特許第6827061号(P6827061)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6827061-洗濯乾燥一体機及び制御方法 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6827061
(24)【登録日】2021年1月20日
(45)【発行日】2021年2月10日
(54)【発明の名称】洗濯乾燥一体機及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   D06F 29/00 20060101AFI20210128BHJP
   D06F 39/04 20060101ALI20210128BHJP
   D06F 58/02 20060101ALI20210128BHJP
   D06F 58/26 20060101ALI20210128BHJP
   D06F 33/00 20200101ALI20210128BHJP
   D06F 58/30 20200101ALI20210128BHJP
【FI】
   D06F29/00 A
   D06F39/04 Z
   D06F58/02 A
   D06F58/26
   D06F33/00 Z
   D06F58/30
【請求項の数】14
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-567809(P2018-567809)
(86)(22)【出願日】2017年6月22日
(65)【公表番号】特表2019-520908(P2019-520908A)
(43)【公表日】2019年7月25日
(86)【国際出願番号】CN2017089515
(87)【国際公開番号】WO2018001161
(87)【国際公開日】20180104
【審査請求日】2019年4月4日
(31)【優先権主張番号】201610488304.6
(32)【優先日】2016年6月27日
(33)【優先権主張国】CN
(31)【優先権主張番号】201610487725.7
(32)【優先日】2016年6月27日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】李文偉
(72)【発明者】
【氏名】常園園
(72)【発明者】
【氏名】呉軍
(72)【発明者】
【氏名】王金凱
(72)【発明者】
【氏名】王育宝
(72)【発明者】
【氏名】潘光輝
【審査官】 石井 茂
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0041258(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0119072(US,A1)
【文献】 特開平07−000680(JP,A)
【文献】 特開2011−218055(JP,A)
【文献】 特開平05−123491(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 1/00−51/02
D06F 58/00−60/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
ハウジング内にそれぞれ設けられて単独で運転する衣類乾燥用の衣類乾燥ドラムユニット及び洗濯用の洗濯ドラムユニットを含むとともに、
加熱装置を更に含み、加熱装置は衣類乾燥ドラムと洗濯ドラムに対し、別々又は同時に熱風を供給可能であり、
加熱装置は2本の分岐通風ダクトを介して洗濯ドラムに接続されており、洗濯ドラム内の水と空気に対しそれぞれ熱風を供給することを特徴とする洗濯乾燥一体機。
【請求項2】
同一又は同一組の加熱装置が、通風ダクトを介して、衣類乾燥ドラムユニットにおける衣類乾燥ドラムと、洗濯ドラムユニットにおける洗濯ドラムにそれぞれ接続されていることを特徴とする請求項1に記載の洗濯乾燥一体機。
【請求項3】
加熱装置はヒータとファンを含み、
