特許第6826891号(P6826891)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ リンナイ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6826891-加熱装置 図000002
  • 特許6826891-加熱装置 図000003
  • 特許6826891-加熱装置 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6826891
(24)【登録日】2021年1月20日
(45)【発行日】2021年2月10日
(54)【発明の名称】加熱装置
(51)【国際特許分類】
   F24C 15/00 20060101AFI20210128BHJP
   G06F 3/0488 20130101ALI20210128BHJP
   G06F 3/0346 20130101ALI20210128BHJP
【FI】
   F24C15/00 M
   G06F3/0488 130
   G06F3/0346 421
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-4531(P2017-4531)
(22)【出願日】2017年1月13日
(65)【公開番号】特開2018-112376(P2018-112376A)
(43)【公開日】2018年7月19日
【審査請求日】2019年9月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 和也
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 貴士
(72)【発明者】
【氏名】高田 秀一
【審査官】 西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−033312(JP,A)
【文献】 特開2013−148936(JP,A)
【文献】 特開2016−021082(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 9/00−15/14
G06F 3/0346
G06F 3/0488
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体の上方に加熱対象物が配置される加熱装置であって、
本体の内部において、本体の前面の後方に配置された内部画面と、
本体の前面に配置されており、内部画面に表示された画像を、本体の前面よりも手前側の空間の、基準面に対して面対称な位置に、操作表示面として結像させる空中結像部材と、
操作表示面に対するユーザの操作を検出する検出装置を備えており、
操作表示面が、上部よりも下部の方が手前側に位置するように、本体の前面に対して傾斜して形成され
空中結像部材の基準面が、上部よりも下部の方が手前側に位置するように、本体の前面に対して傾斜して配置される、加熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、本体の内部に配置された内部画面と、内部画面に表示された画像を、本体の外部の空間の、基準面に対して面対称な位置に、操作表示面として結像させる空中結像部材と、操作表示面に対するユーザの操作を検出する検出装置を備える装置が開示されている。この装置によれば、本体の外部の空間に形成される操作表示面に対してユーザが行った操作を受け付けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2014/196088号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような装置を、例えばコンロなどの、本体の上方に加熱対象物が配置される加熱装置に組み込む場合、操作表示面を本体の上方に結像してしまうと、操作表示面を操作しようとしたユーザが、誤って加熱対象物に触れてしまうおそれがある。加熱装置の本体の外部の空間に操作表示面を結像する場合に、ユーザの安全性を確保することが可能な技術が期待されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書は、加熱装置を開示する。加熱装置は、本体の上方に加熱対象物が配置される。加熱装置は、本体の内部において、本体の前面の後方に配置された内部画面と、本体の前面に配置されており、内部画面に表示された画像を、本体の前面よりも手前側の空間の、基準面に対して面対称な位置に、操作表示面として結像させる空中結像部材と、操作表示面に対するユーザの操作を検出する検出装置を備えている。加熱装置では、操作表示面が、上部よりも下部の方が手前側に位置するように、本体の前面に対して傾斜して形成される。
