特許第6826963号(P6826963)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6826963
(24)【登録日】2021年1月20日
(45)【発行日】2021年2月10日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20210128BHJP
【FI】
   A63F7/02 326Z
【請求項の数】2
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2017-159314(P2017-159314)
(22)【出願日】2017年8月22日
(65)【公開番号】特開2019-37298(P2019-37298A)
(43)【公開日】2019年3月14日
【審査請求日】2018年9月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】391010943
【氏名又は名称】株式会社藤商事
(74)【代理人】
【識別番号】100100376
【弁理士】
【氏名又は名称】野中 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】100143199
【弁理士】
【氏名又は名称】磯邉 毅
(72)【発明者】
【氏名】新美 貴司
【審査官】 小河 俊弥
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−106799(JP,A)
【文献】 特開2016−010583(JP,A)
【文献】 特開2009−061153(JP,A)
【文献】 特開2014−144066(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の抽選処理の後、一連の演出動作を実行すると共に、この一連の演出動作の途中で、所定条件下、演出動作の進行に影響を与える一又は複数種類の遊技操作が遊技者に許可される遊技機であって、
前記遊技操作に起因して実行されるだけでなく、音声演出の音量変更を指示する音量操作に起因して実行される演出プログラムを設けると共に、前記演出プログラムを特定するプログラムIDを、前記遊技操作や前記音量操作の操作判定条件に対応させて統一的に記憶する管理テーブル(TBL)を設け、
前記音量操作がされた場合、及び、前記遊技操作が実行された場合に機能して、その操作が許可される許可タイミングであれば、当該操作についての前記操作判定条件を前記管理テーブルから特定して、前記操作判定条件を満たすか否かを判定する第1手段と、
前記操作判定条件を満たすと第1手段が判定すると、その操作に対応するプログラムIDを、前記管理テーブルから特定して、特定されたプログラムIDに対応する前記演出プログラムの実行を開始させる第2手段と、
を有して構成されている遊技機。
【請求項2】
前記遊技操作を伴う演出シナリオに対応して、前記遊技操作が許可される許可開始タイミングと、前記遊技操作の許可が終わる許可終了タイミングとが、所定の操作ID情報に対応して予め規定されており、
前記演出シナリオの実行開始時に初期設定され、所定時間毎に更新される進行管理タイマ(NW)の更新値が、前記許可開始タイミングに一致すると、前記操作ID情報で特定される作業領域(FLG)の所定の記憶位置に、動作ON情報を設定する設定手段(ST34)を設け、
第1手段は、前記所定の記憶位置に前記動作ON情報が設定されていることに基づいて、前記操作ID情報で特定される前記遊技操作の許可タイミングであると判定する請求項1に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技動作に起因する抽選処理によって大当り状態を発生させる遊技機に関し、特に、多様な機種変更にも容易に対応できる構成を有する遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機などの弾球遊技機は、遊技盤に設けた図柄始動口と、複数の表示図柄による一連の図柄変動態様を表示する図柄表示部と、開閉板が開閉される大入賞口などを備えて構成されている。そして、図柄始動口に設けられた検出スイッチが遊技球の通過を検出すると入賞状態となり、遊技球が賞球として払出された後、図柄表示部では表示図柄が所定時間変動される。その後、7−7−7などの所定の態様で図柄が停止すると大当り状態となり、大入賞口が繰返し開放されて、遊技者に有利な遊技状態を発生させている。
【0003】
このような遊技状態を発生させるか否かは、図柄始動口に遊技球が入賞したことを条件に実行される大当り抽選で決定されており、上記の図柄変動動作は、この抽選結果を踏まえたものとなっている。例えば、抽選結果が当選状態である場合には、リーチアクションなどと称される演出動作を20秒前後実行し、その後、特別図柄を整列させている。一方、ハズレ状態の場合にも、同様のリーチアクションが実行されることがあり、この場合には、遊技者は、大当り状態になることを強く念じつつ演出動作の推移を注視することになる。
【0004】
ところで、この種の遊技機では、最終結果が確定する以前に、演出可動体が移動を開始して、大当り状態の招来を予告する予告演出が実行される場合がある。また、予告演出の一種として、遊技者のボタン操作に対応したボタン演出が実行される場合があり(特許文献1〜3)、ボタンの押下タイミングなどに対応して、その後の演出内容に変化を与えている。
【0005】
また、遊技者の好みに合わせて、音声演出の音量ボリュームを自由に調整できる遊技機が好まれる傾向にあり(特許文献4)、このような各種の用途に応じて、ON/OFF押下ボタンや、跳ね返りボタンや、十字ボタンなどの各種のボタンが、適宜に選択使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2017−000514号公報
【特許文献2】特開2014−213154号公報
【特許文献3】特開2013−240425号公報
【特許文献4】特開2017−023591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、昨今の遊技機は、ボタンの種類やボタン演出が多様化する傾向にあり、また、ボタン演出時のボタン押下条件についても、単発ボタンのON操作やOFF操作だけでなく、複数回のボタン連打や、長押し操作などが、予告演出の仕様に対応して各種の条件が選択される傾向にある。
【0008】
しかし、ボタンの種類や、ボタン演出が多様化すればするほど、機種毎の設計変更の負担が過大化するという問題がある。例えば、ボタンの種類毎に規定されるボタン操作の正当判定を、個々のプログラム毎に記述したのでは、プログラム可読性に欠けるだけでなく、ボタンの種類やボタン演出が多様化される伴い、機種変更の設計時にプログラムミスが生じる可能性が高まるという問題がある。
【0009】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、例えば、ボタンの種類やボタン演出を多様化しても、プログラムの可読性が損なわれず、機種変更に容易に対応できる構成を有する遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するため、本発明は、所定の抽選処理の後、一連の演出動作を実行すると共に、この一連の演出動作の途中で、所定条件下、演出動作の進行に影響を与える一又は複数種類の遊技操作が遊技者に許可される遊技機であって、前記遊技操作に起因して実行されるだけでなく、音声演出の音量変更を指示する音量操作に起因して実行される演出プログラムを設けると共に、前記演出プログラムを特定するプログラムIDを、前記遊技操作や前記音量操作の操作判定条件に対応させて統一的に記憶する管理テーブル(TBL)を設け、前記音量操作がされた場合、及び、前記遊技操作が実行された場合に機能して、その操作が許可される許可タイミングであれば、当該操作についての前記操作判定条件を前記管理テーブルから特定して、前記操作判定条件を満たすか否かを判定する第1手段と、前記操作判定条件を満たすと第1手段が判定すると、その操作に対応するプログラムIDを、前記管理テーブルから特定して、特定されたプログラムIDに対応する前記演出プログラムの実行を開始させる第2手段と、を有して構成されている。
【0011】
本発明の遊技操作は、実施例では、演出ボタン11a,11bや十字キー4などのボタン操作がこれに対応する。また、本発明の遊技機は、典型的には弾球遊技機又は回胴式遊技機であり、弾球遊技機では、例えば、遊技球の入賞(遊技動作)に起因して、所定の抽選処理が実行され、回胴式遊技機では、例えば、スタートレバーの操作(遊技動作)に起因して、所定の抽選処理が実行される。
【0012】
ところで、以下に説明する実施例では、管理テーブル(TBL)は、ボタン演出ID毎に区分されており、ボタン演出IDに対応して、ボタン処理関数の関数ポインタ(プログラムID)と、対応ボタン&操作有効条件たる判定情報と、が特定されている。
