(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載される据付け金具は、一方の端部に形成した切り欠き部分の内側にアジャスターのボルトを配置させて取り付け、他方の端部をアンカーボルトを介して設置面に固定することで、前記アジャスターのボルトの移動を抑制するように設けている。このような据付け金具は、前記アジャスターのボルトのような物品の支脚部材へ容易に取り付けて利用できるが、前記切り欠き部分の開口する方向へ移動するような力が物品にかかったときには、支脚部材が切り欠き部分の内側を通過して移動し、前記支脚部材が据付け金具から外れてしまうという問題が生じる恐れがあった。
【0006】
本発明は、物品の支脚部材へ容易に取り付け可能であり、使用中に外れにくい固定金具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は以下のような構成としている。
即ち、本発明に係る固定金具は、設置面に載置される物品の支脚の移動を規制する固定金具であって、該固定金具は、第一金具と、第二金具を備えており、前記第一金具は、前記設置面に固定される固定部と、前記支脚に取り付けられる第一取付部とを備え、前記固定部にはボルト孔が設けられて、該ボルト孔に貫通させたアンカーボルトを介して設置面へ固定されるように設けられ、前記第一取付部には側方へ開口する切り欠き形状の挿入部が形成されており、前記第二金具は閉口部を備え、前記第一金具に取り付けられた第二金具の前記閉口部が前記挿入部の開口部分を塞ぐように設けられており、前記第一金具は、前記第二金具が取り付けられていない状態において、設置面に載置された支脚が、前記挿入部の開口部分を通過して前記挿入部の内側に配置可能となされ、前記第二金具が取り付けられた状態において、前記挿入部の開口部分が前記閉口部に塞がれ、前記挿入部の内側へ配置された前記支脚が、前記開口部を通過不能となされ、前記第二金具は第一金具へ係合する係合部を備え、該係合部の係合により、前記第一金具の挿入部の開口部分を塞ぐ前記第二金具の閉口部の移動が規制され、前記第一金具へ取り付けられた第二金具の前記係合部が、第一金具の挿入部の縁へ係合するように形成されていることを特徴とするとしている
。
【0008】
本発明に係る固定金具によれば、第一金具が、設置面に固定させる固定部と、支脚へ取り付ける第一取付部とを備え、前記固定部にボルト孔を設け、このボルト孔に貫通させたアンカーボルトを介して設置面へ固定するので、支脚へ前記第一取付部を取り付けた第一金具を設置面へ確実に固定することができる。
また、前記第一取付部に側方へ開口する切り欠き形状の挿入部を形成させ、設置面に載置させた支脚を前記挿入部の開口部分を通過させて前記挿入部の内側に配置できるので、支脚を設置面へ載置させた状態のまま支脚を挿入部の内側へ配置させて、第一金具の第一取付部を前記支脚へ容易に取り付けることができる。
また、第二金具に閉口部を形成し、前記第一金具に取り付けた第二金具の前記閉口部が前記挿入部の開口部分を塞ぐように設けて、前記第二金具が取り付けられた状態において、前記第一金具の挿入部の内側へ配置させた支脚の前記開口部の通過を不能とするので、前記支脚が第一金具から外れるような問題が生じにくく、物品の移動を継続的に規制できる。
【0009】
また、前記第二金具に貫通孔を形成し、この貫通孔に前記第一金具の前記ボルト孔を貫通するアンカーボルトを貫通させて、このアンカーボルトを介して前記第二金具を前記第一金具へ取り付けるように設け
てもよく、第一金具への第二金具の着脱の方法を考慮することなく、感覚的に利用できるので、好ましい。
【0010】
また、前記第二金具を前記第一金具の上方に配置させて取り付け、前記第一金具の前記第一取付部の上方で前記挿入部の開口縁付近の各端部にまたがるように前記第二金具の前記閉口部を配置させ