【0006】
上記の構成によれば、操作表示面が、本体の前面よりも手前側の空間に、上部よりも下部の方が手前側に位置するように、本体の前面に対して傾斜して形成される。この場合、ユーザが操作表示面に対して操作を行なう際には、本体の前面よりも手前側の空間において、指を上方から下方に向けて動かすことになる。従って、ユーザが操作表示面を操作しようとする際に、誤って本体の上方に配置された加熱対象物に指を近づけてしまうことがない。上記の構成によれば、加熱装置の本体の外部の空間に操作表示面を結像する場合であっても、ユーザの安全性を確保することができる。
【0007】
上記の加熱装置は、空中結像部材の基準面が、上部よりも下部の方が手前側に位置するように、本体の前面に対して傾斜して配置されるように構成される
【0008】
上記の構成によれば、本体の内部に配置される内部画面を、本体の前面に対して大きな傾斜角度で傾斜させていなくても、本体の前面よりも手前側の空間に形成される操作表示面を、本体の前面に対して大きく傾斜させることができる。これによって、操作表示面を水平に近い角度で形成することができ、操作表示面のユーザによる視認性および操作性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例に係る加熱装置2を手前側から見た斜視図である。
図2】実施例に係る加熱装置2の第1操作表示面56の平面図である。
図3】実施例に係る加熱装置2の第1操作表示部24と第3操作表示部28の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施例)
以下では図面を参照しながら、本実施例に係る加熱装置2について説明する。図1に示す本実施例の加熱装置2は、システムキッチンに組み込んで使用されるガス燃焼式のビルトインコンロである。加熱装置2は、前面4aがシステムキッチンの手前側に露出する本体4と、本体4の上部に配置されており、システムキッチンのカウンタトップに露出する天板6と、天板6の上方で加熱対象物である鍋やフライパン等の調理容器を支持する3つの五徳8,10,12と、それぞれの五徳8,10,12に対応して設けられており、それぞれの五徳8,10,12に支持された加熱対象物を加熱する3つのコンロバーナ14,16,18と、本体4の内部に設けられており、加熱対象物である食材を収容して加熱するグリル庫20と、本体4の前面4aに配置されており、グリル庫20を開閉するグリル扉22と、本体4の前面4aにおいてグリル扉22の左右に設けられた第1操作表示部24、第2操作表示部26、第3操作表示部28、第4操作表示部30を備えている。加熱装置2では、本体4の前面4aと天板6の上面が、ユーザに対して露出する外面を構成する。なお、本実施例において、上下方向、前後方向および左右方向とは、本体4を基準とした上下方向、前後方向および左右方向を意味する。
【0011】
第1操作表示部24は、本体4の前面4aにおいて、ユーザから見て左側上部に配置されている。第1操作表示部24は、コンロバーナ14,16の点火および消火を行なうスイッチ32,34と、コンロバーナ14,16の火力の調整を行なうノブ36,38と、コンロバーナ14,16の状態を表示する表示灯40,42を備えている。
【0012】
第2操作表示部26は、本体4の前面4aにおいて、ユーザから見て右側上部に配置されている。第2操作表示部26は、コンロバーナ18の点火および消火を行なうスイッチ44と、コンロバーナ18の火力の調整を行なうノブ46と、コンロバーナ18の状態を表示する表示灯48と、グリル庫20の点火および消火を行なうスイッチ50と、グリル庫20における火力の調整を行なうボタン52と、グリル庫20の状態を表示する表示灯54を備えている。
【0013】
第3操作表示部28は、本体4の前面4aにおいて、ユーザから見て左側下部に配置されている。第3操作表示部28は、本体4の前面4aよりも手前側の空間に第1操作表示面56を結像するとともに、第1操作表示面56に対してユーザが行った操作を検出する。第3操作表示部28は、コンロバーナ14,16に関して、例えば図2に示すように、加熱温度やタイマーに関する設定情報58を表示するとともに、ユーザが加熱温度やタイマーの設定を変更するための入力アイコン60を表示する。また、第3操作表示部28は、入力アイコン60に対するユーザの操作を検出して、加熱温度やタイマーの設定情報58にユーザからの入力の内容を反映させる。