【0013】
そして、例えば、ボタン演出や音量変更に関する遊技操作が許可されたタイミングでは、許可された遊技操作に対応するボタン演出IDに基づいて、その遊技操作が正当に実行されたか否かが、管理テーブルの判定情報に基づいて判定され、正当判定される場合に、プログラムIDに基づく演出プログラムが実行される。但し、本発明は、このような実施例の動作に何ら限定されない。
【発明の効果】
【0014】
上記した本発明によれば、演出動作の進行に影響を与える一又は複数種類の遊技操作や、音声演出の音量変更を指示する音量操作に起因して実行される演出プログラムを設けると共に、演出プログラムを特定するプログラムIDを、遊技操作や音量操作の操作判定条件に対応させて統一的に記憶する管理テーブル(TBL)を設けるので、ボタンの種類やボタン演出を多様化しても、プログラムの可読性が損なわれず、機種変更に容易に対応できる。また、一の管理テーブルに基づいて、遊技操作に対応する演出プログラムだけでなく、音量変更操作に対応する演出プログラムについても自由に設定できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施例に示すパチンコ機の斜視図である。
図2図1のパチンコ機の遊技盤を図示した正面図である。
図3図1のパチンコ機の全体構成を示すブロック図である。
図4】演出制御部などの回路構成を示すブロック図である。
図5】スイッチ信号伝送基板の構成を説明する回路図である。
図6】スイッチ信号の伝送処理を説明する図面である。
図7】演出制御部の制御動作を説明するフローチャートである。
図8】各種の演出動作を実現するための作業領域の構成を例示したものである。
図9図7の一部であるボタンシナリオ解析処理を説明する図面である。
図10図7の一部であるボタン演出処理を説明する図面である。
図11】ボタンデータテーブルの構成を例示した図面である。
図12】ボタンデータテーブルを中継して実行されるボタン演出の起動処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。図1は、本実施例のパチンコ機GMを示す斜視図である。このパチンコ機GMは、島構造体に着脱可能に装着される矩形枠状の木製外枠1と、外枠1に固着されたヒンジ2を介して開閉可能に枢着される前枠3とで構成されている。この前枠3には、遊技盤5が、裏側からではなく、表側から着脱自在に装着され、その前側には、ガラス扉6と前面板7とが夫々開閉自在に枢着されている。
【0017】
ガラス扉6の外周には、LEDランプなどによる電飾ランプが、略C字状に配置されている。一方、ガラス扉6の上部左右と、下側には、スピーカが配置されている。また、前面板7には、発射用の遊技球を貯留する上皿8が装着され、前枠3の下部には、上皿8から溢れ出し又は抜き取った遊技球を貯留する下皿9と、発射ハンドル10とが設けられている。発射ハンドル10は発射モータと連動しており、発射ハンドル10の回動角度に応じて動作する打撃槌によって遊技球が発射される。
【0018】
図示の通り、上皿8の外周面の左側には、予告演出時などに機能する2つ演出ボタン11a,11bが設けられている。これらの演出ボタン11a,11bは、遊技者の左手で操作できる位置に設けられており、遊技者は、発射ハンドル10から右手を離すことなく操作可能となる。
【0019】
例えば、ボタン操作が許容されるボタンチャンス状態において、演出ボタン11a,11bの一方又は双方を押下すると、そのON操作又はOFF操作を契機として、演出動作の進行に影響を与えることが可能となる。なお、押下方法は、一度押し(単発ボタン押し)だけでなく、複数回押し、連続押し(ボタン連打)、ボタン長押しなどがボタンチャンス状態に応じて適宜に規定されている。
【0020】
また、上皿8の外周面の右側には、上下左右の4箇所の選択ボタンを設けた十字キー4が配置されている。この十字キー4は、音声演出の再生音量を、遊技者が任意に設定するための操作ボタンである。そして、上ボタン又は右ボタンを押下すると、その押下操作毎に音量が一段階増加し、下ボタン又は左ボタンを押下すると、その押下操作毎に音量が一段階減少するようになっている。
【0021】
また、このような押下操作に対応して、「ピッ」という反応音がスピーカから出力される共に、表示装置DISPの下部に出現する音量バーが左右方向に増減変化した上で、所定時間後に、音量バーが消滅するようになっている。
【0022】
なお、最高レベルや最低レベルを超える押下操作は無視されると共に、異常事態の発生時には、遊技者の設定音量に拘らず、報知レベルの大音量で異常報知音が出力される。また、所定時間以上、遊技者が遊技機から離れたと判断される場合には、それまでの設定音量に拘らず、電源投入時と同レベルの標準音量に戻るよう構成されている。
【0023】
また、上皿8の右部には、カード式球貸し機に対する球貸し操作用の操作パネル12が設けられ、カード残額を3桁の数字で表示する度数表示部と、所定金額分の遊技球の球貸しを指示する球貸しスイッチと、ゲーム終了時にカードの返却を指令する返却スイッチとが設けられている。
【0024】
図2に示すように、遊技盤5の表面には、金属製の外レールと内レールとからなるガイドレール13が環状に設けられ、その略中央には、背面側に延びる中央開口HOが設けられている。そして、中央開口HOの奥底には、液晶カラーディスプレイで構成された表示装置DISPが配置されている。
【0025】
また、表示装置DISPの前面に形成される空間には、演出モータMO3によって回転される演出可動体AMUが昇降自在に配置されている。演出可動体AMUは、一体的に回転する演出モータMO1,MO2に駆動されて昇降する左右の可動体MV1,MV2に保持されて構成されている。なお、通常時には、演出可動体AMUは、可動体MV1,MV2に吊り上げられて原点位置で待機している。
【0026】
遊技領域5aの適所には、図柄始動口15、大入賞口16、普通入賞口17、ゲート18が配設されている。これらの入賞口15〜18は、それぞれ内部に検出スイッチを有しており、遊技球の通過を検出できるようになっている。
【0027】
表示装置DISPは、大当り状態に係わる特定図柄を変動表示すると共に背景画像や各種のキャラクタなどをアニメーション的に表示する装置である。この表示装置DISPは、中央部に特別図柄表示部Da〜Dcと右上部に普通図柄表示部19を有している。そして、特別図柄表示部Da〜Dcでは、大当り状態の招来を期待させるリーチ演出が実行されたり、特別図柄表示部Da〜Dc及びその周りでは、当否結果を不確定に報知する予告演出などが実行される。
【0028】
普通図柄表示部19は普通図柄を表示するものであり、ゲート18を通過した遊技球が検出されると、普通図柄が所定時間だけ変動し、遊技球のゲート18の通過時点において抽出された抽選用乱数値により決定される停止図柄を表示して停止するようになっている。
【0029】
図柄始動口15は、左右一対の開閉爪を備えた電動式チューリップで開閉されるように構成され、普通図柄表示部19の変動後の停止図柄が当り図柄を表示した場合には、開閉爪が所定時間だけ、若しくは、所定個数の遊技球を検出するまで開放されるようになっている。
【0030】
図柄始動口15に遊技球が入賞すると、特別図柄表示部Da〜Dcの表示図柄が所定時間だけ変動し、図柄始動口15への遊技球の入賞タイミングに応じた大当り抽選の抽選結果に基づいて決定される停止図柄で停止する(以下、一連の変動演出という)。なお、特別図柄表示部Da〜Dc及びその周りでは、一連の変動演出の間に、予告演出が実行される場合がある。
【0031】
また、予告演出の一種として、演出可動体AMUが、演出モータMO1,MO2に駆動されて中央開口HOの位置に降下してくることがある。そして、降下した演出可動体AMUは、演出モータMO3に駆動されて時計方向又は反時計方向に回転した後、元の位置に上昇する。
【0032】
大入賞口16は、例えば前方に開放可能な開閉板16aで開閉制御されるが、特別図柄表示部Da〜Dcの図柄変動後の停止図柄が「777」などの大当り図柄のとき、「大当りゲーム」と称する特別遊技が開始され、開閉板16aが開放されるようになっている。
【0033】
大入賞口16の開閉板16aが開放された後、所定時間が経過し、又は所定数(例えば10個)の遊技球が入賞すると開閉板16aが閉じる。このような動作は、最大で例えば15回まで特別遊技が継続され、遊技者に有利な状態に制御される。なお、特別図柄表示部Da〜Dcの変動後の停止図柄が特別図柄のうちの特定図柄であった場合には、特別遊技の終了後のゲームが高確率状態(確変状態)となるという特典が付与される。
【0034】
図3は、上記した各動作を実現するパチンコ機GMの全体回路構成を示すブロック図である。また、図4はその一部(演出インタフェイス基板22+演出制御基板23+液晶インタフェイス基板26)の回路構成を図示したものであり、図5図6は、モータ駆動基板37や、センサ&スイッチ基板38の回路構成と回路動作を説明する図面である。
