(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ハニカムセグメントの前記周縁外周壁セルが形成された外周領域を除き、前記目封止部は、前記流入端面における前記セルの開口部に前記目封止部が配設された流出セルの周りを、前記流出端面における前記セルの開口部に前記目封止部が配設された流入セルが取り囲むように、前記ハニカムセグメントの前記セルの開口部に配置されている、請求項1に記載の目封止ハニカム構造体。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。したがって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に入ることが理解されるべきである。
【0020】
(1)目封止ハニカム構造体:
本発明の目封止ハニカム構造体の第一実施形態は、
図1〜
図5に示すように、複数個のハニカムセグメント4と、接合層6と、目封止部5と、を備えた、目封止ハニカム構造体100である。本実施形態の目封止ハニカム構造体100は、所謂、セグメント構造の目封止ハニカム構造体である。目封止ハニカム構造体100の外周には、複数個のハニカムセグメント4を囲繞するように配設された外壁8を更に備えている。本実施形態の目封止ハニカム構造体100は、排ガス中に含まれる粒子状物質を除去するための捕集フィルタとして好適に利用することができる。
【0021】
ここで、
図1は、本発明の目封止ハニカム構造体の第一実施形態を模式的に示す、流入端面側からみた斜視図である。
図2は、本発明の目封止ハニカム構造体の第一実施形態を模式的に示す、流入端面側からみた平面図である。
図3は、
図1に示す目封止ハニカム構造体の流入端面の一部を拡大した拡大平面図である。
図4は、
図1に示す目封止ハニカム構造体の流出端面の一部を拡大した拡大平面図である。
図5は、
図3のA−A’を模式的に示す断面図である。また、
図6は、
図1に示す目封止ハニカム構造体に用いられる目封止ハニカムセグメントを模式的に示す、流入端面側からみた斜視図である。
図7は、
図1に示す目封止ハニカム構造体に用いられる目封止ハニカムセグメントを模式的に示す、流入端面側からみた平面図である。
【0022】
図6及び
図7に示すように、ハニカムセグメント4は、流体が流入する流入端面11から、流体が流出する流出端面12まで延びる複数のセル2を取り囲むように配設された多孔質の隔壁1、及び最外周に配設されたセグメント外周壁3を有するものである。
図1〜
図5に示すように、目封止ハニカム構造体100は、複数個のハニカムセグメント4を備え、この複数個のハニカムセグメント4の側面同士が接合層6を介して接合されている。複数個のハニカムセグメント4のうち、目封止ハニカム構造体100の中央部分に配置されたハニカムセグメント4は、流入端面11から流出端面12に向かう方向を軸方向とする「角柱状」を呈するものとなっている。一方で、複数個のハニカムセグメント4のうち、外壁8と接している外周部分に配置されたハニカムセグメント4は、角柱状に形成されたハニカムセグメント4の一部が、外壁8の形状に沿って研削された柱状のものとなっている。
【0023】
接合層6は、複数個のハニカムセグメント4の側面同士を互いに接合する接合材によって構成されたものである。複数個のハニカムセグメント4が接合層6を介して接合された接合体を、ハニカムセグメント接合体7ということがある。
【0024】
目封止部5は、それぞれのハニカムセグメント4に形成されたセル2の開口部に配設され、セル2の流入端面11側又は流出端面12側のいずれか一方の開口部を封止するものである。即ち、目封止部5は、それぞれのハニカムセグメント4の流入端面11における所定のセル2xの開口部、及び流出端面12における所定のセル2x以外の残余のセル2yの開口部に配設されている。以下、ハニカムセグメント4の流入端面11におけるセル2の開口部に目封止部5が配設されたセル2(即ち、上述した所定のセル2x)を、「流出セル2x」ということがある。ハニカムセグメント4の流出端面12におけるセル2の開口部に目封止部5が配設されたセル2(即ち、上述した残余のセル2y)を、「流入セル2y」ということがある。ハニカムセグメント4のセル2の開口部に目封止部5が配設されたものを、目封止ハニカムセグメント4Aということがある。
【0025】
ハニカムセグメント4には、セル2の延びる方向に直交する断面において、少なくとも2種類の異なる形状のセルが、所定の繰り返し配列パターンを有するように形成されている。例えば、
図6及び
図7に示すハニカムセグメント4には、セル2の形状が四角形のセル(例えば、流出セル2x)と、セル2の形状が五角形のセル(例えば、流入セル2y)との、2種類の異なる形状のセル2が形成されている。上述した「繰り返し配列パターン」とは、少なくとも1つの流出セル2xと、少なくとも1つの流入セル2yとによって構成された配列パターンであって、1つのハニカムセグメント4において、当該配列パターンが、2つ以上存在するものをいう。以下、セル2の延びる方向に直交する断面における、セル2の形状のことを、「セル形状」、「断面形状」、及び「断面の形状」ということがある。なお、各ハニカムセグメント4に形成される流出セル2x及び流入セル2yの個数については、
図1〜
図7に描画された個数に限定されることはない。例えば、
図1〜
図7においては、上記した「繰り返し配列パターン」を説明するための便宜上、流出セル2x及び流入セル2yの個数を少な目に描画している。
【0026】
目封止部5の配置、別言すれば、流出セル2xと流入セル2yとの配置については、特に制限はない。ただし、ハニカムセグメント4の外周領域を除き、目封止部5は、流出セル2xの周りを、流入セル2yが取り囲むように、ハニカムセグメント4のセル2の開口部に配置されていることが好ましい。例えば、
図6及び
図7に示すハニカムセグメント4のように、セル形状が四角形の流出セル2xの周りを、セル形状が五角形の流入セル2yが取り囲むように、各目封止部5が配置されていることが好ましい。ここで、「流出セル2xの周りを、流入セル2yが取り囲む」とは、セル2の延びる方向に直交する断面において、以下のように構成されていることを意味する。ここでは、
図6及び
図7に示すように、流出セル2xのセル形状が四角形の場合の例について説明する。まず、一の流出セル2xの4辺のそれぞれに対して、流入セル2yの一辺が隣接するように配置される。この際、一の流出セル2xの一辺に対して、2つ以上の流入セル2yの一辺が隣接するように配置されていてもよい。即ち、一の流出セル2xの一辺の半分の位置までに、一の流入セル2yの一辺が隣接するように配置され、更に、一の流出セル2xの一辺の半分以降の位置に、他の流入セル2yの一辺が隣接するように配置されていてもよい。そして、一の流出セル2xに隣接する流入セル2yの全てが、相互の流入セル2y同士で、互いの一辺が隣接するように配置される。このような状態で流入セル2yが配置されることを、「流出セル2xの周りを、流入セル2yが取り囲む」という。なお、「ハニカムセグメント4の外周領域」とは、後述する「周縁外周壁セル2b」が形成された領域のことを意味する。
【0027】
それぞれのハニカムセグメント4のセル2は、周縁外周壁セル2bを含む。周縁外周壁セル2bは、セル2の周縁が隔壁1及びセグメント外周壁3により囲まれたセル2である。また、それぞれのハニカムセグメント4のセル2は、全周縁隔壁セル2aを含む。全周縁隔壁セル2aは、セル2の全周縁が隔壁1により囲まれたセル2である。更に、周縁外周壁セル2bは、角部周縁外周壁セル2baと、非角部周縁外周壁セル2bbとを含む。角部周縁外周壁セル2baは、ハニカムセグメント4の角部に配置された周縁外周壁セル2bである。非角部周縁外周壁セル2bbは、ハニカムセグメント4の角部以外に配置された周縁外周壁セル2bである。
【0028】
本実施形態の目封止ハニカム構造体100においては、角部周縁外周壁セル2baと非角部周縁外周壁セル2bbが、下記の(a)又は(b)の条件を満たすことが重要な特徴となっている。
【0029】
(a)角部周縁外周壁セル2baの流入開口面積S1
inが、非角部周縁外周壁セル2bbの平均流入開口面積S2
inの1.1倍以上である。
(b)角部周縁外周壁セル2baの流出開口面積S1
outが、非角部周縁外周壁セル2bbの平均流出開口面積S2
