特許第6827054号(P6827054)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6827054画像診断装置、画像診断装置の作動方法、コンピュータプログラム、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6827054
(24)【登録日】2021年1月20日
(45)【発行日】2021年2月10日
(54)【発明の名称】画像診断装置、画像診断装置の作動方法、コンピュータプログラム、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20210128BHJP
   A61B 1/06 20060101ALI20210128BHJP
   G01N 21/17 20060101ALI20210128BHJP
   G01N 21/21 20060101ALI20210128BHJP
【FI】
   A61B1/00 526
   A61B1/00 521
   A61B1/06 611
   G01N21/17 620
   G01N21/21 Z
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-542310(P2018-542310)
(86)(22)【出願日】2017年9月6日
(86)【国際出願番号】JP2017032097
(87)【国際公開番号】WO2018061672
(87)【国際公開日】20180405
【審査請求日】2020年5月18日
(31)【優先権主張番号】特願2016-188696(P2016-188696)
(32)【優先日】2016年9月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(72)【発明者】
【氏名】坂本 真透
(72)【発明者】
【氏名】森 功
【審査官】 右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/157645(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00
G01N 21/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光の送受信を行う光送受信部を含むイメージングコアを回転自在に収容したプローブを接続し、該イメージングコアを回転させるためのモータドライブユニットと、
光源の周期を表すAラインに応じたパルス信号から、前記イメージングコアの回転に応じたパルス信号に基づいて有効パルスを決定し、前記光送受信部が送信する光の偏光状態を、該有効パルスに従って切り替える切り替え手段と、
前記光送受信部が受信した光と参照光との干渉光の信号を、前記有効パルスに従って取得する取得手段と
を備えることを特徴とする画像診断装置。
【請求項2】
前記切り替え手段は、前記光源の周期を表すパルス信号のパルスのうち、前記イメージングコアの回転に応じたパルス信号のパルスの直後にあるパルスを有効パルスとして決定することを特徴とする請求項1に記載の画像診断装置。
【請求項3】
前記切り替え手段は、前記有効パルスのタイミングごとにハイ/ローが切り替わるパルス信号を生成し、前記光送受信部が送信する光の偏光状態を、該生成したパルス信号に従って切り替えることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像診断装置。
【請求項4】
前記切り替え手段は、前記光送受信部が送信する光の偏光状態を、ポアンカレ球表示上で直交する偏光状態の何れかに切り替えることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像診断装置。
【請求項5】
光の送受信を行う光送受信部を含むイメージングコアを回転自在に収容したプローブを接続し、該イメージングコアを回転させるためのモータドライブユニットを有する画像診断装置の作動方法であって、
光源の周期を表すAラインに応じたパルス信号から、前記イメージングコアの回転に応じたパルス信号に基づいて有効パルスを決定し、前記光送受信部が送信する光の偏光状態を、該有効パルスに従って切り替える切り替え工程と、
前記光送受信部が受信した光と参照光との干渉光の信号を、前記有効パルスに従って取得する取得工程と
を備えることを特徴とする画像診断装置の作動方法。
【請求項6】
コンピュータを、請求項1乃至4の何れか1項に記載の画像診断装置の各手段として機能させるためのコンピュータプログラム。
【請求項7】