ヒータは、ハウジング及びハウジング内に位置するヒータ線を含み、ヒータのハウジングが2本の通風ダクトを介して衣類乾燥ドラムと洗濯ドラムにそれぞれ接続されており、更に、ヒータのハウジングはダクトを介してファンに接続されていることを特徴とする請求項2に記載の洗濯乾燥一体機。
【請求項4】
各通風ダクトにはバルブが設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の洗濯乾燥一体機。
【請求項5】
衣類乾燥ドラムと洗濯ドラムは上下に配列するよう設けられ、加熱装置が衣類乾燥ドラムと洗濯ドラムの間に位置していることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の洗濯乾燥一体機。
【請求項6】
衣類乾燥用の衣類乾燥ドラムユニットは、洗濯用の洗濯ドラムユニットの上方に位置しており、
前記衣類乾燥ドラムユニットは衣類乾燥ドラムを含み、衣類乾燥ドラムは回動可能にハウジング内に設けられており、
前記洗濯ドラムユニットは、ハウジング内に装着される外槽と、回動可能に外槽内に設けられる内槽を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の洗濯乾燥一体機。
【請求項7】
洗濯乾燥一体機は、衣類乾燥ドラムと洗濯ドラムの熱風ニーズに基づいて、衣類乾燥ドラムに熱風を供給する通風ダクトのバルブを開閉するか、或いは、洗濯ドラムに熱風を供給する通風ダクトのバルブを開閉することを特徴とする請求項6に記載の洗濯乾燥一体機。
【請求項8】
洗濯乾燥一体機の内部に設けられる同一組の加熱装置は2つ又は複数の加熱装置を含み、
加熱装置を組み合わせてオン・オフすることで各種パワーの加熱装置の組み合わせを形成し、衣類乾燥ドラムと洗濯ドラムに対し別々又は同時に熱風を供給することを特徴とする請求項7に記載の洗濯乾燥一体機。
【請求項9】
加熱装置群は2つ又は複数の加熱装置を含み、加熱装置群の加熱装置を組み合わせてオン・オフすることで、各種パワーの加熱装置の組み合わせを形成することを特徴とする請求項1に記載の洗濯乾燥一体機。
【請求項10】
第1加熱装置群が衣類乾燥ドラムユニットの衣類乾燥ドラムに接続されるとともに、第2加熱装置群が洗濯ドラムユニットの洗濯ドラムに接続されることを特徴とする請求項9に記載の洗濯乾燥一体機。
【請求項11】
洗濯乾燥一体機の内部には第1及び第2の加熱装置群が設けられ、各加熱装置群は、対応する加熱装置を組み合わせてオン・オフするよう制御することで各種パワーの加熱装置の組み合わせを形成し、洗濯乾燥一体機システムの最大許容加熱パワーを超えることなく最大限の加熱効率を実現し、
洗濯乾燥一体機システムにおける最大許容加熱パワーは、洗濯乾燥一体機システムの最大許容電流に応じた最大パワーであり、
第1又は第2の加熱装置群の動作を要する場合には、起動済みの加熱装置群における実際のパワーと、起動しようとする加熱装置群のパワー、及び洗濯乾燥一体機システムにおける最大許容加熱パワーに基づいて、起動後の洗濯乾燥一体機における実際のパワーが洗濯乾燥一体機システムの最大許容加熱パワーを超えることのないよう、起動しようとする加熱装置群における加熱装置を全て起動するか、一部を起動するか、或いは停止させるかを判断することを特徴とする洗濯乾燥一体機の制御方法。
【請求項12】
起動しようとする加熱装置群に対応する予定起動パワーと、起動済みの加熱装置群における実際のパワーとの和が、洗濯乾燥一体機システムにおける最大許容加熱パワー以下となる場合には、起動しようとする加熱装置群における加熱装置を全て起動するが、洗濯乾燥一体機システムにおける最大許容加熱パワーよりも大きくなる場合には、加熱装置の一部を起動することを特徴とする請求項11に記載の洗濯乾燥一体機の制御方法。
【請求項13】
起動しようとする加熱装置群における一部の加熱装置を起動する場合、起動する加熱装置のパワーと実際に起動済みの加熱装置群のパワーとの和は、洗濯乾燥一体機システムにおける最大許容加熱パワー以下となることを特徴とする請求項12に記載の洗濯乾燥一体機の制御方法。
【請求項14】
