで変化するときに下側レールの対応するアパーチャに位置合わせされる場合、ロックピンが上記アパーチャの中まで容易に入ることができることは明らかである。
【0031】
ロックピンがそれらのアンロック形態からそれらのロック形態まで変化するときに下側レールのアパーチャに対してオフセットされている場合でも下側レールの対応するアパーチャの中までロックピンが入るのを可能にするために、本発明によると、少なくとも1つのロックピン(「マスターピン」)が円形先端部を装備し、それに対応して、下側レールの隣接するアパーチャを分離するウェブ部分が凸形プロフィールを有する(下側レールの長手方向軸の方向で見る)。
【0032】
好適には、上記マスターピンが球形先端部のところで終端する円錐台形先端部分を有する。
好適には、下側レールの上記アパーチャが面取りされた縁部を装備する。
【0033】
この形態により、ロックピンがそれらのアンロック形態からそれらのロック形態まで変化するときに下側レールの対応するアパーチャに対してオフセットされている場合、マスターピンの円形先端部が、下側レールの2つの隣接するアパーチャを分離するウェブ部分の凸形プロフィールに沿って摺動してこれらのアパーチャのうちの1つのアパーチャの方に向かい、その結果、マスターピンの円形先端部が上記アパーチャの中まで移動させられることになる。他のロックピン(「スレイブピン」)が、そのすぐ後に、マスターピンに追従し下側レールの対応するアパーチャの中まで入る。
【0034】
したがって、下側レールに対する上側レールの任意の位置において、ロック作用を最適化することが実現され得、ここでは、すべてのロックピンが、下側レールの対応するアパーチャの中まで同時にまたはほぼ同時に入るので、上記ロック作用に寄与することになる。
【0035】
このような「マスターピン」を設けることにより、それぞれのアパーチャに対してロックピンを位置合わせするための特別な手段の必要性を排除することが可能となる。
本発明の好適な実施形態で、それらのアンロック形態からそれらのロック形態まで変化するとき、マスターピンのストロークが他のロックピンのストロークより短く、その結果、マスターピンが他のロックピンよりも先にそれぞれの下側レールに相対することになる。
【0036】
本発明の別の好適な実施形態で、それらのアンロック形態からそれらのロック形態まで変化するとき、マスターピンが他のロックピンより迅速に移動し、その結果、マスターピンが他のロックピンより先にそれぞれの下側レールに相対することになる。
【0037】
本発明の代替的実施形態で、すべてのロックピンがそれぞれの下側レールに同時に相対する。このような代替的実施形態では、すべてのロックピンが円形先端部を有し、その結果、下側レールのそれぞれのウェブ部分の凸形プロフィールに沿って摺動することができるようになる。
【0038】
添付図を参照する非限定の例として与えられる本発明のいくつかの好適な実施形態の詳細な説明から、本発明のさらなる特徴および利点がより明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】本発明の第1の好適な実施形態による摺動デバイスを示す斜視図である。
図2】線II−IIに沿う図1の摺動デバイスを示す断面図である。
図3】第1のロック形態で示される図2の細部IIIを示す拡大図である。
図3a】線IIIA−IIIAに沿う図3の断面図である。
図4】第2のアンロック形態で示される図2の細部IIIを示す拡大図である。
図5図4の細部Vを示す拡大図である。
図6】本発明の第2の好適な実施形態による摺動デバイスを示す斜視図である。
図7】線VII−VIIに沿う図6の摺動デバイスを示す断面図である。
図8】第1のロック形態で示される図7の細部VIIIを示す拡大図である。
図9】第2のアンロック形態で示される図7の細部VIIIを示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1を参照すると、本発明の第1の実施形態による摺動デバイス110が示されている。
それ自体が既知である手法で、摺動デバイス110が一対の平行なトラック120a、120bを備え、各トラックが、車両フロアに取り付けられることを意図される下側レール130a、130bと、車両シートのフレームに取り付けられることを意図される上側レール140a、140bとを備える。
【0041】
各上側レール140a、140bがそれぞれの下側レール130a、130bに対して拘束されるが、上記下側レールに対して摺動することができる。
トラック120a、120bの下側レールに対する上側レールの摺動移動を選択的に可能にする/防止するために、ロック構成が設けられる。上記ロック構成が2つのロック組立体を備え、1つのロック組立体が各々のトラック120a、120bのためのものである。
