(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0008】
[実施例1]
図1Aは、実施例1に係る紫外線照射装置100のA−A'断面図の一例を示す。
図1Bは、実施例1に係る紫外線照射装置100の上面図の一例を示す。紫外線照射装置100は、基板90上に設けられた照射部10、受光部20および容器30を備える。
【0009】
本例の紫外線照射装置100は、一の受光部20と、複数の照射部10を備える。本例の紫外線照射装置100は、4つの照射部10を備える。4つの照射部10は、受光部20の周囲に円形状に配置されている。本例の照射部10は、受光部20の周囲に等間隔に配置されている。但し、照射部10は、受光部20の周囲にランダムに配置されてもよい。
【0010】
照射部10は、紫外線を含む照射光を出射する。一例において、照射部10が出射する紫外線は、紫外線C波(UVC)を含む。本例の照射部10は、紫外線を出射する発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を有する。
【0011】
容器30は、被照射物質95を内部に保持する。一例において、被照射物質95は、照射部10の照射した光により殺菌、消毒、無害化、分解、及び/又は、変質等される。本例の被照射物質95は、照射光に含まれる紫外線により殺菌等される液体、及び/又は、気体等の流体である。例えば、被照射物質95は、蒸留水である。容器30は、照射光が透過する透過部31及び入射した照射光を反射する反射部35を有する。
【0012】
透過部31は、少なくとも紫外線を透過させる。透過部31は、第1面および第2面を有する。第1面は、容器30の外側の面である。本例の第1面は、照射部10および受光部20に対向する。第2面は、容器30の内側の面である。即ち、第2面は、被照射物質95と接する面である。透過部31の透過面は、入射した照射光の少なくとも一部を透過させる。本例の透過部31の透過面は、入射した紫外線等の照射光を50%以上透過させる。透過部31は、石英ガラスからなる石英基板又はサファイア基板を有してよい。本例の透過部31は、平面形状を有する。但し、透過部31は、半球、円筒形状等の少なくとも一部を含む曲面形状等の他の形状であってよい。この場合であっても、透過部31の第1面の少なくとも一部が照射部10および受光部20に対向し、第2面の少なくとも一部が被照射物質95と接するように配置される。
【0013】
反射部35は、内側の少なくとも一部において紫外線等の照射光を反射してもよいし、内側の全面において照射光を反射してもよい。あるいは、反射部35は、紫外線等の照射光を透過させる材料と、当該材料の外側の一部又は全面に形成された反射領域とを有し、当該反射領域おいて照射光を反射してもよい。一例において、反射部35の内側及び/又は外側は、紫外線を反射する反射材により形成される。また、反射部35は、内側及び/又は外側が反射材によりコーティングされていてもよい。これにより、反射部35の内側は、入射した紫外線の少なくとも一部を反射する。好ましくは、反射部35の内側は、入射した紫外線を10%以上反射する。例えば、反射材は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)又はアルミニウムを含む材料で形成される。なお、容器30の内側で照射光が反射される回数は、一回に限られずに複数回であってもよい。また、反射部35の内側は、容器30に保持された被照射物質95を均一に照射光が通過するように入射した照射光を反射してもよい。より具体的には、PTFE等の拡散反射材を用いることによって容器内の照度分布を一定にし、被照射物質95に均一に照射光を通過させることができる。なお、反射部35の内側は、表面に凹凸が形成されることにより、紫外線を散乱させてもよい。
【0014】
