特許第6826835号(P6826835)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6826835
(24)【登録日】2021年1月20日
(45)【発行日】2021年2月10日
(54)【発明の名称】出庫制御装置及び出庫制御方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/0969 20060101AFI20210128BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20210128BHJP
   B60W 30/06 20060101ALI20210128BHJP
   E04H 6/42 20060101ALI20210128BHJP
   G01C 21/28 20060101ALI20210128BHJP
   G09B 29/10 20060101ALI20210128BHJP
【FI】
   G08G1/0969
   B60W60/00
   B60W30/06
   E04H6/42 C
   G01C21/28
   G09B29/10 Z
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-155590(P2016-155590)
(22)【出願日】2016年8月8日
(65)【公開番号】特開2018-25861(P2018-25861A)
(43)【公開日】2018年2月15日
【審査請求日】2019年7月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000198363
【氏名又は名称】IHI運搬機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】小野 右季
(72)【発明者】
【氏名】中村 健一
【審査官】 ▲高▼木 真顕
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−031682(JP,A)
【文献】 特表2017−538618(JP,A)
【文献】 特開2011−038283(JP,A)
【文献】 特開平10−135910(JP,A)
【文献】 特開2009−091799(JP,A)
【文献】 特開平06−017554(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 − 99/00
E04H 6/00 − 6/44
B60W 30/00 − 60/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者端末から入庫して駐車中の自動運転車に対して出庫指示がある、これに応答して、駐車場所から出庫口まで移動して当該出庫口に停止している前記自動運転車の位置及び方向を検出する位置・方位検出部と、
前記自動運転車に対して出庫指示とともに前記位置及び方向の情報を送信する通信部と、
前記通信部から送信された前記自動運転車の位置及び方向の情報を受信した旨の応答信号が前記自動運転車から受信された場合、当該自動運転車に対して自動走行開始を指示する自動走行指示部と、
前記自動走行開始指示に応答して前記自動運転車から自動走行を開始した旨の応答信号を受信すると前記利用者端末に対して出庫を通知する出庫通知部と、
を具備することを特徴とする出庫制御装置。
【請求項2】
入庫のために入庫口に停止した自動運転車の位置及び方向を検出する位置・方位検出部と、
入庫して駐車中の前記自動運転車に対して利用者端末から出庫指示があると、当該出庫指示とともに前記位置及び方向の情報を送信する通信部と、
前記通信部から送信された位置及び方向の情報を受信した旨の応答信号が前記自動運転車から受信された場合、前記出庫指示に応答して、駐車場所から出庫口まで移動して当該出庫口に停止している前記自動運転車に対して自動走行開始を指示する自動走行指示部と、
前記自動走行開始指示に応答して前記自動運転車から自動走行を開始した旨の応答信号を受信すると前記利用者端末に対して出庫を通知する出庫通知部と、
を具備することを特徴とする出庫制御装置。
【請求項3】
前記出庫通知部は、前記自動運転車から自動走行を開始した旨の前記応答信号が所定時間内に受信されない場合には出庫エラーが発生したものとみなして前記利用者端末に出庫エラーを通知することを特徴とする請求項1又は2に記載の出庫制御装置。
【請求項4】
前記出庫通知部は、出庫口に設けられた出庫センサからの出庫信号により前記自動運転車の出庫が確認された場合には正常出庫中である旨を前記利用者端末へ通知する一方、所定時間が経過しても出庫が確認できない場合には出庫エラーを前記利用者端末へ通知することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の出庫制御装置。
