特許第6826718号(P6826718)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6826718-基板分断装置及び基板分断方法 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6826718
(24)【登録日】2021年1月20日
(45)【発行日】2021年2月10日
(54)【発明の名称】基板分断装置及び基板分断方法
(51)【国際特許分類】
   B28D 5/00 20060101AFI20210128BHJP
   C03B 33/033 20060101ALI20210128BHJP
   C03B 33/07 20060101ALI20210128BHJP
【FI】
   B28D5/00 Z
   C03B33/033
   C03B33/07
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-146479(P2016-146479)
(22)【出願日】2016年7月26日
(65)【公開番号】特開2018-15941(P2018-15941A)
(43)【公開日】2018年2月1日
【審査請求日】2019年7月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】390000608
【氏名又は名称】三星ダイヤモンド工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】岩坪 佑磨
(72)【発明者】
【氏名】三浦 善孝
(72)【発明者】
【氏名】田端 淳
【審査官】 豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−128407(JP,A)
【文献】 特開2010−208902(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B28D 5/00
C03B 33/02 − 33/033
C03B 33/07
B26F 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端部を切り離すための第1スクライブラインが表面に形成された第1基板と、前記第1基板の裏面に貼り合わされており前記第1スクライブラインより端側に厚さ方向に貫通しない第2スクライブラインが形成され第2基板とを、有する貼り合わせ基板の分断装置であって、
前記貼り合わせ基板を支持するテーブルと、
前記第1基板側から前記端部を押圧することで、前記端部を前記第1スクライブライン及び前記第2スクライブラインに沿って分断する押圧装置と、
を備え
前記端部の下方には前記テーブルの載置面が存在しないことを特徴とする基板分断装置。
【請求項2】
前記第2スクライブラインは、前記テーブルの縁より内側に配置される、請求項1に記載の基板分断装置。
【請求項3】
端部を切り離すための第1スクライブラインが表面に形成された第1基板と、前記第1基板の裏面に貼り合わされており前記第1スクライブラインより端側に厚さ方向に貫通しない第2スクライブラインが形成され第2基板とを、有する貼り合わせ基板の分断方法であって、
前記貼り合わせ基板をテーブルに載置する載置ステップと、
前記第1基板側から前記端部を押圧することで、前記端部を前記第1スクライブライン及び前記第2スクライブラインに沿って分断する分断ステップと、
を備え
前記戴置ステップにおいて、前記端部の下方には前記テーブルの載置面が存在しないように前記貼り合わせ基板が支持される、基板分断方法。
【請求項4】
前記載置ステップでは、前記第2スクライブラインは、前記テーブルの縁より内側に配置される、請求項3に記載の基板分断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板分断装置、特に、端部を切り離すための第1スクライブラインが表面に形成された第1基板と、第1基板の裏面に貼り合わされており第1スクライブラインより端側に第2スクライブラインが形成され第2基板とを、有する貼り合わせ基板の分断装置に関する。また、本発明は、基板分断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶装置は、液晶層を間に介在するように第1基板と第2基板とがシール材によって貼り合わされる、貼り合わせ基板によって構成される。このような貼り合わせ基板において、上記の基板のうちの一方(例えば、第1基板)にカラーフィルタがパターン形成され、他方の基板(例えば、第2基板)にTFT(Thin Film Transistor)及び接続端子が形成されている。
【0003】
上記の貼り合わせ基板において、外部の電子機器と接続するためには、第2基板に形成された接続端子を露出させる必要がある。液晶装置である貼り合わせ基板において、接続端子が形成された面を露出させる(貼り合わせ基板のうちの一方の基板の内側面を露出させる)ための基板の分離方法が、特許文献1に示されている。
【0004】
