(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態に係るタンクローリの構成の概要と、荷卸し用配管の自動傾動装置の構成及び動作について、
図1〜
図12を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明するタンクローリの荷卸し用の配管は、タンクローリの左右両側において荷卸し可能とした両側配管である。まず、
図1及び
図2を参照して、本実施形態に係るタンクローリ及び荷卸し用配管の構成を説明する。
【0016】
図1及び
図2に示すように、タンクローリ10は、前部の運転席1と後部のタンク20とで構成され、運転席1の後方には、前輪3,3と後輪4との上部に、二本のシャーシ2,2がタンクローリ10の車体長手方向に平行かつ水平に配設されている。そして、シャーシ2,2の上部には複数のサポートフレーム23,23が立設され、その上部にタンク20が搭載されている。そして、タンク20の下部とシャーシ2,2の上部との間には、複数(例えば、6本)の左右分岐配管33からなる荷卸し用配管30が配設されている。
【0017】
なお、本実施形態においては、
図1に示すように、単車タイプのタンクローリ10を一例として説明するが、本発明は、例えば。トレーラタイプのタンクローリ等の異なる車種のタンクローリにも適用することができる。また、タンクローリ10は、ガソリン、軽油等の液体燃料をガソリンスタンドに運搬するのに好適に使用できるものを一例として説明するが、これに限定されるものではなく、液体を運搬するタンクローリ10あれば如何なるものでもよい。
【0018】
タンク20の内部はタンク20の幅方向に配置された複数の仕切板(図示せず)により複数の室に区分けされている。各室の底面にはそれぞれ底弁31が配設され、各底弁31にはそれぞれ接続配管を介して接続部40が接続されている。この底弁31は、タンク20内に荷積みされた液体を、タンク20の外部に排出する排出口である。接続部40には、接続部40を中心として平面視でT字状に形成された左右分岐配管33の略中央部が接続されている。左右分岐配管33の両端には、左右吐出口33L,33Rが設けられている。左右分岐配管33は、接続部40を中心としてタンク20の幅方向において上下に傾動自在としている。
【0019】
すなわち、本実施形態においては、タンク20の複数(例えば、6室)の室の底面にそれぞれ配設された各底弁31に応じて、接続配管、接続部40及び左右分岐配管33が接続されている。そして、タンク20に貯留されている液体燃料は、各底弁31を開放動作させることで、各接続配管及び接続部40を経由して流下し、各左右分岐配管33により、タンク20の幅方向の左右何れかに分岐されて、各左右分岐配管33の先端に設けられた左右吐出口33L,33Rの何れかからタンクローリ10の外部に吐出(つまり、荷卸し)される。
【0020】
上述したように、タンク20の内部を複数の独立した室に区分けし、それぞれの底面に配設された底弁31に、それぞれ接続配管、接続部40及び左右分岐配管33を設けたので、タンクローリ10のタンク20に異なる種類の液体燃料(ガソリン、軽油、灯油等)を同時に荷積みすることができ、なおかつ、ガソリンスタンドの設備(例えば、異なる種類の液体燃料の貯蔵タンク)に応じた荷卸しをすることができる。
【0021】
なお、本実施形態においては、タンク20の複数の室の底面にそれぞれ底弁31を配設し、この複数の室の底弁31にそれぞれ接続配管、接続部40及び左右分岐配管33を接続する独立配管方式を適用している。しかし、本実施形態はこれに限らず、例えば、複数の室の底面にそれぞれ配設された底弁31から複数の室より少ない数の左右分岐配管33に集中させる等の集中配管方式に適用することもできる。
【0022】
以下、
図2及び
図3を参照して、本実施形態に係る荷卸し用の両側配管の構成を説明する。
図2及び
図3に示すように、タンクローリ10のタンク20の下部と後輪4(前輪3)の上部には、タンクローリ10の幅方向に左右2本のシャーシ2,2が、タンクローリ10の長手方向に同じ高さ(水平)に配設されている。このシャーシ2,2の上面には、タンク20を載置するための複数のサポートフレーム23,23が立設されている。タンク20は、サポートフレーム23,23を介してシャーシ2,2の上部に搭載されている。
【0023】
左右のサポートフレーム23,23の外側面側には、左右一対のL字状のブラケット57,57(
図8参照)が、水平方向に外側に突出して配設されている。この左右一対のブラケット57,57間の左右分岐配管33の上部には、左右一対のブラケット57,57間に挟持されて固定部50が設けられている。この固定部50は、ブラケット57,57に設けられた3か所の嵌入孔53H,M,L(
図8参照)と嵌合して左右分岐配管33の傾動状態を固定するためのものである。この固定部50とブラケット57,57については、詳細は後述する。
【0024】
図2に示すように、タンクローリ10の走行時には、左右分岐配管33は接続部40を中心として水平状態に維持される。この場合は、左右分岐配管33に設けた固定部50と、左右のサポートフレーム23,23の外側面側に設けたブラケット57,57とにより、左右分岐配管33は水平状態を維持するように固定されている。このとき、左右分岐配管33の水平方向の中心線bと接続部40を中心とした水平線aは略重なった状態である。
