(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上述のような特許文献1に示された室外機では、底板と熱交換器との間に介在するスペーサは、単に底板の上に配置されているに過ぎず、底板に対するスペーサの位置が固定されていない。このため、室外機の搬送時等のように振動が加わる場合には、スペーサが底板に対して移動してしまい、熱交換器の位置が安定せず、熱交換器の接続箇所等に応力負荷がかかってしまうおそれがある。
【0005】
また、上述の特許文献1に記載の例には、熱交換器の伝熱管が延びている方向と平行に凸部が延びている底板に対して、同じく長手方向に凹部が延びているスペーサを嵌め込んでいる例が紹介されている。ところが、この場合においても、やはり振動によってスペーサが当該長手方向に平行な方向に移動してしまうおそれがある。
【0006】
本発明は上述した点に鑑みてなされたものであり、本発明の課題は、熱交換器と底フレームとの間の腐食を抑制させる部材を用いる場合であっても当該部材の位置を定めることが可能な冷凍装置の室外ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1観点に係る冷凍装置の室外ユニットは、熱交換器と、筐体と、スペーサと、を備えている。熱交換器は、金属によって構成されている。筐体は、熱交換器とは異なる種類の金属によって構成されている底フレームを有しており、熱交換器を内部に収容する。スペーサは、設置状態における熱交換器と底フレームとの間に介在しており、絶縁性を有している。底フレームは、第1部分と第2部分を有している。スペーサは、熱交換器が上に載置する本体部と、本体部から延伸した部分である位置決め部と、を有している。そして、
位置決め部は、第1接触面および第2接触面を有している。第1接触面および第2接触面は、本体部側とは反対側を向いており、互いに非平行である。第1接触面は底フレームの第1部分と接し、第2接触面は底フレームの第2部分と接している
。
【0008】
なお、筐体と熱交換器はそれぞれ一種類の金属によって構成されている必要はなく、特に筐体と熱交換器とが互いに近接している部分が異なる金属によって構成されていてよい。
【0009】
この冷凍装置の室外ユニットでは、筐体と熱交換器とが異なる種類の金属によって構成されているが、両者の間に絶縁性を有するスペーサが配置されている。このため、互いに両者の電気的な腐食を抑制することができている。しかも、スペーサは、熱交換器が載置される本体部から延伸した位置決め部を有しており、底フレームに対するスペーサの位置を定めることができる。これにより、室外ユニットの搬送時等において、位置決め部の第1接触面が底フレームの第1部分との接触面においてずれを生じさせる方向に力を受けたとしても、位置決め部における第1接触面と非平行な第2接触面が底フレームの第2部分と接していることで、スペーサのずれを抑制させることができる。特に、スペーサが本体側に移動しにくい構造下で用いられる場合や、位置決め部の第1接触面と第2接触面がそれぞれ底フレームの第1部分と第2部分に押し当てられるようにスペーサが設けられている場合には、特に当該ずれを抑制させることができる。したがって、熱交換器と底フレームとの間の腐食を抑制しつつ、底フレームに対するスペーサの移動も抑制することができる。
【0010】
第2観点に係る冷凍装置の室外ユニットは、第1観点に係る冷凍装置の室外ユニットであって、底フレームは、底部分と、底部分の周縁に立設された側壁部分と、を有している。スペーサの位置決め部は、底フレームの側壁部分と接する部分を有している。
【0011】
この冷凍装置の室外ユニットでは、スペーサの位置決め部が底フレームの周縁に立設された側壁部分に接する部分を有していることから、スペーサのずれをより効果的に抑制させることが可能になる。
【0012】
第3観点に係る冷凍装置の室外ユニットは、第1観点または第2観点に係る冷凍装置の室外ユニットであって、底フレームは、底部分と、底部分の周縁に立設された側壁部分と、を有している。位置決め部は、底フレームの側壁部分よりも高い位置まで延びた部分を有している。
【0013】
この冷凍装置の室外ユニットでは、位置決め部が、底フレームの側壁部分よりも高い位置まで延びた部分を有しているため、熱交換器を底フレームに設置する際に、熱交換器の底部分はスペーサの位置決め部の上方部分に当たることで底フレームの側壁部分の上端に当たることが避けられる。これにより、熱交換器の底部分が底フレームの側壁部分に当たることによる損傷を抑制することが可能になる。
【0014】
第4観点に係る冷凍装置の室外ユニットは、第1観点から第3観点のいずれかに係る冷凍装置の室外ユニットであって、底フレームが、底フレーム膨出部を有している。位置決め部が、上面視において少なくとも3方向から底フレーム膨出部を覆う形状を有している。
【0015】
この冷凍装置の室外ユニットでは、底フレームの上方に向けて膨出した底フレーム膨出部を上面視において少なくとも3方向から覆うことで、設置状態の上面視における底フレームに対するスペーサの相対移動を規制している。このため、スペーサは底フレームに対して重力に逆らうように上方に持ち上げられなければ移動しないため、スペーサの移動を十分に規制することが可能になる。
【0016】
第5観点に係る冷凍装置の室外ユニットは、第1観点から第4観点のいずれかに係る冷凍装置の室外ユニットであって、筐体は、底フレームに対して締結部材によって取り付けられる側フレームをさらに有している。スペーサは、設置状態の上面視において締結部材の一部と重複する位置に設けられている。スペーサは、締結部材との接触を回避するための凹部を有している。
【0017】
この冷凍装置の室外ユニットでは、底フレームと側フレームとを締結部材によって固定する場合において、締結部材がスペーサの近傍にまで延び出している場合であっても、スペーサが凹部を有していることにより締結部材との干渉を抑制させることが可能になる。
【0018】
第6観点に係る冷凍装置の室外ユニットは、熱交換器と、筐体と、スペーサと、を備えている。熱交換器は、金属によって構成されている。筐体は、熱交換器とは異なる種類の金属によって構成されている底フレームを有しており、熱交換器を内部に収容する。スペーサは、設置状態における熱交換器と底フレームとの間に介在しており、絶縁性を有している。底フレームは、第1部分と第2部分を有している。スペーサは、熱交換器が上に載置する本体部と、本体部から上面視で熱交換器と重ならない箇所まで延伸した部分である位置決め部と、を有している。位置決め部は、
上面視で熱交換器と重ならない箇所に設けられ、下方に向けて膨出した位置決め膨出部を有している。底フレームは、上面視において少なくとも3方向から位置決め膨出部を覆う形状を有している。底フレームは、傾斜面を有している。位置決め部は、傾斜面に沿って伸びており、スペーサの回転を規制する傾斜部を有している。