【0042】
上記ロック組立体のうちの1つのロック組立体が図2図4に示される。他のロック組立体は図2図4に示されるロック組立体と等しいことを意図される。
示される実施形態では、各ロック組立体101a、101bが、それぞれの上側レール140a、140bに固着される(例えば、溶接されるおよび/または重ね合わされる)支持プレート103a、103bと、下側レールに対して上側レールをロックするためにおよび上記下側レールに対する上記上側レールの移動を一切防止するために、それぞれの上側レール140a、140b内に設けられる貫通孔142a、142bおよび支持プレート103a、103b内に設けられる窓を通過してそれぞれの下側レール130a、130b内に設けられるアパーチャの中まで入るように構成される1つまたは複数のロックピン105a、105b(示される実施形態では、3つ)と、を備える。
【0043】
各ロックピン105a、105bのボディの周りに巻き付けられてこれらのロックピンを下側レールの方へ下方に付勢する螺旋ばね107a、107bにより、上記ロックピン105a、105bの各々が、そのロック形態まで付勢される。
【0044】
車両フロアに対するシートの位置を調整するのを使用者が行うのを可能にするために、本発明による摺動デバイスのロック構成が、上記ロック形態からアンロック形態までロックピン105a、105bを移動させるための解放組立体をさらに備え、アンロック形態では、すべてのロックピンがそれぞれの下側レールのアパーチャから引き抜かれており、それにより上側レールが下側レールに対して摺動することが可能となる。
【0045】
概して、解放組立体が、解放部材109と、一対の接続部材111a、111bとを備え、1つの接続部材が各々のロック組立体101a、101bのためのものであり、各接続部材が一方において解放部材109に力伝達可能に接続され、他方でそれぞれのロック組立体のロックピン105a、105bに力伝達可能に接続される。
【0046】
示される実施形態で、解放部材が、中央グリップ部分109cと、2つの実質的に平行なアーム109a、109bとを備える「U」形の解放用のハンドルまたはタオルバー109として作られ、平行なアーム109a、109bの各々がそれぞれのトラック120a、120bの中まで入る。
【0047】
また、示される実施形態では、接続部材111a、111bの全体がそれぞれのトラック120a、120bの内側で受けられ、上記接続部材の各々がそれぞれのトラックの上側レールと下側レールとの間に配置される。
【0048】
図2で見ることができるように、示される実施形態では、各接続部材が、ロック組立体の支持プレート103a、103bの上方に配置されて上記支持プレートの後方端部から実質的に延在して上記支持プレートの前方端部を越えて突出するばねプレート111a、111bとして作られ、支持プレートがそれに対応して上記ばねプレートを通過させるためのチャンネルを装備する。
【0049】
ばねプレート111a、111bが、解放用のハンドル109のそれぞれのアーム109a、109bに係合されるための係合部分113a、113bと、それぞれのロック組立体101a、101bのロックピン105a、105bをそれらのロック形態からそれらのアンロック形態まで移動させるための駆動部分115a、115bと、それぞれのロック組立体101a、101bの支持プレート103a、103bに接続されるための接続部分117a、117bと、を備える。
【0050】
駆動部分115a、115bが、それぞれのロック組立体の支持プレート103a、103bの上方に配置されて窓119a、119bを装備する平坦なボディとして作られ、窓119a、119bが好適には上記支持プレート103a、103bの窓の上に重なり、その結果、ロックピン105a、105bが支持プレート103a、103bの窓およびばねプレート111a、111bの駆動部分115a、115bの窓119a、119bの両方を通って摺動することができるようになる。
【0051】
図3および図4でより良好に見ることができるように、ロックピン105a、105bがばねプレート111a、111bによって移動させられるのを可能にするために、これらのロックピンは横方向に突出するペグ121a、121bを装備する。好適には、各ロックピン105a、105bが、径方向の反対側に配置される2つの横方向に突出するペグ121a、121bを装備する。
【0052】
ばねプレートの駆動部分の窓119a、119bが、ロックピン105a、105bの直径より大きいが上記ロックピンの直径と横方向に突出するペグ121a、121bの長さとの合計より小さい幅を有するように、設計される。
