特許第6827043号(P6827043)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6827043
(24)【登録日】2021年1月20日
(45)【発行日】2021年2月10日
(54)【発明の名称】ウェビング巻取装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 22/46 20060101AFI20210128BHJP
【FI】
   B60R22/46 142
【請求項の数】4
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2018-521761(P2018-521761)
(86)(22)【出願日】2017年6月7日
(86)【国際出願番号】JP2017021183
(87)【国際公開番号】WO2017213187
(87)【国際公開日】20171214
【審査請求日】2019年11月20日
(31)【優先権主張番号】特願2016-115674(P2016-115674)
(32)【優先日】2016年6月9日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】梁川 弥
(72)【発明者】
【氏名】大久保 真一
【審査官】 飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2016/047338(WO,A1)
【文献】 特開平11−255072(JP,A)
【文献】 特開2015−054651(JP,A)
【文献】 特開2016−088439(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/143090(WO,A1)
【文献】 独国特許出願公開第102013222903(DE,A1)
【文献】 独国特許出願公開第102013218691(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 22/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻取方向へ回転されることによってシートベルト装置のウェビングが巻取られ、前記ウェビングが引張られることによって巻取方向とは反対の引出方向への回転力が付与されるスプールと、
一側への回転によって前記スプールが巻取方向へ回転されると共に、前記スプールの引出方向への回転により他側へ回転される回転部材と、
車両緊急時に軸方向先端側へ移動されることによって前記回転部材に係合されて前記回転部材が一側へ回転されると共に、前記軸方向とは交差する方向へ変形可能な移動部材と、
内側に前記移動部材が配置され、一端が前記回転部材の側方で開口された筒状部材と、
前記筒状部材の一端面に形成され、前記筒状部材の一端から前記筒状部材の外部へ突出された前記移動部材において前記軸方向とは交差する方向へ前記筒状部材の内径寸法よりも太く膨張するように変形した部分が係合されて前記移動部材の軸方向基端側への移動を制限する制限部と、
を備えるウェビング巻取装置。
【請求項2】
記移動部材は前記筒状部材の他端側に供給された流体の圧力によって前記移動部材が前記軸方向先端側へ移動され、前記筒状部材の一端から外部へ移動されて前記回転部材に係合され、
前記回転部材は、前記移動部材に係合する係合部を有し、前記係合部は、前記移動部材の前記軸方向先端側への移動に伴う前記回転部材の回転によって前記移動部材との係合範囲が増減され、
前記制限部は、前記回転部材の前記係合部と前記移動部材との係合範囲が最大となる前記係合部の回転位置と前記筒状部材の一端との間に設けられる請求項1に記載のウェビング巻取装置。
【請求項3】
さらに案内部を備え、前記案内部は車両緊急時に移動された前記移動部材を案内し、前記案内部に、前記制限部よりも前記移動部材の軸方向先端側に前記移動部材の変形を許容する変形許容部が設けられている請求項1又は請求項2に記載のウェビング巻取装置。
【請求項4】
前記制限部は、前記案内部に設けられた請求項3記載のウェビング巻取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、移動部材が軸方向先端側へ移動されることによりスプールが巻取方向へ回転されるウェビング巻取装置に関する
【背景技術】
【0002】
車両緊急時に軸方向先端側へ移動された移動部材が回転部材に係合され、これによって、回転部材が回転されると、スプールが巻取方向へ回転されてウェビングがスプールに巻取られるウェビング巻取装置がある(一例として、米国特許出願公開第2015/0336538号明細書を参照)。
【0003】
この種のウェビング巻取装置では、移動部材が回転部材に係合された状態でスプールから巻取方向とは反対の引出方向への回転力が回転部材に伝わると、回転部材が移動部材を軸方向基端側へ移動させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、上記事実を考慮して、引出方向へのスプールの回転による移動部材の軸方向基端側への移動を効果的に制限できるウェビング巻取装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1態様のウェビング巻取装置は、巻取方向へ回転されることによってシートベルト装置のウェビングが巻取られ、前記ウェビングが引張られることによって巻取方向とは反対の引出方向への回転力が付与されるスプールと、一側への回転によって前記スプールが巻取方向へ回転されると共に、前記スプールの引出方向への回転により他側へ回転される回転部材と、車両緊急時に軸方向先端側へ移動されることによって前記回転部材に係合されて前記回転部材が一側へ回転されると共に、前記軸方向とは交差する方向へ変形可能な移動部材と、前前記移動部材の変形部分が係合されて前記移動部材の軸方向基端側への移動を制限する制限部と、を備えている。
【0006】
第1態様のウェビング巻取装置によれば、軸方向先端側へ移動された移動部材が、回転部材の係合部に押圧されて軸方向基端側へ戻ろうとした際には、移動部材が制限部に係合されることによって、移動部材の軸方向基端側への移動が制限される。これによって、移動部材が回転部材に係合された状態で、回転部材の他側への回転を抑制でき、スプールの引出方向への回転を抑制できる。
【0007】
本開示の第2態様のウェビング巻取装置は、さらに筒状部を備え、前記筒状部は内側に前記移動部材が配置されると共に一端が前記回転部材の側方で開口され、前記移動部材は他端側に供給された流体の圧力によって前記移動部材が前記軸方向先端側へ移動され、前記筒状部材の一端から外部へ移動されて前記回転部材に係合される。前記回転部材は、前記移動部材に係合する係合部を有し、前記係合部は、前記移動部材の前記軸方向先端側への移動に伴う前記回転部の回転によって前記移動部材との係合範囲が増減される。前記制限部は、前記回転部材の前記係合部と前記移動部材との係合範囲が最大となる前記係合部の回転位置と前記筒状部材の一端との間に設けられる。