【0019】
なお、「3方向」について説明すると、底フレームが上面視において少なくとも3方向から位置決め膨出部を覆う場合には、当該3方向のうちの各方向を法線とする3つの面によって位置決め膨出部が囲まれることになる。ここで、3つの面によって位置決め膨出部が囲まれる場合は、曲面と曲面で接していてもよいし、曲面と平面で接していてもよいし、曲面と点(例えば突起形状の先端部分)で接していてもよいし、平面と点で接触していてもよいし、平面と平面で接触していてもよいが、なかでも平面と平面で接触している方が好ましい。また、これらの3方向のそれぞれにおいて接触の仕方は互いに同じであっても異なっていてもよく、例えば、3方向のうちの2方向が曲面と曲面、平面と平面または曲面と平面で接触しており、他の1方向が曲面と点又は平面と点で接触していてもよい。
【0020】
なお、筐体と熱交換器はそれぞれ一種類の金属によって構成されている必要はなく、特に筐体と熱交換器とが互いに近接している部分が異なる金属によって構成されていてよい。
【0021】
この冷凍装置の室外ユニットでは、筐体と熱交換器とが異なる種類の金属によって構成されているが、両者の間に絶縁性を有するスペーサが配置されている。このため、互いに両者の電気的な腐食を抑制することができている。しかも、スペーサは、熱交換器が載置される本体部から延伸した位置決め部を有しており、底フレームに対するスペーサの位置を定めることができる。これにより、室外ユニットの搬送時等において、スペーサのずれを抑制させることができる。したがって、熱交換器と底フレームとの間の腐食を抑制しつつ、底フレームに対するスペーサの移動も抑制することができる。
【0022】
第7観点に係る冷凍装置の室外ユニットは、第1観点から第6観点のいずれかに係る冷凍装置の室外ユニットであって、スペーサは、下面における排水用の溝と上下方向に貫通した排水用の孔との少なくともいずれか一方を有している。
【0023】
この冷凍装置の室外ユニットでは、熱交換器を種類の異なる金属で構成されている底フレームに対してスペーサを介して固定している場合であっても、電気的な腐食を抑制させつつ、当該スペーサにおいて排水用の水を通過させることが可能になる。
【発明の効果】
【0024】
第1観点に係る冷凍装置の室外ユニットでは、熱交換器と底フレームとの間の腐食を抑制しつつ、底フレームに対するスペーサの移動も抑制することができる。
【0025】
第2観点に係る冷凍装置の室外ユニットでは、スペーサのずれをより効果的に抑制させることが可能になる。
【0026】
第3観点に係る冷凍装置の室外ユニットでは、熱交換器の底部分が底フレームの側壁部分に当たることによる損傷を抑制することが可能になる。
【0027】
第4観点に係る冷凍装置の室外ユニットでは、スペーサの移動を十分に規制することが可能になる。
【0028】
第5観点に係る冷凍装置の室外ユニットでは、締結部材とスペーサとの干渉を抑制させることが可能になる。
【0029】
第6観点に係る冷凍装置の室外ユニットでは、熱交換器と底フレームとの間の腐食を抑制しつつ、底フレームに対するスペーサの移動も抑制することができる。
【0030】
第7観点に係る冷凍装置の室外ユニットでは、電気的な腐食を抑制させつつ、当該スペーサにおいて排水用の水を通過させることが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
(1)空気調和装置1の全体構成
図1は、本発明の一実施形態に係る冷凍装置としての空気調和装置1の構成の概要を示す回路図である。
【0033】
空気調和装置1は、蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行うことによって空調室内機3が設置されている建物内の冷暖房に使用される装置であり、熱源側ユニットとしての空調室外機2と、利用側ユニットとしての空調室内機3とが冷媒連絡配管6,7で接続されて構成されている。
【0034】
空調室外機2と空調室内機3と冷媒連絡配管6,7とが接続されて構成される冷媒回路は、圧縮機91、四路切換弁92、室外熱交換器20、膨張弁33、室内熱交換器4およびアキュムレータ93などが冷媒配管で接続されることで構成されている。この冷媒回路内には冷媒が封入されており、冷媒が圧縮され、冷却され、減圧され、加熱・蒸発された後に、再び圧縮されるという冷凍サイクル運転が行われるようになっている。冷媒としては、例えば、R410A、R32、R407C、R22、R134aなどから選択されたものが用いられる。
【0035】
(2)空気調和装置1の詳細構成
(2−1)空調室内機3
空調室内機3は、室内の壁面に壁掛け等により、又は、ビル等の室内の天井に埋め込みや吊り下げ等により設置される。空調室内機3は、室内熱交換器4と、室内ファン5とを有している。室内熱交換器4は、例えば伝熱管と多数のフィンとにより構成されたクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器であり、冷房運転時には冷媒の蒸発器として機能して室内空気を冷却し、暖房運転時には冷媒の凝縮器として機能して室内空気を加熱する熱交換器である。
【0036】
(2−2)空調室外機2
空調室外機2は、ビル等の室外に設置されており、冷媒連絡配管6,7を介して空調室内機3に接続される。空調室外機2は、
図2および
図3に示されているように、略直方体状のユニットケーシング10を有している。
【0037】
図3に示されているように、空調室外機2は、ユニットケーシング10の内部空間を鉛直方向に延びる仕切板18で二つに分割することによって送風機室S1と機械室S2とを形成した構造(いわゆる、トランク型構造)を有するものである。空調室外機2は、ユニットケーシング10の送風機室S1内に配置された室外熱交換器20および室外ファン95を有しており、ユニットケーシング10の機械室S2内に配置された圧縮機91、四路切換弁92、アキュムレータ93、膨張弁33、ガス冷媒配管31、および、液冷媒配管32を有している。
【0038】
ユニットケーシング10は、底フレーム12と、天板11と、送風機室側の側板13と、機械室側の側板14と、送風機室側前板15と、機械室側前板16と、を備えて、筐体を構成している。このユニットケーシング10を構成している底フレーム12と、天板11と、送風機室側の側板13と、機械室側の側板14と、送風機室側前板15と、機械室側前板16とは、いずれもアルミニウムおよびアルミニウム合金以外の同種又は異種の金属によって構成されており、本実施形態においては鉄を主成分として構成される合金が用いられている。なお、これらの金属は表面がメッキ加工されていてもよく、その場合にはアルミニウムおよびアルミニウム合金以外の金属によってメッキ加工される。
【0039】
