特許第6827053号(P6827053)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6827053カスタマイズ可能な刷版及びその製造方法
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  • 特許6827053-カスタマイズ可能な刷版及びその製造方法 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6827053
(24)【登録日】2021年1月20日
(45)【発行日】2021年2月10日
(54)【発明の名称】カスタマイズ可能な刷版及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/11 20060101AFI20210128BHJP
   G03F 7/00 20060101ALI20210128BHJP
   G03F 7/095 20060101ALI20210128BHJP
   B41C 1/00 20060101ALN20210128BHJP
【FI】
   G03F7/11 501
   G03F7/00 502
   G03F7/11 503
   G03F7/095
   !B41C1/00
【請求項の数】7
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2018-541409(P2018-541409)
(86)(22)【出願日】2017年2月2日
(65)【公表番号】特表2019-511002(P2019-511002A)
(43)【公表日】2019年4月18日
(86)【国際出願番号】US2017016208
(87)【国際公開番号】WO2017139168
(87)【国際公開日】20170817
【審査請求日】2018年9月14日
(31)【優先権主張番号】15/040,617
(32)【優先日】2016年2月10日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】506314391
【氏名又は名称】マクダーミッド グラフィックス ソリューションズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100107733
【弁理士】
【氏名又は名称】流 良広
(74)【代理人】
【識別番号】100115347
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 奈緒子
(72)【発明者】
【氏名】ライアン・ダブリュー・ベスト
【審査官】 高橋 純平
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−534345(JP,A)
【文献】 特表2015−509612(JP,A)
【文献】 特開平09−096907(JP,A)
【文献】 特表2015−506860(JP,A)
【文献】 特開平07−239550(JP,A)
【文献】 特開2004−170597(JP,A)
【文献】 特開2004−053678(JP,A)
【文献】 特開2005−103821(JP,A)
【文献】 特開2001−147520(JP,A)
【文献】 特開2001−215697(JP,A)
【文献】 特開2006−215545(JP,A)
【文献】 特表2009−517254(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0000384(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/00−7/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製造業者から供給された少なくとも1つの原料の光硬化性材料及び少なくとも1つのラミネーション層から、カスタムレリーフ像印刷要素を作製する方法であって、
前記製造業者が、原料の光硬化性材料のメニュー及びラミネーション層のメニューを提供し、前記顧客が、前記原料の光硬化性材料のメニューから少なくとも1つの原料の光硬化性材料を選択し、前記ラミネーション層のメニューから少なくとも1つのラミネーション層を選択し、
前記方法が、下記工程:
a)選択された前記少なくとも1つの原料の光硬化性材料及び選択された前記少なくとも1つのラミネーション層を顧客に提供する工程であって、前記顧客に提供された前記少なくとも1つの原料の光硬化性材料は、前記少なくとも1つの原料の光硬化性材料の第1の側に付着された第1の剥離可能なカバーシート、及び前記少なくとも1つの原料の光硬化性材料の第2の側に付着された第2の剥離可能なカバーシートを含む工程と;
b)前記顧客の立場で、前記少なくとも1つの原料の光硬化性材料の前記第1の側から前記第1の剥離可能なカバーシートを除去し、前記少なくとも1つの原料の光硬化性材料の前記第1の側に少なくとも1つのラミネーション層を積層し、前記少なくとも1つの原料の光硬化性材料の前記第2の側から前記第2の剥離可能なカバーシートを除去し、前記少なくとも1つの原料の光硬化性材料の前記第2の側に少なくとも1つのラミネーション層を積層する工程と;その後
c)前記顧客の立場で、前記光硬化性材料を化学線に像様に暴露し、前記少なくとも1つの原料の光硬化性材料の部分を架橋及び硬化し、その中にレリーフ像を作製する工程と、
を含み、
前記第1の剥離可能なカバーシートから除去された前記少なくとも1つの原料の光硬化性材料の前記第1の側に積層された前記少なくとも1つのラミネーション層が、1つ以上のバッキング層を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記原料の光硬化性材料のメニューが、種々の配合(formulation)及び種々の規格(gauges)を有する光硬化性材料を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ラミネーション層のメニューが、バッキング層、カバーシート、カバーフィルム、接着剤層、追加の原料の光硬化性層、キャップ層、圧縮性層、スリップフィルム、剥離層、マット層、レーザアブレーション可能な層、マスキング層、酸素バリア層、他の中間層、及び前述の組合せからなる群から選択されるラミネーション層を含む請求項1から2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
加のラミネーション層が前のラミネーション層の上部に積層され、前記光硬化性印刷ブランクを作製する請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記積層工程が、加熱可能な積層ローラとバッキングローラとの間に形成されるニップに、前記少なくとも1つの原料の光硬化性材料及び前記少なくとも1つのラミネーション層を導入することを含み、
前記積層工程が、前記少なくとも1つの原料の光硬化性材料の早期(premature)光硬化又は前記少なくとも1つのラミネーション層への損傷を引き起こさないプロセス条件下で行われる請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記積層された印刷ブランクを現像し、架橋されていないフォトポリマーを除去し、その中に前記レリーフ像を露呈する工程を更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項7】
製造業者から供給された少なくとも1つの原料の光硬化性材料及び少なくとも1つのラミネーション層から、カスタムレリーフ像印刷要素を作製する方法であって、
前記製造業者が、原料の光硬化性材料のメニュー及びラミネーション層のメニューを提供し、顧客が、前記原料の光硬化性材料のメニューから少なくとも1つの原料の光硬化性材料を選択し、前記ラミネーション層のメニューから少なくとも1つのラミネーション層を選択し、