outの1.1倍以上である。
【0030】
図1〜
図7に示す目封止ハニカム構造体100は、上記(a)の条件を満たすものである。このように構成された目封止ハニカム構造体100は、アイソスタティック強度を維持しつつ、不燃性の粒子状物質の堆積による圧力損失の上昇を抑制することができる、という効果を奏するものである。
【0031】
従来のセグメント構造の目封止ハニカム構造体においては、各ハニカムセグメントの角部に形成される角部周縁外周壁セルの流路断面積(別言すれば、開口面積)が、非角部周縁外周壁セルの流路断面積と同等又は相対的に小さくなることが一般的である。即ち、通常、ハニカムセグメントの外周領域は、当該ハニカムセグメントにおける「セルの繰り返し配列パターン」の一部が不完全な状態で再現されていることが多く、角部周縁外周壁セルの流路断面積は、相対的に小さくなるという傾向があった。ただし、角部周縁外周壁セルの流路断面積が小さくなると、灰等の不燃性の粒子状物質の堆積に伴って、当該角部周縁外周壁セルが閉塞され易くなる。また、後述する第三実施形態のように、角部周縁外周壁セルが流出セルの場合には、角部周縁外周壁セルの背圧が極端に上昇してしまうことがある。
【0032】
上記(a)又は(b)の条件を満たすことにより、角部周縁外周壁セル2baの流路断面積を、非角部周縁外周壁セル2bbの流路断面積に比して大きくし、圧力損失の上昇を抑制している。また、本実施形態の目封止ハニカム構造体100は、隔壁1の厚さやセル密度などのハニカムセグメント4全体の構造についての変更を特段要しないため、アイソスタティック強度の大幅な低下を引き起こすこともない。このため、例えば、排ガス浄化装置内において目封止ハニカム構造体を把持する際に必要とされるアイソスタティック強度を十分に確保しつつ、この目封止ハニカム構造体の圧力損失の上昇を有効に抑制することができる。
【0033】
角部周縁外周壁セル2baの流入開口面積S1
inが、非角部周縁外周壁セル2bbの平均流入開口面積S2
inの1.2倍以上であることが好ましい。また、角部周縁外周壁セル2baの流出開口面積S1
outが、非角部周縁外周壁セル2bbの平均流出開口面積S2
outの1.4倍以上であることが好ましい。このように構成することによって、目封止ハニカム構造体の圧力損失の上昇をより有効に抑制することができる。
【0034】
本実施形態の目封止ハニカム構造体100においては、角部周縁外周壁セル2baと非角部周縁外周壁セル2bbが、下記の(c)又は(d)の条件を満たすことが更に好ましい。
(c)角部周縁外周壁セル2baの流入開口面積S1
inが、非角部周縁外周壁セル2bbの平均流入開口面積S2
inの4.0倍未満である。
(d)角部周縁外周壁セル2baの流出開口面積S1
outが、非角部周縁外周壁セル2bbの平均流出開口面積S2
outの4.0倍未満である。
【0035】
上記(c)又は(d)の条件を満たすことにより、アイソスタティック強度の大幅な低下をより有効に抑制することができる。角部周縁外周壁セル2baの流入開口面積S1
inが、非角部周縁外周壁セル2bbの平均流入開口面積S2
inの3.6倍以下であることが特に好ましい。また、角部周縁外周壁セル2baの流出開口面積S1
outが、非角部周縁外周壁セル2bbの平均流出開口面積S2
outの3.6倍以下であることが特に好ましい。
【0036】
また、流入セル2yである角部周縁外周壁セル2baのセル形状が、流入セル2yである全周縁隔壁セル2aのセル形状と異なっていることが好ましい。また、流出セル2xである角部周縁外周壁セル2baのセル形状が、流入セル2yである全周縁隔壁セル2aのセル形状と異なっていることが好ましい。即ち、角部周縁外周壁セル2baが流入セル2yである場合に、当該角部周縁外周壁セル2baは、全周縁隔壁セル2aのうちの流入セル2yである全周縁隔壁セル2aのセル形状と異なっていることが好ましい。また、角部周縁外周壁セル2baが流出セル2xである場合に、当該角部周縁外周壁セル2baは、全周縁隔壁セル2aのうちの流出セル2xである全周縁隔壁セル2aのセル形状と異なっていることが好ましい。このように構成された目封止ハニカム構造体は、これまでに説明した各条件を満たすことにより、アイソスタティック強度を良好に維持しつつ、不燃性の粒子状物質の堆積による圧力損失の上昇を良好に抑制することができる。
【0037】
目封止ハニカム構造体100の全体形状については、特に制限はない。例えば、
図1に示す目封止ハニカム構造体100の全体形状は、流入端面11及び流出端面12が円形の円柱形状である。その他、図示は省略するが、目封止ハニカム構造体の全体形状としては、流入端面及び流出端面が、楕円形やレーストラック(Racetrack)形や長円形等の略円形の柱形状であってもよい。また、目封止ハニカム構造体の全体形状としては、流入端面及び流出端面が、四角形や六角形等の多角形の角柱形状であってもよい。
【0038】
ハニカムセグメントを構成する材料に特に制限はないが、強度、耐熱性、耐久性等の観点から、主成分は、酸化物又は非酸化物の各種セラミックスや金属等であることが好ましい。具体的には、例えば、セラミックスとしては、コージェライト、ムライト(Mullite)、アルミナ、スピネル(Spinel)、炭化珪素、窒化珪素、及びチタン酸アルミニウム等が考えられる。金属としては、Fe−Cr−Al系金属、及び金属珪素等が考えられる。これらの材料の中から選ばれた1種又は2種以上を主成分とすることが好ましい。高強度、高耐熱性等の観点から、アルミナ、ムライト、チタン酸アルミニウム、コージェライト、炭化珪素、及び窒化珪素から構成された群より選ばれた1種又は2種以上を主成分とすることが特に好ましい。また、高熱伝導率や高耐熱性等の観点からは、炭化珪素、又は珪素−炭化珪素複合材料が特に適している。ここで、「主成分」とは、ハニカムセグメントの50質量%以上、好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上を構成する成分のことを意味する。
【0039】
目封止部の材料については特に制限はない。目封止部の材料は、上述のハニカムセグメントの好適な材料として挙げた各種セラミックス及び金属等の中から選択された1種又は2種以上を含むことが好ましい。
【0040】
本実施形態の目封止ハニカム構造体は、複数個のハニカムセグメント(より具体的には、目封止ハニカムセグメント)が接合層を介して相互に接合されたものである。このように構成することによって、目封止ハニカム構造体にかかる熱応力を分散させることができ、局所的な温度上昇によるクラックの発生を有効に防止することができる。
【0041】
ハニカムセグメントの大きさについては、特に制限はない。ただし、1個のハニカムセグメントの大きさが大きすぎると、クラックの発生を防止する効果が十分に発揮されないことがある。また、1個のハニカムセグメントの大きさが小さすぎると、ハニカムセグメントの接合層による接合作業が煩雑になることがある。
【0042】
ハニカムセグメントの形状については、特に制限はない。例えば、ハニカムセグメントの形状として、当該ハニカムセグメントの軸方向に直交する断面形状が四角形や六角形等の多角形の角柱形状を挙げることができる。なお、目封止ハニカム構造体の最外周に配設されるハニカムセグメントは、目封止ハニカム構造体の全体形状に応じて、角柱形状の一部が研削等により加工されたものであってもよい。
【0043】
図1〜
図5に示すように、本実施形態の目封止ハニカム構造体100において、各ハニカムセグメント4の所定の繰り返し配列パターンは、全周縁隔壁セル2aによって形成されている。この全周縁隔壁セル2aは、流入セル2yと流出セル2xとを含み、繰り返し配列パターンを形成する流入セル2yは、当該流入セル2yの中心軸方向に直交する断面形状が、見かけ上、略五角形である。また、繰り返し配列パターンを形成する流出セル2xは、当該流出セル2xの中心軸方向に直交する断面形状が、見かけ上、略正方形である。上記「断面形状」とは、各セル2を、その中心軸方向に直交する平面で切断したときの、その断面に現れる形状のことであり、セル2を形成する隔壁1に囲まれた部分の形状を指す。そして、本実施形態の目封止ハニカム構造体100の各ハニカムセグメント4は、断面形状が略正方形である流出セル2xの周囲を、8個の断面形状が略五角形である流入セル2yが取り囲むように配置された、セルの繰り返し配列パターンを有している。このように構成することによって、本実施形態の目封止ハニカム構造体100は、従来の目封止ハニカム構造体と比較して、フィルタとして使用した場合に、各ハニカムセグメント4の濾過面積を大きくすることができる。このため、PM堆積時の圧力損失を低減させることができる。また、このように構成されたハニカムセグメント4においては、流出セル2x同士が隣接することはなく、流出セル2xは、その周囲の全てを流入セル2yによって取り囲まれることになる。このため、流出セル2xの開口率を大きくすることができるとともに、流出セル2xの数を流入セル2yの数と比べて少なくできるため、目封止ハニカム構造体100の使用初期の圧力損失を低減させることができる。