【0035】
図3に示す通り、このパチンコ機GMは、AC24Vを受けて各種の直流電圧や、電源異常信号ABN1,ABN2やシステムリセット信号(電源リセット信号)SYSなどを出力する電源基板20と、遊技制御動作を中心統括的に担う主制御基板21と、音声演出用の回路素子を搭載した演出インタフェイス基板22と、主制御基板21から受けた制御コマンドCMDに基づいてランプ演出、音声演出、及び画像演出を統一的に実行する演出制御基板23と、演出制御基板23と表示装置DISPの間に位置する液晶インタフェイス基板26と、主制御基板21から受けた制御コマンドCMD’に基づいて払出モータMを制御して遊技球を払い出す払出制御基板24と、遊技者の操作に応答して遊技球を発射させる発射制御基板25と、を中心に構成されている。
【0036】
本実施例の場合、主制御基板21が出力する制御コマンドCMD’は、主基板中継基板32を経由して、払出制御基板24に伝送される。一方、主制御基板21が出力する制御コマンドCMDは、演出インタフェイス基板22を経由して演出制御基板23に伝送される。なお、演出インタフェイス基板22と、演出制御基板23と、液晶インタフェイス基板26とは、配線ケーブルを経由することなく、雄型コネクタと雌型コネクタとを直結されている。
【0037】
主制御基板21と払出制御基板24には、ワンチップマイコンを含むコンピュータ回路が搭載されている。また、演出制御基板23には、VDP回路(Video Display Processor )52やCPU回路51などのコンピュータ回路が内蔵された複合チップ50が搭載されている。そこで、これらの制御基板21,24,23と、演出インタフェイス基板22や液晶インタフェイス基板26に搭載された回路、及びその回路によって実現される動作を機能的に総称して、本明細書では、主制御部21、演出制御部23、及び払出制御部24と言うことがある。
【0038】
また、このパチンコ機GMは、図3の破線で囲む枠側部材GM1と、遊技盤5の背面に固定された盤側部材GM2とに大別されている。枠側部材GM1には、ガラス扉6や前面板7が枢着された前枠3と、その外側の木製外枠1とが含まれており、機種の変更に拘わらず、長期間にわたって遊技ホールに固定的に設置される。
【0039】
一方、盤側部材GM2は、機種変更に対応して交換され、新たな盤側部材GM2が、元の盤側部材の代わりに枠側部材GM1に取り付けられる。そして、枠側部材GM1と盤側部材GM2とは、一箇所に集中配置された接続コネクタC1〜C4によって電気的に接続されている。なお、枠側部材GM1を除く全てが、盤側部材GM2である。
【0040】
図3の破線枠に示す通り、枠側部材GM1には、電源基板20と、払出制御基板24と、発射制御基板25と、枠中継基板35と、ランプ駆動基板36と、モータ駆動基板37と、センサ&スイッチ基板38とが含まれており、これらの回路基板が、前枠3の適所に各々固定されている。
【0041】
ランプ駆動基板36は、演出制御部23の複合チップ50(シリアルポートS2)から出力されるシリアル信号SDATA2(図4参照)を、クロック信号CK2に同期して受ける、同一構成の複数のランプドライバが直列接続されて構成され、前枠3に配置された電飾ランプを駆動している。
【0042】
また、モータ駆動基板37は、演出制御部23の複合チップ50(シリアルポートS0)から出力されるシリアル信号SDATA0(図4図5参照)を、クロック信号CK0に同期して受ける、同一構成の複数のモータドライバDVが直列接続されて構成され、演出モータMOiや、演出ソレノイドを駆動している(図5参照)。
【0043】
本実施例の場合、演出モータMOiには、演出可動体AMUを回転させる演出モータMO3や、可動体MV1,MV2を昇降させる演出モータMO1,MO2が含まれている。そして、これら演出モータMOiの原点位置には、各々、原点センサが配置されており、演出モータMOiの回転位置が検出可能になっている。また、演出ソレノイドには、演出可動体AMUの一部を進退させる電磁ソレノイドが含まれている。
【0044】
一方、センサ&スイッチ基板38は、演出ボタン11a,11bや、十字キー4からのスイッチ信号の他、演出モータMOiの原点センサからのセンサ信号を受けるよう構成されている。そして、これらの信号は、シリアル信号DATA1(図4図5参照)に変換されて、クロック信号CK1に同期して、演出制御部23の複合チップ50(シリアルポートS1)に伝送されるよう構成されている。
【0045】
図3に関して説明を続けると、電源基板20は、接続コネクタC2を通して、主基板中継基板32に接続され、接続コネクタC3を通して、電源中継基板33に接続されている。電源基板20には、交流電源の投入と遮断とを監視する電源監視部MNTが設けられている。
【0046】
電源監視部MNTは、交流電源が投入されたことを検知すると、所定時間だけシステムリセット信号SYSをLレベルに維持した後に、これをHレベルに遷移させる。また、電源監視部MNTは、交流電源の遮断を検知すると、電源異常信号ABN1,ABN2を、直ちにLレベルに遷移させる。電源異常信号ABN1,ABN2は、電源投入後に速やかにHレベルとなる。
【0047】
主基板中継基板32は、電源基板20から出力される電源異常信号ABN1、バックアップ電源BAK、及びその他の直流電源電圧を、そのまま主制御部21に出力している。一方、電源中継基板33は、電源基板20から受けたシステムリセット信号SYSや、交流及び直流の電源電圧を、そのまま演出インタフェイス基板22に出力している。そして、演出インタフェイス基板22は、受けたシステムリセット信号SYSを、そのまま演出制御部23に出力している。
【0048】
演出インタフェイス基板22には、音声プロセッサ27や音声ROM28が搭載され、演出制御基板23には、VDP回路52やCPU回路51などのコンピュータ回路が内蔵された複合チップ50が搭載されているが、これらは、各々に関連する他の電子素子と共に、同期して電源リセットされる。
【0049】
一方、払出制御基板24は、中継基板を介することなく、電源基板20に直結されており、主制御部21が受けると同様の電源異常信号ABN2や、バックアップ電源BAKを、その他の電源電圧と共に直接的に受けている。
【0050】
電源基板20が出力するシステムリセット信号SYSは、電源基板20に交流電源24Vが投入されたことを示す電源リセット信号であり、先に説明した通り、この電源リセット信号によって演出制御部23のCPU回路51は、その他の回路素子やVDP回路52などと共に電源リセットされるようになっている。
【0051】
但し、このシステムリセット信号SYSは、主制御部21と払出制御部24には、供給されておらず、各々の回路基板21,24のリセット回路RSTにおいて電源リセット信号(CPUリセット信号)が生成されている。これらのリセット回路RSTは、各々ウォッチドッグタイマを内蔵しており、各制御部21,24のCPUから、定時的なクリアパルスを受けない限り、各CPUは強制的にリセットされる。
【0052】
また、この実施例では、RAMクリア信号CLRは、主制御部21で生成されて主制御部21と払出制御部24のワンチップマイコンに伝送されている。ここで、RAMクリア信号CLRは、各制御部21,24のワンチップマイコンの内蔵RAMの全領域を初期設定するか否かを決定する信号であって、係員が操作する初期化スイッチSWのON/OFF状態に対応した値を有している。
【0053】
主制御部21及び払出制御部24は、電源基板20から電源異常信号ABN1,ABN2を受けることによって、停電や営業終了に先立って、必要な終了処理を開始するようになっている。また、バックアップ電源BAKは、営業終了や停電により交流電源24Vが遮断された後も、主制御部21と払出制御部24のワンチップマイコンの内蔵RAMのデータを保持するDC5Vの直流電源である。
【0054】
図3に示す通り、演出インタフェイス基板22は、主制御部21から制御コマンドCMDとストローブ信号STBとを受けて、演出制御基板23に転送している。より詳細には、図4に示す通りであり、制御コマンドCMDとストローブ信号STBは、システムリセット信号SYSと共に、入力バッファ40を経由して、演出制御基板23のCPU回路51(パラレル入力ポートPi)に転送される。
【0055】
図4に示す通り、演出インタフェイス基板22の入力バッファ42は、枠中継基板35,34から演出ボタン11a,11bや十字キー4や原点センサなどの検出信号を受け、各信号を演出制御基板23のCPU回路51(シリアルポートS1)に伝送している(図5参照)。後述するように、センサ&スイッチ基板38のPS変換回路CV0〜CV2は、スイッチ信号や原点センサ信号をシリアル変換して、クロック信号CK1に同期したシリアル信号として、CPU回路51のシリアルポートS1に伝送している。
【0056】