【請求項5】
前記自動走行指示部から前記自動運転車に対しての指示には、前記出庫口から利用者が待機する移動場所までの距離情報を含み、
前記出庫通知部は、前記移動場所に設置された到着センサにより、正常出庫中の前記自動運転車が到着した旨の到着信号を受信すると、出庫完了を前記利用者端末及び前記自動運転車に通知することを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の出庫制御装置。
【請求項6】
出庫制御装置を用いた自動運転車の出庫制御方法であって、
利用者端末から入庫して駐車中の前記自動運転車に対して出庫指示がある、これに応答して、駐車場所から出庫口まで移動して当該出庫口に停止している前記自動運転車の位置及び方向を検出し、
前記自動運転車に対して出庫指示とともに前記位置及び方向の情報を送信し、
前記位置及び方向の情報を受信した旨の応答信号が前記自動運転車から受信された場合、当該自動運転車に対して自動走行開始を指示し、
自動走行開始指示に応答して前記自動運転車から自動走行を開始した旨の応答信号を受信すると利用者端末に対して出庫を通知する、
ことを特徴とする自動運転車の出庫制御方法。
【請求項7】
出庫制御装置を用いた自動運転車の出庫制御方法であって、
入庫のために入庫口に停止した前記自動運転車の位置及び方向を検出し、
利用者端末から入庫して駐車中の前記自動運転車に対して出庫指示があると、前記自動運転車に対して出庫指示とともに前記位置及び方向の情報を送信し、
前記位置及び方向の情報を受信した旨の応答信号が前記自動運転車から受信された場合、前記出庫指示に応答して、駐車場所から出庫口まで移動して当該出庫口に停止している前記自動運転車に対して自動走行開始を指示し、
自動走行開始指示に応答して前記自動運転車から自動走行を開始した旨の応答信号を受信すると利用者に対して出庫を通知する、
ことを特徴とする自動運転車の出庫制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動運転機能を備えた車両に対して出庫制御を行う出庫制御装置及び出庫制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、自動運転機能を備えた車両(以下、「自動運転車」と称する)が実用化されてきている。自動運転車は、GPSやカメラ、ジャイロセンサや車速センサ等、種々のセンサにより自車の位置や姿勢、周囲の環境を認識して自動走行する。
【0003】
ところで、車両が停車中に別の場所に搬送される場合、例えば、機械式駐車場やカーフェリー等では、停車して入庫した時点と出庫時点とでは、車両の位置や方向、姿勢が異なる場合がある。自動運転車では、車両が停止して車両電源を断した時点の位置情報等をメモリに保存しておき、車両走行再開時にメモリ内の情報を読み出して運行を開始している。このため、入庫場所と出庫場所とで、車両の位置や方向が異なる場合ではメモリ内の情報は利用できないという問題がある。
【0004】
上述した問題に着目した従来例としては特許文献1や特許文献2に記載の発明がある。特許文献1には、GPS等の測位情報に基づき自車両の位置、進行方位を測定する車載ナビゲーション装置が開示されている。この従来装置は、車両が立体駐車場に駐車する際にナビゲーション装置の電源をオフした後、ターンテーブル等の方向変換装置により方向転換された場合、出庫時には、入庫時と方向が逆になっており、正しい自車位置を認識できないという課題を解決するものである。しかし、特許文献1の発明では、ターンテーブルから出庫した後、しばらくの間は、方位が逆方向となって算出されるため、誤動作が発生してしまうという問題がある。
【0005】
特許文献2には、特許文献1の課題を解決するために、作動停止中に車両がターンテーブル上で回転した後、再起動時、より速やかに走行軌跡を精度良く算出できるようにした装置が記載されている。しかし、特許文献2の発明では、ジャイロを用いて自車の位置を推定しているが、駐車場設備の振動により測定誤差が発生するという問題がある。また、常に位置の推定を行っているので、車両のバッテリーが消耗してしまうという問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−190721号公報
