特許第6826797号(P6826797)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6826797
(24)【登録日】2021年1月20日
(45)【発行日】2021年2月10日
(54)【発明の名称】アルミノシリケートガラス
(51)【国際特許分類】
   C03C 3/091 20060101AFI20210128BHJP
   C03C 3/093 20060101ALI20210128BHJP
   G02F 1/1333 20060101ALI20210128BHJP
【FI】
   C03C3/091
   C03C3/093
   G02F1/1333 500
【請求項の数】11
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2018-244564(P2018-244564)
(22)【出願日】2018年12月27日
(62)【分割の表示】特願2016-567411(P2016-567411)の分割
【原出願日】2015年5月13日
(65)【公開番号】特開2019-89701(P2019-89701A)
(43)【公開日】2019年6月13日
【審査請求日】2019年1月28日
(31)【優先権主張番号】61/993,711
(32)【優先日】2014年5月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(72)【発明者】
【氏名】ブラッドリー フレデリック ボウデン
(72)【発明者】
【氏名】アダム ジェイムズ エリソン
(72)【発明者】
【氏名】エレン アン キング
【審査官】 山口 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−151407(JP,A)
【文献】 特開2012−082130(JP,A)
【文献】 特開2007−008812(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0137565(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 1/00−14/00
G02F 1/1333−1/1347
INTERGLAD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化物基準の重量パーセントで:SiO 58.246〜60.367、Al 17.7〜18.86、B 6.2〜7.4、MgO 2.673.95、CaO 3.35〜4.5、SrO 2.164.956、BaO 3.08〜5.5を含む、ガラスであって、
前記ガラスは、(MgO+CaO+SrO+BaO)/Alが1.13から1.31のモル比、および77GPa以上のヤング率を呈する、ガラス。
【請求項2】
前記ガラスは、685℃超のひずみ点を有する、請求項1に記載のガラス。
【請求項3】
前記ガラスは、2.55g/cm未満の密度を有する、請求項1または2に記載のガラス。
【請求項4】
前記ガラスは、10000ポアズ(1000Pa・s)(T10k)の粘度における温度が1300℃未満である、請求項1から3いずれか1項に記載のガラス。
【請求項5】
前記ガラスは、730℃超のアニール点を有する、請求項1から4いずれか1項に記載のガラス。
【請求項6】
前記ガラスは、31GPa/g/cm超えの比弾性率を有する、請求項1から5いずれか1項に記載のガラス。
【請求項7】
前記ガラスは、T10k‐Tliq>30℃を満たす、請求項1から6いずれか1項に記載のガラス。
【請求項8】
1200℃〜1250℃の範囲のT35Kを有する、請求項1から7いずれか1項に記載のガラス。
【請求項9】
28〜42×10‐7/℃の範囲のCTEを有する、請求項1から8いずれか1項に記載のガラス。
【請求項10】
酸化物基準の重量パーセントで:SiO8.246〜60.367、Al 17.73〜18.86、B 6.217.43、MgO 2.673.95、CaO 3.35〜4.5、SrO 2.164.956、BaO 3.085.54を含み、ここでSiO、Al、B、MgO、CaO、SrO及びBaOは、酸化物構成成分の重量パーセントを表す、ボロアルミノシリケートガラスであって、
前記ガラスは、以下の特性:
(MgO+CaO+SrO+BaO)/Al≧1.05;
735℃以上のアニール点;
35k‐Tliqが60以上であること;
35Kが1250℃以下であること;
39×10‐7/℃未満のCTE;
77GPa以上のヤング率;及び
2.55g/cm以下の密度
を有し、ここでAl、MgO、CaO、SrO及びBaOは、酸化物構成成分のモルパーセントを表す、ボロアルミノシリケートガラス。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項のガラスを含む、液晶ディスプレイ基板。
【発明の詳細な説明】
【優先権】
【0001】
本出願は、2014年5月15日出願の米国仮特許出願第61/993711号に対する優先権の利益を主張するものであり、上記仮特許出願の内容はその全体が参照により本出願に援用される。
【技術分野】
【0002】
本発明は、アルミノシリケートガラスに関する。
【背景技術】
【0003】
液晶ディスプレイ、例えばアクティブマトリクス液晶ディスプレイデバイス(AMLCD)の製造は極めて複雑であり、基板ガラスの特性は極めて重要である。何よりもまず、AMLCDデバイスの製造に使用されるガラス基板は、その物理的寸法を厳密に制御しなければならない。ダウンドロー型シートドロー法、並びに特にDockertyによる特許文献1及び2に記載のフュージョン法は、ラッピング加工及び研磨等のコストのかかる事前形成仕上げ作業を必要とすることなく基板として使用できるガラスシートを製造できる。残念なことに、フュージョン法は、ガラスの特性に対して比較的厳しい制約を課し、これは比較的高い液相粘度を必要とする。
【0004】
液晶ディスプレイ分野において、AMLCDに必要な薄膜トランジスタ(TFT)を製造するための様々な方法が存在する。パネルメーカは従来、非晶質シリコン(a‐Si)系トランジスタを利用した大型低解像度ディスプレイ、または多結晶シリコン(p‐Si)系及び酸化物薄膜(Ox)系トランジスタを利用した小型高解像度ディスプレイを製造してきた。a‐Si TFTはp‐Si TFTに取って代わられると考えられてきたが、消費者は低コストの大型高解像度ディスプレイを求めており、このようなp‐Si TFTによる大規模なディスプレイの製造コストにより、AMLCD製造メーカは、a‐Si TFTの使用を、はるかに高い解像度にまで拡張させられている。これらの解像度の上昇により、TFT製造プロセスにおいて使用されるガラス基板の寸法安定性について、より厳しい規格が必要となる。a‐Si、酸化物または低温p‐Si TFT製作中、ガラス基板は350℃〜450℃のプロセス温度に保持され、その間に薄膜トランジスタが形成される。これらの温度において、大半のAMLCDガラス基板は、コンパクションと呼ばれるプロセスを経る。コンパクションは、熱安定性または寸法変化とも呼ばれ、これは、ガラスの仮想温度の変化によるガラス基板の非可逆的寸法変化(収縮)である。「仮想温度(fictive temperature)」は、ガラスの構造的状態を示すために使用される概念である。高温から迅速に冷却されるガラスは、その「凍って閉じ込められた(frozen in)」高温構造により、より高い仮想温度を有すると言い表される。よりゆっくりと冷却されたガラス、即ちある時間だけアニール点付近に保持することによってアニーリングされたガラスは、より低い仮想温度を有すると言い表される。