【0044】
図1〜
図5に示す通り、断面形状が略五角形である流入セル2yは、正五角形ではなく、例えば、その内角が、一の頂点から時計回りに、90°、135°、90°、90°、135°の、所謂、ホームベース形状であることが好ましい。このように構成することによって、4個の流入セル2yが、それぞれのホームベース形状の先端側の角部が集合するように隣接して形成されることとなる。4個の流入セル2yにおいて、それぞれのホームベース形状の先端側の角部が集合する部分では、2つの隔壁1が互いに直交する構造となっており、この角部が集合する部分における隔壁1の熱容量を高く維持することができ、PM燃焼時の熱応力を緩和させることができる。
【0045】
図8に示すように、流出セル2xの第1の辺13を形成する隔壁1と、流出セル2xの第1の辺13と対向する第2の辺14を形成する隔壁1との距離である距離Pは、0.8mmを超え、3.8mm未満の範囲であることが好ましい。距離Pとは、第1の辺13を形成する隔壁1の厚さ方向の中心から、対向する第2の辺14を形成する隔壁1の厚さ方向の中心とを結ぶ最短距離を指す。また、
図8に示すように、流出セル2xの一辺と略平行に隣接する流入セル2yの第3の辺15を形成する隔壁1と、流入セル2yの第3の辺15と対向する第4の辺16を形成する隔壁1との距離を、距離Qとする。距離Pに対する、距離Qの比率は、0.2以上、1.6未満の範囲であることが好ましい。距離Qとは、第3の辺15を形成する隔壁1の厚さ方向の中心から、対向する第4の辺16を形成する隔壁1の厚さ方向の中心とを結ぶ最短距離を指す。距離P及び距離Qの関係を上記の範囲とすることによって、初期の圧力損失及びPM堆積時における圧力損失がバランス良く低減されるため好ましい。
図8は、本発明の目封止ハニカム構造体の第一実施形態を流入端面側からみた模式的部分拡大図である。
【0046】
ハニカムセグメントのセグメント外周壁の厚さが、0.3〜1.0mmであることが好ましく、0.3〜0.8mmであることが更に好ましく、0.4〜0.6mmであることが特に好ましい。ハニカムセグメントのセグメント外周壁の厚さが、0.3mm未満であると、ハニカムセグメントの強度が低下することがある点で好ましくない。ハニカムセグメントのセグメント外周壁の厚さが、1.0mm超であると、圧力損失が高くなり、耐熱衝撃性が低下することがある点で好ましくない。
【0047】
接合層の厚さが、0.5〜1.5mmであることが好ましく、0.7〜1.3mmであることが更に好ましく、0.8〜1.2mmであることが特に好ましい。接合層の厚さが、0.5mm未満であると、耐熱衝撃性が低下することがある点で好ましくない。接合層の厚さが、1.5mm超であると、圧力損失が高くなることがある点で好ましくない。
【0048】
また、本実施形態の目封止ハニカム構造体においては、全周縁隔壁セルが、断面形状が異なる2種以上のセルを含むものであることが好ましい。
図1〜
図5に示す目封止ハニカム構造体100においては、断面形状が略正方形である流出セル2xが、1つ目の断面形状の全周縁隔壁セル2aであり、断面形状が略五角形である流入セル2yが、2つ目の断面形状の全周縁隔壁セル2aである。このように構成することによって、少なくとも2種類の異なる断面形状のセルにより、所定の繰り返し配列パターンが良好に形成されることとなる。なお、セルの断面形状が多角形である場合、当該多角形の角部は、Rを有する湾曲形状であってもよい。例えば、略正方形とは、断面形状が、正方形、及び正方形の少なくとも1つの角部がRを有する湾曲形状に形成された形状を総称したものである。同様に、略五角形とは、断面形状が、五角形、及び五角形の少なくとも1つの角部がRを有する湾曲形状に形成された形状を総称したものである。
【0049】
隔壁1の厚さについては特に制限はない。例えば、1つのセル2の一辺と、当該1つのセル2と略平行に隣接する他のセル2の一辺と、の間に存在する隔壁1の厚さは、0.07〜0.51mmであることが好ましく、0.10〜0.46mmであることが更に好ましく、0.12〜0.38mmであることが特に好ましい。隔壁1の厚さが、0.07mmよりも小さいと、ハニカムセグメント4の成形が困難となることがあるため好ましくない。また、隔壁1の厚さが、0.51mmよりも大きいと、濾過面積確保や圧力損失低減の観点から好ましくない。
【0050】
また、本実施形態の目封止ハニカム構造体においては、それぞれのハニカムセグメントが以下のように構成されたものを好適例の1つとして挙げることができる。流入セル2yにおいて、幾何学的表面積GSAが、10〜30cm
2/cm
3であることが好ましく、12〜18cm
2/cm
3であることが更に好ましい。ここで、上述した「幾何学的表面積GSA」とは、流入セル2yの全内表面積(S)を、ハニカムセグメントの全容積(V)で除した値(S/V)のことをいう。一般に、フィルタの濾過面積が大きいほど、隔壁へのPM堆積厚さを低減できるため、上述した幾何学的表面積GSAの数値範囲とすることにより、目封止ハニカム構造体の圧力損失を低く抑えることができる。よって、流入セル2yの幾何学的表面積GSAが10cm
2/cm
3より小さいと、PM堆積時の圧力損失の増加につながることがあるため好ましくない。また、30cm
2/cm
3より大きいと、初期の圧力損失が増加することがあるため好ましくない。
【0051】
本実施形態の目封止ハニカム構造体では、流入セル2yのセル断面開口率が20〜70%であることが好ましく、25〜65%であることが更に好ましい。流入セル2yのセル断面開口率が20%より小さいと、初期の圧力損失が増加することがあるため好ましくない。また、70%より大きいと、濾過流速が速くなるためPMの捕集効率が低下し、更に隔壁1の強度が不足することがあるため好ましくない。ここで、「流入セル2yのセル断面開口率」とは、目封止ハニカム構造体の中心軸方向に垂直な断面における、「目封止ハニカム構造体に形成された隔壁1全体の断面積」と「全てのセル2の断面積の総和」との合計に対する、「流入セル2yの断面積の総和」の比率を意味する。
【0052】
本実施形態の目封止ハニカム構造体では、全周縁隔壁セル2aのそれぞれの水力直径が0.5〜3.5mmであることが好ましく、0.8〜2.5mmであることが更に好ましい。全周縁隔壁セル2aのそれぞれの水力直径が0.5mmより小さいと、初期の圧力損失が増加することがあるため好ましくない。また、全周縁隔壁セル2aのそれぞれの水力直径が3.5mmより大きいと、排ガスと隔壁1との接触面積が減少し、浄化効率が低下することがあるため好ましくない。ここで、全周縁隔壁セル2aのそれぞれの水力直径とは、各全周縁隔壁セル2aの断面積及び周長に基づき、4×(断面積)/(周長)によって計算される値である。全周縁隔壁セル2aの断面積とは、目封止ハニカム構造体の中心軸方向に垂直な断面に現れるセルの形状(断面形状)の面積を指し、セルの周長とは、そのセルの断面形状の周囲の長さ(当該断面を囲む閉じた線の長さ)を指す。
【0053】
初期の圧力損失、PM堆積時の圧力損失、及び捕集効率のトレードオフを鑑み、目封止ハニカム構造体のより好ましい態様としては、以下のように構成されていることが好ましい。流入セル2yの幾何学的表面積GSAが10〜30cm
2/cm
3であること、流入セル2yのセル断面開口率が20〜70%であること、及び複数のセル2のそれぞれの水力直径が0.5〜3.5mmであること、を同時に満たすことが好ましい。また、流入セル2yの幾何学的表面積GSAが12〜18cm
2/cm
3であること、流入セル2yのセル断面開口率が25〜65%であること、及び複数のセル2のそれぞれの水力直径が0.8〜2.5mmであること、を同時に満たすことが更に好ましい。