【特許文献2】特開2015−094690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、従来装置では、出庫直後の誤動作の発生を避けることができず、正確な運転再開が困難であるという課題がある。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、自動運転機能を備えた車両に対して出庫時において方向を誤ることなく確実に出庫できるように制御する出庫制御装置及び出庫制御方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明に係る出庫制御装置の第1の態様は、利用者端末から入庫中の自動運転車に対する出庫指示があるとき、これに応答して出庫口に停止している前記自動運転車の停止位置及び停止方向を検出する位置・方位検出部と、前記自動運転車に対して出庫指示とともに前記停止位置及び停止方向の情報を送信する通信部と、前記通信部からの情報を受信した旨の応答信号が前記自動運転車からある場合、当該自動運転車に対して自動走行開始を指示する自動走行指示部と、自動走行開始指示に応答して前記自動運転車から自動走行を開始した旨の応答信号を受信すると前記利用者端末に対して出庫を通知する出庫通知部と、を具備することを特徴としている。
【0010】
本発明に係る出庫制御装置の第2の態様は、入庫口に停止した自動運転車の停止位置及び停止方向を検出する位置・方位検出部と、前記自動運転車に対して出庫指示とともに前記停止位置及び停止方向の情報を送信する通信部と、前記通信部からの情報を受信した旨の応答信号が前記自動運転車から受信された場合、当該自動運転車に対して自動走行開始を指示する自動走行指示部と、自動走行開始指示に応答して前記自動運転車から自動走行を開始した旨の応答信号を受信すると利用者端末に対して出庫を通知する出庫通知部と、を具備することを特徴としている。
【0011】
また、本発明に係る出庫制御方法の第1の態様は、出庫制御装置による出庫制御方法であって、利用者端末から入庫中の自動運転車に対する出庫指示があるとき、これに応答して出庫口に停止している前記自動運転車の停止位置及び停止方向を検出し、前記自動運転車に対して出庫指示とともに前記停止位置及び停止方向の情報を送信し、前記情報を受信した旨の応答信号が前記自動運転車からある場合、当該自動運転車に対して自動走行開始を指示し、自動走行開始指示に応答して前記自動運転車から自動走行を開始した旨の応答信号を受信すると利用者に対して出庫を通知する、ことを特徴としている。
【0012】
さらに、本発明に係る出庫制御方法の第2の態様は、出庫制御装置を用いた自動運転車の出庫制御方法であって、入庫口に停止した自動運転車の停止位置及び停止方向を検出し、前記自動運転車に対して出庫指示とともに前記停止位置及び停止方向の情報を送信し、前記情報を受信した旨の応答信号が前記自動運転車から受信された場合、当該自動運転車に対して自動走行開始を指示し、自動走行開始指示に応答して前記自動運転車から自動走行を開始した旨の応答信号を受信すると利用者に対して出庫を通知する、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明の出庫制御装置及び出庫制御方法によれば、自動運転機能を備えた車両に対して、出庫時において方向を誤ることなく確実かつ安全に出庫させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】出庫制御装置の一実施形態が適用された自動運転車の出庫制御システムの構成を示すブロック図である。
図2】出庫制御装置の第1実施形態が適用される駐車場近傍の概略を示す説明図である。
図3図1に示す自動運転車の出庫制御システムにおける第1実施形態の処理手順を示すフローチャートである。
図4】出庫制御装置の第2実施形態が適用される駐車場近傍の概略を示す説明図である。
図5図1に示す自動運転車の出庫制御システムにおける第2実施形態の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第1実施形態>
本発明に係る出庫制御装置及び出庫制御方法の一実施形態を説明する。図1は、本発明に係る出庫制御装置及び出庫制御方法が適用された一実施形態である自動運転車の出庫制御システムの構成を示すブロック図、図2は自動運転車の出庫手順を示す説明図、図3は自動運転車の出庫制御システムの出庫処理を示すフローチャートである。
【0016】
〈一実施形態による自動運転車の出庫制御システムの構成〉
図1に示すように、実施形態の自動運転車の出庫制御システム10は、出庫制御装置20と、自動運転車2(図2参照)に搭載された自動運転車制御装置30と、出庫制御装置20に接続された利用者端末40とを備えている。
【0017】