【0005】
コンパクションの大きさは、ガラスを作製するプロセス、及びガラスの粘弾性の両方に左右される。ガラスからシート製品を製造するためのフロート法では、ガラスシートは溶融物から比較的ゆっくりと冷却され、従って比較的低温の構造をガラス内に「凍らせて閉じ込める(freeze in)」。対照的にフュージョン法は、溶融物からのガラスシートの極めて迅速なクエンチをもたらし、比較的高温の構造をガラス内に凍らせて閉じ込める。その結果、フロート法によって製造されたガラスは、フュージョン法によって製造されたガラスに比べて小さいコンパクションを受けることになり得る。なぜならコンパクションの原因となる力は、仮想温度と、コンパクション中にガラスが経験するプロセス温度との差であるためである。よって、ダウンドロー法によって製造されるガラス基板において、コンパクションのレベルを最小化することが望ましい。
【0006】
ガラスのコンパクションを最小化するためのアプローチは2つ存在する。第1のアプローチは、TFT製造中にガラスが経験することになる温度と同様の仮想温度を生成するために、ガラスを熱的に予備処理することである。このアプローチにはいくつかの難点が存在する。まず、TFT製造プロセス中に採用される複数の加熱ステップは、ガラスに複数の僅かに異なる仮想温度を生成し、これらは、この予備処理では完全には補償できない。第2に、ガラスの熱安定性はTFT製造の詳細に密接にリンクしており、これは異なる複数のエンドユーザに対して異なる予備処理が必要となることを意味し得る。最後に、予備処理は処理コスト及び複雑性を増大させる。
【0007】
別のアプローチは、ガラスの粘度を上昇させることによって、プロセス温度におけるひずみ速度を遅くすることである。これは、ガラスの粘度を上昇させることによって達成できる。アニール点は、あるガラスに関する固定された粘度に対応する温度を表し、従ってアニール点の上昇は、固定温度における粘度の上昇と等価である。しかしながらこのアプローチの課題は、コスト効率の高い高アニール点ガラスの製造である。コストに影響する主要な因子は、欠陥及び資産寿命である。フュージョンドロー機械に連結された、耐火性予備溶融器、貴金属清澄器及び貴金属ガラス送達ステムを備える最新の連続ユニット(CU)溶融器では、一般に4タイプの欠陥が現れる:(1)気体包有物(泡または気泡);(2)耐火物からの、またはバッチの適切な溶融の失敗による、固体包有物;(3)大半がプラチナからなる金属系欠陥;及び(4)低液相粘度またはアイソパイプの両端における過剰な失透によってもたらされる、失透産物。ガラス組成は、溶融速度に対して過度な影響を有し、従ってガラスが気体または固体状欠陥を形成する傾向に対して、過度な影響を有し、またガラスの酸化状態は、白金系欠陥が組み込まれる傾向に影響を及ぼす。成形マンドレル、即ちアイソパイプ上のガラスの失透は、高い液相粘度を有する組成物を選択することによって、最も良好に対処される。
【0008】
TFT製造プロセス中のガラス基板の寸法安定性はまた、弾性ひずみによっても影響される。基板が経験する弾性ひずみには、2つの主要な原因が存在する。フュージョン法中、小さな温度勾配による冷却時に、ガラスシートに弾性ひずみが、従って応力が、導入され得る。これらの応力は、TFT製造プロセス中に応力緩和を経るが、これが寸法不安定性をもたらす。このような不安定性は、コンパクションと同一の方法で、ガラス基板のアニール点を上昇させることによる、TFTプロセス温度におけるひずみ速度の低下によって最小化できる。第2のタイプの弾性ひずみは、トランジスタ自体をガラス表面上に堆積させる際に基板に印加される応力に関連する。このような弾性ひずみは、基板表面に印加される応力が最小量のひずみしか形成せず、ガラスシートに見られる寸法変化が低減されるように、ガラスのヤング率を上昇させることによって最小化される。
【0009】
上述のような寸法安定性に関する問題に加えて、AMLCD製造メーカは、より大きなディスプレイサイズ、及び規模の経済性の両方に関する需要により、各辺2メートルを超える比較的大きなサイズのガラス片を加工することが必要となる。これにより、いくつかの懸案事項が持ち上がる。第1には単純にガラスの重量である。ガラス重量の増大は、より大きなガラス片サイズにつながり、これは、ガラスをプロセスステーションへ、及びプロセスステーションを通して移動させるために、ロボット式ハンドラを使用することを必然的に伴う。更に、ガラス密度及びヤング率に左右される弾性垂れは、比較的大きなシートサイズにおいて特に重要な問題となり、これは、プロセスステーション間でガラスを輸送するために使用されるカセットにおけるガラスの積載、取り出し及び間隔設定性能に影響を及ぼす。従って、上述のような欠陥制限属性を維持したまま、コンパクション、応力緩和及び弾性ひずみの最小化に加えて垂れに関連する問題を低減する組成物を識別することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第3338696号明細書
【特許文献2】米国特許第3682609号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の態様は、望ましい物理的及び化学的特性を示すアルカリ非含有ボロアルミノシリケートガラスの製造のための化合物、組成物、物品、デバイス及び方法に関する。1つまたは複数の実施形態では、ガラスは、アクティブマトリクス液晶ディスプレイ(AMLCD)及びアクティブマトリクス有機発光ダイオードディスプレイ(AMOLED)等のフラットパネルディスプレイデバイスの基板としての使用に好適である。1つまたは複数の実施形態によると、2.55g/cm未満の密度及び良好な寸法安定性(即ち小さいコンパクション)を有するガラスが提供される。更に、本開示の組成物の1つまたは複数の実施形態は、680℃超のひずみ点を有し、これは、フュージョン法の熱履歴を経る際に、a‐Si薄膜トランジスタプロセスに関して許容可能な熱安定性である。
【0012】
本明細書では、高いアニール点及び高いヤング率、従って非晶質シリコン及び酸化物TFTプロセスにおいてTFT背面基板として使用するために良好な寸法安定性(即ち小さいコンパクション、弾性ひずみ及び応力緩和)を有する、実質的にアルカリを含まないガラスも記載される。高アニール点ガラスは、ガラスの製造に続く熱加工中のコンパクション/収縮または応力緩和によるパネル歪みを防止できる。本発明のガラスの実施形態はまた、高い弾性率及び比較的低い密度を有し、これによってガラスの比弾性率を上昇させ、またガラスシートにおける弾性垂れのリスクを大幅に低減する。更に本発明のガラスは、極めてまれなほど高い液相粘度を有し、従って成形装置内の低温の場所での失透のリスクが大幅に低減される。低アルカリ濃度が一般に望ましいものの、実際には、アルカリを全く含まないガラスを経済的に製造するのは困難または不可能であり得ることを理解されたい。問題となるアルカリは、原材料中の汚染物質として、耐火物中の微量構成成分等として発生し、完全に排除するのは極めて困難であり得る。従って本発明のガラスは、アルカリ酸化物LiO、NaO及びKOの合計濃度が約0.1モルパーセント(モル%)である場合に、アルカリを実質的に含まないと見做される。