てもよく、第一金具への第二金具の着脱が容易に実施できるので、好ましい。
【0011】
また、前記第一金具および第二金具の少なくとも一方の取付金具に、他方の取付金具へ係合する係合部を設けて、この係合部の係合により、前記第一金具の挿入部の開口部分を塞ぐ前記第二金具の閉口部の移動を規制すれば、前記挿入部の開口部分がより確実に第二金具の閉口部で塞がれ、挿入部の内側に配置させた支脚が第一金具からより外れにくくなされるので、好ましい。
【0012】
また、前記係合部を前記第二金具に形成し、前記第一金具へ取り付けた第二金具の前記係合部が、第一金具の挿入部の縁へ係合するように形成すれば、前記第二金具の閉口部の移動をより確実に規制できるので、挿入部の内側に配置させた支脚が第一金具からより外れにくくなされるので、好ましい。
【0013】
また、前記第二金具に前記支脚へ取り付ける第二取付部を備えさせ、
前記第二取付部に側方へ開口する切り欠き形状の挿入部を形成させて、
第二金具が前記第一金具へ取り付けられていない状態において、設置面に載置された支脚を、前記第二金具の挿入部の開口部分を通過させて該挿入部の内側に配置可能にすれば、支脚を設置面へ載置させた状態のまま支脚を前記第二金具の挿入部の内側へ配置させて、第二金具の第二取付部を前記支脚へ容易に取り付けることができる。
また、前記第一金具に閉口部を備えさせ、前記第一金具に取り付けた第二金具の前記挿入部の開口部分を前記第一金具の閉口部が塞ぐように設けて、前記第二金具を第一金具へ取り付けた状態において、前記第二金具の挿入部の開口部分を前記第一金具の閉口部が塞ぎ、前記第二金具の挿入部の内側へ配置させた前記支脚の、前記第二金具の開口部を通過を不能とすれば、前記支脚が第二金具から外れるような問題が生じにくく、物品の移動を継続的に規制できるので、好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る固定金具によれば、支脚の移動を規制する固定部材をこの支脚へ容易に取り付けできると共に、使用中に支脚から固定金具が外れるような問題が生じにくい。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施の形態を図に基づき具体的に説
する。
図1は、本発明に係る固定金具3の実施の一形態を示す斜視図である。
図1は2個の固定金具3を物品9の支脚91へ取り付けた状態を示している。
図2は
図1の固定金具3付近を拡大した図である。
図1に示す物品9は、下部に支脚91を4個備えており、各支脚91は、雄ねじからなる柱部92と、この柱部92の下部に接続して設置面に載置される台部93とをそれぞれ備えている。
台部93は、柱部92よりも径大な略円錐台形状に形成させている。
【0017】
図1の支脚91のうち、2個の支脚91に固定金具3を取り付けており、各固定金具3は、一方の端部を支脚91の柱部92へ取り付け、他方の端部を設置面へ固定させている。
前記固定金具3は、第一金具1と第二金具2とを備えており、第一金具1の上に第二金具2を重ねて、支脚91へ取り付けている。
【0018】
図3は
図1の固定金具3の第一金具1を示す、(イ)は平面図であり、(ロ)は正面図である。
図3に示す第一金具1は、物品9の支脚91へ取り付ける第一取付部11と、設置面へ固定する固定部18とを備えている。
前記第一金具1は金属板を曲げ加工して形成させており、矩形平板形状に形成した前記固定部18と、この固定部18の端から上方へ向けて延設させた矩形平板形状の中間部10と、この中間部10の上側の端から前記固定部18と平行方向へ延設させた矩形平板形状の第一取付部11とを設けている。
前記中間部10は、前記固定部18と第一取付部11とに対して斜め方向へ向くように形成している。
以降の説明では、上下方向に対して垂直な水平方向において、第一金具1の、固定部18、中間部10、及び第一取付部11が並ぶ方向を長手方向とし、長手方向に対して垂直な方向を幅方向とする。