【0025】
図3に示すように、タンクローリ10の左右分岐配管33の左吐出口33Lから荷卸しを行う場合は、左右分岐配管33は接続部40を中心として右上がりに傾動動作する。この場合は、左右分岐配管33に設けた固定部50と、上述した左右一対のブラケット57,57とにより、左右分岐配管33は右上がりの傾動状態を維持するように固定される。このとき、左右分岐配管33の水平方向の中心線bは、接続部40を中心とした水平線aに対して所定の角度α(例えば、3度)で右上がりの傾動状態に固定される。また、図示はしないが、左右分岐配管33の右吐出口33Rから荷卸しを行う場合は、左右分岐配管33は、
図3Bに示す傾動状態とは逆に、左右分岐配管33の水平方向の中心線bは、接続部40を中心とした水平線aに対して所定の角度α(例えば、3度)で右下がりの傾動状態に維持される。
【0026】
上述したように、本実施形態では、荷卸しに使用される左右分岐配管33の左右吐出口33L,33Rの何れかを、下方に所定の角度α(例えば、3度)で傾動させる。そして、当該左右分岐配管33に応じて設けられたタンク20の底部の底弁31を開放動作してタンク内の液体燃料を外部に吐出する。このとき、荷卸しに使用される吐出口は、下方に所定の角度α(例えば、3度)で傾動しているので、左右分岐配管33を流れる液体燃料は、重力の作用により左右分岐配管33に滞留することなく全て外部に吐出される。これにより、荷卸し過程において、左右分岐配管33に残液が発生せず、液体燃料の荷卸し時の計量誤差を防ぐことができる。
【0027】
また、本実施形態では、自動傾動装置により左右分岐配管33を傾動させる動作が自動制御される。自動傾動装置は、左右分岐配管33の傾動動作を操作可能な操作手段である操作レバー80(
図9参照)、左右分岐配管33を傾動動作させるために、上述した左右分岐配管33の左吐出口33L近傍に連結されたアクチュエータであるシリンダ60(
図4参照)、操作レバー80による操作に応じて、シリンダ60を動作させて左右分岐配管の傾動動作を制御する傾動動作制御手段である傾動動作制御回路100(
図11参照)等から構成されている。なお、この自動傾動装置については、詳細は後述する。また、本実施形態においては、左右分岐配管33の傾動状態(傾動状態又は水平状態)を固定する固定装置の動作もこの自動傾動装置により制御される。
【0028】
以下、
図4〜6を参照して、本実施形態における左右分岐配管33に連結されたシリンダ60の構成及び動作についてさらに詳細に説明する。本実施形態のシリンダ60は、左右分岐配管33の傾動動作を行うアクチュエータである。また、シリンダ60は、左右分岐配管33を下方から押し上げるように変位させるように動作する(
図5参照)場合と、左右分岐配管33を上方から押し下げるように変位させるように動作する(
図6参照)場合とがある。すなわち、タンクローリ10の車種や形状に応じて、左右分岐配管33を上下いずれの方向からも傾動可能な構成としている。
【0029】
図4に示すように、シリンダ60は、略円筒形状のシリンダ本体61と、シリンダ本体61の上下にそれぞれ出没自在とした上ピストン62及び下ピストン63により構成されている。本実施形態に係るシリンダ60は、シリンダ本体61の上下から上下ピストン62,63を出没自在としたダブルシリンダである。また、以下の説明では、流体圧として空気圧(圧縮空気による空気圧)を利用したシリンダを一例として説明する。
【0030】
シリンダ本体61の内部は、上下に円筒形状の内部空間である第1空気室64と第2空気室65とに2分割されている。第1空気室64の上端には第1給排口64aが設けられ、第1空気室64の下端には第2給排口64bが設けられている。第2空気室65の上端には第3給排口65aが設けられ、第2空気室65の下端には第4給排口65bが設けられている。この第1給排口64a、第2給排口64b、第3給排口65a及び第4給排口65bには、エアホース66がそれぞれ接続されている。そして、このエアホース66を介して、第1空気室64及び第2空気室65に所定圧力(例えば、0.5Mpa)の圧縮空気を供給される。また、第1空気室64及び第2空気室65に供給された圧縮空気が、エアホース66を介して外部に排気される。
【0031】
上ピストン62の下端には、第1空気室64の内周面に嵌着して、第1空気室64の内周面に沿って上下動作可能な円盤62aが設けられており、その上部には、円柱状の第1ピストン軸62bが垂直に立設されている。第1ピストン軸62bは、シリンダ本体61の上端に設けられた第1貫通孔61aの内周面に嵌着して上下に動作可能としている。また、円盤62aの外周面には、第1空気室64の内周面における上下動作をスムーズにするためのボールベアリングBが設けられている。第1貫通孔61aの内周面には、第1ピストン軸62bの第1貫通孔61aの内周面における上下動作をスムーズにするためのボールベアリングBが設けられている。
【0032】
下ピストン63は、上記上ピストン62と真逆に形成され、下ピストン63の上端には、第2空気室65の内周面に嵌着して、第2空気室65の内周面に沿って上下動作可能な円盤63aが設けられており、その下部には、円柱状の第2ピストン軸63bが垂下されている。第2ピストン軸63bは、シリンダ本体61の下端に設けられた第2貫通孔61bの内周面に嵌着して上下に動作可能としている。また、円盤63aの外周面には、第2空気室65の内周面における上下動作をスムーズにするためのボールベアリングBが設けられている。第2貫通孔61bの内周面には、第2ピストン軸63bの第2貫通孔61bの内周面における上下動作をスムーズにするためのボールベアリングBが設けられている。