また、演出インタフェイス基板22は、出力バッファ41を経由して、ランプ駆動基板36、モータ駆動基板37、及びセンサ&スイッチ基板38に接続されている。そして、演出制御基板23のCPU回路51に内蔵されたシリアルポートS0,S2は、モータ駆動基板37とランプ駆動基板36に対して、各々、クロック信号CK0,CK2に同期して、シリアル信号SDATA0,SDATA2を出力している。
【0057】
シリアル信号SDATA0は、演出モータMOiを歩進させるモータ駆動信号であり、同一構成の複数のモータドライバDVに転送される。また、シリアル信号SDATA2は、電飾ランプを点灯させるランプ駆動信号であり、同一構成の複数のランプドライバに転送される。
【0058】
また、CPU回路51に内蔵されたシリアルポートS1は、出力バッファ41を経由して、センサ&スイッチ基板38に対して、クロック信号CK1を出力している。そして、シリアルポートS1は、センサ&スイッチ基板38が出力するスイッチ信号や原点センサ信号その他を、シリアル信号SDATA1として、入力バッファ42を経由して受けている。
【0059】
また、演出インタフェイス基板22は、出力バッファ43を経由して、ランプ駆動基板30に接続されている。ランプ駆動基板30は、ランプ駆動基板36と同様の回路構成であって、同一構成の複数のランプドライバが直列接続されて構成されており、CPU回路51に内蔵されたシリアルポートS3は、クロック信号CK3に同期してシリアル信号SDATA3を出力している。
【0060】
次に、図4の右側に示す通り、演出制御基板23には、CPU回路51やVDP回路52を、CPUインタフェイス回路56と共に内蔵する複合チップ50と、CPU回路51の制御プログラムを記憶する制御メモリ(PROM)53と、画像演出制御に必要な大量のCGデータを記憶するCGROM54と、が搭載されている。
【0061】
CPU回路51は、汎用のワンチップマイコンと同等の性能を有する回路であり、制御メモリ(PROM)53の制御プログラムに基づき、各種の演出動作を統一的に制御する演出制御CPU55(CPUコア)が内蔵されている。なお、統一的に実行される各種の演出動作には、ランプ演出、音声演出、モータ演出、及び画像演出が含まれている。
【0062】
また、CPU回路51には、演出制御CPU55の他に、パラレル入力ポートPi、パラレル出力ポートPo、及び、シリアルポートS0〜S3が内蔵されている。ここで、パラレル入力ポートPiは、制御コマンドCMDと、割込み信号STBと、を受信するようになっている。また、パラレル出力ポートPoは、モータ駆動基板37に対して、リセット信号RESETとラッチ信号LATCHを出力し、センサ&スイッチ基板38に対して、取得信号LOADを出力するよう構成されている。なお、ランプ駆動基板36に対しても、モータ駆動基板37に対すると同様の信号を出力している。
【0063】
なお、シリアルポートS0〜S3が、ランプ駆動基板36、モータ駆動基板37、及びランプ駆動基板30に対して、シリアル信号SDATiを、クロック信号CKiに同期して出力すること、及び、センサ&スイッチ基板38から、クロック信号CK1に同期して、シリアル信号SDATA1を受信することは先に説明した通りである。
【0064】
図4に示す通り、演出インタフェイス基板22には、演出制御基板23のCPU回路51(演出制御CPU55)から受ける指示に基づいて音声信号を再生する音声プロセッサ(音声合成回路)27と、再生される音声信号の元データである圧縮音声データなどを記憶する音声メモリ28と、音声プロセッサ27から出力される音声信号を受けるデジタルアンプ29と、が搭載されている。
【0065】
図示の通り、演出制御CPU55と音声プロセッサ27は、1バイトデータを送受信可能なパラレル信号線D7〜D0(データバス)と、動作管理データを送信可能な2ビット長の動作管理データ線A1〜A0(アドレスバス)と、その他、不図示の制御線とで接続されている。
【0066】
そして、音声プロセッサ27は、その内蔵レジスタたる音声制御レジスタRGに、演出制御CPU55から受ける動作パラメータ(設定値)に基づいて、音声メモリ28をアクセスして、必要な音声信号を再生して出力している。図4(a)に示す通り、音声プロセッサ27と、音声メモリ28とは、26ビット長の音声アドレスバスと、16ビット長の音声データバスで接続されている。そのため、音声メモリ28には、1Gビット(=226*16)のデータが記憶可能となる。
【0067】
なお、演出制御部23のCPU回路51のデータバスとアドレスバスは、液晶インタフェイス基板26に搭載された時計回路(real time clock )RTCと演出データメモリSRAMにも及んでいる。時計回路RTCは、CPU回路51のアドレスバスの下位4ビットと、データバスの下位4ビットに接続されており、CPU回路51が任意にアクセスできるよう構成されている。
【0068】
また、演出データメモリSRAMは、高速アクセス可能なメモリ素子SRAM(Static Random Access Memory )であって、CPU回路51のアドレスバスの16ビットと、データバスの下位16ビットに接続されており、そこに記憶されている遊技実績情報その他が、CPU回路51から適宜にR/Wアクセスされるようになっている。
【0069】
続いて、演出制御基板23の複合チップ50と、モータ駆動基板37やセンサ&スイッチ基板38との関係について更に説明する。図5に示す通り、センサ&スイッチ基板38には、図6(a)に示す同一構成のPS変換回路CV2〜CV0と、PS変換回路CV2から受けるシリアル信号を複合チップ50のシリアルポートS1に出力するバッファ回路BFと、が配置されている。そして、PS変換回路CV2〜CV0は、演出ボタン11a,11bや、十字キー4や、原点センサその他のセンサからスイッチ信号を受けるよう構成されている。
【0070】
PS変換回路CV2〜CV0は、図6(a)に示す通り、クロック信号CK1と取得信号LOADとを共通して受けると共に、シリアル信号SDATA1をクロック信号CK1に同期して転送している。
【0071】
この構成に対応して、複合チップ50には、演出制御CPU55(CPUコア)と、カウンタ回路CTと、パラレル出力ポートPoと、シリアルポートS0〜S1と、を有して構成されている。そして、パラレル出力ポートPoは、演出制御CPU55の制御に基づいて、リセット信号RESETと、ラッチ信号LATCHと、取得信号LOADを、適宜なタイミングで出力している。
【0072】
先に説明した通り、シリアルポートS0は、シリアル出力ポートとして機能して、クロック信号CK0に同期してシリアルデータ(駆動データ)SDATA0を出力している。一方、シリアルポートS1は、シリアル入力ポートとして機能して、クロック信号CK1に同期してシリアルデータ(スイッチ信号など)SDATA1を取得している。なお、シリアル出力ポートとして機能するシリアルポートS2,S3については、図5の記載を省略している。
【0073】
図5に示す通り、モータ駆動基板37は、同一構成の複数のモータドライバDVが直列接続されて構成されている。モータドライバDVは、例えば、4個のシフトレジスタを内蔵して構成され、内蔵レジスタの個数に対応する4ビットの駆動出力端子と、駆動出力端子の駆動データを全クリアするリセット信号RESETを受けるRESET端子と、内蔵レジスタの保持データを駆動出力端子に出力するラッチ信号LATCHを受けるLATCH端子と、最上流の内蔵レジスタに駆動データSDATA0を供給する入力端子INと、最下流の内蔵レジスタから駆動データSDATA0が出力される出力端子OUTと、内蔵レジスタの保持データをシフト動作させるクロック信号CK0を受けるクロック端子SCLKと、を有して構成されている。
【0074】
そして、最上流のモータドライバDVの入力端子INに、シリアルポートS0がシリアル出力する駆動データSDATA0が供給され、最上流のモータドライバDVの出力端子OUTが、その下流側のモータドライバDVの入力端子INに供給されている。以下、同様であり、一連のモータドライバDVの出力端子OUTが、その下流側のモータドライバDVの入力端子INに接続されている。
【0075】
次に、図6(a)は、PS変換回路CVの具体的な回路構成を図示したものである。本実施例の場合、センサ&スイッチ基板38には、図6(a)に示す同一構成のPS変換回路CV0〜CV2が、図6(c)のように、直列的に接続されている。
【0076】
図6(a)に示す通り、PS変換回路CVは、8個のシフトレジスタQA〜QHが内蔵されて構成され、パラレル信号の入力端子A〜Hと、入力端子A〜Hのパラレル信号を内蔵レジスタQA〜QHに取得するための取得信号LOADを受ける取得端子LOADと、最上流のシフトレジスタQAにシリアル信号を供給する入力端子INPUTと、シフトクロックCKを受けるクロック端子CLOCKと、最下流のシフトレジスタQHからシリアル信号を受ける出力端子QHとを有して構成されている。
【0077】