起動しようとする加熱装置群を起動する場合には、起動済みの加熱装置群が加熱を終えた後、或いは、洗濯乾燥一体機が起動済みの加熱装置群のパワーを自発的に低下させた後に、起動しようとする加熱装置群のパワーと起動済みの加熱装置群の実際のパワーとの和が洗濯乾燥一体機システムにおける最大許容加熱パワーよりも小さくなるか否かを検出し、起動しようとする加熱装置群における加熱装置を、加熱が終了するまで全て起動するか、一部を起動するか、或いは停止させるかを判断することを特徴とする請求項13に記載の洗濯乾燥一体機の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は洗濯乾燥一体機に関し、洗濯乾燥一体機の分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来の洗濯乾燥一体機において、乾燥機は、水分を蒸発させて乾燥の目的を達成するために、内部の衣類を加熱する熱風を必要とする。しかし、乾燥機に熱風を供給する加熱装置は機能が単一的であり、乾燥機の内部を加熱するにすぎない。また、洗濯機の加熱装置は洗濯機に熱風を供給し、乾燥機内部における乾燥用の熱風が無駄に排出されてしまう。
【0003】
このほか、従来の洗濯乾燥一体機では、乾燥機が、水分を蒸発させて乾燥の目的を達成するために、内部の衣類を加熱する熱を必要とする。しかし、乾燥機内の衣類は数や水分含有量がその都度異なるため、実際のニーズに適応するためには、加熱装置のパワーを調整可能な洗濯乾燥一体機が必要である。また、乾燥機内部における乾燥用の熱が無駄に排出されている。
【0004】
上記に鑑みて、本発明を提案する。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、従来技術における瑕疵を解消し、加熱装置の多機能化を実現可能な洗濯乾燥一体機を提供することを解決すべき技術的課題とする。また、本発明の他の目的は、衣類乾燥用の熱風の再利用を実現することである。
【0006】
上記の技術的課題を解決すべく、本発明で採用する技術方案の基本思想について以下に述べる。
【0007】
洗濯乾燥一体機であって、ハウジング内にそれぞれ設けられて単独で運転する衣類乾燥用の衣類乾燥ドラムユニット及び洗濯用の洗濯ドラムユニットを含むとともに、加熱装置を更に含み、加熱装置は衣類乾燥ドラムと洗濯ドラムに対し、別々又は同時に熱風を供給可能である。
【0008】
更に、同一又は同一組の加熱装置が、通風ダクトを介して、衣類乾燥ドラムユニットにおける衣類乾燥ドラムと、洗濯ドラムユニットにおける洗濯ドラムにそれぞれ接続されている。
【0009】
更に、加熱装置はヒータとファンを含み、ヒータは、ハウジング及びハウジング内に位置するヒータ線を含み、ヒータのハウジングが2本の通風ダクトを介して衣類乾燥ドラムと洗濯ドラムにそれぞれ接続されており、更に、ヒータのハウジングはダクトを介してファンに接続されている。
【0010】
更に、加熱装置は2本の分岐通風ダクトを介して洗濯ドラムに接続されており、洗濯ドラム内の水と空気に対しそれぞれ熱風を供給する。
【0011】
更に、各通風ダクトにはバルブが設けられている。
【0012】
更に、衣類乾燥ドラムと洗濯ドラムは上下に配列するよう設けられ、加熱装置が衣類乾燥ドラムと洗濯ドラムの間に位置している。
【0013】
更に、衣類乾燥用の衣類乾燥ドラムユニットは、洗濯用の洗濯ドラムユニットの上方に位置しており、前記衣類乾燥ドラムユニットは衣類乾燥ドラムを含み、衣類乾燥ドラムは回動可能にハウジング内に設けられており、前記洗濯ドラムユニットは、ハウジング内に装着される外槽と、回動可能に外槽内に設けられる内槽を含む。
【0014】
更に、洗濯乾燥一体機は、衣類乾燥ドラムと洗濯ドラムの熱風ニーズに基づいて、衣類乾燥ドラムに熱風を供給する通風ダクトのバルブを開閉するか、或いは、洗濯ドラムに熱風を供給する通風ダクトのバルブを開閉する。
【0015】
更に、洗濯乾燥一体機の内部に設けられる同一組の加熱装置は2つ又は複数の加熱装置を含み、システムにおける所定の加熱パワーとリアルタイムの加熱パワーの組み合わせに基づき、オン・オフすることで各種パワーの加熱装置の組み合わせを形成し、衣類乾燥ドラムと洗濯ドラムに対し別々又は同時に熱風を供給する。
【0016】