【0054】
本実施形態の目封止ハニカム構造体においては、複数のセル2を形成する隔壁1に触媒が担持されていてもよい。隔壁1に触媒を担持するとは、隔壁1の表面及び隔壁1に形成された細孔の内壁に、触媒がコーティングされることをいう。触媒の種類としては、SCR触媒(ゼオライト、チタニア、バナジウム)や、Pt、Rh、Pdのうち少なくとも2種の貴金属と、アルミナ、セリア(Ceria)、ジルコニア(Zirconia)の少なくとも1種を含む三元触媒等が挙げられる。このような触媒を担持することにより、直接噴射式ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等から排出される排ガスに含まれるNOx、CO、HC等を無毒化するとともに、隔壁1の表面に堆積したPMを触媒作用により燃焼除去させ易くすることが可能となる。
【0055】
本実施形態の目封止ハニカム構造体において、上記のような触媒を担持させる方法は、特に制限はなく、当業者が通常行う方法を採用することができる。具体的には、触媒スラリーをウォッシュコート(wash coat)して乾燥、焼成する方法等が挙げられる。
【0056】
以下、本発明の目封止ハニカム構造体の他の実施形態(第二実施形態〜第四実施形態)について説明する。第二実施形態〜第四実施形態の目封止ハニカム構造体においては、目封止ハニカムセグメントの構成が、第一実施形態の目封止ハニカム構造体に用いられる目封止ハニカムセグメントと異なること以外は、第一実施形態と同様に構成されていることが好ましい。ここで、
図9〜
図11は、本発明の目封止ハニカム構造体の第二実施形態〜第四実施形態に用いられる目封止ハニカムセグメントを模式的に示す、流入端面側からみた平面図である。
【0057】
第二実施形態の目封止ハニカム構造体は、
図9に示すような目封止ハニカムセグメント34Aを用いて構成された目封止ハニカム構造体である。ハニカムセグメント34は、複数のセル32を取り囲むように配設された多孔質の隔壁31、及び最外周に配設されたセグメント外周壁33を有するものである。目封止部35は、ハニカムセグメント34の流出セル32xの開口部、及び流入セル32yの開口部に配設されている。そして、ハニカムセグメント34の外周領域を除き、目封止部35は、流出セル32xの周りを、流入セル32yが取り囲むように、セル32の開口部に配置されている。
【0058】
図9に示す目封止ハニカムセグメント34Aは、断面形状が四角形の流出セル32xと、断面形状が五角形の流入セル32yとによって構成された「繰り返し配列パターン」を有する。
【0059】
流出セル32xは、断面形状が正方形の全周縁隔壁セル32aと、この全周縁隔壁セル32aの一部の形状を含む、断面形状が長方形の周縁外周壁セル32bと、を含んでいる。そして、流出セル32xの周縁外周壁セル32bは、非角部周縁外周壁セル32bbとなっている。
【0060】
流入セル32yは、断面形状が五角形の全周縁隔壁セル32aと、周縁外周壁セル32bと、を含んでいる。そして、流入セル32yの周縁外周壁セル32bは、ハニカムセグメント34の角部に配置された角部周縁外周壁セル32baとなっている。
図9に示す目封止ハニカムセグメント34Aにおいては、ハニカムセグメント34の1つの角部に対して、2つの角部周縁外周壁セル32baが配置されている。より具体的には、
図9に示される角部周縁外周壁セル32baは、
図7に示される第一実施形態における角部周縁外周壁セル2baを、ハニカムセグメント34の対角線方向に延びる隔壁31によって2等分した形状となっている。
【0061】
第二実施形態の目封止ハニカム構造体においても、角部周縁外周壁セル32baの流入開口面積S1
inが、非角部周縁外周壁セル32bbの平均流入開口面積S2
inの1.1倍以上となっている。
【0062】
第三実施形態の目封止ハニカム構造体は、
図10に示すような目封止ハニカムセグメント44Aを用いて構成された目封止ハニカム構造体である。ハニカムセグメント44は、複数のセル42を取り囲むように配設された多孔質の隔壁41、及び最外周に配設されたセグメント外周壁43を有するものである。目封止部45は、ハニカムセグメント44の流出セル42xの開口部、及び流入セル42yの開口部に配設されている。そして、ハニカムセグメント44の外周領域を除き、目封止部45は、流出セル42xの周りを、流入セル42yが取り囲むように、セル42の開口部に配置されている。
【0063】
図10に示す目封止ハニカムセグメント44Aは、断面形状が四角形の流出セル42xと、断面形状が五角形の流入セル42yとによって構成された「繰り返し配列パターン」を有する。
図10に示す目封止ハニカムセグメント44Aにおけるハニカムセグメント44は、
図7に示す第一実施形態の目封止ハニカムセグメント4Aにおけるハニカムセグメント4と同様に構成されている。ただし、
図10に示す目封止ハニカムセグメント44Aは、目封止部45の配置が、
図7に示す第一実施形態の目封止ハニカムセグメント4Aと相違している。より具体的には、
図10に示す目封止ハニカムセグメント44Aにおいては、ハニカムセグメント44の角部に配置された角部周縁外周壁セル42baが、流出セル42xとなっている。
【0064】
図10に示す目封止ハニカムセグメント44Aにおいては、角部周縁外周壁セル42baの流出開口面積S1
outが、非角部周縁外周壁セル42bbの平均流出開口面積S2
outの1.1倍以上となっている。
【0065】
流出セル42xは、断面形状が正方形の全周縁隔壁セル42aと、周縁外周壁セル42bと、を含んでいる。そして、流出セル42xの周縁外周壁セル42bは、ハニカムセグメント44の角部に配置された角部周縁外周壁セル42baと、断面形状が五角形の非角部周縁外周壁セル42bbと、を含んでいる。
【0066】
流入セル42yは、断面形状が五角形の全周縁隔壁セル42aと、周縁外周壁セル42bと、を含んでいる。そして、流入セル42yの周縁外周壁セル42bは、断面形状が正方形の全周縁隔壁セル42aの一部の形状を含む、断面形状が長方形の非角部周縁外周壁セル42bbとなっている。
【0067】
図10に示す目封止ハニカムセグメント44Aにおいては、角部周縁外周壁セル42baの流出開口面積S1
outが、非角部周縁外周壁セル42bbの平均流出開口面積S2
outの1.4倍以上であることが好ましい。また、角部周縁外周壁セル42baの流出開口面積S1
outが、非角部周縁外周壁セル42bbの平均流出開口面積S2
outの4.0倍未満であることが更に好ましく、3.5倍以下であることが特に好ましい。
【0068】
第四実施形態の目封止ハニカム構造体は、
図11に示すような目封止ハニカムセグメント54Aを用いて構成された目封止ハニカム構造体である。ハニカムセグメント54は、複数のセル52を取り囲むように配設された多孔質の隔壁51、及び最外周に配設されたセグメント外周壁53を有するものである。目封止部55は、ハニカムセグメント54の流出セル52xの開口部、及び流入セル52yの開口部に配設されている。そして、ハニカムセグメント54の外周領域を除き、目封止部55は、流出セル52xの周りを、流入セル52yが取り囲むように、セル52の開口部に配置されている。
【0069】
図11に示す目封止ハニカムセグメント54Aは、断面形状が四角形の流出セル52xと、断面形状が五角形の流入セル52yとによって構成された「繰り返し配列パターン」を有する。
図11に示す目封止ハニカムセグメント54Aにおけるハニカムセグメント
54は、
図9に示す第二実施形態の目封止ハニカムセグメント34Aにおけるハニカムセグメント34と同様に構成されている。ただし、
図11に示す目封止ハニカムセグメント54Aは、目封止部55の配置が、
図9に示す第二実施形態の目封止ハニカムセグメント34Aと相違している。より具体的には、
図11に示す目封止ハニカムセグメント54Aにおいては、ハニカムセグメント54の角部に配置された角部周縁外周壁セル52baが、流出セル52xとなっている。
【0070】
図11に示す目封止ハニカムセグメント54Aにおいては、角部周縁外周壁セル52baの流出開口面積S1
outが、非角部周縁外周壁セル52bbの平均流出開口面積S2
outの1.1倍以上となっている。
【0071】