【0013】
本明細書に組み込まれて本明細書の一部を構成する添付の図面は、以下に記載するいくつかの態様を図示したものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】フュージョンドロー法において精密なシートを作製するために使用されるアイソパイプ、即ち成形マンドレルの概略図
図2図1のアイソパイプの、切断線6における断面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書に記載されるのは、2.55g/cm未満の密度及び良好な寸法安定性(即ち小さいコンパクション、低減された応力緩和及び弾性ひずみ)を有する、実質的にアルカリ非含有のガラスである。更に、本開示の組成物の1つまたは複数の実施形態は、685℃超のひずみ点を有し、これは、フュージョン法の熱履歴を経る際に、a‐Si薄膜トランジスタプロセスに関して許容可能な熱安定性である。本発明の実施形態はまた、高アニール点を有するガラスも提供する。高アニール点ガラスは、ガラスの製造に続く熱加工中のコンパクション/収縮または応力緩和によるパネル歪みを防止できる。低アルカリ濃度が一般に望ましいものの、実際には、アルカリを全く含まないガラスを経済的に製造するのは困難または不可能であり得ることを理解されたい。問題となるアルカリは、原材料中の汚染物質として、耐火物中の微量構成成分等として発生し、完全に排除するのは極めて困難であり得る。従って本開示のガラスは、アルカリ酸化物LiO、NaO及びKOの合計濃度が約0.1モルパーセント(モル%)である場合に、アルカリを実質的に含まないと見做される。
【0016】
1つまたは複数の実施形態では、実質的にアルカリ非含有のガラスは、約730℃超、具体的には735℃超及びより具体的には740℃超のアニール点を有する。1つまたは複数の実施形態によると、本開示のガラスの、約10000ポアズ(1000Pa・s)(T10k)の粘度における温度は、約1300℃未満である。ガラスの液相線温度(Tliq)は、それを超えると結晶相がガラスと平衡状態で共存できなくなる最高の温度である。1つまたは複数の実施形態によると、T10k‐Tliq>30℃である。フロート法は、粘度3000〜10000ポアズ(300〜1000Pa・s)のガラスを送達する。ガラスがこの粘度に対応する温度付近の何らかの温度において失透する場合、失透産物が完成製品中に現れることになる。1つまたは複数の実施形態では、ガラスは31超の比弾性率を示す。E/ρとして定義されるガラスの比弾性率は、加工中にガラスシートが経験することになる弾性垂れの大きさの指標である。このため、31以上の比弾性率を有するガラス組成物が望ましい。本開示のガラスは、これまでに開示されている特性のうちの1つまたは複数を示し得ることが理解されるだろう。従って本開示のガラスは、これまでに開示されている特性のうちの1つ、開示されている特性のうちの2つ、開示されている特性のうちの3つ、開示されている特性のうちの4つ、開示されている特性のうちの5つ、開示されている特性のうちの6つ及び/または開示されている特性のうちの7つを、開示されている特性のいずれの組合せにおいて示してよい。
【0017】
一実施形態では、実質的にアルカリ非含有のガラスは、酸化物基準の重量パーセントで以下を含む:
SiO 57〜61
Al 17.5〜20.5
5〜8
MgO 1〜5
CaO 3〜9
SrO 0〜6
BaO 0〜6.5
特定の実施形態では、ガラスは、酸化物基準の重量パーセントで57.5〜60.5の範囲のSiOを含む。別の特定の実施形態では、ガラスは、酸化物基準の重量パーセントで17.8〜20.2の範囲のAlを含む。別の特定の実施形態では、ガラスは、酸化物基準の重量パーセントで5.5〜7.8の範囲のBを含む。別の特定の実施形態では、ガラスは、酸化物基準の重量パーセントで1〜4.5の範囲のMgOを含む。別の特定の実施形態では、ガラスは、酸化物基準の重量パーセントで1〜4.5の範囲のCaOを含む。別の特定の実施形態では、ガラスは、酸化物基準の重量パーセントで1〜4.5の範囲のCaOを含む。別の特定の実施形態では、ガラスは、酸化物基準の重量パーセントで1〜4.5の範囲のSrOを含む。別の特定の実施形態では、ガラスは、酸化物基準の重量パーセントで0〜6の範囲のBaOを含む。
【0018】
他の特定の実施形態では、上述のガラスのうちのいずれは、以下の特性のうちの1つまたは複数を有することができる:730℃超のアニール点;31超の比弾性率;ガラスがT10k‐Tliq>30℃を満たすこと。
【0019】
別の特定の実施形態では、酸化物基準の重量パーセントで:SiO 57〜61、Al 17〜21、B 5〜8、MgO 3以上、CaO 2〜4.5、SrO 1.5以上、BaO 3.5〜8を含むガラスが提供され、ここでSiO、Al、B、MgO、CaO、SrO及びBaOは、酸化物構成成分の重量パーセントを表す。特定の実施形態によるガラスは、以下の特性のうちの1つまたは複数を有することができる:(MgO+CaO+SrO+BaO)/Al≧1.05、735℃以上のアニール点;T35k‐Tliqが60以上であること、T35Kが1250℃以下であること、約39×10‐7/℃未満のCTE、77GPa以上のヤング率、及び2.55g/cm以下の密度。
【0020】
一態様では、本開示のガラスは、化学清澄剤を含む。このような化学清澄剤としてはSnO、As、Sb、F、Cl及びBrが挙げられるがこれらに限定されず、また上記化学清澄剤の濃度は0.5モル%以下のレベルに維持される。化学清澄剤としては、CeO、Fe及び他の遷移金属酸化物、例えばMnOも挙げられる。これらの酸化物は、その1つまたは複数の最終価電子状態における可視光吸収によりガラスに色を導入する場合があり、従ってこれらの濃度は特に0.2モル%以下のレベルに維持される。
【0021】
一態様では、本開示のガラスは、フュージョン法によってシートとして製造される。フュージョンドロー法は、清浄な火炎研磨されたガラス表面をもたらし、これは、高解像度TFT背面及び色フィルタに対する表面媒介性歪みを低減する。図1は、成形マンドレル、即ちいわゆるアイソパイプの位置におけるフュージョンドロー法の概略図であり、これは、その勾配付きトラフ設計が、アイソパイプの長さ(左から右へ)に沿った全ての点において同一の(即ち「アイソ(iso)」)流れを生成するため、このように呼ばれる。図2は、図1の位置6の付近におけるアイソパイプの概略断面図である。ガラスは入口1から導入され、堰止壁3で形成されたトラフ2の底部に沿って、圧縮端部4へと流れる。ガラスはアイソパイプの両側において堰止壁3から溢れ(図2参照)、ガラスの2つの流れはルート6において接合または融合する。アイソパイプの両端の縁部配向器7は、ガラスを冷却して、縁部にビードと呼ばれる比較的厚いストリップを生成する役割を果たす。ビードは牽引ロールによって引っ張られ、これによって高粘度でのシート成形が可能となる。シートをアイソパイプから引っ張り出す速度を調整することによって、フュージョンドロー法を用いて、固定された溶融速度において極めて広い範囲の厚さを製造できる。