請求項6に記載のコンピュータプログラムを格納した、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像診断技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、動脈硬化の診断や、バルーンカテーテルまたはステント等の高機能カテーテルによる血管内治療時の術前診断、あるいは、術後の結果確認のために、画像診断装置が広く使用されている。
【0003】
画像診断装置の1つに光干渉断層診断装置(OCT:Optical Coherence Tomography)があり、更に光干渉断層診断装置には、偏光感受型OCTというものがある。
【0004】
偏光感受型OCTとは、被検体の診断対象部位(サンプル)の偏光特性を得るためのもので、偏光状態が異なる複数の入射光に対するサンプルからの反射光と、参照光と、の干渉光に基づいて該サンプルの偏光特性を取得するものである(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5787255号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
波長掃引光の光源と同周波数のタイミング(Aライントリガ)に基づいて該光源からの光の偏光状態を切り替える場合、Aライントリガに従って干渉波の収集を行うようにすれば、該光の偏光状態の切り替え順に従って対応する干渉波が得られる。しかし、干渉波の収集のタイミング(周波数)は、例えば、イメージングコアを回転させるためのモータドライブユニット内のモータ1回転あたりの収集ライン数に応じて変わるため、この場合、必ずしも光の偏光状態の切り替え順で対応する干渉波が得られるわけではない。
【0007】
本発明はこのような課題に鑑み、偏光感受型OCTにおいて光の偏光状態の切り替え順で対応する干渉波を収集するための技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的を達成するために、例えば、本発明の画像診断装置は以下のような構成を有する。すなわち、光の送受信を行う光送受信部を含むイメージングコアを回転自在に収容したプローブを接続し、該イメージングコアを回転させるためのモータドライブユニットと、
光源の周期を表すAラインに応じたパルス信号から、前記イメージングコアの回転に応じたパルス信号に基づいて有効パルスを決定し、前記光送受信部が送信する光の偏光状態を、該有効パルスに従って切り替える切り替え手段と、
前記光送受信部が受信した光と参照光との干渉光の信号を、前記有効パルスに従って取得する取得手段と
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、偏光感受型OCTにおいて光の偏光状態の切り替え順で対応する干渉波を収集することができる。
【0010】
本発明のその他の特徴及び利点は、添付図面を参照とした以下の説明により明らかになるであろう。なお、添付図面においては、同じ若しくは同様の構成には、同じ参照番号を付す。
【図面の簡単な説明】
【0011】
添付図面は明細書に含まれ、その一部を構成し、本発明の実施の形態を示し、その記述と共に本発明の原理を説明するために用いられる。
図1】画像診断装置100の外観例を示す図。
図2】本体制御部111の構成例を示すブロック図。
図3】トリガ信号生成部203、EOM205、A/D変換部257の具体的な動作例を説明するための図。
図4図3のケースとは異なるケースを説明するための図。
図5図2のブロック図の構成による処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の各実施形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0013】
[第1の実施形態]
以下添付図面に従って本発明に係る実施形態を詳細に説明する。なお、本明細書での画像診断装置は、偏光感受型OCT機能を有するものとして説明する。
【0014】
図1は本実施形態に係る画像診断装置100の外観例を示す図である。図1に示す如く、画像診断装置100は、プローブ101と、プルバック部102と、操作制御装置103とを備え、プルバック部102と操作制御装置103とは、コネクタ105を介して、信号線や光ファイバを収容したケーブル104により接続されている。
【0015】
プローブ101は、直接血管内に挿入されるものであり、その長手方向に移動自在であって、且つ、回転自在なイメージングコアを収容している。このイメージングコアの先端には、伝送されてきた光(測定光)を連続的に血管内に送信するとともに、血管内からの反射光を連続的に受信する光送受信部が設けられている。画像診断装置100では、該イメージングコアを用いることで血管内部の状態を測定する。