【0008】
第2態様のウェビング巻取装置によれば、軸方向先端側へ移動された移動部材が、回転部材の係合部に押圧されて軸方向基端側へ戻ろうとした際には、移動部材が制限部に係合されることによって、移動部材の軸方向基端側への移動が制限される。これによって、移動部材が回転部材に係合された状態で、回転部材の他側への回転を抑制でき、スプールの引出方向への回転を抑制できる。
【0009】
ここで、第2態様のウェビング巻取装置では、制限部は、回転部材の係合部と移動部材との係合範囲が最大となる係合部の回転位置と筒状部材の一端との間に設けられる。これによって、回転部材に押圧されて軸方向基端側へ戻ろうとした移動部材の変形部分を、制限部に効果的に係合できる。
【0010】
本開示の第3態様のウェビング巻取装置は、第1態様又は第2態様に記載のウェビング巻取装置において、さらに案内部を備え、前記案内部は車両緊急時に移動された前記移動部材を案内し、前記案内部に、前記制限部よりも前記移動部材の軸方向先端側に前記移動部材の変形を許容する変形許容部が設けられている。
【0011】
第3態様のウェビング巻取装置によれば、移動部材は、車両緊急時に案内部に案内されて移動される。ここで、案内部における制限部よりも移動部材の軸方向先端側には、変形許容部が設けられており、回転部材から荷重を受けることによって軸方向とは交差する方向へ変形された移動部材は、案内部の変形許容部で変形できる。変形された移動部材の変形部分が制限部に係合されることによって、移動部材の軸方向基端側への移動を制限できる。
【0012】
本開示の第4態様のウェビング巻取装置は、第3態様に記載のウェビング巻取装置において、前記制限部は、前記案内部に設けられている。
【0013】
第4態様のウェビング巻取装置では、移動部材が案内される案内部に制限部が設けられる。このため、移動部材の軸方向基端側への移動が制限部によって制限された際に制限部が移動部材から受ける力を案内部で支持できる。
【0014】
本開示の第5態様のウェビング巻取装置は、第2態様又は第3態様に記載のウェビング巻取装置において、前記制限部は、前記筒状部材の一端部に設けられている。
【0015】
第5態様のウェビング巻取装置では、制限部は、筒状部材の一端部に設けられるため、移動部材の軸方向基端側への移動が制限部によって制限された際に制限部が移動部材から受ける力を筒状部材で支持できる。
【0016】
本開示の第6態様のウェビング巻取装置は、第5態様のウェビング巻取装置において、前記制限部は、前記筒状部材の一端面とされ、前記移動部材は、前記筒状部材の一端面の外側で前記筒状部材の径方向外側へ変形可能とされている。
【0017】
第6態様のウェビング巻取装置では、移動部材は、筒状部材の一端面の外側で筒状部材の径方向外側へ変形可能とされる。このため、このように変形された移動部材は、制限部としての筒状部材の一端面の広い範囲で係合できる。これによって、移動部材の軸方向基端側への移動を制限部によって効果的に制限できる。
【発明の効果】
【0018】
以上、説明したように、本開示に係るウェビング巻取装置では、車両緊急時に軸方向先端側へ移動された移動部材において、引出方向へのスプールの回転による移動部材の軸方向基端側への移動を効果的に制限できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1の実施の形態に係るウェビング巻取装置の分解斜視図である。
図2】カバープレートの内側を示す斜視図である。
図3】カバープレート、シリンダ、移動部材、回転部材を車両前側から見た断面図である。
図4】移動部材の軸方向先端が回転部材の第2係合歯に当接された状態を示す図3に対応する断面図である。
図5】移動部材に回転部材の第1係合歯、第2係合歯が突刺さった状態を示す図4に対応する断面図である。
図6】移動部材の軸方向先端が第2リベットの移動制限部に当接された状態を示す図5に対応する断面図である。
図7】第1変形許容部及び第2変形許容部で移動部材が膨張された状態を示す図6に対応する断面図である。
図8】第2の実施の形態に係るウェビング巻取装置のシリンダの軸方向先端部及び移動部材の斜視図である。
図9】第3の実施の形態に係るウェビング巻取装置のシリンダの軸方向先端部の斜視図である。
図10】第4の実施の形態に係るウェビング巻取装置のシリンダの軸方向先端部の斜視図である。
図11】第5の実施の形態に係るウェビング巻取装置のシリンダの軸方向先端部及び移動部材の斜視図である。
図12】第6の実施の形態に係るウェビング巻取装置のシリンダの軸方向先端部及びその近傍部分の断面図である。
図13】第7の実施の形態に係るウェビング巻取装置のシリンダの軸方向先端部及びその近傍部分の断面図である。
図14】第8の実施の形態に係るウェビング巻取装置のシリンダの軸方向先端部及びその近傍部分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、図1から図14の各図に基づいて本発明の各実施の形態について説明する。なお、各図において矢印FRは、本ウェビング巻取装置10が適用された車両の前側を示し、矢印OUTは、車幅方向外側を示し、矢印UPは、車両上側を示す。また、以下の各実施の形態を説明するにあたり、説明している実施の形態よりも前出の実施の形態と基本的に同一の部位に関しては、同一の符号を付与してその詳細な説明を省略する。
【0021】
<第1の実施の形態の構成>
図1に示されるように、第1の実施の形態に係るウェビング巻取装置10は、フレーム12を備えている。フレーム12は、車体としてのセンターピラー(図示省略)の車両下側部分に固定されている。また、フレーム12は、脚板14、16を備えており、脚板14と脚板16とは、略車両前後方向に対向されている。
【0022】
また、本ウェビング巻取装置10は、スプール18を備えている。スプール18は、略円筒形状に形成されており、フレーム12の脚板14と脚板16との間に配置されている。スプール18の中心軸線方向は、脚板14と脚板16との対向方向(すなわち、略車両前後方向)に沿っており、スプール18は、中心軸線周りに回転可能とされている。
【0023】
スプール18には、長尺帯状のウェビング20の長手方向基端部が係止されており、スプール18が巻取方向(図1等の矢印A方向)へ回転されると、ウェビング20が長手方向基端側からスプール18に巻取られる。また、ウェビング20の長手方向先端側は、スプール18から車両上側へ延びており、ウェビング20の長手方向先端側は、フレーム12の車両上側でセンターピラーに支持されたスルーアンカ(図示省略)に形成されたスリット孔を通って車両下側へ折返されている。