【0053】
上記横方向に突出するペグ121a、121bがロックピン105a、105bのボディ上に配置され、その結果、横方向に突出するペグ121a、121bが、下側レール130a、130bのアパーチャ132a、132bの中に完全に挿入されるときにばねプレート111a、111bの駆動部分115a、115bに実質的に当接されることになる(図3を参照)。
【0054】
解放用のハンドル109が上方に引かれる場合、ばねプレート111a、111bが支持プレートとの接続箇所のところの枢動軸を中心として回転し(図2の矢印Fを参照されたい)、その結果としてばねプレートの駆動部分115a、115bが上方に移動し、ばね107a、107bの弾性抵抗に打ち勝つことによりロックピン105a、105bを持ち上げ、それにより下側レール130a、130bのアパーチャ132a、132bからロックピン105a、105bを外す(図4を参照)。
【0055】
図3aに明瞭に示されるように、本発明によると、ロック組立体のすべてのロックピン105a、105bが、それらのロック形態まで移動させられるとき、下側レール130、130bの対応するアパーチャ132a、132bの中まで入る。
【0056】
したがって、すべてのロックピン105a、105bがロック作用に寄与するので、有利には、ロック作用が最適化される。
上記の結果を得るために、ロックピン105a、105bが円筒形ボディを有し、アパーチャ132a、132bが、ロックピン105a、105bの直径Dと実質的に等しい直径Dを有する円形貫通孔として作られ、2つの隣接するロックピンの長手方向軸の間の距離dが下側レールの2つの隣接するアパーチャの長手方向軸の間の距離dと実質的に等しいかまたは上記距離の複数倍と等しい。
【0057】
図に示される好適な実施形態では、2つの隣接するロックピン105a、105bの長手方向軸の間の距離dが、下側レールの2つの隣接するアパーチャ132a、132bの長手方向軸の間の距離dと実質的に等しく、その結果、ロックピンが隣接するアパーチャの中まで入るようになる。
【0058】
下側レールに対する上側レールの任意の位置においてロックピン105a、105bが下側レールの対応するアパーチャ132a、132bの中まで入るのを保証するために、少なくとも1つのロックピン、すなわちマスターピン105a’、105b’が、円形先端部106a、106bを装備し;それに対応して、下側レールの隣接するアパーチャを分離するウェブ部分134a、134bが凸形プロフィール(下側レールの長手方向軸の方向で見て)を有する。好適には、上記マスターピン105a’、105b’が、球形先端部106a、106bのところで終端する円錐台形先端部分を装備する。
【0059】
加えて、上記下側レールの上記アパーチャ132a、132bが、好適には、図5でも明瞭に見ることができるように、面取りされた縁部136a、136bを装備する。
マスターピン105a’、105b’は、ロックピンをそれらのアンロック形態からそれらのロック形態まで移動させるときにそれぞれの下側レールに最初に相対するロックピンである。
【0060】
図4で明瞭に見ることができるように、示される実施形態では、ばねプレート111a、111bの構造および動作により、上記ロックピンがそれらのアンロック形態からそれらのロック形態まで移動させられるとき、最も後方のロックピンのストロークが他のロックピンのストロークより短くなる。
【0061】
したがって、上記最も後方のロックピンがマスターピン105a’、105b’として選択され、円形先端部106a、106bを有するように作られる。
本発明の示される実施形態による摺動デバイスのロック構成の動作は以下のように概説され得る。
【0062】
静止状態において、ばね107a、107bが、ロック組立体101a、101bのロックピン105a、105bを下側レール130a、130bのアパーチャ132a、132bの方に付勢し、すべての上記ロックピンがそれぞれの下側レールの対応するアパーチャの中まで入る。このようなロック形態では、上側レール140a、140bが下側レール130a、130bに対して摺動することができない(図3を参照)。
【0063】
使用者が車両フロアに対する車両シートの位置を調整することを望む場合、使用者が上記ハンドルの中央グリップ部分109cを上方に引くことにより解放用のハンドル109に力を加える。
【0064】