【0016】
プルバック部102は、プローブ101が着脱可能に取り付けられ、内蔵されたモータを駆動させることでプローブ101に内挿されたイメージングコアの血管内の軸方向の動作及び回転方向の動作を規定している。また、プルバック部102は、イメージングコア内の光送受信部と操作制御装置103との間の信号の中継装置として機能する。すなわち、プルバック部102は、操作制御装置103からの測定光を光送受信部へ伝達すると共に、光送受信部で検出した生体組織からの反射光を操作制御装置103に伝達する機能を有する。
【0017】
操作制御装置103は、測定を行うにあたり、各種設定値を入力するための機能や、測定により得られた光干渉データを処理し、各種血管像を表示するための機能を備える。
【0018】
操作制御装置103において、111は本体制御部である。この本体制御部111は、イメージングコアからの反射光と、光源からの光を分離することで得られた参照光と、を干渉させることで干渉光データを生成するとともに、該干渉光データを高速フーリエ変換(FFT)することでラインデータを生成する。そして、補間処理を経て光断層画像を生成する。
【0019】
111−1はプリンタ及びDVDレコーダであり、本体制御部111における処理結果を印刷したり、DVDへ書き込んだりすることにより、データ(光断層画像の撮像設定や撮像環境、撮像対象を特定するための情報など)を外部へ出力する。また、USB等のインタフェース(非図示)も備えており、そこからデータを外部記憶媒体へ出力する。112は操作パネルであり、ユーザは該操作パネル112を介して、各種設定値及び指示の入力を行う。113は表示装置としてのLCDモニタであり、本体制御部111において生成された各種断面画像を表示する。114は、ポインティングデバイス(座標入力装置)としてのマウスである。
【0020】
次に、本体制御部111の構成例について、図2のブロック図を用いて説明する。なお、図2は、以下の説明を行うための主要な構成を示したものであり、以下の説明において特に触れない構成については図2には示していないし、そのような構成による処理の説明も省略している。
【0021】
制御部251は、不図示のメモリに格納されているコンピュータプログラムやデータを用いて処理を実行することで、以降に説明する各部を含む様々な機能部の動作制御を行い、これにより、本体制御部111全体の動作制御を行う。
【0022】
モータドライブユニット(MDU)201は、プローブ101を接続し、イメージングコアを回転させるためのものである。本実施形態では、MDU201は、2048パルス毎回転のパルス信号(イメージングコア1回転あたり2048個のパルスのパルス信号)をエンコーダパルス信号として出力するものとする。
【0023】
エンコーダ信号変換部202は、MDU201からのエンコーダパルス信号を適当なパルス数(例えば、512パルス毎回転、1024パルス毎回転、2048パルス毎回転のうち予め設定されたパルス数)のパルス信号に変換し、該変換したパルス信号をトリガ信号生成部203に対して出力する。
【0024】
オプティカル部256は、イメージングコアに供給する波長掃引光の各掃引において、所定状態のタイミングを示すパルス信号を掃引信号としてトリガ信号生成部203に対して出力する。例えば、所定波長の光を検出して掃引信号を生成してもよいし、掃引機構の位置を検出して掃引信号を生成してもよい。また、掃引機構を動作させている信号に基づいて掃引信号を生成してもよい。更に、血管内からの反射波は、MDU201を介してオプティカル部256に導かれ、オプティカル部256にて、参照光と干渉した干渉光としてオプティカル部256内の不図示のフォトダイオードにて受光される。このようにしてフォトダイオードにて受光された干渉光は光電変換され、オプティカル部256内の不図示のアンプにより増幅された後、オプティカル部256内の不図示の復調器に入力される。この復調器では干渉した光の信号部分のみを抽出する復調処理を行い、その出力は干渉光信号としてA/D変換部257に入力される。本実施形態では、オプティカル部256は、82kHzのパルス信号(掃引信号)をトリガ信号生成部203に出力しているものとし、512ライン毎フレームの光断層画像を生成するよう設定がなされているものとする。なお、ここで説明した掃引信号は何れも「光源の周期を表すAラインに応じたパルス信号」の一例に過ぎない。
【0025】