また、容器30は、流入口32および流出口33を備える。容器30は、流入口32から被照射物質95を流入し、流出口33から被照射物質95を流出する。本例の流入口32は、容器30の側壁の下側に形成される。また、流出口33は、容器30の側壁の上側に形成される。これにより、気泡が容器30の上側に滞留することを防げる。但し、流入口32および流出口33の位置は、本例に限られない。容器30は、照射光の反射に影響を与えにくい位置に流入口32および流出口33を形成することが好ましい。被照射物質95は、流入口32および流出口33が開かれることにより、照射部10が照射光を被照射物質95に照射する間、容器30内で循環される。但し、被照射物質95は、流入口32および流出口33が閉じられることにより、容器30内で保持され続けてもよい。容器30の形状は、円筒状、立方体状、球状等のいずれか、又はこれらの組み合わせであってよい。但し、容器30の形状は、容器30内の被照射物質95に対して均一かつ多くの光が照射されるような形状が好ましい。容器30の形状は、対称性の観点から円筒状が好ましい。また、容器30の内部の被照射物質95がなるべく長い時間滞留するように、仕切りや円筒を二重にして配置してもよい。この場合、容器30の仕切りや二重の円筒には被照射物質95が澱みなく流れるような流入口32および流出口33を設けるのが好ましい。
【0015】
受光部20は、照射部10が照射した照射光の少なくとも一部を受光する。受光部20は、照射光を受光するための素子である。受光部20は例えばフォトダイオード(PD:Photodiode)を備える。受光部20は、第1受光部の一例である。本例の受光部20は、反射部35の内側で反射された照射光を、透過部31を介して受光する。受光部20は、紫外線を含む光を受光して受光光量を出力する。受光部20は、少なくとも紫外線を受光する素子を有することが好ましい。本例の受光部20は、容器30の被照射物質95に入射し、反射部35の内側で反射され、透過部31の第2面から第1面側に透過した照射光を受光する。そのため、本例の受光部20には、照射部10のみに関する情報に加えて、被照射物質95の状態に応じた情報が入力される。
【0016】
例えば、受光部20は、照射部10から反射して入射された照射光と、被照射物質95を介して入射された照射光とを受光する。被照射物質95を介して入射された照射光には、照射部10の出力強度に関する情報に加えて、被照射物質95の状態に関する情報が含まれる。一例において、被照射物質95の状態に関する情報とは、被照射物質95に対する照射光の透過率である。
【0017】
例えば、被照射物質95の透過率は、被照射物質95に含まれる細菌の菌数、汚染物質の量、ガスの濃度に応じて変化する。特に細菌の菌数が被照射物質95の透過率に影響する。被照射物質95に含まれる菌数が多くなると被照射物質95の透過率が低下し、被照射物質95に含まれる菌数が少なくなると被照射物質95の透過率が上昇する。このため、菌数の増加により被照射物質95全体に照射される照射光の光量が低下する。
【0018】
更に、被照射物質95に含まれる菌数が増加すると、菌数を一定レベル以下に殺菌する等のために必要な照射光の照射量が増加する場合がある。すなわち、被照射物質95に含まれる菌数が増加すると、透過率の低下を補償して被照射物質95全体に十分な照射光を供給する観点、及び/又は、被照射物質95中の殺菌量を増加する観点から、照射部10の出力を増加する必要性が生じる。
【0019】
紫外線照射装置100は、上記の観点の少なくとも一部に基づいて、照射部10の出力を制御してよい。例えば、紫外線照射装置100は、被照射物質95における殺菌状態を維持するために、被照射物質95の透過率が低くなった場合に照射部10の出力を上げ、被照射物質95の透過率が高くなった場合に照射部10の出力を下げるようにフィードバック制御を実行する。ここで、殺菌状態とは被照射物質95に含まれる生存する菌数又は菌濃度であってよく、殺菌状態を維持するとは生存する菌数又は菌濃度を所定の範囲にすることであってよい。一例として、紫外線照射装置100は、演算回路等を用いて、被照射物質95の透過率から被照射物質95中の菌数等を推測し、当該菌数等及び透過率から生存する菌数等を所定の範囲にするための照射部10の出力を決定してよい。
【0020】
また、紫外線照射装置100は、透過率の低下を補償して被照射物質95全体に十分な照射光を供給する観点から、照射部10の出力を制御してもよい。