以下、送風機室側前板15および機械室側前板16が広がる面の法線方向であって、送風機室側前板15および機械室側前板16に対してユニットケーシング10の内部とは反対側の向きを、特に断らない限り、「前」とし、その反対側を「後」とする。また、「左」、「右」、「上」、「下」は、いずれも設置状態における当該前側から見た場合における向きを意味することとする。
【0040】
底フレーム12は、底フレームの概略外観斜視図である
図4に示すように、ユニットケーシング10の底を構成する底部分12aと、底部分12aの周縁において立設するように設けられた側壁部分12bとを有している。送風機室側の側板13、機械室側の側板14、送風機室側前板15、および、機械室側前板16は、いずれも下端部分が底フレーム12の側壁部分12bの外側と面接触した状態でビス等によって固定されている。
【0041】
空調室外機2は、ユニットケーシング10の背面および側面の一部からユニットケーシング10内の送風機室S1に室外空気を吸い込んで、吸い込んだ室外空気をユニットケーシング10の前面から吹き出すように構成されている。具体的には、ユニットケーシング10内の送風機室S1に対する吸込口10aおよび吸込口10bが、送風機室側の側板13の背面側の端部13aと機械室側の側板14の送風機室S1側の端部14aとにわたって形成されている。また、吹出口10cは、送風機室側前板15に設けられており、その前側がファングリル15aによって覆われている。
【0042】
圧縮機91は、例えば圧縮機用モータによって駆動される密閉式圧縮機であり、インバータ制御によって運転容量を変化させることができるよう構成されている。
【0043】
四路切換弁92は、冷媒の流れの方向を切り換えるための機構である。冷房運転時には、四路切換弁92は、圧縮機91の吐出側の冷媒配管と室外熱交換器20の一端(ガス側端部)から延びるガス冷媒配管31とを接続するとともに、アキュムレータ93を介してガス冷媒の冷媒連絡配管7と圧縮機91の吸入側の冷媒配管とを接続する(
図1の四路切換弁92の実線を参照)。また、暖房運転時には、四路切換弁92は、圧縮機91の吐出側の冷媒配管とガス冷媒の冷媒連絡配管7とを接続するとともに、アキュムレータ93を介して圧縮機91の吸入側と室外熱交換器20の一端(ガス側端部)から延びるガス冷媒配管31とを接続する(
図1の四路切換弁92の破線を参照)。
【0044】
室外熱交換器20は、送風機室S1に上下方向(鉛直方向)に立てて配置され、吸込口10a,10bに対向している。室外熱交換器20は、アルミニウム製の熱交換器であり、本実施形態では設計圧力が3MPa〜4MPa程度のものを用いている。室外熱交換器20は、一端(ガス側端部)から、四路切換弁92と接続されるように、ガス冷媒配管31が延びている。また、室外熱交換器20の他端(液側端部)から、膨張弁33に接続されるように、液冷媒配管32が延びている。
【0045】
アキュムレータ93は、四路切換弁92と圧縮機91との間に接続されている。アキュムレータ93は、冷媒を気相と液相とに分ける気液分離機能を具備している。アキュムレータ93に流入する冷媒は、液相と気相とに分かれ、上部空間に集まる気相の冷媒が圧縮機91へと供給される。
【0046】
室外ファン95は、室外熱交換器20を流れる冷媒との間で熱交換をさせるための室外空気を、室外熱交換器20に対して供給する。
【0047】
膨張弁33は、冷媒回路において冷媒を減圧するための機構であり、開度調整が可能な電動弁である。膨張弁33は、冷媒圧力や冷媒流量の調節を行うために、室外熱交換器20と液冷媒の冷媒連絡配管6の間に設けられ、冷房運転時および暖房運転時のいずれにおいても、冷媒を膨張させる機能を有している。
【0048】
室外ファン95は、送風機室S1に室外熱交換器20に対向して配置されている。室外ファン95は、ユニット内に室外空気を吸入して、室外熱交換器20において冷媒と室外空気との間で熱交換を行わせた後に、熱交換後の空気を室外に排出する。この室外ファン95は、室外熱交換器20に供給する空気の風量を可変することが可能なファンであり、例えば、DCファンモータ等からなるモータによって駆動されるプロペラファン等である。
【0049】
(3)空気調和装置1の動作
(3−1)冷房運転
冷房運転時は、四路切換弁92が
図1の実線で示される状態、すなわち、圧縮機91の吐出側がガス冷媒配管31を介して室外熱交換器20のガス側に接続され、かつ、圧縮機91の吸入側がアキュムレータ93、冷媒連絡配管7を介して室内熱交換器4のガス側に対して接続された状態となっている。膨張弁33は、室内熱交換器4の出口(すなわち、室内熱交換器4のガス側)における冷媒の過熱度、又は室外熱交換器20の出口(すなわち、室外熱交換器20の液側)における過冷却度が一定になるように開度調節される。この冷媒回路の状態で、圧縮機91、室外ファン95および室内ファン5を運転すると、低圧のガス冷媒は、圧縮機91で圧縮されることで高圧のガス冷媒となる。この高圧のガス冷媒は、四路切換弁92を経由して室外熱交換器20に送られる。その後、高圧のガス冷媒は、室外熱交換器20において、室外ファン95によって供給される室外空気と熱交換を行って凝縮して高圧の液冷媒となる。そして、過冷却状態になった高圧の液冷媒は、室外熱交換器20から膨張弁33に送られる。膨張弁33によって圧縮機91の吸入圧力近くまで減圧されて低圧の気液二相状態となった冷媒は、室内熱交換器4に送られ、室内熱交換器4において室内空気と熱交換を行って蒸発して低圧のガス冷媒となる。
【0050】
この低圧のガス冷媒は、冷媒連絡配管7を経由して空調室外機2に送られ、再び、圧縮機91に吸入される。このように冷房運転では、空気調和装置1は、室外熱交換器20を圧縮機91において圧縮される冷媒の凝縮器として、かつ、室内熱交換器4を室外熱交換器20において凝縮された冷媒の蒸発器として機能させる。
【0051】
なお、冷房運転時の冷媒回路では、膨張弁33の過熱度制御が行われつつ、設定温度となるように(冷房負荷を処理できるように)圧縮機91がインバータ制御されている。
【0052】
(3−2)暖房運転
暖房運転時は、四路切換弁92が
図1の破線で示される状態、すなわち、圧縮機91の吐出側が冷媒連絡配管7を介して室内熱交換器4のガス側に接続され、かつ、圧縮機91の吸入側がガス冷媒配管31を介して室外熱交換器20のガス側に接続された状態となっている。膨張弁33は、室内熱交換器4の出口における冷媒の過冷却度が過冷却度目標値で一定になるように開度調節されるようになっている(過冷却度制御)。この冷媒回路の状態で、圧縮機91、室外ファン95および室内ファン5を運転すると、低圧のガス冷媒は、圧縮機91に吸入されて圧縮されて高圧のガス冷媒となり、四路切換弁92、および、冷媒連絡配管7を経由して、空調室内機3に送られる。
【0053】