EOM(Electro-Optic Modulator:偏光変調器、電気光学変調器)205は、光送受信部が送信する光として光源から得た測定光の偏光状態を、トリガ信号生成部203からの信号に従って切り替えるものである。なお、測定光と参照光に分ける前の光の偏光状態を切り替えてもよい。
【0026】
トリガ信号生成部203は、掃引信号としてのパルス信号から有効パルスをエンコーダパルス信号に基づいて決定し、該有効パルスから成るパルス信号を、A/D変換部257にA/D変換を行わせるタイミングを示すタイミング信号(ADトリガ信号)として生成する。更にトリガ信号生成部203は、ADトリガ信号のパルスのタイミングごとにハイ/ローが切り替わるパルス信号を、EOM205に偏光状態を切り替えさせるためのタイミングを示すタイミング信号(変調トリガ信号)として生成する。
【0027】
EOM205は測定光の偏光状態を、変調トリガ信号に基づいて切り替える。本実施形態では、EOM205は、測定光の偏光状態を第1の偏光状態、第2の偏光状態の何れかに切り替えるものとし、変調トリガ信号においてパルスの立ち上がりを検知すると(該パルスの立ち下りを検知するまでは)、測定光の偏光状態を第1の偏光状態に偏光し、該パルスの立ち下りを検知すると(次のパルスの立ち上がりを検知するまでは)、測定光の偏光状態を第2の偏光状態に偏光する。なお、第1の偏光状態、第2の偏光状態はそれぞれ、ポアンカレ球表示上で直交する2つの偏光状態のうち一方と他方に対応するものとするが、これは一例であり、この例に限らない。
【0028】
これにより光送受信部は、EOM205が変調トリガ信号においてパルスの立ち上がりを検知してからパルスの立ち下りを検知するまでの間は、EOM205によって第1の偏光状態に偏光された測定光を送信し、EOM205が変調トリガ信号においてパルスの立ち下りを検知してから次のパルスの立ち上がりを検知するまでの間は、EOM205によって第2の偏光状態に偏光された測定光を送信することになる。
【0029】
A/D変換部257は、トリガ信号生成部203からのADトリガ信号においてパルスを検知すると、該パルスに対応する干渉光信号としてオプティカル部256から受けた干渉光信号をA/D変換し、該A/D変換した信号を信号処理部258に対して送出する。すなわち、ADトリガ信号は、干渉光信号のサンプリング開始タイミングを表すパルス信号である。
【0030】
信号処理部258は、A/D変換部257からの信号をデータとしてメモリに記録したり、ネットワーク回線を介して外部の機器に対して送信したりする。例えば、どの偏光状態に切り替えられたデータであるかが判別できるように、各Aラインデータのヘッダに偏光状態を特定するインデックスを付与してもよい。なお、A/D変換部257からの信号をどのような形態でどのような出力先に出力するのかについては特定の形態、出力先に限らない。また、A/D変換部257からの信号に基づいて光断層画像を生成し、該光断層画像をLCDモニタ113に表示したり、メモリや外部の機器に出力したりしても良い。また信号処理部258は、A/D変換部257から得たN(Nは1以上の奇数:1,3,5,…,光断層画像1フレームあたりのライン数−1)ライン目の信号と隣り合う(N+1)ライン目の信号とから偏光特性(位相差や偏光度等)を求め、複数ラインの偏光特性に基づいて生体組織の偏光特性を求め、該求めた偏光特性を示すデータをメモリや外部機器に出力しても良い。
【0031】
次に、トリガ信号生成部203、EOM205、A/D変換部257の動作について、図3に示す具体例を挙げてより詳細に説明する。図3には上記の各信号の一例を示している。図3において左から右に向けて時間軸が設けられているとする。図3に示すようなエンコーダパルス信号及び掃引信号のそれぞれがエンコーダ信号変換部202及びオプティカル部256から出力された場合、トリガ信号生成部203は、エンコーダパルス信号のパルスを検知すると、該検知の直後に掃引信号から検知したパルスを有効パルスとしてA/D変換部257に対して出力する。図3の場合、エンコーダパルス信号においてパルス301が検知されると、掃引信号においてパルス301の直後のパルス351が有効パルスとしてA/D変換部257に出力される。また、エンコーダパルス信号においてパルス302が検知されると、掃引信号においてパルス302の直後のパルス352が有効パルスとしてA/D変換部257に出力される。また、エンコーダパルス信号においてパルス303が検知されると、掃引信号においてパルス303の直後のパルス353が有効パルスとしてA/D変換部257に出力される。トリガ信号生成部203がA/D変換部257に対して出力する有効パルス列を示すパルス信号をADトリガ信号として示している。図3に示す如く、ADトリガ信号は、上記のパルス351から353を含むものである。