【0033】
上述した構成のシリンダ60は、第1空気室64の上端に設けられた第1給排口64aを給気口として圧縮空気を供給し、第2給排口64bを排気口とすると、上ピストン62の下端に設けられた円盤62aは、圧縮空気の圧力により下方に押し下げられ、上ピストン62の第1ピストン軸62bは、シリンダ60の内部に収納される。一方、第2給排口64bを給気口として圧縮空気を供給し、第1給排口64aを排気口とすると、上ピストン62の下端に設けられた円盤62aは、圧縮空気の圧力により上方に押し上げられ、上ピストン62の第1ピストン軸62bは、シリンダ60の外部に突出(
図4の状態)する。
【0034】
また、第2空気室65の上端に設けられた第3給排口65aを給気口として圧縮空気を供給し、第4給排口65bを排気口とすると、下ピストン63の上端に設けられた円盤63aは、圧縮空気の圧力により下方に押し下げられ、下ピストン63の第2ピストン軸63bは、シリンダ60の外部に突出(
図4の状態)する。一方、第4給排口65bを給気口として圧縮空気を供給し、第3給排口65aを排気口とすると、下ピストン63の上端に設けられた円盤63aは、圧縮空気の圧力により上方に押し上げられ、下ピストン63の第2ピストン軸63bは、シリンダ60の内部に収納される。
【0035】
上述してきたように、本実施形態のアクチュエータであるシリンダ60は、圧縮空気の給排口である第1給排口64a、第2給排口64b、第3給排口65a及び第4給排口65bのうち、第1給排口64a及び第2給排口64bを第1空気室64への圧縮空気の給排口として、第3給排口65a及び第4給排口65bを第2空気室65への圧縮空気の給排口としている。そして、どちらかの給排口を給気口又は排気口に設定して、給気口に設定された給排口から第1空気室64及び第2空気室65に圧縮空気を供給することで、第1空気室64及び第2空気室65内において、上ピストン62の円盤62a及び下ピストン63の円盤63aの上下動作し、シリンダ60の上下に設けられた上ピストン62の第1ピストン軸62b又は下ピストン63の第2ピストン軸63bを、垂直に上下動作するようにしている。
【0036】
なお、この給排口を給気口又は排気口への何れかに切り替える動作は、圧縮空気の給排気の方向を切り替えられる電磁弁(シリンダ用電磁弁60a(
図11参照))が好適に用いられ、後述の自動傾動装置を構成する傾動動作制御回路100(
図11参照)により、適宜制御されることになる。このため、本実施形態においては、第1給排口64a、第2給排口64b、第3給排口65a及び第4給排口65bそれぞれに連結されたエアホース66毎に複数の電磁弁が接続されている。そして、複数の電磁弁により圧縮空気の給排気の方向を切り替えることで、後述のエアコンプレッサー90(
図11参照)から供給される圧縮空気の給排路が適宜形成されることになる。
【0037】
以下、上述したシリンダ60により、左右分岐配管33を下方から押し上げるように変位させる動作を、
図5を参照して説明する。
【0038】
図5に示すように、シリンダ60は、シャーシ2,2の外側面に設けられた連結部2aに下ピストン63の下端が固定され、上ピストン62の上端は、左右分岐配管33の左吐出口33L近傍の外周にリング状に巻きつけられたリング33aの下端に連結される。この場合は、下ピストン63の下端が固定端となり、上ピストン62の上端が上下に移動する移動端となる。
【0039】
この構成で、
図5(a)に示すように、シリンダ60の上下ピストン62,63をシリンダ60のシリンダ本体61の上下に突出させた状態(つまり、
図4に示す状態)では、左右分岐配管33の左吐出口33Lは、最大に上方に押し上げられた状態となる。この場合は、左右分岐配管33の左右吐出口33L,33Rのうち、左吐出口33Lを上方に,右吐出口33Rを下方に傾斜した状態(つまり、右吐出口33Rから荷卸しする状態)に、左右分岐配管33が傾動動作した状態である。
【0040】
また、
図5(b)に示すように、シリンダ60の上ピストン62をシリンダ60の内部に収納し、下ピストン63を、シリンダ60の下方に突出させた状態では、左右分岐配管33は水平状態(つまり、走行位置であり左右いずれにも傾動していない状態)である。
【0041】
また、
図5(c)に示すように、シリンダ60の上下ピストン62,63を、シリンダ60の内部に収納した状態では、左右分岐配管33の左吐出口33Lは、最大に下方に押し下げられた状態となる。この場合は、左右分岐配管33の左右吐出口33L,33Rのうち、右吐出口33Rを上方に,左吐出口33Lを下方に傾斜した状態(つまり、左吐出口33Lから荷卸しする状態)に、左右分岐配管33が傾動動作した状態である。
【0042】
以下、上述したシリンダ60により、左右分岐配管33を上方から押し下げるように変位させる動作を、
図6を参照して説明する。
【0043】
図6に示すように、シリンダ60は、タンク20の底面に設けられた連結部20aに上ピストン62の上端が固定され、下ピストン63の下端は、左右分岐配管33の左吐出口33L近傍の外周にリング状に巻きつけられたリング33aの上端に連結される。この場合は、上ピストン62の上端が固定端となり、下ピストン63の下端が上下に移動する移動端となる。