上記の技術方案を用いることで、本発明は従来技術と比較して以下のような有益な効果を有する。
【0017】
本発明の洗濯乾燥一体機は、ハウジング内にそれぞれ設けられて単独で運転する衣類乾燥用の衣類乾燥ドラムユニット及び洗濯用の洗濯ドラムユニットを含む。また、同一又は同一組の加熱装置から衣類乾燥ドラムと洗濯ドラムに対し熱風を供給するとともに、加熱装置と衣類乾燥ドラム及び洗濯ドラムとの間の通気ダクトにおけるバルブを開閉することで、衣類乾燥ドラムと洗濯ドラムに対し別々の熱風供給又は同時の熱風供給を実現する。同一又は同一組の加熱装置を熱源として熱風を供給するため、デバイスコストが削減され、且つ軽量化しながら、衣類乾燥ドラム、洗濯ドラムに対する別々の熱供給又は同時の熱供給を実現可能となり、加熱装置の多機能化が実現される。また、本発明によれば、衣類乾燥用の熱風の再利用が実現される。衣類乾燥ドラム内の湿潤な高温空気からなる熱風を洗濯ドラム内に熱風として供給可能なことから、エネルギーの再利用率が向上する。
【0018】
本発明は、従来技術における瑕疵を解消し、加熱装置のパワーを組み合わせて使用することで実際のニーズに適応可能であるとともに、実際のパワーが大きくなり過ぎることに起因する運転異常が発生し得ない洗濯乾燥一体機及び制御方法を提供することを解決すべき課題とする。また、本発明の他の目的は、衣類乾燥用の熱の再利用を実現することである。
【0019】
上記の技術的課題を解決すべく、本発明で採用する技術方案の基本思想について以下に述べる。
【0020】
洗濯乾燥一体機であって、ハウジングと、ハウジング内にそれぞれ設けられて単独で運転する衣類乾燥用の衣類乾燥ドラムユニット及び洗濯用の洗濯ドラムユニットを含むとともに、加熱装置群を更に含み、加熱装置群は2つ又は複数の加熱装置を含み、加熱装置群の加熱装置を組み合わせてオン・オフすることで、各種パワーの加熱装置の組み合わせを形成する。
【0021】
更に、第1加熱装置群が衣類乾燥ドラムユニットの衣類乾燥ドラムに接続されるとともに、第2加熱装置群が洗濯ドラムユニットの洗濯ドラムに接続される。
【0022】
洗濯乾燥一体機の制御方法であって、洗濯乾燥一体機の内部には第1及び第2の加熱装置群が設けられ、各加熱装置群は、システムにおける所定の加熱パワーとリアルタイムの加熱パワーに基づいて、対応する加熱装置を組み合わせてオン・オフするよう制御することで各種パワーの加熱装置の組み合わせを形成し、洗濯乾燥一体機システムの最大許容加熱パワーを超えることなく最大限の加熱効率を実現する。
【0023】
更に、洗濯乾燥一体機システムにおける最大許容加熱パワーは、洗濯乾燥一体機システムの最大許容電流に応じた最大パワーである。
【0024】
更に、第1又は第2の加熱装置群の動作を要する場合には、起動済みの加熱装置群における実際のパワーと、起動しようとする加熱装置群のパワー、及び洗濯乾燥一体機システムにおける最大許容加熱パワーに基づいて、起動後の洗濯乾燥一体機における実際のパワーが洗濯乾燥一体機システムの最大許容加熱パワーを超えることのないよう、起動しようとする加熱装置群における加熱装置を全て起動するか、一部を起動するか、或いは停止させるかを判断する。
【0025】
更に、起動しようとする加熱装置群に対応する予定起動パワーと、起動済みの加熱装置群における実際のパワーとの和が、洗濯乾燥一体機システムにおける最大許容加熱パワー以下となる場合には、起動しようとする加熱装置群における加熱装置を全て起動するが、洗濯乾燥一体機システムにおける最大許容加熱パワーよりも大きくなる場合には、加熱装置の一部を起動する。
【0026】
更に、起動しようとする加熱装置群における一部の加熱装置を起動する場合、起動する加熱装置のパワーと実際に起動済みの加熱装置群のパワーとの和は、洗濯乾燥一体機システムにおける最大許容加熱パワー以下となる。
【0027】
更に、起動しようとする加熱装置群を起動する場合には、起動済みの加熱装置群が加熱を終えた後、或いは、洗濯乾燥一体機が起動済みの加熱装置群のパワーを自発的に低下させた後に、起動しようとする加熱装置群のパワーと起動済みの加熱装置群の実際のパワーとの和が洗濯乾燥一体機システムにおける最大許容加熱パワーよりも小さくなるか否かを検出し、起動しようとする加熱装置群における加熱装置を、加熱が終了するまで全て起動するか、一部を起動するか、或いは停止させるかを判断する。上記の技術方案を用いることで、本発明は従来技術と比較して以下のような有益な効果を有する。