前記方法が、下記工程:
a)選択された前記少なくとも1つの原料の光硬化性材料及び選択された前記少なくとも1つのラミネーション層を前記顧客に提供する工程であって、前記顧客に提供された前記少なくとも1つの原料の光硬化性材料は、前記少なくとも1つの原料の光硬化性材料の第1の側に付着された第1の剥離可能なカバーシート、及び前記少なくとも1つの原料の光硬化性材料の第2の側に付着された第2の剥離可能なカバーシートを含む工程と;
b)前記顧客の立場で、前記少なくとも1つの原料の光硬化性材料の前記第1の側から前記第1の剥離可能なカバーシートを除去し、前記少なくとも1つの原料の光硬化性材料の前記第1の側に少なくとも1つのラミネーション層を積層し、前記少なくとも1つの原料の光硬化性材料の前記第2の側から前記第2の剥離可能なカバーシートを除去し、前記少なくとも1つの原料の光硬化性材料の前記第2の側に少なくとも1つのラミネーション層を積層する工程と;その後
c)前記顧客の立場で、前記光硬化性材料を化学線に像様に暴露し、前記少なくとも1つの原料の光硬化性材料の部分を架橋及び硬化し、その中にレリーフ像を作製する工程と、
を含み、
前記第2の剥離可能なカバーシートの除去のときに、前記少なくとも1つの原料の光硬化性材料の前記第2の側に積層された前記少なくとも1つのラミネーション層が、1以上の追加の原料の光硬化性材料又はキャップ層を含み、
前記1以上の追加の原料の光硬化性材料又はキャップ層は、前記1以上の原料の光硬化性材料と同じ組成物のものであることができる、又は異なる組成物であることができることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、カスタマイズ可能なフレキソ刷版の製品及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フレキソ印刷は、一般的に大量印刷に使用される印刷方法である。フレキソ印刷は、紙、板紙材料、段ボール、フィルム、箔、及び積層品等の種々の基材に印刷されるために採用される。新聞及び買い物袋が主な例である。粗い表面や伸縮性フィルムは、フレキソ印刷によってのみ経済的に印刷することができる。フレキソ刷版は、開口領域の上方に隆起した画像要素を備えたレリーフ版である。一般に、版は、若干柔らかく、印刷シリンダに巻き付けるのに十分な可撓性を有し、百万部を超えて印刷するのに十分な耐久性がある。そのような版は、主にその耐久性、及びその作製容易性により、多くの利点をプリンタに提供する。
【0003】
フレキソ印刷では、刷版を経てインクのプールから基材へとインクが転写される。ゴムのスタンプがゴムの表面に印刷画像がレリーフで現れるように切り取られているのと同様に、版の表面は、印刷される画像がレリーフで現れるように成形されている。典型的に、版がシリンダに取り付けられ、刷版の隆起表面がインクのプールに接触し、インクで僅かに濡れ、次いでインクのプールから外れて基材に接触し、これによってインクを版の隆起表面から基材に転写して印刷された基材を形成するように、シリンダが高速で回転する。フレキソ印刷産業の関係者は、競争をより効率化するために、絶えずフレキソ印刷工程を改良する努力をしている。
【0004】
フレキソ刷版は、開口領域の上方に隆起した画像要素を備えたレリーフ版である。そのような版は、主にその耐久性、及びその作製容易性により、多くの利点をプリンタに提供する。製造業者により供給される一般的なフレキソ刷版は、順番に、バッキング層又は支持層、1つ以上の未露光光硬化性層、任意に保護層又はスリップフィルム、及び多くの場合保護カバーシートからなる多層物品である。
【0005】
バッキング層は、版を支持するものであり、紙、セルロースフィルム、プラスチック、又は金属等の透明又は不透明な材料から形成されることができる。好ましい材料としては、ポリエステル、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリアミドなどの合成高分子材料から作製されたシートが挙げられる。1つの広く使用される支持層は、ポリエチレンテレフタレートの可撓性フィルムである。
【0006】
フォトポリマー層は、既知のバインダー(オリゴマー)、モノマー、開始剤、反応性又は非反応性の希釈剤、フィラー、及び染料のいずれかを含むことができる。「光硬化性」又は「フォトポリマー」などの用語は、化学線に反応して重合、架橋、又は任意の他の硬化(curing)反応若しくは固化(hardening)反応を受ける組成物を指し、その結果として、材料の未露光部分を露光(硬化)部分から選択的に分離及び除去して、硬化材料の三次元パターン又はレリーフパターンを形成することができる。好ましいフォトポリマー材料は、エラストマー化合物(バインダー)、少なくとも1つの末端エチレン基を有するエチレン性不飽和化合物、及び光開始剤を含む。1を超える光硬化性層を用いてもよい。幾つかの好適な光硬化性材料の例は、それぞれの主題の全体が参照することにより本明細書中に援用される特許文献1〜特許文献15に記載されている。
【0007】
フォトポリマー材料は、一般に、少なくとも何らかの化学線波長域でのラジカル重合によって、架橋(硬化)及び固化する。本明細書中で用いられるように、化学線は、暴露部分に化学変化を生じさせることが可能な放射線である。化学線としては、例えば、特にUV域及び紫色波長域における増幅(例えば、レーザ)光及び非増幅光が挙げられる。
【0008】
スリップフィルムは、一般に、フォトポリマー上に配置され、埃からフォトポリマーを保護してその取扱容易性を高める薄層である。従来の(「アナログ」)製版工程においては、スリップフィルムは、UV光を透過する。プリンタが刷版ブランクからカバーシートを剥離してスリップフィルム層上にネガを配置する。次いで、版及びネガが、ネガを介してUV光によって大露光される。光に露光された領域が硬化又は固化し、未露光領域を除去して(現像して)、刷版にレリーフ像を形成する。版の取扱容易性を改善するために、スリップフィルムの代わりにマット層を用いてもよい。マット層は、一般的に、水性バインダー溶液中に懸濁された微粒子(シリカ又は類似物)を含む。マット層は、フォトポリマー層上にコーティングされ、次いで空気乾燥される。次いで、後続のUVによる光硬化性層の大露光のために、マット層上にネガを配置する。他の代替においては、ネガは、少なくとも1つの光硬化性層上に直接配置されることができる。
【0009】
「デジタル」即ち「直接刷版」製版工程においては、レーザは、電子データファイルに格納された画像によって導かれ、デジタル(即ち、レーザアブレーション可能な)マスキング層にその場(in situ)ネガを形成するために使用される。デジタルマスキング層は、一般的に放射線不透過材料を含むように改変されたスリップフィルムである。レーザアブレーション可能な層の部分は、選択されたレーザの波長及び出力で、レーザ放射線にマスキング層を暴露することによってアブレーションされる。レーザアブレーション可能な層の例としては、例えば、それぞれの主題の全体が参照することにより本明細書中に援用される特許文献16〜特許文献18に記載されている。その場ネガを作製する他の方法も知られている。
【0010】
画像形成後、感光性印刷要素を現像してフォトポリマー材料の層の未重合部分を除去し、硬化した感光性印刷要素中の架橋されたレリーフ像が露呈する。一般的な現像方法としては、様々な溶媒又は水での洗浄が挙げられ、多くの場合ブラシが用いられる。他の現像の選択肢としては、エアナイフの使用、又は熱とブロッタとの使用(即ち、熱現像)が挙げられる。得られる表面は、印刷される画像を再現するレリーフパターンを有する。レリーフパターンは、典型的に複数のドットを含み、ドットの形状及びレリーフの深度は、他の要因の中でも、特に印刷される画像の品質に影響を及ぼす。レリーフ像を現像した後、レリーフ像印刷要素を印刷機に取り付けて印刷を開始することができる。
