特許第6826722号(P6826722)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6826722
(24)【登録日】2021年1月20日
(45)【発行日】2021年2月10日
(54)【発明の名称】断熱パネルの継手構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/80 20060101AFI20210128BHJP
   E04F 13/12 20060101ALI20210128BHJP
   E04F 13/08 20060101ALI20210128BHJP
   F16L 59/13 20060101ALI20210128BHJP
【FI】
   E04B1/80 100B
   E04B1/80 100P
   E04F13/12 E
   E04F13/12 A
   E04F13/08 S
   F16L59/13
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-246344(P2016-246344)
(22)【出願日】2016年12月20日
(65)【公開番号】特開2018-100515(P2018-100515A)
(43)【公開日】2018年6月28日
【審査請求日】2019年6月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】513162952
【氏名又は名称】株式会社ディベロ
(74)【代理人】
【識別番号】100099634
【弁理士】
【氏名又は名称】平井 安雄
(72)【発明者】
【氏名】林 八十雄
【審査官】 兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】 特開平01−163018(JP,A)
【文献】 特開2009−192108(JP,A)
【文献】 特開2005−264612(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0011699(US,A1)
【文献】 特開2001−040796(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/80
E04F 13/00−13/30
E04C 2/30−2/32
F16L 59/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡樹脂材から予め成形されてなる板状体の両面に端部を内側にL字状に屈曲させた鉤状部を有する金属板で挟装して形成される断熱パネルを複数連設し、相隣る断熱パネルの各小口面長手方向に連続して形成される溝部に各々嵌合して連結する連結部を備えてなる断熱パネルの継手構造において、
前記断熱パネルの小口面に形成される溝部に嵌合して連結部との間に介在する連結補助部と、
前記金属板の鉤状部と連結補助部との間に介装される長尺状の金属薄板からなる金属スペーサとを備え、
前記連結補助部が、
断面がコ字形状の長尺体で形成され、当該長尺体の外側面を前記断熱パネルの溝部内側に圧入状態で嵌合させて断熱パネルの小口面に固定させる固定部と、
前記固定部の長尺体におけるコ字形状の両端部分から各々外側に向かって起立される二つの突片で形成される金属スペーサ支持部とを備え、
前記金属板の鉤状部の裏側に金属スペーサの一側端が重なり合って発泡樹脂材上に挟装され、且つ金属スペーサ支持部の二つの突片間に金属スペーサの他側端が挿通されて支持固定され、前記一側端及び他側端を支持された金属スペーサ断熱パネルの各小口面を被覆すると共に、前記相隣る断熱パネルの各溝部に前記連結補助部の固定部を各々対向させて嵌合させ、前記断熱パネルの溝部内側に圧入状態で固定された各固定部におけるコ字形状の凹部に前記連結部を各々圧入して相隣る各断熱パネルを連結し、前記金属スペーサが前記断熱パネルの厚み寸法に対応して異なる幅寸法を選定可能な構造とすることを
特徴とする断熱パネルの継手構造。
【請求項2】
前記請求項1に記載の断熱パネルの継手構造において、
前記金属スペーサ支持部の二つの突片を平行に配設し、当該平行に配設された二つの突片との間隔を長尺状の金属スペーサの厚みに相当する寸法にほぼ一致させ、当該突片と他の突片との間に金属スペーサが挿通して固定されることを
特徴とする断熱パネルの継手構造。
【請求項3】
前記請求項1又は2に記載の断熱パネルの継手構造において、
前記固定部が、長尺体におけるコ字形状の内側面及び外側面に微細突起を複数形成されることを特徴とする断熱パネルの継手構造。
【請求項4】
前記請求項1ないし3のいずれかに記載の断熱パネルの継手構造において、
前記連結部が、固定部及び/又は当該固定部の微細突起部の硬度より小さい硬度の材料で形成されることを
特徴とする断熱パネルの継手構造。
【請求項5】