その結果、ばねプレート111a、111bがやはり上方に引かれ、支持プレート103a、103bとの接続箇所を中心として回転する(図2の矢印Fを参照されたい)。より具体的には、ばねプレートの駆動部分115a、115bが上方に移動し、窓119a、119bの縁部がロックピン105a、105bの横方向に突出するペグ121a、121bに係合される。ばね107a、107bの弾性抵抗に打ち勝つことにより、ばねプレートの駆動部分115a、115bがロックピン105a、105bを持ち上げ、その結果、ロックピン105a、105bが、それぞれの下側レール30a、30bのアパーチャ132a、132bから外されるようになるまで、上方に移動する(それぞれの上側レールのアパーチャ142a、142bによって誘導される)。このようなアンロック形態では、上側レール140a、140bが下側レール130a、130bに対して摺動することができ、車両シートの位置が調整され得る(図4を参照)。
【0065】
使用者が車両シートの新たな所望の位置を設定して解放用のハンドル109を解放するとき、ばね107a、107bがロックピン105a、105bをそれぞれの下側レール130a、130bのアパーチャの方に後方へと付勢する;
− 車両の上記の新たな位置つまり下側レール130a、130bに対する上側レール140a、140bの新たな位置において、ロックピン105a、105bが下側レールの対応するアパーチャ132a、132bに位置合わせされる場合、すべての上記ロックピンが容易に上記アパーチャの中まで入ることになる;
− 車両シートの上記の新たな位置において、ロックピン105a、105bが下側レールの対応するアパーチャ132a、132bに対してオフセットされる場合、最も後方の(マスターの)ロックピン105a’、105b’が2つの隣接するアパーチャを分離するウェブ部分134a、134bに最初に当接され、上記ロックピンの先端部106a、106bが上記ウェブ134a、134bの凸形プロフィールに沿って上記アパーチャのうちの1つのアパーチャの方に摺動することになり(そのばねの作用下で)、上記ロックピンが上記アパーチャの面取りされた縁部136a、136bに沿って上記アパーチャの中まで移動させられることになる;ロックピンのおよび下側レール内のアパーチャのサイズおよび構成により、他のロックピン(「スレイブピン」)が、マスターピンのすぐ後で、下側レールの対応する隣接のアパーチャ132a、132bの中まで入ることになる。
【0066】
したがって、車両シートの任意の選択される位置において、つまり下側レール130a、130bを基準とする上側レール140a、140bの任意の選択される位置において、すべてのロックピン105a、105bが下側レール130a、130bの対応するアパーチャ132a、132bの中までほぼ同時に入ることになり、それによりロック作用を最適化する。
【0067】
図6を参照すると、本発明の第2の実施形態による摺動デバイス210が示されている。
この実施形態では、やはり、摺動デバイス210が、車両フロアに取り付けられることを意図される下側レール230a、230bと、車両シートのフレームに取り付けられることを意図される上側レール240a、240bとを各々が備える一対の平行なトラック220a、220bを備え、各上側レール240a、240bがそれぞれの下側レール230a、230bに対して拘束されるが上記下側レールに対して摺動することができる。
【0068】
この実施形態では、やはり、1つのロック組立体が各々のトラック220a、220bのためのものであるような、2つのロック組立体を備えるロック構成が提供される。
上記ロック組立体のうちの1つのロック組立体が図7図9に示される。他のロック組立体が図7図9に示されるロック組立体と等しいことを意図される。
【0069】
各ロック組立体201a、201bは、下側レールに対して上側レールをロックするためにおよび上記下側レールに対する上記上側レールの移動を一切防止するために、それぞれの上側レール240a、240b内に設けられるアパーチャ242a、242bを通過するようにおよびそれぞれの下側レール230a、230b内に設けられるアパーチャの中まで入るように構成される複数のロックピン203a、203b(示される実施形態では、3つ)を備える。
【0070】
上で説明した実施形態と同様に、ロックピン203a、203bが、上記ロックピン203a、203bのボディに巻き付けられる螺旋ばね205a、205bによりそれらのロック形態まで付勢される。
【0071】
この実施形態では、やはり、摺動デバイスのロック構成が、上記ロック形態からアンロック形態までロックピン203a、203bを移動させるための解放組立体を備え、上記解放組立体が解放部材(図示せず)および一対の接続部材207a、207bを備え、1つの接続部材が各々のロック組立体201a、201bのためのものであり、各接続部材が一方において解放部材に力伝達可能に接続され、他方でそれぞれのロック組立体のロックピン203a、203bに力伝達可能に接続される。