【0044】
この構成で、
図6(a)に示すように、シリンダ60の上下ピストン62,63を、シリンダ60の内部に収納した状態では、左右分岐配管33の左吐出口33Lは、最大に上方に押し上げられた状態となる。この場合は、左右分岐配管33の左右吐出口33L,33Rのうち、左吐出口33Lを上方に,右吐出口33Rを下方に傾斜した状態(つまり、右吐出口33Rから荷卸しする状態)に、左右分岐配管33が傾動動作した状態である。
【0045】
また、
図6(b)に示すように、シリンダ60の上ピストン62をシリンダ60の内部に収納し、下ピストン63を、シリンダ60の下方に突出させた状態では、左右分岐配管33は、水平状態(つまり、走行位置であり左右いずれにも傾動していない状態)である。
【0046】
また、
図6(c)に示すように、シリンダ60の上下ピストン62,63を、シリンダ60の上下に突出させた状態(つまり、
図4に示す状態)では、左右分岐配管33の左吐出口33Lは、最大に下方に押し下げられた状態となる。この場合は、左右分岐配管33の左右吐出口33L,33Rのうち、右吐出口33Rを上方に,左吐出口33Lを下方に傾斜した状態(つまり、左吐出口33Lから荷卸しする状態)に、左右分岐配管33が傾動動作した状態である。
【0047】
上述したように、本実施形態のシリンダ60は、上下ピストン62,63をシリンダ60の外部に最大突出した状態と、上下ピストン62,63のいずれか一方だけをシリンダ60の外部に最大に突出した状態と、上下ピストン62,63をシリンダ60内に収納した状態との3パターンの上下ピストン62,63の上下動作態様を切り替えるだけで、左右分岐配管33の3種類の傾動状態(タンクローリ10を正面視して、右上がり傾動状態、水平状態、右下がり傾動状態)を切り替えられるようにしている。なお、シリンダ60の上下ピストン62,63の動作制御は、後述の自動傾動装置を構成する傾動動作制御回路100(
図11参照)により、作業者による操作手段である操作レバー80(
図9)の操作に基づいて自動制御されることになる。
【0048】
なお、上述した実施形態においては、シリンダ60を、シリンダ本体61の上下から上下ピストン62,63を出没自在としたダブルシリンダとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、1個のピストンを上下可動自在としたシリンダを用い、この1個のピストンの上下方向の変位量に応じて、左右分岐配管33の3種類の傾動状態を切り替えるようにすることもできる。また、流体圧として空気(圧縮空気)を用いたシリンダを一例として説明してきたが、これに限らず、流体圧としては油圧や水圧等を利用してもよい。また、電気的な構造(例えば、電磁ソレノイド)でピストンを上下に変位可能としたアクチュエータを利用してもよい。
【0049】
以下、
図7及び
図8を参照して、本実施形態における左右分岐配管33傾動状態を固定する固定装置の構成についてさらに詳細に説明する。本実施形態の固定装置は、以下で説明する固定部50と、この固定部50を挟持するように固定部50の両側に配設された左右一対のブラケット57,57とにより構成されている。
【0050】
図7に示すように、固定部50は、本体51と、本体51を挿通して取付けられるU字ボルト52と、本体51を挿通したU字ボルト52の両端上部を本体51に締結するナット52a,52aと、所定圧力の圧縮空気を本体51の内部に挿入するエアホース56を取付けるエアホース取付金具55とにより構成される。本体51の内部には、エアホース56を介して圧縮空気が供給される空気室51aと、空気室51aの左右両側に配設されたピストンロッド53,53と、左右のピストンロッド53,53を本体51の内部に収納するように付勢するスプリング54,54とが設けられている。
【0051】
固定部50は、左右分岐配管33の任意の位置に着脱自在に構成されている。すなわち、U字ボルト52の下部の湾曲部の内径は、左右分岐配管33の外径と略同径であり、該湾曲部と本体51の下面に形成された凹部とにより左右分岐配管33の外側を挟持して、本体51の両端上部からナット52a,52aを締結することで、左右分岐配管33に固定部50が固定されて取付けられる。また、本体51の両端上部のナット52a,52aを取り外すことで、左右分岐配管33に取付けられた固定部50を容易に取外すことができる。また、固定部50は、左右分岐配管33の両端の左右吐出口33L,33Rの近傍の所定の位置に、それぞれ取り付けられている。
【0052】
エアホース56を介して、本体51の内部の空気室51aに圧縮空気が供給されると、圧縮空気の圧力により、左右のピストンロッド53,53の先端が本体51の左右の外部に突出する。すなわち、空気室51a内に供給される圧縮空気の圧力が、スプリング54,54の付勢力よりも大きくなった場合に、左右のピストンロッド53,53の後端が圧縮空気の圧力により押され、左右のピストンロッド53,53の先端が本体51の左右外部に突出するように構成されている。
【0053】
そして、圧縮空気の供給が停止されると、スプリング54の付勢力により、左右のピストンロッド53,53は本体51の内部に収納される。つまり、固定部50の左右のピストンロッド53,53は、エアホース56を介して所定圧力の圧縮空気が供給され続けている間は本体51の左右外部に突出し、圧縮空気の供給が停止すると本体51の内部に収納される。