出庫制御装置20は、通信部20aと、搬送指示部20bと、位置・方位検出部20cと、自動走行指示部20dと、出庫確認部20eと、到着確認部20fとを備えている。また、自動運転車制御装置30は、通信部30aと、位置検出部30bと、メモリ部30cと、走行制御部30dとを備えている。また、利用者端末40は、駐車場の入庫口や車寄せ、または利用者が所持するスマートフォーン等の携帯端末で構成でき、通信部40aと、操作部40bと、ディスプレイ40cとを備えている。なお、自動運転車制御装置30の構成は、実施形態の説明上、必要な機能のみを記載しており、実際の自動運転車制御装置の構成からは大幅に簡素化されている。
【0018】
また、図2に示すように、自動運転車2が利用する建屋50には、地下駐車エリア52と、地下駐車エリア52への入庫口54と、地下駐車エリア52からの出庫口56とが設置されている。建屋50外の車路58には、利用者Pが待機する車寄せ59が設置されている。出庫口56には、出庫対象となる自動運転車の向きや位置ズレ(停止位置、停止方向)を検出するためのカメラ70と、自動運転車2の出庫を確認するための出庫センサ80が設置されている。また、車寄せ59には、出庫した自動運転車2の到着を確認する到着センサ90が設置されている。出庫センサ80及び到着センサ90は、光センサや赤外線センサ等、自動運転車2の通過、到着が確認できる機能を有するものであればよい。
【0019】
出庫制御装置20の通信部20aは、自動運転車制御装置30に位置・方位情報、移動場所指示、自動運転開始指示等を出力するとともに、利用者端末40に対しては、出庫エラー、正常出庫中、走行エラー、走行完了等の各表示指示を出力する。
【0020】
搬送指示部20bは、利用者端末40から自動運転車2に対する出庫・移動場所の指示があると、該当する自動運転車2の搬送を駐車場機械60に対して指示する。
【0021】
位置・方位検出部20は、カメラ70で撮像された自動運転車2の画像情報から、駐車場機械60により出庫口56まで搬送された自動運転車2の位置ズレや車両の向き(停止位置、停止方向)を検出する。
【0022】
自動走行指示部20dは、自動運転車2の出庫口56からどの地点まで移動するのかを示す移動場所の指示、及び自動走行開始を自動運転車2に対して指示する。移動場所の指示は、出庫口56からの移動距離データを含み、本実施形態では、出庫口56から車寄せ59までの距離Lを含む。
【0023】
出庫確認部20eは、出庫センサ80からの出庫信号に基づき自動運転車2の出庫を確認し、確認できた場合には出庫完了信号を利用者端末40に出力する。
【0024】
到着確認部20fは、到着センサ90からの到着信号に基づき自動運転車2の到着を確認し、確認できた場合には到着完了信号を利用者端末40に出力する。
【0025】
自動運転車制御装置30の通信部30aは、出庫制御装置20に対して、位置・方位情報を受信した旨、移動場所指示、自動運転開始指示を受信後に自動走行を開始した旨、移動場所指示、自動運転開始指示を受信できない場合にはエラー通知等をそれぞれ出力する。
【0026】
位置検出部30bは、車速センサ、ジャイロ、GPS等の各センサ装置からの情報に基づき自車の速度、位置、方向等を検出する。メモリ部30cは、位置検出部30bで検出された種々のデータを記憶する。
【0027】
走行制御部30dは、位置検出部30b及びメモリ部30cの各データに基づき、自動運転車2の走行を制御する。特に、本実施形態では、出庫制御装置20の制御に基づき出庫時の自動運転車2の走行を制御する。
【0028】
利用者端末40の通信部30aは、操作部40bからの操作指令を出庫制御装置20に出力するとともに、出庫制御装置20からの各種エラー通知、自動運転車2の出庫通知や出庫完了通知等を受信する。
【0029】
操作部40bは、利用者Pにより、出庫指示等を入力する操作ボタン等で構成される。
【0030】
ディスプレイ40cは、操作部40bの操作と連動して、操作内容を表示する一方、出庫制御装置20からのエラー通知、自動運転車2の出庫通知や出庫完了通知等の内容を表示する。
【0031】
〈一実施形態による自動運転車の出庫制御システムの動作〉
次に、本実施形態による自動運転車の出庫制御システムの動作の一例について、図1図3を参照して説明する。
【0032】
図3のフローチャートにおいて、ステップS2〜S32は出庫制御装置20の処理手順、ステップS42〜S56は自動運転車制御装置30の処理手順、及びステップS62〜S72は利用者端末40の処理手順をそれぞれ示している。
【0033】
利用者Pが地下駐車エリア52に駐車中の自動運転車2を出庫させる場合、移動場所情報を含めた出庫・移動場所指示を利用者端末40の操作部40bから入力する(ステップS62)。
【0034】