【0019】
図3において、水平方向に配置される前記固定部18には、上下に貫通する円形のボルト孔18aを形成している。
前記第一金具1は、設置面へ埋設固定させて上方へ突出するアンカーボルトBを前記ボルト孔18aへ挿通させ、このアンカーボルトBを介して前記固定部18を設置面へ固定させるように設けている。
【0020】
前記第一取付部11には、略矩形の切り欠き形状に設けた挿入部12を形成させている。具体的には、挿入部12は第一取付部11の端から内側へ向かって切り欠かれたような形状に形成させており、第一取付部11の端には挿入部12の開口12aが形成されている。また、挿入部12の最奥12bは半円状に形成させている。
即ち、矩形平板形状の前記第一取付部11は、側方に開口12aが開口する挿入部12を内側に備える、平面視の形状を略コの字形状に形成している。
上記の側方とは、上下方向に対して垂直な水平方向と、この水平方向に対して若干の角度を有する斜め方向とを含めた方向を意味している。
尚、
図3の第一金具1は、第一取付部11の長手方向の端部に前記開口12aを、配置させて挿入部12を形成している。
【0021】
図4は、
図1の固定金具3の第二金具2の実施の一形態を示す、(イ)は平面図であり、(ロ)は正面図である。
図4に示す第二金具2は金属板を曲げ加工して形成させており、矩形平板形状に形成した当接部28と、この当接部28の端から上方へ向けて延設させた矩形平板形状の中間部20と、この中間部20の上側の端から前記当接部28と平行方向へ延設させた矩形平板形状の第二取付部21とを設けている。
前記中間部20は、前記当接部28と第二取付部21とに対して斜め方向へ向くように形成しており、具体的には、前記第一金具1の中間部10に対応する傾斜角度と大きさに形成させている。
即ち、
図4の第二金具2は、
図3の第一金具1の上に重置させたときに、前記当接部28の下面が前記固定部18の上面に当接すると共に、前記第二取付部21の下面が前記第一取付部11の上面に当接するように形成させている。
以降の説明では、上下方向に対して垂直な水平方向において、第二金具2の、当接部28、中間部20、及び第二取付部21が並ぶ方向を長手方向とし、長手方向に対して垂直な方向を幅方向とする。
【0022】
前記当接部28には、上下に貫通する貫通孔28aを形成している。貫通孔28aは、長手方向へ長い長孔形状に形成させている。
貫通孔28aは、前記第一金具の固定部18に形成させたボルト孔18aに対応する位置に形成させており、第二金具2を第一金具1の上に重置させたときに、前記貫通孔28aがボルト孔18aの真上に配置されるように設けている。
前記第二金具2は、前記第一金具1のボルト孔18aに挿通させた前記アンカーボルトBを前記貫通孔28aへ挿通させて、第一金具1の上方へ取り付けるように設けている。
【0023】
前記第二取付部21には、略矩形の切り欠き形状に設けた挿入部22を形成させている。具体的には、挿入部22は第二取付部21の端から内側へ向かって切り欠かれたような形状に形成させており、第二取付部21の端には挿入部22の開口22aが形成されている。
即ち、矩形平板形状の前記第二取付部21は、側方に開口22aが開口する挿入部12を内側に備える、平面視の形状を略コの字形状に形成している。
【0024】
前記第二金具2は、前記第一金具1の挿入部12に対応する位置に挿入部22を形成すると共に、第一金具1の開口12aに対応する位置とは異なる場所に挿入部22の開口22aを配置させて形成している。換言すると、第二金具2を第一金具1の上に重ねて取り付けたときに、第二取付部21の少なくとも一部が挿入部12の開口12aの真上に配置される共に、挿入部22の開口22aと挿入部12の開口12aとが重ならないように形成している。