【0014】
第4操作表示部30は、本体4の前面4aにおいて、ユーザから見て右側下部に配置されている。第4操作表示部30は、本体4の前面4aよりも手前側の空間に第2操作表示面62を結像するとともに、第2操作表示面62に対してユーザが行った操作を検出する。第4操作表示部30は、コンロバーナ18とグリル庫20に関して、加熱温度やタイマーに関する設定情報を表示するとともに、ユーザが加熱温度やタイマーの設定を変更するための入力アイコンを表示する。また、第4操作表示部30は、入力アイコンに対するユーザの操作を検出して、加熱温度やタイマーの設定にユーザからの入力の内容を反映させる。
【0015】
第3操作表示部28と第4操作表示部30は、ほぼ同様の構成および機能を備えており、第1操作表示面56と第2操作表示面62に表示する内容、および第1操作表示面56と第2操作表示面62において受け付けるユーザからの操作の内容のみが異なる。以下では、第3操作表示部28の構成について詳細に説明し、第4操作表示部30の構成については詳細な説明を省略する。
【0016】
図3に示すように、第3操作表示部28は、液晶ディスプレイ64と、空中結像プレート66と、操作検出装置68と、制御装置70を備えている。
【0017】
液晶ディスプレイ64は、本体4の内部において、本体4の前面4aの後方に配置されている。液晶ディスプレイ64は、本体4の前面4a側に内部画面64aを備えている。内部画面64aは、上部よりも下部の方が奥側に位置するように、本体4の前面4aに対して傾斜して配置されている。液晶ディスプレイ64の動作は、制御装置70によって制御される。
【0018】
空中結像プレート66は、基準面に沿って広がる板状の空中結像部材であって、本体4の前面4aに配置されている。本実施例の空中結像プレート66は、光源の画像を基準面に対して面対称な位置の空間に結像する、2面コーナーリフレクタアレイである。本実施例の加熱装置2では、空中結像プレート66は、光源である液晶ディスプレイ64の内部画面64aに表示された内容を、本体4の前面4aよりも手前側の空間に、第1操作表示面56として結像する。本実施例の加熱装置2では、液晶ディスプレイ64の内部画面64aが、上部よりも下部の方が奥側に位置するように、空中結像プレート66の基準面に対して傾斜して配置されている。従って、空中結像プレート66によって結像される第1操作表示面56は、上部よりも下部の方が手前側に位置するように、空中結像プレート66の基準面に対して傾斜して形成される。
【0019】
本実施例の加熱装置2では、空中結像プレート66の基準面は、上部よりも下部の方が手前側に位置するように、本体4の前面4aに対して僅かに傾斜して配置されている。このような構成とすることによって、本体4の前面4aに対する液晶ディスプレイ64の内部画面64aの傾斜角度をそれほど大きくしなくても、本体4の前面4aに対する第1操作表示面56の傾斜角度を大きくすることができる。これによって、第1操作表示面56を水平に近い角度で形成することができ、第1操作表示面56のユーザによる視認性および操作性を向上することができる。また、液晶ディスプレイ64を、天板6の上方の加熱対象物を加熱するコンロバーナ14,16,18から遠ざけて配置することができ、液晶ディスプレイ64の耐久性を向上することができる。
【0020】
本実施例の加熱装置2では、空中結像プレート66の基準面に直交する方向から見たときに、液晶ディスプレイ64の内部画面64aが、空中結像プレート66よりも広い範囲で配置されている。このような構成とすることによって、本体4の前面4aよりも手前側の空間に、本体4の内部の液晶ディスプレイ64の周囲の部品等の像が結像してしまうことを防止することができる。
【0021】
操作検出装置68は、第1操作表示面56に対してユーザが行なう操作を検出する。本実施例の操作検出装置68は、例えば、本体4の前面4aから手前側に向けて、第1操作表示面56に沿って指向性の赤外線を照射し、障害物(例えばユーザの指F)で反射された赤外線を検出する、赤外線検出装置である。操作検出装置68は、第1操作表示面56の近傍に存在する障害物(例えばユーザの指F)の位置を検出することで、第1操作表示面56に対する操作の内容を検出することができる。操作検出装置68の動作は、制御装置70によって制御される。
【0022】
制御装置70は、液晶ディスプレイ64の内部画面64aに表示される内容を制御することで、第1操作表示面56に表示される内容を制御するとともに、操作検出装置68の検出信号に基づいて、ユーザが第1操作表示面56に対して行った操作の内容を特定する。例えば、第1操作表示面56に、図2に示すような、加熱温度やタイマーに関する設定情報58と、ユーザが加熱温度やタイマーの設定を変更するための入力アイコン60を表示している場合に、制御装置70は、ユーザが入力アイコン60に対して行った操作の内容を特定することができる。