【0054】
図8に示すように、固定部50の左右両側には、平面視においてL字状の左右一対のブラケット57,57が、左右のサポートフレーム23,23の外側面側に水平方向に突出して、それぞれボルト57a及びナット(図示せず)により取付けられている。左右一対のブラケット57,57は、左右分岐配管33に取付けられた左右の固定部50を挟持するように中央に配置して、該固定部50の両側に左右対称に配設されている。また、左右一対のブラケット57,57の底部には受け板58が懸架されている。この受け板58は、左右分岐配管33の傾きを規制するためのものであり、左右分岐配管33の両端が、一定角度以上に傾動することで、タンクローリ10の他の箇所(例えば、タンク20等)に接触することを防ぐために設けられている。
【0055】
左右一対のブラケット57,57には、垂直方向に所定の間隔をおいて3箇所の嵌入孔53H,M,Lが、水平面で同じ高さで左右対称に設けられている。そして、3箇所の嵌入孔53H,M,Lの何れかに、固定部50の本体51の左右外側に突出した左右のピストンロッド53,53の先端部がそれぞれ嵌合することで、左右分岐配管33の3段階の傾動状態(タンクローリ10を正面視して、右上がり傾動状態、水平状態、右下がり傾動状態)というように、複数の異なる位置に固定することができる。
【0056】
本実施形態においては、左右分岐配管33の傾斜状態は、作業者により選択された吐出口を下方として、右上がり傾斜状態(
図3参照)、右下がり傾斜状態(図示せず)又は水平状態(
図2参照)の何れかの傾斜状態を固定できるようにしている。
【0057】
上述したように、本実施形態において、上記操作レバー80(
図9参照)を操作することにより、左右分岐配管33の傾動動作を自動的に制御する構成としており、この固定部50による左右分岐配管33の傾動の固定及び固定解除も、上述した自動傾動装置により自動的に制御されることになる。なお、固定部50による左右分岐配管33の傾動の固定は、別途図示しない操作スイッチを設け、自動傾動装置による左右分岐配管33の傾動動作終了後に、作業者が左右分岐配管33の傾動位置を確認した後で、操作スイッチを操作して行うようにしてもよい。
【0058】
このように、本実施形態においては、左右分岐配管33に取付けられた左右2つの固定部50と、該固定部50に応じて左右のサポートフレーム23,23の外側面側に取付けられた左右一対のブラケット57,57とにより、左右分岐配管33の頃動状態を固定する固定装置を構成している。
【0059】
なお、本実施形態においては、左右分岐配管33の左右両方に設けられた固定装置(固定部50及び一対のブラケット57,57)で、左右分岐配管33の形動状態を固定しているが、これに限らず、固定強度が十分であればどちらか一方(片方)の固定でも構わない。
【0060】
また、上述してきた実施形態においては、固定部は、左右分岐配管33の形動動作を3段階(右上がり傾斜状態、右下がり傾斜状態及び水平状態)で固定できるようにしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、より多段階(例えば、5段階)で固定できるように構成してもよい。また、左右分岐配管33を傾斜させる所定の角度は、特に限定されるものではなく、左右分岐配管33を含む荷卸し用配管30に残液が残らなければよい。
【0061】
また、固定装置として、固定部50と一対のブラケット57,57を用い、圧縮空気を利用して固定部50の左右のピストンロッド53,53を出没自在として左右分岐配管33の傾動状態を固定している。しかし、左右分岐配管33の傾動状態を固定する手段は特に限定されるものではなく、左右分岐配管33の傾動状態を固定できればよく、更に、固定部50の左右のピストンロッド53,53を出没自在とする動力は、圧縮空気に限らず、水圧、油圧、電力等であってもよい。
【0062】
また、上述した固定部50は、圧縮空気が供給され続けている間は本体51の左右外部に左右のピストンロッド53,53を突出し、圧縮空気の供給が停止するとスプリング54,54の付勢力により本体51の内部に左右のピストンロッド53,53を収納するようにしている。しかしながら、この構成では、圧縮空気を供給するエアコンプレッサー90(
図11参照)が故障したり動作が停止したりすると、固定部50による左右分岐配管33の固定が解除されてしまう。このため、圧縮空気が供給され続けている間は、この圧縮空気の圧力により本体51の内部に左右のピストンロッド53,53を収納し、圧縮空気の供給が停止するとスプリング54,54の付勢力により本体51の左右外部に左右のピストンロッド53,53が突出する構成とすることが望ましい。このような構成であれば、圧縮空気を供給するエアコンプレッサー90(
図11参照)が故障したり動作が停止したりした場合に、固定部50による左右分岐配管33の固定が解除されることを防止することができる。
【0063】
続いて、
図8及び
図10を参照して、本実施形態の固定位置表示装置であるロック位置確認ピン70について説明する。なお、固定位置表示装置は、左右一対のブラケット57,57にそれぞれ設けられた3箇所の嵌入孔53H,M,Lを外側から塞ぐように配設された複数のロック位置確認ピン70で構成される。
【0064】