即ち、第二金具2を第一金具1の上に重ねて取り付けたときに、平面視において、第一取付部11の挿入部12の開口12aが第二取付部21によって塞がれ、第二取付部21の挿入部22の開口22aが第一取付部11によって塞がれるように設けている。
図3の第一金具1が、挿入部12の開口12aを第一取付部11の長手方向の端部に配置させているのに対応させ、
図4の第二金具2は、挿入部22の開口22aを第二取付部21の幅方向の端部に形成している。
【0025】
図4の第二金具2は、第二取付部21に係合部24を形成している。
係合部24は第二取付部21の下面から下方へ突出する円柱形状の突起である。
係合部24は、前記第一金具1の挿入部12に対応する位置に形成させており、具体的には、第二金具2を第一金具1の上に重ねて取り付けたときに、係合部24が挿入部12の内側に配置されるように設けており、詳細には、係合部24が挿入部12が形成された第一取付部の内側の縁付近に配置されるように設けている。
第二金具2の第二取付部21の上面には、係合部24の真上の位置に、係合部24に対応する大きさの円形に窪む凹部24aを形成している。
【0026】
固定金具3の支脚91への取り付けについて説明する。
図5は、固定金具3を取り付ける前の
図1の支脚91の状態を示す斜視図であり、
図6は
図5の支脚91に
図4の第一金具1を取り付けた状態を示す図であり、
図7は、
図6の第一金具1と支脚91を長手方向側から示す図である。
図5に示すように、支脚91は、下部の台部93を設置面に載置させている。
また、この設置面にはあらかじめアンカーボルトBを埋設固定させて、その雄ねじ部分を上方へ突出させて設けている。
【0027】
この支脚91へ固定金具3を取り付けるとき、最初に
図3の第一金具1を取り付ける。
第一金具1は、長手方向の端部に設けた開口12aから挿入部12の内側へ柱部92を挿入させて、第一取付部11を支脚91へ取り付ける。
その後、固定部18のボルト孔18aへ前記アンカーボルトBの雄ねじ部分を挿入させ、
図6に示すように、第一金具1を支脚91を取り付ける。
【0028】
支脚91へ第一金具1を取り付けた後、第二金具2を取り付ける。
第二金具2は、幅方向の端部に設けた開口22aから挿入部22の内側へ柱部92を挿入させて、第二取付部21を支脚91へ取り付ける。
その後、当接部28の貫通孔28aへ前記アンカーボルトBの雄ねじ部分を挿入させて、前記第一金具1の上に第二金具2を取り付ける。
図8は、
図6の第一金具1へ
図4の第二金具を取り付けた状態を示す図である。
最後に、前記第一金具1のボルト孔18aと、第二金具2の貫通孔28aとに挿通させたアンカーボルトBの雄ねじ部分にナットNを螺結させることで、
図2に示すように、前記第一金具1及び第二金具2からなる固定金具3が設置面に固定されて、支脚91の移動を規制する。
尚、
図6〜8に示す固定金具3の取付方法は、設置面にあらかじめアンカーボルトBを埋設固定していたが、第一金具1の第一取付部11と第二金具2の第二取付部21とを支脚91へ取り付けた後、ボルト孔18aと貫通孔28aとが重なる位置にアンカーボルトBを埋設固定させてもよい。
【0029】
図9は
図2の第一金具1と第二金具2を示す図であり、(イ)は平面側から示す
図2のA−A断面図であり、(ロ)は正面図であり、
図10は
図9の側面図である。
図9(イ)は、支脚91の台部93や、ナットNの図示を省略して図面を簡略化している。
固定金具3を支脚91へ取り付けた状態において、第一金具1の第一取付部11に形成した挿入部12の開口12aの上方には、第二金具2の第二取付部21が配置されている。具体的には、
図10に示すように、前記固定金具3は、前記開口12aの上方に位置する第二取付部21の下面が、前記挿入部12の幅方向両側に位置する第一取付部11の上方に至ってその上面にそれぞれ当接している。換言すると、前記第二取付部21の一部が前記開口12aの上方で、その両脇の第一取付部11に架け渡されるように配置されている。