出庫制御装置20は、自動運転車2に対する出庫指示(出庫・移動場所指示)が有るか否かを監視している(ステップS2)。利用者端末40から出庫指示がある(S2YES)と、搬送指示部20bは、駐車場所から出庫口56まで、該当する自動運転車2を搬送するよう駐車場機械60に指示する(ステップS4)。駐車場機械60は該当する自動運転車2を出庫口56に搬送する。
【0035】
出庫口56に設置されたカメラ70は、出庫口56に搬送された自動運転車2を撮像し、その撮像画像を位置・方位検出部20cに出力する。位置・方位検出部20cは、撮像画像を処理して、出庫口56に停車中の自動運転車2の車両の向きと駐車ズレ(停止位置、停止方向)を検出する(ステップS6)。検出された位置・方位情報は通信部20aから自動運転車制御装置30に送信される(ステップS8)。
【0036】
自動運転車制御装置30は、位置・方位情報の受信有無を監視しており(ステップS42)、位置・方位情報を受信する(S42YES)と、受信通知を通信部30aを介して出庫制御装置20に出力する(ステップS44)。
【0037】
出庫制御装置20は、位置・方位情報を自動運転車制御装置30に出力した後、自動運転車制御装置30から応答があるか否かを監視する(ステップS10)。受信通知が所定時間内に無い場合(ステップS10NO、S12YES)、出庫エラーが発生したとして、通信部20aを介して出庫エラー発生を利用者端末40に通知する(ステップS14)。利用者端末40では、通信部40aを介して出庫エラーを受信するとその旨をディスプレイ40cに表示する(ステップS64)。この表示を見て利用者Pは、再度、操作部40bから出庫・移動場所を指示することとなる(ステップS62)。これにより、利用者Pは、出庫・移動場所を指示したにもかかわらず、出庫制御装置20から何ら応答がなく不安を持ちながら待機するといった不具合を解消できる。
【0038】
自動運転車制御装置30から所定時間経過しても位置・方位情報を受信した旨の通知が無い場合(ステップS10NO、S12YES)、出庫エラーが発生したものとして利用者端末40にエラー通知を出力する(ステップS14)。エラー通知を受信した利用者端末40は、ディスプレイ40cに出庫エラーを表示する(ステップS64)。
【0039】
自動運転車制御装置30から位置・方位情報を受信した旨の通知が有る場合(S10YES)、自動走行指示部20dは、自動運転車制御装置30に移動場所を指示するとともに、自動走行開始を指示する(ステップS16)。例えば、図2に示すように、出庫口56の出庫センサ80の位置から利用者Pが待機する車寄せ59に設置された到着センサ90までの距離Lを自動運転車制御装置30に通知する。
【0040】
自動運転車制御装置30は、ステップS44で受信通知を出力した後は走行開始の指示待ち状態となっている。出庫制御装置20から自動走行開始指示が有れば(ステップS46YES)、自動走行を開始する(ステップS48)。所定時間経過しても自動走行開始指示を受信できない場合(ステップS46NO、S50YES)、出庫エラーを出庫制御装置20に出力する(ステップS52)。
【0041】
出庫制御装置20は、ステップS16で自動運転車制御装置30に移動場所を指示し、自動走行開始を指示した後、自動運転車2が走行開始したか否かを監視する(ステップS18)。自動運転車2の走行開始が確認されない場合(S18NO)、自動運転車制御装置30からのエラー通知(ステップS52)を受信したか否かを判定する(ステップS20)。走行エラーが受信された場合には(S20YES)、出庫エラーを利用者端末40に通知する(ステップS22)。エラー通知を受信した利用者端末40はディスプレイ40cに出庫エラーを表示する(ステップS66)。
【0042】
出庫口56に設置された出庫センサ80が自動運転車2の出庫を確認すると、走行が開始された(S18YES)として、出庫確認信号を出庫確認部20eに出力する(S18YES)。出庫確認部20eは、出庫が確認されると通信部20aを介して利用者端末40に出庫を通知する(ステップS24)。利用者端末40は、通信部40aを介して出庫通知を受信すると正常出庫中である旨をディスプレイ40cに表示する(ステップS68)。
【0043】
出庫制御装置20は、ステップS24で出庫通知後、所定時間が経過しても到着センサ90からの到着信号が到着確認部20fにて検出されない場合(ステップS26NO、S28YES)には、走行エラーが発生したものとしてその旨を利用者端末40通知する(ステップS30)。エラー通知を受信した利用者端末40はディスプレイ40cに走行エラーを表示する(ステップS70)。
【0044】