そして、PS変換回路CV0〜CV2の入力端子A〜Hには、演出モータMOiの原点位置を特定するセンサ信号や、演出ボタン11a,11bや、十字キー4のスイッチ信号が、その他のセンサから信号と共に供給されている。
【0078】
そのため、PS変換回路CV0〜CV2の取得端子LOADに、負論理のラッチパルス(取得信号LOAD)を受けると、入力端子A〜Hに供給されている上記のパラレル信号が、内蔵レジスタQA〜QHに取得されることになる(図6(b)参照)。そして、その後、クロック端子CLOCKにシフトクロックCKを受けるごとに、内蔵レジスタQA〜QHのデータが下流側にシフトされることなる。
【0079】
なお、図示の通り、CLOCK INHIBIT 端子は、Lレベルに固定されているので、8個のシフトクロックCKを受けることで、上流側のPS変換回路の取得テータが、下流側のPS変換回路に移動することになる。なお、シリアルポートS1が出力されるシフトクロックCK1が論理反転されて、PS変換回路CV0〜CV2に対するシフトクロックCKとなっている。
【0080】
図6(b)はシフト動作を説明するタイムチャートであり、取得信号LOADに同期して取得された1バイトデータ(A-B-C-D-E-F-G-H )が、シフトクロックCKに同期して、シフト処理される状態を示している。すなわち、例えば、第1段(CV0)の最下流レジスタの出力QHが、図示のように変化するのに対応して、第2段(CV1)の最上流レジスタの出力QAが、シフトクロックCKに同期して、H→G→F→E→D→C→B→Aのように変化することが示されている。
【0081】
続いて、図5に戻って、シリアルポートS0,S1について更に詳細に説明する。シリアル出力ポートS0は、演出制御CPU55から1バイトデータを受ける送信データレジスタDRと、送信データレジスタDRから1バイトデータの転送を受けて、駆動データSDATA0をシリアル出力する送信シフトレジスタSRと、シリアルポートの内部動作状態を管理する多数の制御レジスタRGと、カウンタ回路CTの出力パルスΦを受けて制御レジスタRGが指定する分周比のクロック信号CK0を出力するボーレートジェネレータBGと、を有して構成されている。
【0082】
シリアル出力ポートS0の制御レジスタRGには、エンプティビットEMPを含んだREAD可能な制御レジスタが含まれており、送信データレジスタDRが、新規データを受け入れ可能か否かを示している。すなわち、送信シフトレジスタSRの1バイトデータの送信が完了すると、エンプティビットEMPがHレベル(empty レベル)に遷移して、送信データレジスタDRに、新規データを書込むことができることが示される。したがって、演出制御CPU55は、エンプティビットEMPがHレベルであることを確認した上で、新規データを送信データレジスタDRに書込むことになる。
【0083】
また、シリアルポートS0の制御レジスタRGには、送信許可ビットTXEを含んだWRITE可能な制御レジスタが含まれており、演出制御CPU55が送信許可ビットTXEをON(H)レベルに設定すると、シリアル出力ポートS0の送信動作が許可され、OFFレベルに設定すると送信動作が禁止される。そこで、本実施例では、演出制御CPU55は、送信処理の開始時に送信許可ビットTXEをON状態にセットし、送信処理の終了時に送信許可ビットTXEをOFFレベルにリセットしている(図5(b)参照)。
【0084】
図5(b)は、シリアル出力ポートS0について、送信開始時の動作を示すタイムチャートである。図示の通り、シリアル出力ポートS0が送信禁止状態(TXE=L)である場合や、送信データレジスタDRのデータがシリアル出力された後は、クロック信号CKが固定状態のHレベルである。また、送信データレジスタDRは空であり、エンプティビットEMPもHレベル(empty レベル)である。
【0085】
そして、演出制御CPU55が送信許可ビットTXEをON状態(送信許可状態)にセットした後、送信データレジスタDRに1バイト目の送信データを書込むと、エンプティビットEMPがLレベルに遷移すると共に、その後、所定時間(τ)経過後に、1バイト目の送信データが送信シフトレジスタSRに転送されて、シリアル送信動作が開始される。
【0086】
また、送信データが送信シフトレジスタSRに転送されたことで、1ビット目のシリアル送信開始に対応して、その後は、エンプティビットEMPがHレベル(empty レベル)に遷移する。したがって、演出制御CPU55は、HレベルのエンプティビットEMPを確認した上で、2バイト目の送信データを、送信データレジスタDRに書込むことになる。
【0087】
すると、送信データレジスタDRへのデータ書込み動作に対応して、エンプティビットEMPがLレベル(fullレベル)に遷移する。そして、その後、1バイト目の送信データが全て送信されると、送信データレジスタDRから送信シフトレジスタSRに2バイト目のデータが転送され、2バイト目のデータ送信が開始されて、エンプティビットEMPがHレベルに遷移する。
【0088】
このエンプティビットEMPは、送信データレジスタDRへの3バイト目のデータ書込み動作に対応して、Lレベルに変化するが、図示のように、新規データの書き込みがない場合にはHレベルを維持する。また、全てのデータが送信された後は、クロック信号CKがHレベルを維持して変化しない。
【0089】
特に限定されないが、この実施例では、モータドライバDVの内部動作に対応して、1バイトデータのMSB(Most Significant Bit)からLSB(Least Significant Bit )に向けて、クロック信号CK0に同期して送信動作が実行されるよう設定され(MSBファースト)、該当する制御レジスタRGに適宜な設定値が設定される。また、クロック信号CK0の立下りエッジに同期して、送信動作が進行することも図示の通りである。
【0090】
本実施例では、上記の動作をするシリアルポートS0を利用して、演出モータMOiや、ソレノイド部材SLを制御している。すなわち、シリアル出力ポートS0は、演出モータMOiやソレノイド部材SLの駆動データを含んだ駆動データSDATA0を、クロック信号CK0に同期して出力している。駆動データSDATA0を受けるモータ駆動基板37の構成や、モータドライバDVの動作は、先に説明した通りである。
【0091】
図5に示すモータ駆動基板37の構成に対応して、シリアルポートS0は、演出制御CPU55の制御に基づいて、クロック信号CK0に同期して、駆動データSDATA0を出力しており、また、全ての駆動データSDATA0の伝送終了後、パラレル出力ポートPoは、演出制御CPU55の制御に基づいて、LATCH信号を出力している。その結果、演出可動体AMUの一部を構成する演出モータMOiや、ソレノイド部材は、新規の駆動データに基づいて動作をする。
【0092】
なお、電源投入時や、モータ演出の終了時、パラレル出力ポートPoは、演出制御CPU55の制御に基づいて、モータドライバDVに対してリセット信号RESETを出力することで、全ての駆動出力端子を一斉にクリアしている。その結果、演出モータMOiは停止状態となる。
【0093】
次に、シリアル入力ポートS1は、外部からシリアル信号SDATA1を受けてパラレル変換する受信シフトレジスタSR’と、受信シフトレジスタSR’から1バイトデータの転送を受ける受信データレジスタDR’と、演出制御CPU55から1バイトデータを受ける送信データレジスタDRと、シリアルポートの内部動作状態を管理する多数の制御レジスタRGと、カウンタ回路CTの出力パルスΦを受けて制御レジスタRGが指定する分周比のクロック信号CK1を出力するボーレートジェネレータBGと、を有して構成されている。
【0094】
シリアル入力ポートS1の制御レジスタRGには、受信データレジスタDR’に1バイト長のデータが転送されたことを示す完了ビットFULLも含まれており、演出制御CPU55は、完了ビットFULLがHレベル(完了レベル)であることを確認した上で、受信データレジスタDR’から受信データを取得することになる。
【0095】
また、シリアルポートS1の制御レジスタRGには、受信許可ビットRXEを含んだWRITE可能な制御レジスタが含まれている。そして、演出制御CPU55が受信許可ビットRXEをON(H)レベルに設定すると、シリアル入力ポートS1の受信動作が許可され、OFFレベルに設定すると受信動作が禁止される。そこで、本実施例では、演出制御CPU55は、受信処理の開始時に受信許可ビットRXEをON状態にセットし、受信処理の終了時に受信許可ビットRXEをOFFレベルにリセットしている(図6(d)参照)。
【0096】
図6(d)は、シリアル入力ポートS1について、データ受信動作を示すタイムチャートである。図示の場合、便宜上、受信データは全体で2バイト長であるが、受信データは適宜な必要バイト長となる。そして、シリアル入力ポートS1が受信禁止状態(RXE=L)である場合や、必要バイト長の受信処理を終えた後は、クロック信号CK1が固定状態のHレベルである。また、完了ビットFULLもLレベル(empty レベル)である。
【0097】