前記請求項1ないし4のいずれかに記載の断熱パネルの継手構造において、
前記金属スペーサ支持部にて支持される長尺状の金属スペーサが、ステンレス鋼の板材で形成されることを
特徴とする断熱パネルの継手構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属板で両側面を被覆された発泡樹脂材の板状体からなる断熱パネルを連結する断熱パネルの継手構造に関し、特に断熱パネルの小口面に露出する発泡樹脂材を確実且つ簡易に被覆形成し、当該断熱パネル相互間を強固に連結できる断熱パネルの継手構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の断熱パネルの継手構造としては、特許文献1ないし4に記載のものがあり、いずれも発泡樹脂材からなる板状体の両面に表面材を配設して断熱パネルを形成し、この断熱パネルにおける左・右の側端面に凹部と凸部を形成し、この断熱パネルを複数連結して配設する際に、相隣る各断熱パネルの凹部及び/又は凸部を嵌合さて連結する構成としていた。
【0003】
前記特許文献1に記載の断熱パネルの継手構造は、発泡樹脂材で形成される板状体の両面を表面材で被覆すると共に、この表面材の周辺部分を屈曲させて前記板状体の端縁である小口部分を一部被覆し、この一部被覆された残りの板状体端縁の発泡樹脂材が露出する小口部分に長手方向に凹溝部を形成し、この凹溝部に接続部材を相互に嵌合させて連結する構成である。
【0004】
また、前記特許文献2に記載の断熱パネルの継手構造は、発泡樹脂材で形成される板状体の両面を被覆する表面材が、板状体の端縁である小口部に嵌挿状態で凹部と凸部とを形成し、この凹部と凸部を組付けて断熱パネル相互を連結する構成である。
【0005】
また、前記特許文献3及び4に記載の各断熱パネルの継手構造は、両面を表面材で被覆された発泡樹脂材の板状体における端縁である小口部分に凹形状と凸形状の枠材を別途装着し、この凹形状と凸形状の枠材を組付けることにより断熱パネル相互を連結する構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−95926
【特許文献2】特開2008−255594
【特許文献3】特開2008−25108
【特許文献4】特開2009−192108
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の断熱パネルの継手構造は、特許文献1に記載のように板状体を形成する発泡樹脂材の端縁小口面が露出し、この露出した小口部分に形成された凹溝部に接続部材を直接に挿通して嵌合することにより連結していることから、この露出した発泡樹脂材が破損し、連結が脆弱となり強固な継手構造とすることができないという課題を有していた。
【0008】
また、特許文献2に記載の継手構造にあっては、断熱パネルの板状体及びこれに被覆する表面材(金属外皮)を各々複雑に加工する製造工程を伴い、簡易且つ正確な製作が困難となるという課題を有していた。
【0009】
さらに、特許文献3,4に記載の各断熱パネルの継手構造は、表面材で両面が被覆された発泡樹脂材からなる板状体の端縁小口部に、凹形状と凸形状の各枠材を別途装着する構成であることから、前記板状体の厚みによりその厚みに適合する各種の枠材を取り揃えなければならず、製造コストが極めて高くなるという課題を有していた。特に、この凹形状、凸形状の枠材が押出型材の長尺体として形成されることから、その製造に際して押出型材用の金型を各々の寸法に応じて作成しなければならないという課題を有する。
【0010】
本発明は、前記各課題を解消するためになされたもので、断熱パネルを形成する発泡樹脂材の破損を確実に防止すると共に、断熱パネルの厚み寸法が異なる各種断熱パネルに対しても単一種類の固定部で主要部分を形成できることとなり、簡略且つ強固な断熱パネルの継手構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る断熱パネルの継手構造は、発泡樹脂材から予め成形されてなる板状体の両面に端部を内側にL字状に屈曲させた鉤状部を有する金属板で挟装して形成される断熱パネルを複数連設し、相隣る断熱パネルの各小口面長手方向に連続して形成される溝部に各々嵌合して連結する連結部を備えてなる断熱パネルの継手構造において、前記断熱パネルの小口面に形成される溝部に嵌合して連結部との間に介在する連結補助部と、前記金属板の鉤状部と連結補助部との間に介装される長尺状の金属薄板からなる金属スペーサとを備え、前記連結補助部が、断面がコ字形状の長尺体で形成され、当該長尺体の外側面を前記断熱パネルの溝部内側に圧入状態で嵌合させて断熱パネルの小口面に固定させる固定部と、前記固定部の長尺体におけるコ字形状の両端部分から各々外側に向かって起立される二つの突片で形成される金属スペーサ支持部とを備え、前記金属板の鉤状部の裏