図8に示すように、ロック位置確認ピン70は、左右一対のブラケット57,57にそれぞれ設けられた3箇所の嵌入孔53H,M,Lを、ブラケット57,57の外側から塞ぐように、左右一対のブラケット57,57の外側に、例えば、溶接されて取り付けられている。
【0065】
ロック位置確認ピン70は、本体内部にピン70aを水平方向に進退自在とした状態で内包している。
図8に示すように、固定部50によりロックがされていない状態では、水平方向に進退可能としたピン70aの先端70b(嵌入孔53H,M,Lの外側)は本体内部に収納され、ピン14の後端70c(嵌入孔53H,M,Lの内側)は、本体外部の嵌入孔53H,M,Lの中に突出した状態となるようにしている。すなわち、ロック位置確認ピン70のピン70aは、通常は本体内部にピン70aの先端70bを収納するように、例えば、コイルスプリング等で付勢されている。
【0066】
また、固定部50によりロックが掛けられている状態では、ロック位置確認ピン70は、ピン70aの後端70cが、固定部50の本体51の左右外側に突出した左右のピストンロッド53,53の先端部により水平方向に押圧される。これにより、本体内部に水平方向に進退自在に内包されたピン70aの先端70bが、ロック位置確認ピン70の本体外部に突出する。つまり、ピン70aの後端70cが、ピストンロッド53の先端部により内部のコイルスプリングの付勢力以上の圧力で押圧されたときにのみ、ピン70aの先端70bがロック位置確認ピン70の本体外部に突出する構成としている。
【0067】
ロック位置確認ピン70は、
図10に示すように、左右分岐配管33が水平状態にロックされている状態では、ロックが掛かっている位置(嵌入孔53M)に配設されているロック位置確認ピン70のピン70aの先端70bが本体外部に突出した状態となる。同様にして、図示はしないが、左右分岐配管33が傾斜状態にロックされている状態では、ロックが掛かっている位置(嵌入孔53H又は53L)に配設されているロック位置確認ピン70のピン70aの先端70bが本体外部に突出した状態となる。
【0068】
つまり、本実施形態においては、ブラケット57に形成された3箇所の嵌入孔53H,M,Lの外側に配設された何れかのロック位置確認ピン70のピン70aの先端70bが本体外部に突出した状態とすることで、左右分岐配管33の傾動動作が固定されている位置を、作業者が外部から目視して容易に確認することができる。
【0069】
以下、
図9を参照して、操作レバー80について説明する。この操作レバー80は、本実施形態における左右分岐配管33の傾動動作を操作可能な操作手段である。
図9に示すように、操作レバー80は一枚の板体で構成されている。操作レバー80は、一端の作業者による操作部81、中央に操作レバー80を水平に回動可能とした回動部83を有する中央板82、他端の指示端84により構成され、左吐出口33Lの上面に配設されている。指示端84には、左右分岐配管33の傾動位置を位置決めする三角形の突起85が設けられている。
【0070】
また、操作レバー80が配設された左吐出口33Lの上面には、上述した左右分岐配管33の3パターンの傾動位置を示す5角形の位置表示部86a(上)、86b(走行)、86c(下)が設けられている。
【0071】
図9(a)に示すように、作業者が操作部81を操作して、回動部83を中心として操作レバー80を水平に回動して、指示端84の突起85を位置表示部86a(上)に位置合わせする。これにより、左右分岐配管33の左吐出口33Lは、最大に上方に押し上げられた状態(
図5(a)参照)に傾動動作する。この場合は、左右分岐配管33の左右吐出口33L,33Rのうち、左吐出口33Lを上方に,右吐出口33Rを下方に傾斜した状態(つまり、右吐出口33Rから荷卸しする状態)に、左右分岐配管33が傾動した状態となる。
【0072】
図9(b)に示すように、作業者が操作部81を操作して、回動部83を中心として操作レバー80を水平に回動して、指示端84の突起85を位置表示部86b(走行)に位置合わせする。これにより、左右分岐配管33は水平状態(
図5(b)参照)に傾動動作する。この場合は、左右分岐配管33の左右吐出口33L,33Rは荷卸ししない走行位置に傾動動作して、左右分岐配管33は水平状態となる。
【0073】
図9(c)に示すように、作業者が操作部81を操作して、回動部83を中心として操作レバー80を水平に回動して、指示端84の突起85を位置表示部86c(下)に位置合わせする。これにより、左右分岐配管33の左吐出口33Lは、最大に下方に押し下げられた状態(
図5(c)参照)となる。この場合は、左右分岐配管33の左右吐出口33L,33Rのうち、右吐出口33Rを上方に,左吐出口33Lを下方に傾斜した状態(つまり、左吐出口33Lから荷卸しする状態)に、左右分岐配管33が傾動した状態となる。
【0074】
上述してきたように、本実施形態においては、作業者が操作レバー80を水平に回動して、左右分岐配管33の傾動位置を位置決めすることで、左右分岐配管33が自動的に傾動動作する構成としている。なお、この操作レバー80の回転動作は、後述の自動傾動装置を構成する傾動動作制御回路100(
図11参照)により検出される。傾動動作制御回路100は、作業者による操作レバー80の操作に基づいて、上述した複数の電磁弁(シリンダ用電磁弁(
図11参照))に信号を送信することで圧縮空気の給排路が形成され、シリンダ60の上下ピストン62,63により、左右分岐配管33の傾動動作が自動制御されることになる。