【0024】
さらに、ウェビング20の長手方向先端部は、アンカプレート(図示省略)に係止されている。アンカプレートは、鉄等の金属板材によって形成されており、車両の床部(図示省略)又は本ウェビング巻取装置10に対応するシート(図示省略)の骨格部材等に固定されている。
【0025】
また、本ウェビング巻取装置10が適用された車両用のシートベルト装置は、バックル装置(図示省略)を備えている。バックル装置は、本ウェビング巻取装置10が適用されるシートの車幅方向内側に設けられている。シートに着座した乗員の身体にウェビング20が掛回された状態で、ウェビング20に設けられたタング(図示省略)がバックル装置に係合されることによって、ウェビング20が乗員の身体に装着される。
【0026】
一方、スプール18の車両後側には、軸部(図示省略)がスプール18に対する同軸上でスプール18に一体的に設けられており、この軸部は、フレーム12の脚板14に形成された孔(図示省略)を通ってフレーム12の車両後側へ延びている。
【0027】
また、図1に示されるように、フレーム12の脚板14の車両後側には、スプリングハウジング22が設けられている。スプリングハウジング22の内側には、ぜんまいばね等のスプール付勢手段(図示省略)が設けられている。スプール付勢手段は、上記の軸部を介してスプール18に直接又は間接的に係合され、スプール18は、スプール付勢手段の付勢力によって巻取方向(図1の矢印A方向)へ付勢されている。
【0028】
さらに、本ウェビング巻取装置10は、フォースリミッタ機構を構成するトーションバー24を備えている。トーションバー24は、略車両前後方向に長い棒状に形成されている。トーションバー24の車両後側部分は、スプール18の内側に配置され、スプール18に対する相対回転が制限された状態でスプール18に繋げられている。これに対して、トーションバー24の車両前側部分は、フレーム12の脚板16に形成された孔を通ってフレーム12の外側(車両前側)へ延びている。
【0029】
フレーム12の脚板16の車両前側には、プリテンショナ26の回転部材28が設けられている。回転部材28は、第1回転部30を備えている。回転部材28の第1回転部30は、スプール18に対する同軸上に配置されており、第1回転部30には、トーションバー24の車両前側部分が連結されている。このため、回転部材28は、トーションバー24の車両前側部分に対する相対回転が制限され、これによって、回転部材28は、トーションバー24を介して間接的にスプール18に対する相対回転が制限されている。
【0030】
また、回転部材28の第1回転部30は、第1フランジ32を備えている。第1フランジ32は、円板状とされており、第1フランジ32の車両前側には、係合部としての複数の第1係合歯34が配置されている。これらの第1係合歯34は、第1フランジ32の中心軸線周りに所定の間隔をおいて形成されており、第1係合歯34の車両後側端は、第1フランジ32に一体に繋がっている。第1係合歯34における回転部材28の回転周方向に沿った寸法は、回転部材28の径方向外側へ向けて短くされている。
【0031】
さらに、回転部材28の第1回転部30の車両前側には、第1回転部30と共に回転部材28を構成する第2回転部36が設けられている。第2回転部36は、第2フランジ38を備えている。第2フランジ38は、円板状とされており、第2フランジ38の車両後側には、係合部としての複数の第2係合歯40が配置されている。これらの第2係合歯40は、第2フランジ38の中心軸線周りに所定の間隔をおいて形成されている。第2回転部36の中心軸線周りに隣合う第2係合歯40の間隔は、上述した回転部材28の第1回転部30の中心軸線周りに隣合う第1係合歯34の間隔と同じにされている。
【0032】
また、第2回転部36の第2係合歯40の各々は、回転部材28の中心軸線方向に見て、第1回転部30の中心軸線周りに隣合う第1回転部30の第1係合歯34の間の略中央に配置される。この状態で、第2回転部36は、第1回転部30に連結され、第2回転部36は、第1回転部30に対する相対回転を含んだ第1回転部30に対する相対移動が制限されている。
【0033】
さらに、回転部材28の第2回転部36において第2フランジ38よりも車両前側部分は、ロック機構42のロックベース44とされている。ロックベース44は、パウルピン46を備えている。パウルピン46の軸方向は、車両前後方向とされており、パウルピン46の車両後側端部は、ロックベース44(すなわち、回転部材28)に支持されている。また、ロックベース44には、ロックパウル48が設けられている。ロックパウル48の基端部は、パウルピン46周りに回動可能にパウルピン46に支持されている。
【0034】
このロックベース44のロックパウル48に対応して、フレーム12の脚板16の車両前側には、ロック機構42及びプリテンショナ26の双方を構成する案内部としてのカバープレート50が固定されている。カバープレート50は、車両後側へ開口されており、カバープレート50の底板52は、フレーム12の脚板16から車両前側へ離れた状態で脚板16に対向されている。
【0035】
カバープレート50の底板52には、ラチェット孔54が形成されており、ラチェット孔54の内周部には、ラチェット歯が形成されている。ロックベース44のロックパウル48は、回動径方向にカバープレート50の底板52のラチェット孔54の内周部と対向されており、ロックパウル48がパウルピン46周りの一方へ回動されると、ロックパウル48の先端部がラチェット孔54の内周部へ接近され、ロックパウル48の先端部がラチェット孔54のラチェット歯に噛合う。これによって、ロックベース44の引出方向への回転が制限され、スプール18の引出方向への回転が間接的に制限される。
【0036】
また、カバープレート50の車両前側には、ロック機構42のセンサホルダ56が設けられている。センサホルダ56は、車両後側へ開口されており、直接又はカバープレート50を介して間接的にフレーム12の脚板16に固定されている。センサホルダ56の内側には、車両の緊急状態を検出するセンサ機構を構成する各部品が収容されており、車両緊急時にセンサホルダ56内のセンサ機構が作動されると、ロック機構42のロックベース44の引出方向へ回転に連動してロックパウル48がパウルピン46周りの一方へ回動される。
【0037】