側に金属スペーサの一側端が重なり合って発泡樹脂材上に挟装され、且つ金属スペーサ支持部の二つの突片間に金属スペーサの他側端が挿通されて支持固定され、前記一側端及び他側端を支持された金属スペーサ断熱パネルの各小口面を被覆すると共に、前記相隣る断熱パネルの各溝部に前記連結補助部の固定部を各々対向させて嵌合させ、前記断熱パネルの溝部内側に圧入状態で固定された各固定部におけるコ字形状の凹部に前記連結部を各々圧入して相隣る各断熱パネルを連結し、前記金属スペーサが前記断熱パネルの厚み寸法に対応して異なる幅寸法を選定可能な構造とすることを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明に係る断熱パネルの継手構造は必要に応じて、前記請求項1に記載の断熱パネルの継手構造において、前記金属スペーサ支持部の二つの突片を平行に配設し、当該平行に配設された二つの突片と他の突片との間隔を長尺状の金属スペーサの厚みに相当する寸法にほぼ一致させ、当該突片と他の突片との間に金属スペーサが挿通して固定されることを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明に係る断熱パネルの継手構造は必要に応じて、前記請求項1又は2に記載の断熱パネルの継手構造において、前記固定部が、長尺体におけるコ字形状の内側面及び外側面に微細突起を複数形成されることを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明に係る断熱パネルの継手構造は必要に応じて、前記請求項1ないし3のいずれかに記載の断熱パネルの継手構造において、前記連結部が、固定部及び/又は当該固定部の微細突起部の硬度より小さい硬度の材料で形成されることを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明に係る断熱パネルの継手構造は必要に応じて、前記請求項1ないし4のいずれかに記載の継手構造において、前記金属スペーサ支持部にて支持される長尺状の金属スペーサが、ステンレス鋼の板材で形成されることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
以上のように本発明によれば、断熱パネルの小口面に表れる発泡樹脂材に固定部を固定し、この固定部の両端部分から両側へ起立形成された二つの突片からなる金属スペーサ支持部で長尺状の金属スペーサを支持し、この支持された幅寸法の異なる金属スペーサで対応する異なる厚さ寸法の断熱パネルの小口面に表れる発泡樹脂材を被覆するように構成しているので、厚さ寸法の異なる多種多様な断熱パネルに対しても金属スペーサの幅寸法を調整するのみで単一種類の固定部の主要部で対応できることとなり、断熱パネルの小口面を確実に被覆できると共に、複数の断熱パネルの結合を断熱特性を低減することなく、併せて耐火特性を向上させて簡易且つ強固な継手構成とすることができる効果を奏する。
【0017】
また、他の本発明によれば、金属スペーサ支持部が長尺状の金属スペーサの厚みに相当する寸法にほぼ一致させて二つの突片を対向配設して構成しているので、この二つの突片間のスリットに長尺状の金属板を挿入するのみで、断熱パネルの小口面に表れる発泡樹脂材を簡易且つ確実に被覆して断熱パネルの堅牢性を向上させると共に、耐火特性を併せて向上させることができる効果を有する。
【0018】
また、他の本発明によれば、断面コ字形状の長尺材からなる固定部の内側面及び外側面に微細突起部を複数形成して構成したことから、この長尺体のコ字形状に圧入する連結部を強固に支持できると共に、断熱パネルの小口面に形成される溝部に強固に固定できることとなり、複数の断熱パネル相互間を強固且つ確実に連結できるという効果を有する。
【0019】
また、他の本発明によれば、前記連結部の素材を固定部及び/又はこの固定部の微細突起部の硬度より小さい材料で形成する構成とすることにより、固定部のコ字形状内に連結部を圧入した際に、微細突起部が連結部表面に歯合して投錨効果による連結部の支持が可能となり、複数の断熱パネル相互間を強固且つ確実に連結できるという効果を有する。
【0020】
また、他の本発明によれば、固定部に金属板支持部で支持される金属スペーサをステンレス鋼の板材で形成される構成としたことから、断熱特性を低減することなく、耐火特性を併せもつことができることとなり、複数の断熱パネル相互間を強固且つ確実に連結できるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る断熱パネルの継手構造の要部拡大斜視図である。
図2図2は、図1に記載の実施形態に係る断熱パネルの継手構造の厚み寸法が異なる断熱パネルに対応する金属スペーサの取付態様図である。
図3図3は、図1に記載の実施形態に係る断熱パネルの継手構造の連結動作態様図である。