そして、演出制御CPU55が受信許可ビットRXEをON状態にセットした後、送信データレジスタDRに1バイト目のダミーデータを書込むと、クロック信号CK1の出力が開始される。
【0098】
図6(b)に関して説明した通り、PS変換回路CV2〜CV0では、取得信号LOAD=Hの場合には、クロック信号CK1の立下りエッジ(シフトクロックCKの立上りエッジ)に同期して、シリアル信号DATA1を出力する。そこで、シリアル入力ポートS1は、このPS変換回路CV2〜CV0のシフト動作に対応して、自らが出力したクロック信号CK1の立上りエッジに同期して、シリアル信号SDATA1を、1ビット毎に受信シフトレジスタSR’に取得する。
【0099】
このようにして、クロック信号CK1に同期して受信シフトレジスタSR’に取得されたデータが8ビットに達すると、この8ビットの取得データが、受信シフトレジスタSR’から受信データレジスタDR’に転送されると共に、完了ビットFULLがHレベル(完了レベル)にセットされる。そこで、演出制御CPU55は、Hレベルの完了ビットFULLを確認した上で、受信データレジスタDR’から1バイト目の受信データを適宜な一時記憶領域に取得することになる。
【0100】
すると、この演出制御CPU55の取得動作に対応して、完了ビットFULLがHレベルからLレベル(empty レベル)に戻るので、演出制御CPU55は、必要があれば、完了ビットFULLが、再度、Hレベルになるのを待ち、2バイト目の受信データを一時記憶領域に取得することになる。
【0101】
クロック信号CK1は、予め設定されたデータバイト数(この実施例は最高3バイト)の受信動作を終えるか、受信許可ビットRXEがOFFレベルに設定されることで、定常レベル(H)に戻るので、余分のデータがシリアル伝送されることはない。
【0102】
なお、一連のシリアル受信動作に先行して、パラレル出力ポートPoが、演出制御CPU55の制御に基づいて、負論理のラッチパルス(取得信号LOAD)を出力するのは、図6(b)に示す通りである。
【0103】
続いて、図7図11に基づいて、ボタンの種類やボタン演出を多様化しても、プログラムの可読性が損なわれず、機種変更に容易に対応可能な演出制御CPU55のプログラム構成について説明する。
【0104】
図7は、演出制御CPU55の主要動作を説明するフローチャートであり、CPUリセット後、無限ループ状に実行されるメイン処理(図7(a))と、制御コマンドCMDを取得する受信割込み処理(図7(b))と、1mS毎に起動されるタイマ割込み処理(図7(b))とを示している。
【0105】
先ず、1mSタイマ割込み処理(図7(b))から説明すると、タイマ割込み処理が起動されると、演出制御CPU55は、パラレル出力ポートPoからセンサ&スイッチ基板38に対して、取得信号LOADを出力し、その後、シリアルポートS1を機能させて、3×8ビットのクロック信号CK1をセンサ&スイッチ基板38に出力する(ST20)。
【0106】
その結果、演出ボタン11a,11bや、十字キー4や、原点センサその他のセンサからスイッチ信号が1ビット毎に伝送されるので、演出制御CPU55は、8ビット(1バイト)データ毎に、取得データを所定の一時記憶領域に保存する(ST20)。なお、取得データには、センサ信号と、演出ボタン11a,11bや十字キー4についてのスイッチ信号BT1〜BTnとが含まれている。
【0107】
次に、演出制御CPU55は、一時記憶領域に保存された各スイッチ信号BT1〜BTnから必要な情報を抽出して、作業領域WKbの該当領域に記憶する。作業領域WKbの構成は、例えば、図7(d)に示す通りであり、スイッチ信号BT1〜BTnの立上りエッジの記憶欄P_EDと、立下りエッジの記憶欄N_EDと、ON/OFF情報の記憶欄と、ON継続時間の記憶領域と、を有している。
【0108】
なお、各スイッチ信号BT1〜BTnについて、立上りエッジが検出されると、そのスイッチ信号BTiについて、記憶欄P_EDが1となり、立下りエッジが検出されると、記憶欄N_EDが1となるようプログラム処理される。また、ON/OFF情報は、1/0として記憶欄に記憶され、ON継続時間は、0〜65535までの数値で記憶される。
【0109】
特に限定されないが、本実施例では、ON継続時間の記憶欄は、16ビット長のカウンタ変数TM1〜TMn(TMi)を兼ねており、スイッチ信号BTiがON状態であれば、カウンタ変数TMiがインクリメントされ、OFF状態となるとカウンタ変数TMiがゼロクリアされるようになっている。本実施例において、タイマ割込み周期は1mSであるので、如何なる長押し操作でも、65.5秒を超えない限り、カウンタ変数TMiによって、その継続時間を検出できることになる。
【0110】
続いて、メイン処理(図7(a))について説明する。演出制御CPU55がリセットされると、演出制御CPU55は、各種の演出制御動作に関連して、適宜な初期処理を実行する(ST1)。実行される初期処理には、音声演出について音声プロセッサ27の初期設定や、画像演出についてVDP回路52の初期設定が含まれる。また、音声演出の音量を規定するボリューム変数VLを、標準値に設定する初期動作も含まれている。本実施例では、ボリューム変数VLは、音声演出用の作業領域WKeに確保されている(図8(b)参照)。
【0111】
特に限定されないが、本実施例では、遊技者が十字キー4を操作することで、何時でも、音声演出の再生音量を増減変更できる構成を採っている。そこで、十字キー4の操作を定常的に許可するべく、ボタン操作を管理するボタン演出フラグ領域FLG(図9(c)参照)の動作状態欄を、初期処理において「常ON」に設定する。
【0112】
先に説明した通り、十字キー4の右ボタンや上ボタンの押下に対応して、スピーカの再生音量を増加させる必要があるが、音量バーの増加を含んだ演出動作を実現するボタン演出IDが、図9(c)の一行目のVL_01である。そのため、ステップST1の初期処理では、ボタン演出フラグ領域FLG(図9(c))のボタン演出VL_01に対応する動作状態欄が、「常ON」状態に初期設定される。
【0113】
また、十字キー4の左ボタンや下ボタンの押下に対応して、スピーカの再生音量を減少させる必要があるが、音量バーの減少を含んだ演出動作を実現する演出IDがVL_02である。そのため、ステップST1の初期処理では、ボタン演出フラグ領域FLG(図9(c))のVL_02に対応する動作状態欄が、「常ON」状態に初期設定される。なお、VL_01やVL_02の演出動作では、演出動作が許容される開始時STや終了時ED、及び現在時刻NWが問題にならないので、図9(c)には「*」と記載している。
【0114】
このような初期処理が終わると、次に、画像演出、音声演出、ランプ演出、役物演出(モータ演出)、及び、ボタン演出について、各演出シナリオの解析処理が実行される(ST2)。演出シナリオの解析処理では、一連の変動演出の開始時には、これから開始すべき演出シナリオを特定し、その後は、特定された演出シナリオに基づいて、変動演出を進行させることになる。
【0115】
なお、主制御部21は、図柄始動口15への遊技球の入賞に対応して抽選処理を実行すると、その抽選結果を特定した制御コマンドCMD(変動パターンコマンド)を演出制御部23に伝送するので、演出制御CPU55は、受信割込み処理(図7(b))で取得した制御コマンドCMDに基づいて適宜な演出抽選を実行して、一連の変動演出の演出シナリオを決定する。
【0116】
一連の変動演出を特定する演出シナリオは、演出抽選により決定されるメインシナリオと、メインシナリオが特定する多数のサブシナリオとで構成されている。そして、各サブシナリオは、画像演出と、ランプ演出と、音声演出と、役物演出の何れかを特定しており、サブシナリオ開始時において、初期値が0で、1/30秒毎にインクリメントされる変数(現在時刻NW)で管理され実行されている。ここで、1/30秒は、画像演出を実現する画像フレームの更新周期であるので(ST8)、現在時刻NWは、当該サブシナリオの開始から現在までに、表示装置DISPに出力された画像フレーム数を意味する。
【0117】
なお、サブシナリオに対応して、図9(b)に示すようなボタン演出シナリオSERが、従属的に存在することがある。ここで、ボタン演出シナリオSERが存在する場合とは、サブシナリオの進行途中で、演出ボタン11aや、演出ボタン11bの押下が許容されるボタンチャンス状態が存在することを意味する。
【0118】
図9(b)に示す通り、ボタン演出シナリオSERは、そのボタン演出の開始時STと、終了時EDと、ボタン操作に基づいて実行されるボタン演出のボタン演出IDと、で構成されている。なお、開始時STや終了時EDは、このボタン演出を許容するサブシナリオの開始時刻からの経過時間(現在時刻NW)を意味し、現在時刻NWが、開始時STから終了時EDの範囲内にある場合(ST≦NW≦ED)には、ボタン演出IDで特定される所定のボタン操作が許容されることになる。
【0119】