流出セル52xは、断面形状が正方形の全周縁隔壁セル52aと、周縁外周壁セル52bと、を含んでいる。そして、流出セル52xの周縁外周壁セル52bは、ハニカムセグメント54の角部に配置された角部周縁外周壁セル52baと、断面形状が五角形の非角部周縁外周壁セル52bbと、を含んでいる。
【0072】
流入セル52yは、断面形状が五角形の全周縁隔壁セル52aと、周縁外周壁セル52bと、を含んでいる。そして、流入セル52yの周縁外周壁セル52bは、断面形状が正方形の全周縁隔壁セル52aの一部の形状を含む、断面形状が長方形の非角部周縁外周壁セル52bbとなっている。
【0073】
図11に示す目封止ハニカムセグメント54Aにおいては、角部周縁外周壁セル52baの流出開口面積S1
outが、非角部周縁外周壁セル52bbの平均流出開口面積S2
outの1.2倍以上であることが好ましい。また、角部周縁外周壁セル52baの流出開口面積S1
outが、非角部周縁外周壁セル52bbの平均流出開口面積S2
outの4.0倍未満であることが更に好ましく、2.0倍以下であることが特に好ましい。
【0074】
これまでに説明した第二実施形態〜第四実施形態の目封止ハニカム構造体についても、第一実施形態の目封止ハニカム構造体と同様に、アイソスタティック強度を維持しつつ、不燃性の粒子状物質の堆積による圧力損失の上昇を抑制することができる。なお、本発明の目封止ハニカム構造体は、上述した(a)又は(b)の条件を満たすものであれば、これまでに説明した第一実施形態〜第四実施形態に限定されることはない。即ち、角部周縁外周壁セルの流入開口面積S1
inが、非角部周縁外周壁セルの平均流入開口面積S2
inの1.1倍以上であるか、又は、角部周縁外周壁セルの流出開口面積S1
outが、非角部周縁外周壁セルの平均流出開口面積S2
outの1.1倍以上であればよい。例えば、これまでに説明した第一実施形態〜第四実施形態の目封止ハニカム構造体において、各ハニカムセグメントの「セル形状」や「セルの繰り返し配列パターン」については、適宜変更することができる。また、各図に示す目封止ハニカムセグメントは、説明の便宜のため、中央部分における「セルの繰り返し配列パターン」の個数等を簡素化して示している。例えば、各図に示す目封止ハニカムセグメントにおいて、その流入端面に、4つの「セルの繰り返し配列パターン」が配置された場合の例を示しているが、「セルの繰り返し配列パターン」の個数等は、各図に示される個数に限定されることはない。
【0075】
次に、本発明の目封止ハニカム構造体の更に他の実施形態について、
図12〜
図25を参照しつつ説明する。
図12〜
図25は、本発明の目封止ハニカム構造体の更に他の実施形態に用いられる目封止ハニカムセグメントを模式的に示す、流入端面側からみた平面図である。なお、以下に説明する更に他の実施形態の目封止ハニカム構造体においても、目封止ハニカムセグメントが、
図12〜
図25のそれぞれに示されるように構成されていること以外は、第一実施形態と同様に構成されていることが好ましい。
【0076】
図12〜
図25においては、各図の(a)及び(b)において、角部周縁外周壁セルの構成が異なる2種類の目封止ハニカムセグメントを示している。各図の(a)には、対角線方向に延びる隔壁によって2等分された2つの角部周縁外周壁セルを有する目封止ハニカムセグメントが示されている。各図の(b)には、(a)に示される2つの角部周縁外周壁セルを2等分する隔壁が取り除かれることによって、2つの角部周縁外周壁セルが1つに連結した形状の角部周縁外周壁セルを有する目封止ハニカムセグメントが示されている。
【0077】
図12〜
図23には、ハニカムセグメント64及び目封止部65を備えた目封止ハニカムセグメント64A
〜64Xが示されている。ハニカムセグメント64は、複数のセル62を取り囲むように配設された多孔質の隔壁61、及び最外周に配設されたセグメント外周壁63を有するものである。目封止部65は、ハニカムセグメント64の流出セル62xの開口部、及び流入セル62yの開口部に配設されている。そして、ハニカムセグメント64の外周領域を除き、目封止部65は、流出セル62xの周りを、流入セル62yが取り囲むように、セル62の開口部に配置されている。
【0078】
図12、
図13、
図16、
図17、
図20及び
図21に示す目封止ハニカムセグメント64A
〜64D,64I〜64L,64Q〜64Tは、断面形状が四角形の流出セル62xと、断面形状が五角形の流入セル62yとによって構成された「繰り返し配列パターン」を有する。
【0079】
図14、
図15、
図18、
図19、
図22及び
図23に示す目封止ハニカムセグメント64
E〜64H,64M〜64P,64U〜64Xは、断面形状が四角形の流出セル62xと、断面形状が六角形の流入セル62yとによって構成された「繰り返し配列パターン」を有する。
【0080】
図12〜
図23の各図において、符号62aは、全周縁隔壁セルを示し、符号62bは、周縁外周壁セルを示す。また、符号62baは、角部周縁外周壁セルを示し、符号62bbは、非角部周縁外周壁セルを示す。
【0081】
図12、
図14、
図16、
図18、
図20及び
図22において、角部周縁外周壁セル62baの流入開口面積S1
inが、非角部周縁外周壁セル62bbの平均流入開口面積S2
inの1.1倍以上となっている。また、
図13、
図15、
図17、
図19、
図21及び
図23において、角部周縁外周壁セル62baの流出開口面積S1
outが、非角部周縁外周壁セル62bbの平均流出開口面積S2
outの1.1倍以上となっている。
【0082】
図12〜
図23に示す各目封止ハニカムセグメント64A
〜64Xにおいては、非角部周縁外周壁セル62bbの形状は、それぞれの目封止ハニカムセグメント64Aの「繰り返し配列パターン」を構成するセル62の一部の形状を含んでいる。
【0083】
例えば、
図12〜
図15においては、断面形状が長方形の非角部周縁外周壁セル62bbの形状が、断面形状が正方形の全周縁隔壁セルの一辺の長さの50%の位置で分割した形状となっている。
図16〜
図19においては、断面形状が正方形の非角部周縁外周壁セル62bbの形状が、断面形状が正方形の全周縁隔壁セルと同じ形状となっている。
図20〜
図23においては、断面形状が長方形の非角部周縁外周壁セル62bbの形状が、断面形状が正方形の全周縁隔壁セルの一辺の長さの15%の位置で分割した形状となる。
【0084】
図24及び
図25には、ハニカムセグメント74及び目封止部75を備えた目封止ハニカムセグメント74A
〜74Dが示されている。ハニカムセグメント74は、複数のセル72を取り囲むように配設された多孔質の隔壁71、及び最外周に配設されたセグメント外周壁73を有するものである。目封止部75は、ハニカムセグメント74の流出セル72xの開口部、及び流入セル72yの開口部に配設されている。そして、ハニカムセグメント74の外周領域を除き、目封止部75は、流出セル72xの周りを、流入セル72yが取り囲むように、セル72の開口部に配置されている。
【0085】
図24及び
図25に示す目封止ハニカムセグメント74A
〜74Dは、断面形状が八角形の流出セル72xと、断面形状が四角形及び八角形の流入セル72yとによって構成された「繰り返し配列パターン」を有する。
【0086】
図24及び
図25の各図において、符号72aは、全周縁隔壁セルを示し、符号72bは、周縁外周壁セルを示す。また、符号72baは、角部周縁外周壁セルを示し、符号72bbは、非角部周縁外周壁セルを示す。
図24及び
図25において、角部周縁外周壁セル72baの流入開口面積S1
inが、非角部周縁外周壁セル72bbの平均流入開口面積S2
inの1.1倍以上となっている。各目封止ハニカムセグメント74A
〜74Dにおいては、非角部周縁外周壁セル72bbの形状は、それぞれの目封止ハニカムセグメント74A
〜74Dの「繰り返し配列パターン」を構成するセル72の一部の形状を含んでいる。
【0087】
(2)目封止ハニカム構造体の製造方法:
図1〜
図5に示す本実施形態の目封止ハニカム構造体の製造方法については、特に制限はなく、例えば、以下のような方法により製造することができる。まず、ハニカムセグメントを作製するための可塑性の坏土を調製する。ハニカムセグメントを作製するための坏土は、原料粉末として、前述のハニカムセグメントの好適な材料の中から選ばれた材料に、適宜、バインダ等の添加剤、及び水を添加することによって調製することができる。
【0088】