【0021】
基板90は、透過部31の第1面側に対向して配置される。基板90は、容器30と隣接して配置されることが好ましい。基板90上には、照射部10および受光部20が、透過部31の第1面と対向するように搭載されている。
【0022】
本例の紫外線照射装置100は、照射部10から出射された照射光の少なくとも一部を透過部31の第1面から第2面側に透過させて、容器30の内部に入射させる。また、紫外線照射装置100は、容器30の内部に入射した照射光の少なくとも一部を反射部35の内側で反射させる。紫外線照射装置100は、反射部35の内側で反射した照射光の少なくとも一部を、透過部31の第2面側から第1面側に透過させて、受光部20で受光する。
【0023】
このように、本明細書に係る紫外線照射装置100は、照射部10からの照射光を反射部35の内側で反射させて、受光部20で受光する。即ち、反射部35の内側で反射させない場合と比較して、透過部31の設計の自由度を高めることができる。例えば、紫外線照射装置100は、少なくとも1つの透過部31を有すればよく、複数の透過部31を設ける必要がない。また、反射部35の内側の形状を工夫することにより透過部31の面積を小さくできる。これにより、透過部31を設けるための容器30の加工費用および高価な透過部31の材料費が抑えられる。
【0024】
以上の通り、本例の紫外線照射装置100は、受光部20における受光光量に基づいて、被照射物質95の透過率をモニタする。紫外線照射装置100は、被照射物質95の透過率のモニタ結果に応じて、照射部10の出力を制御してよい。これにより、紫外線照射装置100は、一例において、被照射物質95に対して照射光量又は殺菌状態が一定になるように照射部10の出力等を制御できる。
【0025】
[実施例2]
図2Aは、実施例2に係る紫外線照射装置100のA−A'断面図の一例を示す。
図2Bは、実施例2に係る紫外線照射装置100のB−B'断面図の一例を示す。
図2Cは、実施例2に係る紫外線照射装置100の上面図の一例を示す。本例の紫外線照射装置100は、受光部20に加えて、LEDモニタ部25を更に備える点で実施例1に係る紫外線照射装置100と異なる。
【0026】
LEDモニタ部25は、受光部26および反射カバー70を備える。LEDモニタ部25は、受光部26により照射部10の出力をモニタする。LEDモニタ部25は、照射部10の出力をモニタするために、反射部35の内側で反射した照射光を反射カバー70で反射する。本例のLEDモニタ部25は、上面視で、4つの照射部10の中心に配置されている。但し、LEDモニタ部25の配置はこれに限られない。LEDモニタ部25は、基板90上に少なくとも1つ有していればよい。なお、受光部26は、第2受光部の一例である。
【0027】
受光部20は、LEDモニタ部25の上方に設けられる。本例の受光部20は、LEDモニタ部25が有する蓋部71の上部に設けられている。これにより、受光部20には、照射部10のみに関する情報に加えて、被照射物質95の状態に応じた情報が入力される。また、本例の受光部20は、蓋部71の上部に設けられているので、受光部20およびLEDモニタ部25の設置面積を低減できる。また、本例の受光部は、円形状に設けられた複数の照射部10に対して、少なくとも1つ設ければよい。本例では、4つの照射部10が設けられるが、それ以上の照射部10が設けられてもよい。そのため、紫外線照射装置100は、照射部10の個数よりも少数の受光部でモニタできる。
【0028】
反射カバー70は、蓋部71および側部72を備える。蓋部71は、受光部26の上面を覆う。受光部26に対向する蓋部71の面は、照射部10から入射された照射光を反射して、受光部26に入射させる。一例において、蓋部71の受光部26と対向する面には、照射光の反射面が設けられる。反射面は例えば反射用のアルミニウム等が設けられる。側部72は、受光部26の側面を覆う。但し、側部72は、照射部10と対応する位置に開口73を有する。照射部10と対応する位置とは、照射部10からの照射光が、反射カバー70に反射して受光部20に入射できる開口73の位置を指す。これにより、受光部26は、照射部10からの照射光を選択的に受光する。例えば、本例の開口73は、少なくとも照射部10と受光部26とを結ぶ直線上に設けられる。この場合、反射カバー70は、照射部10以外の迷光(容器30やその他からの反射を含む)が受光部26に入射するのを抑制できる。