【0032】
一方、トリガ信号生成部203は、有効パルスの立ち上がりを検知するたびにハイ/ローが切り替わるパルス信号を変調トリガ信号として生成する。図3の場合、ADトリガ信号においてパルス351の立ち上がりを検知するとハイになり、次のパルス352の立ち上がりを検知するとローになり、更に次のパルス353の立ち上がりを検知するとハイになるような変調トリガ信号が生成される。このような変調トリガ信号がEOM205に入力されると、例えばEOM205は、変調トリガ信号がハイの期間中は測定光を第1の偏光状態に偏光し、変調トリガ信号がローの期間中は測定光を第2の偏光状態に偏光する。
【0033】
上記の通り、A/D変換部257は、ADトリガ信号におけるパルスを検知すると、該パルスに対応する干渉光信号としてオプティカル部256から受けた干渉光信号をA/D変換する。また、図3に示す如く、変調トリガ信号がハイの期間中は、第1の偏光状態(状態1)に偏光された測定光に対応する反射光と参照光との干渉光の信号が得られるのであるから、A/D変換部257は、ADトリガ信号においてパルス351を検知すると、対応する干渉光信号としてオプティカル部256から受けた干渉光信号、すなわち、第1の偏光状態に偏光された測定光に対応する反射光と参照光との干渉光の信号をA/D変換することができる。また、図3に示す如く、変調トリガ信号がローの期間中は、第2の偏光状態(状態2)に偏光された測定光に対応する反射光と参照光との干渉光の信号が得られるのであるから、A/D変換部257は、ADトリガ信号においてパルス352を検知すると、対応する干渉光信号としてオプティカル部256から受けた干渉光信号、すなわち、第2の偏光状態に偏光された測定光に対応する反射光と参照光との干渉光の信号をA/D変換することができる。同様に、A/D変換部257は、ADトリガ信号においてパルス353を検知すると、対応する干渉光信号としてオプティカル部256から受けた干渉光信号、すなわち、第1の偏光状態に偏光された測定光に対応する反射光と参照光との干渉光の信号をA/D変換することができる。
【0034】
このように、本実施形態によれば、EOM205に測定光の偏光状態の切り替えを指示するタイミングを示す変調トリガ信号及びA/D変換部257にA/D変換を行わせるタイミングを示すADトリガ信号の両方を有効パルスに応じて生成するので、測定光の偏光状態の切り替えと同期した干渉光信号の収集が可能となる。例えば偏光状態の変更順が状態1→状態2→状態1→…であれば、状態1に対応する干渉光の信号→状態2に対応する干渉光の信号→状態1に対応する干渉光の信号→…というように、偏光状態の変更順に従って干渉光の信号を取得することができる。
【0035】
ここで、図3のケースにおいてトリガ信号生成部203が変調トリガ信号を有効パルス(ADトリガ信号)ではなく掃引信号に基づいて生成した場合について、図4を用いて説明する。
【0036】
トリガ信号生成部203が、掃引信号のパルスを検出するたびにハイ/ローが切り替わるパルス信号を変調トリガ信号として生成し、EOM205が変調トリガ信号においてパルスの立ち上がりから立ち下りの期間中は測定光を第1の偏光状態に偏光し、変調トリガ信号においてパルスの立ち下りから立ち上がりの期間中は測定光を第2の偏光状態に偏光したとする。このとき、変調トリガ信号においてパルスの立ち上がりから立ち下りの期間中は、第1の偏光状態に偏光された測定光に対応する反射光と参照光との干渉光の干渉光信号がA/D変換部257に入力され、パルスの立ち下りから立ち上がりの期間中は、第2の偏光状態に偏光された測定光に対応する反射光と参照光との干渉光の干渉光信号がA/D変換部257に入力される。しかし、A/D変換部257は、ADトリガ信号におけるパルスに対応する干渉光信号をA/D変換するのであるから、図4の場合、A/D変換部257には状態1に対応する干渉光信号、状態2に対応する干渉光信号、状態1に対応する干渉光信号、…というように偏光状態の切り替え順に対応する干渉光信号が入力されるものの、ADトリガ信号に従ってA/D変換を行うと、状態1に対応する干渉光信号、状態1に対応する干渉光信号、状態2に対応する干渉光信号、…というように偏光状態の切り替え順に応じた干渉光信号をA/D変換することができない。
【0037】
本実施形態では、偏光感受型OCTにおいて、(光源の周波数とMDU201の動作周波数とが異なっていることに起因して)エンコーダパルス信号に基づいて掃引信号から選択した有効パルスに応じて干渉光信号をA/D変換する場合であっても、測定光の偏光状態の切り替え順に対応する干渉光信号を収集することができる。