一方、ウェビング巻取装置10は、プリテンショナ26を構成する筒状部材としてのシリンダ58を備えている。シリンダ58は、円筒形状に形成されており、シリンダ58の中心軸方向基端部はフレーム12の車両後上側に配置されている。シリンダ58の中心軸方向基端部には、流体圧力発生手段として荷重発生手段を構成するマイクロガスジェネレータ60が挿入されている。マイクロガスジェネレータ60は、制御部としてのECUを介して車両に設けられた衝突検知センサ(何れも図示省略)に電気的に接続されており、車両衝突時の衝撃が衝突検知センサによって検知されると、ECUによってマイクロガスジェネレータ60が作動され、発生された流体の一態様であるガスが、シリンダ58の内側へ供給される。
【0038】
プリテンショナ26のシリンダ58の内側には、ピストンとしてのシールボール62が配置されている。シールボール62は、合成樹脂材によって形成されており、シールボール62に荷重が付与されていない状態でのシールボール62の形状は、略球形状とされている。シリンダ58の内部空間は、シールボール62によってシールボール62よりも中心軸方向基端側とシールボール62よりも中心軸方向先端側とに仕切られている。マイクロガスジェネレータ60が作動され、発生されたガスが、シリンダ58に供給され、これによって、マイクロガスジェネレータ60とシールボール62との間で内圧が上昇されると、シールボール62は、シリンダ58の中心軸方向先端側へ移動されると共にシリンダ58の中心軸方向に圧縮されて変形される。
【0039】
また、シリンダ58の内側には、移動部材64が配置されている。移動部材64は、合成樹脂材によって円柱形状に形成されており、外力を受けることによって変形可能とされている。移動部材64は、シールボール62よりもシリンダ58の中心軸方向先端側に配置されており、シールボール62がシリンダ58の中心軸方向先端側へ移動されると、移動部材64は、シールボール62に押圧されてシリンダ58の中心軸方向先端側へ移動される。
【0040】
一方、シリンダ58は、中心軸方向中間部で曲がっており、シリンダ58の中心軸方向先端部は、フレーム12の脚板16の車両前上側に配置され、カバープレート50とフレーム12の脚板16とに挟まれて保持されている。シリンダ58の中心軸方向先端は、略車両下側で、車両下側に対して車幅方向外側へ傾斜した方向側へ開口されており、シリンダ58の中心軸方向先端部に到達した移動部材64が、シールボール62によって更に押圧されて移動されると、移動部材64は、シリンダ58の中心軸方向先端部から車両下側へ突出される。
【0041】
さらに、シリンダ58の中心軸方向先端面は、シリンダ58の中心軸方向に対して直交する平面とされ、シリンダ58の中心軸方向先端面とシリンダ58の中心軸方向先端部でのシリンダ58の内周面とは、互いに直交し、また、シリンダ58の中心軸方向先端面とシリンダ58の外周面とも、互いに直交している。
【0042】
カバープレート50の内側において、シリンダ58の中心軸方向先端よりも略車両下側で、車両下側に対して車幅方向外側へ傾斜した方向側が位置する部分は、第1変形許容部66とされている。図3に示されるように、第1変形許容部66では、シリンダ58の中心軸方向先端よりも略車両下側の空間が、シリンダ58の中心軸方向先端での外周縁よりもシリンダ58の中心軸直交方向外側へ広がっている。このため、シリンダ58の中心軸方向先端よりも車両下側へ突出された移動部材64は、移動部材64の軸直交方向外側へ膨張するように変形できる。
【0043】
ここで、本実施の形態では、シリンダ58の中心軸方向先端は、制限部としての第1制限部68とされている。シリンダ58の中心軸方向先端よりも車両下側へ突出された移動部材64が、第1変形許容部66で移動部材64の軸直交方向外側へ膨張されると、この移動部材64の膨張部分は、シリンダ58の先端部における中心軸方向に第1制限部68と対向される。このため、シリンダ58の中心軸方向先端よりも車両下側へ突出された移動部材64が、シリンダ58へ戻ろうとすると、移動部材64の軸直交方向外側へ膨張部分が、第1制限部68(シリンダ58の中心軸方向先端)へ当接される。
【0044】
さらに、カバープレート50の内側において第1変形許容部66よりも略車両下側には、上述した回転部材28が配置されている。シールボール62に押圧された移動部材64は、カバープレート50の第1変形許容部66よりも略車両下側へ移動されると、回転部材28の第1回転部30の第1フランジ32と第2回転部36の第2フランジ38との間に入り、第1回転部30の第1係合歯34又は第2回転部36の第2係合歯40に当接され、第1係合歯34又は第2係合歯40は、移動部材64によって車両下側へ押圧される。
【0045】
これによって、回転部材28は、巻取方向(図3等の矢印A方向)へ回転され、移動部材64は、シールボール62からの圧力によって更に車両下側へ移動される。このように、移動部材64が車両下側へ移動され、回転部材28が巻取方向へ回転されることによって、第1係合歯34及び第2係合歯40は、移動部材64に突刺さり、この状態で、移動部材64が更に車両下側へ移動されることにより、回転部材28は、更に巻取方向へ回転される。
【0046】
また、カバープレート50における第1変形許容部66よりも車両下側には、誘導部70が設けられている。誘導部70は、カバープレート50の壁部としての側壁72の車幅方向内側部分の一部とされており、図2及び図3に示されるように、誘導部70では、側壁72が、カバープレート50の内側で且つ車幅方向外側へ変形されている。図3に示されるように、誘導部70の車両下側部分における側壁72の内側面は、シリンダ58の中心軸方向先端部での内周面における車幅方向内側部分から下方延びる一点鎖線C上に配置されている。また、誘導部70の車両下側端部は、シリンダ58の先端部における中心軸方向に対して直交する方向で、回転部材28の回転中心から車幅方向内側へ延びる一点鎖線D上に配置されている。
【0047】
さらに、誘導部70の車両下側は、第2変形許容部74とされている。第2変形許容部74では、カバープレート50の側壁72の内側面が、誘導部70の内側面よりも車幅方向内側に配置されている。このため、第2変形許容部74において移動部材64は、車幅方向内側へ膨張できる。
【0048】
ここで、誘導部70の車両下側面は、第2制限部76とされている。第2制限部76は、シリンダ58の先端部における中心軸方向に対して直交する平面とされており、第2変形許容部74で移動部材64が車幅方向内側へ膨張されると、この移動部材64の膨張部分は、シリンダ58の中心軸方向に第2制限部76と対向される。このため、移動部材64が軸方向基端側へ移動しようとすると、膨張部分が第2制限部76へ当接される。
【0049】