【0011】
光硬化性樹脂組成物は、典型的には、化学線に暴露されるとラジカル重合によって硬化する。しかしながら、酸素がラジカルスカベンジャーとして機能するので、樹脂組成物中に典型的に溶解される分子状酸素によって、硬化反応が抑制されうる。このため、像様露光前に樹脂組成物から溶存酸素が除去されると、それによって光硬化性樹脂組成物をより迅速且つ均一に硬化されうる。
【0012】
例えば、主題の全体が参照することにより本明細書中に援用される特許文献19に記載されるように、感光性樹脂から溶存酸素を除去するために開発されてきた1つのプロセスは、積層された酸素バリア層の使用を含む。バリア膜をフレキソ版の上部に積層し、光硬化性層の覆われていない部分及びその場マスクを覆う。その場マスクを作製するために使用されたレーザアブレーションの後であるが、化学線への曝露の前に、膜は適用されることができる。
【0013】
効果的なバリア層は、一般に、光学的透明性、小さい厚み、及び酸素輸送阻害を示す。バリア膜層としての使用に好適な材料の例としては、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ヒドロキシアルキルセルロース、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体、両性共重合体(amphoteric interpolymers)、酢酸酪酸セルロース、アルキルセルロース、ブチラール(butryal)、環状ゴム、及びこれらの1つ以上の組合せ等の、従来はフレキソ印刷要素において剥離層として使用されていた材料が挙げられる。また、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、及び類似の透明フィルム等のフィルムも、バリアフィルムとして良好に機能することができる。
【0014】
アナログ印刷要素からレリーフ像印刷要素を製造する典型的なプロセスは、一般に、顧客が下記の工程:
a)基材層上に配置された1つ以上の光硬化性層と、前記1つ以上の光硬化性層上に配置されたスリップフィルム層と、保護カバーシートとを含む未露光印刷要素を製造業者から得る工程と;
b)前記未露光印刷要素から前記保護カバーシートを取り除き、前記スリップフィルム層の上部に写真ネガを適用する工程と;
c)任意に、前記写真ネガの前記上部に酸素バリア層を積層する工程と;
d)前記写真ネガを通して、前記1つ以上の光硬化性層を化学線に暴露し、前記1つ以上の光硬化性層の部分を選択的に架橋し、硬化し、前記少なくとも1つの光硬化性層が、前記ネガによってカバーされていない領域において、架橋及び硬化され、それによって所望のレリーフ像を作製する工程と;
e)前記少なくとも1つの光硬化性層の前記上部から、前記ネガ(及び使用した場合、前記酸素バリア膜)を除去する工程と;
f)印刷ブランクを現像し、前記光硬化性層の未硬化部分を除去し、所望のレリーフ像を露呈する工程と、
を行うことを含む。
【0015】
デジタル印刷要素からレリーフ像印刷要素を製造する典型的なプロセスは、一般に、顧客が下記の工程:
a)基材層上に配置された1つ以上の光硬化性層と、前記1つ以上の光硬化性層上に配置されたレーザアブレーション可能な層と、保護カバーシートとを含む未露光デジタル印刷要素を製造業者から得る工程と;
b)前記レーザアブレーション可能なマスク層を選択的にアブレーションすることによって、前記少なくとも1つの光硬化性層を画像化し、前記少なくとも1つの光硬化性層の表面に画像を作製する工程と;
c)任意に、レーザアブレーションされたマスク層の上部に、酸素バリア膜を積層する工程と;
d)前記印刷ブランクを前記酸素バリア膜と、レーザアブレーションされたマスク層(及び使用した場合、前記酸素バリア膜)とを通して化学線に暴露し、前記少なくとも1つの光硬化性層の部分を選択的に架橋及び硬化する1つ以上の化学線ソースに暴露して、前記少なくとも1つの光硬化性層は、前記マスク層によってカバーされていない部分において、架橋及び硬化され、それによって所望のレリーフパターンを作製する工程と;
e)前記レーザアブレーションされたマスク層の前記上部から前記酸素バリア膜(用いられる場合)を除去する工程と;
f)前記印刷ブランクを現像し、前記レーザアブレーションされたマスク層及び前記光硬化性層の未硬化部分を現像し、前記レリーフパターンを露呈する工程と、
を行うことを含む。
【0016】
いずれの場合も、顧客は、製造業者によって提供された印刷要素ブランクのメニューから、事前に設計された印刷要素ブランクを選択する必要がある。顧客は、印刷要素の特定の構成を制御していない。したがって、選択された印刷要素が、顧客の印刷要件に最適でないことがある。更に、製造業者はまた、顧客に提供するために、印刷要素構成の広範なメニューを保持しなければならない。これらの構成には、例えば、キャップ層を有する又は有さない、及び他の特殊な層を有する又は有さない種々の配合の光硬化性層を有するデジタル及びアナログ版構成が含まれうる。これは、多くの種々の製品のために、製造業者と顧客の両方の部分に追加の保管スペースが必要になる。更に、顧客が、特定のニーズに適しているかもしれない又は適していないかもしれない特定の刷版構成を選択する、試行錯誤を経なければならない場合には、それに関連する追加の費用及び関連する無駄もある。
【0017】
したがって、当技術分野において、顧客が、特定のニーズに一致した刷版を構成することを可能にし、製造業者がそのような構成のために様々な原材料を提供することを可能にするカスタムレリーフ像印刷ブランクを作製する方法を提供することが望ましいであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0456336A2号明細書(Goss等)
【特許文献2】欧州特許出願公開第0640878A1号明細書(Goss等)
【特許文献3】英国特許第1,366,769号明細書(Berrier等)
【特許文献4】米国特許第5,223,375号明細書(Berrier等)
【特許文献5】米国特許第3,867,153号明細書(MacLahan)
【特許文献6】米国特許第4,264,705号明細書(Allen)
【特許文献7】米国特許第4,323,636号明細書(Chen等)
【特許文献8】米国特許第4,323,637号明細書(Chen等)
【特許文献9】米国特許第4,369,246号明細書(Chen等)
【特許文献10】米国特許第4,423,135号明細書(Chen等)
【特許文献11】米国特許第3,265,765号明細書(Holden等)
【特許文献12】米国特許第4,320,188号明細書(Heinz等)
【特許文献13】米国特許第4,427,759号明細書(Gruetzmacher等)
【特許文献14】米国特許第4,622,088号明細書(Min)
【特許文献15】米国特許第5,135,827号明細書(Bohm等)
【特許文献16】米国特許第5,925,500号明細書(Yang)
【特許文献17】米国特許第5,262,275号明細書(Fan)
【特許文献18】米国特許第6,238,837号明細書(Fan)
【特許文献19】米国特許公開第2014.0004466(Vest等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明の目的は、刷版の顧客が、独自のニーズに応じて、刷版ブランクを構成することを可能にする原材料を提供することである。
【0020】
本発明の他の目的は、独自のニーズに応じて、刷版の顧客がデジタル又はアナログのレリーフ像刷版を構成することができる原材料を提供することである。
【0021】
本発明の更に他の目的は、顧客のより大きな柔軟性を可能にするビジネスを行う合理化された方法を提供することである。
【0022】
本発明の更に他の目的は、刷版製造業者と刷版顧客の両方に対してより大きな経済性を提供することである。
【0023】
