特許第6827111号(P6827111)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6827111
(24)【登録日】2021年1月20日
(45)【発行日】2021年2月10日
(54)【発明の名称】回転検知装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 7/30 20060101AFI20210128BHJP
【FI】
   G01B7/30 M
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-525197(P2019-525197)
(86)(22)【出願日】2018年5月8日
(86)【国際出願番号】JP2018017714
(87)【国際公開番号】WO2018230188
(87)【国際公開日】20181220
【審査請求日】2019年11月15日
(31)【優先権主張番号】特願2017-117451(P2017-117451)
(32)【優先日】2017年6月15日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135183
【弁理士】
【氏名又は名称】大窪 克之
(74)【代理人】
【識別番号】100085453
【弁理士】
【氏名又は名称】野▲崎▼ 照夫
(74)【代理人】
【識別番号】100108006
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】菊池 信士
(72)【発明者】
【氏名】中山 敬介
【審査官】 眞岩 久恵
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−281788(JP,A)
【文献】 特開2000−283704(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 7/00−7/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体部と、
回転軸を有し、その回転軸を中心に回転可能となるように前記筐体部に保持されるホイール部と、
前記筐体部に保持され、前記ホイール部の回転に連動して回転し、この回転によって磁場が変化する磁石体と、
前記筐体部において前記磁石体と対応する位置に配置され、前記磁石体の磁場を検知する磁気検知部とを有し、
前記ホイール部内には、被検体としての軸状体が前記回転軸の方向に沿って前方から挿入可能であり、前記軸状体の回転にしたがって前記ホイール部が前記回転軸を中心に回転され、
前記ホイール部において、前記軸状体が挿入される筒状部の前方端部には、前記回転軸から離れる方へ広がる突縁部が設けられ、
前記筐体部は、前記軸状体が挿入される中空筒状の開口部が形成されたカバー部を備え、
前記カバー部と前記ホイール部は、前記開口部が前記突縁部の内側に位置するように互いに係合されることを特徴とする回転検知装置。
【請求項2】
前記筒状部の内周面と前記突縁部との稜線部には面取り部が形成されている請求項1に記載の回転検知装置。
【請求項3】
前記開口部の内周面は、前記挿入の方向の奥側に進むほど内径が小さくなる形状のガイド面を備える請求項1又は請求項2に記載の回転検知装置。
【請求項4】
前記突縁部には、前記挿入の方向の奥側の小径部と、前記小径部より手前側において前記小径部よりも大きな内径の大径部とを形成する段差部が設けられ、
前記段差部に前記開口部を係合させることによって、前記カバー部と前記ホイール部が互いに結合される請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の回転検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸状体がその中心軸を中心に回転した角度を検知する回転検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の回転角度検出装置は、ステアリング軸が回転するときに一体的に回転する回転体と、この回転体の筒状部の外側に配設される支持体とを備え、この支持体の挿通孔内に回転体の筒状部を挿通させた状態でケース内に配置されている。回転体は、筒状部の外方へ張り出す円板部と、内方へ突出する係合突部とを備え、円板部の周面に被検出体が設けられている。支持体は、円筒部と、円筒部の外側に張り出すセンサ支持部を有し、センサ支持部には、回転体の円板部の周面に対向させるようにセンサが固定されている。ステアリング軸は、その周面において軸線方向に向けて形成された一対の溝を有しており、この溝に回転体の係合突部を係合させた状態で筒状部内に挿入配置される。