また、カバープレート50の側壁72における第2変形許容部74よりも車両下側部分は、曲部78とされている。曲部78は、回転部材28の回転中心側を曲率中心として湾曲されている。曲部78は、巻取方向側へ向けて回転部材28の回転中心からの距離が大きくなっており、曲部78の巻取方向側端78Aでは、回転部材28の回転中心からの距離が、回転部材28における第1係合歯34及び第2係合歯40の歯先円の半径寸法と、移動部材64の直径寸法との和以上にされている。このため、移動部材64は、曲部78に倣って曲げられることによって、曲部78の巻取方向側端78Aでは、回転部材28の第1係合歯34又は第2係合歯40から離れることができる。
【0050】
ここで、シリンダ58の中心軸方向に対して直交し回転部材28の回転中心から車幅方向内側を通る一点鎖線Dに対して、回転部材28の回転中心と、曲部78の巻取方向側端78Aとを通過する一点鎖線Eが成す角度θは、180度未満に設定されており、特に、本実施の形態では、角度θが90度に設定されている。
【0051】
さらに、カバープレート50の側壁72における曲部78よりも車幅方向外側部分には、コーナ部としての第1コーナ部80が形成されており、側壁72における第1コーナ部80を挟んだ曲部78とは反対側は、第1コーナ部80から車両上側に対して車幅方向内側へ傾斜した方向へ延びている。このカバープレート50の側壁72において第1コーナ部80から車両上側へ延びた部分は、上記の一点鎖線Eから離れるように一点鎖線Eに対して傾いている。これに対して、カバープレート50の側壁72の第1コーナ部80は、カバープレート50の内側を曲率中心として曲がっており、第1コーナ部80の曲率半径は、カバープレート50の側壁72の曲部78の曲率半径よりも小さくされている。
【0052】
また、カバープレート50の側壁72における第1コーナ部80よりも車両上側部分には、コーナ部としての第2コーナ部82が形成されており、側壁72における第2コーナ部82を挟んだ第1コーナ部80とは反対側は、第2コーナ部82から車幅方向内側へ延びている。第2コーナ部82は、カバープレート50の内側を曲率中心として曲がっており、第2コーナ部82の曲率半径は、曲部78の曲率半径以下とされている。第2コーナ部82から車幅方向内側へ延びた部分は、シリンダ58の側方でシリンダ58に倣って曲がっている。
【0053】
このようなカバープレート50は、図1に示される複数の第1リベット84及び1つの第2リベット86によってフレーム12の脚板16に固定されている。カバープレート50の側壁72からはフランジ部88がカバープレート50の外側へ延出されており、第1リベット84は、カバープレート50側からカバープレート50のフランジ部88と、フレーム12の脚板16とを貫通した状態で第1リベット84の先端部(車両後側端部)がかしめられている。
【0054】
一方、第2リベット86は、シリンダ58の中心軸方向先端部の車幅方向外側で、回転部材28の車両上側に設けられている。第2リベット86は、カバープレート50側からカバープレート50の底板52と、フレーム12の脚板16とを貫通した状態で第2リベット86の先端部(車両後側端部)がかしめられている。第2リベット86の中間部は、移動制限部90とされており、移動部材64の軸方向先端が第2リベット86の移動制限部90に当接されることによって、移動部材64の軸方向先端側への移動が制限される。また、本実施の形態では、移動部材64の軸方向先端が第2リベット86の移動制限部90に当接された状態で、シリンダ58内に移動部材64の軸方向基端がシリンダ58の中心軸方向先端から抜けないように移動部材64の軸方向長さが設定されている。
【0055】
<第1の実施の形態の作用、効果>
次に、本実施の形態の作用並びに効果について説明する。
【0056】
本ウェビング巻取装置10では、車両緊急時の一態様である車両衝突時には、ロック機構42のセンサ機構が作動される。ロック機構42のセンサ機構の作動状態では、ロック機構42のロックベース44の引出方向(図1等の矢印B方向)へ回転に連動してロックベース44のロックパウル48がパウルピン46周りの一方へ回動される。これによって、ロックパウル48の先端部がカバープレート50の底板52のラチェット孔54の内周部へ接近され、ロックパウル48の先端部がラチェット孔54のラチェット歯に噛合い、ロックベース44の引出方向への回転が制限される。
【0057】
ロックベース44は、回転部材28の第2回転部36に形成されており、回転部材28の第1回転部30は、第2回転部36に対する相対回転が制限されていると共にトーションバー24の車両前側が繋がっている。第1回転部30及びスプール18は、何れもトーションバー24に対する相対回転が制限されているため、回転部材28の引出方向(図1等の矢印B方向)への回転が制限されることによって、スプール18の引出方向への回転が制限される。これによって、スプール18からのウェビング20の引出しが制限されるため、ウェビング20によって乗員の身体を拘束できる。
【0058】
また、ロックベース44の引出方向(図1等の矢印B方向)への回転が制限された状態で、乗員が車両前側へ慣性移動しようとすると、乗員の身体から引張力がウェビング20へ付与され、この引張力に基づく引出方向への回転力がスプール18を介してトーションバー24の車両後側部分に付与される。トーションバー24の車両後側部分に付与された引出方向への回転力がトーションバー24の機械的強度を上回ると、トーションバー24の車両後側部分が車両前側部分に対して引出方向へ回転するように捻り変形される。
【0059】
このトーションバー24の捻り変形分だけスプール18が引出方向(図1等の矢印B方向)へ回転され、このスプール18の引出方向への回転量に応じた長さのウェビング20がスプール18から引出される。このウェビング20のスプール18からの引出長さ分だけ乗員は車両前側へ慣性移動できると共に、乗員からウェビング20に付与された引張力の一部がトーションバー24の捻り変形に供されて吸収される。
【0060】
また、本ウェビング巻取装置10では、車両緊急時の一態様である車両衝突時に、ECUによってプリテンショナ26のマイクロガスジェネレータ60が作動されると、シリンダ58の内側へ高圧のガスが瞬時に供給される。このガスの圧力によってシールボール62がシリンダ58の中心軸方向先端側へ移動されると、移動部材64がシールボール62に押圧されてがシリンダ58の中心軸方向先端側へ移動される。
【0061】
移動部材64が軸方向先端側へ移動されることによって、移動部材64の軸方向先端部がシリンダ58の中心軸方向先端から車両下側(図3等の矢印F方向)へ抜け、更に、移動部材64の軸方向先端部における車幅方向内側部分が、カバープレート50の側壁72に設けられた誘導部70におけるカバープレート50の内側面に当接される。この状態で、移動部材64が更に軸方向先端側へ移動されると、図4に示されるように、移動部材64が回転部材28の第1フランジ32と第2フランジ38との間に入り、回転部材28の第1係合歯34又は第2係合歯40が移動部材64の軸方向先端によって車両下側(図4等の矢印F方向)へ押圧されると、回転部材28が巻取方向(図4等の矢印A方向)へ回転される。