そのためには、1つの実施形態においては、本発明は、一般に、製造業者から供給された少なくとも1つの原料の光硬化性材料及び少なくとも1つのラミネーション層から、カスタムレリーフ像印刷要素を作製する方法に関し、前記製造業者は、原料の光硬化性材料のメニュー及びラミネーション層のメニューを提供し、前記顧客は、前記原料の光硬化性材料のメニューから少なくとも1つの原料の光硬化性材料を選択し、前記ラミネーション層のメニューから少なくとも1つのラミネーション層を選択するものであって、
前記方法は、下記工程:
a)前記原料の光硬化性材料のメニューから少なくとも1つの原料の光硬化性材料、及び前記ラミネーション層のメニューから少なくとも1つのラミネーション層を選択する工程と;
b)顧客の立場で、選択された前記少なくとも1つの原料の光硬化性材料を選択された前記少なくとも1つのラミネーション層に積層し、光硬化性印刷ブランクを作製する工程と;その後
c)前記顧客の立場で、前記少なくとも1つの光硬化性印刷ブランクを化学線に像様に暴露し、前記少なくとも1つの光硬化性材料の部分を架橋及び硬化し、その中にレリーフ像を作製する工程と、
を含む。
【0024】
他の実施形態においては、本発明はまた、一般に、カスタム積層された光硬化性印刷ブランクを作製するための積層システムに関する。1つの実施形態においては、前記積層システムは、
a)加熱可能な積層ローラ及び第2のローラであって、前記加熱可能な積層ローラ及び前記第2のローラは、対向可能に装着され、積層される基材を受け取るためにその間にニップを形成し、前記基材は、その第1の表面に剥離可能なカバーシートを含む前記加熱可能な積層ローラ及び前記第2のローラと;
b)前記基材の前記第1の表面から前記剥離可能なカバーシートを剥離するための第1の剥離デバイスと;
c)前記加熱可能な積層ローラ及び第2のローラを回転するための駆動機構であって、前記加熱可能な積層ローラは、第1の方向に回転され、前記第2のローラは、反対方向に回転され、前記加熱可能な積層ローラと第2のローラとの間に形成された前記ニップを通って、前記基材を進める前記駆動機構と;
d)前記加熱可能な積層ローラと前記第2のローラとの間に形成された前記ニップにラミネーション膜を供給するための供給デバイスであって、前記供給デバイスは、前記ラミネーション膜が前記ニップに入る前に、前記ラミネーション膜の第1の表面からカバーシートを剥離するための第2の剥離デバイスを含み、前記ラミネーション膜の前記第1の表面は、前記基材が前記ニップを通って進む点において、前記基材の前記第1の表面に接触する供給デバイスと、
を含む。
【0025】
他の実施形態においては、本発明は、一般に、光硬化性印刷ブランクの様々な個々のコンポーネントを注文し、前記様々な個々のコンポーネントを含むカスタム積層された印刷ブランクを作製するメニューシステムにも関し、前記メニューシステムは、
a)1つ以上の原料の光硬化性材料のリストを含む第1のメニューと;
b)1つ以上のラミネーション層のリストを含む第2のメニューであって、前記1つ以上のラミネーション層は、前記1つ以上の原料の光硬化性材料に積層されることができ、積層された前記光硬化性印刷ブランクを作製する第2のメニューと、を含み、
顧客は、前記第1のメニューから1つ以上の原料の光硬化性材料を、前記第2のメニューから1つ以上のラミネーション層を選択し、その後、前記1つ以上の光硬化性材料及び1つ以上のラミネーション層を共に積層する又は接着し、カスタム積層された印刷ブランクを形成する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、本発明の1つの実施形態における積層システムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は、一般に、カスタム印刷ブランクから光硬化性印刷要素を作製する改良された方法に関する。
【0028】
1つの実施形態においては、本発明は、製造業者から供給された少なくとも1つの原料の光硬化性材料及び少なくとも1つのラミネーション層から、カスタムレリーフ像印刷要素を作製する方法に関し、前記製造業者は、原料の光硬化性材料のメニュー及びラミネーション層のメニューを提供し、前記顧客は、前記原料の光硬化性材料のメニューから少なくとも1つの原料の光硬化性材料を選択し、前記ラミネーション層のメニューから少なくとも1つのラミネーション層を選択するものであって、
前記方法は、下記工程:
a)前記原料の光硬化性材料のメニューから少なくとも1つの原料の光硬化性材料、及び前記ラミネーション層のメニューから少なくとも1つのラミネーション層を選択する工程と;
b)顧客の立場で、選択された前記少なくとも1つの原料の光硬化性材料を選択された前記少なくとも1つのラミネーション層に積層し、光硬化性印刷ブランクを作製する工程と;その後
c)前記顧客の立場で、前記少なくとも1つの光硬化性印刷ブランクを化学線に像様に暴露し、前記少なくとも1つの光硬化性材料の部分を架橋及び硬化し、その中にレリーフ像を作製する工程と、
を含む。
【0029】
本明細書中に記載されるように、本発明は、効率的な方法で、顧客が個々の刷版コンポーネントを選択し、完全にカスタマイズ可能な版を製造することを可能にする。
【0030】
特定のニーズに基づいて、顧客は、原料の光硬化性材料のメニューから原料の光硬化性材料を最初に選択する。更に、顧客は、メニューから原料の光硬化性材料の特定のサイズ及び厚みを選択することもできる。製造業者は、所望の刷版規格(gauge)を製造するために、原料の光硬化性材料の様々な規格のメニューを提供することができる。更に、製造業者は、顧客が共に積層する又は接着し、所望の規格の印刷要素を製造する、原料の光硬化性材料の比較的細かい(thin)規格を提供することができる。
【0031】
本明細書中に記載されるように、原料の光硬化性材料は、典型的には、公知のモノマー、バインダー、光開始剤、反応性又は非反応性の希釈剤、フィラー、及び染料のいずれかを含む。これらの原料の光硬化性材料は、例えば、特定のインクを用いた使用のため、特定の溶媒を用いた現像又は熱現像のため、特定の基材(即ち、紙、プラスチック又はダンボール)上の印刷のために、配合され、特定のショアA硬度値などを示すことができる。
【0032】
好適なモノマーとしては、例えば、多官能性アクリレート、多官能性メタクリレート、及びポリアクリロイルオリゴマーが挙げられる。好適なモノマーの例としては、エチレングリコールジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、グリセロールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、グリセロールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−プロパンジオールジメタクリレート、1,2,4−ブタントリオールトリメタクリレート、及び1,4−ブタンジオールジアクリレートの1以上、並びにこれらの1つ以上の組合せが挙げられる。
【0033】
バインダー又はオリゴマーは、好ましくは、A−B−A型のブロック共重合体を含み、Aは、非エラストマーブロック、好ましくはビニルポリマー、又は最も好ましくはポリスチレンを表し、Bは、エラストマーブロック、好ましくはポリブタジエン又はポリイソプレンを表す。好適な重合性オリゴマーを本発明の組成物において使用してもよく、好ましいオリゴマーとしては、上記で開示した単官能性モノマー及び/又は多官能性モノマーから重合されたものが挙げられる。特に好ましいオリゴマーとしては、エポキシアクリレート類、脂肪族ウレタンアクリレート類、芳香族ウレタンアクリレート類、ポリエステルアクリレート類、ポリエーテルアクリレート類、アミン修飾ポリエーテルアクリレート類、及び直鎖状アクリルオリゴマー類が挙げられる。
【0034】