このように設けることで、前記開口12aの上方に配置された第二取付部21の部位が、第一金具1の挿入部12の開口12aを塞ぐ閉口部21aとして機能し、支脚91の移動を規制する。即ち、第二金具2の閉口部21aで第一金具1の挿入部12の開口12aを塞ぐことで、
図9に示すように、挿入部12の内側へ配置させた柱部92が開口12aを通過することを防ぎ、支脚91の固定金具3からの脱離を防止している。
【0030】
また、固定金具3を支脚91へ取り付けた状態において、第二金具2の第二取付部21に形成した挿入部22の開口22aの下方には、第一金具1の第一取付部11が配置されている。具体的には、
図9に示すように、前記固定金具3は、前記開口22aの下方に位置する第一取付部11の上面が、前記挿入部22の長手方向両側に位置する第二取付部21の下方に至ってその下面にそれぞれ当接している。換言すると、前記第一取付部11の一部が前記開口22aの下方で、その両脇の第二取付部21に架け渡されるように配置されている。
このように設けることで、前記開口22aの下方に配置された第一取付部11の部位が、第二金具2の挿入部22の開口22aを塞ぐ閉口部11aとして機能し、支脚91の移動を規制する。即ち、第一金具1の閉口部11aで第二金具2の挿入部22の開口12aを塞ぐことで、挿入部22の内側へ配置させた柱部92が開口22aを通過することを防ぎ、支脚91の固定金具3からの脱離を防止している。
【0031】
尚、上記の閉口部21aで挿入部12の開口12aを塞ぐということは、平面視において閉口部21aを開口12aに対応する位置に配置させて、挿入部12内の支脚91を脱離不能状態とすることを意味し、
図10に示すように、閉口部21aの上下方向の位置が開口12aと一致しなくてもよい。
同様に、上記の閉口部11aで挿入部22の開口22aを塞ぐということは、平面視において閉口部11aを開口22aに対応する位置に配置させて、挿入部22内の支脚91を脱離不能状態とすることを意味する。
【0032】
固定金具3を支脚91へ取り付けた状態において、第二金具2の第二取付部21の下面に形成した前記係合部24は第一金具1へ係合する。具体的には、前記係合部24は第二取付部21の閉口部21aに形成しており、第二金具2を第一金具1へ取り付けたときに、
図10に示すように、係合部24が前記第一金具1の挿入部11の内側に収納されて係合状態となるように形成させている。詳細には、係合部24は、前記係合状態となったときに、挿入部11の縁を構成する第一取付部11の内側縁部11c付近に配置されるように設けている。
【0033】
上記のように、第二金具2に設けた係合部24を第一金具1へ係合させることで、第一金具1の上に重ねて配置させた第二金具2が、第一金具1の上方で移動し、開口12aの上から閉口部21aが除かれて、第一取付部11を取り付けた支脚91が挿入部11の内側から脱離可能な状態になることを抑制している。
例えば、
図9(イ)において、固定金具3が振動などの外力を受け、第二金具2が第一金具1の上面を滑るようにして位置ずれして、貫通孔28aへ挿通されたアンカーボルトBを軸として前記第二金具2が右回りに移動するとき、挿入部11の内側に収納されて係合状態となされた係合部24が挿入部11の縁を構成する第一取付部11の内側縁部11cに当接して、第二金具2の移動を防止する。
これにより、第一金具1の開口12aを塞ぐ第二金具2の閉口部21aの移動を抑制し、第一取付部11を取り付けた支脚91が挿入部12の内側から脱離可能な状態となることを防いでいる。
【0034】
尚、
図9(イ)において、アンカーボルトBを軸とする第二金具2の左回りの移動は、挿入部22が形成された第二取付部21の内側の縁部分が支脚91に当接して防止されるので、特別の対応を行う必要はない。