【0029】
本例の紫外線照射装置100は、受光部20における受光光量およびLEDモニタ部25のモニタ結果に基づいて、被照射物質95の透過率および照射部10の出力をモニタする。紫外線照射装置100は、被照射物質95の透過率および照射部10の出力のモニタ結果に応じて、照射部10の出力を制御してよい。また、紫外線照射装置100は、LEDモニタ部25のモニタ結果を用いることにより、被照射物質95の透過率のモニタ結果が、被照射物質95の透過率の変化に応じたものであるのか、照射部10の出力の低下に応じたものであるかを判断する。これにより、紫外線照射装置100は、一例において、被照射物質95に対して照射光量又は殺菌状態が一定になるように照射部10の出力等を高精度に制御できる。
【0030】
[実施例3]
図3Aは、実施例3に係る紫外線照射装置100のA−A'断面図の一例を示す。
図3Bは、実施例3に係る紫外線照射装置100の上面図の一例を示す。本例のLEDモニタ部25は、受光部26および反射カバー70を備える。本例では、実施例2に係る紫外線照射装置100と異なる構成について特に説明する。それ以外の構成は、実施例2に係る紫外線照射装置100と基本的に同じである。
【0031】
本例の紫外線照射装置100は、1つの受光部20、4つのLEDモニタ部25および4つの照射部10を備える。4つの照射部10は、1つの受光部20を中心に円形状に並べられている。また、4つのLEDモニタ部25は、4つ照射部10に対応して設けられている。LEDモニタ部25と照射部10とが対応して設けられるとは、照射部10からの照射光を受光部26で受光できるように開口73が設けられていることを指す。本例の4つのLEDモニタ部25は、照射部10と受光部20との間にそれぞれ設けられているが、照射部10と対応していればこれに限られない。本例の反射カバー70は、1つの開口を有するが、実施例2の場合のように照射部10と対応して複数の開口73を設けてもよい。
【0032】
[実施例4]
図4は、実施例4に係るLEDモニタ部25の断面図の一例を示す。本例のLEDモニタ部25は、反射カバー70の代わりに拡散反射板60を備える点で実施例3に係るLEDモニタ部25と相違する。本例の紫外線照射装置100は、LEDモニタ部25以外の構成について、実施例3に係る紫外線照射装置100と同一の構成を備えてよい。
【0033】
拡散反射板60は、容器30の内側で反射し透過部31を透過した照射光が、受光部26に入射するのを防止する。これにより、受光部26には、透過部31に入射することなく、照射部10から照射された照射光のみが入射される。また、拡散反射板60は、透過部31で反射した照射光が受光部26に入射するのを防止してもよい。本例の拡散反射板60は、照射部10からの照射光を反射させて受光部26に入射させる。
【0034】
本例の拡散反射板60は、受光部26の上方に設けられる。拡散反射板60は、受光部26の少なくとも一部を覆うように配置される。拡散反射板60は、受光部26の全面を覆うことが好ましい。また、拡散反射板60は、受光部26よりも広範囲を覆うように設けられてもよい。本例の拡散反射板60は、紫外線を反射する反射材により形成される。また、拡散反射板60は、紫外線を反射する反射材が表面にコーティングされた構造を有してもよい。これにより、本例の紫外線照射装置100は、照射部10の出力強度に関する情報のみを取得する。即ち、本例の受光部26の受光光量は、被照射物質95の状態による影響を受けない。
【0035】
[実施例5]
図5は、実施例5に係る紫外線照射装置100の断面図の一例を示す。照射部10および受光部20の個数および配置は、実施例1に係る紫外線照射装置100と同一であってよい。但し、本例の紫外線照射装置100は、波長変換部80を備える点で実施例1と相違する。