特許文献1では、まず、スクライブライン形成時に、第1基板にスクライブラインを形成するカッターの配置位置と、第2基板にスクライブラインを形成するカッターの配置位置と、をずらしてスクライブラインを形成する。その後、切れ端となる方の貼り合わせ基板(端材)と、装置となる方の貼り合わせ基板とを分離して接続端子を露出させる際に、端材をチャック部材により保持した状態にてチャック部材を、装置となる方の貼り合わせ基板から遠ざける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−250871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、チャック部材にて端材を保持し移動させる方法にて端材を除去する場合、貼り合わせ基板の端材が存在していた側の端部にチッピングが生じる場合がある。このようなチッピングは、主に、チャック部材と貼り合わせ基板を保持するテーブルとの距離が変化することにより、端材が、貼り合わせ基板の端部と接触することにより生じる。上記のチッピングの発生は、貼り合わせ基板の端部及び露出面の状態を悪化させる。
【0007】
本発明の目的は、スクライブラインを形成後に端材を除去して貼り合わせ基板のいずれかの基板の内側面を露出させる場合において、貼り合わせ基板から端材を除去する際のチッピングの発生を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一見地に係る基板分断装置は、端部を切り離すための第1スクライブラインが表面に形成された第1基板と、第1基板の裏面に貼り合わされており第1スクライブラインより端側に厚さ方向に貫通しない第2スクライブラインが形成された第2基板とを、有する貼り合わせ基板の分断装置である。
分断装置は、テーブルと、押圧装置と、を備えている。
テーブルは、貼り合わせ基板を端部の下方にはテーブルの載置面が存在しないように支持する。
押圧装置は、第1基板側から端部を押圧することで、端部を第1スクライブライン及び第2スクライブラインに沿って分断する。
【0009】
この装置では、第1スクライブライン及び第2スクライブラインのそれぞれが第1基板及び第2基板の厚み方向に貫通した後も、押圧装置がさらに端部を押圧している。スクライブラインが基板を貫通後に端部がさらに押圧されると、端部は、貼り合わせ基板から離れる方向に移動して分断される。
【0010】
このような分断によって、スクライブラインが基板を貫通して端部が貼り合わせ基板に対して移動可能となったときに、端部が貼り合わせ基板に近づく方向に移動することがなくなる。その結果、端部と貼り合わせ基板とが接触してチッピングが発生することを抑制できる。
【0011】
第2スクライブラインは、テーブルの縁より内側に配置されていてもよい。ここでは、テーブルに面した第2基板に形成された第2スクライブラインがテーブルの縁より内側に配置されることで、端部が貼り合わせ基板から分断される際に、端部とテーブルとの干渉を減少できる。
【0012】
本発明の他の見地に係る基板分断方法は、端部を切り離すための第1スクライブラインが表面に形成された第1基板と、第1基板の裏面に貼り合わされており第1スクライブラインより端側に厚さ方向に貫通しない第2スクライブラインが形成され第2基板とを、有する貼り合わせ基板の分断方法である。そして、以下のステップを有している。
【0013】
a:貼り合わせ基板を端部の下方にはテーブルの載置面が存在しないようにテーブルに載置する載置ステップ。
【0014】
b:第1基板側から端部を押圧することで、端部を第1スクライブライン及び第2スクライブラインに沿って分断する分断ステップ。
【0015】
(4)載置ステップでは、第2スクライブラインは、テーブルの縁より内側に配置されていてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、貼り合わせ基板から端材を除去する際のチッピングの発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態による基板分断装置の模式図。
図2】基板分断方法の分断ステップを説明するための模式図(その1)。
図3】基板分断方法の分断ステップを説明するための模式図(その2)。
図4】分断ステップにおいて端材が分離される様子を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は本発明の一実施形態による基板分断装置の模式図である。この装置は、貼り合わせ基板Gの一方に位置する端材GLを除去するための装置である。貼り合わせ基板Gは、図1に示すように、第1基板G1と、第1基板G1の裏面に貼り合わされた第2基板G2と、から構成されている。ここでは、第1基板G1の表面に第1スクライブラインS1が形成され、第2基板G2のテーブル2(後述)に載置された側の表面に第2スクライブラインS2が形成されている。第1スクライブラインS1及び第2スクライブラインS2は厚み方向に長さを有するクラックであり、第1スクライブラインS1及び第2スクライブラインS2に沿って端材GLが切り離される。
【0019】
第2スクライブラインS2の第2基板G2の厚み方向の長さは、例えば、第2基板G2の厚みの75%以上が好ましく、75%〜80%程度がさらに好ましい。これにより、押圧装置1(後述)が第1基板G1を図1の下方向に押圧したときに、第2スクライブラインS2が、第2基板G2の厚みを貫通するまで進展しやすくなる。