出庫センサ80で出庫が確認され、かつ、到着センサ90で車寄せ59まで自動運転車2が到着したことが確認できる(ステップS26YES)と、車両到着を利用者端末40に通知する(ステップS32)。利用者端末40はディスプレイ40cに自動運転車2の出庫完了を表示する(ステップS72)。自動運転車制御装置30は移動指示場所に到着する(ステップS54YES)と、出庫制御装置20からの指示による自動運転を終了(ステップS56)し、自動運転車2の本来機能である自動運転を実行する。
【0045】
このように、第1実施形態によれば、自動運転車2がGPS情報を使用することが出来ない環境にある場合や、ジャイロでは大幅な誤差が生じるような環境にあっても、より確実に自動運転車の位置・方位を知ることができ、自動運転車2を安全かつ確実に出庫させることができ、自動運転車2の安全走行に寄与することができる。しかも、自動運転車2側には、自車位置の確認のための車載バッテリーの使用等の負担を強いることもなく、確実に出庫させることができる。
【0046】
また、第1実施形態では、出庫制御装置20は、出庫エラーの発生や走行エラーの発生、正常出庫中、出庫完了等、都度の状況を把握して利用者端末40に表示させることができるので、利用者Pの利便性が向上する。
【0047】
<第2実施形態>
次に、本発明に係る出庫制御装置及び出庫制御方法の第2実施形態を説明する。なお、基本的な装置構成は図1と同じであるため図1を援用して説明する。
【0048】
第1実施形態では、カメラ70を出庫口56に設け、自動運転車2が出庫口56に搬送された後に自動運転車2の向き、駐車ズレ(停止位置、停止方向)をカメラ70で撮像して検出するようにしていた。第2実施形態では、図4に示すように、カメラ70を入庫口54に設け、自動運転車2が入庫口54に入庫した際にカメラ70で車両の向き、駐車ズレを撮像する。出庫制御装置20の位置・方位検出部20cはカメラ70からの撮像データに基づいて自動運転車2の向き、駐車ズレ(停止位置、停止方向)を検出する。
【0049】
図5は本発明に係る出庫制御装置及び出庫制御方法の第2実施形態の動作を示すフローチャートである。
【0050】
図5に示すように、自動運転車2が入庫口54に入庫すると、カメラ70により自動運転車2が撮像され、その撮像データが出庫制御装置20に供給される。出庫制御装置20の位置・方位検出部20cは、撮像データに基づき、車両の向き、駐車ズレ(停止位置、停止方向)を検出し、位置、方位情報として記憶する(ステップS1)。出庫指示が有ると(ステップS2)、自動運転車2は出庫口に搬送される(ステップS4)。そして、直ちに、位置、方位情報が位置・方位検出部20cから通信部20aを介して自動運転車制御装置30に送信される(ステップS8)。以後のステップS10〜S72の処理は第1実施形態と同一であるため、説明は省略する。
【0051】
このように、第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏するとともに、入庫時点で自動運転車2の向きや駐車ズレ(停止位置、停止方向)を検出しているので、出庫指示が有った時点で、直ちに位置、方位情報を自動運転車制御装置30に送信できる。したがって、カメラ70により自動運転車2を撮像し、その撮像データに基づいて位置・方位検出部20cが車両の向き、駐車ズレ(停止位置、停止方向)を検出する時間分だけ、出庫時間を短縮することが可能となる。
【0052】
なお、各実施形態では、本発明に係る出庫制御装置及び出庫制御方法を地下駐車エリア52に駐車された自動運転車2が出庫口56から出庫する際の制御を例に説明したが、本発明は様々な機械式駐車場における出庫制御に適用できる。また、カーフェリーにも適用でき、上船位置と下船位置とが全く異なるような場合にあっても自動運転車に対して正確な出庫制御を実行することができる。
【0053】
以上、各実施形態を用いて本発明を詳細に説明したが、本発明は本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載及び特許請求の範囲の記載と均等の範囲により決定されるものである。
【符号の説明】
【0054】
2…自動運転車、10…自動運転車の出庫制御システム、20…出庫制御装置、20a…通信部、20b…搬送指示部、20c…位置・方位検出部、20d…自動走行指示部、20e…出庫確認部、20f…到着確認部、30…自動運転車制御装置、30a…通信部、30b…位置検出部、30c…メモリ部、30d…走行制御部、40…利用者端末、40a…通信部、40b…操作部、40c…ディスプレイ、50…建屋、52…地下駐車エリア、54…入庫口、56…出庫口、58…車路、59…車寄せ、60…駐車場機械、70…カメラ、80…出庫センサ、90…到着センサ、P…利用者。
図1
図2
図3
図4
図5