更に、固定金具3の第一金具1は、ボルト孔18aにアンカーボルトBが挿入されると共に、挿入部12の内側に支脚91の柱部92が配置されている状態においては、挿入部12が形成された第一取付部11の内側の縁部分が支脚91に当接してアンカーボルトBを軸とする第一金具1の回転が防止されるので、幅方向への大きな移動が不可能な状態となされている。
【0035】
前記固定金具3は、第二金具2の貫通孔28aを長手方向に長い長孔形状にすると共に、挿入部22の長手方向の大きさを支脚91の柱部92の直径よりも大きく形成することで、支脚91とアンカーボルトBとの間隔が若干変動した場合でも固定金具3を取り付け可能に設けている。
換言すると、前記固定金具3は、支脚91の位置やアンカーボルトBの埋設位置に若干の誤差が生じた場合でも、取り付け可能に設けている。
【0036】
図11は、支脚91へ取り付けた固定金具3の第一金具1と第二金具2を示す図であり、(イ)は平面側から示す断面図であり、(ロ)は正面図である。
図11に示す支脚91とアンカーボルトBは、
図9に示す支脚91とアンカーボルトBよりも、若干大きな間隔をあけて配置されている。
図9に示す固定金具3は、アンカーボルトBを第二金具2の貫通孔28aの長手方向内側の端部付近に配置させると共に、支脚91の柱部92を挿入部22の長手方向内側の端部付近に配置させている。
これに対し、
図11に示す固定金具3は、アンカーボルトBを第二金具2の貫通孔28aの長手方向外側の端部付近に配置させると共に、支脚91の柱部92を挿入部22の長手方向外側の端部付近に配置させている。
このように、アンカーボルトBを貫通孔28aの内側で長手方向の配置を調整させ、更に支脚91の柱部92を挿入部22の内側で長手方向の配置を調整することで、支脚91とアンカーボルトBとの間隔の大きさに誤差が生じた場合でも固定金具3を取り付けることができる。
【0037】
前記固定金具3は、挿入部12、及び挿入部22の内側に配置させた支脚91を、第一取付部11、及び第二取付部21から脱離不能に設けることで、支脚91の移動を効果的に規制できる。これにより、物品の据え付けのために利用していた固定金具の個数を減らすことができる。
例えば、
図4の第二金具2を用いず、
図6に示すように支脚91へ第一金具1のみを取り付けた状態でアンカーボルトBへナットNを螺結させた場合には、第一金具1の第一取付部11によって、支脚91の幅方向への移動を規制することができるが、長手方向外側への移動は遮ることができず、規制できない。このため、
図1に示すような物品9を据え付ける場合には、4個の支脚91の全てに第一金具1を取り付けるなど、多数の金具を用いる必要があるが、第一金具1と第二金具2とからなる前記固定金具3であれば、4個の支脚91のうち、2個程度の支脚91に固定金具3を取り付けることで、物品9の移動を十分規制できる。
【0038】
また、
図2に示すように、前記固定金具3を取り付けた柱部92の下方に、挿入部12、及び挿入部22よりも大きな台部93が存在するときには、固定金具3は支脚91の水平方向への移動を規制すると共に支脚91の上方への移動も効果的に規制できる。即ち、固定金具3を支脚91へ取り付けて設置面へ固定することで、物品9の転倒も効果的に抑制できる。
【0039】
図1〜11に示す固定金具3は、第一金具1を設置面に固定させるためのアンカーボルトB及びナットNによって、前記第二金具2を前記第一金具1へ取り付けている。
これにより、前記第二金具2を前記第一金具1へ取り付けるためのネジやピンなどを特別に用意することなく、第二金具2を容易に第一金具1へ取り付けることができる。
【0040】
図12は、本発明に係る固定金具3の実施の他の一形態を示す、(イ)は平面図であり、(ロ)は正面図であり、
図13は