図4図4は、図3の断熱パネルとは異なる厚み寸法の断熱パネル連結状態図を示す
図5図5は、本発明の他の実施形態に係る断熱パネルの継手構造の連結補助部1と金属スペーサ2との組付け説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(本発明の一実施形態)
以下、本発明の一実施形態に係る断熱パネルの継手構造について図1ないし図5に基づいて説明する。図1は本発明の一実施形態に係る断熱パネルの継手構造の要部拡大斜視図、図2図1に記載の実施形態に係る断熱パネルの継手構造の厚み寸法が異なる断熱パネルに対応する金属スペーサの取付態様図、図3図1に記載の実施形態に係る断熱パネルの継手構造の連結動作態様図、図4図3の断熱パネルとは異なる厚み寸法の断熱パネル連結状態図である。
【0023】
前記各図において本実施形態に係る断熱パネルの継手構造は、発泡樹脂材101からなる板状体の両面に金属板102で挟装して形成される断熱パネル100のパネル小口面100aに形成されるパネル溝部103に嵌合して他の断熱パネル100と連結する他の連結部3との間に介在する連結補助部1が、断面がコ字形状の長尺体で形成され、この長尺体の外側面を前記断熱パネル100のパネル溝部103内側に圧入状態で嵌合させて断熱パネル100のパネル小口面100aに固定させる固定部10と、この固定部10の長尺体におけるコ字形状の両端部分から各々外側に向かって起立される各々対向する一対の起立突片12a,12bで形成され、この起立突片12a,12bで長尺状の金属板からなる金属スペーサ2を支持する金属スペーサ支持部12とを備え、この金属スペーサ支持部12の起立突片12a,12bで支持された金属スペーサ2で断熱パネル100の各パネル小口面100aを被覆すると共に、前記相隣る断熱パネル100,100の各パネル溝部103,103に連結補助部材1の固定部10を各々対向させて嵌合させ、この嵌合状態で固定された各固定部10におけるコ字形状の連結固定溝11に前記連結部3を各々圧入して相隣る各断熱パネル100,100を連結する構成である。
【0024】
前記連結補助部1は、断熱特性が大きい合成樹脂材を押出成形で断面同一形状の長尺体として形成され、固定部10の外側面及びコ字形状の内側面に各々微細突起10a,11aが長手方向に形成されると共に、金属スペーサ支持部12の対向配設される起立突片12a,12bの内側面に微細突起12cが長手方向に形成される構成である。
【0025】
この起立突片12a,12bの内側面に対向して形成される微細突起12cの突出寸法は、対抗する微細突起12c相互間の寸法が前記金属スペーサ2の厚み寸法より若干小さくなるように形成される。
【0026】
前記金属スペーサ2は、ステンレス鋼の板状体で形成され、熱伝導率が12[W・m−1・K−1]という金属としては極めて断熱特性が大きく且つ薄板で強靭性を有することから、断熱パネル100のパネル小口面100aに露出する発泡樹脂材101を被覆保護して耐火特性を併せ持つ構成である。また、この金属スペーサ2は、前記連結補助部1の金属スペーサ支持部12における起立突片12a,12b間に押通される際に、合成樹脂材で形成される金属スペーサ支持部12の微細突起12cを座屈させつつ押通される構成である。
【0027】
前記連結部3は、断熱特性が大きい合成樹脂材の長尺体として形成され、前記連結補助部1の微細突起11aより硬度が小さい材料で形成され、この連結補助部1の固定部10における連結固定溝11内に嵌入される際に、連結固定溝11内に形成された微細突起11aと歯合して投錨効果による強固な支持固定を行う構成である。
【0028】
次に、前記構成に基づく本実施形態に係る断熱パネルの継手構造の連結補助部の組立・組付け動作及び断熱パネル相互間の連結動作について説明する。
まず、図1において、連結補助部1は、金属スペーサ支持部12の起立突片12a,12bで形成される長手方向に延出するスリットに、長尺状のステンレス鋼で形成される金属スペーサ2を左右方向A,Aから挿通して組立てる。この組立ては、起立突片12a,12bからなるスリット内に対向して形成される微細突起12cが金属スペーサ2の挿通により座屈状態となり、起立突片12a,12bのスリット内で金属スペーサ2を強固に支持固定さえることとなる。
【0029】
前記組立に際して、連結補助部1に固定される金属スペーサ2は、図2に示すように断熱パネル100の各種厚み寸法L,L,Lに対応した幅寸法のものが選定される。このように、異なる厚さ寸法を有する各種の断熱パネル100に対して、ステンレス鋼の板材を所幅に切断してなる金属スペーサ2を選択して、複雑な断面構造の連結補助部1を単一種類のみで対応できることとなる。
【0030】