【0022】
ダウンドロー型シートドロー法、並びに特に(共にDockertyによる)特許文献1及び2(参照により本出願に援用される)に記載のフュージョン法を、本出願において使用できる。フロート法等の他の成形プロセスと比較して、フュージョンドロー法はいくつかの理由から好ましい。まず、フュージョン法によって作製されたガラス基板は、研磨の必要がない。現行のガラス基板の研磨は、原子間力顕微鏡で測定した場合に約0.5nm(Ra)超の平均表面粗度を有するガラス基板を製造できる。フュージョン法によって製造されたガラス基板は、原子間力顕微鏡で測定した場合に約0.5nm(Ra)未満の平均表面粗度を有する。この基板はまた、光遅延によって測定した場合に150psi(1034214Pa)以下の平均内部応力を有する。
【0023】
一態様では、本開示のガラスは、フュージョン法を用いてシート形状として製造される。本開示のガラスはフュージョン法に適合可能であるが、本開示のガラスは、要求がより少ない製造プロセスによって、シートまたは他の製品として製造することもできる。このようなプロセスとしては、スロットドロー法、フロート法、圧延、及び当業者に公知の他のシート成形プロセスが挙げられる。
【0024】
ガラスのシートを形成するための、これらの代替的方法に対して、上述のようなフュージョン法は、清浄な表面を有する、極めて薄く、極めて平坦で、極めて均一なシートを形成できる。スロットドローはまた、清浄な表面をもたらすことができるが、経時的なオリフィス形状の変化、オリフィス‐ガラス境界面における不安定な破片の蓄積、及び完全に平坦なガラスを送達するためのオリフィスを形成する困難さから、スロットドロー加工されたガラスの寸法均一性及び表面品質は一般に、フュージョンドロー加工されたガラスに劣る。フロート法は、極めて大型の均一なシートを送達できるが、表面は、片側においてフロート浴と接触すること、及びもう片側においてフロート浴からの濃縮産物に曝露されることによって、実質的に傷付けられる。これは、高性能ディスプレイ用途に使用するためには、フロートガラスを研磨しなければならないことを意味する。
【0025】
残念なことに、またフロート法とは異なり、フュージョン法は高温からのガラスの急速な冷却をもたらし、これは高い仮想温度Tをもたらす。仮想温度は、ガラスの構造的状態と、関心対象の温度において完全に緩和された場合に想定される状態との間の不一致を表すものとして考えることができる。これより、ガラス転移温度Tを用いて、ガラスをプロセス温度Tへと、T<T≦Tとなるように再加熱した結果について考える。T<Tであるため、ガラスの構造的状態は、Tにおける平衡状態から外れており、ガラスは、Tにおける平衡状態である構造的状態へと自然に緩和されることになる。この緩和の速度は、Tにおけるガラスの有効粘度の逆数に応じて増減し、従って高粘度によって緩和速度は遅くなり、低粘度によって緩和速度は速くなる。有効粘度は、ガラスの仮想温度の逆数に応じて変化し、これにより、低い仮想温度は高い粘度をもたらし、また高い仮想温度は比較的低い粘度をもたらす。従って、Tにおける緩和速度は、ガラスの仮想温度に応じて増減する。高仮想温度を導入するプロセスは、ガラスをTに再加熱する際に、比較的高い緩和速度をもたらす。
【0026】
における緩和速度を低下させるための1つの手段は、当該温度におけるガラスの粘度を上昇させることである。ガラスのアニール点は、ガラスが1013.2ポアズ(101.32Pa・s)の粘度を有する温度を表す。アニール点未満へと温度が低下すると、超冷却された溶融物の粘度は上昇する。T未満の固定された温度において、比較的高いアニール点を有するガラスは、比較的低いアニール点を有するガラスよりも、高い粘度を有する。従って、Tにおける基板ガラスの粘度を上昇させるために、そのアニール点を上昇させることを選択できる。残念なことに、アニール点を上昇させるために必要な組成の変化は一般に、他の全ての温度における粘度も上昇させる。特に、フュージョン法によって作製されたガラスの仮想温度は、約1011〜1012ポアズ(101.1〜101.2Pa・s)の粘度に対応し、従って、フュージョン法に適合可能なガラスに関するアニール点の上昇は一般に、その仮想温度も上昇させる。ある所与のガラスに関して、比較的高い仮想温度は、T未満の温度における比較的低い粘度をもたらし、従って仮想温度の上昇は、仮想温度を上昇させない場合にアニール点を上昇させることによって得られる粘度上昇に対抗して作用する。Tにおける緩和速度の有意な変化を観察するためには、一般に、アニール点を比較的大きく変化させる必要がある。本開示のガラスのある態様は、上記ガラスが約730℃超、より具体的には735℃超、及び最も具体的には740℃超のアニール点を有するようなものである。このような高いアニール点は、低温TFT加工、例えば非晶質シリコンまたは酸化物TFT熱サイクル中の、許容可能な低い熱緩和速度をもたらす。
【0027】
実際には、所望の大きさの液相粘度を有するアルカリ非含有ガラスはわずかである。非晶質シリコン用途に好適な基板ガラス(例えばEagle XG(登録商標))を用いた実験により、縁部配向器を、特定のアルカリ非含有ガラスの液相線温度未満の最高60℃の温度において連続的に保持できることが示されている。より高いアニール点を有するガラスがより高い成形温度を必要とすることは理解されていたが、縁部配向器が中央のルート温度に対してはるかに低温となることは予期されていなかった。この効果を追跡し続けるための有用なメトリックは、アイソパイプへの送達温度とガラスの液相線温度Tliqとの間の差である。フュージョン法では、ガラスを35000ポアズ(3500Pa・s)で送達することが一般に望ましく、35000ポアズ(3500Pa・s)の粘度に対応する温度は簡便にT35kとして表される。ある特定の送達温度に関して、T35k‐Tliqを可能な限り大きくすることが望ましいが、非晶質シリコン基板に関して、T35k‐Tliqが約60℃以上であれば、拡張された製造方式を実施できることが分かっている。本発明のある実施形態では、T10k‐Tliqは30℃以上である。
【0028】
この基準に加えて、フュージョン法は、高液相粘度を有するガラスを利用しなければならない。これは、ガラスとの境界面における失透産物を回避するため、及び最終的なガラスにおける視認可能な失透産物を最小化するために必要である。特定のシートサイズ及び厚さへのフュージョン法に適合可能な、ある所与のガラスに関して、より幅広いシートまたはより厚いシートを製造するためのプロセスの調整は一般に、アイソパイプ(フュージョン法用成形マンドレル)の両端における温度の低下をもたらす。従って、より高い液相粘度を有する本開示のガラスは、フュージョン法による製造に、より高い柔軟性を提供する。
【0029】
本明細書に記載のガラス組成物において、SiOは、基本的なガラス形成剤として機能する。特定の態様では、SiOの濃度はフラットパネルディスプレイガラス(例えばAMLCDガラス)に好適な密度及び耐化学性、並びにガラスがダウンドロー法(例えばフュージョン法)によって成形可能となる液相線温度(液相粘度)をガラスに提供するために、57重量パーセント超とすることができる。上限に関しては、一般にSiO濃度は、従来の大容積溶融技術、例えば耐火性溶融器内でのジュール溶融を用いてバッチ材料を溶融可能とするために、約61重量パーセント以下とすることができる。SiOの濃度が上昇すると、200ポアズ(20Pa・s)温度(融点)は一般に上昇する。