図12の固定金具3の第一金具1を示す、(イ)は平面図であり、(ロ)は正面図であり、
図14は
図12の固定金具3の第二金具2を示す、(イ)は平面図であり、(ロ)は正面図である。
本実施形態の固定金具3は、第一金具1に形成する挿入部12の開口12aの配置や、第二金具2に挿入部22を形成させていないことや、第一金具1と第二金具2とを係合する係合部を第二金具2ではなく第一金具1に形成していることが、
図1〜11に示す固定金具3と異なる主な事項である。
本実施形態の固定金具3は、
図1〜11に示す固定金具3と同様に、第一金具1の上に第二金具2を重ねて、一方の端部を物品9の支脚91の柱部92へ取り付け、他方の端部を設置面へ固定させるように設けている。
【0041】
図13に示す第一金具1は、
図3に示す第一金具1と同様に、物品9の支脚91へ取り付ける第一取付部11と、設置面へ固定する固定部18とを備え、矩形平板形状に形成した前記固定部18と、この固定部18の端から上方へ向けて延設させた矩形平板形状の中間部10と、この中間部10の上側の端から前記固定部18と平行方向へ延設させた矩形平板形状の第一取付部11とを設けている。
前記固定部18には、上下に貫通する円形のボルト孔18aを形成しており、設置面へ埋設固定させて上方へ突出するアンカーボルトBを前記ボルト孔18aへ挿通させ、このアンカーボルトBを介して前記固定部18を設置面へ固定させるように設けている。
【0042】
前記第一金具1の第一取付部11には、端から内側へ向かう略矩形の切り欠き形状に設けた挿入部12を形成させており、前記第一取付部11は、平面視の形状を略コの字形状に形成している。
図13の第一金具1は、第一取付部11の幅方向の端部に開口12aを配置させて、挿入部12を形成している。
【0043】
図14の第二金具2は、
図4に示す第二金具2と同様に、矩形平板形状に形成した当接部28と、この当接部28の端から上方へ向けて延設させた矩形平板形状の中間部20とを備えている。
前記中間部20は、前記第一金具1の中間部10に対応する傾斜角度と大きさに形成させている。
前記当接部28には、長手方向へ長い長孔形状の貫通孔28aを形成させており、この貫通孔28aは、第二金具2を第一金具1の上に重置させたときに、前記貫通孔28aがボルト孔18aの真上に配置されるように設けている。
前記第二金具2は、前記第一金具1のボルト孔18aに挿通させた前記アンカーボルトBを前記貫通孔28aへ挿通させて、第一金具1の上方へ取り付けるように設けている。
【0044】
図14の第二金具2は、前記中間部20の上側の端から前記当接部28と平行方向へ延設させた平板形状の遮断部25を設けている。
遮断部25は、幅方向の大きさを前記中間部20と等しく設けて前記中間部20から長手方向へ延設させる元部25cと、この元部25cより幅方向の大きさを小さく設けて元部25cから長手方向へ延設させる先部25bを備える、平面視の形状を略L字状に形成している。
図14の第二金具2は、
図13の第一金具1の上に重置させたときに、前記当接部28の下面が前記固定部18の上面に当接すると共に、前記遮断部25の下面が前記第一取付部11の上面に当接するように形成させている。
【0045】
図14の第二金具2は、
図13の第一金具1の上に重ねて取り付けたときに、前記遮断部25の先部25bの一部が挿入部12の開口部12aの真上に配置されるように形成している。
即ち、
図12に示すように第二金具2を第一金具1の上に重ねて取り付けたときに、平面視において、第一取付部11の挿入部12の開口12aが遮断部25の先部25bによって塞がれるように設けている。
【0046】
図13の第一金具1は、第一取付部11に係合部14を形成している。
係合部14は、第一取付部11の上面から上方へ突出する平板形状の突起である。
係合部14は、前記第一取付部11の外縁に配置させており、具体的には、第一取付部11の外縁部分を曲げ加工して形成している。