光開始剤は光を吸収し、フリーラジカル又はカチオンの生成に関与する。フリーラジカル又はカチオンは、重合を引き起こす高エネルギー種である。原料の光硬化性材料及び光硬化性キャップ層への使用に適した光開始剤としては、キノン類、ベンゾフェノン類及び置換ベンゾフェノン類、ヒドロキシルアルキルフェニルアセトフェノン類、2,2−ジエトキシアセトフェノン及び2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン等のジアルコキシアセトフェノン類、α−ハロゲノ−アセトフェノン類、アリールケトン類(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、チオキサントン類(イソプロピルチオキサントン等)、ベンジルジメチルケタール、ビス(2,6−ジメチルベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド等のトリメチルベンゾイルホスフィンオキシド誘導体類、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン等のメチルチオフェニルモルホリノケトン類、モルホリノフェニルアミノケトン類、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン又は5,7−ジヨード−3−ブトキシ−6−フルオロン、ジフェニルヨードニウムフッ化物及びトリフェニルスルフォニウムヘキサフルオロホスフェート、ベンゾインエーテル類、過酸化物類、ビイミダゾール類、ベンジルジメチルケタール、アミノケトン類、ベンゾイルシクロヘキサノール、オキシスルホニルケトン類、スルホニルケトン類、ベンゾイルオキシムエステル類、カンファーキノン類、ケトクマリン類、ミヒラー(Michler)ケトン、ハロゲン化アルキルアリールケトン類、α−ヒドロキシ−α−シクロヘキシルフェニルケトン、並びにこれらの1つ以上の組合せが挙げられる。
【0035】
少なくとも1つの光硬化性層に用いられる他の任意成分としては、阻害剤、可塑剤、染料、ポリマー、オリゴマー、顔料、増感剤、相乗剤(synergists)、第三級有機アミン、UV吸収剤、チキソトロープ剤、抗酸化剤、酸素スカベンジャー、流動性改良剤、フィラー、及びこれらの1つ以上の組合せが挙げられる。
【0036】
少なくとも1つの光硬化性層は、少なくとも何らかの化学線波長域において架橋(硬化)し、それによって固化する必要がある。本明細書中で用いられるように、化学線は、暴露部分に化学変化を生じさせることが可能な放射線である。化学線としては、例えば、特にUV域及び赤外波長域における増幅(例えば、レーザ)光及び非増幅光が挙げられる。好適な化学線波長域は、約250nm〜約450nmであり、より好ましくは約300nm〜約400nmであり、更により好ましくは約320nm〜約380nmである。
【0037】
顧客は、ニーズに基づいて特定の原料の光硬化性材料を選択すると、所望のレリーフ像印刷ブランク要素を製造するために、顧客は、原料の光硬化性ブランクに積層されることができる積層材料のメニューから選択することもできる。互いに又は原料の光硬化性材料に積層されることができる積層材料の非制限的なリストは、下記:
1)バッキング層と;
2)カバーシート又はフィルムと;
3)接着剤層と;
4)追加の原料の光硬化性層と;
5)キャップ層と;
6)圧縮性層と;
7)スリップフィルム及び剥離層と;
8)レーザアブレーション可能な層と;
9)酸素バリア層と;
10)マスキング層と;
11)他の中間層と、
を含む。
【0038】
例えば、顧客は、所望の、バッキングシート、中間層、マスキング層、及びカバーフィルムの1つ以上を選択することができる。その後、顧客は、これらの1つ以上の層を原料の光硬化性材料に積層し、様々な加工工程において加工されることができる印刷要素ブランクを製造し、レリーフ像刷版を製造し、その後続いて印刷機に移動され、印刷が開始される。
【0039】
1つの実施形態においては、原料の光硬化性材料は、バッキング層が原料の光硬化性印刷ブランクの第1の側に付着し、剥離可能なカバーシートが原料の光硬化性印刷ブランクの第2の側に付着した状態で、顧客に出荷される。この場合、顧客は、原料の光硬化性印刷ブランクの第2の側から剥離可能なカバーシートを取り除き、その後原料の光硬化性材料の第2の側に1つ以上の追加のラミネーション層を積層する又は接着する。1つ以上の追加のラミネーション層は、それぞれ、剥離可能なカバーシート又は層も含み、輸送中に1つ以上の追加のラミネーション層を損傷から保護することができる。したがって、原料の光硬化性材料の第2の側に積層される又は接着される、若しくは1つ以上の追加のラミネーション層の他の上部に積層される又は接着される1つ以上の追加のラミネーション層の側から少なくとも、剥離可能なカバーシート又は層も、除去されなくてはならない。
【0040】
他の実施形態においては、原料の光硬化性印刷ブランクは、第1の剥離可能なカバーシートが原料の光硬化性印刷ブランクの第1の側に付着し、第2の剥離可能なカバーシートが原料の光硬化性印刷ブランクの第2の側に付着した状態で、顧客に出荷される。この場合においては、顧客は、原料の光硬化性印刷ブランクの第1の側から第1の剥離可能なカバーシートを除去し、その後原料の光硬化性印刷ブランクの第1の側に1つ以上のバッキング層を積層する又は接着し、原料の光硬化性印刷ブランクの第2の側から第2の剥離可能なカバーシートも除去し、その後原料の光硬化性印刷ブランクの第2の側に1つ以上の追加の層を積層する又は接着する。
【0041】
積層される又は接着されるという表現は、ラミネーション層及び原料の光硬化性層は、熱、圧力、及び接着の1つ以上を用いることで共に接合されることである。例えば、幾つかの場合においては、原料の光硬化性材料又は他のラミネーション層に積層されるラミネーション層は、室温で粘性(tacky)又は粘着性(sticky)であるか、又は接着層が使用されることができる。したがって、1つ以上の積層ローラは、加熱される必要がないことがあり、層の強い接着を確保するには、圧力のみで十分である。原料の光硬化性材料の早期(premature)光硬化又は光重合を引き起こさない、若しくはラミネーション層のいずれに損傷を与えない加工条件下で、積層工程も行われなくてはならない。したがって、幾つかの実施形態においては、熱は、早期光硬化を引き起こすことがあり、又は一方で早期光硬化を引き起こさない低い値まで、熱は調節されなくてはならないので、熱を使用することは望ましくない。同時に、加工条件は、積層された印刷ブランクにおいて、原料の光硬化性材料と隣接したラミネーション層との間で、且つ1つ以上のラミネーション層間で、良好な接着が達成されるようにしなくてはならない。
【0042】
バッキング(又は支持)層は、原料の光硬化性材料を支持するものであり、紙、セルロースフィルム、プラスチック、又は金属等の透明又は不透明な材料から形成されることができる。バッキング層は、好ましくは、種々の可撓性の透明な材料から形成される。このような材料の例としては、セルロースフィルム、若しくは、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、ポリエーテル、ポリエチレン、ポリアミド(ケブラー;Kevlar)、又はナイロンなどのプラスチックである。1つの好ましい支持層は、ポリエチレンテレフタレート(PET)である。更に、1つ以上のバッキングフィルムは、圧縮性層を含むこともできる。最後に、1つ以上のバッキングフィルムは、バッキング層又は支持層と1つ以上の光硬化性層との間に配置されるハレーション防止層も含むことができる。ハレーション防止層を用いて、光硬化性樹脂層の非画像領域内でのUV光の散乱によって引き起こされるハレーションを最小にする。
【0043】