【0030】
Alは、本明細書に記載のガラスを作製するために使用される、別のガラス形成剤である。17.5重量パーセント以上のAl濃度は、ガラスに、低い液相線温度及び高い粘度をもたらし、これは高い液相粘度をもたらす。少なくとも17.5重量パーセントのAlを使用することにより、ガラスのアニール点及び弾性率も改善される。一態様では、Al濃度は17.5〜20.5重量パーセントの範囲である。
【0031】
は、ガラス形成剤でもあり、また溶融を支援して融点を低下させる融剤でもある。液相線温度に対するBの影響は、粘度に対するBの影響と少なくとも同程度であり、従って、使用するBの量を増大させると、ガラスの液相粘度を上昇させることができる。これらの効果を達成するために、本明細書に記載のガラス組成物は、5重量パーセント以上のB濃度を有する。SiOに関して上述したように、ガラスの耐久性はLCD用途に関して極めて重要である。耐久性は、アルカリ土類酸化物の濃度を上昇させることによってある程度制御でき、またB含量を増大させることによって大幅に低下させることができる。アニール点は、Bが増大するにつれて低下するため、非晶質シリコン基板中でのBの典型的な濃度に対して、B含量を低く維持することが望ましい。従って一態様では、本明細書に記載のガラスは、5〜8重量パーセントの範囲のB濃度を有する。
【0032】
ガラス形成剤(SiO、Al及びB)に加えて、本明細書に記載のガラスはアルカリ土類酸化物も含む。一態様では、例えばMgO、CaO及びBaO並びに任意にSrOといった、少なくとも3つのアルカリ土類酸化物がガラス組成の一部となる。アルカリ土類酸化物は、溶融、清澄、成形及び最終的な使用のために重要な様々な特性をガラスにもたらす。
【0033】
本発明の特定の実施形態に関して、アルカリ土類酸化物は、事実上単一の組成構成成分であるかのように扱ってよい。これは、粘弾性、液相線温度及び液相の関係性に対するこれらアルカリ土類酸化物の影響が、ガラス形成酸化物SiO、Al及びBに対してよりも、互いに対して、より定量的に同等であるためである。しかしながら、アルカリ土類酸化物CaO、SrO及びBaOは、長石系鉱物、特にアノーサイト(CaAlSi)及びセルシアン(BaAlSi)、並びにそのストロンチウム担持固溶体を形成し得るが、MgOは相当な程度まで、これらの結晶に関与しない。従って、長石結晶が既に液相である場合、MgOの更なる添加は、結晶に対して液体を安定させ、従って液相線温度を低下させる役割を果たし得る。同時に、粘度曲線は典型的にはより急峻となり、低温粘性に殆どまたは全く影響を及ぼさずに融点が低減される。この意味で、少量のMgOの添加は、高いアニール点及びこれに伴って小さいコンパクションを保持した状態での、低減された融点での溶融に役立ち、また低減された液相線温度及び上昇した液相粘度での成形に役立つ。
【0034】
ガラス組成中に存在する酸化カルシウムは、低い液相線温度(高い液相粘度)、高いアニール点及び弾性率、並びにフラットパネル用途、具体的にはAMLCD用途のために最も望ましい範囲のCTEをもたらすことができる。上記酸化カルシウムはまた、耐化学性にも良好に寄与し、他のアルカリ土類酸化物に比べて、バッチ材料として比較的安価である。しかしながらCaOは、濃度が高いと、密度及びCTEを上昇させる。更にCaOは、SiO濃度が十分に低いと、アノーサイトを安定化させる場合があり、従って液相粘度を低下させる場合がある。従って一態様では、CaO濃度を4重量パーセント以上とすることができる。別の態様では、ガラス組成中のCaO濃度は約3〜9重量パーセントの範囲である。
【0035】
SrO及びBaOは共に、低い液相線温度(高い液相粘度)に寄与でき、従って本明細書に記載のガラスは典型的には少なくともこれらの酸化物を両方共含有することになる。しかしながら、これらの酸化物の濃度は、CTE及び密度の上昇並びに弾性率及びアニール点の低下を回避できるように選択される。SrO及びBaOの相対的比率は、ダウンドロー法によってガラスを成形できるような物理的特性と液相粘度との好適な組合せが得られるよう、バランスを取ることができる。
【0036】
本発明のガラスの中心的な構成成分の効果/役割をまとめると、SiOは基本的なガラス形成剤である。Al及びBもまたガラス形成剤であり、これらはペアとして選択でき、例えばBの増大とこれに対応するAlの減少を用いて、より低い密度及びCTEが得られ、その一方でAlの増大とこれに対応するBの減少とを用いて、上昇したアニール点、弾性率及び耐久性が得られる。
【0037】
これらの考察に加えて、ガラスは特にダウンドロー法、例えばフュージョン法によって成形可能であり、ガラスの液相粘度を比較的高くする必要があることを意味する。個々のアルカリ土類は、これらのアルカリ土類が存在しない場合に形成される結晶相を不安定化させることができるため、この点で重要な役割を果たす。BaO及びSrOは、液相粘度の制御において特に有効であり、本発明のガラスに、少なくともこの目的のために含まれる。以下に提示する実施例において例示されるように、アルカリ土類の様々な組合せによって、高い液相粘度を有するガラスが製造される。
【0038】
上述の構成成分に加えて、本明細書に記載のガラス組成物は、ガラスの様々な物理的、溶融、清澄及び成形属性を調整するために、他の様々な酸化物を含むことができる。このような他の酸化物の例としては、TiO、MnO、Fe、ZnO、Nb、MoO、Ta、WO、Y、La及びCeOが挙げられるが、これらに限定されない。一態様では、これらの酸化物それぞれの量は、1重量パーセント以下、より具体的には0.5重量パーセント以下とすることができ、またこれらの合計濃度は2重量パーセント以下、より具体的には1重量パーセント以下とすることができる。本明細書に記載のガラス組成物はまた、バッチ材料に関連する、並びに/またはガラスを製造するために使用される溶融、清澄及び/若しくは成形設備によってガラス中に導入される、様々な汚染物質、特にFe及びZrOも含む場合がある。ガラスはまた、スズ‐酸化物電極を用いたジュール溶融の結果として、及び/またはスズ含有材料、例えばSnO、SnO、SnCO、SnC等のバッチ化によって、SnOも含有する場合がある。
【0039】
ガラス組成物は一般にアルカリ非含有であるが、ガラスは何らかのアルカリ汚染物質を含有する場合がある。AMLCD用途の場合、ガラスから薄膜トランジスタ(TFT)のシリコン中へのアルカリイオンの拡散による、TFT性能に対する悪影響がもたらされるのを回避するために、アルカリレベルを0.1重量パーセント未満に維持することが望ましい。本明細書で使用される場合、「アルカリ非含有ガラス(alkali‐free glass)」は、0.1重量パーセント以下の合計アルカリ濃度を有するガラスであり、ここで合計アルカリ濃度は、NaO、KO及びLiO濃度の合計である。一態様では、合計アルカリ濃度は0.1重量パーセント以下である。
【0040】
一実施形態では、本明細書に記載のガラス組成物は、酸化物基準で、以下の組成的特徴のうちの1つまたは複数または全てを有することができる:(i)最高0.05重量パーセントのAs濃度;(ii)最高0.05重量パーセントのSb濃度;(iii)最高0.25重量パーセントのSnO濃度。
【0041】