【0020】
また、第1スクライブラインS1及び第2スクライブラインS2を、それぞれ、第1基板G1及び第2基板G2を貫通するまで形成しないことにより、例えば、貼り合わせ基板GにスクライブラインS1、S2を形成後にテーブル2まで搬送する際に、端材GLが貼り合わせ基板Gの本体から分離されることを回避できる。
【0021】
分断装置は、押圧装置1と、テーブル2と、を有している。押圧装置1は、図示しないガントリー等の支持機構に、図1の紙面垂直方向に支持されている。押圧装置1は、駆動機構M1によって昇降自在であり、押圧部11を有している。テーブル2は、第1基板G1が上方に位置するようにして、貼り合わせ基板Gが載置される。
【0022】
また、押圧部11は、テーブル2に貼り合わせ基板Gを配置したときに、貼り合わせ基板Gの端部から離れた位置(ただし、押圧部11が第1基板G1を押圧できる位置)に配置されることが好ましい。これにより、端材GLが分離されて自由落下するときに、押圧部11と端材GLとを干渉しにくくできる。
【0023】
貼り合わせ基板Gは、第2スクライブラインS2がテーブル2の端部よりも内側(例えば、テーブル2の端部から500μm程度内側)に位置するように、配置されるのが好ましい。これにより、端材GLが貼り合わせ基板Gから分離されて自由落下するときに、端材GLと貼り合わせ基板Gとを干渉しにくくできる。
【0024】
テーブル2は、駆動モータやガイド機構等を含む駆動機構M2によって、図1の左右方向に移動可能である。
【0025】
押圧装置1の押圧部11は、押圧面11aにより、貼り合わせ基板Gに対して、第1基板G1側から端材GLを押圧する。これにより、端材GLは第1スクライブラインS1及び第2スクライブラインS2に沿って分断される。押圧部11は、第1基板G1よりも剛性の低い樹脂等で形成されている。したがって、押圧部11は、端材GLを押圧した際に、弾性変形可能である。
【0026】
次に、貼り合わせ基板Gから端材GLを分断して取り除く方法について説明する。
【0027】
まず、第1基板G1及び第2基板G2が貼り合わされた貼り合わせ基板Gを準備し、図示しないスクライブライン形成装置によって、第1基板G1の表面(第2基板G2が貼り合わされていない側の表面)に第1スクライブラインS1を形成し、第2基板G2のテーブル2に載置される表面に第2スクライブラインS2を形成する。
【0028】
次に、貼り合わせ基板Gをテーブル2の載置面に載置する。ここで、貼り合わせ基板Gをテーブル2上に載置する際には、以下のようにして載置する。すなわち、図1に示すように、表面に第1スクライブラインS1が形成された第1基板G1が上方に位置し、第2基板G2の第2スクライブラインS2が形成された側の表面がテーブル2に載置され、かつ、第2スクライブラインS2がテーブル2の端部より若干内側に位置するよう、貼り合わせ基板Gをテーブル2に配置する。さらに、端材GLを分離するときに押圧される箇所が、押圧部11の真下に位置するように配置する。
【0029】
次に、図2に示すように、押圧部11を下降し押圧面11aと端材GL部分とを当接させ、図3に示すように、押圧部11をさらに下降させて押圧面11aにより端材GL部分を第1基板G1側から下方に押圧する。このとき、端材GLの下方にはテーブル2の載置面が存在しないので、押圧部11により端材GL部分を押圧することによって、第1基板G1及び第2基板G2にはそれぞれ、第1スクライブラインS1及び第2スクライブラインS2のクラックが基板厚み方向へさらに伸展し、端材GLがフルカットされる。
【0030】
その後、図4に示すように、押圧部11をさらに下降させると、第2基板G2の第2スクライブラインS2が形成されていた位置を中心として回転して、端材GLが貼り合わせ基板Gから完全に分離される。貼り合わせ基板Gから完全に分離された端材GLは、押圧部11とテーブル2との隙間を自由落下する。
【0031】
このようにして、第1スクライブラインS1及び第2スクライブラインS2が第1基板G1及び第2基板G2を貫通した後も、端材GLを押圧し続けて貼り合わせ基板Gから移動させることにより、端材GLが貼り合わせ基板Gの本体部に近づく方向に移動することを回避できる。その結果、端材GLと貼り合わせ基板Gとが接触してチッピングが発生することを抑制できる。これにより、例えば、第2基板G2の露出面にチッピングの破片が落下して、当該露出面の品質が低下することを回避できる。
【0032】
[他の実施形態]
本発明は以上のような実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形又は修正が可能である。
【0033】
前記実施形態では、押圧部11は矩形の部材であったが、これに限られず、例えば、押圧部11の押圧面11a側の面積をより小さくしてもよい。例えば、押圧部11を押圧面11aの方向に先細りさせてもよい。
【符号の説明】
【0034】
1 押圧装置
2 テーブル
11 押圧部
11a 押圧面
G 貼り合わせ基板
G1 第1基板
G2 第2基板
GL 端材
M1、M2 駆動機構
S1 第1スクライブライン
S2 第2スクライブライン
図1
図2
図3
図4