したがって、図9(b)の例では、所定のサブシナリオ開始時(ST=0)から89/30秒間(ED=89)は、ボタン演出SR17_01が許容され、その後、100≦現在時刻NW<200の間(100/30秒間)は、ボタン演出SR17_02が許容され、更にその後、250≦現在時刻NW<500の間(250/30秒間)は、ボタン演出SR17_03が許容されることになる。なお、これらのボタンチャンス状態を活かすか否かは、遊技者の自由であり、何もしないことも許容される。
【0120】
図9(a)は、演出シナリオの解析処理(ST2)のうち、ボタンシナリオ解析処理を説明するフローチャートである。ボタンシナリオ解析処理(ST31〜ST34)では、ボタン演出の実行を統括的に管理するボタン演出フラグ領域FLGに、適宜な値が設定される。
【0121】
図9(c)は、ボタン演出フラグ領域FLGを例示したものであり、動作状態の記憶欄と、開始時STの記憶欄と、終了時EDの記憶欄と、現在時刻NWの記憶欄とが設けられている。ここで、動作状態が「ON」とはは、そのボタン演出が許容されていること、つまり、ボタン演出の実行中であることを意味する。
【0122】
以上を踏まえて、以下、ボタンシナリオ解析処理を説明する。先に説明した通り、全てのサブシナリオは、その開始時からインクリメント更新される現在時刻NWで管理されている(ST30)。
【0123】
したがって、ボタンシナリオ解析処理では、最初に、実行中のサブシナリオに従属するボタン演出シナリオSERが存在するか否かを検索する(ST31)。そして、ボタン演出シナリオSERが存在しない場合には、そのまま処理を終えるが(ST32)、ボタン演出シナリオSERが存在する場合には、現在時刻NWと、ボタン演出シナリオSERに記載されている開始時ST及び終了時EDとを比較する(ST33)。
【0124】
この比較判定において、NW=EDである場合、すなわち、ボタン演出の開始タイミングに達したと判定される場合には、演出フラグ領域FLGにおけるボタン演出IDで特定される該当欄に、ボタン演出シナリオSERに規定されている開始時STと終了時EDとをコピーし、また、動作状態をON状態に設定すると共に、現在時刻NWを現在時刻欄に記入する(ST34)。
【0125】
例えば、図9(b)に示すボタン演出シナリオが選択されている場合であれば、現在時刻NW=0のタイミングで、ボタン演出SR17_01に対応する動作状態欄が「ON」に設定され、開始時STが「0」、終了時EDが「89」、現在時刻NWが「0」に設定される。
【0126】
その後は、現在時刻NWが終了時EDに一致するまで、ボタン演出フラグ領域FLGにおけるボタン演出IDで特定される現在時刻欄に、1/30秒毎にステップST30の処理で更新される現在時刻NWを記入する(ST34)。
【0127】
このようなボタンシナリオ解析処理が、1/30秒毎に繰り返され、現在時刻NWが終了時EDに一致すると、ボタン演出IDに対応する動作状態欄が「ON」状態から「OFF」状態に戻される(ST34)。
【0128】
図9(d)には、現在時刻NW=89のタイミングで、ボタン演出SR17_01の動作状態が「OFF」になったことが示されている。図10に関して後述するように、例えば、ボタン操作が一回だけ許容されるボタン演出の場合、ボタン演出フラグ領域FLGの動作状態欄は、現在時刻NWがST≦NW≦EDの期間において、遊技者が規定のボタン操作をすれば、図10に示すボタン演出処理においてOFF状態に設定されるようになっている。
【0129】
したがって、図9(d)に記載のボタン演出SR17_01の該当行のように、現在時刻NWが終了時EDに一致している状態で、動作状態欄が「OFF」になっているのは、ボタン操作可能な期間中に、遊技者が必要なボタン操作をしなかったことを意味する。
【0130】
なお、図9(d)は、現在時刻NW=100におけるボタン演出フラグ領域FLGを示しており、ボタン演出SR17_02の開始に対応して、動作状態欄が「ON」に設定され、開始時STが「100」、終了時EDが「200」、現在時刻NWが「200」に設定されている。
【0131】
以上のようなボタンシナリオ解析処理を含むシナリオ解析処理(ST2)が終わると、次に、ボタン演出制御処理(ST3)が実行される。ボタン演出処理(ST3)は、詳細には、図10に示す通りであり、ボタン演出フラグ領域FLGの動作状態欄を参照して、一連の処理(ST40〜ST49)が実行される。
【0132】
以下、具体的に説明すると、演出制御CPU55は、ボタン演出フラグ領域FLGの動作状態欄を順番に参照するが、ボタン演出VL_01やVL_02のように、動作状態欄が常ON状態の場合には、ステップST42の処理をスキップして、ステップST43の処理に移行する(ST41)。
【0133】
一方、ボタン演出フラグ領域FLGにおいて、動作状態欄がON状態のボタン演出が検出されると、現在時刻NWが、終了時EDの記憶欄の時刻に一致するか否かが次に判定される(ST42)。
【0134】
そして、もし、現在時刻NWが終了時EDに一致すれば、ボタン操作が一回だけ可能なボタンチャンス状態において、遊技者が有効なボタン操作をしなかったか、或いは、連打が可能なボタンチャンス状態が終わったことを意味するので、動作状態欄をON状態からOFF状態に戻す(ST48)。図10(c)は、この状態を示しており、現在時刻NW=89のタイミングで、ボタン演出SR17_01の動作状態欄がOFF状態に戻ったことを示している。
【0135】
一方、ステップST42の判定において、動作状態欄がON状態のボタン演出において、現在時刻NWが終了時EDに至っていない場合には、ボタン演出IDに基づいて、図11に示すボタンデータテーブルTBLを検索し、操作が許容されるボタン種別と、そのボタンの押下条件を特定する(ST43)。
【0136】
図11は、ボタンデータテーブルTBLを例示したものであり、ボタン演出IDと、ボタン演出を実現するボタン処理関数の引数(4個)と、ボタン処理関数を特定する関数ポインタと、そのボタンのボタン操作の押下条件とが特定されている。
【0137】
特に限定されないが、ボタン処理関数の引数(4個)は、ボタン操作に起因して実行される実体演出を特定しており、第1引数〜第4引数は、各々、音声に関する実体演出、画像が機能する実体演出、ランプ点滅が機能する実体演出、及び、役物が機能する実体演出を特定している。
【0138】
例えば、図11の中欄に記載のボタン演出(_CNTNTS_BTN_AT01_03 )の場合には、音声演出とランプ演出が実行されるが、画像演出や役物演出は実行されないことになる。以下に説明するように、ボタン演出は、関数ポインタ(BTN_Func_AT01_03)で特定されるボタン処理関数によって実行されるが、ボタン演出ID(_CNTNTS_BTN_AT01_03 )で特定される「ボタン操作の押下条件」が成立する毎に、例えば、「ドン」との音声が発生し、ランプが点滅する実体演出が、各々、第1引数(0xD430)と第3引数(0xD438)で特定されることになる。
【0139】
ここで、ボタン操作の押下条件には、そのボタン演出が、(1)ONエッジに反応して開始されるか、(2)OFFエッジに反応した開始されるか、(3)ON状態の継続(長押し)に反応して開始されるか、などが特定されている。また、(4)ON又はOFFエッジを検出すると1回だけ許容されるボタン演出か、(5)いわゆるボタン連打であって、ON又はOFFエッジを検出する毎に許容されるボタン演出か、などが特定されている。
【0140】
そして、押下条件のOR論理やAND論理も規定されており、AND論理としては、ONエッジに反応して一度だけ許容されるONエッジ一発演出や、OFFエッジに反応して一度だけ許容されるOFFエッジ一発演出や、ONエッジに反応して何度でも許容されるONエッジ連打演出や、複数の演出ボタン11a,11bの同時押しや、複数の演出ボタン11a,11bの一連押しなどを例示することができる。例えば、図11の中欄に記載のボタン演出(_CNTNTS_BTN_AT01_03 )の場合は、演出ボタン11aの連打を規定しており、連打に対応して、そのONエッジ毎に、音声実体演出(0xD430)とランプ実体演出(0xD438)が実行されることになる。
【0141】
一方、OR論理としては、特定の複数のボタンの何れかについて、ONエッジ、OFFエッジ、又は長押しに応答する演出を例示することができる。本実施例では、十字キー4に対応する演出がOR論理で規定されており、右ボタンか上ボタンが押下される毎に、音量増加演出(_CNTNTS_BTN_VL_01 )が実行され、左ボタンか下ボタンが押下される毎に、音量減少演出(_CNTNTS_BTN_VL_02 )が実行される。
【0142】
これらの演出を実行するボタン処理関数は、図11の下2行に記載の関数ポインタ(BTN_Func_VL01_01, BTN_Func_VL01_02)によって特定されている。図示の通り、音量増加/減少演出(_CNTNTS_BTN_VL_01 /_CNTNTS_BTN_VL_02 )には、音声演出用の第1引数と、画像演出用の第2引数とが規定されており、第1引数(0xA000/0xA001)は、図8(b)のボリューム変数VLを増減させる動作を規定しており、第2引数(0xD000/0xD001)は、表示装置に出現させる音量バーの増減演出を特定している。