【0062】
さらに、回転部材28の複数の第1係合歯34又は第2係合歯40のうち、移動部材64の軸方向先端に押圧された第1係合歯34又は第2係合歯40よりも引出方向側(図4等の矢印B方向側)の第1係合歯34又は第2係合歯40は、図5に示されるように、回転部材28の巻取方向への回転によって移動部材64の外周面から移動部材64の径方向中央側へ食込み又は突刺さる。
【0063】
このように、回転部材28の第1係合歯34又は第2係合歯40が食込み又は突刺さった移動部材64が車両下側(図5等の矢印F方向)へ移動されることによって、回転部材28が更に巻取方向(図5等の矢印A方向)へ回転される。回転部材28の巻取方向への回転は、トーションバー24を介してスプール18に伝わり、スプール18が巻取方向へ回転される。これによって、ウェビング20がスプール18に巻取られて、ウェビング20による乗員の拘束力が増加される。
【0064】
また、回転部材28の第1係合歯34又は第2係合歯40は、図3の一点鎖線Dの位置よりも車両上側で移動部材64に食込み又は突刺さる。この状態から、移動部材64の軸方向先端側への移動によって回転部材28が巻取方向(図3等の矢印A方向)へ回転されると、回転部材28の第1係合歯34又は第2係合歯40の移動部材64に対する食込み量又は突刺さり量(すなわち、移動部材64に対する回転部材28の第1係合歯34又は第2係合歯40の係合範囲)が増加される。
【0065】
回転部材28の第1係合歯34の先端又は第2係合歯40の先端が図3の一点鎖線D上に配置されると、第1係合歯34又は第2係合歯40の移動部材64に対する食込み量又は突刺さり量、すなわち、移動部材64に対する回転部材28の第1係合歯34又は第2係合歯40の係合範囲が最大となる。
【0066】
また、カバープレート50の誘導部70の車両下側端は、図3の一点鎖線Dよりも車両下側に配置される。誘導部70における図3の一点鎖線Dよりも車両下側部分では、回転部材28の回転中心から誘導部70におけるカバープレート50の内側面までの長さが、図3の一点鎖線D上での回転部材28の回転中心から誘導部70におけるカバープレート50の内側面までの長さよりも長くなる。
【0067】
これによって、移動部材64が、カバープレート50の誘導部70におけるカバープレート50の内側面に当接された状態で、移動部材64が更に軸方向先端側へ移動され、これによって、移動部材64が図3の一点鎖線Dの位置を通過すると、移動部材64は、回転部材28の回転中心から離間される。このため、回転部材28の第1係合歯34又は第2係合歯40の移動部材64に対する食込み量又は突刺さり量(すなわち、移動部材64に対する回転部材28の第1係合歯34又は第2係合歯40の係合範囲)が小さくなる(図6参照)。
【0068】
この状態から移動部材64が更に軸方向先端側へ移動されると、移動部材64は、回転部材28側を曲率中心として曲げ変形される。このようにして移動部材64は、軸方向先端側へ移動されることによって移動部材64の軸方向先端が第2リベット86の中間部の移動制限部90に当接され、移動部材64の軸方向先端側への移動が制限される。
【0069】
この状態で、乗員の身体が車両前側へ慣性移動され、これによって、回転部材28が引出方向(図6等の矢印B方向)へ回転されると、移動部材64において回転部材28の第1係合歯34又は第2係合歯40が食込み又は突刺さった部分は、第1係合歯34又は第2係合歯40から引出方向(図6等の矢印B方向)への回転力を受け、これによって、移動部材64において回転部材28の第1係合歯34又は第2係合歯40が食込み又は突刺さった部分よりも移動部材64の軸方向基端側部分は、軸方向に圧縮される。このような圧縮された移動部材64は、軸直交方向へ膨張しようとする。
【0070】
ここで、カバープレート50の第2変形許容部74では、カバープレート50の側壁72の内側面が、誘導部70でのカバープレート50の側壁72の内側面よりも車幅方向内側に配置され、これによって、上記のように圧縮された移動部材64は、第2変形許容部74の空間を埋めるように移動部材64の軸直交方向へ変形できる。このように、移動部材64において第2変形許容部74内へ膨張された部分は、シリンダ58の先端部における中心軸方向に第2制限部76と対向される。このため、移動部材64が軸方向基端側へ移動しようとすると、移動部材64の第2変形許容部74内への膨張部分が第2制限部76へ当接され、移動部材64の軸方向基端側への移動が制限される。
【0071】
また、カバープレート50内におけるシリンダ58の中心軸方向先端の車両下側は、第1変形許容部66とされているため、上記のように圧縮された移動部材64は、シリンダ58の中心軸方向先端の車両下側で軸直交方向へ膨張できる。このように、移動部材64において第1変形許容部66内で膨張された部分は、シリンダ58の中心軸方向先端である第1制限部68に対してシリンダ58の中心軸方向に対向される。このため、移動部材64が軸方向基端側へ移動しようとすると、移動部材64の第1変形許容部66内での膨張部分が第1制限部68へ当接され、移動部材64の軸方向基端側への移動が制限される。
【0072】
以上のように、移動部材64の軸方向基端側への移動が制限されることによって、回転部材28の引出方向(図6等の矢印B方向)への回転を制限でき、ロック機構42のロックパウル48の先端部がカバープレート50の底板52のラチェット孔54のラチェット歯に噛合って、ロックベース44の引出方向への回転が制限された状態と同様の状態にできる。このため、プリテンショナ26が作動されることによってスプール18の引出方向への回転を制限できる。これによって、スプール18からのウェビング20の引出しを制限でき、乗員の身体をウェビング20によって効果的に拘束できる。
【0073】
また、上記のように、回転部材28の引出方向への回転を制限できるため、乗員の身体からウェビング20に付与された引張力に基づいてスプール18を介してトーションバー24の車両後側部分に付与された引出方向(図1等の矢印B方向)への回転力がトーションバー24の機械的強度を上回ることによって、トーションバー24に捻り変形を生じさせることができる。
【0074】
さらに、プリテンショナ26の作動中に、回転部材28の回転力を上回る引張力でウェビング20が乗員の身体によって引張られた場合でも、上述した効果と同様の効果を得ることができる。
【0075】