【0075】
なお、本実施形態における操作手段は、上述した操作レバー80に限定されるものではなく、作業者が操作し易い構成のものであればよい。例えば、左右分岐配管33の傾動位置(上、走行、下)を示す複数の操作ボタン等を操作手段として用いることもできる。
【0076】
以下、本実施形態における自動傾動装置の構成を、
図11を参照して説明する。
図11に示すように、自動傾動装置は、操作レバー80、アクチュエータであるシリンダ60、傾動動作制御手段である傾動動作制御回路100等から構成されている。また、自動傾動装置は、固定部50への圧縮空気の給気のオン・オフを切り替える固定部用電磁弁50a、シリンダ60への圧縮空気の給排路を切り替える複数のシリンダ用電磁弁60a、固定部50やシリンダ60へ圧縮空気を供給するエアコンプレッサー90等も有している。
【0077】
図11中の実線の矢印は、傾動動作制御回路100と、操作レバー80、固定部用電磁弁50a、複数のシリンダ用電磁弁60a及びエアコンプレッサー90とにおける電気信号を示す。また、
図11中の白抜きの矢印は、エアコンプレッサー90から供給される圧縮空気の流れを示す。
【0078】
傾動動作制御回路100は、例えば、電気的な回路で構成されており、作業者による操作レバー80の操作に基づいて、固定部用電磁弁50aに信号を送信し、圧縮空気を固定部50に供給したり供給を止めたりすることで、固定部50による左右分岐配管33の傾動状態の固定や固定の解除を切り替える。また、作業者による操作レバー80の操作に基づいて、複数のシリンダ用電磁弁60aに信号を送信し、圧縮空気の給排路を切り替えることで、シリンダ60による左右分岐配管33の傾動動作を自動制御する。
【0079】
なお、傾動動作制御回路100は電気的な回路に限定されるものではなく、例えば、マイクロコンピュータ(以下、マイコンという)を実装し、このマイコンに記憶されているプログラムを実行することで、作業者による操作レバー80の操作を検知し、固定部用電磁弁50aや複数のシリンダ用電磁弁60aに信号を送信し、固定部50やシリンダ60の動作を制御するようにしてもよい。
【0080】
エアコンプレッサー90は、固定部用電磁弁50aや複数のシリンダ用電磁弁60aを介して、固定部50やシリンダ60に所定圧力の圧縮空気を供給するためのものである。また、エアコンプレッサー90に限定するものではなく、所定圧力の圧縮空気を供給できるものであれば、所定圧力の圧縮空気が収容されたボンベ等でもよい。
【0081】
固定部用電磁弁50aは、傾動動作制御回路100からの指示(信号)に応じて、固定部50に圧縮空気を供給したり供給を止めたりする機能を有するものである。また、複数のシリンダ用電磁弁60aは、傾動動作制御回路100からの指示(信号)に応じて、シリンダ60への圧縮空気の給排路を変更する機能を有し、上述したように、シリンダ60への圧縮空気の給排路を変更する。
【0082】
操作レバー80は、作業者が左右分岐配管33の傾動位置(傾動状態)を選択して決定するものであり、作業者により左右分岐配管33の傾動位置が変更されたことを検出すると、所定の信号を傾動動作制御回路100に送信する。
【0083】
シリンダ60は、本実施形態におけるアクチュエータであり、作業者による操作レバー80の操作に基づいて決定されるシリンダ60へ供給される圧縮空気の給排路の変更に応じて、上下ピストン62,63の出没態様(上述した3パターンのシリンダ60の上下ピストン62,63の出没態様)を変化させることで、左右分岐配管33の傾動状態(タンクローリ10を正面視して、右上がり傾動状態、水平状態、右下がり傾動状態)を決定する。
【0084】
以下、本実施形態における自動傾動装置で実行される左右分岐配管33の傾動動作を、
図12を参照して説明する。
図12は、左右分岐配管33の傾動動作の処理の手順を説明するものである。なお、この処理は、左右分岐配管33の傾動状態の変更(つまり、作業者による操作レバー80の変更操作)を検出した場合に、自動傾動装置の傾動動作制御回路100(以下、傾動動作制御回路100という)において実行されるものである。
【0085】
図12に示すように、傾動動作制御回路100は、左右分岐配管33の傾動状態の変更を検出すると、固定部50による左右分岐配管33の固定を解除する(ステップS11)。具体的には、傾動動作制御回路100は、固定部用電磁弁50aに信号を送信し、固定部50への圧縮空気の供給を停止する。これにより、固定部50による左右分岐配管33の傾動状態の固定が解除され、左右分岐配管33が傾動動作可能となる。
【0086】
続いて、傾動動作制御回路100は、作業者による操作レバー80の選択位置が(上)であるか否かを判別(ステップS12)し、操作レバー80の選択位置が(上)であった場合は、ステップS16へ処理を移す。一方、操作レバー80の選択位置が(上)ではないと判別した場合はステップS13へ処理を移す。なお、上述したステップS11の処理により、固定部50による左右分岐配管33の固定が解除されるまでには、固定部50の本体51の左右外側に突出した左右のピストンロッド53,53が、固定部50の本体51内に収納される(つまり、固定解除)までの左右のピストンロッド53,53の動作時間が必要となる。このため、ステップS11からステップS12へと処理が移行する場合は、左右のピストンロッド53,53の動作時間分の待機時間を空ける必要がある。