次に、このようにして得られた坏土を押出成形することにより、複数のセルを取り囲むように配設された隔壁、及び最外周に配設されたセグメント外周壁を有する、角柱状のハニカム成形体を作製する。ハニカム成形体は、複数個作製する。
【0089】
得られたハニカム成形体を、例えば、マイクロ波及び熱風で乾燥し、ハニカム成形体の作製に用いた材料と同様の材料で、セルの開口部を目封止することで目封止部を作製する。目封止部を作製した後に、ハニカム成形体を更に乾燥してもよい。
【0090】
次に、目封止部を作製したハニカム成形体を焼成することにより、目封止ハニカムセグメントを得る。焼成温度及び焼成雰囲気は原料により異なり、当業者であれば、選択された材料に最適な焼成温度及び焼成雰囲気を選択することができる。次に、複数の目封止ハニカムセグメントを、接合材を用いて互いに接合し、乾燥硬化させた後、所望の形状となるよう外周を加工することによって、セグメント構造の目封止ハニカム構造体を得ることができる。接合材としては、セラミックス材料に、水等の溶媒を加えてペースト状にしたものを用いることができる。また、目封止ハニカムセグメントの接合体の外周を加工した後の加工面は、セルが露出した状態となっているため、
図1に示すように、その加工面に外周コート材を塗工して外壁8を形成してもよい。外周コート材の材料としては、例えば、接合材の材料と同じ材料を用いることができる。
【実施例】
【0091】
(比較例1)
セラミックス原料として、炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末とを80:20の質量割合で混合した混合原料を準備した。この混合原料に、バインダとしてヒドロキシプロピルメチルセルロース、造孔材として吸水性樹脂を添加するとともに、水を添加して成形原料を作製した。得られた成形原料を、ニーダー(kneader)を用いて混練し、坏土を得た。
【0092】
次に、得られた坏土を、真空押出成形機を用いて成形し、
図26に示す目封止ハニカムセグメント104Aと同様の繰り返し配列パターンを有する四角柱形状のハニカムセグメントを16個作製した。ここで、
図26は、比較例1の目封止ハニカム構造体に用いられる目封止ハニカムセグメントを模式的に示す、流入端面側からみた平面図である。
【0093】
図26において、符号104は、ハニカムセグメントを示し、符号105は、目封止部を示す。ハニカムセグメント104は、複数のセル102を取り囲むように配設された多孔質の隔壁101、及び最外周に配設されたセグメント外周壁103を有するものである。目封止部105は、ハニカムセグメント104の流出セル102xの開口部、及び流入セル102yの開口部に配設されている。そして、ハニカムセグメント104の外周領域を除き、目封止部105は、流出セル102xの周りを、流入セル102yが取り囲むように、セル102の開口部に配置されている。
図26に示す目封止ハニカムセグメント104Aは、断面形状が四角形の流出セル102xと、断面形状が五角形の流入セル102yとによって構成された「繰り返し配列パターン」を有する。
【0094】
四角形の流出セル102xは、断面形状が正方形の全周縁隔壁セル102aと、この全周縁隔壁セル102aの一部の形状を含む周縁外周壁セル102bと、を含んでいる。そして、流出セル102xの周縁外周壁セル102bは、更に、断面形状が正方形の角部周縁外周壁セル102baと、断面形状が長方形の非角部周縁外周壁セル102bbと、を含んでいる。五角形の流入セル102yは、断面形状が五角形の全周縁隔壁セル102aと、この全周縁隔壁セル102aと同じ断面形状の非角部周縁外周壁セル102bbと、を含んでいる。
【0095】
次に、得られたハニカムセグメントを高周波誘電加熱乾燥した後、熱風乾燥機を用いて120℃で2時間乾燥した。なお、乾燥時には、ハニカムセグメントの流出端面が、鉛直下向きになるように配置して乾燥を行った。
【0096】
乾燥後のハニカムセグメントに、目封止部を形成した。まず、ハニカムセグメントの流入端面にマスクを施した。次に、マスクの施された端部(流入端面側の端部)を目封止スラリーに浸漬し、マスクが施されていないセル(流出セル)の開口部に目封止スラリーを充填した。このようにして、ハニカムセグメントの流入端面側に、目封止部を形成した。そして、乾燥後のハニカムセグメントの流出端面についても同様にして、流入セルにも目封止部を形成した。
【0097】
そして、目封止部の形成されたハニカムセグメントを脱脂し、焼成し、目封止ハニカムセグメントを得た。脱脂の条件は、550℃で3時間とし、焼成の条件は、アルゴン雰囲気下で、1450℃、2時間とした。なお、焼成時には、目封止部の形成されたハニカムセグメントの流出端面が、鉛直下向きになるように配置して焼成を行った。
【0098】
以上のようにして、比較例1の目封止ハニカム構造体の製造に使用する目封止ハニカムセグメントを作製した。作製した目封止ハニカムセグメントの流出セルは、
図26に示す目封止ハニカムセグメントと同様に、断面形状が正方形の全周縁隔壁セルと、全周縁隔壁セルの少なくとも一部の形状を含む周縁外周壁セルと、を含むものであった。そして、流出セルの周縁外周壁セルは、更に、角部周縁外周壁セルと、非角部周縁外周壁セルとを含むものであった。流入セルは、断面形状が五角形の全周縁隔壁セルと、この全周縁隔壁セルと同じ断面形状の非角部周縁外周壁セルとを含むものであった。流入セル、及び流出セルが上記のように構成された目封止ハニカムセグメントのデザインを、「デザインE」とする。表1の「デザイン」の欄に、比較例1に用いた目封止ハニカムセグメントのデザインを示す。
【0099】
作製した目封止ハニカムセグメントは、軸方向に直交する断面が正方形で、その正方形の一辺の長さ(セグメントサイズ)が37.9mmであった。また、ハニカムセグメントは、その軸方向の長さが152.4mmであった。また、目封止ハニカムセグメントにおいて、
図26に示す距離Pが2.5mmであり、距離Qが1.4mmであり、隔壁の厚さが0.38mmであった。表1に、「セグメントサイズ(一辺)[mm]」、「隔壁の厚さ[mm]」、「距離P[mm]」、及び「距離Q[mm]」の値を示す。また、作製した目封止ハニカムセグメントは、セグメント外周壁の厚さが、0.5mmであった。表1の「セグメント外周壁厚さ[mm]」の欄に、セグメント外周壁の厚さを示す。
【0100】
作製した目封止ハニカムセグメントについて、角部周縁外周壁セルの流出開口面積と、非角部周縁外周壁セルの平均流出開口面積と、を測定した。以下、角部周縁外周壁セルの流出開口面積を「流出開口面積S1
out」とし、非角部周縁外周壁セルの平均流出開口面積を「平均流出開口面積S2
out」とする。流出開口面積S1
outは、平均流出開口面積S2
outの0.5倍であった。即ち、「流出開口面積S1
out」の値を、「平均流出開口面積S2
out」の値で除算した値は、0.5であった。表1の「S1
out/S2
out」の欄に、「流出開口面積S1
out」の値を、「平均流出開口面積S2
out」の値で除算した値を示す。なお、セグメントサイズが37.9mmの場合、断面形状が四角形の非角部周縁外周壁セルの一辺の長さは、断面形状が正方形の全周縁隔壁セルの一辺の長さの50%となる。
【0101】
16個の焼成済みの目封止ハニカムセグメントを、接合材を用いて接合し一体化した。接合材は、無機粒子、無機接着剤を主成分とし、副成分として、有機バインダ、界面活性剤、発泡樹脂、水等を含むものとした。無機粒子としては、板状粒子、無機接着剤としては、コロイダルシリカ(シリカゾル)を使用した。板状粒子としては、マイカを使用した。16個のハニカムセグメントが一体化に接合されたハニカムセグメント接合体の外周を円柱形状に研削加工し、その外周面にコート材を塗布して、比較例1の目封止ハニカム構造体を得た。比較例1の目封止ハニカム構造体は、端面の直径が143.8mmであった。コート材は、セラミックス粉末、水、結合材を含むものとした。接合材によって形成された接合層の厚さは、1mmであった。表1の「接合層の厚さ[mm]」の欄に、接合層の厚さを示す。
【0102】
【表1】
【0103】
(実施例1)
比較例1と同様の方法で坏土を調製し、得られた坏土を、真空押出成形機を用いて成形し、
図9に示す目封止ハニカムセグメント34Aと同様の繰り返し配列パターンを有する四角柱形状のハニカムセグメントを16個作製した。なお、「