【0028】
本発明の洗濯乾燥一体機は、ハウジングと、ハウジング内にそれぞれ設けられて単独で運転する衣類乾燥用の衣類乾燥ドラムユニット及び洗濯用の洗濯ドラムユニットを含むとともに、加熱装置群を更に含み、加熱装置群は2つ又は複数の加熱装置を含み、加熱装置群の加熱装置を組み合わせてオン・オフすることで、各種パワーの加熱装置の組み合わせを形成する。加熱装置の組み合わせが実現されるため、衣類乾燥ドラム及び洗濯ドラム内の衣類の数や水量の程度が異なる場合には、加熱装置の組み合わせ数を調整して加熱装置のパワーを変更することで、衣類乾燥の効率向上や洗濯効率の向上が可能となる。本発明によれば、衣類乾燥用の熱の再利用が実現される。衣類乾燥ドラム内の湿潤な高温空気からなる熱を洗濯ドラム内に熱として供給可能なことから、エネルギーの再利用率が向上する。
【0029】
本発明の洗濯乾燥一体機の制御方法では、洗濯乾燥一体機の内部に複数の加熱装置群が設けられ、システムにおける所定の加熱パワーとリアルタイムの加熱パワーの組み合わせに基づきオン・オフすることで、各種パワーの加熱装置の組み合わせを形成可能である。よって、洗濯乾燥一体機システムの最大許容加熱パワーを超えることなく最大限の加熱効率を実現して、衣類乾燥ドラムと洗濯ドラムに熱を供給可能となる。また、起動済みの加熱装置の実際のパワーと起動しようとする加熱装置の定格パワーとの和が、洗濯乾燥一体機システムにおける予め定められた最大許容加熱パワーを超えるか否かを判断することで、起動しようとする加熱装置の起動を許可するか否かを決定するため、実際のパワーが大きすぎることに起因して洗濯乾燥一体機に異常が生じるとの事態が回避される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1図1は、本発明の実施例1における洗濯乾燥一体機の構造を示す図である。
図2図2は、本発明の実施例2における洗濯乾燥一体機の構造を示す図である。
図3図3は、本発明の実施例3における洗濯乾燥一体機の構造を示す図である。
図4図4は、本発明の実施例4における洗濯乾燥一体機の構造を示す図である。
図5図5は、本発明の実施例5における洗濯乾燥一体機の構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に、図面を組み合わせて、本発明の洗濯乾燥一体機及び制御方法について詳述する。
【実施例1】
【0032】
図1に示すように、本発明の洗濯乾燥一体機は、ハウジングと、ハウジング内にそれぞれ設けられて単独で運転する衣類乾燥用の衣類乾燥ドラムユニット及び洗濯用の洗濯ドラムユニットを含むとともに、加熱装置を更に含む。同一又は同一組の加熱装置は、2本の通風ダクトを介して、衣類乾燥ドラムユニットにおける衣類乾燥ドラムと、洗濯ドラムユニットにおける洗濯ドラムにそれぞれ接続されている。加熱装置は衣類乾燥ドラムと洗濯ドラムに対し、別々又は同時に熱風を供給可能である。
【0033】
本実施例において、加熱装置はヒータとファンを含む。ヒータは、ハウジング及びハウジング内に位置するヒータ線を含み、ヒータのハウジングが2本の通風ダクトを介して衣類乾燥ドラムと洗濯ドラムにそれぞれ接続されている。更に、ヒータのハウジングはダクトを介してファンに接続されている。ファンは、ヒータから発生した熱を、2本の通風ダクトを通じて衣類乾燥ドラムと洗濯ドラムにそれぞれ送出する。
【0034】
2本の通風ダクトにはバルブが設けられており、洗濯乾燥一体機は衣類乾燥ドラムと洗濯ドラムの熱風ニーズに基づいて、衣類乾燥ドラムに熱風を供給する通風ダクトのバルブを開閉するか、或いは、洗濯ドラムに熱風を供給する通風ダクトのバルブを開閉する。バルブの開閉制御によって、加熱装置は、衣類乾燥ドラムと洗濯ドラムに対し別々又は同時に熱風を供給可能である。
【0035】