そして、空調室内機3に送られた高圧のガス冷媒は、室内熱交換器4において、室内空気と熱交換を行って凝縮して高圧の液冷媒となった後、膨張弁33を通過する際に、膨張弁33の弁開度に応じて減圧される。この膨張弁33を通過した冷媒は、室外熱交換器20に流入する。そして、室外熱交換器20に流入した低圧の気液二相状態の冷媒は、室外ファン95によって供給される室外空気と熱交換を行って蒸発して低圧のガス冷媒となり、四路切換弁92を経由して、再び、圧縮機91に吸入される。このように暖房運転では、空気調和装置1は、室内熱交換器4を圧縮機91において圧縮される冷媒の凝縮器として、かつ、室外熱交換器20を室内熱交換器4において凝縮された冷媒の蒸発器として機能させる。
【0054】
なお、暖房運転時の冷媒回路では、膨張弁33の過冷却度制御が行われつつ、設定温度となるように(暖房負荷を処理できるように)圧縮機91がインバータ制御されている。
【0055】
(4)室外熱交換器20の詳細構成
図5に、室外熱交換器20の概略外観斜視図を示す。また、
図6に、伝熱フィン21aの扁平多穴管21bに対する取付状態を示す。
【0056】
室外熱交換器20は、室外空気と冷媒との熱交換を行わせる熱交換部21と、この熱交換部21の一端側に設けられた出入口ヘッダ集合管26および折返しヘッダ24と、この熱交換部21の他端側に設けられた連結ヘッダ23と、折返しヘッダ24の下部と折返しヘッダ24の上部を連結させる連絡部25と、出入口ヘッダ集合管26の下方に分流された冷媒を導く分流器22と、を備えている。
【0057】
本実施形態において、室外熱交換器20を構成する各部材は、いずれもアルミニウム製もしくはアルミニウム合金製である。
【0058】
熱交換部21は、多数の伝熱フィン21aと多数の扁平多穴管21bとで構成されている。伝熱フィン21aは、平板部材であり、各伝熱フィン21aには水平方向に延びる扁平管挿入用の切り欠き21aaが上下方向に並べて複数形成されている。なお、伝熱フィン21aは、空気流れの上流側に向けて突出した部分を無数に有するように取り付けられている。
【0059】
扁平多穴管21bは、伝熱管として機能し、伝熱フィン21aと室外空気との間を移動する熱を、内部を流れる冷媒に伝達する。この扁平多穴管21bは、伝熱面となる上下の平面部と、冷媒が流れる複数の流入口21baを有している。このような形状を有する扁平多穴管21bは、複数設けられており、これら複数が鉛直方向に所定の間隔をあけて配置されている。
図6に示すように、これらの複数の扁平多穴管21bには、それぞれ上述した伝熱フィン21aの複数の切り欠き21aaが嵌め込まれることで伝熱フィン21aがロウ付け固定されている。ここで、伝熱フィン21aは、複数の扁平多穴管21bに跨がるようにして上下に繋がっているため、伝熱フィン21aや扁平多穴管21bで生じた結露水は、伝熱フィン21aに沿って下方に滴り落ち、底フレーム12の排水面12yを伝うように流れた後、排水面12yに形成されている排水口12xを通じて外部に排出される。
【0060】
なお、この熱交換部21は、室外ファン95によって生じる空気流れ方向(筐体の背面および左側面側から筐体の正面のファングリル15aに向かう流れ)において、風上側を縁取るように設けられた風上側熱交換部27と、風下側を縁取るように設けられた風下側熱交換部28と、を有しており、2列並ぶように構成されている。風上側熱交換部27は、風上側を縁取るように延びており上下方向に並んだ複数の扁平多穴管21bと、この扁平多穴管21bに固定された伝熱フィン21aとを有している。また、風下側熱交換部28は、同様に、風下側を縁取るように延びており上下方向に並んだ複数の扁平多穴管21bと、この扁平多穴管21bに固定された伝熱フィン21aとを有している。
【0061】
この風上側熱交換部27と風下側熱交換部28を有する熱交換部21は、上面視において、背面側に沿うように左右に伸びる部分と、送風機室側の側方において前後に伸びる部分と、これらを繋ぐ湾曲部分と、によって構成されている。
【0062】
分流器22は、液冷媒配管32と出入口ヘッダ集合管26の下方部分とを連結させるように接続されており、例えば室外熱交換器20が冷媒の蒸発器として機能する際には液冷媒配管32から流れてきた冷媒を高さ方向に分流させて出入口ヘッダ集合管26の下方部分に導く。
【0063】
出入口ヘッダ集合管26は、鉛直方向に延びる筒状部材であり、室外熱交換器20への冷媒の入口側部分と出口側部分を上下に分けて有している。出入口ヘッダ集合管26の下方部分は、上述のように液冷媒配管32に対して分流器22を介して接続されている。出入口ヘッダ集合管26の上方部分は、ガス冷媒配管31に対して接続されている。出入口ヘッダ集合管26は、略円筒形状に形成されており、上方部分の内部空間と下方部分の内部空間とが内部に設けられたバッフル(図示せず)によって上下に仕切られている。また、出入口ヘッダ集合管26の下方部分は、分流器22によって分流された冷媒の分布が維持されるように、複数のバッフルによって上下に仕切られている。すなわち、分流器22によって上下に分けられた各冷媒流れそれぞれを分けたままで熱交換部21に流せるように構成されている。
【0064】
以上の構成により、室外熱交換器20が冷媒の蒸発器として機能する場合には、液冷媒配管32と分流器22と出入口ヘッダ集合管26の下方部分を介して熱交換部21に流入して蒸発した冷媒は、出入口ヘッダ集合管26の上方部分とガス冷媒配管31を介して室外熱交換器20の外部に流出していくことになる。なお、室外熱交換器20が冷媒の放熱器として機能している場合には、上記とは逆の流れになる。
【0065】
連結ヘッダ23は、室外熱交換器20のうち出入口ヘッダ集合管26や折返しヘッダ24が設けられている側(
図3でいう左上側)の端部とは反対側(
図3でいう右下側)に設けられており、風上側熱交換部27の扁平多穴管21bを流れた冷媒を同じ高さ位置の風下側熱交換部28の扁平多穴管21bに導くか、風下側熱交換部28の扁平多穴管21bを流れた冷媒を同じ高さ位置の風上側熱交換部27の扁平多穴管21bに導くように構成されている。この連結ヘッダ23では、冷媒の上下方向の移動は生じず、室外熱交換器20内における冷媒の流路を同じ高さ位置で単に繋ぐ役割を果たしている。
【0066】
折返しヘッダ24は、内部が上下方向に複数の空間に仕切られている。このうち、下方の複数の空間は、風下側熱交換部28のうちの下方の複数の扁平多穴管21bがそれぞれ接続されている。また、上方の複数の空間は、風下側熱交換部28のうちの上方の複数の扁平多穴管21bがそれぞれ接続されている。
【0067】
連絡部25は、折返しヘッダ24内において上下に仕切られた複数の空間のうち、上方の複数の空間と、下方の複数の空間と、を一対一に接続させる複数の連絡配管を有して構成されている。
【0068】