また、第1制限部68は、シリンダ58の中心軸方向先端とされている。すなわち、第1制限部68は、回転部材28の第1係合歯34又は第2係合歯40の移動部材64に対する食込み量又は突刺さり量、すなわち、移動部材64に対する回転部材28の第1係合歯34又は第2係合歯40の係合範囲、が最大となる図3の一点鎖線Dの位置よりも移動部材64の軸方向基端側に配置される。回転部材28の第1係合歯34又は第2係合歯40の移動部材64に対する食込み量又は突刺さり量が最大となった状態では、移動部材64が第1係合歯34又は第2係合歯40から受ける引出方向(図9の矢印B方向)の回転力が最大になる。このような位置よりも軸方向基端側で移動部材64の軸方向基端側への移動がシリンダ58の第1制限部64によって制限されるため、移動部材64の軸方向基端側への移動を効果的に制限できる。
【0076】
さらに、シリンダ58の第1制限部68の車両下側の第1変形許容部66では、移動部材64が軸直交方向へ放射状に膨張できる。このため、第1制限部68では、シリンダ58の中心軸方向先端の全域で移動部材64の膨張部分が当接される。これによって、移動部材64の軸方向基端側への移動をシリンダ58の第1制限部64によって効果的に制限できる。
【0077】
また、回転部材28の第1係合歯34又は第2係合歯40の移動部材64に対する食込み量又は突刺さり量が最大になることで、回転部材28の引出方向(図9の矢印B方向)の回転で移動部材64が破断されても、この移動部材64の破断部位よりも軸方向基端側部分がシリンダ58の第1制限部64へ当接されるため、移動部材64の軸方向基端側への移動を制限できる。
【0078】
さらに、本実施の形態では、カバープレート50の側壁72の誘導部70の車両下側面が第2制限部76とされ、第2制限部76の車両下側の空間が第2変形許容部74とされている。ここで、誘導部70の車両下側端部は、シリンダ58の中心軸方向先端部における中心軸方向に対して直交し回転部材28の回転中心から車幅方向内側を通る一点鎖線D上に配置されている。この一点鎖線D上では、第1係合歯34又は第2係合歯40の移動部材64に対する食込み量又は突刺さり量(すなわち、移動部材64に対する回転部材28の第1係合歯34又は第2係合歯40の係合範囲)が最大となる。
【0079】
このため、第1係合歯34又は第2係合歯40が移動部材64に食込み又は突刺さった状態で、回転部材28に引出方向(図8等の矢印B方向)への回転力が付与された際の移動部材64の変形量は、一点鎖線Dの近傍で大きくなる。このため、カバープレート50の第2変形許容部74内で移動部材64を充分に変形させることができ、カバープレート50の第2制限部76に移動部材64を当接させて移動部材64の軸方向基端側への移動を効果的に制限できる。
【0080】
また、第2制限部76は、カバープレート50の誘導部70の車両下側面とされ、カバープレート50の側壁72が、カバープレート50の内側で且つ車幅方向外側へ変形されることによって形成される。このため、第2制限部76(すなわち、誘導部70)では、カバープレート50の側壁72の他の部分に比べて断面係数が大きくなる。これによって、第2制限部76(すなわち、誘導部70)では、カバープレート50の側壁72の機械的強度が他の部分に比べて高くなり、移動部材64の膨張部分が第2制限部76に当接されることによって、移動部材64の軸方向基端側への移動を効果的に制限できる。
【0081】
さらに、本実施の形態では、第1変形許容部66、第2変形許容部74、第2制限部76がカバープレート50によって構成されている。このため、第1変形許容部66、第2変形許容部74、第2制限部76を設けても部品点数の増加を抑制できる。さらに、本実施の形態では、第1制限部68がシリンダ58の中心軸方向先端とされている。このため、第1制限部68を設けても部品点数は増加しない。
【0082】
<第2の実施の形態>
図8に示されるように、第2の実施の形態では、筒状部材としてのシリンダ58の軸方向先端部の内径寸法及び外径寸法は、軸方向先端側へ向けて小さくされている。このため、軸方向先端側へ移動された移動部材64は、シリンダ58の軸方向先端部を通過する際に、軸直交方向内側へ圧縮されるように変形される。
【0083】
このように変形された移動部材64は、シリンダ58の軸方向先端の車両下側へ移動されることによって、軸直交方向外側へ膨張するように復元変形される。このように復元変形された移動部材64が、引出方向(図6等の矢印B方向)へ回転しようとする回転部材28の第1係合歯34又は第2係合歯40に押圧されて移動部材64が更に軸直交方向へ膨張されることによって、移動部材64と第1制限部68との対向範囲が大きくなる。これによって、軸方向基端側へ移動しようとする移動部材64を第1制限部68に効果的に当接させることができ、移動部材64の軸方向基端側への移動を効果的に制限できる。
【0084】
<第3、第4の実施の形態>
図9に示されるように、第3の実施の形態では、筒状部材としてのシリンダ58の中心軸方向先端部である第1制限部68は、シリンダ58の周方向に所定間隔毎にシリンダ68の軸方向基端側へ凹んでいる。一方、図10に示されるように、第4の実施の形態では、筒状部材としてのシリンダ58の軸方向先端部である制限部としての第1制限部68は、シリンダ58の中心を挟んだ2箇所でシリンダ58の中心軸方向基端側へ凹んでいる。
【0085】
このように、シリンダ58の中心軸方向先端の周方向一部が中心軸方向基端側へ凹んでいることにより、シリンダ58の中心軸方向先端である第1制限部68の面積が大きくなる。これによって、移動部材64(図9図10では図示省略)において軸直交方向へ変形された部分がシリンダ58の第1制限部68に当接されることによって、移動部材64の軸方向基端側への移動を効果的に制限できる。
【0086】
<第5の実施の形態>
図11に示されるように、第5の実施の形態では、筒状部材としてのシリンダ58の軸方向先端部の外径寸法は、軸方向先端側へ向けて小さくされており、シリンダ58の軸方向先端である制限部としての第1制限部68におけるシリンダ58の軸直交方向の寸法は、シリンダ58の肉厚よりも薄くされ、好ましくは、厚さがごく薄い刃状とされている。このため、移動部材64において軸直交方向外側へ膨張された部分がシリンダ58の第1制限部68に当接されると、第1制限部68は、移動部材64の膨張部分に食込み又は突刺さる。これによって、移動部材64の軸方向基端側への移動を効果的に制限できる。
【0087】
<第6の実施の形態>
図12に示されるように、第6の実施の形態では、案内部としてのカバープレート50の、壁部としての側壁72に変形部94が形成されている。変形部94は、制限部としての第1制限部68である筒状部材としてのシリンダ58の軸方向先端と、カバープレート50の側壁72に設けられた制限部としての第2制限部76との間に設けられており、変形部94では、カバープレート50の側壁72の一部が車幅方向外側へ変形されている。