【0087】
続いて、傾動動作制御回路100は、作業者による操作レバー80の選択位置が(走行)であるか否かを判別(ステップS13)し、操作レバー80の選択位置が(走行)であった場合は、ステップS15へ処理を移す。一方、操作レバー80の選択位置が(走行)ではないと判別した場合はステップS14へ処理を移す。
【0088】
傾動動作制御回路100は、ステップS14において、複数のシリンダ用電磁弁60aに信号を送信し、シリンダ60への圧縮空気の給排路を、左右分岐配管33の左吐出口33Lが、最大に下方に押し下げられた状態(
図5(c)参照)となるように変更する。この処理が終了すると、ステップS17へ処理を移す。
【0089】
傾動動作制御回路100は、ステップS15において、複数のシリンダ用電磁弁60aに信号を送信し、シリンダ60への圧縮空気の給排路を、左右分岐配管33が水平になる状態(
図5(b)参照)となるように変更する。この処理が終了すると、ステップS17へ処理を移す。
【0090】
傾動動作制御回路100は、ステップS16において、複数のシリンダ用電磁弁60aに信号を送信し、シリンダ60への圧縮空気の給排路を、左右分岐配管33の左吐出口33Lが、最大に上方に押し上げられた状態(
図5(a)参照)となるように変更する。この処理が終了すると、ステップS17へ処理を移す。
【0091】
なお、上述したステップS14、S15、S16の処理により、左右分岐配管33の傾動状態がシリンダ60により変更され、左右分岐配管33の傾動動作が終了するまでには、シリンダ60の上下ピストン62,63の動作時間が必要となる。このため、ステップS14、S15、S16からステップS17へと処理が移行する場合は、シリンダ60の上下ピストン62,63の動作時間分の待機時間を空ける必要がある。
【0092】
傾動動作制御回路100は、ステップS17において、固定部50により左右分岐配管33を固定する。具体的には、傾動動作制御回路100は、固定部用電磁弁50aに信号を送信し、固定部50への圧縮空気を供給して、左右分岐配管33が傾動しないように固定する。
【0093】
上述してきたように、本実施形態においては、作業者による操作レバー80の操作により左右分岐配管33の傾動状態の位置が変更されると、まず、固定部50による左右分岐配管33の傾動状態の固定が解除される。続いて、シリンダ60により変更された位置に左右分岐配管33を傾動動作させる。そして最後に、変更された位置に固定部50により左右分岐配管33の傾動状態が固定される。このように、作業者が操作レバー80を操作して、左右分岐配管33の傾動状態の位置を変更するだけで、自動的に変更された位置に左右分岐配管33を傾動動作することができるようにしている。これにより、左右分岐配管33の傾動動作をアクチュエータにより自動で確実に行えるようにした自動傾動装置を備えたタンクローリ10とすることができる。
【0094】
上述してきたように、本発明は、左右分岐配管33の傾動動作を操作可能な操作レバー80と、左右分岐配管33を傾動動作させるために、左右分岐配管33に連結されたシリンダ60と、作業者による操作レバー80の操作により、シリンダ60の上下ピストン62,63の出没態様により左右分岐配管33の傾動動作を制御する傾動動作制御回路100と、からなる荷卸し用の左右分岐配管33の自動傾動装置を備えている。このため、今まで、作業員が手作業で感覚的に行ってきた左右分岐配管33の傾動動作を確実に自動で行うことができる。つまり、荷卸し時には、荷卸し用の配管である左右分岐配管33に残液が発生することを防ぐことができる。また、タンクローリの走行時には、左右分岐配管を水平状態にすることで、走行時の振動等よる左右分岐配管と接続配管とに係る負荷の偏り等による故障を防止することができる。
【0095】
また、自動傾動装置は、シリンダ60による左右分岐配管33の傾動動作終了後に、前記左右分岐配管33の傾動状態を固定部50により固定するため、荷卸し時には左右分岐配管33のうち使用される側の両端に設けられた左右吐出口33L,33Rに応じて傾動状態を固定することができる。また、タンクローリの走行時には、左右分岐配管33が水平に位置するように固定することができる。これにより、荷卸し時においては、荷卸し側に確実に左右分岐配管33の傾斜を保つことができるため、左右分岐配管33内に残液が残ることがない。また、タンクローリの走行時には、左右分岐配管33が水平に位置するように固定することができるため、走行時の振動等よる左右分岐配管33と接続配管とに係る負荷を軽減することができる。
【0096】
また、左右分岐配管を傾動動作させるアクチュエータは、外部から給排される流体圧によってピストンを出没自在としたシリンダからなる60から構成している。このため、圧縮空気を用いることで、簡単な構造のアクチュエータとすることができる。また、左右分岐配管33の傾動動作を行うために、上端を左右分岐配管33の下部に連結し、下端を車体のシャーシ2,2の外側面に固定することで、左右分岐配管33を下側から傾動動作させることもできる。また、上端を車体のタンク20の下部に固定し、下端を左右分岐配管33の上部に連結することで、左右分岐配管33を上側から傾動動作させることもできる。
【0097】
以上、本発明に係る実施形態を説明したが、本発明の具体的な構成は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。