加熱装置から衣類乾燥ドラムに熱風を供給することで、衣類乾燥ドラム内の衣類を乾燥させる。また、洗濯ドラムに熱風を供給することで、洗濯ドラム内の水温が上昇して汚れを除去しやすくなる。
【0036】
その他の実施例において、洗濯ドラムに接続される通風ダクトは、洗濯ドラムにおける吸風口が水面の上方に位置しており、洗濯ドラム内の空気を加熱可能である。
【0037】
本実施例によれば、同一の加熱装置から衣類乾燥ドラムと洗濯ドラムに対しそれぞれ熱風を供給するために有利となる。
【0038】
また、占有面積を縮小するために、衣類乾燥ドラムと洗濯ドラムは上下に配列するよう設けられ、加熱装置が衣類乾燥ドラムと洗濯ドラムの間に位置している。
【0039】
本発明の洗濯乾燥一体機では、1つの加熱装置から衣類乾燥ドラムと洗濯ドラムに対し熱風が供給される。また、加熱装置と衣類乾燥ドラム及び洗濯ドラムとの間の通気ダクトにおけるバルブを開閉することで、衣類乾燥ドラムと洗濯ドラムに対し別々の熱供給又は同時の熱供給を実現可能である。1つの加熱装置を熱源として熱風を供給するため、デバイスコストが削減され、且つ軽量化しながら、衣類乾燥ドラム、洗濯ドラムに対する別々の熱供給又は同時の熱供給を実現可能となる。
【実施例2】
【0040】
図2に示すように、本実施例は、加熱装置と洗濯ドラムを接続する通風ダクトが2本分岐通風ダクトを含む点で実施例1とは異なる。一方の分岐通風ダクトの吸風口は洗濯ドラムの水面下方に位置し、洗濯ドラム内の水を加熱するとともに、気流の吹き付けによって衣類を捌く作用を奏する。また、他方の分岐通風ダクトの吸風口は洗濯ドラムの水面上方に位置し、洗濯ドラム内の空気を加熱する。
【0041】
2つの分岐通風ダクトにはバルブが備わっている。バルブの開閉制御によって、加熱装置は、洗濯ドラム内の水と洗濯ドラム内の空気に対し別々又は同時に熱風を供給可能となるため、洗浄による汚れ除去効果が向上する。
【実施例3】
【0042】
図3に示すように、本実施例は、衣類乾燥ドラムの排風口に排風ダクトが接続されている点で実施例2とは異なる。排風ダクトは2つの分岐排風ダクトを含む。一方の分岐排風ダクトは外部に接続されるか、凝縮器に接続された後に加熱装置に接続されることで風の循環を形成する。また、他方の分岐排風ダクトは洗濯ドラムに接続される。且つ、この分岐排風ダクトは洗濯ドラムの2つの吸風口にそれぞれ接続されている。一方の吸風口は洗濯ドラム内の水面上方に位置しており、他方の吸風口は洗濯ドラム内の水面下方に位置している。2つの吸風口に装着された2つのバルブを開閉することで(図示しない)、洗濯ドラムの水と洗濯ドラムの空気に対し別々又は同時に熱風を供給可能である。
【0043】
本発明によれば、衣類乾燥用の熱風の再利用が実現される。衣類乾燥ドラム内の湿潤な高温空気からなる熱風を洗濯ドラム内に熱風として供給可能なことから、エネルギーの再利用率が向上する。
【実施例4】
【0044】
本実施例は、洗濯乾燥一体機の内部に設けられる同一組の加熱装置が2つ又は複数の加熱装置を含む点で実施例1とは異なる。これらの加熱装置は、システムにおける所定の加熱パワーとリアルタイムの加熱パワーの組み合わせに基づき、オン・オフすることで各種パワーの加熱装置の組み合わせを形成し、衣類乾燥ドラムと洗濯ドラムに対し別々又は同時に熱風を供給する。また、洗濯ドラムと衣類乾燥ドラムの熱風ニーズに基づき通風ダクトのバルブを調節し、衣類乾燥ドラムと洗濯ドラムにそれぞれ供給する熱風の大きさを制御することで、洗濯乾燥一体機システムの最大許容加熱パワーを超えることなく最大限の加熱効率を実現する。
【0045】
洗濯ドラムと衣類乾燥ドラムが同時に起動する場合、洗浄及び乾燥に要する熱風は毎回同じとは限らない。そこで、その時々の洗浄及び乾燥の熱風ニーズに適応するためには、組み合わせにより各種パワーを形成可能な複数の加熱装置が必要となる。また、洗濯ドラムと衣類乾燥ドラムの熱風ニーズは一様ではないため、通風ダクトのバルブを調節することで、衣類乾燥ドラムと洗濯ドラムに供給する熱風の大きさを制御する必要がある。
【実施例5】
【0046】