このように、金属スペーサ2を固定支持する連結補助部1は、図1及び図2に示すように、断熱パネル100のパネル小口面100aに形成されたパネル溝部103に嵌入された一体化される。このパネル溝部103に連結補助部1が嵌入される際に、この連結補助部1の固定部10内側面に形成された微細突起10aが断熱パネル100のパネル溝部103内側の発泡樹脂材101自体と歯合して強固に固定状態を維持できることとなる。
なお、この発泡樹脂材101は、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、トリアリルイソシアヌレート樹脂等の合成樹脂のいずれかを用いて発泡形成することができる。
【0031】
前記連結補助部1が固定された断熱パネル100は、パネル小口面100aを金属スペーサ2で全面被覆され、前面及び背面を図2に示すC方向に金属板102を挟装して組付ける。この金属板102は、断熱パネル100のパネル小口面100aにおいてL字状に屈曲させて鉤状部102aが形成され、この鉤状部102aで連結補助部1の固着される金属スペーサ2の先端部分に重畳して配設される。このように断熱パネル100は、断熱材を形成する発泡樹脂材101の両側面を金属板102で被覆されると共に、発泡樹脂材101のパネル小口面100aを金属スペーサ2で被覆され、この金属板102と金属スペーサ2とが共に金属板で形成されていることから耐火特性が十分に確保した断熱パネル100を形成できることとなる。
【0032】
さらに、断熱パネル100相互間の連結動作は、図3(A)に示すように断熱パネル100に固着された連結補助部1の連結固定溝11に連結部3を矢印D方向に嵌入して一体化する。この連結部3は連結固定溝11の微細突起11aより硬度が小さい材料で形成されていることから、この微細突起11aと歯合して連結固定溝11内に強固に支持固定されることとなる。このように連結補助部1の連結固定溝11に前記連結部3を嵌入させて連結する。
【0033】
この断熱パネル100と他の断熱パネル100との連結状態で、図3(C)に示すように断熱パネル100と他の断熱パネル100との各金属スペーサ支持部12相互間の隙間部分に防水密閉用のシーリング104が充填されると共に、各鉤状部102a相互間にもシーリング105が充填される。この様に組立・組付けられた複数の断熱パネル100を厚さ寸法の異なる各断熱パネル100毎に連結した状態を図4(A),(B)に示す。前記各図において、厚さ寸法L、Lの異なる断熱パネル100の連結を幅寸法が異なる金属スペーサ2を選定するのみで単一種類の断熱パネルの継手構で対応できることとなる。
【0034】
(本発明の他の実施形態)
本発明の他の実施形態に係る断熱パネルの継手構造を図5に基づいて説明する。この図5(A),(B),(C)は他の実施形態に係る断熱パネルの継手構造の連結補助部1と金属スペーサ2との組付け説明図である。
【0035】
同図(A)において他の実施形態に係る断熱パネルの継手構造は、前記図1に記載の実施形態に係る断熱パネルの継手構造と同様に連結補助部1、金属スペーサ2及び連結部3を備え、この連結補助部1と金属スペーサ2との組付け構成を異にする。本実施形態における連結補助部1は、金属スペーサ支持部12を固定部10の両端縁より単一の突片を左右に突出させ、この金属スペーサ支持部12の側面長手方向に連続する突起部12dを備える構成である。また、前記金属スペーサ2は、金属スペーサ支持部12の突起部12dと歯合する受部21が形成される構成である。
【0036】
このように、連結補助部1は、背面側に固定部10を配設し、左右に突出する金属スペーサ支持部12の正面側に突起部12dを形成していることから、連結補助部1の正面側から金属スペーサ2を組付け固定できることとなる。
【0037】
また、同図(B),(C)においてその他の実施形態に係る断熱パネルの継手構造は、前記図1に記載の実施形態に係る断熱パネルの継手構造と同様に、連結補助部1、金属スペーサ2及び連結部3を備え、この連結補助部1と金属スペーサ2との組付け構成を異にする。本実施形態における連結補助部1は、金属スペーサ支持部12を固定部10の両端縁より単一の突片を左右に突出させ、この金属スペーサ支持部12の基端部の長手方向に連続する鉤状溝部12eを備える構成である。また、前記ステンレス鋼の板状体からなる金属スペーサ2は、その板状体の端部に金属スペーサ支持部12の鉤状溝部12eと歯合する鉤部22が形成される構成である
【0038】
また、前記各実施形態に係る断熱パネル継手構造で用いられる金属スペーサは、ステンレス鋼等の金属板で形成する構成としたが、より断熱特性が大きな(不燃性)合成樹脂材等で構成することもできる。
【符号の説明】
【0039】
1 連結補助部
10 固定部
10a 微細突起
11 連結固定溝
11a 微細突起
12 金属スペーサ支持部
12a,12b 起立突片
12c 微細突起
2 金属スペーサ
3 連結部
100 断熱パネル
100a パネル小口面
101 発泡樹脂材
102 金属板
102a 鉤状部
103 パネル溝部
図1
図2
図3
図4
図5