Asは、AMLCDガラスにとって有効な高温清澄剤であり、本明細書に記載のいくつかの態様では、Asはその優れた清澄特性により、清澄のために使用される。しかしながらAsは有毒であり、ガラス製造プロセス中に特別な取り扱いが必要である。従って特定の態様では、清澄は、有意量のAsを用いずに実施され、即ち完成したガラスは最高0.05重量パーセントのAs濃度を有する。一態様では、ガラスの清澄においてAsを敢えて使用しない。このような場合、完成したガラスは典型的には、バッチ材料中及び/またはバッチ材料の溶融に使用される設備中に存在する汚染物質を原因とする、最高0.005重量パーセントのAs濃度を有する。
【0042】
Asほどの毒性はないが、Sbもまた有毒であり、特別な取り扱いが必要である。更にSbは、AsまたはSnOを清澄剤として使用したガラスと比較して、密度を上昇させ、CTEを上昇させ、アニール点を低下させる。従って特定の態様では、清澄は、有意量のSbを用いずに実施され、即ち完成したガラスは最高0.05重量パーセントのSb濃度を有する。別の態様では、ガラスの清澄においてSbを敢えて使用しない。このような場合、完成したガラスは典型的には、バッチ材料中及び/またはバッチ材料の溶融に使用される設備中に存在する汚染物質を原因とする、最高0.005重量パーセントのSb濃度を有する。
【0043】
As及びSbによる清澄に比べて、スズによる清澄(即ちSnOによる清澄)は効果が低いものの、SnOは、既知の危険な特性を有しないありふれた材料である。また長年にわたって、AMLCDガラスのためのバッチ材料のジュール溶融においてスズ酸化物電極を使用することにより、SnOはこのようなガラスの構成成分であった。AMLCDガラス中のSnOの存在は、これらのガラスを液晶ディスプレイの製造に使用するにあたって、既知の悪影響を何らもたらしていない。しかしながら、SnOの濃度が高いと、AMLCDガラス中に結晶性欠陥が形成される場合があるため、これは好ましくない。一態様では、完成したガラス中のSnOの濃度は、0.25重量パーセント以下である。
【0044】
スズによる清澄は、単独で、または望ましい場合は他の清澄技術と組み合わせて使用できる。例えばスズによる清澄は、ハロゲン化物による清澄、例えば臭素による清澄と組み合わせることができる。他の可能な組合せとしては、スズによる清澄と、硫酸塩、硫化物、酸化セリウム、機械的バブリング及び/または真空による清澄との組合せが挙げられるが、これらに限定されない。これらの他の清澄技術は単独で使用できると考えられる。
【0045】
本明細書に記載のガラスは、当該技術分野で公知の様々な技術を用いて製造できる。一態様では、ガラスは、例えばフュージョンダウンドロー法等のダウンドロー法を用いて作製される。一態様では、本明細書に記載されるのは、シートを構成するガラスがSiO、Al、B、MgO、CaO及びBaOを含むように、バッチ材料を選択、溶融及び清澄するステップを含む、ダウンドロー法によってアルカリ非含有ガラスシートを製造するための方法であり、ここで:(a)上記清澄は、有意量のヒ素を用いることなく(及び任意に、有意量のアンチモンを用いることなく)実施され;並びに(b)溶融及び清澄済みバッチ材料からダウンドロー法によって製造された50個の連続するガラスシートの集合は、0.10気体包有/立方センチメートルのレベルの平均気体包有を有し、上記集合中の各シートは少なくとも500立方センチメートルの体積を有する。
【実施例】
【0046】
以下の実施例は、例示的実施形態を例示するために以下に挙げられている。これらの実施例は、本明細書に開示された主題の全ての実施形態を包含することを意図したものではなく、代表的な方法及び結果を例示することを意図したものである。これらの実施例は、当業者に明らかな本発明の均等物及び変形例を排除することを意図したものではない。
【0047】
数字(例えば量、温度等)に関して精度を保証するための努力は払われているものの、多少の誤差及び偏差を考慮しなければならない。そうでないことが示されていない限り、温度は℃であり、環境温度におけるものであり、また圧力は大気圧または大気圧付近である。組成物自体は、酸化物基準の重量パーセントで与えられ、100%に平準化されている。反応条件、例えば構成成分濃度、温度、圧力、並びに本記載のプロセスから得られる産物の純度及び収率を最適化するために使用できる他の反応範囲及び条件の、多数の変形例及び組合せが存在する。このようなプロセス条件を最適化するために、合理的かつ慣例的な実験のみが必要となる。
【0048】
表1に記載されるガラス特性は、ガラス分野で従来から使用されている技術に従って決定された。従って、温度範囲25〜300℃にわたる線形熱膨張率(CTE)は、10‐7/℃で表され、アニール点は℃で表される。これらは、繊維伸長技術(それぞれASTM基準E228〜85及びC336)によって決定した。グラム/cmで表される密度は、アルキメデス法(ASTM C693)によって測定した。℃で表される(ガラス溶融物が200ポアズ(20Pa・s)の粘度を示す温度として定義される)融点は、回転シリンダ粘度計(ASTM C965〜81)によって測定された高温粘度データに対するフルヒャーの式のフィットを利用して計算した。
【0049】
℃で表される液相線温度は、ASTM C829〜81の標準勾配ボート液相法を用いて測定した。これは、破砕されたガラス粒子を白金製ボート中に配置するステップ、ある範囲の勾配温度を有する炉内に上記ボートを配置するステップ、上記ボートを24時間にわたって適当な温度範囲で加熱するステップ、及び顕微鏡検査を用いて、ガラスの内部に結晶が確認される最高温度を決定するステップを伴う。より詳細には、ガラス試料を単一部品のPtボートから取り出し、偏光顕微鏡を用いて検査することによって、Pt及び空気境界面に対して、並びに試料の内部において、形成された結晶の位置及び性質を同定する。炉の勾配は極めてよく知られているため、温度:位置は5〜10℃の範囲内で容易に推定できる。試料の内部部分において結晶が観察される温度は、(対応する試験期間に関する)ガラスの液相線を表すものと解釈される。よりゆっくりと成長する相を観察するために、場合によっては試験をより長時間(例えば72時間)実施する。200ポアズ(20Pa・s)に対応する温度、及び液相線における粘度(ポアズ)は、フォーゲル‐フルヒャー‐タンマンの式:
【0050】
【数1】
【0051】
を用いた高粘度データへのフィットから決定され、ここでTは温度であり、A、B及びTはフィッティングパラメータである。液相粘度を決定するために、Tのための値として液相線温度を用いる。GPaで表されるヤング率の値は、ASTM E1875〜00e1に記載された一般的なタイプの共鳴超音波分光法を用いて決定した。
【0052】
表1において確認できるように、例示的なガラスは、このガラスをAMLCD基板用途等のディスプレイ用途、及びより詳細には低温ポリシリコン及び酸化物薄膜トランジスタ用途に好適なものとする、密度、CTE、アニール点及びヤング率を有する。表1には示されていないが、上記ガラスは、市販のAMLCD基板から得られるものと同様の酸及び塩基性媒体に対する耐久性を有し、従ってAMLCD用途に適切である。例示的なガラスは、ダウンドロー技術を用いて成形でき、特に上述の基準により、フュージョン法と適合可能である。
【0053】