【0036】
波長変換部80は、受光部20が受光する照射光を長波長側の光に変換する。特に、波長変換部80は、照射部10からの照射光のうち、少なくとも紫外線を長波長側の光に変換する。本例の波長変換部80は、受光部20の受光面に配置される。但し、波長変換部80は、照射部10の出射面その他の任意の位置に設けられてよい。本例の波長変換部80は、受光部20の受光面に配置されるので、被照射物質95の殺菌効率を落とすことなく波長を変換できる。波長変換部80は、波長変換するためのフィルム、フィルタ、樹脂等を有する。これにより、受光部20は、波長変換部80が変換した長波長側の光を受光して受光光量を出力する。
【0037】
図6Aおよび
図6Bは、実施例1に係る受光部20におけるモニタ電圧比又は実施例2に係るLEDモニタ部25におけるモニタ電圧比のシミュレーションを示す。同図は、実施例1,2に係る紫外線照射装置100を用いて、容器30ありの場合と、容器30なしの場合のモニタ電圧比をそれぞれ示す。容器30ありの場合では、被照射物質95の透過率を95%、99%および100%にそれぞれ変化させている。容器30なしの場合では、容器30の代わりにガラスを用いているので、反射部35の内側で反射した照射光の影響がない。即ち、容器30なしの場合、受光部20の受光光量は、被照射物質95の影響を受けない。なお、モニタ電圧比は実施例1に係る受光部20または実施例2に係る受光部26が受光した光量の大きさの比率を示す。
【0038】
図6Aは、実施例1に係る受光部20におけるモニタ電圧比のシミュレーション結果を示す。本例の紫外線照射装置100は、容器30なしの場合よりも容器30ありの場合において、モニタ電圧比が高い。被照射物質95の透過率が99%の場合は、被照射物質95の透過率が95%の場合よりもモニタ電圧比が高い。また、被照射物質95の透過率が100%の場合は、被照射物質95の透過率が99%の場合よりもモニタ電圧比が高い。即ち、被照射物質95の透過率が上昇するに従い、モニタ電圧比も高くなる傾向にある。よって、実施例1に係る紫外線照射装置100は、被照射物質95の状態に応じた情報を検出できる。
【0039】
図6Bは、実施例2に係るLEDモニタ部25におけるモニタ電圧比のシミュレーション結果の一例を示す。本例の紫外線照射装置100は、容器30なしの場合と容器30ありの場合とでモニタ電圧比の差異が小さい。また、被照射物質95の条件を変えた場合、被照射物質95の透過率とモニタ電圧比との相関がなく、誤差範囲におさまっている。即ち、本例の紫外線照射装置100は、被照射物質95の影響を受けずに照射部10の出力の大きさを検出できる。例えば、本例の紫外線照射装置100は、被照射物質95の影響を受けずに照射光の強度を検出できるので、照射部10の光量の低下を検知できる。
【0040】
ここで、実施例1〜5に係る紫外線照射装置100の構成は、それぞれ組み合わせて実施されてよい。実施例の組み合わせは、同一の基板90上に各実施例に係る照射部10、受光部20およびLEDモニタ部25を配置することにより実現される。また、実施例を組み合わせる場合、照射部10を共通にして、各実施例に係る受光部20又はLEDモニタ部25を複数設けてよい。
【0041】
また、本明細書に係る照射部10は、受光部20又は受光部26のモニタ電力を入力として、負帰還で照射量の光量を制御してよい。例えば、実施例2において、照射部10の光量が低下していると判断された場合、照射部10は、照射光の光量を増加させる。これにより、照射部10は、照射光の光量を一定に制御する。一方、照射部10の光量が低下していると判断された場合であって被照射物質95の透過率が低下していない場合、照射部10は、照射光の光量を現状のまま維持してもよい。
【0042】
また、照射部10は、被照射物質95の透過率が低下していると判断された場合、透過率を高めるために照射光の強度を上昇させる。また、照射部10は、予め被照射物質95の菌数と被照射物質95の透過率との関係を知ることにより、被照射物質95の菌数が基準値以上となった場合に、照射部10の強度を上昇させてもよい。