この折返しヘッダ24および連絡部25の構成によって、例えば室外熱交換器20が冷媒の蒸発器として機能している場合には、風下側熱交換部28のうちの下方の複数の扁平多穴管21bを流れて来た冷媒を、風下側熱交換部28のうちの上方の複数の扁平多穴管21bに流し出して折返しさせることが可能になっている。
【0069】
(5)底フレーム12に対する室外熱交換器20の配置構造
図7に、底フレーム12の平面視概略構成図を示す。
図8に、底フレーム12にスペーサ60、70、80が配置された状態の平面視概略構成図を示す。
図9に、底フレーム12上に配置されたスペーサ60、70、80上に室外熱交換器20が載置された状態の平面視概略構成図を示す。
【0070】
ここでは、これらの図面を参照しつつ、底フレーム12に対する室外熱交換器20の配置構造を説明する。
【0071】
室外熱交換器20は、
図7、
図8、
図9に示すように、底フレーム12の上に配置されたスペーサ60、70、80上に載置される。
【0072】
スペーサ60、70、80は、コーナースペーサ60と、前方スペーサ70と、後方スペーサ80と、を有している。これらのコーナースペーサ60と、前方スペーサ70と、後方スペーサ80と、はいずれも絶縁性の部材によって構成されており、本実施形態ではゴム(具体的にはクロロプレンゴム)によって構成されている。コーナースペーサ60は、室外熱交換器20の湾曲部分のうち前方側の部分の下方に配置されている。前方スペーサ70は、室外熱交換器20のうちの前方送風機室側の端部の下方に配置されている。後方スペーサ80は、室外熱交換器20のうちの出入口ヘッダ集合管26や折返しヘッダ24が設けられている側の端部である後方機械室側の端部に配置されている。
【0073】
ここで、
図7に示すように、底フレーム12は、送風機室側の側方および後方にL字状に広がっており、底部分12aのうちで特に低い部分を構成している排水面12y(
図7においてハッチングで示す部分)を有している。この排水面12yには、所定の位置において板厚方向に貫通した複数の排水口12xが設けられている。この排水口12xによって、室外熱交換器20において生じた結露水を外部に排水させることが可能になっている。
【0074】
(5−1)コーナースペーサ60
図10に、底フレーム12の角部分周辺の概略外観斜視図を示す。
図11に、コーナースペーサ60の背面側の概略外観斜視図を示す。
図12に、底フレーム12に対してコーナースペーサ60が取り付けられている状態の概略外観斜視図を示す。
【0075】
底フレーム12には、以下に説明するように底部分12aの板厚方向(上下方向)に突出もしくは陥没した凹凸形状が形成されている。ここで、底部分12aの板厚はいずれの部分においても概ね均一であり、底部分12aの上面において上方に膨出した形状部分は底部分12aの下面側からみると凹んだ形状となっており、逆に、底部分12aの上面において下方に凹んだ形状部分は底部分12aの下面側からみると膨出した形状となっている。
【0076】
図10に示すように、底フレーム12の角部分周辺には、排水面12yの一部分から左後方に向かうにつれて上方に位置するように広がった内側傾斜面48が形成されており、当該内側傾斜面48の上端高さ位置において略三角形状に広がった角平面49が形成されている。当該角平面49には、右前面側付近においてさらに上方に膨出した底フレーム膨出部40が形成されている。なお、この底フレーム膨出部40は、下方から見ると底フレーム12の一部を上方に凹ませた形状となっているため、空調室外機2を運搬する際に指を入れることのできる取手として機能させることも可能になっている。
【0077】
底フレーム膨出部40の上端には、水平方向に広がる膨出上面40aが形成されている。底フレーム膨出部40は、いずれの側方から見ても、上方に向かうにつれて幅方向の長さが短くなるように構成されており、角平面49と膨出上面40aとを繋ぐ第1膨出傾斜面41、第2膨出傾斜面42、および、第3膨出傾斜面43を有している。第1膨出傾斜面41は、底フレーム膨出部40の後側の傾斜面を構成しており、法線が後ろ上方を向くように広がっている。第2膨出傾斜面42は、底フレーム膨出部40の左側の傾斜面を構成しており、法線が左上方を向くように広がっている。第3膨出傾斜面43は、底フレーム膨出部40の右前側の傾斜面を構成しており、法線が右前上方を向くように広がっている。これらの第1膨出傾斜面41、第2膨出傾斜面42、および、第3膨出傾斜面43は、いずれも互いに非平行の関係にあり、いずれも曲面を介してなだらかに繋がっている。
【0078】
この第1膨出傾斜面41、第2膨出傾斜面42、および、第3膨出傾斜面43は、上面視において略三角形状となるように構成されており、これらの各傾斜面のそれぞれが、各傾斜面の法線方向からコーナースペーサ60の位置決め部62の裏面側によって覆われることになる。また、第1膨出傾斜面41、第2膨出傾斜面42、および、第3膨出傾斜面43の各傾斜面の水平面に対する角度(底フレーム膨出部40の下面側における水平面に対する角度)は特に限定されず、例えば、30度以上120度以下程度であることが好ましく、本実施形態では60度程度となっている。
【0079】
また、底フレーム12の角部分周辺には、上述した周縁において立設された側壁部分12bである第1コーナー側壁51、および、第2コーナー側壁52が形成されている。第1コーナー側壁51は、法線が前後方向を向くように広がっている。第2コーナー側壁52は、法線が左右方向を向くように広がっている。第1コーナー側壁51の左側端部と第2コーナー側壁52の後側端部とは、曲面によってなだらかに繋がれている。第1コーナー側壁51および第2コーナー側壁52の送風機室内側の面は、互いに非平行の関係にある。これらの第1コーナー側壁51および第2コーナー側壁52の送風機室内側の面は、それぞれが、コーナースペーサ60の位置決め部62の端面に当接することで、コーナースペーサ60の位置を決めている。なお、第1コーナー側壁51には、送風機室側の側板13の後側端部の下方部分が板厚方向に貫通する螺子98によって螺着固定される(図では送風機室側の側板13を省略して示している。)。
【0080】
コーナースペーサ60は、
図11、
図12に示すように、本体部61と、位置決め部62を有している。本体部61は、排水面12yのうち左後ろ側の角部分の上であって排水口12xとは上面視において重複しない位置に配置されている。本体部61は、室外熱交換器20の一部を載置させるための水平方向に広がるコーナー載置面61aと、排水面12yと接触する下面61bと、を有している。なお、下面61bには、排水面12yが延びる方向に沿うように延びた2本の排水ガイド61cが形成されている。この排水ガイド61cは、下面61bが部分的に上側に凹んだ形状が排水面12yが延びる方向に沿うように延びて構成されている。コーナースペーサ60の本体部61の下面には、この排水ガイド61cが形成されているために、底フレーム12の排水面12y上において結露水を滞らせることなく排水口12xまで流すことが可能になっている。