表1及び2の例示的なガラスは、90重量%が規格U.S.100メッシュ篩を通過するように粉砕された、シリカ源としての市販の砂を用いて調製される。アルミナがアルミナ源であり、ペリクレースがMgO源であり、石灰岩がCaO源であり、炭酸ストロンチウム、硝酸ストロンチウムまたはこれらの混合物がSrO源であり、炭酸バリウムがBaO源であり、酸化スズ(IV)がSnO源であった。これらの原材料を十分に混合し、炭化ケイ素グローバーで加熱される炉内に懸架された白金製容器に装填し、1600〜1650℃の温度で数時間溶融及び撹拌して確実に均質とし、白金製容器の底部のオリフィスを通して送達した。得られたガラスの小塊をアニール点またはアニール点付近においてアニールした後、様々な実験法に供して、物理的属性、粘性属性及び液相属性を決定した。
【0054】
これらの方法は唯一のものではなく、表1のガラスは当業者に公知の標準的な方法を用いて調製できる。このような方法としては、連続溶融プロセスにおいて実施されるもの等の連続溶融プロセスが挙げられ、連続溶融プロセスで使用される溶融器は、ガスによって、電力によって、またはこれらの組合せによって加熱される。
【0055】
本開示のガラスを製造するために適切な原材料としては:SiO源としての市販の砂;Al源としてのアルミナ、水酸化アルミニウム、アルミナの水和形態並びに様々なアルミノシリケート、硝酸塩及びハロゲン化物;B源としてのホウ酸、無水ホウ酸及び三酸化二ホウ素;MgO源としてのペリクレース、ドロマイト(CaO源でもある)、マグネシア、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム並びに様々な形態のマグネシウムシリケート、アルミノシリケート、硝酸塩及びハロゲン化物;CaO源としての石灰岩、アラゴナイト、ドロマイト(MgO源でもある)、ウォラストナイト並びに様々な形態のカルシウムシリケート、アルミノシリケート、硝酸塩及びハロゲン化物;並びにストロンチウム及びバリウムの酸化物、炭酸塩、硝酸塩及びハロゲン化物が挙げられる。化学清澄剤が必要な場合、SnOとして、別の主要なガラス構成成分(例えばCaSnO)との混合酸化物として、または酸化条件下においてSnO、シュウ酸スズ、ハロゲン化スズ若しくは当業者に公知のスズの他の化合物として、スズを添加できる。
【0056】
表1のガラスは、清澄剤としてSnOを含有するが、TFT基板用途のための十分な品質のガラスを得るために、他の化学清澄剤を採用することもできる。例えば本開示のガラスは、As、Sb、CeO、Fe及びハロゲン化物のうちのいずれの1つまたは組合せを、清澄を促進するための意図的な添加物として採用してよく、またこれらのうちのいずれを、実施例において示されるSnO化学清澄剤と併用してよい。これらのうち、As及びSbは一般に危険な物質として認識されており、ガラス製造仮定またはTFTパネルの加工時に生成され得るもの等の廃棄物流中で制御される。従って、As及びSbの濃度を個別にまたは合わせて0.005モル%以下に制限することが望ましい。
【0057】
本開示のガラスに意図的に組み込まれる元素に加えて、周期表中のほとんど全ての安定な元素が、原材料中の低レベルの汚染物質によって、製造プロセスにおける耐火物及び貴金属の高温侵食によって、または最終的なガラスの属性を微調整するための、意図的な低レベルの導入によって、ある程度のレベルでガラス中に存在する。例えばジルコニウムは、ジルコニウムに富む耐火物との相互作用によって汚染物質として導入され得る。更なる例として、白金及びロジウムは、貴金属との相互作用によって導入され得る。更なる例として、鉄は、原材料中の極微量要素として導入され得、または気体包有の制御を増強するために意図的に添加され得る。更なる例として、アルカリは、LiO、NaO及びKOの合計濃度に関して最高約0.1モル%のレベルで、極微量構成成分として存在し得る。
【0058】
水素は、水素アニオン、OHの形態で不可避的に存在し、水素の存在は、標準的な赤外線分光法によって確認できる。溶解したヒドロキシルイオンは、本開示のガラスのアニール点に有意かつ非線形な影響を及ぼし、従って所望のアニール点を得るために、主要な酸化物構成成分の濃度を調整して補償する必要があり得る。ヒドロキシルイオン濃度は、原材料の選択または溶融系の選択によってある程度制御できる。例えばホウ酸はヒドロキシルの主要な源であり、三酸化二ホウ素でホウ酸を置換することは、最終的なガラス中のヒドロキシル濃度を制御するための有用な手段となり得る。ヒドロキシルイオン、水酸化物、または物理吸着若しくは化学吸着された水分子を含む化合物を含む他の潜在的な原材料にも、同一の推論が当てはまる。溶融プロセスにおいてバーナを使用する場合、ヒドロキシルイオンは、天然ガス及び関連する炭化水素の燃焼からの燃焼産物によっても導入され得、従って、溶融において使用されるエネルギをバーナから電極へとシフトさせて補償することが望ましい場合がある。あるいはその代わりに、主要な酸化物構成成分を調整して、溶解したヒドロキシルイオンの有害な影響を補償する、反復的なプロセスを採用してよい。
【0059】
硫黄は天然ガス中に存在する場合があり、また同様に、多くの炭酸塩、硝酸塩、ハロゲン化物及び酸化物原材料中の極微量構成成分である。SOの形態において、硫黄は気体包有の厄介な源となり得る。SOに富む欠陥が形成される傾向は、原材料中の硫黄レベルを制御することによって、及びガラスマトリクス中に、低レベルの比較的還元された多価カチオンを組み込むことによって、かなりの程度まで管理できる。理論によって束縛されることを望むものではないが、SOに富む気体包有は主に、ガラス中に溶解している硫酸の還元(SO)によって発生すると思われる。本開示のガラスのバリウム濃度の高さは、溶融の早期におけるガラス中の硫黄保持を増大させると思われるが、上述のように、バリウムは低液相線温度、並びにこれに伴う高いT35k‐Tliq及び高液相粘度を得るために必要である。原材料中の硫黄レベルを意図的に低レベルに制御することは、ガラス中に(恐らく硫酸として)溶解した硫黄を還元する有用な手段である。特に、硫黄は具体的にはバッチ材料中において200重量ppm未満、より具体的にはバッチ材料中において100重量ppm未満である。
【0060】
還元された多価分子は、本開示のガラスの、SO気泡を形成する傾向を制御するためにも使用できる。理論によって束縛されることを望むものではないが、これらの分子は、硫酸還元のための起電力を抑制する潜在的な電子供与体としての挙動を示す。硫酸還元は、半反応に関して:
【0061】
【化1】
【0062】
のように書くことができ、ここでeは電子を表す。この半反応に関する「平衡定数」は:
【0063】
【数2】
【0064】
であり、ここで角括弧は化学活性を表す。理想的には、SO、O及び2eから硫酸を生成するために上記反応を推し進めることが望ましい。硝酸塩、過酸化物または他の酸素に富む原材料の添加は有益であり得るが、これはまた、溶融の早期における硫酸塩の還元に対抗して作用する場合があり、これはそもそも、これらを添加することによる主たる利益に対して反作用し得る。SOはほとんどのガラスにおいて可溶性が極めて低く、従ってガラス溶融プロセスへの添加は非実際的である。電子は、還元された多価分子によって「添加」できる。例えば第1鉄(Fe2+)に関する電子供与半反応は:
【0065】
【化2】
【0066】
のように表される。