【0043】
モニタ電力を入力とする照射量の光量の制御に代えて/加えて、第1受光部からの受光光量を入力として、被照射物質95の流量を正帰還で制御してもよい。例えば、紫外線照射装置100は、被照射物質95の流量を制御する流量制御部を有してよく、流量制御部が受光光量に応じて流入口32及び/又は流出口33に設けられたバルブ等を開閉してよい。一例として、流量制御部は受光光量が低下/増加したことに応じて被照射物質95の流量を低下/増加させ、被照射物質95の単位流量に対する照射光の照射時間を増加/低下させ、これにより時間積算した被照射物質95に対する照射光量を増加/低下させてよい。
【0044】
図7は、実施例1に係る受光部20における出力電圧を示す。縦軸は出力電圧[mV]を示し、横軸は駆動電流[mA]を示す。同図は、容器30ありの場合と容器30なしの場合の両方について示している。なお出力電圧とは受光部20において生じた電流値を、電流電圧変換器(例えば、DL Instruments社1211)を用いて電圧に変換した値である。
【0045】
容器30なしの場合、LED電流の増加に伴い、受光部20の出力電圧が線形的に上昇している。また、容器30ありの場合も、LED電流の増加に伴い、受光部20の出力電圧が線形的に上昇している。即ち、実施例1に係る紫外線照射装置100を用いた場合、容器30の有無にかかわらず、LED電流の増加に伴い、受光部20の出力電圧が線形的に上昇する。本例の結果は、受光部20の受光光量に、照射部10が照射した照射光の光量に関する情報が含まれていることを示す。
【0046】
実施例1に係る紫外線照射装置100は、容器30ありの場合の方が、容器30なしの場合よりも高い出力電圧を示している。即ち、容器30ありの出力電圧と、容器30なしの出力電圧との差分は、反射部35の内側から反射されて受光部20に入射される反射光に基づく出力電圧を示している。よって、実施例1に係る紫外線照射装置100は、容器30ありの場合に、反射部35の内側から反射されて受光部20に入射される反射光を受光していることが分かる。
【0047】
図8は、実施例2に係るLEDモニタ部25における出力電圧を示す。縦軸は出力電圧[mV]を示し、横軸はLEDの駆動電流[mA]を示す。同図は、容器30ありの場合と容器30なしの場合の両方について示している。なお前述と同様に、出力電圧とはLEDモニタ部25において生じた電流値を、電流電圧変換器(例えば、DL Instruments社1211)を用いて電圧に変換した値である。
【0048】
容器30なしの場合、LED電流の増加に伴い、受光部26の出力電圧が線形的に上昇している。また、容器30ありの場合も、LED電流の増加に伴い、受光部26の出力電圧が線形的に上昇している。即ち、実施例2に係る紫外線照射装置100を用いた場合、容器30の有無にかかわらず、LED電流の増加に伴い、受光部26の出力電圧が線形的に上昇する。本例の結果は、受光部26の受光光量に、照射部10が照射した照射光の光量に関する情報が含まれていることを示す。
【0049】
実施例2に係るLEDモニタ部25における出力電圧は、容器30ありの場合と、容器30なしの場合とで出力電圧の違いがほとんどない。また、受光部20では実施例1と同じように
図7のような出力電圧が求められる。即ち、LEDモニタ部25における出力電圧は、反射カバー70を設けることにより、容器30の内側から反射されて受光部26に入射される反射光による影響がないことを示している。本例のLEDモニタ部25における出力電圧は、被照射物質95の状態に影響されない照射部10の出力強度に関する情報を取得するので、照射部10の出力の状態を検出できる。本例の受光部20と組み合わせることにより、被照射物質95の状態を精度よく推定できる。例えば、照射部10の出力の経時劣化等を加味した上で正味の被照射物質95の透過率を決定できる。
【0050】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0051】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。