図9に示す目封止ハニカムセグメント34Aと同様の繰り返し配列パターン」とは、断面形状が正方形の流出セルの周りを、断面形状が五角形の8個の流入セルが取り囲むように配列された繰り返し配列パターンのことである。
【0104】
作製したハニカムセグメントは、
図9に示す目封止ハニカムセグメント34Aと同様に、ハニカムセグメントのそれぞれの角部に、対角線方向に延びる隔壁によって2等分された2つの角部周縁外周壁セルを有するものであった。ハニカムセグメントのそれぞれの角部に配置された「2つの角部周縁外周壁セル」は、比較例1のハニカムセグメントにおける角部周縁外周壁セルと当該角部周縁外周壁セルに隣接する非角部周縁外周壁
セルとが連結したものと同等の大きさであった。
【0105】
次に、得られたハニカムセグメントを、比較例1と同様の方法で乾燥した。次に、乾燥後のハニカムセグメントに、
図9に示す目封止ハニカムセグメント34Aと同様の繰り返し配列パターンとなるように目封止部を形成した。流入セル、及び流出セルが上記のように構成された目封止ハニカムセグメントのデザインを、「デザインA」とする。表1の「デザイン」の欄に、実施例1に用いた目封止ハニカムセグメントのデザインを示す。
【0106】
作製した目封止ハニカムセグメントは、軸方向に直交する断面が正方形で、その正方形の一辺の長さ(セグメントサイズ)が37.9mmであった。また、ハニカムセグメントは、その軸方向の長さが152.4mmであった。また、目封止ハニカムセグメントにおいて、
図9に示す距離Pが2.5mmであり、距離Qが1.4mmであり、隔壁の厚さが0.38mmであった。表1に、「セグメントサイズ(一辺)[mm]」、「隔壁の厚さ[mm]」、「距離P[mm]」、及び「距離Q[mm]」の値を示す。また、作製した目封止ハニカムセグメントは、セグメント外周壁の厚さが、0.5mmであった。表1の「セグメント外周壁厚さ[mm]」の欄に、セグメント外周壁の厚さを示す。なお、
実施例1の目封止ハニカム構造体は、
図9に示すように、距離P及び距離Qは、縦方向と横方向とでそれぞれの距離が同じ長さとなるように構成されている。
【0107】
作製した目封止ハニカムセグメントについて、角部周縁外周壁セルの流入開口面積と、非角部周縁外周壁セルの平均流入開口面積と、を測定した。以下、角部周縁外周壁セルの流入開口面積を「流入開口面積S1
in」とし、非角部周縁外周壁セルの平均流入開口面積を「平均流入開口面積S2
in」とする。流入開口面積S1
inは、平均流入開口面積S2
inの1.4倍であった。即ち、「流入開口面積S1
in」の値を、「平均流入開口面積S2
in」の値で除算した値は、1.4であった。表1の「S1
in/S2
in」の欄に、「流入開口面積S1
in」の値を、「平均流入開口面積S2
in」の値で除算した値を示す。
【0108】
16個の焼成済みの目封止ハニカムセグメントを、接合材を用いて接合し一体化した。接合材は、比較例1にて使用したものと同様のものを用いた。
【0109】
(実施例2)
比較例1と同様の方法で坏土を調製し、得られた坏土を、真空押出成形機を用いて成形し、
図7に示す目封止ハニカムセグメント4Aと同様の繰り返し配列パターンを有する四角柱形状のハニカムセグメントを16個作製した。なお、「
図7に示す目封止ハニカムセグメント4Aと同様の繰り返し配列パターン」とは、断面形状が正方形の流出セルの周りを、断面形状が五角形の8個の流入セルが取り囲むように配列された繰り返し配列パターンのことである。
【0110】
作製したハニカムセグメントは、
図7に示す目封止ハニカムセグメント4Aと同様に、ハニカムセグメントのそれぞれの角部に、五角形の角部周縁外周壁セルを有するものであった。ハニカムセグメントのそれぞれの角部に配置された「五角形の角部周縁外周壁セル」は、比較例1のハニカムセグメントにおける角部周縁外周壁セルと当該角部周縁外周壁セルに隣接する非角部周縁外周壁
セルとが連結したものと同等の大きさであった。
【0111】
次に、得られたハニカムセグメントを、比較例1と同様の方法で乾燥した。次に、乾燥後のハニカムセグメントに、
図7に示す目封止ハニカムセグメント4Aと同様の繰り返し配列パターンとなるように目封止部を形成した。流入セル、及び流出セルが上記のように構成された目封止ハニカムセグメントのデザインを、「デザインB」とする。表1の「デザイン」の欄に、実施例2に用いた目封止ハニカムセグメントのデザインを示す。
【0112】
作製した目封止ハニカムセグメントは、軸方向に直交する断面が正方形で、その正方形の一辺の長さ(セグメントサイズ)が37.9mmであった。また、ハニカムセグメントは、その軸方向の長さが152.4mmであった。また、目封止ハニカムセグメントにおいて、
図7に示す距離Pが2.5mmであり、距離Qが1.4mmであり、隔壁の厚さが0.38mmであった。表1に、「セグメントサイズ(一辺)[mm]」、「隔壁の厚さ[mm]」、「距離P[mm]」、及び「距離Q[mm]」の値を示す。また、作製した目封止ハニカムセグメントは、セグメント外周壁の厚さが、0.5mmであった。表1の「セグメント外周壁厚さ[mm]」の欄に、セグメント外周壁の厚さを示す。なお、実施例
2の目封止ハニカム構造体は、
図7に示すように、距離P及び距離Qは、縦方向と横方向とでそれぞれの距離が同じ長さとなるように構成されている。
【0113】
作製した目封止ハニカムセグメントについて、角部周縁外周壁セルの流入開口面積S1
inと、非角部周縁外周壁セルの平均流入開口面積S2
inと、を測定した。流入開口面積S1
inは、平均流入開口面積S2
inの3.6倍であった。即ち、「流入開口面積S1
in」の値を、「平均流入開口面積S2
in」の値で除算した値は、3.6であった。結果を表1に示す。
【0114】
16個の焼成済みの目封止ハニカムセグメントを、接合材を用いて接合し一体化した。接合材は、比較例1にて使用したものと同様のものを用いた。
【0115】
(実施例3)
比較例1と同様の方法で坏土を調製し、得られた坏土を、真空押出成形機を用いて成形し、
図11に示す目封止ハニカムセグメント54Aと同様の繰り返し配列パターンを有する四角柱形状のハニカムセグメントを16個作製した。なお、「
図11に示す目封止ハニカムセグメント54Aと同様の繰り返し配列パターン」とは、断面形状が正方形の流出セルの周りを、断面形状が五角形の8個の流入セルが取り囲むように配列された繰り返し配列パターンのことである。
【0116】
作製したハニカムセグメントは、
図11に示す目封止ハニカムセグメント54Aと同様に、ハニカムセグメントのそれぞれの角部に、対角線方向に延びる隔壁によって2等分された2つの角部周縁外周壁セルを有するものであった。ハニカムセグメントのそれぞれの角部に配置された「2つの角部周縁外周壁セル」は、比較例1のハニカムセグメントにおける角部周縁外周壁セルと当該角部周縁外周壁セルに隣接する非角部周縁外周壁
セルとが連結したものと同等の大きさであった。
【0117】
次に、得られたハニカムセグメントを、比較例1と同様の方法で乾燥した。次に、乾燥後のハニカムセグメントに、
図11に示す目封止ハニカムセグメント54Aと同様の繰り返し配列パターンとなるように目封止部を形成した。流入セル、及び流出セルが上記のように構成された目封止ハニカムセグメントのデザインを、「デザインC」とする。表1の「デザイン」の欄に、実施例3に用いた目封止ハニカムセグメントのデザインを示す。
【0118】
作製した目封止ハニカムセグメントは、軸方向に直交する断面が正方形で、その正方形の一辺の長さ(セグメントサイズ)が37.9mmであった。また、ハニカムセグメントは、その軸方向の長さが152.4mmであった。また、目封止ハニカムセグメントにおいて、
図11に示す距離Pが2.5mmであり、距離Qが1.4mmであり、隔壁の厚さが0.38mmであった。表1に、「セグメントサイズ(一辺)[mm]」、「隔壁の厚さ[mm]」、「距離P[mm]」、及び「距離Q[mm]」の値を示す。また、作製した目封止ハニカムセグメントは、セグメント外周壁の厚さが、0.5mmであった。表1の「セグメント外周壁厚さ[mm]」の欄に、セグメント外周壁の厚さを示す。なお、実施例
3の目封止ハニカム構造体は、
図11に示すように、距離P及び距離Qは、縦方向と横方向とでそれぞれの距離が同じ長さとなるように構成されている。
【0119】
作製した目封止ハニカムセグメントについて、角部周縁外周壁セルの流出開口面積S1