このような構成において、ステアリング軸の回転に応じて回転体が回転したときに、被検出体の動きがセンサによって検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−51636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の回転角度検出装置では、ケースに対する回転体の取り付け誤差や回転体の形状の製造誤差などによって、ケースに設けた孔の内周面の延長線上よりも内側に、回転体の筒状部が突出してしまう場合があり、このような状態でステアリング軸をケースの孔へ挿入すると、内側に突出した回転体の筒状部と衝突してしまうおそれがある。ステアリング軸が筒状部に衝突すると、回転体や支持体又はステアリング軸が破損したり、回転体と支持体の位置にずれが生じるといった問題が生じる。
【0005】
そこで本発明は、被検体としての軸状体と係合される回転体に取り付け誤差や製造上の誤差が生じたとしても、軸状体と回転体との衝突を避けることができ、又は、衝突があったとしても、構成部材の破損や位置ずれを抑えることができる回転検知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の回転検知装置は、筐体部と、回転軸を有し、その回転軸を中心に回転可能となるように筐体部に保持されるホイール部と、筐体部に保持され、ホイール部の回転に連動して回転し、この回転によって磁場が変化する磁石体と、筐体部において磁石体と対応する位置に配置され、磁石体の磁場を検知する磁気検知部とを有し、ホイール部内には被検体としての軸状体が回転軸の方向に沿って前方から挿入可能であり、軸状体の回転にしたがってホイール部が回転軸を中心に回転され、ホイール部において、軸状体が挿入される筒状部の前方端部には、回転軸から離れる方へ広がる突縁部が設けられ、筐体部は、軸状体が挿入される中空筒状の開口部が形成されたカバー部を備え、カバー部とホイール部は、開口部が突縁部の内側に位置するように互いに係合されることを特徴としている。
これにより、回転検知装置へ軸状体を挿入するときに、ホイール部よりも、その外側に位置するカバー部に先に接触しやすくなるため、ホイール部に対して強い衝撃が与えられることを防ぐことができる。
【0007】
本発明の回転検知装置において、筒状部の内周面と突縁部との稜線部には面取り部が形成されていることが好ましい。
これにより、回転検知装置へ軸状体を挿入するときに、回転体としてのホイール部に接触することがあっても、その衝撃を小さく抑えることが可能となるため、軸状体、ホイール、その他の構成部材の損傷や位置ずれの発生を防ぐことができる。
【0008】
本発明の回転検知装置において、開口部の内周面は、挿入の方向の奥側に進むほど内径が小さくなる形状のガイド面を備えることが好ましい。
これにより、軸状体を装置内へスムーズに案内することが可能となり、ホイール部などの構成部材への衝突を防ぐことができる。
【0009】
本発明の回転検知装置において、突縁部には、挿入の方向の奥側の小径部と、小径部より手前側において小径部よりも大きな内径の大径部とを形成する段差部が設けられ、段差部に開口部を係合させることによって、カバー部とホイール部が互いに結合されることが好ましい。
これにより、ホイール部をカバー部によって押さえ込みやすい構造となり、ホイール部の回転を安定させることができる。また、ホイール部よりも開口部の方を内側に位置させやすくなるため、軸状体がホイール部に衝突することを防ぎやすくなる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、回転体としてのホイール部に取り付け誤差や製造上の誤差が生じたとしても、軸状体と回転体との衝突を避けることができ、又は、衝突があったとしても、構成部材の破損や位置ずれを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る回転検知装置を前方から見た斜視図である。
図2図1の回転検知装置を後方から見た斜視図である。
図3】ケース部の構成を示す、前方から見た斜視図である。
図4】(A)、(B)はホイール部の構成を示す斜視図である。
図5】ホイール部の筒状部と突縁部の構成を示す一部拡大断面図である。
図6図5に示すホイール部を筐体部内に保持させた状態を示す一部拡大断面図である。
図7】カバー部を後側から見た斜視図である。
図8】カバー部を外した状態を前方から見た斜視図である。
図9】ケース部を外した状態を後方から見た斜視図である。