【0081】
位置決め部62は、位置決め上面62a、位置決め下面62b、凹部62x、第1コーナー接触面64、第2コーナー接触面65、下方膨出縁部66、第1被覆面67、第2被覆面68、第3被覆面69、および、連絡傾斜部63を有している。
【0082】
位置決め上面62aは、設置状態において底フレーム膨出部40の上側において水平に広がる面であり、コーナー載置面61aよりも上側に位置している。位置決め下面62bは、位置決め上面62aとは反対側の下方を向いた面であり、設置状態において底フレーム膨出部40の膨出上面40aと対面する面である。凹部62xは、位置決め上面62aの縁の一部分が下方に凹んだ形状を有しており、上述の螺子98による螺着時の螺子98との干渉を防ぐことが可能な形状となっている。第1コーナー接触面64は、位置決め部62に対して本体部61側とは反対側を向いた面であり、設置状態において後側を向く面である。第2コーナー接触面65は、位置決め部62に対して本体部61側とは反対側を向いた面であり、設置状態において左を向く面である。これらの第1コーナー接触面64と第2コーナー接触面65とは、互いに非平行な関係であり、第1コーナー接触面64の左側端部と第2コーナー接触面65の後側端部とがなだらかな曲面によって繋がっている。
【0083】
第1コーナー接触面64は設置状態において底フレーム12の第1コーナー側壁51と接触し、第2コーナー接触面65は設置状態において底フレーム12の第2コーナー側壁52と接触することで、底フレーム12に対するコーナースペーサ60の位置が定められている。
【0084】
下方膨出縁部66は、位置決め上面62aの下方の縁の一部分を縁取るように位置決め下面62bの周りから下方に延び出した膨出部である。下方膨出縁部66は、本実施形態では、設置状態における右後ろ側部分以外は、底フレーム膨出部40の周囲を覆うように構成されている。この下方膨出縁部66の内側には、第1被覆面67および第2被覆面68が形成されている。第1被覆面67は、法線が位置決め部62の位置決め下面62bの中央付近下方を向くように傾斜しており、周囲となだらかな曲面を介して繋がっている。この第1被覆面67は、設置状態において、上述した底フレーム膨出部40の第1膨出傾斜面41と面接触する。第2被覆面68は、第1被覆面67とは非平行であって法線が位置決め部62の位置決め下面62bの中央付近下方を向くように傾斜しており、周囲となだらかな曲面を介して繋がっている。この第2被覆面68は、設置状態において、上述した底フレーム膨出部40の第2膨出傾斜面42と面接触する。
【0085】
また、位置決め部62は、本体部61側から伸びて来ている連絡傾斜部63を有している。連絡傾斜部63は、連絡傾斜上面63aおよび連絡傾斜下面63bを有している。連絡傾斜上面63aは、上方において広がっている位置決め上面62aと、下方において広がっているコーナー載置面61aとを繋ぐ傾斜面である。連絡傾斜上面63aは、コーナー載置面61aよりも上方に延び出すようにコーナー載置面61aに繋がっているため、コーナー載置面61a上に載置された室外熱交換器20の下端部分によってコーナースペーサ60が室外熱交換器20側へ移動することが抑制されている。
【0086】
連絡傾斜下面63bは、連絡傾斜上面63aの裏面を構成しており、設置状態において底フレーム膨出部40の内側傾斜面48と面接触することが可能な傾斜角度で広がっている。この連絡傾斜部63の下面側の位置決め部62側には、第3被覆面69が形成されている。第3被覆面69は、法線が位置決め部62の位置決め下面62bの中央付近下方を向くように傾斜しており、周囲となだらかな曲面を介して繋がっている。この第3被覆面69は、設置状態において、上述した底フレーム膨出部40の第3膨出傾斜面43と面接触する。
【0087】
(5−2)前方スペーサ70
図13に、底フレーム12に対して前方スペーサ70が取り付けられている状態の外観斜視図を示す。
【0088】
前方スペーサ70は、
図7および
図8に示すように、底フレーム12の左前側端部であって、排水面12yの前側端部よりさらに前側に配置されている。
【0089】
図13に示すように、前方スペーサ70は、室外熱交換器20が載置される本体部71と、位置決め部72を有している。
【0090】
本体部71は、水平に広がる前側載置面71aと、底フレーム12の上面と接触している下面71dと、第1排水溝71bおよび第2排水溝71cを有している。前側載置面71aの上には、設置状態において室外熱交換器20の左前側端部の下端(具体的には、室外熱交換器20の連結ヘッダ23周辺)が載置される。
【0091】
第1排水溝71bおよび第2排水溝71cは、いずれも前側載置面71aの上面から下方に凹んだ溝が前後方向に延びて構成されている。ここで、
図9に示すように、設置状態において、第1排水溝71bは室外熱交換器20の下方に位置しており、第2排水溝71cは室外熱交換器20の下方から風下側にずれて配置されている。このため、第1排水溝71bは室外熱交換器20からの結露水をそのまま受けて排水面12y側に流し、第2排水溝71cは室外熱交換器20の風下側に到達した結露水を受けて排水面12y側に流す。
【0092】
位置決め部72は、本体部71の左前側の縁から上方に延びだした部分であり、底フレーム12の側壁部分12bである左側壁53と前側壁54と当接することで前方スペーサ70を位置決めさせる部分である。位置決め部72は、左支持面73、前支持面74、上面75、第1前側接触面77、および、第2前側接触面78を有している。
【0093】
左支持面73は、位置決め部72の左端部において室外熱交換器20と左側壁53との間に介在するように前後方向に延びた部分のうちの右側を向いた面であり、設置状態において室外熱交換器20を左側方から支持する。前支持面74は、位置決め部72の前端部において室外熱交換器20と前側壁54との間に介在するように左右方向に延びた部分のうちの後側を向いた面であり、設置状態において室外熱交換器20を前側方から支持する。上面75は、上方を向いた平面であり、設置状態において、左側壁53および前側壁54の上端よりもさらに上方に位置している。これにより、底フレーム12に前方スペーサ70が設置された状態で室外熱交換器20を前方スペーサ70の位置決め部72上に設置しようとする際に、室外熱交換器20の下端部分が底フレーム12の左側壁53や前側壁54に衝突してしまうことを避けることが可能になっている。
【0094】
第1前側接触面77は、左支持面73の反対側であって左側を向いた側面である。第2前側接触面78は、前支持面74の反対側であって前側を向いた側面である。設置状態では、位置決め部72の第1前側接触面77は底フレーム12の左側壁53と当接し、位置決め部72の第2前側接触面78は前側壁54と当接することで、底フレーム12に対する前方スペーサ70の位置が定められている。