outと、非角部周縁外周壁セルの平均流出開口面積S2
outと、を測定した。流出開口面積S1
outは、平均流出開口面積S2
outの1.4倍であった。結果を表1に示す。
【0120】
16個の焼成済みの目封止ハニカムセグメントを、接合材を用いて接合し一体化した。接合材は、比較例1にて使用したものと同様のものを用いた。
【0121】
(実施例4)
比較例1と同様の方法で坏土を調製し、得られた坏土を、真空押出成形機を用いて成形し、
図10に示す目封止ハニカムセグメント44Aと同様の繰り返し配列パターンを有する四角柱形状のハニカムセグメントを16個作製した。なお、「
図10に示す目封止ハニカムセグメント44Aと同様の繰り返し配列パターン」とは、断面形状が正方形の流出セルの周りを、断面形状が五角形の8個の流入セルが取り囲むように配列された繰り返し配列パターンのことである。
【0122】
作製したハニカムセグメントは、
図10に示す目封止ハニカムセグメント44Aと同様に、ハニカムセグメントのそれぞれの角部に、五角形の角部周縁外周壁セルを有するものであった。ハニカムセグメントのそれぞれの角部に配置された「五角形の角部周縁外周壁セル」は、比較例1のハニカムセグメントにおける角部周縁外周壁セルと当該角部周縁外周壁セルに隣接する非角部周縁外周壁
セルとが連結したものと同等の大きさであった。
【0123】
次に、得られたハニカムセグメントを、比較例1と同様の方法で乾燥した。次に、乾燥後のハニカムセグメントに、
図10に示す目封止ハニカムセグメント44Aと同様の繰り返し配列パターンとなるように目封止部を形成した。流入セル、及び流出セルが上記のように構成された目封止ハニカムセグメントのデザインを、「デザインD」とする。表1の「デザイン」の欄に、実施例4に用いた目封止ハニカムセグメントのデザインを示す。
【0124】
作製した目封止ハニカムセグメントは、軸方向に直交する断面が正方形で、その正方形の一辺の長さ(セグメントサイズ)が37.9mmであった。また、ハニカムセグメントは、その軸方向の長さが152.4mmであった。また、目封止ハニカムセグメントにおいて、
図10に示す距離Pが2.5mmであり、距離Qが1.4mmであり、隔壁の厚さが0.38mmであった。表1に、「セグメントサイズ(一辺)[mm]」、「隔壁の厚さ[mm]」、「距離P[mm]」、及び「距離Q[mm]」の値を示す。また、作製した目封止ハニカムセグメントは、セグメント外周壁の厚さが、0.5mmであった。表1の「セグメント外周壁厚さ[mm]」の欄に、セグメント外周壁の厚さを示す。なお、実施例4の目封止ハニカム構造体は、
図10に示すように、距離P及び距離Qは、縦方向と横方向とでそれぞれの距離が同じ長さとなるように構成されている。
【0125】
作製した目封止ハニカムセグメントについて、角部周縁外周壁セルの流出開口面積S1
outと、非角部周縁外周壁セルの平均流出開口面積S2
outと、を測定した。流出開口面積S1
outは、平均流出開口面積S2
outの3.6倍であった。結果を表1に示す。
【0126】
16個の焼成済みの目封止ハニカムセグメントを、接合材を用いて接合し一体化した。接合材は、比較例1にて使用したものと同様のものを用いた。
【0127】
(実施例5〜16)
ハニカムセグメントのデザイン、セグメントサイズ、接合層の厚さ、及びセグメント外周壁厚さを、表1のように変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例5〜16の目封止ハニカム構造体を作製した。なお、各実施例のハニカムセグメントについては、セグメントサイズの増減又は加減に応じて、周縁外周壁セルの開口面積の大きさが変更されている。セグメントサイズが40.0mmの実施例13及び14においては、断面形状が四角形の非角部周縁外周壁セルの大きさが、断面形状が正方形の全周縁隔壁セルの大きさと同じとなる。また、セグメントサイズが36.4mmの実施例15及び16においては、断面形状が四角形の非角部周縁外周壁セルの形状が、断面形状が正方形の全周縁隔壁セルの一辺の長さの15%の位置で分割した形状となる。
【0128】
実施例1〜16及び比較例1の目封止ハニカム構造体について、以下の方法で、圧力損失、アイソスタティック強度、及び耐熱衝撃性の評価を行った。評価結果を、表2に示す。
【0129】
【表2】
【0130】
(圧力損失)
まず、実施例1〜16及び比較例1の目封止ハニカム構造体の質量をそれぞれ測定した。次に、排気量2.0Lの乗用車用ディーゼルエンジンを搭載した乗用車の排気系に、比較例1の目封止ハニカム構造体を装着した。そして、乗用車の走行試験を行い、目封止ハニカム構造体によって排ガス中のアッシュを捕集させ、目封止ハニカム構造体の圧力損失の変化を測定した。そして、初期の圧力損失と比べて、圧力損失の値が3kPa上昇した時点で、目封止ハニカム構造体の質量を測定した。そして、測定開始前に測定した目封止ハニカム構造体の質量からの質量増加量を算出した。算出した質量増加量を、目封止ハニカム構造体の体積で除することにより、圧力損失が3kPa上昇したときの単位体積(L)あたりのアッシュの堆積量を求めた。実施例1〜16の目封止ハニカム構造体についても、上述した方法と同様の方法でアッシュの堆積量を求めた。以下の評価基準により、アッシュ堆積圧損の評価を行った。
評価A:アッシュの堆積量が、比較例1のアッシュの堆積量に対して、+20%以上である。
評価B:アッシュの堆積量が、比較例1のアッシュの堆積量に対して、+10%以上、+20%未満である。
評価C:アッシュの堆積量が、比較例1のアッシュの堆積量より多く、+10%未満である。
評価D:アッシュの堆積量が、比較例1のアッシュの堆積量に対して、同等以下である。
【0131】
(アイソスタティック強度)
アイソスタティック強度の測定は、社団法人自動車技術会発行の自動車規格であるJASO規格のM505−87で規定されているアイソスタティック破壊強度試験に基づいて行った。アイソスタティック破壊強度試験は、ゴムの筒状容器に、目封止ハニカム構造体を入れてアルミ製板で蓋をし、水中で等方加圧圧縮を行う試験である。即ち、アイソスタティック破壊強度試験は、缶体に、目封止ハニカム構造体が外周面把持される場合の圧縮負荷加重を模擬した試験である。このアイソスタティック破壊強度試験によって測定されるアイソスタティック強度は、目封止ハニカム構造体が破壊したときの加圧圧力値(MPa)で示される。以下の評価基準により、アイソスタティック強度の評価を行った。
評価A:アイソスタティック強度が、3.0MPa以上である。
評価B:アイソスタティック強度が、2.0MPa以上、3.0MPa未満である。
評価C:アイソスタティック強度が、1.0MPa以上、2.0MPa未満である。
評価D:アイソスタティック強度が、1.0MPa未満である。
【0132】
(耐熱衝撃性)
社団法人自動車技術会発行の自動車規格であるJASO規格のM505−87に規定されている方法に基づいて、電気炉スポーリング試験による耐熱衝撃性の評価を行った。具体的には、まず、室温より所定温度高い温度に保った電気炉に、室温の目封止ハニカム構造体を入れた。この状態で、20分間保持後、目封止ハニカム構造体を取り出し、耐火レンガ上に載置した。この状態で、15分間以上自然放置した後、室温になるまで目封止ハニカム構造体を冷却し、その目封止ハニカム構造体にクラック等の破壊が生じているかを調べた。この操作を、目封止ハニカム構造体にクラック等の破壊が生じるまで繰り返した。なお、電気炉内温度は、上記の操作を繰り返す度に、25℃ずつ上昇させていった。目封止ハニカム構造体にクラック等の破壊が生じていることが確認された操作の1回前の操作における電気炉内温度を、目封止ハニカム構造体の安全温度とした。以下の評価基準により、耐熱衝撃性の評価を行った。
評価A:安全温度が、500℃以上である。
評価B:安全温度が、400℃以上、500℃未満である。
評価C:安全温度が、300℃以上、400℃未満である。
評価D:安全温度が、300℃未満である。
【0133】
(結果)
実施例1〜16の目封止ハニカム構造体は、基準値となる比較例1の目封止ハニカム構造体と比較して、アッシュ堆積時の圧力損失の上昇が抑制されたものであった。また、実施例1〜16の目封止ハニカム構造体は、アイソスタティック強度、及び耐熱衝撃性の評価においても、評価C以上となり、良好な評価結果であった。