図10】磁気検知部と磁石体との関係を示す一部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態に係る回転検知装置について図面を参照しつつ詳しく説明する。図1図2は、本実施形態に係る回転検知装置10の構成を示す斜視図であり、図1は前方(図1のD1側)から見た図、図2は後方(図1のD2側)から見た図である。図3は、ケース部40の構成を示す、前方から見た斜視図である。図4は、ホイール部50の構成を示す斜視図であり、(A)は前方から見た図、(B)は後方から見た図である。図5は、ホイール部50の筒状部51と突縁部52の構成を示す一部拡大断面図、図6はホイール部50を筐体部20内に保持させた状態を示す一部拡大断面図である。各図において、D1方向は前方へ向かう方向、D2方向は後方へ向かう方向であり、前側から後側へ向けて見た状態を平面視ということがある。
【0013】
図1図2に示すように、回転検知装置10は、筐体部20と、筐体部20に保持されるホイール部50とを備える。筐体部20は、前方に配置されるカバー部30と後方に配置されるケース部40とが前後に互いに結合されてなる。筐体部20とホイール部50は各種の材料を用いることができるが、例えば、筐体部20をPBT(ポリブタジエンテレフタレート)で構成し、ホイール部50をPOM(ポリアセタール、ポリオキシメチレン)で構成すると、両者の弾性率の違いにより、両者間の摩耗を低減させることができる。
【0014】
カバー部30は、前後方向(D1−D2方向)に貫通する、平面視円形状の開口部31を備える。図1図6図6では、D1方向が図示上方向に向けられている)に示すように、開口部31は、前方から後方に向かうにしたがって径が小さくなる傾斜部32と、傾斜部32の後端部から薄板状に前後方向に沿って延びる円環部33とからなる。傾斜部32の内面32aは筐体部20内に挿入される軸状体Bを案内するガイド面となる。
【0015】
図3に示すように、ケース部40は、前後方向に貫通する、平面視円形状の開口部43を備える。この開口部43は、カバー部30とケース部40とを互いに結合したときに、カバー部30側の開口部31に対応する位置に設けられている。すなわち、カバー部30の開口部31とケース部40の開口部43は、それぞれの中心軸が互いに一致し、かつ、前後方向に沿って延びるように配置される。これら2つの開口部31、43によって、筐体部20を前後方向に貫通する開口20a(図1)が形成される。また、ケース部40の前面40aにおいて開口部43の下方には、前側へそれぞれ延びる2つの軸部41、42が設けられている。
【0016】
被検体としての軸状体B、例えばステアリング軸は、開口20aに対して、前後方向に沿って開口部31の前側から後側へ向かって挿入される。よって、前側(D1側)は軸状体Bの挿入方向において手前側であり、後側(D2側)は軸状体Bの挿入方向において奥側となる。
【0017】
図1図2に示すように、回転体としてのホイール部50は、回転軸AXを中心に回転可能となるように筐体部20に保持される。ホイール部50は、平面視円形状であり、回転軸AXを中心軸として、カバー部30の開口部31とケース部40の開口部43と同心状に配置される。したがって、ホイール部50の回転軸AXは、前後方向(D1−D2方向)に沿うように配置される。
【0018】
ここで、軸状体Bとホイール部50は、例えば、軸状体Bに設けた凸部とホイール部50に設けた凹部(凸部と凹部は図示せず)を互いに嵌合させる結合部を有することによって互いにスプライン係合され、これによって、軸状体Bをその回転軸のまわりに回転させると、ホイール部50もその回転軸AXを中心にして回転する。
または、回転検知装置10が被取り付け部(不図示)に取り付けられたときに、例えば、被取り付け部側にも筒状部51と同様に軸状体Bが挿通され、軸状体Bに連動して回動する部材(以下、連動部材とする)がある場合には、以下のような構造であっても良い。すなわち、軸状部Bには連動部材が連結され、かつ、その連動部材とホイール部50(筒状部51)の一端部が連結されることで、軸状部Bの回動に連動してホイール部50が回動する構造であっても良い。
【0019】
図4(A)と図4(B)に示すように、ホイール部50は、回転軸AXを中心軸とする中空の筒状部51と、筒状部51の前方端部から外側へ広がるように形成された突縁部52とを備える。別言すると、突縁部52は、回転軸AXから離れる方向へ広がるように形成されている。ここで、外側とは回転軸AXから離れる側であり、内側とは回転軸AXに近づく側である。
【0020】
図4図6に示すように、突縁部52は、小径部53、大径部54、及び、段差部55を備える。
図5に示すように、小径部53は、筒状部51の前方端部51aから外側へ広がるように形成され、環状をなしている。小径部53の外周面には所定のピッチの歯53bが形成されている(図9参照)。筒状部51の内周面51bと小径部53との稜線部53aは面取り部とされている。これにより、軸状体Bを挿入する際に稜線部53aに接触することがあっても、軸状体Bとホイール部50が破損したり組み立て位置にずれが生じる可能性を小さくすることができる。