図4に示すように、本発明の洗濯乾燥一体機は、ハウジングと、ハウジング内にそれぞれ設けられて単独で運転する衣類乾燥用の衣類乾燥ドラムユニット及び洗濯用の洗濯ドラムユニットを含むとともに、加熱装置群を更に含む。加熱装置群は2つ又は複数の加熱装置を含む。加熱装置群の加熱装置を組み合わせてオン・オフすることで、各種パワーの加熱装置の組み合わせが形成される。
【0047】
本実施例では、衣類乾燥ドラムユニットの衣類乾燥ドラム及び洗濯ドラムユニットの洗濯ドラムに対して熱を供給する加熱装置群が、それぞれ独立して設けられる。洗濯乾燥一体機の内部には第1及び第2の加熱装置群が設けられ、第1加熱装置群が衣類乾燥ドラムユニットの衣類乾燥ドラムに接続されるとともに、第2加熱装置群が洗濯ドラムユニットの洗濯ドラムに接続される。衣類乾燥ドラムに熱を供給する第1加熱装置群における複数の加熱装置は、実際のニーズに基づき組み合わされてオン・オフすることで、各種パワーの加熱装置の組み合わせを形成可能である。また、洗濯ドラムに熱を供給する第2加熱装置群の複数の加熱装置は、実際のニーズに基づき組み合わされてオン・オフすることで、各種パワーの加熱装置の組み合わせを形成可能である。
【0048】
その他の実施例において、複数の加熱装置により形成される各種パワーの加熱装置の組み合わせは、いずれも衣類乾燥ドラムの内部及び洗濯ドラムの内部に対し熱を供給可能である。
【0049】
起動済みの加熱装置の実際のパワーが洗濯乾燥一体機システムにおける予め定められた最大許容加熱パワーに到達するか、最大許容加熱パワーに近接している場合、別の加熱装置を起動するとデバイス全体の実際のパワーが洗濯乾燥一体機システムにおける予め定められた最大許容加熱パワーを超過してしまう。そのため、洗濯乾燥一体機における運転の安全性が守られるよう、この加熱装置の起動は許可されない。洗濯乾燥一体機システムにおける最大許容加熱パワーは、洗濯乾燥一体機システムの最大許容電流に応じた最大パワーとする。
【0050】
本発明の洗濯乾燥一体機は、衣類乾燥ドラムと洗濯ドラムを含むとともに、加熱装置群を更に含む。加熱装置群は衣類乾燥ドラムと洗濯ドラムに熱を供給する。加熱装置群における複数の加熱装置は、実際のニーズに基づき組み合わされてオン・オフすることで、各種加熱パワーの加熱装置の組み合わせを形成可能である。複数の加熱装置の組み合わせが実現されるため、衣類乾燥ドラム及び洗濯ドラム内の衣類の数や水量の程度が異なる場合には、加熱装置の組み合わせ数を調整して加熱装置のパワーを変更することで、衣類乾燥の効率向上や洗濯効率の向上が可能となる。
【実施例6】
【0051】
本実施例は、図5に示すように、衣類乾燥ドラムに排気口が設けられる点で実施例5とは異なる。排気口に接続される排気ダクトは2つの分岐排気ダクトを含む。一方の分岐排気ダクトは外部と連通するか、凝縮器に接続された後に加熱装置群に接続され、最後に衣類乾燥ドラムの吸風口に接続されることで風の循環を形成する。また、他方の分岐排気ダクトは洗濯ドラムに連通している。洗濯ドラムに接続される衣類乾燥ドラムの分岐排気ダクトは、洗濯ドラムの水と洗濯ドラムの空気に対し、別々又は同時に排気することが可能である。
【0052】
加熱装置群と洗濯ドラムを接続する分岐排気ダクトは2本の二次分岐路を含む。一方の二次分岐路の排気口は洗濯ドラムの水面下方に位置し、洗濯ドラム内の水を加熱するとともに、気流の吹き付けによって衣類を捌く作用を奏する。また、他方の二次分岐路の排気口は洗濯ドラムの水面上方に位置し、洗濯ドラム内の空気を加熱する。
【0053】
2つの二次分岐路にはバルブが備わっている。バルブの開閉制御によって、加熱装置は、洗濯ドラムの水と洗濯ドラムの空気に対し別々又は同時に熱を供給可能となるため、洗浄による汚れ除去効果が向上する。
【0054】
本発明によれば、衣類乾燥用の熱の再利用が実現される。衣類乾燥ドラム内の湿潤な高温空気からなる熱を洗濯ドラム内に熱として供給可能なことから、エネルギーの再利用率が向上する。
【実施例7】
【0055】
本実施例は洗濯乾燥一体機の制御方法であり、実施例1又は2に記載の洗濯乾燥一体機上で実施される。
【0056】