剥離可能なカバーシートは、一般に、中でもポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンナフタレート、フルオレンポリエステルポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレンアクリル、ポリ塩化ビニル及びそれらのコポリマー、並びに加水分解された及び加水分解されていない酢酸セルロースなどのプラスチックシート及びフィルムを含むが、これらに限定されない任意の適切な基材を含む。剥離可能なカバーシートが、輸送中、原料の光硬化性材料上の決まった場所に固定してあるが、原料の光硬化性材料又は他のラミネーション層の下表面に損傷を与えないように、原料の光硬化性材料又は他のラミネーション層からきれいに剥離可能であることが重要である。1つの実施形態においては、剥離可能なカバーシートは、その濡れ性を変更するために表面処理されることができる。
【0044】
剥離可能なカバーシートは、その上に配置された剥離層を含むこともできる。剥離層として好適なコーティングには、例えば、中でも、ポリビニルアルコール、メチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースを含むセルロースポリマー、ポリビニルブチラール、及び他のヒドロキシル含有ポリマーを含む。
【0045】
接着剤層を用いる場合、剥離可能なカバーシートの下に配置されることができ、様々なラミネーション層及び/又は原料の光硬化性材料を共に接着するために使用されることができる。したがって、剥離可能なカバーシートを接着剤層から除去することができ、追加の層を接着剤層に積層する又は接着することができる。他の実施形態においては、接着剤層を用いて、原料の光硬化性材料とバッキングシート又は圧縮性層との間の接着を提供することができる。接着剤層は、その後に適用される層と原料の光硬化性ブランクとの接着を高める。接着剤層は、実施例において、熱可塑性、熱接着性、又は感圧接着性を含むことができるが、これらに限定されない。更に、接着剤層は、原料の光硬化性ブランクに追加の層をしっかりと固定するための熱を必要としてもしなくてもよい。これは、1つ以上の追加のラミネーション層が特に感熱性で、通常の積層温度が不適切である場合に、特に有用であることができる。
【0046】
本明細書中に記載されるように、1つ以上の追加のラミネーション層は、1つ以上の追加の原料の光硬化性材料又はキャップ層を含むことができ、原料の光硬化性材料と同じ組成物のものであることができる、又は異なる組成物であることができる。キャップ層は、原料の光硬化性材料の組成物と同じ又は異なる組成物を有することができる光硬化性層である。本明細書中に記載されるように、得られた印刷要素は、写真ネガが原料の光硬化性材料又はキャップ層に付着されている従来の印刷要素、若しくは原料の光硬化性材料又はキャップ層のいずれかに配置されているレーザアブレーション可能なマスク層を用いるデジタル印刷要素のいずれかであることができる。したがって、版が従来のアナログ版であるかデジタル版であるかに応じて、キャップ層も異なることがある。したがって、顧客は、化学線に光硬化性要素を像様に暴露する方法に基づいて、好適なキャップ層を選択することができる。更に、溶剤現像又は熱現像を使用して、レリーフ像印刷要素が現像又は加工されるかどうかに基づいて、異なる材料が有益な結果を生み出すことができるので、キャップ層の選択はまた、現像方法に依存することができる。
【0047】
スリップフィルムは薄い層であり、原料の光硬化性材料を埃から保護し、取扱いの容易さが増す。従来の(「アナログ」)製版プロセスにおいては、スリップフィルムは、UV光に対して透明である。このプロセスにおいては、顧客は、任意の剥離可能なカバーシートを取り除き、スリップフィルム層の上部にネガを配置する。その後、版及びネガは、ネガを通してUV光によって大露光される。光に露光された領域が硬化又は固化し、未露光領域を除去して(現像して)、刷版にレリーフ像を形成する。スリップフィルムの代わりに、マット層を用いて、版の取扱いの容易性を改善することもできる。マット層は、典型的には、水性バインダー溶液中に懸濁された微粒子(シリカ又は同様のもの)を含む。次に、光硬化性層のその後のUV−大露光のために、マット層にネガが置かれることができる。
【0048】
原料の光硬化性材料に積層される又は接着される他のラミネーション層は、レーザアブレーション可能なマスク層である。コンピュータを用いて、硬化しなくてはいけないレーザアブレーション可能なマスク層のそれらの領域(即ち、最終的にレリーフ層になる領域)をアブレーションするコンピュータと連通しているレーザを介して、デジタル情報をレーザアブレーション可能なマスク層に伝達する。次いで、版がその場マスクを介して前面露光される。レーザアブレーション可能なマスク層のアブレーションされなかった領域が、下層のフォトポリマーの硬化を防止し、加工(現像)工程の間に除去される。マスクがレーザアブレーションされた領域は硬化し、レリーフ領域となる。レーザアブレーション可能なマスク層の例は、例えば、参照することにより本願明細書中に援用される米国特許第5,925,500号明細書(Yang等)に開示されており、ここではマスク層としてスリップフィルムをUV吸収剤で改変し、このように改変したスリップフィルムを選択的にアブレーションするためにレーザを採用することを開示しており、またそれぞれの主題の全体が参照することにより本願明細書中に援用される米国特許第5,262,275号明細書(Fan)及び米国特許第6,238,837号明細書(Fan)に開示されている。
【0049】
光硬化性要素は、その上に配置された酸素バリア層又は他の膜を更に含むことができる。幾つかの実施形態においては、化学線に要素が像様に暴露された後に、酸素バリア層は、光硬化性積層材料に積層されることが望ましい。一方、他の実施形態においては、酸素バリア層は、像様の暴露工程前に、原料の光硬化性材料(又は用いられる場合、キャップ層)に積層され、それによって本明細書中に記載される追加の層の1つを構成することができる
【0050】
バリア膜層として広範囲の材料を使用することができる。効果的なバリア層の製造において本発明者らが同定した3つの特性として、光透明性、厚みが小さいこと、及び酸素輸送の阻害が挙げられる。酸素輸送の阻害は、低酸素拡散係数に関する尺度である。知られているように、膜の酸素拡散係数は、6.9×10−9/秒未満、好ましくは6.9×10−10/秒未満、最も好ましくは6.9×10−11/秒未満である必要がある。
【0051】
本発明のバリア膜層としての使用に好適な材料の例としては、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ヒドロキシアルキルセルロース、ポリビニルピロリドン、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体、両性共重合体、酢酸酪酸セルロース、アルキルセルロース、ブチラール、環状ゴム、及びこれらの1つ以上の組合せ等の、従来はフレキソ印刷要素において剥離層として使用されていた材料が挙げられる。また、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、及び類似の透明フィルム等のフィルムもまた、バリアフィルムとして良好に機能することができる。好ましい1つの実施形態においては、バリア膜層は、ポリプロピレンフィルム又はポリエチレンテレフタレートフィルムを含む。特に好ましい1つのバリア膜は、Fuji Filmsから入手可能なFuji(登録商標)Final Proofレシーバシート膜である。
【0052】
最後に、顧客が直ちに、光硬化性積層材料を他の加工工程にかけてレリーフ像印刷要素を準備することを望まない場合には、剥離可能又は除去可能なカバーシートは、光硬化性の積層された印刷ブランクの上部に積層される又は接着され、光硬化性積層印刷ブランクを保管中の損傷から保護することができる。
【0053】