【0021】
小径部53の外側端部からは段差部55が前方側(D1側)へ延びており、この段差部55の前方端部55aから外側へ広がるように大径部54が形成されている。大径部54は小径部53よりも内径が大きな環状をなしており、その外周面には小径部53の歯53bと同じピッチの歯54bが形成されている(図9参照)。図9に示すように、小径部53の歯53bと大径部54の歯54bは、周方向において互いに対応する位置に配置されている。段差部55の内周面55bと大径部54との稜線部54aも面取り部とされている。稜線部54aを面取り部としたことにより、カバー部30とホイール部50とを係合させるときに開口部31の外面と稜線部54aとが衝突してもそれぞれに破損が生じる可能性を低減でき、組み立て精度を確保することができる。
なお、小径部53の歯53bと大径部54の歯54bは同じピッチでなくてもよい。
【0022】
図6に示すように、ホイール部50はカバー部30とケース部40によって前後(D1−D2方向)から挟持される。より具体的には、ホイール部50の後側(D2側)については、小径部53が、その後方に位置するケース部40に支持され、また、筒状部51は開口部43の内周面に支持され、筒状部51は開口部43を経て後方(D2方向)へ延び出ている。前側(D1側)については、段差部55の内側(中心側)に開口部31の円環部33が配置され、段差部55の内周面55bと開口部31の円環部33が並行して前後方向に沿って延びる。そして、筒状部51と段差部55によって形成される、L字状の屈曲形状部分に開口部31の円環部33が位置することによって、ホイール部50の前後方向への移動が規制される。ここで、図6に示すように、円環部33の内周面33aは、前後方向に直交する方向(図6の左右方向)において、筒状部51の内周面51bとほぼ同じ位置に配置されている。よって、開口20aの内面は凹凸の少ない形状となっている。以上の状態でカバー部30とケース部40とが互いに結合されることによって、ホイール部50が回転軸AXを中心に回転可能な状態で筐体部20内に保持される。
【0023】
以上のように組み立てられた筐体部20に対して、開口20a(カバー部30の開口部31)の前側(D1側)から軸状体Bを挿入すると、ホイール部50の取り付け誤差や形状の製造誤差があったとしても、筒状部51と小径部53との稜線部53aが面取り部とされているため、軸状体Bとホイール部50とが強く衝突することを避けることができる。よって、軸状体Bやホイール部50の損傷や、カバー部30、ケース部40、及びホイール部50の間の位置ずれが生じる可能性を小さくすることができる。また、カバー部30の開口部31にガイド面としての内面32aを有する傾斜部32を設けているため、軸状体Bをスムーズに開口20aの奥側へ案内できる。さらにまた、前後方向に直交する方向において、円環部33の内周面33aと筒状部51の内周面51bをほぼ同じ位置に配置しているため、軸状体Bをカバー部30の開口部31内からホイール部50内へ進行するときにその内周面51bに干渉されるおそれが小さくなりスムーズに挿入することができる。また、軸状体Bをホイール部50内へ挿入する時に、軸状体Bが内周面51bの位置に到達するまでは円環部33にガイドされているため、軸状体Bがホイール部50に直接衝突することはより発生しにくい形状となっている。したがって、カバー部30とケース部40との結合を解除させる方向の力はかかりにくくなっている。
また、軸状体Bが傾斜部32に衝突した場合には、衝撃が分散され、ホイール部50には衝撃が伝わりにくい。
【0024】
また、図6に示すように、カバー部30の円環部33とホイール部50との間には、前後方向の隙間G1と前後方向に直交する方向の隙間G2とが形成されている。このため、挿入時の軸状体Bが開口部31に衝突することがあっても、その衝撃がホイール部50に伝わりにくいため、ホイール部50の損傷や位置ずれなどの発生を抑えることができる。また、軸状体Bとともにホイール部50が回転したときに、円環部33が摩耗することを防ぐことができる。また、カバー部30の傾斜部32の内側にもホイール部50との間に大きな空間が設けられているため、仮に軸状体Bが傾斜部32に衝突したとしても、その衝撃がホイール部50に伝わりにくい。
【0025】
図7は、カバー部30を後側から見た斜視図である。図8は、カバー部30を外した状態を前方から見た斜視図である。図9は、ケース部40を外した状態を後方から見た斜視図である。図10は、磁気検知部71と磁石体61との関係を示す一部拡大断面図である。なお、図7図8では回路基板等の図示を省略している。図7図10及び図3において、D3方向は上側へ向かう方向であり、D4方向は下側へ向かう方向である。