【0023】
例えば、操作検出装置68が、第1操作表示面56の近傍の障害物を検出していない状態から、第1操作表示面56の内部の位置で障害物を検出した場合には、制御装置70は、第1操作表示面56に直交する方向から第1操作表示面56に障害物が接近してきたこと、すなわち、ユーザの指Fが第1操作表示面56を触ろうとする通常の操作を行ったことを認識する。この場合、制御装置70は、図2に示す第1操作表示面56に表示された入力アイコン60の位置と、操作検出装置68で検出されたユーザの指Fの位置から、入力アイコン60に対する操作の有無を判別することができる。
【0024】
図2に示すように、第1操作表示面56の外縁には、操作禁止領域72が設定されている。操作検出装置68が、第1操作表示面56の近傍の障害物を検出していない状態から、操作禁止領域72の近傍で障害物を検出した場合には、制御装置70は、図2に矢印で示しているように、第1操作表示面56に対して側方から障害物が接近してきたこと、すなわち、ユーザの身体が不意に第1操作表示面56と干渉したことを認識する。このように、操作禁止領域72に対する操作を検出した場合、制御装置70は、その後の第1操作表示面56に対する操作の受付を禁止する。このような構成とすることで、誤った操作入力を受け付けてしまうことを防止することができる。制御装置70は、第1操作表示面56に対する操作の受付を禁止している間、操作禁止領域72の色を通常時とは異なる色で表示する、あるいは、操作禁止領域72を繰り返し点滅させることで、ユーザに操作の受付を禁止していることを通知する。なお、制御装置70は、第1操作表示面56に対する操作の受付を禁止した状態において、操作検出装置68が第1操作表示面56に対する操作を検出しなくなった場合に、その後の第1操作表示面56に対する操作の受付を許可する。このような構成とすることで、ユーザの身体が不意に第1操作表示面56と干渉した場合には、その後さらにユーザの身体が第1操作表示面56と干渉し続けている間は、第1操作表示面56に対する操作の受付を禁止し続け、ユーザの身体が第1操作表示面56と干渉しなくなってからは、通常通りに、第1操作表示面56に対する操作の受付を再開することができる。なお、操作禁止領域72は、図2に示すように第1操作表示面56の外縁の全周にわたって設定されていてもよいし、第1操作表示面56の外縁の一部にのみ設定されていてもよい。例えば、操作禁止領域72は、ユーザが第1操作表示面56を見た時に、左右の縁と手前側の縁のみに設定されていてもよいし、左右の縁のみに設定されていてもよい。
【0025】
本実施例の加熱装置2によれば、第1操作表示面56が、本体4の前面4aよりも手前側の空間に、上部よりも下部の方が手前側に位置するように、本体4の前面4aに対して傾斜して形成される。この場合、ユーザが第1操作表示面56に対して操作を行なう際には、本体4の前面4aよりも手前側の空間において、指Fを上方から下方に向けて動かすことになる。従って、ユーザが第1操作表示面56を操作しようとする際に、誤って天板6の上部に配置された調理容器などの加熱対象物に指Fを近づけてしまうことがない。上記の構成によれば、第1操作表示面56を外部の空間に結像した場合であっても、ユーザの安全性を確保することができる。
【0026】
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0027】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0028】
2 :加熱装置
4 :本体
4a :前面
6 :天板
8 :五徳
10 :五徳
12 :五徳
14 :コンロバーナ
16 :コンロバーナ
18 :コンロバーナ
20 :グリル庫
22 :グリル扉
24 :第1操作表示部
26 :第2操作表示部
28 :第3操作表示部
30 :第4操作表示部
32 :スイッチ
34 :スイッチ
36 :ノブ
38 :ノブ
40 :表示灯
42 :表示灯
44 :スイッチ
46 :ノブ
48 :表示灯
50 :スイッチ
52 :ボタン
54 :表示灯
56 :第1操作表示面
58 :設定情報
60 :入力アイコン
62 :第2操作表示面
64 :液晶ディスプレイ
64a :内部画面
66 :空中結像プレート
68 :操作検出装置
70 :制御装置
72 :操作禁止領域
図1
図2
図3