【0072】
この実施形態では、接続部材207a、207bが実質的に直線の経路に沿って摺動するように、ならびにしたがって実質的に直線の経路に沿ってロックピン203a、203bを駆動してそれによりこれらのロックピンをそれらのロック形態からそれらのアンロック形態までおよびその逆で移動させるように、構成される。
【0073】
この目的のために、示される実施形態では、各接続部材207a、207bが、それぞれの上側レールおよび下側レールの間に配置されて窓211a、211bを装備する係合プレート209a、209bを備え、ロックピン203a、203bがこれらの窓211a、211bを通過するように構成される。
【0074】
係合プレート209a、209bによりロックピン203a、203bを移動させるのを可能にするために、これらのロックピンが、横方向に突出するペグ213a、213bを装備する。好適には、各ロックピン203a、203bが、径方向の反対側に配置される2つの横方向に突出するペグ213a、213bを装備する。
【0075】
上記横方向に突出するペグ213a、213bがロックピン203a、203bのボディ上に配置され、その結果、横方向に突出するペグ213a、213bが、上記ロックピンが下側レール230a、230bのアパーチャ232a、232bの中に完全に挿入されるときに係合プレート209a、209bに実質的に当接されることになる(ロック形態)。
【0076】
それに応じて、係合プレートの窓211a、211bが、ロックピン203a、203bの直径より大きいが上記ロックピンの直径と横方向に突出するペグ213a、213bの長さとの合計より小さい幅を有するように、設計され、その結果、この窓の縁部が横方向に突出するペグ213a、213bに係合され得、下側レール230a、230bのアパーチャ232a、232bから外されるようになるまでロックピン203a、203bを持ち上げることができる。
【0077】
接続部材207a、207bに高い剛性を与えるために、各接続部材が、第2のプレート、つまり、それぞれの上側レールの上方でそれぞれのトラックの外側に配置される持ち上げプレート215a、215bをさらに備え、持ち上げプレート215a、215bが係合プレート209a、209bに実質的に平行であり、上側レール240a、240b内に設けられる貫通孔244a、244bを通過する接続スタッド217a、217bにより上記係合プレートに接続される。
【0078】
各接続部材207a、207bが、解放部材に接続するための接続要素219a、219bをさらに有し、この接続要素が、Bowdenケーブルなどの、ワイヤまたはケーブル219a、219bとして好適には作られる。
【0079】
接続部材207a、207bの剛性をさらに向上させるために、ブラケット221a、221bが摺動デバイスの各トラックの上側レール240a、240bに固定的に固着され、ケーブル219a、219bが、上記固定されるブラケット221a、221b内に設けられる開口部223a、223bを通過する。
【0080】
ケーブル219a、219bが上方に引かれるとき、係合プレート209a、209bが上方に移動し、ばね205a、205bの弾性抵抗に打ち勝つことにより、ロックピン203a、203bを持ち上げ、それにより下側レール230a、230bのアパーチャ232a、232bから外す(図9を参照)。
【0081】
この実施形態では、やはり、ロックピン203a、203bが円筒形ボディを有し、アパーチャ232a、232bが、ロックピン203a、203bの直径Dと実質的に等しい直径Dを有する円形貫通孔として作られ、2つの隣接するロックピンの長手方向軸の間の距離dが下側レールの2つの隣接するアパーチャの長手方向軸の間の距離dと実質的に等しく、その結果、ロック組立体のすべてのロックピン203a、203bが、それらのロック形態まで移動させられるとき、下側レール230a、230bの対応する隣接のアパーチャ232a、232bの中まで入る。
【0082】
下側レールを基準とする上側レールの任意の位置において、ロックピン203a、203bが下側レールの対応するアパーチャ232a、232bの中まで入るのを保証するために、少なくとも1つのロックピンすなわちマスターピン203a’、203b’が円形先端部204a、204bを装備し;それに応じて、下側レールの隣接するアパーチャを分離するウェブ部分234a、234bが凸形プロフィール(下側レールの長手方向軸の方向で見て)を有し、上記アパーチャ232a、232bが好適には面取りされた縁部236a、236bを装備する。
【0083】