【0026】
図3に示すようにケース部40には2つの軸部41、42が設けられており、図7に示すように、カバー部30には、ケース部40と結合させたときに軸部41、42のそれぞれと対応する位置に、2つの磁気検知部71、72が設けられている。磁気検知部71、72としては、各種の磁気センサを用いることができ、例えばホール素子や磁気抵抗素子が挙げられる。
【0027】
図8に示すように、軸部41、42は、ギア41a、42aをそれぞれ支持しており、ギア41a、42aはそれぞれ軸部41、42を中心として回転可能とされている。また、ギア41a内には第1の磁石体61が固定され、ギア42a内には第2の磁石体62が固定されている。ここで、磁石体61、62は平面視で外形が略正方形の環状に形成されており、それぞれの環状の中心位置に軸部41、42が配置されている。すなわち、磁石体61、62は、ギア41a、42aと一体に軸部41、42を中心として回転可能に配置されている。なお、磁石体61、62は、平面視における外形が略正方形以外の多角形でもよく、また円環状の平面形状であってもよい。
【0028】
ギア41aの外周面には所定のピッチで歯41bが設けられており、ホイール部50の歯54bと噛み合うように配置されている。
【0029】
また、ギア42aの外周面には所定のピッチで歯42bが設けられており、ホイール部50の歯53bと噛み合うように配置されている。軸状体Bの回転にしたがってホイール部50が回転すると、ホイール部50の歯54bと噛み合ったギア41aが軸部41を中心として回転し、また、歯53bと噛み合ったギア42aが軸部42を中心として回転する。この回転にともなって、磁石体61、62の向きが変更される。すなわち、磁石体61、62が発生する磁界の向きが変化する。
【0030】
図10に示すように、上下方向(D3−D4方向)において磁気検知部71は軸部41に対向する位置に配置され、軸部41を挟むように磁石体61が配置されている。例えば、図10に示す磁石体61において、上側の領域61aにN極が設定され、下側の領域61bにS極が設定されていた場合、N極からS極へ向かう磁力線が生じ、この磁力線の途中に位置する磁気検知部71によって磁石体61による磁場の方向や大きさが測定される。これに対して、軸状体Bの回転にしたがって磁石体61が軸部41を中心として回転すると、磁気検知部71によって測定される磁場の情報に変化が生じるため、この変化に基づいて軸状体Bの回転角度を算出することが可能となる。
以上述べた磁石体61の構成と作用は磁石体62についても同様である。また、磁石体61と磁石体62の構成は以上述べたものに限定されない。
【0031】
以下に変形例について説明する。
上記実施形態においては、前後方向に直交する方向において、開口部31の円環部33の内周面33aがホイール部50の筒状部51の内周面51bとほぼ同じ位置に配置されていたが、円環部33の内周面33aを筒状部51の内周面51bよりも内側に配置してもよい。これにより、カバー部30の開口部31内に挿入した軸状体Bがホイール部50の稜線部53aに衝突する可能性を低くすることができるため、ホイール部50内にスムーズに挿入することができるようになり、これにより、軸状体Bやホイール部50の損傷や、カバー部30、ケース部40、及びホイール部50の間の位置ずれが生じる可能性を小さく抑えることができる。
本発明について上記実施形態を参照しつつ説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、改良の目的または本発明の思想の範囲内において改良または変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0032】
以上のように、本発明に係る回転検知装置は、回転体としてのホイール部に取り付け誤差や製造上の誤差が生じたとしても、軸状体と回転体との衝突を避けることができ、又は、衝突があったとしても、構成部材の破損や位置ずれを抑えることができる点で有用である。
【符号の説明】
【0033】
10 回転検知装置
20 筐体部
20a 開口
30 カバー部
31 開口部
32 傾斜部
32a 内面(ガイド面)
33 円環部
33a 内周面
40 ケース部
41、42 軸部
41a、42a ギア
41b、42b 歯
43 開口部
50 ホイール部
51 筒状部
51a 前方端部
51b 内周面
52 突縁部
53 小径部
53a 稜線部
53b 歯
54 大径部
54a 稜線部
54b 歯
55 段差部
55a 前方端部
55b 内周面
61、62 磁石体
61a、61b 領域
71、72 磁気検知部
AX 回転軸
B 軸状体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10