【0095】
なお、
図9に示すように、前側壁54の一部には後側に凹んだ凹部54aが形成されており、第2前側接触面78にも設置状態における対応する位置に後側に凹んだ凹部78aが形成されている。設置時にこれらの凹部54aおよび凹部78aが嵌まり合うことで、底フレーム12に対する前方スペーサ70の位置をより効果的に定めることができている。
【0096】
(5−3)後方スペーサ80
図14に、底フレーム12に対して後方スペーサ80が取り付けられている状態の外観斜視図を示す。
【0097】
後方スペーサ80は、
図8、
図9および
図14に示すように、底フレーム12の後右側端部であって、排水面12yの右側端部よりさらに右側に配置されている。
【0098】
図15の後方スペーサ80の概略外観斜視図に示すように、後方スペーサ80は、室外熱交換器20が載置される本体部81と、螺子カバー86と、位置決め部82と、を有している。
【0099】
本体部81は、水平に広がる後側載置面81aと、底フレーム12の上面と接触している下面81dと、本体部81の板厚方向(上下方向)に貫通した第1排水孔81bおよび第2排水孔81cを有している。後側載置面81aの上には、設置状態において室外熱交換器20の左前側端部(本実施形態では分流器22)の下端が載置される。第1排水孔81bおよび第2排水孔81cは、いずれも左右方向に延びるように形成されており、設置状態では分流器22の下方に位置している。第1排水孔81bおよび第2排水孔81cは、分流器22の周辺で生じた結露水を、排水面12y側に向けて送り出すことが可能になっている。
【0100】
螺子カバー86は、本体部81の左右方向の中間位置であって後側端部において内部が空洞の凹部87になるように上方に膨出した形状を有している。なお、ユニットケーシング10は、
図3および
図14に示すように、右後ろ側部分において、機械室側の側板14の送風機室S1側の端部14a近傍が底フレーム12の側壁部分12bに対して螺子99で固定される。後方スペーサ80は、螺子カバー86の内側の凹部87を有していることで、当該螺子99によって固定された状態において、螺子99と干渉しない。また、螺子99は、後方スペーサ80の螺子カバー86によって覆われるため、他の部材との干渉も防ぐことができている。
【0101】
位置決め部82は、本体部81の後側の縁に設けられており、第1後側接触面83と、第2後側接触面84と、第3後側接触面85と、を有している。第1後側接触面83は、位置決め部82のうち最も右側の後方に位置しており、後側を向いている。第2後側接触面84は、設置状態において、螺子カバー86よりも右側に位置しており、第1後側接触面83の左側端部から左側に向かうにつれて前側に向けて延びるように構成されており、左後方を向いている。第3後側接触面85は、設置状態において、螺子カバー86よりも左側に位置しており、左右方向に延びており、後側を向いている。ここで、
図14に示すように、底フレーム12の側壁部分12bのうち、右後ろ側部分には、僅かに後方に向けて盛り上がっている第1後側壁55と、第1後側壁55の左側端部から左に向かうにつれて前側に延びてしている第2後側壁56と、第2後側壁56の左端部から左方向に延びた第3後側壁57と、を有して構成されている。後方スペーサ80は、位置決め部82の第1後側接触面83が底フレーム12の第1後側壁55と接し、位置決め部82の第2後側接触面84が底フレーム12の第2後側壁56と接し、位置決め部82の第3後側接触面85が底フレーム12の第3後側壁57と接することで、底フレーム12に対する後方スペーサ80の位置を定めることができている。
【0102】
(6)本実施形態の特徴
(6−1)
本実施形態では、室外熱交換器20と底フレーム12とが異種金属によって構成されている場合において、これらの間に絶縁性を有するゴムで形成されたコーナースペーサ60、前方スペーサ70、後方スペーサ80が介在している。このため、室外熱交換器20と底フレーム12との間の電気的な腐食を抑制することができている。
【0103】
しかも、コーナースペーサ60、前方スペーサ70、および、後方スペーサ80は、室外熱交換器20が載置される本体部61、71、81から底フレーム12の側壁部分12bに接する部分まで延び出した位置決め部62、72、83を有している。これにより、コーナースペーサ60、前方スペーサ70、および、後方スペーサ80の底フレーム12に対する位置を定めることができる。これにより、空調室外機2の輸送時に振動等を受けたとしても、コーナースペーサ60、前方スペーサ70、および、後方スペーサ80は、室外熱交換器20と底フレーム12との間に介在した状態を維持しやすくすることができる。
【0104】
なお、このようなコーナースペーサ60、前方スペーサ70、および、後方スペーサ80は、両面テープ等の接着媒体を用いることなく底フレーム12に対して位置を定めることができている。
【0105】
また、コーナースペーサ60、前方スペーサ70、および、後方スペーサ80の位置決め構造は、底フレーム12の側壁部分12bの壁面に接触させることによる面接触での位置決め構造であり、例えば底フレーム12の側壁部分12bにスペーサの一部を引っ掛けるような位置決め構造ではないため、スペーサがちぎれたり裂けたりすることがない。このため、長期にわたり安定的にスペーサとしての機能を果たすことが可能になっている。
【0106】
(6−2)
特に、コーナースペーサ60には、位置決め部62の裏面側において、底フレーム12から上方に膨出した底フレーム膨出部40を少なくとも3方向から覆うように構成された形状が採用されている。このため、コーナースペーサ60の位置決め部62の裏面側と底フレーム膨出部40とは、当該3方向それぞれを法線とする接触面が存在していることになる。ここで、この3つの接触面のうちのいずれか1つの接触面においてずれる方向の力が作用したとしても、他の2つの接触面がこのずれを防止させることができる。したがって、コーナースペーサ60は、底フレーム12に対して、よりいっそうずれにくくすることができている。
【0107】
また、コーナースペーサ60の位置決め部62は、室外熱交換器20を載置させる本体部61から延伸して連絡傾斜部63を介して一体に構成されている。このため、底フレーム12のうち室外熱交換器20を載置させる部分近傍に位置決めの基準となるような形状部分が存在しない場合であっても、位置決めの基準となる形状部分が存在する場所まで延伸させることによって、位置決め機能を確保することが可能になっている。
【0108】
(6−3)
また、前方スペーサ70には、底フレーム12の側壁部分12b(左側壁53、前側壁54)の高さよりもさらに高い位置まで延び出した部分(位置決め部72の上面75)を有している。これにより、底フレーム12にコーナースペーサ60、前方スペーサ70、および、後方スペーサ80が配置された状態で室外熱交換器20を載置させる作業を行う場合に、室外熱交換器20の下端が底フレーム12の側壁部分12b(左側壁53、前側壁54)に触れて損傷してしまうことを防ぎやすくすることができている。