洗濯乾燥一体機の内部には第1及び第2の加熱装置群が設けられ、各加熱装置群は2つ又は複数の加熱装置を含む。各加熱装置群は、システムにおける所定の加熱パワーとリアルタイムの加熱パワーに基づいて、対応する加熱装置を組み合わせてオン・オフするよう制御することで、各種加熱パワーの加熱装置の組み合わせを形成し、洗濯乾燥一体機システムの最大許容加熱パワーを超えることなく最大限の加熱効率を実現する。
【0057】
洗濯乾燥一体機システムにおける最大許容加熱パワーは、洗濯乾燥一体機システムの最大許容電流に応じた最大パワーとする。
【0058】
衣類乾燥ドラムと洗濯ドラムに対しそれぞれ単独で熱を供給する加熱装置群の動作を要する場合には、起動済みの加熱装置群における実際のパワーと、起動しようとする加熱装置群のパワー、及び洗濯乾燥一体機システムにおける最大許容加熱パワーに基づいて、起動後の洗濯乾燥一体機における実際のパワーが洗濯乾燥一体機システムの最大許容加熱パワーを超えることのないよう、起動しようとする加熱装置群における加熱装置を全て起動するか、一部を起動するか、或いは停止させるかを判断する。
【0059】
起動しようとする加熱装置群に対応する予定起動パワーと、起動済みの加熱装置群における実際のパワーとの和が、洗濯乾燥一体機システムにおける最大許容加熱パワー以下となる場合には、起動しようとする加熱装置群における加熱装置を全て起動するが、洗濯乾燥一体機システムにおける最大許容加熱パワーよりも大きくなる場合には、加熱装置の一部を起動する。
【0060】
起動しようとする加熱装置群における一部の加熱装置を起動する場合、起動する加熱装置のパワーと実際に起動済みの加熱装置群のパワーとの和は、洗濯乾燥一体機システムにおける最大許容加熱パワー以下となる。
【0061】
また、起動しようとする加熱装置の起動を許可しない場合には、警告を提示する。
【0062】
起動しようとする加熱装置群を起動する場合には、起動済みの加熱装置群が加熱を終えた後、或いは、洗濯乾燥一体機が起動済みの加熱装置群のパワーを自発的に低下させた後に、起動しようとする加熱装置群のパワーと起動済みの加熱装置群の実際のパワーとの和が洗濯乾燥一体機システムにおける最大許容加熱パワーよりも小さくなるか否かを検出し、起動しようとする加熱装置群における加熱装置を、加熱が終了するまで全て起動するか、一部を起動するか、或いは停止させるかを判断する。
【0063】
洗濯ドラム又は衣類乾燥ドラムのうちのいずれかのドラムを加熱したい場合には、乾燥効率ニーズ又はリアルタイムの洗浄加熱パワーニーズに基づいて、所望の加熱パワーを取得するとともに、加熱において起動を要する加熱装置の数を取得した後、対応する加熱装置を起動する。また、もう一方のドラムを加熱したい場合には、乾燥効率ニーズ又はリアルタイムの洗浄加熱パワーニーズに基づいて、所望の加熱パワーを取得する。例えば、起動済みの加熱装置のパワーを加味した場合に、洗濯乾燥一体機システムにおける予め定められた最大許容加熱パワーを超えるときには、起動する全ての加熱装置のパワーが洗濯乾燥一体機システムにおける予め定められた最大許容加熱パワーを超えなくなるまで、洗濯乾燥一体機はもう一方のドラムが加熱を要する加熱装置の数を自発的に逓減させる。これにより、もう一方のドラムの加熱装置を起動可能となる。
【0064】
上記の制御によって、ハイパワーの加熱装置が同時に起動した場合に、洗濯乾燥一体機システムにおける予め定められた最大許容加熱パワーを超過するとの事態が回避されるため、洗濯乾燥一体機の運転における安全性を保証可能となる。
【0065】
以上は本発明の好ましい実施例にすぎず、本発明を何らかの形式に限定するものではない。なお、本発明は好ましい実施例によって上記のように開示したが、本発明を限定するとの主旨ではなく、本発明の技術方案を逸脱しない範囲において、当業者が上述した技術内容を用いて行うわずかな変形或いは補足は、同等に変形された等価の実施例とみなされる。本発明の技術方案の内容を逸脱することなく、本発明の技術的本質に基づいて上記の実施例に加えられる簡単な補正、同等の変形及び補足は、いずれも本発明の方案の範囲内とされる。
【符号の説明】
【0066】
1 衣類乾燥ドラム
2 洗濯ドラム
3 ヒータ
4 ファン
5 バルブ
図1
図2
図3
図4
図5