【0143】
以上、ボタンデータテーブルTBL(図11)について説明したので、図10に戻って、ステップST43以降の動作を説明する。演出制御CPU55は、ボタンデータテーブルTBLを参照して、動作ON状態のボタン演出について、ボタン種別と、その押下条件が特定されているので、次に、作業領域WKb(図7(b))を参照して、そのボタンについて、押下条件を満たす操作が認められるか否かを判定する(ST45)。
【0144】
押下条件は、例えば、十字キー4を含んだ一又は複数の演出ボタン11a,11bのON/OFFエッジの検出を意味するが、問題のボタンが押下条件を満たしている場合には、先ず、作業領域WKb(図7(b))から、押下条件を満たした情報を消去する(ST46)。これは、押下条件を満たす情報を残すと、1/30秒毎に繰り返される次回以降の処理において、同じボタン演出動作を繰り返してしまうからである。
【0145】
また、長押しを条件とするボタン操作についても、作業領域WKb(図7(b))のON時間がクリアされるので、連続的な長押し操作にも対応することができる。したがって、十字キー4の右ボタンを押し続けたような場合に、例えば、0.5秒毎に、図8(b)のボリューム変数VLを、例えば2とか3だけ増加することも可能となる。
【0146】
次に、演出制御CPU55は、ボタンデータテーブルTBLを参照して、第1引数〜第4引数を特定した状態で、関数ポインタで特定されるボタン関数を実行する(ST47)。ボタン関数は、例えば、図12のような処理を実行するが、一度だけ許容されるボタン操作に対応するボタン関数では、ボタン演出フラグ領域FLGの動作状態欄を、ON状態からOFF状態に書き直す(ST59)。
【0147】
これは、ボタン演出フラグ領域FLGの動作状態欄をOFF状態に戻すことで、1/30秒後の次回の処理において、同じボタン演出動作を繰り返さないためである。したがって、ボタン連打のように、次回以降も許容されるボタン操作に対応するボタン関数は、ボタン演出フラグ領域FLGの動作状態欄を書き換えることはなく、現在時刻NWが終了時EDに達した段階で、ステップST48の処理によってOFF状態とされる。
【0148】
なお、十字キーのように、ボタン演出フラグ領域FLGの動作状態欄が「常ON」の場合には、ステップST42の処理がスキップされるので(ST41)、永続的にボタン操作が可能となる。
【0149】
続いて、図12に基づいて、ボタン関数の一例について、その処理内容を説明する。図12は、図11の第1行(_CNTNTS_BTN )が選択される場合に実行されるボタン関数BTN_Func_SR17_01(mode1,mode2,mode3,mode4 )を示している。なお、mode1, mode2, mode3, mode4は、第1引数〜第4引数であり、このボタン関数では、音声演出と画像演出の引数だけが有意となっている(図11)。
【0150】
先に説明した通り、このボタン関数では、ボタン演出シナリオSER(図9(b)参照)に基づいて実行されるが、このタイミングでは、ボタン演出シナリオの起源となる親サブシナリオが実行中である。そこで、ボタン関数では、実行中のサブシナリオの演出について第1次判定を実行する(ST51)。判定内容は適宜であるが、例えば、実行中の変動演出が、大当り抽選について外れ状態を報知して終わる「ハズレ変動中」か、ハズレ変動から復活した「復活当たり変動中」か、大当り状態を報知して終わる「当り変動中」か、が判定される。
【0151】
そして、「復活当たり変動中」や「当り変動中」であると判定される場合には、それに対応した実体演出を実行するべく、図12のボタン関数BTN_Func_SR17_01では、音声演出を特定する第1引数と、画像演出を特定する第2引数とで特定される演出ID(mode1Hit,mode2Hit )を、各々、音声演出用の作業領域WKeと、画像演出用の作業領域WKeに設定する(ST57,ST58)。作業領域WKeは、図8に示す通りであり、各作業領域に記載された演出IDは、画像演出制御処理(ST4)や音声演出制御処理(ST7)において読み出されて、各演出IDに対応する演出が実行される。
【0152】
一方、現在が、「ハズレ変動中」の場合には、そのハズレ変動の種別に関する第2次判定を実行し(ST53)、判定結果に応じた実体演出をするべく、必要な演出IDを、音声演出用の作業領域WKeと、画像演出用の作業領域WKeに設定する(ST55,ST56)。
【0153】
本実施例では、ハズレ変動の種別が、遊技者にどの程度の期待感を与えているか、その演出の信頼度の高さなどに基づいて規定されており、図12のボタン関数BTN_Func_SR17_01では、mode1N1, mode2N1か、又はmode1N2, mode2N2の演出IDが、音声演出用の作業領域WKeと、画像演出用の作業領域WKeに設定される(ST55,ST56)。
【0154】
なお、ボタン関数BTN_Func_SR17_01は、ボタンチャンス状態で、有意なボタン操作に応答して、一回だけ実行されるので、最後に、ボタン演出フラグ領域FLGの動作状態をOFF状態にして処理を終える(ST50)。
【0155】
以上、図12に基づいてボタン関数の一例を説明したが、ボタン演出処理(ST3)では、ボタン演出フラグ領域FLGを順番に判定して、動作状態がON状態のボタン演出について、対応するボタン関数を実行して、必要な演出IDを、図8に示す作業領域WKeに設定する。なお、図8に示す通り、作業領域WKeは、画像演出用(図8(a))と、音声演出用(図8(b))と、役物演出用(図8(c))と、ランプ演出用(図8(d))と、に区分されており、対応する演出IDが該当領域に設定される。
【0156】
図8の動作状態では、画像演出IDと音声演出IDが、NULL領域まで各々複数個設定されており、役物演出IDとランプ演出IDが各一個設定されている。なお、先に説明した通り、音声演出用の作業領域WKeには、音声ボリュームVLも確保されている。
【0157】
そして、これらの演出IDは、図7に示す画像演出制御処理(ST4)、役物演出制御処理(ST5)、ランプ演出制御処理(ST6)、及び、音声演出制御処理(ST7)において実効化され、各演出IDに対応する演出(ボタン演出の実体演出)が開始され、開始された演出が所定時間だけ継続される。そして、演出を終えたタイミングで、作業領域WKeの演出IDが消去される。
【0158】
なお、先に説明した通り、ボタン演出の実体演出には、十字キー4が操作されたことを報知する「ピッ」との声出力と、音量バーの画像表示処理が含まれている。
【0159】
以上、ボタン演出について説明したが、画像演出制御処理(ST4)、役物演出制御処理(ST5)、ランプ演出制御処理(ST6)、及び、音声演出制御処理(ST7)において、各サブシナリオに基づいて、各種の演出動作が、適宜なタイミングで開始され所定時間だけ継続されて終了することは勿論である。各サブシナリオは、一連の変動動作(メインシナリオ)を構成する画像演出、役物演出、ランプ演出、及び音声演出の一部を特定している。
【0160】
また、音声演出制御処理(ST7)では、音声ボリュームVLに対応するボリーム設定値(動作パラメータ)が、音声プロセッサ27の音声制御レジスタRGに設定され、また、所定の音声演出の開始タイミングで、一連の音声演出を特定する動作パラメータが、音声プロセッサ27の音声レジスタに設定される。なお、一連の音声演出には、BGM音の演奏や、予告演出を構成する効果音の出力や、ピッなどの音量変更音の出力も含まれている。
【0161】
以上のような音声演出制御が終了すると、VDP回路からVブランク割込みを待って、ステップST2の処理に戻る。なお、表示装置DISPには、一フレームの画像フレームデータが1/60秒毎に出力されるが、本実施例では、同一の画像フレームデータを二連続で出力しており、ステップST2〜ST7の処理を、1/30秒毎に無限ループ状に繰り返している。
【0162】
以上説明した通り、本実施例では、音量ボリュームの変更を含んだ全てのボタン演出が、ボタンデータテーブルで特定されるので、ボタンの種類やボタン演出を多様化しても、プログラムの可読性が損なわれず、機種変更に容易に対応することができる。
【0163】
以上、本発明の実施例を詳細に説明したが、具体的な記載内容は特に本発明を限定せず、機器構成や、プログラム処理を適宜に変更できるのは勿論である。また、実施例では、弾球遊技機について説明したが、回胴遊技機を含む各種の遊技機に適用することができる。
【符号の説明】
【0164】
TBL 管理テーブル(ボタンデータテーブル)
ST43〜ST45 第1手段
ST47 第2手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12