本明細書中に記載されるステップは、任意の順序で実施されることができることも想定される。例えば、原料の光硬化性材料が第1の剥離可能なカバーシート及び第2の剥離可能なカバーシートを含む実施形態においては、1つの実施形態においては、第1の剥離可能なカバーシート及び第2の剥離可能なカバーシートの両方は、最初に除去されることができ、それによって原料の光硬化性版は、更に加工され、原料の光硬化性材料の第1の側に1つ以上のバッキング層を積層する又は接着する、且つ原料の光硬化性材料の第2の側にラミネーション層を積層する又は接着することができる。他の実施形態においては、第1の剥離可能なカバーシートを最初に除去し、原料の光硬化性材料の第1の側に1つ以上のバッキング層を接着し、その後第2の剥離可能なカバーシートを除去し、それによって1つ以上のラミネーション層を原料の光硬化性材料の第2の側に適用されることができる。
【0054】
更に、1つ以上のラミネーション層の積層は、順番に達成されることができ、それぞれ後に続く層が、前に適用された層に適用された状態で、複数のラミネーション層を原料の光硬化性材料に積層する又は接着する。代替においては、幾つかのラミネーション層は、複合カバー要素に共に積層され、複合カバー要素は、原料の光硬化性材料に積層する又は接着することができる。
【0055】
これらの実施形態の全てにおいては、最終的な結果は、光硬化性層の層及び様々な他の層が互いにしっかりと接着され、さらなる加工のもとで、顧客の要件に準じて、良質なレリーフ像印刷要素を製造することができる印刷ブランクを製造する積層された光硬化性印刷ブランクである。
【0056】
1つの実施形態においては、デジタル印刷要素ブランクの場合、積層された光硬化性印刷ブランクが、積層の1つとしてマスク層と共に準備されると、マスク層が加工され、マスク層のレーザアブレーション、インクジェットプリンティング、又は他の同様のプロセスなどによって、その場ネガを製造し、バリア層は、レリーフ像刷版の上部に配置され、その場マスク及び光硬化性層のカバーされていない部分をカバーする。好ましい実施形態においては、バリア層は、積層システムにおいて、圧力及び/又は熱を用いて、刷版の表面に積層され、積層された光硬化性印刷ブランクを作製するために用いられる同じ積層システムであることができる。その場マスクを作製するために使用されたレーザアブレーションの後であるが、化学線への曝露の前に、膜は、最も有利に適用されることができる。
【0057】
積層された印刷ブランクが準備され、その後化学線に像様に暴露されると、現像され、架橋されていないフォトポリマーを除去し、その中にレリーフ像を露呈することができる。更に、必要に応じて、少なくとも1つのラミネーション層の1つ以上は、現像除去され、又は除去されることもできる。一般的な現像方法としては、様々な溶媒又は水での洗浄が挙げられ、多くの場合ブラシを用いたものが挙げられる。現像の他の選択肢としては、エアナイフの使用、又は熱とブロッタとの使用(熱現像)が挙げられる。得られる表面は、印刷される画像を再現するレリーフパターンを有する。レリーフパターンは、典型的に複数のドットを含み、ドットの形状及びレリーフの深度は、他の要因の中でも特に印刷される画像の品質に影響を及ぼす。
【0058】
印刷要素は、所望のレリーフ像印刷要素を製造するために当技術分野で知られているような様々な追加の工程を受けることもできる。例えば、多くのフレキソ刷版は、光重合プロセスが完全であること、及び印刷中や保管中に版が安定した状態のままであることを確実にするために均一に後露光される。この後露光工程は、主露光と同じ放射線源を用いる。粘着除去(detackification)(光仕上げと称することもできる)は、表面が依然として粘性である場合に適用することができる他の任意の現像後処理であり、このような粘性は、一般に後露光で除去されるものではない。粘性は、臭素溶液又は塩素溶液を用いた処理などの当技術分野で知られている方法によって除去されることができる。
【0059】
最終的な結果は、顧客のニーズ及び要望に一致するように準備されたカスタマイズされた印刷要素である。更に、顧客が光硬化性印刷ブランクに対して追加の変更が必要とされる(又は望まれている)と判断する場合、製造業者から全体的な新しい印刷要素を再注文する必要なく、顧客は、迅速且つ容易な方法でそのような追加の変更を行うことができる。レリーフ像が現像された後、レリーフ像印刷要素が印刷機に装着され、印刷が開始される。
【0060】
他の実施形態においては、図1に示されるように、本発明は、一般に、顧客によって用いられ、カスタム積層された光硬化性印刷ブランクを作製することができる積層システムに関する。1つの実施形態においては、積層システムは、下記:
a)加熱可能な積層ローラ4及び第2のローラ6であって、加熱可能な積層ローラ4及び第2のローラ6が、対向可能に装着され、積層される基材10を受け取るためにその間にニップを形成し、基材10が、その第1の表面に剥離可能なカバーシート12を含む加熱可能な積層ローラ4及び第2のローラ6と;
b)基材10の第1の表面から剥離可能なカバーシート12を剥離するための第1の剥離デバイス14と;
c)加熱可能な積層ローラ4及び第2のローラ6を回転するための駆動機構であって、加熱可能な積層ローラ4が、第1の方向に回転され、第2のローラ6は、反対方向に回転され、加熱可能な積層ローラ4と第2のローラ6との間に形成されたニップを通って、基材10を進める前記駆動機構と;
d)加熱可能な積層ローラ4と第2のローラ6との間に形成されたニップにラミネーション膜20を供給するための供給デバイスであって、供給デバイスが、ラミネーション膜20がニップに入る前に、ラミネーション膜20の第1の表面からカバーシート26を剥離するための第2の剥離デバイス24を含み、ラミネーション膜20の第1の表面は、基材10がニップを通って進む点において、基材10の第1の表面に接触する供給デバイスと、
を含む。
【0061】
加熱可能な積層ローラ4及び第2のローラ6を回転するための駆動機構は、典型的には、第1の方向に加熱可能な積層ローラ4及び第2の方向に第2のローラ6を回転するためのモータを駆動するドライバを含む。
【0062】
加熱可能な積層ローラ4は、典型的には、所望の温度で加熱可能な積層ローラ4の外表面を維持するために制御されることができる加熱されたコア、及びシリコーンゴム又は他の同様の弾性材料からなることができる加熱されたコアの周りに配置されている弾性ローラを含む。好適な制御手段(図示せず)を用いて、使用されている特定のラミネーション膜20のために所望の温度で加熱可能な積層ローラ4を維持することができる。また、異なるラミネーション膜20が異なる温度のニーズで積層されている場合、制御手段は、加熱可能な積層ローラ4の温度を変化させるために調整されることができる。更に、幾つかの状況においては、基材10の第1の表面又はラミネーション膜20の第1の表面は、十分に粘性又は粘着性であることができ、それによって高温は、必要とされず、積層ローラ4は、圧力のみが層を共に積層するために用いられるように室温で維持されることができる。
【0063】
加熱可能な積層ローラ4は、典型的には、略室温と約300°Fとの間の温度で維持される。幾つかの実施形態においては、加熱可能な積層ローラ4は、少なくとも約150°Fの温度で、より好ましくは少なくとも約200°Fの温度で、維持されることが望ましい。しかしながら、当業者であれば、加熱可能な積層ローラ4の温度が、選択された特定のラミネーション層20の融点に少なくとも部分的に依存することを認識し、それに応じて加熱可能な積層ローラ4の好適な温度を選択するであろう。更に、加熱可能な積層ローラ4の温度は、原料の光硬化性材料に積層されている特定の層に基づいて、調節可能である。即ち、特定の材料は、層を共にしっかりと接着させるためにより高い(又はより低い)温度を必要とすることができる。
【0064】