【0109】
(7)他の実施形態
上記実施形態では、本発明の実施形態の一例を説明したが、上記実施形態はなんら本願発明を限定する趣旨ではなく、上記実施形態には限られない。本願発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更した態様についても当然に含まれる。
【0110】
(7−1)他の実施形態A
上記実施形態では、室外熱交換器20がコーナースペーサ60のコーナー載置面61a上に載置される場合について例に挙げて説明した。
【0111】
これに対して、例えば、室外熱交換器20は、その湾曲部分の下端の一部がコーナースペーサ60の連絡傾斜上面63aの下端近傍に当接するように配置されていてもよい。この場合には、傾斜して設けられている連絡傾斜上面63aの一部に対して室外熱交換器20の加重が加わることで、コーナースペーサ60自体は左後ろ側に押されることになる。このようにコーナースペーサ60が左後ろ側に押された状態では、コーナースペーサ60は、底フレーム12の第1コーナー側壁51および第2コーナー側壁52からの反力を受ける状態となり、コーナースペーサ60の底フレーム12に対する移動をより効果的に抑制することも可能になる。また、この場合には、上述した底フレーム膨出部40がコーナースペーサ60の位置決め部62の裏面縁部分によって覆われている構造を採用しない場合であっても、コーナースペーサ60の移動を抑制することができる。
【0112】
(7−2)他の実施形態B
上記実施形態では、(A)第1コーナー接触面64と底フレーム12の第1コーナー側壁51とが接触しつつ第2コーナー接触面65と底フレーム12の第2コーナー側壁52とが接触している構造による位置決めと、(B)底フレーム12から上方に膨出した底フレーム膨出部40が位置決め部62によって上から覆われている構造による位置決めと、の両方の構造によってコーナースペーサ60が底フレーム12に対して位置決めされている場合を例に挙げて説明した。
【0113】
これに対して、コーナースペーサ60の底フレーム12に対する位置を定めるためには、上記(A)と上記(B)のいずれかの構造を有していれば十分であり、例えば、上記(A)の構造のみによって底フレーム12に対する位置が定められていてもよいし、上記(B)の構造のみによって底フレーム12に対する位置が定められていてもよい。
【0114】
コーナースペーサ60が上記(A)の構造のみによって底フレーム12に対する位置が定められている場合には、例えば、底フレーム12において内側傾斜面48や角平面49や底フレーム膨出部40が形成されておらずフラットに構成されており、コーナースペーサ60についても連絡傾斜部63や位置決め部62の裏面側の凹凸形状が形成されておらずフラットに構成されていてもよい。
【0115】
コーナースペーサ60が上記(B)の構造のみによって底フレーム12に対する位置が定められている場合には、例えば、コーナースペーサ60の位置決め部62の後側端部や左側端部が底フレーム12の側壁部分12bに接することなく、底フレーム12の側壁部分12bの手前までしか延びていないように構成されていてもよい。
【0116】
(7−3)他の実施形態C
上記実施形態では、底フレーム12から上方に膨出した底フレーム膨出部40を、コーナースペーサ60の位置決め部62が上から覆うことで、コーナースペーサ60の底フレーム12に対する位置を定める場合を例に挙げて説明した。
【0117】
これに対して、コーナースペーサと底フレームとの関係は逆であってもよい。
【0118】
すなわち、下方に膨出した膨出部がコーナースペーサに設けられており、当該コーナースペーサの膨出部を、底フレームにおいて下方に凹むように構成された部分で下方から覆うことで、コーナースペーサの底フレームに対する位置を定めてもよい。
【0119】
(7−4)他の実施形態D
上記実施形態では、底フレーム12から上方に膨出した底フレーム膨出部40が、コーナースペーサ60の位置決め部62によって上から覆われている構造を例に挙げて説明した。
【0120】
これに対して、例えば、上面図である
図16、
図16のX−X断面図を含む概略外観斜視図である
図17、裏面側の概略外観斜視図である
図18、上面側の概略外観斜視図である
図19に示すように、位置決め開口が形成された底フレーム212に対して、位置決め膨出部269を有するコーナースペーサ260を位置決めさせた構造としてもよい。なお、以下の説明において上記実施形態と同様である点については説明を省略する。
【0121】
ここで、底フレーム12には、内側傾斜面48の上端において広がる角平面49からさらに上方に膨出した底フレーム膨出部240が形成されている。そして、当該底フレーム膨出部240の中心近傍には板厚方向に貫通した底フレーム開口240xが形成されている。この底フレーム開口240xは、平面視円弧形状の開口が上下方向に延びるようにして円筒状に形成されている。
【0122】
ここで、コーナースペーサ260は、本体部61と位置決め部262を有している。本体部61は、上記実施形態と同様に室外熱交換器20を載置する。位置決め部262は、本体部61から延伸された部分であり、底フレーム12の内側傾斜面48を沿うように伸びる連絡傾斜部63を有している。位置決め部262は、底フレーム12の側壁部分12bの手前まで延びている。そして、位置決め部262は、下面側からさらに下方に向けて膨出した位置決め膨出部269を有している。
【0123】
設置状態では、位置決め部262の位置決め膨出部269は、底フレーム12の底フレーム開口240xを上側から貫通するように挿入される。この設置状態では、位置決め部262の位置決め膨出部269の周囲は、円筒形状の底フレーム開口240xの内周面によって覆われる。
【0124】
この場合であっても、底フレーム12に対するコーナースペーサ260の位置を定めることが可能になる。また、ここでは、底フレーム12の内側傾斜面48を沿うように連絡傾斜部63が設けられているため、円筒形状の底フレーム開口240xに位置決め膨出部269が挿入されている場合であっても、コーナースペーサ260は回転が規制されている。
【0125】
なお、上記例では、底フレーム開口240xが円筒形状である場合を説明したが、例えば、底フレーム開口が三角筒形状等の多角筒形状の開口であり、位置決め膨出部が対応する多角柱となるように構成されていてもよい。この場合には、円筒形状ではないため、連絡傾斜部63が底フレーム12の内側傾斜面48に沿うように設けられていない場合であっても、位置決め膨出部が底フレーム開口に対して回転することがなく、位置決めすることができる。