【0088】
変形部94の車両下側端部は、移動部材64が軸方向先端側へ移動された際の第1制限部68と第2制限部76との間での移動軌跡上に配置されている。このため、移動部材64が第1制限部68と第2制限部76との間で軸方向先端側へ移動されると、移動部材64は、カバープレート50の側壁72の変形部分の車両下側端部に当接され、車幅方向外側へ凹むように変形される。
【0089】
さらに、変形部94の車両下側端は、制限部としての第3制限部96とされている。第3制限部96は、シリンダ58の中心軸方向先端部における中心軸方向に対して直交し回転部材28の回転中心から車幅方向内側を通る一点鎖線Dよりも車両上側に配置されている。
【0090】
すなわち、本実施の形態では、回転部材28の第1係合歯34又は第2係合歯40の移動部材64に対する食込み量又は突刺さり量、すなわち、移動部材64に対する第1係合歯34又は第2係合歯40の係合範囲、が最大となる第1係合歯34又は第2係合歯40の回転位置よりも車両上側で、第1制限部68よりも車両下側に第3制限部96が配置される。
【0091】
第3制限部96は、シリンダ58の中心軸方向先端部における中心軸方向に対して直交する平面とされており、カバープレート50の側壁72の変形部94によって変形された移動部材64が、変形部94の車両下側で復元変形されると、移動部材64における変形部94よりも車両下側部分がシリンダ58の中心軸方向に第3制限部96と対向される。
【0092】
このため、移動部材64が軸方向基端側へ移動しようとすると、移動部材64は、第1制限部68と第2制限部76との間で第3制限部96へ当接され、これによって、移動部材64の軸方向基端側への移動を更に効果的に制限できる。
【0093】
<第7の実施の形態>
図13に示されるように、第7の実施の形態では、回転部材28の第1係合歯34又は第2係合歯40の移動部材64に対する食込み量又は突刺さり量が最大となる第1係合歯34又は第2係合歯40の回転位置よりも車両上側で、第1制限部68よりも車両下側に第3制限部96が配置される。
【0094】
また、第3制限部96は、カバープレート50の側壁72に形成された変形部94の車両下側端部であり、第1制限部68である筒状部材としてのシリンダ58の軸方向先端と、第2制限部76との間における移動部材64の軸方向先端側への移動軌跡の外側に配置されている。
【0095】
また、カバープレート50の内側における第3制限部96の車両下側部分は、第3変形許容部98とされており、軸方向に圧縮された移動部材64は、第3変形許容部98の空間を埋めるように移動部材64の軸直交方向へ変形できる。
【0096】
本実施の形態では、引出方向(図14の矢印B方向)へ回転しようとする回転部材28の第1係合歯34又は第2係合歯40によって押圧されることによって圧縮された移動部材64は、第3変形許容部98の空間を埋めるように移動部材64の軸直交方向へ変形できる。このように、移動部材64において第3変形許容部98内へ膨張された部分は、シリンダ58の中心軸方向先端部における中心軸方向に第3制限部96と対向される。このため、移動部材64が軸方向基端側へ移動しようとすると、移動部材64の第3変形許容部98内への膨張部分が第3制限部96へ当接される。これによって、移動部材64の軸方向基端側への移動を更に効果的に制限できる。
【0097】
また、本実施の形態では、変形部94が移動部材64の移動軌跡の外側に設けられているため、移動部材64が軸方向先端側へ移動される際に移動部材64が変形部94から抵抗を受けることを抑制できる。これによって、移動部材64は円滑に軸方向先端側へ移動できる。
【0098】
<第8の実施の形態>
図14に示されるように、第8の実施の形態では、カバープレート50の側壁72に形成された制限部としての第2制限部76は、シリンダ58の中心軸方向先端部における中心軸方向に対して直交し回転部材28の回転中心から車幅方向内側を通る一点鎖線Dよりも車両上側に配置されている。
【0099】
すなわち、本実施の形態では、回転部材28の第1係合歯34又は第2係合歯40の移動部材64に対する食込み量又は突刺さり量が最大となる第1係合歯34又は第2係合歯40の回転位置よりも車両上側で、シリンダ58の中心軸方向先端である制限部としての第1制限部68よりも車両下側に第2制限部76が配置される。このような構成であっても、前記第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0100】
なお、各実施の形態では、第1変形許容部66及び第1制限部68と、第2変形許容部74及び第2制限部76とを備えた構成であった。しかしながら、第1変形許容部66及び第1制限部68だけを備える構成であってもよいし、第2変形許容部74及び第2制限部76だけを備える構成であってもよい。
【0101】
また、各実施の形態では、制限部としての第1制限部68は、筒状部材としてのシリンダ58の中心軸方向先端(筒状部材の一端面)とされ、制限部としての第2制限部76は、案内部としてのカバープレート50に設けられた構成であった。しかしながら、例えば、制限部は、フレーム12の脚板16等に設けられてもよいし、筒状部材又は案内部とは別に設けられてもよい。
【0102】
また、各実施の形態では、変形許容部としての第1変形許容部66及び第2変形許容部74が案内部としてのカバープレート50に設けられた構成であった。しかしながら、例えば、シリンダ58の中心軸方向先端をカバープレート50の外側に配置し、シリンダ58の中心軸方向先端とカバープレート50との間で移動部材64の軸直交方向への膨張が可能な構成とし、シリンダ58の中心軸方向先端とカバープレート50との間での移動部材64の軸直交方向への膨張部分がシリンダ58の中心軸方向先端に当接されることによって移動部材64の軸方向基端側への移動が制限される構成であってもよい。
【0103】
さらに、一部の実施の形態では、制限部としての第2制限部76及び変形許容部としての第2変形許容部74は、回転部材28の第1係合歯34又は第2係合歯40の移動部材64に対する食込み量又は突刺さり量が最大となる位置の近傍に設定された。しかしながら、制限部の設置位置、変形許容部の設置位置は、回転部材28の第1係合歯34又は第2係合歯40の移動部材64に対する食込み量又は突刺さり量が最大となる位置の近傍以外の部位に設定されてもよい。
【0104】
日本出願2016−115674の開示はその全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的にかつ個々に記載された場合と同様に、本明細書中に参照により取り込まれる。
図1
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図14