積層ローラと第2のローラとの間のニップを通った種々の材料の積層速度は、積層されている材料に部分的に基づいて調節されることができる。したがって、積層される材料に依存して、より速い又は遅い積層速度を選択することができる。
【0065】
第1の剥離可能なデバイス14及び第2の剥離可能なデバイス24は、一般に、表面から剥離可能なカバーシート12又はカバー層26を除去することができるデバイスを含む。したがって、第1の剥離可能なデバイス14及び/又は第2の剥離可能なデバイス24は、それぞれ、その主題の全体が参照することにより本願明細書中に援用される米国特許7,802,598号明細書(Zwadlo)に記載されるように、プラウ(plow;すき)を含むことができる。代替においては、第1の剥離可能なデバイス14及び/又は第2の剥離可能なデバイス24は、下層に損傷を与えることなく、剥離可能なカバーシート12又はカバー層26をきれいに除去することができるブレード又は他の同様なデバイスを含むことができる。
【0066】
加熱可能な積層ローラ4と第2のローラ6との間に形成されたニップにラミネーション層20を供給するための供給デバイスは、ラミネーション層20のロールを支持し、加熱可能な積層ローラ4の外表面を亘って、且つ加熱可能な積層ローラ4と第2のローラ6との間に形成されたニップにラミネーション層20を供給するために適応された、ラミネーション層供給ローラを含むことができる。この場合、ラミネーション層20が供給ローラを出るときに、第2の剥離デバイス24は、カバーシート26を取り除くためにラミネーション層供給ローラに隣接して位置されることができる。代替には、供給デバイスは、加熱可能な積層ローラ4と第2のローラ6との間に形成されたニップに、ラミネーション層20を運ぶ平面支持体を含むことができ、第2の剥離デバイス24は、基材10がニップを通って進む点の前の点で位置される。最後に、幾つかの実施形態においては、加熱可能な積層ローラ4に対向するガイドローラ30を提供することが望ましいことがあり、前記ガイドローラ30は、第2のニップを形成し、前記第2のニップを通ってラミネーション層20は、加熱可能な積層ローラ4と第2のローラ6との間のニップに導かれ、基材10にラミネーション層20を適切に位置させることができる。
【0067】
積層システムは、当該技術分野において一般に周知のように、積層された基材をトリミングするための手段を更に含むことができる。1つの実施形態では、積層された基材をトリミングする手段は、回転カッターである。他の好適な切断及びトリミング手段も、本発明の実施において使用可能である。
【0068】
更に、例えば原料の光硬化性材料を含む基材は、原料の光硬化性材料の供給ローラからニップに供給されることができるように、十分に薄く可撓性であることもできる。したがって、幾つかの実施形態においては、原料の光硬化性材料は、材料のロールを含み、他の実施形態においては、原料の光硬化性材料は、プレカットシート形態である。
【0069】
容易に理解されるように、本明細書中に記載される装置を用いて、原料の光硬化性材料及び選択されたラミネーション層が積層された刷版構造の所望のサイズにプレカットされている、原料の光硬化性材料とラミネーション層をシート形態に積層することができる。代替には、様々な原料の光硬化性材料及びラミネーション層は、ローラに配置されることができ、積層工程は、所望のサイズに積層された層を切断する追加の工程を行う。したがって、顧客は、所望のサイズにカスタマイズされたカスタム積層された刷版を製造することが可能である。
【0070】
本発明は、一般に、カスタムの光硬化性印刷ブランクを製造するために顧客が所望の材料層を得るビジネスを行う方法にも関する。
【0071】
したがって、他の実施形態においては、本発明は、一般に、光硬化性印刷ブランクの様々な個々のコンポーネントを注文し、前記様々な個々のコンポーネントを含むカスタム積層された印刷ブランクを作製するためのメニューシステムにも関し、前記メニューシステムは、
a)1つ以上の原料の光硬化性材料のリストを含む第1のメニューと;
b)1つ以上のラミネーション層のリストを含む第2のメニューであって、前記1つ以上のラミネーション層が、前記1つ以上の原料の光硬化性材料に積層されることができ、積層された前記光硬化性印刷ブランクを作製する第2のメニューと、を含み、
顧客が、前記第1のメニューから1つ以上の原料の光硬化性材料を、前記第2のメニューから1つ以上のラミネーション層を選択し、その後、前記1つ以上光硬化性材料及び1つ以上のラミネーション層を共に積層する又は接着し、カスタム積層された印刷ブランクを形成する。
【0072】
本明細書中に記載されるように、顧客は、製造業者から1つ以上の原料の光硬化性材料及び1つ以上のラミネーション層を注文し、その後様々な層を共に積層する又は接着し、カスタム積層された印刷ブランクを製造することができる。
【0073】
メニューシステムは、顧客が様々な材料を選択することを可能にするために使用される。顧客は、特定の基材に印刷するために、例えば、中でもデジタル又はアナログ、印刷に使用される特定のインク、特定の溶媒による現像又は熱現像を含む様々な要因に基づいて、原料の光硬化性材料を最初に選択する。更に、ダイアログボックスを用いて、この方法で顧客を支援することもできる。例えば、ダイアログボックスを用いて、製版プロセスがデジタルかアナログか、印刷される基材のタイプ又は特定の現像方法を問い合わせることができ、入力された情報に基づいて好適な原料の光硬化性材料を提案することができる。
【0074】
更に、顧客が原料の光硬化性材料を選択すると、顧客は、その後所望の厚みの印刷要素を製造するために、1つ以上の版規格から選択することもできる。顧客は、同じ原料の光硬化性材料の複数の層又は異なる原料の光硬化性材料の層を好むかを選ぶこともできる。顧客は、原料の光硬化性材料及びラミネーション層の形態を選ぶこともでき、顧客が同じ材料から様々なサイズ及び形状の印刷ブランクを作製することを可能にする、材料のシートの形態又はロールのいずれかであることができる。
【0075】
その後、選択された特定の原料の光硬化性材料に基づいて、顧客は、特定の原料の光硬化性材料に適合する様々なラミネーション層を選択することができる。したがって、好ましい実施形態においては、ラミネーション層のメニューは、選択された特定の原料の光硬化性材料に適合され、更に異なるラミネーション層に適合されることができ、それによって顧客は、良好な結果をもたらさない原料の光硬化性材料とラミネーション層との組合せを選択することができない又は少なくとも思いとどまらせるであろう。また、メニューシステムは、顧客が様々なパラメータを入力することができ、メニューシステムが好適な組み合わせを提示できるように設定することもできる。必要に応じて、システムは注文プロセスを合理化するように、特定の顧客に関する情報を保存することもできる。
【0076】
原料の光硬化性材料と同様に、顧客は、特定のラミネーション層の様々な規格及びラミネーション層の形態を選択することもできることがある。
【0077】
選択された前記原料の光硬化性材料及びラミネーション層を受け取ると、顧客は、本明細書中に記載される積層システムを使用し、原料の光硬化性材料の第1又は第2の側の少なくとも1つから、且つ材料の追加の層の側から剥離可能なカバーシートを除去し、共に層を積層する又は接着し、その上に接着された光硬化性材料の層及び追加の層を有する積層された材料を形成する。このプロセスを繰り返して、追加の層を積層する又は接着し、所望の性質を有する独特の積層された光硬化性要素を作製することができる。
【0078】
最後に、本発明は、フレキソレリーフ像印刷要素の点で記載されており、本明細書中に記載されているプロセス及びシステムは、原料の基材層及び1つ以上のラミネーション層が共に接合されてカスタム積層された製品を作製する、プリント回路基材前駆体などカスタマイゼーションが望まれる、多層の印刷ブランクの他のタイプ及び他の多層の製品の製造に適用可能であることも考えられる。
図1