係合部14は、第二金具2を第一金具1の上に重ねて取り付けたときに、遮断部25の縁付近に配置されるように設けている。
【0047】
図12に示すように、第二金具2を第一金具1へ取り付けた状態において、第一金具1の第一取付部11に形成した挿入部12の開口12aの真上に、第二金具2の遮断部25の先部25bが配置される。
このように設けることで、前記開口12aの真上に配置された遮断部25の先部25bの部位が、第一金具1の挿入部12の開口12aを塞ぐ閉口部25aとして機能し、第一金具1の挿入部12の内側に配置させる支脚91の移動を規制する。即ち、第二金具2の閉口部25aで第一金具1の挿入部12の開口12aを塞ぐことで、挿入部12の内側へ配置させた柱部92が開口12aを通過することを防ぎ、支脚91の固定金具3からの脱離を防止する。
図1〜11に示す固定金具3とは異なり、
図12に示す固定金具3は、第二金具2の閉口部25aが、平面視において第一金具1の挿入部12の開口12aを全て塞ぐのではなく、開口12aの一部のみを塞いでいる。このように、前記閉口部25aは、挿入部12の開口12aの全てを塞がなくとも、支脚91が開口12aを通過不能にできるように塞げばよい。
【0048】
図12に示すように、第二金具2を第一金具1へ取り付けた状態において、第1金具1の第一取付部11から上方へ突出させて形成した前記係合部14は第二金具2へ係合する。具体的には、係合部14が前記第二金具2の遮断部25の側方に配置されて係合状態となるように形成させている。詳細には、係合部14は、前記係合状態となったときに、遮断部25の外縁の近傍に配置されるように設けている。
【0049】
上記のように、第一金具1に設けた係合部14を第一金具2へ係合させることで、第一金具1の上に重ねて配置させた第二金具2が、第一金具1の上方で移動し、開口12aの上から閉口部25aが除かれて、第一取付部11の挿入部12の内側に配置させた支脚91が挿入部11の内側から脱離可能な状態になることを抑制している。
【0050】
図12に示す固定金具3は、第二金具2の貫通孔28aを長手方向に長い長孔形状にすることで、支脚91とアンカーボルトBとの間隔が若干変動した場合でも固定金具3を取り付け可能に設けており、第一取付部11を取り付ける支脚91の位置や、ボルト孔18aと貫通孔28aとに挿通させるアンカーボルトBの埋設位置に若干の誤差が生じた場合でも、取り付け可能に設けている。
【0051】
図15は、
図13の第一金具1へ
図14の第二金具2を取り付けた状態を示す、(イ)は平面図であり、(ロ)は正面図である。
図12に示す固定金具3は、アンカーボルトBを挿通させる第一金具1のボルト孔18aを、第二金具2の貫通孔28aの長手方向内側の端部付近に配置させているのに対し、
図15に示す固定金具3は、前記ボルト孔18aを前記貫通孔28aの長手方向外側の端部付近に配置させている。
このように、ボルト孔18aの長手方向の配置を貫通孔28aの内側で調整することで、支脚91とアンカーボルトBとの間隔の大きさに誤差が生じた場合でも固定金具3を取り付けることができる。
【0052】
尚、本発明に係る固定金具3は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0053】
前記第一金具1と、これに取り付ける前記第二金具2とを係合させる係合部について、
図1〜11に示す固定金具3では、係合部24を第一金具1の縁に当接させるように形成し、
図12〜15に示す固定金具3では、係合部14を第二金具2の縁に当接させるように形成しているが、このような構成に限定されるものではない。例えば、第一金具1及び第二金具2のいずれか一方の金具に形成した係合部を、他方の金具の縁に当接させるのではなく、前記係合部に対応する孔や凹部を金具に形成して係合させるように設けても良い。