【0038】
以上説明した、図2のブロック図の構成による処理について、図5のフローチャートに従って説明する。
【0039】
ステップS501では、MDU201は、2048パルス毎回転のパルス信号をエンコーダパルス信号としてエンコーダ信号変換部202に出力する。
【0040】
ステップS502では、エンコーダ信号変換部202は、MDU201からのエンコーダパルス信号を適当なパルス数のパルス信号に変換し、該変換したパルス信号をトリガ信号生成部203に対して出力する。
【0041】
ステップS503では、オプティカル部256は、波長掃引光の所定状態のタイミングを示すパルス信号を掃引信号としてトリガ信号生成部203に対して出力する。
【0042】
ステップS504では、トリガ信号生成部203は、掃引信号としてのパルス信号から有効パルスをエンコーダパルス信号に基づいて決定し、該有効パルスから成るパルス信号をADトリガ信号として生成する。更にトリガ信号生成部203は、ADトリガ信号のパルスのタイミングごとにハイ/ローが切り替わるパルス信号を変調トリガ信号として生成する。
【0043】
ステップS505では、EOM205は測定光の偏光状態を、変調トリガ信号に基づいて切り替える。
【0044】
ステップS506では、A/D変換部257は、トリガ信号生成部203からのADトリガ信号においてパルスを検知すると、該パルスに対応する干渉光信号としてオプティカル部256から受けた干渉光信号をA/D変換し、該A/D変換した信号を信号処理部258に対して送出する。
【0045】
ステップS507では、信号処理部258は、A/D変換部257からの信号を処理する。信号の処理内容については上記の通り様々なものが考えられ、特定の処理内容に限らない。
【0046】
[第2の実施形態]
エンコーダ信号変換部202において512パルス毎回転、1024パルス毎回転、2048パルス毎回転の何れのパルス信号に変換するのかについては、例えばユーザがLCDモニタ113に表示されている設定画面を参照しながらマウス114を用いて設定しても良い。また、回転数に応じてパルス数を設定し、回転数を選択することで間接的にパルス数を設定しても良い。もちろん、変換するパルス数の設定方法については特定の設定方法に限るものではない。
【0047】
また、上記の説明において使用した各数値は、あくまで、説明を具体的に行うために用いた一例であり、第1,2の実施形態の動作は、これらの数値に限定されるものではない。
【0048】
また、上記の実施形態において使用した「サンプリング」は、入力された信号のうち必要な信号をサンプリングする、と解釈しても良いし、入力された信号を取得済み信号として格納しておき、該格納しておいた信号から必要な信号をサンプリングする、と解釈しても良い。
【0049】
また、「イメージングコアの回転に応じたパルス信号」については、上記の実施形態の場合、MDU201が発するものとして説明しているが、これに限るものではない。例えば、カテーテル自身が能動的に発するようにしてもよい。
【0050】
エンコーダ信号変換部202はなくても良い。
【0051】
偏光状態を切り替える機構としてあげたEOM205は、市販されている一つにパッケージされた光学製品に限らない。
【0052】
EOM205の手前に偏光子を設置しても構わない。
【0053】
上記の通り、上記の各処理は、制御部251がコンピュータプログラムやデータを用いて各処理を実行することで各部の動作制御を行い、これによって各部が動作することで、その機能を実現するわけであるから、当然、該コンピュータプログラムも本願発明の範疇になる。また、通常コンピュータプログラムは、CD−ROMやDVD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に格納されており、コンピュータが有する読み取り装置(CD−ROMドライブ等)にセットし、システムにコピーもしくはインストールすることで実行可能になるわけであるから、係るコンピュータ読み取り可能な記憶媒体も本願発明の範疇に入ることも明らかである。
【0054】
本発明は上記実施の形態に制限されるものではなく、本発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、本発明の範囲を公にするために、以下の請求項を添付する。
【0055】
本願は、2016年9月27日提出の日本国特許出願特願2016−188696を基礎として優先権を主張するものであり、その記載内容の全てを、ここに援用する。
図1
図2
図3
図4
図5