マスターピン203a’、203b’は、ロックピンをそれらのアンロック形態からそれらのロック形態まで移動させるときにそれぞれの下側レールに最初に相対するロックピンである。この実施形態では、すべてのロックピンのストロークが等しいので、マスターピン203a’、203b’が、例えば、他のロックピンのばねより強いばねを用いて付勢されることにより、他のロックピンよりわずかに迅速に移動させられるように作られている。
【0084】
本発明による摺動デバイスのロック構成の動作が以下のように概説され得る。
特に図8を参照すると、静止状態において、ばね205a、205bが、ロック組立体201a、201bのロックピン203a、203bを下側レール30a、30bのアパーチャ232a、232bの方へ付勢する。このようなロック形態では、上側レール240a、240bが下側レール30a、30bに対して摺動することができない。
【0085】
使用者が車両フロアに対する車両シートの位置を調整することを望む場合、使用者が解放部材に力を加え、それにより接続部材207a、207bのケーブル219a、219bを引く。その結果、図9に示されるように、接続部材207a、207bの係合プレート209a、209bが上方に引かれ(図7の矢印Fを参照されたい)、ばね205a、205bの弾性抵抗に打ち勝つことにより、それぞれの下側レール230a、230bのアパーチャ232a、232bから外されるまで上記ロックピン203a、203bを持ち上げる。
【0086】
このようなアンロック形態では、上側レール240a、240bが下側レール230a、230bに対して摺動することができ、車両シートの位置が調整され得る。
使用者が車両シートの新たな所望の位置を設定して解放部材を解放するとき、ばね205a、205bがロックピン203a、203bをそれぞれの下側レール230a、230bのアパーチャの方に後方へと付勢する;
− 車両シートの上記の新たな位置において、ロックピン203a、203bが下側レールの対応するアパーチャ232a、232bに位置合わせされる場合、すべての上記ロックピンが容易に上記アパーチャの中まで入ることになる;
− 車両シートの上記の新たな位置において、ロックピン203a、203bが下側レールの対応するアパーチャ232a、232bに対してオフセットされる場合、マスターのロックピン203a’、203b’(他のロックピンより迅速に移動する)が2つの隣接するアパーチャを分離するウェブ部分234a、234bに最初に当接され、上記ロックピンの先端部204a、204bが上記ウェブ234a、234bの凸形プロフィールに沿って上記アパーチャのうちの1つのアパーチャの方に摺動することになり(そのばねの作用下で)、上記ロックピンが上記アパーチャの面取りされた縁部236a、236bに沿って上記アパーチャの中まで移動させられることになる;ロックピンのおよび下側レール内のアパーチャのサイズおよび構成により、他のロックピン(「スレイブピン」)が、マスターピンのすぐ後で、下側レールの対応する隣接のアパーチャ232a、232bの中まで入ることになる。
【0087】
したがって、車両シートの任意の選択される位置において、すべてのロックピン203a、203bが下側レール230a、230bの対応するアパーチャ232a、232bの中までほぼ同時に入ることになり、それによりロック作用を最適化する。
【0088】
別の代替的実施形態が考えられ得、ここでは、すべてのロックピンのストロークが等しく、すべてのロックピンが等しい速度で移動する。
このような実施形態では、すべてのロックピンが円形先端部を装備する。したがって、ロックピンが、それらのアンロック形態からそれらのロック形態まで移動させられるときに下側レールの対応するアパーチャに対してオフセットされる場合、ロックピンがそれぞれの下側レールの対応するウェブ部分に同時に当接されることになり、それらの円形先端部が上記ウェブ部分の凸形プロフィールに沿って摺動することになり、その結果、ロックピンが上記下側レールのそれぞれのアパーチャの中まで同時に移動させられることになる。
【0089】
本発明の好適な実施形態の上記の説明は単に例として与えられるものであり、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、当業者の理解可能な範囲内にある複数の変形形態および修正形態が考えられる。
【0090】
より具体的に言うと、示される実施形態では3つのロックピンが提供されるが、ロック組立体は異なる数のロックピンを有してもよく、つまりより多い数のロックピンを有してもよい(例えば、4つ)。より多くの数のロックピンを備えるロック組立体は、大きい荷重を伴うような用途に特に適する。
図1
図2
図3
図3a
図4
図5
図6
図7
図8
図9