【0067】
この電子の「活性(activity)」は、硫酸塩還元反応を左側へと推し進め、ガラス中のSO4‐を安定させる場合がある。好適な還元された多価分子としては、Fe2+、Mn2+、Sn2+、Sb3+、As3+、V3+、Ti3+、及び当業者に公知の他のものが挙げられるが、これらに限定されない。各場合において、これらの構成成分の濃度を最小化することによって、ガラスの色に対する悪影響を回避すること、またはAs及びSbの場合には、これらの構成成分を、エンドユーザのプロセスにおける廃棄物管理が複雑になってしまうほどの高いレベルで添加するのを回避すること、が重要となり得る。
【0068】
本開示のガラスの主要な酸化物構成成分、及び上述の微量または極微量構成要素に加えて、原材料の選択によって導入される汚染物質として、またはガラス中の気体包有を削減するために使用される意図的な構成成分として、ハロゲン化物が様々なレベルで存在してよい。清澄剤としては、ハロゲン化物は約0.4モル%以下のレベルで組み込んでよいが、可能であれば、オフガス取り扱い設備の腐食を回避するために、更に少量だけ使用することが一般的に望ましい。ある好ましい実施形態では、個々のハロゲン化物分子の濃度は、個々のハロゲン化物分子それぞれに関して約200重量ppm未満、または全てのハロゲン化物分子の合計に関して約800重量ppm未満である。
【0069】
これらの主要な酸化物構成成分、微量及び極微量構成成分、多価分子並びにハロゲン化物清澄剤に加えて、所望の物理的、光学的、または粘弾性特性を達成するために、低濃度の他の無色の酸化物構成成分を組み込むと有用であり得る。このような酸化物としては、TiO、ZrO、HfO、Nb、Ta、MoO、WO、ZnO、In、Ga、Bi、GeO、PbO、SeO、TeO、Y、La、Gd、及び当業者に公知の他のものが挙げられるが、これらに限定されない。本開示のガラスの主要な酸化物構成成分の相対的な比率を調整する反復プロセスによって、これらの無色の酸化物を、アニール点、T10k‐Tliqまたは液相粘度に許容できない影響を及ぼすことなく、最高約2モル%まで添加できる。
【0070】
実施形態によるガラス組成物の例を、以下の表1に開示する。
【0071】
【表1-1】
【0072】
【表1-2】
【0073】
【表1-3】
【0074】
【表1-4】
【0075】
【表1-5】
【0076】
本明細書に記載の材料、方法及び物品に対して、様々な修正及び変形を実施できる。本明細書に記載の材料、方法及び物品の他の態様は、本明細書に開示される材料、方法及び物品の詳述及び実践を考察することにより明らかになるであろう。以上の詳述及び実施例は例示的なものと見做されることが意図されている。
【0077】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0078】
実施形態1
酸化物基準の重量パーセントで:SiO 57〜61、Al 17.5〜20.5、B 5〜8、MgO 1〜5、CaO 3〜9、SrO 0〜6、BaO 0〜6.5を含む、ガラスであって、
上記ガラスは、>685℃のひずみ点、>77GPaのヤング率、<2.55の密度、及び<1300℃の、約10000ポアズ(1000Pa・s)の粘度における温度(T10k)を呈する、ガラス。
【0079】
実施形態2
上記ガラスは、酸化物基準の重量パーセントで57.5〜60.5の範囲のSiOを含む、実施形態1に記載のガラス。
【0080】
実施形態3
上記ガラスは、酸化物基準の重量パーセントで17.8〜20.2の範囲のAlを含む、実施形態1または2に記載のガラス。
【0081】
実施形態4
上記ガラスは、酸化物基準の重量パーセントで5.5〜7.8のBを含む、実施形態1〜3のいずれか1つに記載のガラス。
【0082】
実施形態5
上記ガラスは、酸化物基準の重量パーセントで1〜4.5のMgOを含む、実施形態1〜4のいずれか1つに記載のガラス。
【0083】
実施形態6
上記ガラスは、酸化物基準の重量パーセントで1〜4.5のCaOを含む、実施形態1〜5のいずれか1つに記載のガラス。
【0084】
実施形態7
上記ガラスは、酸化物基準の重量パーセントで1〜4.5のCaOを含む、実施形態1〜6のいずれか1つに記載のガラス。
【0085】
実施形態8
上記ガラスは、酸化物基準の重量パーセントで1〜4.5のSrOを含む、実施形態1〜7のいずれか1つに記載のガラス。
【0086】
実施形態9
上記ガラスは、酸化物基準の重量パーセントで0〜6のBaOを含む、実施形態1〜8のいずれか1つに記載のガラス。
【0087】
実施形態10
上記ガラスは、730℃超のアニール点を有する、実施形態1〜9のいずれか1つに記載のガラス。
【0088】
実施形態11
上記ガラスは、31超の比弾性率を有する、実施形態1〜10のいずれか1つに記載のガラス。
【0089】
実施形態12
上記ガラスは、T15k‐Tliq>30℃を満たす、実施形態1〜11のいずれか1つに記載のガラス。
【0090】
実施形態13
酸化物基準の重量パーセントで:SiO 58〜60、Al 17〜20、B 7.25以下、MgO 3以上、CaO 2〜4.5、SrO 1.5以上、BaO 3〜5を含み、
SiO、Al、B、MgO、CaO、SrO及びBaOは、酸化物構成成分の重量パーセントを表す、実施形態1に記載のガラス。
【0091】
実施形態14
735℃以上のアニール点を有する、実施形態1〜13のいずれか1つに記載のガラス。
【0092】
実施形態15
35k‐Tliqは60以上である、実施形態1〜14のいずれか1つに記載のガラス。
【0093】
実施形態16
約1200℃〜約1250℃の範囲のT35Kを有する、実施形態1〜15のいずれか1つに記載のガラス。
【0094】
実施形態17
35Kは、約1235℃以下である、実施形態1〜16のいずれか1つに記載のガラス。
【0095】
実施形態18
約28〜42×10‐7/℃の範囲のCTEを有する、実施形態1〜14のいずれか1つに記載のガラス。
【0096】
実施形態19
液相粘度は130kpoise(13kPa・s)以上である、実施形態1〜17のいずれか1つに記載のガラス。
【0097】
実施形態20
酸化物基準の重量パーセントで:SiO 57〜61、Al 17〜21、B 5〜8、MgO 3以上5未満、CaO 2〜4.5、SrO 1.5以上5未満、BaO 3.5〜8を含み、ここでSiO、Al、B、MgO、CaO、SrO及びBaOは、酸化物構成成分の重量パーセントを表す、ボロアルミノシリケートガラスであって、
上記ガラスは、以下の特性:
(MgO+CaO+SrO+BaO)/Al≧1.05;
735℃以上のアニール点;
35k‐Tliqが60以上であること;
35Kが1250℃以下であること;
約39×10‐7/℃未満のCTE;
77GPa以上のヤング率;及び
2.55g/cm以下の密度
を有する、ボロアルミノシリケートガラス。
【0098】
実施形態21
実施形態1〜19のいずれか1つのガラスを含む、物体であって、
上記物体は、ダウンドロー型シート製作プロセスによって製造される、物体。
【0099】
実施形態22
実施形態1〜19のいずれか1つのガラスを含む、物体であって、
上記物体は、フュージョン法によって製造される、物体。
【0100】
実施形態23
実施形態1〜19のいずれか1つのガラスを含む、液晶ディスプレイ基板。
図1
図2